ハンジ「はぐれ巨人とサシャ」 (77)
進撃のSSです。
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ハンジ「その物語の終りはこう始まるのだった」
ハンジ「英雄サシャここに眠るってね、どう?」
サシャ「眠りませんよ」
ハンジ「えーなんで?かっこいいよお」
ハンジ「英雄だよ英雄、めったになれないよ」
サシャ「死んじゃうみたいな終りかたは嫌です」
ハンジ「そうかーそうだよねー死ぬのはやだよね」
ハンジ「まあ頑張ろうよ」
サシャ「はぁ・・・なんでこんなことになってしまったんでしょう」
ハンジ「ほんとだね」
サシャ「分隊長が言うんですね・・・」
少し前
サシャ「特別班で調査ってなんですか?」
ハンジ「そう特別、特別っていい響きだね」
サシャ「何の調査ですか?」
ハンジ「調査もいいね!」
サシャ(この人はあんまりお話を聞かない人でしょうか?)
サシャ「でも人がいませんが・・・私1人でしょうか?」
ハンジ「単独じゃないよ。私と一緒、良かったね」
サシャ「それでも2人だけですよ?」
ハンジ「いやー本当はもっとたくさんいたよ、だけど」
ハンジ「私がいらないって言ったからね」
サシャ「えー!?」
ハンジ「まあちゃんとした判断だから」
サシャ「なんで私ですか?」
ハンジ「細かいことはいいから」
ハンジ「はい、準備して準備。がんばるよー」
サシャ「いっいつですか?」
ハンジ「いますぐ」
サシャ「いますぐっていつですか!」
ハンジ「いますぐだって」
サシャ「すぐってどのくらいですか!」
ハンジ「おーい」
ハンジ(あんまり話聞かない子かな?)
ハンジ「馬を準備しといてね」
サシャ「壁外ですかぁ?」
ハンジ「流石に2人で壁外は危ないよ」
サシャ「ということは」
ハンジ「うん壁内さ、残念なことにね」
ハンジ「準備ができたら出発するよ、いざ行かん」
ハンジ「栄光が私達を待っている」
サシャ(行きたくないです)
サシャ「はぁー」
ハンジ「若いもんがそんな溜息つかないの」
サシャ「分隊長だって若いじゃないですか」
ハンジ「えっ!?うん。ありがと」
サシャ「?」
ハンジ「いやそうじゃないんだよ違うよ?違うからね」
サシャ「はい?」
ハンジ「これからは分隊長じゃなくてハンジさんって呼んでね」
サシャ「あっはい」
サシャ「ハンジさん」
ハンジ「なになに何でも聞いて」
サシャ「食料ってどうします?」
ハンジ「そうだ忘れてた買いにいこう」
グウッ
ハンジ「ついでになんか食べようか」
サシャ「はい!」
サシャ「今日の任務のこと教えてください」
ハンジ「よく食べるねえ」
サシャ「まだいけます」
ハンジ「マジで!?」
サシャ「ハンジさんはもう終りですか?」
ハンジ「そんなに食べて、太るよ」
サシャ「太りませんもん」
ハンジ「はぁ・・・いいなあ」
サシャ「溜息ついちゃいけません」
ハンジ「えーごめんねえ」
ハンジ「そんでね、任務のことなんだけど」
サシャ「きましたね」
ハンジ「うん、その任務というか調査なんだけどね」
ハンジ「ずはり」
サシャ「ずばり?」
ハンジ「はぐれ巨人を探せ、だ」
サシャ「巨人を探す?」
サシャ「はぐれ?」
ハンジ「頭の中が?でいっぱいみたいだけど」
ハンジ「細かいことは道中で話すよ」ガタッ
サシャ「ああ待って下さい」
ハンジ「道中で話すって」
サシャ「まだ食べたいんです」
ハンジ「ほんとに?」
ハンジ「なんか荷物多くない?」
サシャ「いえこのくらいの食料は必要です」
ハンジ「そうかな?」
サシャ「ハンジさんこそえらい荷物です」
サシャ「食料じゃないみたいですけど?」
ハンジ「これ?」
サシャ「はい」
ハンジ「あー色々実験するから」
サシャ「実験?実験ってー」
ハンジ「いざ出発、行こうサシャがんばろうね」
ハンジ「はい声だして」
サシャ「おっおー(なんだかとても心配です)」
ハンジ「いい風だねえ」
サシャ「ええ」
ハンジ「晴れてよかったよ、そう思わない?」
サシャ「そうですね」
ハンジ「君はあんまり話さないほう?」
サシャ「どうでしょう」
ハンジ「怖い?」
サシャ「いい風ですね、だいぶ街から離れましたから」
サシャ「でも壁内です」
ハンジ「そうだねえ」
サシャ「怖いわけありませんよ」
ハンジ「そうだねえ」
サシャ「なんですか?」
ハンジ「なんでもないよ」
サシャ「こう見えても成績上位だったんですから」
ハンジ「大丈夫だよ」
