恭介「大富豪やろうぜ?」理樹「え?」 (71)
~理樹と真人の部屋~
理樹「これまた突飛なことを言うね」
真人「つーか大富豪とはまたメジャーな遊びを提案したな。てっきりもっとマイナーなものを言ってくると思ってたんだけどよ」
恭介「確かにマイナーな遊びでワクワクするのも面白いが、やはりメジャーな遊びならではの安心感というものもあると俺は思うわけだ」
謙吾「安心感か……」
真人「つまりオレの筋肉みたいな安心感ってわけだな!?」
鈴「誰もそんなこと言ってないぞ!」
恭介「つーか、リトルバスターズの面子で大富豪なんてやればただのトランプにはならないだろ。そこに渦巻くは知略と策略を最大限に生かしたまさに人間の薄汚い本性……」
理樹「いやいやいや! たかがトランプ一つでそんなことになるわけが――」
そこでふとメンバーの顔を思い浮かべる。小毬さんにクド、三枝さんに来ヶ谷さんに西園さん……。
理樹「――薄汚い本性はさておき。結構カオスなことになりそうだね」
謙吾「で? やるのは構わんが十人で大富豪をやるのか?」
真人「すげぇ時間掛かりそうだなそれ」
恭介「そう言われるのも想定済みだ。今回は半分ずつの五人で分けて戦うことにする。そしてそれぞれの上位二組ずつ、計四人で最終戦ということにしよう」
鈴「場所はどうするんだ? この部屋だとさすがに狭いと思うんだが」
真人「あぁ……? なんだその『筋トレ器具ばっかで狭くて邪魔だ。というかこれだけの筋トレ器具を集めて何がしたいんだ頭まで筋肉で構成されてるんじゃないのか』って言いたげな瞳は!」
出た! 真人の言いがかり!
恭介「んなもん人が少なくなった頃合いを見計らって食堂に集まればいいだろ」
謙吾「しかし、二木が何か言ってくるんじゃないか?」
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二木佳奈多。風紀委員長を務め、規則に人一倍厳しい人で有名だ。
最近は若干僕らに対しての風当たりが弱くなってるとはいえ、その場だけ見逃してくれるとも思えないし……。
恭介「安心しろ。その辺りも対策は練ってある」
謙吾「そうなのか?」
理樹「いやいやいや! あの二木さんをどうやって誤魔化すってのさ!?」
恭介「大丈夫だ理樹。俺を信じろ」
と言われても……。
恭介「まあそういうわけだ。時間は明日の晩飯が終わって少し経ってからくらいでいいか。他のメンバーには当日俺から知らせる。以上だ!」
☆
というわけで当日の約束された時間。
僕らは食堂へと集まっていた。
クド「わふー! 今日は燃え上がりますよー!」
小毬「よーっし! 私も頑張るよ~!」
葉留佳「ふっふっふ……いやぁ大富豪だなんて久しぶりですなぁ」
来ヶ谷「美魚君はどうだね?」
西園「ある程度なら知ってますが……」
恭介「みんなよく集まってくれた。それでは今から改めてルールを説明する」
そんな僕らの前で恭介が今回のルールを説明していく。
恭介「俺たちは全員で十人。なのでまずは半分ずつに分かれて予選を行う。予選ではゲームを二回繰り返しそのポイント獲得数で順位を決め、それぞれの上位二組ずつ計四人で最終戦を行うこととする」
恭介「ゲームのルールとしては革命に革命返し、八切りにロックのみを適用。その他ルールは大富豪の基本ルールに則る。当然大貧民と大富豪が、貧民と富豪がカードを交換するのは二戦目から適用となる」
西園「質問です」
そこで西園さんが挙手をした。
恭介「どうした?」
西園「ポイントというのは具体的にどうやって決めるのでしょう?」
恭介「予選は五人で行うから、大富豪が五ポイントとしてそこから大貧民に近づくに従い一ポイント減っていくことにしよう。最高五ポイントで、最低一ポイントだ」
葉留佳「でもそれじゃあ仮に一戦目で大貧民になった人は二戦目が大いに不利になりますヨー!」
謙吾「確かに、カード交換を適用する以上二戦目での大富豪の優位は絶対的なものになるからな」
恭介「それじゃあ追加ルールとして都落ちも加えよう。二戦目で大富豪が一位になれなかった場合、強制的に大貧民となる」
小毬「ふえぇ……とんでもないプレッシャーになるねそれ……」
だけど、これならある程度は平等になるかもしれない。
来ヶ谷「ふふっ、私は構わんよ」
真人「あ? たいした自信だな来ヶ谷」
来ヶ谷「要するに連続で勝てばいいんだろう? 何、造作もないことさ」
理樹「さすが来ヶ谷さん……」
というよりすでに自分が勝つ前提で話してるし……。
謙吾「それで? 当然罰ゲームの一つや二つ用意してあるんだろ?」
クド「わふっ!?」
恭介「無論だ。だがまぁ今回はオーソドックスに『勝者は敗者全員になんでも一つ命令』でいこうと思ってる」
鈴「命令!?」
来ヶ谷「なるほどな……」ゴゴゴ
西園「…………」ゴゴゴ
理樹「うわっ!? なんだか二人から怪しすぎるオーラが立ち上ってるよ!?」
そしてもっと言うなら身の危険を感じるんだけど!?
