モバP「飛鳥が寝ていた」 (21)

「ん……、今何時だい?」

まだ完全に開ききっていない瞼を擦りながら、一つの質問を投げかけた少女。

二宮飛鳥。

エクステをつけた独特のシルエットに、思春期特有の痛い発言が魅力のアイドルだ。

飛鳥は、レッスンを終えた午後3時、三村かな子がマカロンを貪るのを傍目に、束の間の休息をとっていた。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1434472162

「P、ボクは珍しく夢を見たよ」



「少し悲しく、切なく、でも最後は幸せが待っている。そんな夢を」

「あの短い時間でよくもまぁそんな壮大な物語を見れたな」

「壮大と言う程ではないよ。ありふれた日常さ」

くすっと笑って、二宮飛鳥は続けた。

「キミは、突然目が見えなくなったらどうする?」

「唐突にどうした」

「他愛もない会話さ、深く考えずに答えてくれていい」

視覚を奪われる。
そんな経験は夜眠っている時ぐらいで、昼眠っている時ぐらいで、記憶には残らない。

「まぁ、不便だろうな」

「そうだね、目は日常生活になくてはならないものだ」

「ところで、目と日って似てないか?」

「その類似は、「目」が見えないと分からないだろうね」

「急にこんな話をしたことに、特に意味はないよ」

「ただ、日常なんて気にもとめない日々の連続で、時には退屈なこともある」

「話し相手が欲しかったと言えばいいかな」

「回りくどいこと言わずに、最初からそう言え」

「直接的に言ってもいいが、どちらかといえば」

「こっちの方がボクらしいだろう?」

薄暗い景色に、信号機の赤い光が射す。

「珍しいね、キミが寮まで送ってくれるなんて」

「最近は物騒でな」

「物騒、というのも、ある意味非日常的だと思わないかい?」

「俺は平和な日常でいい」

信号機は色を変えた。

「ボクは、平和な非日常がいいかな」

「その選択肢は無かっただろうに」

ゆっくりと車は動き始める。

「キミが道を決めただけさ。寄り道なんていくらでもできる」

「そうだな」

「でも、今は寄り道しないからな」

「……残念だよ」

翌日もまた、飛鳥はレッスンを終え事務所で過ごす。

「キミは夢をみるかい?」

「最近は見ないな。現実を見せられているからな」

「本当に夢の無いことを言うね」

「現実主義者だからな」

机の上に置いた炭酸飲料が、優しく音をたてる。

「飛鳥は昨日の夢を、覚えているか?」

節約節約と喚く諭吉主義者が冷房を切ったせいで、少し暑い室内が、ペットボトルの中身を減らす。

「聞かれたからには答えないとかな」

「多くの人は、見た夢を忘れる」

「ボクもその数多の一人さ」

「つまり、覚えていないよ」

あぁ、回りくどい。
四行、空白を含めて七行も使う内容じゃないよう。とでも言っておこうか。

「昨日色々と言ってたじゃないか」

「中身は覚えていなくとも、雰囲気ぐらいは覚えているものさ」

「あー、確かに」

「ただ、一つだけ覚えていることがあるんだ」

「これは、キミには教えられないけどね」

「……さて、仕事に戻るか」

「フフッ、頑張れ」

…………
……

夢の中身は覚えていない
でも、夢に見たものは、ボクが夢に見たものだったことは、思い出せる
だけど、ボクが夢に見たものが、今となっては思い出せない
ボクは
視覚を塞がれた気分だよ

でも、一つだけ、一つだけ分かること
キミと過ごす日々が、なんてことのない日常が
多彩な色で色付いて見えるのさ
そういえば、夢を白黒でしか見れない人がいるらしいね
P、キミの夢は
どんな色彩で、見えるのかな。

おしまいける

駄文失礼しました。もしよければ高尚さをウリにした現行スレもみていってください。

話が尻滅裂なのは息抜き程度に適当に書いたからです。あしからず。


現行スレ↓
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1433254595

お前かよ(驚愕)

えぇ…(困惑)


お前こんなの書けたんか(驚愕)

諭吉主義者って単語、なんかイイよね

※描写が無いだけで乳首弄ってます

小気味よい靴の音が止むと、トレーナーの手をたたく音と共にレッスンの終了が告げられた。

「ありがとうございました」

二宮飛鳥は感謝の言葉を述べると、部屋から退室した。

「この後は、撮影があったね」

「撮られるのは嫌いではないかな。もう一つの真実を垣間見れる気がするからね」

二宮飛鳥は呟く。
自身に語りかける。

事務所では、こちらも小気味よくキーボードを叩いている。

エンターキーが音を上げそうな音をたてると、すくりと立ち上がり、歩き始める。

「コーヒーでも飲むか……」

またまたこちらも呟く。自身に語りかける。

二人に共通することは、

台本形式の物語なら有効かもしれないということだけだ。

夜が更けて。
仕事が終わる頃。

「失礼するよ」

二宮飛鳥は事務所を訪ねた。

用事は無い。
ただの暇つぶし。
夜行性の少女は、語り合う相手が欲しかった。


しかし、期待は裏切られた。

「ぐう……」

デスクに突っ伏して寝息をたてる男が一人居ただけだったのだから。

非情にも、画面にはZの文字がひたすらと書き込まれていた。

「起こすのも気が引けるというものだ」

それならば帰ればいいものだが、二宮飛鳥は違った。

仮眠室の扉を開け、書き置きをした。

ボクも眠るとするよ、キミが起きたら起こしてくれ、と。

事務所にきてから7分。

二宮飛鳥は眠りについた。

寝顔というのは無防備で、新たなる一面を見せてくれる。

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