ハンジ「今回の任務はさあ」
サシャ「はい!」
ハンジ「おう・・・そんな力入れなくていいよ」
サシャ「でも巨人を探すのですよね?」
ハンジ「そう、町外れの森に巨人を見たって噂がでて」
ハンジ「それを調査するんだけど」
サシャ「大変なことじゃないですか!」
サシャ「壁内に巨人なんて」
ハンジ「うん」
サシャ「うんってそうです」
サシャ「あれっ?」
ハンジ「多分というはほぼ嘘だと思う」
ハンジ「今までも何回かあったんだ、そんな調査依頼が」
ハンジ「巨人を見たって噂がたってね」
ハンジ「でも行ってみたら何もない、いても精々熊とか」
ハンジ「だから今回もいないけど調査しないとね」
サシャ「しないと駄目ですか?」
ハンジ「お仕事だもん調査兵団の」
サシャ「大変です」
ハンジ「大変だね」
サシャ「嘘ならなぜ分隊長が行くのですか?」
ハンジ「いやー訓練って退屈でしょ?」
サシャ「えっ?」
ハンジ「たまには羽を伸ばしたいなあって思ってさ」
サシャ「それだけの理由で?」
ハンジ「それだけじゃあないけどさ」
サシャ「前も聞きましたがなぜ私を?」
ハンジ「あっ悪い。そろそろ目的地だ」
サシャ「はい(急にマジメさんになりました)」
ハンジ「じゃあ目撃情報があったこの森をぐるって周ろう」
サシャ「はい!」
ハンジ「そんな気を張らなくていいって」
ハンジ「こうハイキングの気分でさ」
ハンジ「ほらっ可愛い鳥がいるよ」
サシャ「わー」
ハンジ「ふふっ」
サシャ「美味しそうです」
ハンジ「ええっ!?」
サシャ「獲ってもいいですか?」
ハンジ「・・・考えさして」
ハンジ「何もいなかったね」
サシャ「割と時間がかかりました」
ハンジ「鳥がたくさんいたから・・・」
サシャ「もう食べますか?」
ハンジ「いや」
サシャ「私が食べちゃいますよ」
ハンジ「君はすごいね。違くてちょっと変な痕跡があったんだ」
ハンジ「不自然に荒らされてる場所がいくつか」
サシャ「どっ動物ではないのでしょうか?」
サシャ「巨人ならいたらすぐにわかりますもんです」
ハンジ「その可能性も充分ある(変な言葉使うな・・・)」
ハンジ「でも比較的小さな巨人も中にはいるからね」
ハンジ「隠れることなんて造作もないさ」
サシャ「はい隠れましょう」
ハンジ「おーい」
ハンジ「ここの空き地で陣をとろうか」
サシャ「ちょっと開けてますね」
ハンジ「ここならもし急に襲われても分かりやすいだろう」
サシャ「襲われる?」
ハンジ「例えばの話だって、それよりもちょっと立体機動貸して」
サシャ「いいですけど?」
ハンジ「どーも」
サシャ「なにをしてるんです?」
ハンジ「出来たら言うよ」カチャカチャ
サシャ「はーい」
ハンジ「・・・」カチャカチャ
サシャ「・・・(暇です)」
サシャ「あのー」
ハンジ「何?」
サシャ「何かすることありませんか?」
ハンジ「プラプラしてていいよ」
サシャ「はあ、そうですか」
サシャ「・・・」テクテク
サシャ「うーん」
サシャ「じゃあちょっと薪をとってきます」
ハンジ「ありがと。あんまり遠くいっちゃあ駄目だよ」
サシャ「行きませんよ」
サシャ「ふうっ、これだけ集めれば大丈夫でしょうか」
サシャ「たまにはこんなのもいいですけど」
サシャ「懐かしいですねえ故郷が」
サシャ「みんなどうしているのでしょう?」
サシャ「温かいごはんが食べられていますか?」
サシャ「同期のみんなも」
ガサガサッ
サシャ「えっ?」
サシャ「嘘ですよね?」
ハンジ「よし、出来た」
ハンジ「早く試したいんだけど
ガサガサッ
ハンジ「誰だ!」
サシャ「ぶっぶん分隊長!」
ハンジ「何だ・・・ブンブン隊長?」
サシャ「いや分隊長ー」
ハンジ「何かあったの?」
サシャ「巨人が!巨人です」
ハンジ「君の装備だ」
サシャ「へっ?」
ハンジ「行くよ」
サシャ「へい?」
ハンジ「なにそれ」
ハンジ(・・・いない)
ハンジ「ほんとにいたの?」
サシャ「・・・」キョロキョロ
ハンジ「いたの!」
サシャ「ひっ・・・あっはい」
ハンジ「・・・どんな?」
サシャ「こんなおっきな巨人が何人かいましたよ!」
ハンジ「おおきなってどのくらいの?」
サシャ「えっととにかくでかいです!」
ハンジ「君、座学苦手だったでしょ」
サシャ「まあまあでした」
ハンジ「うそお」
サシャ「あっ見てください」
ハンジ「足跡だ」
サシャ「ほんとにありましたでしょ?」
ハンジ「変だな」
サシャ「変って?」
バキバキ!