恭介「よし、それじゃあさっそく予選の組み合わせを決めるぞ。全員この箱の中にあるくじを引け」
直下5レスで組み合わせ決め
キャラの名前を一人だけどうぞ
斎藤「それじゃあ結果発表だうまうー!」
理樹「待って恭介。さも当然のようにマスク被ってないでよ」
恭介「ん、すまない。ちょっと天からのお告げが聞こえた気がしてな」
鈴「こいつバカだ!」
恭介「そんじゃあ改めて結果発表な!」
言いながらマスクを制服のポケットに押し込み話を進める恭介。
……持ったままでやるんだ。
~予選1~
鈴・真人・理樹・クド・恭介
~予選2~
謙吾・来ヶ谷・葉留佳・小毬・西園
西園「……パワーバランスはそこそこ均等ですね」
理樹「そうだね。とりあえず恭介と来ヶ谷さんが一緒じゃなくてよかったかも……」
来ヶ谷「む。それはどういう意味かね少年」
葉留佳「恭介さんと姉御が同じ予選に入ったらもう他三人の敗退は決まったようなもんですからネ」
まあそれは言い過ぎかもしれないけど、大きすぎるハンデを抱えることにはなる。
謙吾「まあいいさ。相手が誰であれ、勝負なら勝ってみせる!」
小毬「ほわぁ! 凄い張り切りようだよ謙吾君!」
小毬「よーっし! それじゃあ私も頑張っちゃいますよ~!」
真人「ふんっ……オレの筋肉革命、その瞳に焼き付けるんだな」
クド「わふー! 筋肉革命……何が起こるのか想像できません!!」
鈴「……やってやる」
それぞれ思い思いの言葉を口にする。
そしてそんな僕らを恭介が満足そうに笑い、
恭介「それじゃあミッション・スタートだ!」
そう宣言した。
※とりあえずここまで。続きは夜頃
予選1
恭介「それじゃあさっそく始めよう。カードを配るぞ」
真人「ちょっと待て恭介。トランプの枚数は五十四枚なんだよな?」
恭介「そりゃな」
真人「俺たちは五人ずつなんだぞ。一人十枚を手持ちとしたら、四枚余るじゃねぇか」
クド「そこからさらに均等に配ろうとしたら一枚足りなくなります!」
恭介「じゃあジョーカーを一枚抜いてやるか?」
鈴「ダメだ!」フカーッ
恭介の妥協案に鈴が反論する。
鈴「ジョーカーは最強のカード、つまり切り札なんだぞ。それを減らすなんて許さない!」
理樹「あはは……なら、ジャンケンで誰が十枚スタートにするか決める?」
恭介「いいや、ここは少し趣向を変えてこのストップウォッチを使おう」
真人「そんなんでどう決めるんだよ?」
恭介「コンマ下一桁で判定をする。0か5なら俺。1か6なら理樹。2か7なら真人。3か8なら鈴で、4か9なら能美といった具合だ」
恭介「インチキが無いよう、液晶部分は下を向ける。どうだ? これなら公平だろ?」
理樹「だね」
鈴「わかった」
真人「っしゃあっ!」
クド「わかりましたです!」
恭介「じゃあ、始めっ!」
直下コンマ判定
鈴「あたしかっ」
恭介「じゃあ鈴が十枚スタートだな。よし、それじゃあ始めよう!」
真人「へっ……やってやろうじゃねぇか!」
クド「頑張りますっ」
理樹「よしっ!」
~mission start!~
理樹「じゃあ僕からだね。4で」
恭介「A」
真人「……え?」
クド「い、いきなりなのですか!?」
一番手の僕が4を出し、迷うことなくAを出す恭介。
恭介「別におかしなことなんてしてないだろ。これも戦術だぜ?」
真人「うぬぬ……パスだ」
クド「え、えっと……パスです」
鈴「パスだ」
理樹「僕もパスで……」
恭介のAに勝つには2かジョーカーを出す必要がある。僕の手札には2が一枚あるけど……ここで使うには勿体ない。一戦目というのもあるし、みんなのやり方を見ていても問題はないだろう。
恭介「っし、じゃあ俺だな。4のペアだ」
最後に出たAの持ち主である恭介の番から始まる。
数字こそ小さいものの、ペアとなれば以降の人もペアを出さないといけなくなる。
真人「んならオレは6ペアだ!」
クド「パスです~……」
鈴「むむむ……なら9ペアで」
9ペアで僕に番が回ってくる。
となると僕の手持ちでは11しか出せないし……。
理樹「なら僕は11ペアで」
さすがにここまで数字が上がると恭介といえど簡単にはカードを出せなくなる。この順は僕の勝ちか……?
恭介「ふっ……」
理樹(笑ってる……?)
ちらりと恭介を見ると、笑っていた。余裕の笑みを浮かべていた。
恭介「甘いな理樹。よく見ておけ、これが俺の力だ!」
そうして恭介が出したのは――2のペアだった。
理樹「2のペアだって!?」
真人「嘘だろ!? 恭介の野郎、Aだけじゃなく2まで持ってやがったのか!?」
真人「……しかも二枚も!」
クド「わ、わふー!? とんでもない強運の持ち主なのですー!?」
鈴「むむむ……」
恭介「はっはっは。さて、どうする? これに勝つにはジョーカーのペアを出すしかないわけだが……」
当然そこまでの強運の持ち主はいるわけもなく、揃って首を振る僕ら。
恭介「よし、じゃあこれは流れてまた俺からだな。7だ」
真人「勝てる気がしねぇ……10で」
クド「えっと、パスなのです……」
鈴「11」
そうして鈴がハートの11を出し――ん?
