北斗「へー、免許取るんだ。どこ行くの?」
冬馬「あるだろ、事務所に近いところ」
北斗「ああ、芸能人御用達のね」
冬馬「その方が都合良いだろうしな」
翔太「冬馬が運転とか怖いなー」
冬馬「んなわけねーだろ、俺マリカー上手いの知ってるだろ?」
北斗「マリカーは関係あるかは知らないけど、頑張ってね」
冬馬「しかし良いよなあ、免許はさ、ドライブデートだって行けるだろ?」
北斗「まあ…車の中って電車とかよりもプライベートだしね」
翔太「でも冬馬くん行く相手居ないじゃん」
冬馬「なっ!お、俺だって居るし!」
北斗・翔太「え!?」
翔太「だ、誰!?」
北斗「冬馬君…いつから大人の階段を…」
冬馬「そんな驚かなくても良いだろ!つかまだ登ってねえし!」
翔太「なんだまだドーテーなんじゃん」
冬馬「こら!」
北斗「まあまあ、で、相手は?」
冬馬「………」モゴモゴ
翔太「聞こえないよ」
冬馬「あ…」
北斗「あ…?」
冬馬「ア、アマミ…」
翔太「知ってた」
北斗「だね☆」
冬馬「う、うるせー!」
北斗「ところでミッションとオートマどっちにするの?」
冬馬「そんなのマニュアルに決まってるだろ!男はマニュアル、親父も言ってたし!」
翔太「マニュアル?ミッション?」
北斗「"ミッション"はAT車にもあるからなぁ…」
冬馬「まあ名前なんて何でも良いぜ、それで765プロに俺のシフトレバー裁きを魅せてよ!」
翔太「気合入ってるじゃん」
冬馬「まあそれで北斗のやつみたいなスポーツカーで行けば惚れられる事間違い無しだな!」
北斗「免許取り立てでいきなりフェアレディZはちょっと…」
冬馬「まあ任せろって、こう、こう、こうよ!」シュシュシュ
北斗(神経使うのはそこじゃないんだけどなぁ…まあ習えば分かるか)
冬馬「予約してた天ヶ瀬です」
受付「かしこまりました、入校の説明を致しますね…」
~
冬馬(くっそー、あの変なテストで適正とか分かるのか?)
冬馬(ま、多分俺ぐらいなら満点だな、この後はシミュレータと実車が入ってるんだ、早速俺のドラテクを披露する時が来たぜ)
シミュレータ「実際に、シミュレータで…」
冬馬(やっと終わったか、話なげーんだよ。よっしゃ、行くぜ!)左足ヒョイー
シミュレータ「エンストしました、エンジンを…」
冬馬(???)
冬馬(は?ちゃんとクラッチ上げてるじゃねえか)
シミュレータ「半クラッチ状態を維持し…」
冬馬(…ああ、ゆっくり上げるのか)ソロー
シミュレータ「エンストしました…」
冬馬「は?」
冬馬(もう一回…)
ブロロロ…
冬馬「おっ」
冬馬(ああ、最初にアクセルもっと踏めば良かったのか、この要領で次も行くぜ!)
~
教官「はいお疲れ、次実車入ってるね~頑張ってね」
冬馬「はい!」
教官「じゃあ次交代して、君の番ね」
冬馬「はい」
冬馬(まずはアクセルを踏んで…そういえばさっきの時間では結構踏んでたから…)右足踏ミー
ブウオオオオオオオオオン!!!
冬馬「」ビクッ
教官「そんなに踏まなくて良いよ」
冬馬「は、はい…」
教官「もう一回どうぞ」
冬馬「はい!」
ブウウウン…
教官「それぐらいで維持して」
冬馬「はい!」ブオオオオン!!
冬馬「」
教官「落ち着いて、ゆっくり踏んでいこう」
冬馬「はい…」ブウウウン…
教官「そうそう、じゃあクラッチをゆっくり上げる」
冬馬「…」左足プルプル
教官「ゆっくり…」
ガコガコガコ
教官「まだ堪えて、早いよ!」
ガコン…ピーッ
冬馬「す、すみません…」
冬馬(おいおいおい!?ああ、そうだ!アクセルか!)
教官「まあ馴れてないからね、じゃあもう一度やろっか」
冬馬「はい!」
ブオオオン!
ガクガクガク!オオオオオン!!
冬馬(やった!)
