絵里（外国人と間違えられたのかしら。それも英語圏の）

絵里（私にはロシア人の血が流れてるけど、日本語しか喋れないのよね）

絵里（でも、この子の為にも何かロシア語で答えなきゃ……ええと）

絵里「は、ハラショー」

にこ「えっ？」

にこ（は、はらしょー？英語じゃないの？）

にこ（もしかして、アメリカ以外の国の人？ヨーロッパの人かしら）

にこ（と、とにかく、さっきのはらしょー？とかいうのを言ってみましょう）

にこ「ハラショー」

絵里「えっ！？」

絵里（もしかしてハラショーって挨拶だったのかしら？）

絵里（驚いた時に使う言葉だと思ってたけど……）

絵里（でも、私が知っていることが全て正しい訳じゃないわよね）

絵里（この子がせっかく教えてくれたのだし、ちゃんと挨拶として使うことにしましょう）

絵里「ハラショー」

にこ「ハラショー」

にこ（どこの国かはわからないけど、通じたようだわ！よかった）

にこ（これで隣の子とも仲良くなれそうね！）

にこ（でも、名前はなんて言うんだろう？）

にこ「ところであんた、名前はなんて言うのよ？」

にこ（し、しまった～！つい日本語で言ってしまったわ！）

にこ（日本語で言っても理解出来るわけないでしょう！私のバカ！）

にこ（しかも初対面の人に馴れ馴れしくあんた呼ばわりなんて、印象悪いでしょうが！）

絵里（こ、これは試されてるのかしら？）

絵里（いきなり日本語での質問、それもかなりフランクな日本語で）

絵里（どこまで日本語を理解できるか、図っているのかもしれないわね）

絵里（ここは動じずに堂々と日本語で答えましょう）

にこ「ええと、ワッツ、ユ」

絵里「絢瀬絵里よ！」

にこ「えっ！？」

にこ（お、怒ってるのかな？）

にこ（でも名前を答えてくれたみたいよね。アヤセエリという名前みたい）

にこ（もしかして、日常会話くらいはできるのかな……？）

にこ「どうもアヤセエリさん！みんなのアイドル、矢澤にこにこ～」

にこ「にこにーって呼んで欲しいにこ～☆」

にこ（しまったああああ！つい家で練習していた言葉が出てしまったあああああ！）

にこ（これじゃおしまいよ！アヤセエリさんだって引いてるわ！）

絵里（ハラショー……今度は180度くらい口調を変えてきたわね）

絵里（日本語がわかると知って素が出たのかしら？）

絵里（それにしても、芸能人みたいな自己紹介よね。）

絵里（自らをアイドルと言っているということは……アイドルではなさそうね）

絵里（まるでツッコミ待ちのお笑い芸人……にこにーさんはスクールコメディアンを目指してるのかしら？）

絵里（かわいいのにアイドルじゃなくてコメディアンを目指すなんて面白い子ね！）

にこ「あわわ、違うの、これは……」

絵里「ハラショー……面白い自己紹介ね！」

にこ「えっ？」

にこ（う、ウケた？アヤセエリさんにこの自己紹介がウケた？）

にこ（もしかして、私って結構アイドルの素質あるのかも……？）

にこ（いやいや、もしかしたら外国人だからこそウケたのかもしれないわ！）

にこ（でも……彼女のお陰で自身がついたわ！）

にこ「アヤセエリさんありがと～☆」

にこ「私、こういうの結構好きにこ♪」

にこ「実はこういう事できる仲間……メンバーを中学生の頃から探していて居るんだけど」

にこ「ステージに上がるのが恥ずかしいみたいで、なかなか集まってくれないんですよぉ～」

にこ「音ノ木坂学院に入ってからはやめようと思ってたんだけど……」

にこ「もし、アヤセエリさんさえよろしければ……一緒に活動してくれませんか☆」

絵里「えっ？」