恭介「お、ハートでロックされたな」
真人「えーっと、ハートでなおかつ11より強いのしか出せないわけだな?」
恭介「ああ。つまり理樹のハートが鈴にロックされたってわけだ」
理樹「どういうわけなの……」
真人「マジかよ……」
真人「理樹! 次はオレがお前のハートをロックしてやるからな!」
理樹「嫌だよ! なんか気持ち悪いよ!」
恭介「そもそも、お前順番的に理樹のハートロックできねぇし」
真人「うおおおおーっっっ! そうだったーっっっ!!」
恭介「……待てよ。ってことは、俺は理樹にハートをロックされる可能性があるわけか」
恭介「盛り上がってきたぜぇぇぇっっっ!!」
理樹「どうして盛り上がるの!? そして西園さんはゲームそっちのけでどうして僕に視線を送るの!?」
鈴「バカばっかだ」
クド「あはは……」
ええい! この嫌な雰囲気を振り払うには僕が勝つしかない!
迷いを捨てろ直枝理樹! 今は……やるしかない!
☆
~一戦目結果~
大富豪 恭介 5ポイント
富豪 理樹 4ポイント
平民 クド 3ポイント
貧民 鈴 2ポイント
大貧民 真人 1ポイント
真人「うおおおおーっっっ! 結局オレが大貧民かぁぁぁぁーっっっ!!」
鈴「むぅ……」
理樹「富豪か……次の手札次第じゃまだ巻き返しはできるぞ!」
クド「わ、わふー……みなさんお強いのです……」
恭介「言いつつもしっかり平民をキープしてるあたり、なかなかだな能美も」
僕が最終戦に出るには最低でも平民以上はキープしておきたい。
……いや、恭介を都落ちで引きずり落としておかないと最終戦でいらない苦戦をすることになるだろう。つまり狙いは――!!
~mission start!~
真人「ふふふ……」
鈴「なんだ真人。いきなり笑うな」
真人「いやぁ、何。今回のオレの引きは一味違ったみたいだぜ」
真人「これなら逆転も夢じゃねぇかも……ってなんだ恭介、その手は」
恭介「カード交換」
真人「忘れてたぁぁぁぁぁっっっ!!」
言いながら渋々カード二枚を交換する真人。
……真人の言葉の真意はどうあれ、これで恭介に二枚の強カードが渡った。気を付けないと、また大富豪を取られちゃう!
鈴「理樹。ほれ、カード」
理樹「あ、うん」
僕は僕で貧民の鈴とカード交換。
こっちは一枚しかなかった4を差し出し、鈴はAを僕にくれる。
クド「なんだか酷い疎外感なのです……」
真人「ふふふ……ふふふふふ……」
鈴「真人が壊れた!」
※お風呂(∵)
恭介「どうしたよ真人。俺に強カードを二枚も渡すことになったもう自暴自棄になったのか?」
理樹「恭介……」
恭介「だが勝負を諦めるわけにはいかないぜ? ほれ、二戦目は大貧民から時計回り、つまり真人からだ」
真人「勝負を諦めるだと……?」
恭介の挑発が混ざった発言に真人がゆらりと顔を上げる。
クド「い、井ノ原さんがとてつもないオーラを纏っています! これは……とんでもないことが起こりそうなのですっ!」
鈴「そうなのか?」
真人「ああそうさ! お前ら、その目玉ドリルで突き破ってよーく記憶に焼き付けとけ!」
目玉ドリルで突き破ったら何も見えなくなるんじゃないかな……?
しかし僕の心の中でのツッコミは当然真人に届くわけもなく、無駄に筋肉を強調したポーズでカードを場に出して――って、ええっ!?
真人「見ろ! これが筋肉革命だぁぁぁぁぁっっっ!!」
恭介「な、なにぃ!?」
鈴「おおっ、やるな真人」
クド「凄いのですっ、カッコイイのですっ! 筋肉は最強なのですっ!」
真人「ははははは! クー公はよくわかってんじゃねぇか!」
理樹「でも、本当に凄いよ真人!」
筋肉革命っていうネーミングはともかくとして、これで全体のカードの強さが逆転したことになる! つまり3が一番強いカードになって、2が一番弱いカードってわけだ!
大富豪の恭介は十中八九強カードをたくさん持っているだろうし、そうでなくても真人とのカード交換で弱いカードは真人と交換している。
これなら……勝てるっ!?
恭介「くぅ……まさかジョーカー無しで革命してくるとはな……こりゃワイルドだぜ真人……」
真人「よせよ、照れるじゃねぇか」
理樹「それじゃあ、この場は真人で流れってことで――」
そうして僕がカードを流そうとしたところで、意外な人物が声を出した。
クド「わ、わふーっ! 私も井ノ原さんに続くのですよー!」
理樹「えっ?」
クド「え、えっと……筋肉革命なのですーっ!!」
そのままクドがさっきの真人のように筋肉を強調したポーズ(しかし筋肉は皆無)を取りながら場にカードを出して――って、ええぇぇぇぇぇっっっ!?