教官「ちょ、ちょ!」ブレーキガツン!
冬馬「ぐえっ!?」
ピーッ
教官「…無理矢理繋いじゃダメだよ…もう一度教えるよ…」
冬馬(な、な、な…!?)
冬馬(めちゃくちゃ難しいぞ!?)
~
教官「ミッション車動かす基礎だからね…これじゃちょっと次へは行けないなあ、補習ね」
冬馬「すみません…」
教官「もうちょっと落ち着いてゆっくりやろっか、大丈夫、上手くなるよ」
冬馬「…はい!」
北斗「え?補習貰った?」
冬馬「む、難しいんだな…」
翔太「冬馬運動得意なのにね、ほっくんは補習貰った?」
北斗「運動が得意かは関係無いよ、僕はストレートだったけど…でもまあ、これから練習すれば良いよ」
冬馬「そ、そうだよな!」
冬馬「…ところでさ、これどう見るんだ?」
北斗「適正試験じゃん」
北斗「どれどれ、4Cか、そこそこ良いね」
冬馬「なぬ!?この俺がそこそこ!?」
翔太「一番良いのはいくつなの?」
冬馬「いくつなんだよ?てか北斗はいくつだったんだよ」
北斗「最高5A、僕は4Aだったよ」
冬馬「何~!?」
北斗「別に適正が4Cだから、免許取れないってわけじゃないからさ」
翔太「頑張ってね、765プロの皆をドライブデートに誘うんでしょ」
冬馬「そうなのか…って、皆じゃねえ!俺は一途なんだよ!」
冬馬「…」ボーッ
教官「というわけで、この単元は終わります。お疲れさまでした」
ガヤガヤ
冬馬(あーやっと終わった、学科はめんどくせえな。さてと、リベンジだぜ)
~
教官「良いかい、優しく行こう、車を労ると思ってね」
冬馬「はい…」
教官「君も恋人には優しくするだろう?クラッチをすぐに上げてもアクセルを踏めばエンストはしないけど、それじゃ乱暴過ぎる」
教官「アクセルは少し踏んで、半クラッチ…」
冬馬(彼女とかいねーよ!でも、今までのやり方じゃダメだ…)
ウウウウン…
カコカコカコ…ウウウン…
冬馬(半クラッチ…)
教官「そう、これが半クラッチの状態。もう一度クラッチを切って」
教官「もう一度優しくね」
冬馬「や、優しく…」
冬馬(優しく…そう、この車を天海春香と思って…)
『冬馬くん、優しいんだね…好きになりそう…』
冬馬(ヤバイ緊張する)両足踏ミー
ブオオオオン!
冬馬「アッ」
教官「右足も左足も力入ってるよ、でも前より上手くなってきた、頑張ろう」
冬馬(い、いかん、足どころか妙なところも力入ってきた…俺の童貞力高すぎだろ…)
冬馬(優しく…)
『優しいね…』
冬馬(じゃ、邪念は消す!)ブンブン
教官「え、どうかした?」
冬馬「あ、何でも無いです…」
ガコガコカコ…
冬馬(この感じ、さっきのと同じか…)
教官「…この振動が無くなればクラッチを上げても大丈夫」
ジャリジャリジャリ
冬馬「おおっ!」
教官「よし、クラッチ踏んで、ブレーキで止まろう。今の感覚を身体に染み込ませるんだ」
~
冬馬「まあ余裕だな」
北斗「良かったね」
冬馬「でも、教官や北斗みたいにスムーズにいかねえんだよ…アクセル踏んで、次は半クラまで上げて…だと時間がかかっちまう」
北斗「僕はもう半クラの位置を身体で覚えてるからね、でもだんだん慣れるよ」
冬馬「そんなもんなのか」
北斗「学科はどう?」
冬馬「つまんねー」
北斗「運転するのに重要だからちゃんと受けなきゃ」
冬馬「分かってるって」
冬馬(ったく、どこぞのドジと違うっつーの)
『キュキュキュキュ!ブオオオオン!』
『ええ~!?凄い!冬馬君!』
冬馬(こんなの序の口だぜ…なんつって…)
冬馬「ぐへへ…」
翔太「ドライブデートの妄想かな」
北斗「だろうね」
冬馬(今日は事故のとこか…あーあ、だったらまだ法律の話の方が役に立つっつーの)
教官「では、次のビデオを…」
冬馬(…)
「安全運転なんで大丈夫ですから」
~
「どうして保険に…」
冬馬「」ゾーッ
教官「どうでしょうか、皆さん。これから路上に出て運転することになる皆さんにとっては人事じゃありませんよ。自分の事と思って考えてください」
冬馬(自分のこと…)
『…春香…』
『あなた、何で保険に…』
『…』
『…今さら嘆いたってしょうがないよね…』
『私…もっと稼げるお仕事始めるから…』
『な!?まさか!や、やめてくれ…!』
冬馬(も、もしかして、俺、ヤバい…?)
