モバP「だりやすかれんととある梅雨の日」 (21)


―――事務所


しとしと

  しとしと……


泰葉「――雨、降り続いてるね……」

李衣菜「明日も予報、雨だって。はぁ、雨もちょっとくらい休めばいいのに」

泰葉「ふふ。晴れたらどこか出掛けましょう?」

李衣菜「いいね。新人くんたちにもっと色んな所、案内してあげないとねっ」

泰葉「ええ、事務所の周りにはいい所がたくさんあるものね……♪」

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李衣菜「にしても……加蓮遅いなぁ」

泰葉「またふらふら寄り道でもしているのかも」

李衣菜「こんな天気なのに? 風邪引いたらどうするんだよ、も~……」

泰葉「心配しなくても、最近は卯月ちゃんたちに触発されて体力付けているみたいだし、大丈夫よ」クス

李衣菜「べ、別に心配してるわけじゃないし。お仕事に影響が出たらどうするのってことであって……」ブツブツ

泰葉「ふふっ♪」

泰葉(たぶん、月末に向けて李衣菜の誕生日プレゼントの下見でもしてるんじゃないかな……ふふふ)


がちゃ


卯月「おはようございます♪ 今日も島村卯月、がんばりますっ!」


李衣菜「あ、卯月。おはよー」

泰葉「おはようございます、卯月ちゃん」

卯月「あ、おはようございますっ、李衣菜さん泰葉さ――あっ」


卯月「こ、こほん。……り、李衣菜ちゃん、泰葉ちゃん……?」

泰葉「ふふ、はい♪」

李衣菜「あはは、まだ慣れそうにないね」

卯月「え、えへへ……。養成所でのクセ、未だに抜けなくて」

李衣菜「けっこう厳しかったんだね。口調とか、そういうの」

卯月「そうですね。礼儀正しく、が養成所のモットーでしたから」

泰葉「ふふ……だからって友達にまでさん付けは、ちょっと距離を感じちゃうかな?」

卯月「あ、あぅ……ご、ごめんなさい……」

李衣菜「あー、ふーん? 泰葉がそれを言うんだ?」

卯月「へ?」

泰葉「うっ……」

李衣菜「ねぇねぇ卯月。実はね、昔の泰葉って気難しくて人を寄せ付けないタイプだったんだよ」ヒソヒソ

卯月「え、そうだったんですか? 全然そんな風には見えないですっ」

李衣菜「でしょ? でも前はね、『私、一人でも出来ますから(きりっ)』って感じでさ――」

卯月「へぇー……!」キラキラ

泰葉「やめ、やめて李衣菜っ、昔のことはもういいじゃない……!」

卯月「えへへ♪ 今の方が素敵だと思いますよ、泰葉ちゃん!」

李衣菜「そーそー、いつも微笑んでほんわかしてる雰囲気が泰葉に一番合ってるって♪」

泰葉「うぅ、ぅ~っ!」ポカポカッ

李衣菜「あはは、逃げろ~っ」

卯月「ふふっ♪ 逃げます~っ♪」

泰葉「このこのこのぉっ……!」ポイポイポイッ

ぴにゃA「ピニャ」

ぴにゃB「ピニャァ…」


―――

――



―――


李衣菜「あ、あっつー……!」ゼェゼェ

卯月「む、蒸しますね~……」ダラダラ


泰葉「……ふん。狭い事務所で走り回って逃げるからです」

李衣菜「いやぁ、さすがに梅雨に追いかけっこはロックだったかな」

卯月「でも楽しかったですよっ」

李衣菜「へへ、卯月もだんだん馴染んできたね」

卯月「ほんとですか? えへへ♪」

泰葉「はぁ、もう……この子たちは……。ふふふ」

卯月「はふー、それにしても蒸し暑いです……」パタパタ

李衣菜「ま、梅雨まっただ中だしね」

泰葉「卯月ちゃん、髪の毛長いからお手入れ大変そう……」

卯月「あっ、そうなんです! 私くせっ毛なので、朝はもうぐねぐねしちゃって大変で……」

李衣菜「あ、私もー。っていうか、私の場合は寝相が悪くて寝ぐせがひどいだけなんだけど」

泰葉「私は――」


李衣菜「サラッサラだよね。羨ましい……」ジリ

卯月「サラッサラです。羨ましい……」ジリジリ

泰葉「ま、またおかしな空気に……!」

卯月「わぁ……わぁぁぁぁ!」ナデナデナデ

卯月「撫で心地最高です! え、どうなってるんですか泰葉ちゃん! すっごくサラサラしてます! すごいです!!」ナデナデナデ