理樹「革命返し……だって……!?」
真人「うぉぉぉぉぉーっっっ!! クー公お前なにしてくれてるんだぁぁぁぁぁーっっっ!!」
恭介「ヒャッホォウ! さすがだ能美! 俺は今猛烈に感動しているぞ!」
クド「え? えっ?」
僕と真人、そして恭介のそれぞれ正反対すぎる反応を見てさっきまでの自信満々な顔はどこへ行ったのか困惑するクド。
鈴「あのな、クド。今クドがしたことは……」
そのままクドに鈴が説明してあげる。
クド「わ、わふーっ!? そうだったのですか!?」
理樹「っていうか、ルールわかってなかったの……?」
恭介「何を言うんだ理樹! この際ルールの把握具合は瑣末な問題だ!」
恭介「むしろ俺は革命返しをすることができる手札を舞い込んだ能美の幸運を褒めてやりたいくらいだ! 能美最高! クドリャフカ最高!!」
鈴「うっさいわ!」ゴスッ
恭介のテンションがよほど苛立ったのか、鈴の蹴りが恭介に放たれる。
クド「す、すいませんでした……」
真人「ああ、いや……気にしなくていいぜ、うん……」
理樹「真人が真っ白に燃え尽きてる!?」
~二戦目結果~
大富豪 恭介 累計10ポイント
富豪 理樹 累計8ポイント
平民 鈴 累計5ポイント
貧民 クド 累計5ポイント
大貧民 真人 累計2ポイント
まあ、結局恭介が連続で大富豪になったわけで……。
真人「結局こうなるのかぁぁぁぁぁーっっっ!!」
鈴「お前いつも叫んでるな」
クド「わ、わふ~……残念なのです~……」
理樹「な、なんとか二位になれた……」
一応これで最終戦には出れるんだけど……その代わりやっぱりライバルに恭介がいることになってしまった。謙吾達から誰が出るのかはまだわからないけど、これは手痛い失態だ。
真人「仕方ねぇ……こうなったら理樹! 絶対に勝ってくれよな!」
理樹「応援してくれるの?」
真人「当たり前だ! どうせあっちからは来ヶ谷が出てくるだろうし、残りの一人も謙吾か西園らへんだろう」
さりげなく小鞠さんと三枝さんを敗退確実と決め付けてる……。
真人「そこにお前と恭介を加えたメンバーなら、オレは是非理樹に勝ってもらいたい! そして可能なら優しい罰ゲームにしてくれ!」
真人「オレから筋肉を奪うようなことは理樹ならしないはずだと信じてる!」
理樹「ああ……そういうこと……」
鈴「理樹、頑張れ」
クド「ファイトなのですよリキ!」
恭介「おいおい、俺に対しての応援は一つもないのか?」
恭介「嫌われたものだな、俺も……」
うわっ、ちょっと見ない間に恭介がブルーになってるっ。
クド「あ、えっと。恭介さんもファイトなのですっ」
恭介「能美! やっぱりお前は我がリトルバスターズ随一の癒し系だ!」ダキッ
クド「わ、わふー!?」
鈴「離れろバカ兄貴!」
ああ、勝負が終わっても相変わらずだなぁみんなは……。
さて。来ヶ谷さんの方の結果はどうなってるだろう……?
※視点変更します
今日はここまで
SS速報リトバスSSあんまり無いんですね
他ジャンルでたまに見かける安価キャラSSやってみたいなと思ってたけど無理そう
ではまた後日
~時間は巻き戻りだいたい>>14らへん~
西園「では、わたしたちも始めましょう」
来ヶ谷「そうだな」
葉留佳「それじゃあ小毬ちゃん! カード配りよろしく!」
小毬「うん、わかったよ~」
バサバサバサ!