教官「ビデオでは任意保険に入っていませんでした。じゃあ保険にさえ入っていれば事故は起こしていいわけじゃありませんよね?お金は償えても命は償えません」
冬馬(…)
冬馬(ダメだ、こんな心構えじゃ…もしアイツと結婚しても、アイツを路頭に迷わせてしまう…)
~
北斗「…どうしたの?神妙な顔して」
冬馬「いや、今日の学科が事故のとこでさ…」
冬馬「オレ、このままじゃアイツと結婚しても迷惑かけちまう!」
翔太・北斗「」ブーッ
冬馬「な、なんだよ!オレは真剣だぞ!」
翔太「何で結婚する前提なのさ」ゲラゲラ
冬馬「…うるせえ!もしもだよ!」カーッ
北斗「…でも、運転するのにはそれだけ重い責任が有るってことなんだよ」
冬馬「そ、そうだよな…何か不安になってきた…」
北斗「でも、事故は心掛け次第で起こしやすくも起こしにくくもなるよ」
冬馬「心掛け…」
北斗「思いやりとゆとりを持つんだ、紳士に振舞おうね」
冬馬「紳士に…か…」
~
教官「本日の講義はこれで終わります、では、何か質問がある方は言ってくださいね」
冬馬「あの、ここなんですけど…」
教官「ああ、そこはね…」
~
冬馬「ありがとうございました」
教官「…天ヶ瀬君は人一倍メモを取るんだね」
冬馬「いえ、これぐらい当たり前ですから」
教官「真面目な性格なんだね」
冬馬「運転することには責任が伴うってことを最近良く考えるんです」
教官「いい心がけだね、運転も慣れてきた?」
冬馬「はい、お陰様で…」
教官「そうか、頑張ってね」
冬馬「はい!」
翔太「…あ、メールが来たよ」
北斗「仮免合格したぜ、だって」
翔太「へー、写真の紙には仮免許証って書いてる」
北斗「嬉しそうだね、次からは路上か」
翔太「実際に外に出て運転するんだ、教習所って書いてある車たまに走ってるよね」
北斗「そうだよ、さて、どうなることやら…」
~
冬馬(ヤバイぜ…!)
教官「今の巻き込み確認できてないよ」
冬馬「すみません!」
冬馬(場内と全然違う!)
冬馬(標識の数、対向車、歩行者、原付!くそっ、忙しい!)
冬馬(しかも、指示器は皆遅いし、信号ギリギリでも強引に行くし…)
冬馬(つーかなんか後ろの車近くないか!?)
冬馬(こちとら制限速度ギリギリなのによ!)
冬馬(大きい道に出る…50キロ制限か…)
ブオオオオオオン!!!