サシャ「後ろ!」
ハンジ「退けサシャ!」
ハンジ(噂は本当だったのか)
ハンジ(3~4m級ってところかサシャの説明より大分小さいな)
ウゥー
ハンジ「はっ」
ハンジ「うなり声なんてあげてさぁ拍子抜けだよ」
ハンジ(もっともこの大きさだからいままで隠れることができたんだろう)
ハンジ「さあおいで」
ハンジ「もう隠れなくていいよ」
サシャ「うぅ」
ハンジ(こっちもうなり声?・・・違う!)
ハンジ「木の上に!一旦木の上に行くんだ」
サシャ「はっはい!」
ハンジ「あっ待って!」
サシャ「えっ?」
ハンジ「その立体機動なんだけど
サシャ「はい?」
バシュ!
サシャ「うわああぁぁぁ!」
ハンジ「ガスの圧力設定を高めてって・・・行っちゃった」
ハンジ「・・・」チラッ
ウー・・・
ハンジ「よくもサシャを憶えてろ!」
サシャ「うー」
ハンジ「大丈夫?」
サシャ「死ぬかと思いました」
ハンジ「だからごめんって」
サシャ「本当に怖かったんですよ?」
ハンジ「ハンジスペシャルに設定したかったの」
サシャ「・・・なんですかそれ」
ハンジ「とにかく許してよーサシャ」
サシャ「・・・やです」
ハンジ「えっとそうだご飯にしよう。ねっ」
サシャ「・・・」
ハンジ「もう暗くなるから巨人も大丈夫」
サシャ「・・・ふんっです」
ハンジ「私サシャが獲ってきた鳥食べたいなあ」
ハンジ「とっても美味しいだろう」
サシャ「食べたいですか?」
ハンジ「うんうん」
サシャ「仕方ありませんねえ」
ハンジ「やったあ」
サシャ「その前に」
ハンジ「なになに?」
サシャ「こういうことをする時は言ってください。いいですか?」
ハンジ「ありがとう(言ったらいいんだ)」
サシャ「じゃあ手伝って下さいよ」
ハンジ「料理を?」
サシャ「それ以外ありますか?」
ハンジ「私料理苦手だよ」
サシャ「・・・本当ですか?」
ハンジ「まあね」
サシャ「あー・・・」
ハンジ「今いい年してとか思ってる?」
サシャ「まっまさかです」
サシャ「じゃあ水を沸かして下さい」
ハンジ「了解です隊長」
サシャ「まず羽を毟らないとですね」
ハンジ「ねー水はこんくらいでいい?」
サシャ「あーはい」
ハンジ「薪はこのくらい?」
サシャ「はいはい」
ハンジ「もう火をつけていい?」
サシャ「あー勝手にやってください」
ハンジ「そう」
サシャ「まったく」
サシャ「えーと後は
バンッ!