小毬「ふえぇ~……カード落ちちゃった~……」
謙吾「何をやってるんだ神北……」
謙吾「ほら、貸してみろ。最初は俺が配ってやる」
すると宮沢さんが神北さんからトランプを受け取り、手慣れた手際でシャッフルします。
来ヶ谷「ほう。なかなか慣れた手際じゃないか謙吾少年」
謙吾「伊達に昔から恭介の遊びに付き合ってないさ」
葉留佳「おお! さすがはリトルバスターズ初期メンバーの一人!」
葉留佳「こりゃあ油断してたら一気にやられちまいますネ!」
西園「宮沢さんだけに注意していたら来ヶ谷さんに背後から襲われかねませんが……」
来ヶ谷「何を言うか。美魚君こそ平気な顔をして何かとんでもないことをしそうだと思うが」
小毬「な、なんだか向こうよりこっちの方が大変そう~……」
来ヶ谷さんは言わずもがなで、宮沢さんもリトルバスターズ初期メンバーだけあって実力は折り紙つきでしょう。
三枝さんと神北さんは……まあ、ある程度の注意だけしてたら大丈夫だとは思いますが、確かにこっちのテーブルの方が難易度は高そうです。
来ヶ谷「まあ、そんなことはさておきだ。早いところ始めるとしよう」
西園「そうですね。……ところで、あちらみたいに十枚スタートの人を決める必要はないんですか?」
来ヶ谷「その必要はない。既に葉留佳が立候補してくれているからな」
小鞠「そうなの?」
葉留佳「そうだよー! まあ、枚数が少ない方が有利だっていうのは明白だしね、むしろどうして姉御ともあろうお方が譲ってくれたのか不思議でならないくらいですヨ!」
謙吾「……俺としては手持ちが少ないと出せるカードの組み合わせが減って嫌なんだが」
来ヶ谷「そんなのは個人の感覚の差だろう。謙吾君はそれが嫌だと感じるのだろうし、葉留佳君はそれを有利と感じる」
来ヶ谷「ただそれだけの話さ」
……要するに自分が不利になると判断したことを三枝さんに押し付けた、ということでしょうか。
西園「わかりました。では順番はどうしましょう?」
謙吾「三枝から時計回りにすればいいんじゃないか?」
そうなると三枝さん、宮沢さん、わたし、来ヶ谷さん、神北さんという順番になるわけですね……。
葉留佳「へっへっへっ……この私に最初の一手を許すなんて、謙吾君も甘ちゃんだねぇ!」
謙吾「ふんっ、そうやって強気な態度でいられるのも今だけだ」
小鞠「すっごい殺伐としてる~……」
来ヶ谷「大丈夫だ。私たちはゆるりと楽しめばいい」
西園「獲物を見つけた狩人のような眼をしてる人が言っても説得力に欠けるのですが……」
まあ、いいでしょう。
来ヶ谷さんの言うとおり楽しみながら、勝ちを狙うとしますか……。
~mission start!~
葉留佳「じゃあまずは私からだー! 5のペア!」
謙吾「いきなりペアを出してきたか。……仕方ない、パスだ」
葉留佳「おやおや~? いきなりパスなんて謙吾君手札が悪いのかなぁ~?」
謙吾「西園、次だぞ」
葉留佳「華麗にスルー!?」
西園「では、7のペアです」
来ヶ谷「ふむ。ならば10のペアだ」
小鞠「う~ん……じゃあパスで」
三枝さんの言葉も無視して場が進んでいき、再び三枝さんの番に。
葉留佳「…………」
小鞠「はるちゃん?」
葉留佳「10以上のペアが無ーいっ!!」
謙吾「……お前、自分でペアを出しておきながら場が続いた時の対策を考えてなかったのか?」
来ヶ谷「しかも今10以上のペアが無いって自白したな」
葉留佳「しまったぁぁぁぁぁーっっっ!!」
西園「こいつバカだ、です」
小鞠「みおちゃんって芝居とか上手いよねぇ。今のりんちゃんの声真似そっくりだったよぉ~」
おっと。知らない間に鈴さんの真似をしてしまっていたみたいですね。
謙吾「とにかくだ。今三枝が思いっきり自爆してくれたおかげで今後のカードの出し方が決まってきたな」
来ヶ谷「ああ。少なくとも一戦目の間は10以上のペアを出せば葉留佳君はパスをするしかないわけだ」
葉留佳「ぐぐぐ……」
小鞠「あれぇ? でも、はるちゃんがそこまで見越して演技をしてるってことは……」
西園「ありえませんね」
葉留佳「みおちん酷い!?」
まあ、五人でやっている以上そもそも10以上のペアを持っている人もそんなにはいないでしょうしあまり大したハンデにはならないかもしれませんけど。
来ヶ谷「で、謙吾少年と美魚君はカードを出すかね?」
謙吾「パスだ」
西園「同じく」
来ヶ谷「なら流れて次は私からだな。……ふふっ、結局のところはこうなってしまうのか」
場に出たカードを端に寄せた来ヶ谷さんが妖しく微笑んで言っています。
来ヶ谷「それじゃあまずは手始めに……3で」
小鞠「意外と普通だったねゆいちゃん……それじゃあ4だよ~」
来ヶ谷「だからゆいちゃんはやめろと……」
葉留佳「あ、なら6で!」
謙吾「10だ」
西園「…………」ジーッ
来ヶ谷「む? どうしたんだ美魚君。おねーさんにそんなに熱い視線を送って」
西園「8で」
来ヶ谷「なんと。8切りか」
小鞠「えっと、この時点で場が流れちゃうんだっけ?」
謙吾「そういうことだな。……しかし、いきなり8を使うとなると……」
葉留佳「一気に勝負を決めるつもりですかみおちん!?」
今わたしの手持ちカードは八枚。本当ならもう少し後で使うべき戦術なのですが、このメンバーを相手に出し惜しみをしてはいられません。
西園「ではわたしのターンです。11のトリプル」
葉留佳「ぶへっ!? 11の……トリプル!?」
謙吾「恐ろしい強運の持ち主だ西園……」
小鞠「え、えっと……つまりゆいちゃんは11より上の数字を三枚出さないといけないんだよねぇ?」
来ヶ谷「……ふむ」
わたしが出した三枚のカードを見て小さく呟いた後、来ヶ谷さんがこちらに視線を向けます。
来ヶ谷「悔しいが、この場は何もできないよ。パスさせてもらおう」
謙吾「さすがの来ヶ谷でもこの場はパスするしかないか」
小鞠「ええっと、私もパスするよ~……」
葉留佳「同じく!」
謙吾「……それなら俺もパスさせてもらう」
これで場が流れて再びわたしのターン。
西園「それじゃあ、Aのペアで」
葉留佳「ええっ!? 11のトリプルに続いてAのペア!?」
小鞠「み、みおちゃん強い~……」
謙吾「たまに西園のことが恐ろしく思うぞ俺は……」
西園「これはいわば主人公補正というもの――」
西園「――げふんげふん。なんでもありません」
来ヶ谷「今美魚君が言ってはならないことを言ったような気がするんだが」
西園「気のせいです」
小鞠「ふぇ?」
来ヶ谷「まあいいさ。しかし、それなら私としても格の違いを見せつけないといけないな」
わたしの言葉を受けて来ヶ谷さんがそんな意味深な笑みを浮かべてカードを二枚場に出し――って、え?