泰葉「もう好きにして……」

李衣菜「いやー、やっぱり卯月も虜になっちゃったかー。さすがは泰葉ヘアだね、魔性の髪質!」ケラケラ

卯月「はぁぁぁぁぁ……♪」ナデナデナデ…

泰葉「あぅあぅあぅあぅ……」


―――


泰葉「やっと終わった……」ボサッ…

卯月「ごめんなさいごめんなさい! あまりの衝撃に我を失ってしまって!」

泰葉「ううん、いいの。慣れてるから……」

李衣菜「ほらほら、ハイライト消してないで。梳いてあげるから」

泰葉「…………」プイ

李衣菜「あはは、止めなかったの怒ってる?」

泰葉「……ううん。久しぶりにこんなに撫でられたから恥ずかしいだけ……」

李衣菜「なーんだ♪」

卯月「えへへ……仲良しなんですね」

李衣菜「まーね。付き合い長いし」

泰葉「仲良しというか……イジってイジられて、の繰り返し?」

李衣菜「それが仲良しってこと。でしょ、卯月?」

卯月「はい♪」

泰葉「それなら……さっき李衣菜、自分で寝相が悪いって言ってたけど、この前泊まりに来たときなんて寝間着がはだけて……」ゴニョ

卯月「え、えぇぇぇぇぇええええ!? そ、そんな格好に!?」

李衣菜「うわあああああああ!? なにカミングアウトしてんの泰葉――!?」


―――


がちゃり


加蓮「ただいまー。いやぁ、やっぱりモクドナルドの魔力には勝てないよね――って」


李衣菜「はぁ、はぁ……!」グッタリ

泰葉「ふー、ふー……!」ゲッソリ


加蓮「なにしてんの二人とも、汗だくで」

卯月「あ、おはようございます加蓮ちゃん。あの、お二人が……」

加蓮「おはよ卯月。……んー、なんかお互いのイジり合いが白熱してこうなった感じ?」

卯月「あ、当たってます! す、すごいですね加蓮ちゃんも……!」

加蓮「ふふっ、だいたい二人の思考回路は読めるから」クスクス

加蓮「あれでしょ? 李衣菜の寝相が悪くて泰葉の胸元に飛び込んでたとか、泰葉が寝ぼけて李衣菜をお母さんって呼んだとか――」


「「なあああああああああ!?!?」」


卯月「そ、それは今初めて聞きましたけど!?」

加蓮「あ、違った? あはは、失敗失敗♪」

李衣菜「うああああああああかれんんんんん!!!」ペシペシペシペシペシペシ

泰葉「加蓮! 加蓮! 加蓮!」ポカポカポカポカ

加蓮「いたっ、いたたた! な、なによもー、このくらいで怒んないでよね!」

李衣菜「卯月が聞いてるでしょーがぁ!」

泰葉「加蓮! 加蓮! 加蓮!」ポカポカポカポカ

加蓮「ちょ、泰葉ほんと痛いっ、ご、ごめんってば許して!」

卯月「ふふふっ、あははは♪」

加蓮「笑ってないで二人を止めて卯月~!」

卯月「ふふっ、はーい♪」


ぎゃーぎゃー

  やいのやいの


―――ドアの向こう


P「仕事から戻ったらなんか事務所が異常に騒がしい」

凛「……なにしてるんだろうね」

未央「なんだか楽しそうな予感☆」

P「はは、まぁいいや――」


がちゃ


凛「ただいま」

未央「戻りー!」

P「ました――」


加蓮「Pさん毛糸パンツ派なんだって~」

卯月「そうなんですか……!」キラキラ

李衣菜「この時期だと蒸れそうだよね」

卯月「ですよねぇ」

泰葉「新しい下着、プレゼントしたらどうかしら――」

卯月「あっ、それいいですね♪」

P「あああああああああ!?」

未央「……毛糸なの?」

凛「…………」ポッ



P「お前らこらぁぁぁぁあああああああ!!!!!」



おわり

というお話だったのさ
「いつの間にか馴染んでる卯月」が書けてたらいいなぁ……書けてない? 頑張ります!

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年06月16日 (火) 21:56:08   ID: zWj-4zrn

毛糸パンツ派とか失望しましたプロデューサーのファン辞めます

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