ハンジ「うおう!」
サシャ「爆発してます!」
ハンジ「ごめんねって」
サシャ「もう何回目ですかその言葉」
ハンジ「ちょっと火薬入れてみたくなっちゃって」
サシャ「危ない人です」
ハンジ「危なくないよ」
サシャ「後は私がやるので待っていて下さい」
ハンジ「私もやるやる」
サシャ「ジッとしててください」
ハンジ「はーい」
サシャ「まったく困ったかたです」
ハンジ「手伝いが欲しかったらいつでも言ってね」
サシャ「結構です」
ハンジ(忙しいそうだなあ)
ハンジ「ねえ」
サシャ「なんですか?」
ハンジ「大変?」
サシャ「いいえ」
ハンジ「ねえ」
サシャ「・・・なんですか?」
ハンジ「私も料理ぐらいできないと駄目かなあ」
サシャ「知りません」
ハンジ「なんて冷たいんだ」
サシャ「冷たくないです」
ハンジ「うん知ってる。言っただけ」
サシャ「知りません」
ハンジ「ああ、そうだね」
ハンジ「そうだ」
サシャ「なんですか」
ハンジ「怒らないでよ」
サシャ「怒ってないですもん」
ハンジ「(やっぱり変な敬語)ねえちょっと敬語やめてみようよ」
サシャ「はぁ?駄目ですよそんな」
ハンジ「気にしなくていいから」
ハンジ「今、2人は戦友で対等だから」
ハンジ「はいどーぞ」
サシャ「・・・」
ハンジ「何か言って」
サシャ「うん」
ハンジ「うん」
サシャ「・・・」
ハンジ「それだけ?」
サシャ「わかんない」
ハンジ「わかんない?」
サシャ「何話していいかわかんない」
ハンジ「がんばれ」
サシャ「うん、がんばる」
ハンジ「いや、あのごめんねちょっと待って」
サシャ「待つ」
ハンジ「なんで片言になんの?」
サシャ「苦手なの」
ハンジ「というか子供?」
サシャ「うー」
ハンジ「やーい顔まっ赤だ」
サシャ「・・・」
ハンジ「サシャ?」
サシャ「あなたが子供ですかぁ!」
ハンジ「すみません」
サシャ「ハンジさんはひどい人です」
ハンジ「ごめんって、ごめんね・・・でも」
ハンジ「もっかい言ってよ」
サシャ「やっ」
ハンジ「ほら子供」
サシャ「怒りますよ?」
ハンジ「いやー楽しかっ・・・いや美味しかったねえ」
サシャ「最初の言葉は聞こえなかったとしましょう」
サシャ「美味しかったです」
ハンジ「うん。君の出身は?」
サシャ「なぜですか?」
ハンジ「ずいぶん慣れた手つきで獲っていたから」
サシャ「その通りです」
ハンジ「兵団に入ってきてくれてありがと」
サシャ「急に」
ハンジ「えっ?なーに」
サシャ「もう何も言ってもあれですよ」
ハンジ「信じられる?」
サシャ「そんな訳ありますか」
ハンジ「ははっいいなあ」
サシャ「・・・」
サシャ「私向いていませんか?」
ハンジ「違うよ、でも感心した」
サシャ「後片付けしましょ」
ハンジ「何でも言って」
サシャ「明日はどうしますか?」
ハンジ「君はどうしたい?」
サシャ「だから後片付けしてください」
ハンジ「人使いが荒いよ」
サシャ「今は対等ですから」
ハンジ「そうだね」
サシャ「私もっと強くなりたいですよ」
ハンジ「まだ残りがあった」
サシャ「もう怯えたり、怖がったりしないです」
ハンジ「最後の一口、食べる?」
サシャ「なにがあっても動じません、気にしません」
ハンジ「食べないの?」
サシャ「せっかく言っているんですよ。食べます」
ハンジ「はいっアーンして」
サシャ「怖いのやです」パクッ
ハンジ「美味しい?」
サシャ「でもそれは誰にも言っては駄目です」モグモグ
ハンジ「言わないよ」
ハンジ「私は怯えるのも、怖がるのも君のものだって思う」
サシャ「イヤです。ずっと怖いの」
ハンジ「私も怖いの嫌だけどね」
ハンジ「残念なことに私達は弱いから」
サシャ「じゃあいつまでも怖いままではないですか」
ハンジ「うんいつまでも怖いまま」
サシャ「ならハンジさんもですか?」
ハンジ「私は」
ハンジ「怖いよ」
ハンジ(いや違うか、少し違う)
ハンジ「私は少しそういうのに慣れただけ」
サシャ「はい。どうすれば」