西園「2のペア……?」
来ヶ谷「ジョーカー込みの、だがね」
葉留佳「えー!? 何そのハイレベルな手札!?」
謙吾「ジョーカーを隠し持っていたか……」
来ヶ谷「はっはっはっ。まあ、実はさっきの美魚君の11トリプルも対処しようと思えばできたんだがね」
来ヶ谷「一度こうやって嘘を混ぜれば二戦目にも常に不信感は与えられるだろう?」
小鞠「でも、それは今言っちゃって大丈夫なのぉ?」
謙吾「来ヶ谷のことだ……神北のその言葉も見越しているかもしれんぞ」
葉留佳「つまりどう転んでも姉御の術中に入ってるってことぉ!?」
西園「そもそも、今の言葉も全部嘘かもしれません」
来ヶ谷「はっはっはっ。いやぁ、面白いことになってきたな」
来ヶ谷「だが、まだ終わりじゃないぞ。続きといこうじゃないか」
いつもの余裕の笑みを浮かべる来ヶ谷さんを見て、不思議とこう思ってしまいます。
――この笑みを崩してみたい、と。
~一戦目 結果~
大富豪 来ヶ谷 5ポイント
富豪 西園 4ポイント
平民 謙吾 3ポイント
貧民 小鞠 2ポイント
大貧民 葉留佳 1ポイント
来ヶ谷「はっはっはっ。大富豪は私か」
葉留佳「大貧民は私ですかぁ」
西園「富豪……」
謙吾「平民か。カード交換をしなくても大丈夫なだけマシだと思おう」
謙吾「俺は俺の力で勝ってみせる!」
小鞠「ふえぇ……貧民かぁ」
来ヶ谷「自分の力で勝とうとするその心意気は見上げたものだが、果たしてその心意気がおねーさん相手にどこまで通用するかな?」
西園「使える力は全部使い切るタイプなんですね、来ヶ谷さんは」
来ヶ谷「美魚君もそういうタイプだと思っていたが?」
西園「……まあ、そうかもしれませんね」
葉留佳「他者の力を利用してのし上がるタイプの二人が大富豪・富豪をしっかりキープしてるーっ!?」
小鞠「こ、怖いよぉ……」ガタガタ
なんだか不本意なことを言われている気がします。
来ヶ谷「実に失礼な二人だな……」
謙吾「ほら、そんなことを言ってる暇があるなら早いところ二戦目をやるとしよう」
謙吾「じゃないとあっちのチームを待たせてしまうからな」
西園「そうですね、わかりました」
宮沢さんの言葉に従い、乱雑に置かれていたカードを手元に手繰り寄せ大貧民になった三枝さんの方にスライドさせます。
西園「どうぞ。きちんと配ってくださいね大貧民さん?」
葉留佳「なんかみおちんの視線がとてつもなく痛いんですけど……」
言いながら手馴れた手つきでカードをシャッフルする三枝さん。
来ヶ谷「…………」ジー
西園「……どうしたんですか?」
来ヶ谷「いや、気にする必要はない」
とは言ってもあれだけ見られていたら気にもするのですが……。
葉留佳「へいへーい! それじゃあ配ってくよー!」
そんなわたしたちを気にもせず三枝さんが順番にカードを配ります。
謙吾「ほう。シャッフルの時もそうだったが、随分と手馴れているな三枝」
葉留佳「まぁね! トランプは女子陣だけでも何度かやったことあるし!」
謙吾「なるほどな」
葉留佳「……っと、これで全部だね。それじゃあ始めるよー!」
カード配りも終わり、いよいよ始まる二戦目。
わたしの目的は当然――大富豪のみ。
~mission start!~
葉留佳「それじゃあさっき大貧民だった私からですネー!」
謙吾「それはそうなんだが、先にカード交換をしないといけないぞ」
小鞠「大富豪と大貧民、富豪と貧民で交換するんだよねぇ?」
来ヶ谷「そういうわけだ。ほら、早く私にカードを献上するといい大貧民め」
葉留佳「へ、へへぇー! お納めくだされ大富豪様ぁ!」
小鞠「お、お納めください富豪様!」
西園「……どうぞ」
謙吾「なんだかおかしな光景が広がっているように見えるんだが、俺の気のせいなんだろうか……?」
確かにクラスメイトの二人がそれぞれ相手にカードを差し出している姿はいささか奇妙な光景かもしれません。
来ヶ谷「……ふむ。なかなかの強カードだ」
葉留佳「ありゃ、数字バラバラだ」
今回の勝負でもっとも気をつけるべきであろう来ヶ谷さんが笑みを浮かべてそんなことを言います。
しかしわたしが気にする点は来ヶ谷さんではなく、来ヶ谷さんとカードを交換した三枝さん。……なるほど。
小鞠「それじゃあよろしくお願いしますね富豪様~」
西園「……その呼び方はやめていただきたいのですが」
謙吾「諦めろ西園」
西園「仕方ありませんね」
言いながらわたしは神北さんから受け取ったカードを確認します。それは――ジョーカーでした。
西園(……まぁ、予想通りですね)
葉留佳「それじゃあ改めて私からスタートだよ! えーっと……4のペアで!」
謙吾「またペアか。……パスだ」
西園「7のペアで」
