モバP「飛鳥が寝ていた」 (21)
「ん……、今何時だい?」
まだ完全に開ききっていない瞼を擦りながら、一つの質問を投げかけた少女。
二宮飛鳥。
エクステをつけた独特のシルエットに、思春期特有の痛い発言が魅力のアイドルだ。
飛鳥は、レッスンを終えた午後3時、三村かな子がマカロンを貪るのを傍目に、束の間の休息をとっていた。
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「P、ボクは珍しく夢を見たよ」
夢
「少し悲しく、切なく、でも最後は幸せが待っている。そんな夢を」
「あの短い時間でよくもまぁそんな壮大な物語を見れたな」
「壮大と言う程ではないよ。ありふれた日常さ」
くすっと笑って、二宮飛鳥は続けた。
「キミは、突然目が見えなくなったらどうする?」
「唐突にどうした」
「他愛もない会話さ、深く考えずに答えてくれていい」
視覚を奪われる。
そんな経験は夜眠っている時ぐらいで、昼眠っている時ぐらいで、記憶には残らない。
「まぁ、不便だろうな」
「そうだね、目は日常生活になくてはならないものだ」
「ところで、目と日って似てないか?」
「その類似は、「目」が見えないと分からないだろうね」
「急にこんな話をしたことに、特に意味はないよ」
「ただ、日常なんて気にもとめない日々の連続で、時には退屈なこともある」
「話し相手が欲しかったと言えばいいかな」
「回りくどいこと言わずに、最初からそう言え」
「直接的に言ってもいいが、どちらかといえば」
「こっちの方がボクらしいだろう?」
薄暗い景色に、信号機の赤い光が射す。
「珍しいね、キミが寮まで送ってくれるなんて」
「最近は物騒でな」
「物騒、というのも、ある意味非日常的だと思わないかい?」
「俺は平和な日常でいい」
信号機は色を変えた。
「ボクは、平和な非日常がいいかな」
「その選択肢は無かっただろうに」
ゆっくりと車は動き始める。
「キミが道を決めただけさ。寄り道なんていくらでもできる」
「そうだな」
「でも、今は寄り道しないからな」
「……残念だよ」
翌日もまた、飛鳥はレッスンを終え事務所で過ごす。
「キミは夢をみるかい?」
「最近は見ないな。現実を見せられているからな」
「本当に夢の無いことを言うね」
「現実主義者だからな」
机の上に置いた炭酸飲料が、優しく音をたてる。
「飛鳥は昨日の夢を、覚えているか?」
節約節約と喚く諭吉主義者が冷房を切ったせいで、少し暑い室内が、ペットボトルの中身を減らす。
「聞かれたからには答えないとかな」
「多くの人は、見た夢を忘れる」
「ボクもその数多の一人さ」
「つまり、覚えていないよ」
あぁ、回りくどい。
四行、空白を含めて七行も使う内容じゃないよう。とでも言っておこうか。
「昨日色々と言ってたじゃないか」
「中身は覚えていなくとも、雰囲気ぐらいは覚えているものさ」
「あー、確かに」
「ただ、一つだけ覚えていることがあるんだ」
「これは、キミには教えられないけどね」
「……さて、仕事に戻るか」
「フフッ、頑張れ」
…………
……
夢の中身は覚えていない
でも、夢に見たものは、ボクが夢に見たものだったことは、思い出せる
だけど、ボクが夢に見たものが、今となっては思い出せない
ボクは
視覚を塞がれた気分だよ
でも、一つだけ、一つだけ分かること
キミと過ごす日々が、なんてことのない日常が
多彩な色で色付いて見えるのさ
そういえば、夢を白黒でしか見れない人がいるらしいね
P、キミの夢は
どんな色彩で、見えるのかな。
おしまいける
駄文失礼しました。もしよければ高尚さをウリにした現行スレもみていってください。
話が尻滅裂なのは息抜き程度に適当に書いたからです。あしからず。
現行スレ↓
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1433254595
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