ハンジ(まいったな、こう真直ぐ見られると)
ハンジ(らしくないよね)
ハンジ「君はこう思ってる?」
ハンジ「イヤだな」
ハンジ「つらいな」
ハンジ「もう駄目だよ」
ハンジ「無理だって」
ハンジ「でも」
ハンジ「持っている」
ハンジ「そのブレードで」
ハンジ「切り裂いてやれ」
ハンジ「君ならできるよ」
ハンジ「勇気が付いてこなかったら?」
ハンジ「後からついてくればいい」
ハンジ「怖かったら?」
ハンジ「おんなじだよ」
ハンジ「切り裂いてやれ」
サシャ「ありがとうございます」
ハンジ「気にしないで、本当に」
ハンジ「何人にも言ってきたからね」
サシャ「そうですか。その人達は」
サシャ「いまはそういうのを克服できたのですか?」
ハンジ「うん」
ハンジ「そうだと思うよ」
サシャ「思う?」
ハンジ「そうだといいなあ」
ハンジ「いつも思う」
ハンジ「私は君の役に立つことが」
ハンジ「君を少しでも良くできたかな」
ハンジ「恐怖を少しでも和らげることが」
ハンジ「その終わりの瞬間まで」
ハンジ「確認がとれるならしたいよ」
ハンジ「話せるのなら」
サシャ「悲しくはないですか?」
ハンジ「優しいことを言ってくれるね」
サシャ「すみません」
ハンジ「いやそのままの意味さ」
ハンジ「きっと私は・・・」
ハンジ「さっきの言葉を言い聞かせている」
ハンジ「自分のために」
ハンジ「ねえ」
ハンジ「誰にも言っては駄目だよ」
サシャ「言いません」
ハンジ「なんでそんな目をしてるの?」
ハンジ「違う、違うよこんな話はさあ」
サシャ「すみません」
ハンジ「泣いちゃ駄目だよ」
ハンジ「私の前ではいいけど」
サシャ「ハンジさんは泣かないんですか?」
ハンジ「泣くよ、泣きたいときは」
サシャ「じゃあ駄目っておかしいじゃないですか」
ハンジ「私はいいの、君らは駄目」
サシャ「おかしいです」
ハンジ「本当に」
ハンジ「そうだねえ」
ハンジ「それじゃあ気分転換に巨人の話でもしよっか」
サシャ「えっいやそれはちょっとです」
ハンジ「そうなの?」
サシャ(落ち込みが半端ないです)
ハンジ「もう寝る準備しよ」
ハンジ「明日は早いよ、サシャも寝なさい」
サシャ「あっあのハンジさん。今日の巨人のことですが」
ハンジ「どうしたの!?何か気になることある?」
サシャ(食いつきが半端ないです)
ハンジ「寝ながら話す?朝になっちゃうかも」
サシャ「うゎーい」
ハンジ「そんなに嬉しい?」
サシャ「はぁ・・・」
ハンジ「さあどんどん話そう」
サシャ(寝袋の中でゴーグルが輝いています)
サシャ「なぜ壁内にいるのでしょう」
ハンジ「そうだね。驚いたね」
ハンジ「まさか壁内にいるなんて・・・彼はどのくらいここにいたんだろう」
サシャ「彼?巨人のことですか?」
ハンジ「どんな思いで何年、何十年いたのかな?」
ハンジ「もしくは何百年」
ハンジ「こんなところにただ1人で生きて」
ハンジ「どうして?どんな思いで」
サシャ「あのー巨人に魂はありますか?」
ハンジ「魂?」
ハンジ「どうしてそんなことを聞くの?」
サシャ「巨人がどう思っているのか」
ハンジ「わからないって?」
ハンジ「人もどう思っているのかわからないでしょ」
サシャ「でしたら人には?」
ハンジ「わからない」
サシャ「それなら私達も同じなのですか?」
ハンジ「それは怖い夢のようだけど」
サシャ「ほんとです」
ハンジ「また怖い思いをさせちゃった?」
サシャ「怖くないですぅ」
ハンジ「またぁ情けない声を出す」
ハンジ「そうしたら」
ハンジ「サシャごめんね」
サシャ「えっ?」
ハンジ「今までのこと全部嘘」
サシャ「えー?」
ハンジ「全部冗談」
ハンジ「もう寝よ」
ハンジ「君と同じように怖い思いをしている人がいたら」
ハンジ「君が助けてあげるんだよ」
ハンジ「それで少なくとも私達は生きているし」
ハンジ「ねえ」
ハンジ「・・・」
サシャ「英雄の私はここで眠ります」
ハンジ「まったく」
ハンジ「起こしてあげる」