来ヶ谷「なら8のペアだ。8切りで小鞠君の番になる前に場が流れるぞ」
小鞠「い、いきなり!?」
情け容赦なく8を2枚使って場を流す来ヶ谷さん。
無理矢理場を流してきたのは予想外でしたが、次のカード次第ではわたしにも勝つチャンスが生まれます。
来ヶ谷「で、私の番だ。9を出すとしよう」
小鞠「じゃ、じゃあ10で~」
葉留佳「11だぁ!」
謙吾「13」
西園「……それなら、Aで」
来ヶ谷「なら2を――!?」
言葉通り2のカードを出そうとして、来ヶ谷さんの手が止まります。
来ヶ谷「……スペードで縛りをしてきたか。くっ、厄介なことをしてくれる美魚君」
西園「どういたしまして」
来ヶ谷「だが、ちょっと待て。美魚君に縛りプレイをされていると脳内変換すればそれはそれで嬉しいことに……」
西園「来ヶ谷さんはパスみたいです。他の人は誰かいませんか?」
葉留佳「清々しいほどのスルーっぷりですねみおちん!?」
小鞠「でも2に勝てるカードなんて持ってない~……」
謙吾「ならば、俺が西園の思惑を打ち砕いてくれる!」
宮沢さんがリトルバスターズのジャンパーをはためかせ立ち上がり、勢いよく場にカードを出します。
葉留佳「ジョ、ジョーカー!?」
小鞠「凄い凄い~!!」
謙吾「ふふふ……誰ともカード交換をしなかったからこそ成せる技だ!」
来ヶ谷「……謙吾少年……」
三枝さんと神北さんの二人とは違い、哀れみすら込もっていそうな視線を宮沢さんに向ける来ヶ谷さん。
……まあ、さすがにここまで清々しいほどにわたしの予想通りのことをしてくれるとは思ってなかったのでわたし自身も驚いているというのが本音なのですが。
謙吾「さあ、場は流れて俺だな! 5だ!」
西園「ジョーカーで」
……、
…………、
………………、
謙吾「……え?」
西園「いえ……え? ではなくて」
西園「ジョーカーで」
来ヶ谷「……謙吾少年。忘れていたのかもしれないが、ジョーカーは2枚ゲームに使われているんだぞ?」
葉留佳「あっ!」
小鞠「あぁ~……」
謙吾「…………」プルプル
西園「あの……宮沢さん……?」
謙吾「……マーンッッッ!!」
宮沢さんが奇声を発して壊れました。
~二戦目結果~
大富豪 西園 9ポイント
富豪 謙吾 7ポイント
平民 葉留佳 4ポイント
貧民 小鞠 4ポイント
大貧民 来ヶ谷 6ポイント
終わりだ(∵)
葉留佳「まさかの姉御が都落ちっスか!」
葉留佳「いやぁ、世の中何が起こるかわからないものですねぇ」
謙吾「テンションが上がりすぎてジョーカーの枚数を忘れていたという凡ミスをしたものの、二位か」
謙吾「まあ、許容範囲内だろう」
小毬「美魚ちゃん凄い~」
来ヶ谷「ふむ……さすがは美魚君だ。このおねーさんを都落ちさせるとはな」
西園「正直成功するかどうかは五分五分でしたが……」
三枝さんとトランプをするのはこれまでにも結構ありましたから、三枝さんがカードをシャッフルするときの癖も把握しています。なので一戦目が終わりわたしがカードを集める時に少し並びをいじったんですが……さすがは三枝さん。今日も期待を裏切らないシャッフルでした。
来ヶ谷「しかし、それでは一戦目で葉留佳君が大貧民になっていないといけないんじゃないか?」
西園「そうですね、なので三枝さんか神北さんのどちらかが大貧民になる可能性を考えると、それは賭けでした」
来ヶ谷「自分や私たちが負ける可能性は考えなかったのか」
来ヶ谷さんは当然として、宮沢さんも決して頭が悪いわけではありません。もっとも宮沢さんに関しては意外なところで奇天烈な行動をすることが多々ありますが、少なくとも一戦目でそれが発揮されることはないと思っていました。
来ヶ谷「しかし、一番大事なところを運任せにするとは……」
西園「三枝さんの言葉を借りるなら、女は度胸らしいので」
来ヶ谷「はっはっは。なるほどな」
都落ちして予選落ちとなった来ヶ谷さんはそうして愉快そうに笑うのでした。
☆
恭介「ほう、そっちからは西園と謙吾が出てきたか」
理樹「西園さんはともかく、来ヶ谷さんが負けるなんて意外かも」
謙吾「ふん……お前達、忠告しておくぞ」
謙吾「西園はある意味……来ヶ谷よりも勝負強い性格かもしれん」
西園「宮沢さん、それは少々買いかぶりすぎかと」
そうやってそれぞれの予選を勝ち抜いた上位四人が一つのテーブルに集まり、軽く会話を交わすと何やら入口の方が騒がしくなってきていた。
佳奈多「ちょっと、こんな時間まで何をしているの!」
葉留佳「お姉ちゃん!?」
恭介「二木のご登場か」
理樹「あれ? もうそんな時間!?」
壁時計を見て時間を確認すると、確かに風紀委員の人たちが来てもしょうがない時間帯だ。
……じゃなくて!