ハンジ「明日には彼らが息を吹き返すんだから」
ハンジ「それまでは」
サシャ「・・・」グウ
ハンジ「早いなあ。若くて羨ましいよ」
ハンジ「ねえ」
ハンジ「私が君を連れてきたのは」
ハンジ「昔の自分の一部を見て」
ハンジ「同じことを言われた自分を」
ハンジ「同じことを言うしかなかった戦友を」
ハンジ「重ねたから」
ハンジ「だから」
ハンジ「それはまた少しきっと誰かのためにだね」
ハンジ「・・・なんて」
ハンジ「私もほんとに年取ったのかなー」
ハンジ「思ってても言うもんじゃないのに」
ハンジ「そんなことたくさん言ったんだ」
ハンジ「君と話してすっかり調子が狂っちゃったよ」
サシャ「えへへ」ムニャムニャ
ハンジ「うわっ幸せそうに・・・なんて奴」
ハンジ「その大きな口にパンを放り込んでやる」
サシャ「・・・」モグモグ
ハンジ「おー食べる食べる」
次の日
サシャ「私体調が悪いかもしれません」
ハンジ「えっどうして?」
サシャ「朝なのにお腹が減ってないんです」
ハンジ「あっそ」
サシャ「大変なことなんですよ!?」
ハンジ「はいはいじゃあ朝は無しでいい?」
サシャ「食べます」
ハンジ「やっぱり、昨日どんな夢見た?」
サシャ「はい?」
ハンジ「楽しい夢?」
サシャ「はい!」
サシャ「ハンジさんはどんなの見ました?」
ハンジ「若い時の夢かな」
サシャ「若い時?想像できないです」
ハンジ「言ったね?こう見えてとても」
サシャ「とても?」
ハンジ「変わった奴って見られてたかな」
サシャ「ハイ!私もです」
ハンジ「何で嬉しそうなの?」
ハンジ「でもその元気で」
ハンジ「あの哀れな巨人に終りを届けにいこうか」
サシャ「はい・・・」
ハンジ「さっきの元気は?」
ハンジ「大丈夫」
サシャ「大丈夫?」
ハンジ「大丈夫」
サシャ「やります」
ハンジ「いいね。好きな目をしてる」
ハンジ「変わり者の私達は」
ハンジ「他の人よりも変わった力があるよ」
サシャ「そうですか、そうですね」
ハンジ「うんうん」
サシャ「ハンジさんほど変わってはいませんがやってやります」
ハンジ「おっおう?まあやってやろう」
サシャ「この辺にいたのでしょうけど」
サシャ「ねえどこかにいったのですかね」
ハンジ「あっああ、そうだね」
サシャ「駄目です。ボーっとしてたら」
ハンジ「あのサシャさあ」
ハンジ「私そんなに変わってる?」
サシャ「自分で言ってたのに気にしているんです?」
ハンジ「まっさかあ」
サシャ「じゃあいいじゃないですか」
ハンジ「冷たいなー」
サシャ「クールです」
ハンジ「なんて似合わないんだ」
サシャ「ここは戦場です。楽しくお話している暇はありませんよ」
ハンジ「あらら」
サシャ「遅れないで下さい。置いていきますよ」
ハンジ「待ってって」
サシャ「だらしないですね」
ハンジ「ごめんよ、でもそっちじゃないから」
ハンジ「方向違うよ、こっち」
サシャ「あっ置いていかないでください」
ハンジ「うーん」
サシャ「やっぱりいませんね」
ハンジ「不思議に思っていたんだ」
サシャ「私のことですか?」
ハンジ「ちょっと聞いて」
ハンジ「なぜあの巨人が今まで見つからなかったのか」
サシャ「奇行種だからですかね」
ハンジ「そう言ってしまうのは簡単だけれども」
サシャ「怖いんでしょうか?そんなことないですよね」
ハンジ「まさかサシャじゃないし」
サシャ「あっ人が気にしていることをー」
ハンジ「いやでももしかしたら」
サシャ「そうだとしても・・・」
ハンジ「いいこと思いついた」
サシャ「無茶苦茶嫌な予感がします」
ハンジ「嫌なことを嫌と意識しないことも重要だよ」
サシャ「うわあ嘘ばっかりです」
ハンジ「嘘をつく人とその人を信用しないのは別」
ハンジ「準備はいい?」
サシャ「いいです」
ハンジ「心の準備は」
サシャ「駄目です」
ハンジ「じゃあいこう」
サシャ「やっぱりです」
サシャ「ハンジさん」
ハンジ「んっ?」
サシャ「準備はどうですか」
ハンジ「なんとかなるでしょ」
サシャ「心の準備は」
ハンジ「お腹が減ったな」
サシャ「何言ってるんですか」
ハンジ「またサシャとご飯が食べたいよ」
ハンジ「いい?」
サシャ「もちろんです」
ハンジ「オッケ・・・じゃあいくぞサシャ!」
ハンジ「作戦開始だ!」
バンッ!・・・
サシャ「すごい音です!」
ハンジ「火薬だ!ありったけの」
ハンジ「サシャをびびらせた!」
サシャ「あのサシャをですね!」
ハンジ「あの伝説の、いやなにそれ!」
バンッ!・・・
ハンジ「私はこう推測する」
ハンジ「あいつが見つからない原因は」
サシャ「原因は?」
ハンジ「私達から逃げているから」
サシャ「逃げている」
ハンジ「そう普通の巨人と逆だ、変だね」
ハンジ「だから精々逃がしてやるのさ」
サシャ「この沢山の音で」
ハンジ「あいつを怯えさせ、追い込み、炙り出す」
ハンジ「そして切り裂く」
ハンジ「私達が」
サシャ(怯える)
ハンジ「・・・さて」
ハンジ「仕上げの仕掛けがある」
ハンジ「音はまだ完全に周囲を覆ってない」
ハンジ「だから私と君は別れて仕掛けてそれを鳴らす」
サシャ「私達が音の方向から来ては逃げられてしまうんじゃないですか?」
ハンジ「そうしたらあいつを抜くしかないね」
サシャ「できますか?」
ハンジ「やるんだ」
ハンジ「成績上位の力を見せてやろう」
サシャ「はっはいハンジさんは、えーと年の功を」
ハンジ「見せてやる。えっ?」
ハンジ「仕掛けが完了したなら煙弾を打つ」
サシャ「2人とも打った後は?」
ハンジ「互いの煙弾を確認したらその後30数えて発破だ」
ハンジ「そして中間地点へ向かうそれが逃げ道だからだ」
サシャ「はい。煙弾を打ったならすぐさま移動し、音の中間地点へ」
ハンジ「その進行方向へ行けば、私達はまた会える」
サシャ「会えますね」
サシャ「ここでいいですかね」
ガサゴソ
サシャ「よしこれでいけます」
サシャ「ハンジさんより早くできましたね」
バシュ
サシャ「あっ流石です。こちらも」
バシュ
ハンジ「あっ向こうからも上がった」
ハンジ「良かったー心配してたんだよね」
ハンジ「っと発破するから離れなきゃね」
サシャ「あと25です」
サシャ「作戦通りうまくいくのでしょうか」
ハンジ「きっと不安になってる」
ハンジ「あと20」
ハンジ「落ち着いて」
サシャ「ジューゴです」
サシャ「ドキドキですね」
ハンジ「数え間違えてないよね」
ハンジ「もう10だ」
ハンジ「信じて」
サシャ「そうです。きっとうまくいくんです!」
サシャ「5、4、3、2、1!」
ドォーン・・・
サシャ「っあ耳が。これだけ音がでかいと逆に静かに聞こえますね」キーン
サシャ「さてもう一方の音のほうへ、もう一方?」
サシャ「違います!音は・・・音はここでしか鳴りませんでした!」
ハンジ「この音、うまくいったようだね」
ハンジ「褒めてあげたいよ・・・会えたら」
ハンジ「私は叱ってくれ」
ハンジ「あーっくそ」
ハンジ「こんなに近くにいたとはね」
ハンジ「君が急に攻撃してくるから」
ハンジ「立体機動が壊れちゃったよ」
・・・
ハンジ「聞いてる?チャンスなんじゃない」
・・・
ハンジ「それとも逃げる?」
・・・
ハンジ「君はとても静かだ」
ハンジ「それでもお互いに」
ハンジ「逃げるつもりが無ければ戦うしかない」
ウオォ
ハンジ「その気になった?」
ハンジ「勝てる見込みがあるから?」
ハンジ「なぜ立体機動を攻撃した?」
ハンジ「随分と頭がいいじゃないか」
ハンジ「ただでやられたくないな」
サシャ「待って下さい、必ず行きます。すぐ行きます」
サシャ「絶対行きます、だから無事で」
ハンジ「ハァー(まあ立体機動使えなきゃ勝ち目ないよね)」
ハンジ「ごめんサシャ」
ハンジサーン
ハンジ「えっ?」
ハンジ「この声は」
ハンジ「そんなに早くこれるはずが」
サシャ「分隊長ー!」
ハンジ「サシャ」
サシャ「大丈夫ですか!」
ハンジ「よく怖いところにきたね」
サシャ「きますとも!」
ハンジ(どうやってこんな速く?)