理樹「どうするのさ恭介! やっぱり二木さん来ちゃったじゃない!」
恭介「ああ。いくら三枝との仲が元通りになったとはいえ、アイツは風紀委員長だ。こんな時間まで食堂にいる俺達を見逃すわけがないだろう」
知ってるならどうして対策しておかないのさ! っていうか、最初に訊いたとき「大丈夫だ」って言ってたと思うんだけど!?
恭介「大丈夫さ。この大富豪大会は中止になることはない」
恭介「……そうだろ、三枝?」
理樹「え?」
葉留佳「恭介さんの言うとおりなんですよ理樹君!」
すると三枝さんが二木さんの元に歩み寄る。
佳奈多「葉留佳! またあなたたちなのね!」
葉留佳「いやぁ、ごめんねお姉ちゃん。ちょっと盛り上がっててこんな時間になっちゃった」
佳奈多「遊んでいて盛り上がる気持ちはわからなくもないけど、こんな時間まで食堂に入り浸ってちゃダメよ」
葉留佳「そうなんだけどさぁ、実はまだもう一戦だけ残ってるんだよぉ」
佳奈多「もう一戦?」
恭介「今回はトーナメント式にしていてな、今から決勝戦を行うところなんだ」
二人して話しながらこっちに来たところで恭介が話に加わる。
佳奈多「そうなんですか」
恭介「だからこんな中途半端なところで中止にはしたくない。決勝戦が終わるまでの間、大目に見てくれないか?」
佳奈多「それとこれとは話が別で……」
葉留佳「えー! お姉ちゃんいつも言ってるじゃん!」
葉留佳「何事も、やるなら徹底的に! ……って!」
佳奈多「……言った覚えはまったく無いわ。まあ、その言葉は理解できなくもないけれど」
恭介「そうだろう? なら、中途半端は良くない。当然それは勉強だって運動だって、大富豪だって当てはまる」
佳奈多「そのラインナップに大富豪が加わるのがよくわからないんですが……」
恭介「だが今自分で言ったじゃないか。三枝の言葉は理解できなくもないって」
佳奈多「そうかもしれませんけど……」
あれ? 意外と上手くごまかせそう?
恭介「なら仕方ない、こうしよう」
するとなかなか首を縦に振らない二木さんを見かねたのか、恭介がある提案をする。
恭介「二木、お前も決勝戦に加われ」
二木「はあっ!?」
真人「ちょっと待て恭介! それはどういう理屈だ!」
黙って顛末を見守っていた真人が慌てて尋ねる。
恭介「トーナメント決勝戦で突如乱入する鬼の風紀委員長……」
恭介「展開的に燃えるだろ?」
真人「燃えねぇよ! むしろ超展開すぎて鎮火しちまうよ!」
佳奈多「……私がそれに参加したところで意味がないと思いますけど」
恭介「いいや、意味ならある」
恭介「実はこの勝負、決勝戦で勝った人間は敗者全員に一つずつ命令ができることになっていてな」
恭介「二木が勝ったら、俺達の活動をしばらくやめさせればいい」
謙吾「待て恭介、それじゃあリトルバスターズを解散しろって言われたら……」
恭介「二木が勝ってその命令をしたら、そうなるのも仕方ないかもしれないな」
ええーっ!?
葉留佳「ちょっと恭介さん、それ本気ですか!?」
西園「……何やらいきなりとんでもない展開になってきてる気がするのですが」
クド「ま、負けられない戦いですよ!」
恭介「とは言っても、俺は二木がそんなことをするわけないと思ってるけどな」
理樹「どんな根拠があってそんなことを言うのさ……」
恭介「リトルバスターズは俺達にとって大切なものだ。当然、それは三枝にとってもな」
恭介「妹のことが大好きな姉としては、妹の大事なものを壊すような真似をするわけないだろう?」
理樹「あ……」
ちらっと二木さんの方を見る。すると二木さんは今の言葉から何を感じたのか、少し恥ずかしそうに咳払いをして口を開いた。
佳奈多「……わかりました。それじゃあ私が勝ったらリトルバスターズの活動は一週間禁止とさせて頂きます」
葉留佳「お姉ちゃん……」
佳奈多「……棗先輩の言うとおりだわ。さすがにそこまでのことをするなんて、私には無理だもの」
葉留佳「お姉ちゃん大好きー!」
佳奈多「ちょっと葉留佳!? いきなり抱きつくのはやめてちょうだい!」
はは……なんだかとんでもないことになってきたなぁ。
恭介「それじゃあ二木を加えたメンバーで決勝戦、始めるぞ!」
理樹「うん!」
西園「わかりました」
謙吾「俺は……負けんっ!」
佳奈多「やるからには勝たせてもらいます」
終わり(∵)
最近パソコンの画面にエラーがどうとかクラッシュがどうとかの警告メッセージが出るんだけどこれどうしたらええのか
壊れる前兆かな?
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