サシャ「あれっ!?それは?」
ハンジ「故障しちゃった、たいしたことないよ」
ハンジ「それより今は前を見るんだ」
サシャ「うわっ」
ハンジ「あいつ早いよ」
ハンジ「普通じゃ追いきれないかもしれないから」
ハンジ「一旦引けたら引きたい状態なんだけど・・・」
サシャ「やってみます」バシュ
ハンジ「やってみるって?ねえサシャ!?」
ハンジ「あっ逃げっ」
サシャ「なら全開です」バシュ!
サシャ「逃げるなんてほんとに巨人らしくないですね」
サシャ「でも今度は逃がしはしません」
ハンジ(何であんなに速いんだ?)
サシャ「ハンジさんがくれたの大変ですよ」
ハンジ(あっあれか、あの高圧のガスを使いこなしてるなんて)
ハンジ(昨日は全然駄目だったんだよ)
ハンジ「すごいなぁ・・・よっし!」
ハンジ「跳べサシャ!飛んだり跳ねたりするんだ!」
ハンジ「今なら誰よりも速く」
サシャ「大騒ぎですね」
ハンジ「そうだっ!」
ズバッ!
ハンジ(浅いけど何度も切りつけている)
ハンジ「かっこいいぞ」
サシャ「はーい」
ハンジ「油断しない」
サシャ「すみません!そっちに行ってしまいました」
ハンジ「そっちは」
ハンジ「地雷だ」カチ
サシャ「発破用の火薬で!?」
ドォーン・・・
サシャ「ハンジさん怖いです」
ハンジ「暫くは動けないだろうね」
ハンジ「もう終わりにしてあげよう」
サシャ「・・・はい」
ハンジ「どうした?」
サシャ「この巨人はなんなんでしょう?」
サシャ「一度も攻撃をしてきませんでした」
ハンジ「私にもそうだった」
ハンジ「だから」
サシャ「なぜですか?」
ハンジ「それを知ることは今はできない」
ハンジ「ただ他の巨人と比べると知性が高いことは確かなようだ」
ハンジ「状況を判断することができるようだしね」
サシャ「人間のようにですか?」
ハンジ「そこまでは」
グググッ
ハンジ「立ち上がる。サシャ!」
サシャ「・・・」グッ
ダッ
サシャ「・・・」
ハンジ「逃げたよ。追わないのかい?」
サシャ「ガスが尽きました」
ハンジ「逃がしたの?」
サシャ「わかりません」
サシャ「怯えていました」
ハンジ「だから」
サシャ「あれじゃあ斬れませんでした!」
ハンジ「関係ない」
サシャ「駄目です!」
ハンジ「それでも・・・駄目なんだ」
ハンジ「この世界では人間なら生きていける」
ハンジ「巨人もそうだ」
ハンジ「だけどそうでもないものは」
サシャ「変わっているものは生きていたら駄目なんですか」
サシャ「誰の目を触れずにいるだけなのに」
ハンジ「誰もがそう思うわけじゃないんだよ」
ハンジ「誰もがそう思われたわけじゃないんだよ」
サシャ「そんなのって」
ハンジ「私はサシャを大丈夫なようにと祈っているけど」
ハンジ「同じようにだよ・・・ねっ?」
サシャ「・・・ハンジさん」
ハンジ「ん?」
サシャ「怖かったですよー」
ハンジ「ははっカッコ良かったよ、ほんとに」
ハンジ「さっ帰ろ帰ろ」
サシャ「今回のこと、どう報告するんです?」
ハンジ「それはもう正直に」
サシャ「そうですか」
ハンジ「こんな風に」
ハンジ「サシャはとてもカッコ良かったです」
ハンジ「巨人はいたかどうか分かりませんがここは封鎖しましょうって」
ハンジ「だから今度くるときはもっと研究してやるんだ」
サシャ「さっき正直にって言ってましたけど」
ハンジ「自分にってこと」
ハンジ「・・・結局さぁ最初サシャの言っていたもっと巨人がいるって」
ハンジ「なんだったの?」
サシャ「そういえばそうです」
サシャ「見間違えですかね」
ハンジ「えー」
アニ「なんだったのあいつら」
アニ「変な巨人もいたし」
ユミル「ったく。あの巨人なんなんだよ」
ユミル(もしかしたら私と同じか?)
アニ「えっ?」
ユミル「あっ?」
アニ「あんたなんでこんな所にいんの?」
ユミル「お前こそ」
これで終りです。ありがとうございました。
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