冬馬「なっ!?」ギョッ
教官「うおっ、危ないなあ。合図出さずに追い越してるし」
冬馬「」カチーン
冬馬「あんなのおかしいですよ!制限速度は守ってないし、合図だって出してないじゃないですか!あの人だけじゃなくて他の人も…」
冬馬「交通ルールはきっちり守るべきですよ!」
教官「そうだね、でもそういう人達も路上には居るんだ」
冬馬「そんな…」
教官「…一つ間違っちゃいけないのは、法規走行をするだけじゃ安全かつ円滑とは言いがたい場面もあるってことだよ」
教官「例えば、右折の時、対向車が譲ってくれたりするけど、法律だと直進優先でしょ?」
冬馬「確かに…」
教官「流石にさっきの人の運転はどうかと思うけど、他人の運転に腹を立てたりするのはあまり良い事じゃない」
教官「その事に気を取られて自分の注意がおろそかになっては本末転倒だからね」
冬馬「!」ハッ
冬馬「…すみません、生意気なこと言ってしまって…」
教官「気持ちは分かるよ。だからただ法律を守る、っていうより法律を守って相手を労わる、と思うと良いんじゃないかな?そして時には柔軟にね」
冬馬「はい…」
冬馬(相手を労わる…そうだよな、北斗も紳士になれって言ってたし…)
冬馬(誰かの運転にケチ付けるんじゃなくて、まず自分がちゃんと運転しよう)
~
北斗「どう?だいぶ慣れてきた?」
冬馬「まあな」
オオオオン…
冬馬「北斗、やっぱり運転上手いな、キビキビしてメリハリがあるっていうかさ…」
北斗「ありがとう、ところで冬馬君は車はどうするの?」
冬馬「うーん…買うのは決めてる、何買うかはまだ。車のCMにでも出させてくれればそれ買うんだけどな」
北斗「ははは、そうだね」
冬馬「せっかく免許はマニュアルで取るんだからマニュアルが良いな…」
北斗「へえ。僕もどちらかと言えばミッション派かな」
冬馬「でも最近はマニュアル車って少ないんだろ?」
北斗「いや、そんなことないよ、コンパクトカーでもミッション車はあるし。軽自動車でもあると思う」
冬馬「そうなのか?」
北斗「まあ色々探してみなよ、最近のコンパクトカーって結構質感良いしかっこいいよね」
冬馬「まあ、教習車に比べたらな…」
北斗「あれ、今新しいのになってるでしょ?アクセラ使ってるじゃん」
冬馬「無線車がタクシーみたいなのでさ…」
北斗「クラウンコンフォートかな、僕が取った時はまだ多かったよ、他にはシビックがあったかな…」
北斗「…前の車とかどう?ヴィッツ」
冬馬「まあ、アリかな」
北斗「僕は新しいデミオかっこいいと思うな、横のは?フィット、これでマーチとコルトがあれば…」
冬馬「デミオ?マツダのか。横のもまあかっこいいな」
冬馬「…あれは?」
北斗「スイフト、スズキだね」
冬馬「スイフト…」
~
教官「うん、大丈夫そうだね」
冬馬「…はい」
教官「見きわめ良しと。運転、凄く上手くなったね」
冬馬「ありがとうございます」
教官「じゃあ、卒検の説明するね、卒研の曜日だけど…」
北斗「…今頃卒検か、前の見きわめ受かったってとこから2週間ぐらい空いちゃったけど…」
翔太「受かるかなあ」
北斗「多分大丈夫だよ、冬馬君暇さえあればイメトレで頑張ってたし」
翔太「ちゃんとデートに誘えるといいけどね」
北斗「はは、そっちの方が心配だね」
~
冬馬「…ありがとうございました!」
教官「合格おめでとう!」
冬馬「はい…!!」
教官「いやあ、最初は大丈夫かなあとか思ってたけど、あの後は全部補習無しとはね」
冬馬「教官の皆さんのご指導のお陰ですから…」
冬馬「ありがとうございました、本当に…」
冬馬(やっと…やっと…)
冬馬(やっと免許証を…!!)キラキラ
教官「じゃあ、この後免許センターでやる本試験の説明をするね」
冬馬「え?あ、はい」
冬馬(…本試験?)
~
北斗「で、本試験の事忘れてた訳か」
冬馬「うおお!!どうすればいいんだ!」
翔太「あれは?こーか測定?とかいうのと一緒じゃないの?」
冬馬「一緒なのか?」
北斗「僕は効果測定の勉強と同じ勉強で受かったけど…不安なら塾とかあるよ」
冬馬「うむむ…」
翔太「とりあえず勉強して受けて落ちたら考えれば?」
冬馬「落ちるとお金勿体無いな…車買うし、落ちないようにしよう」
翔太「車何買うの?」
冬馬「…スイフトだ」
北斗「へえ、スポーツ?」
冬馬「いや、RS。スポーツじゃないけどな、ちょっと奮発するぜ」
北斗「親には何か言われた?」
冬馬「親父が、半分出すから俺にも乗らせろだって」
北斗「はは、良いじゃん」
冬馬「親父タバコ吸うんだよな…それだけは勘弁してもらわないと…」
冬馬「どうだ、すげえだろ!と…」
「おお~!冬馬君免許取ったの!?」
「まあな」
「車は?」
「新車で買うぜ」
「凄いな~、私免許とか持ってないや」
「春香はまだ車取れないだろ」
「18歳からだっけ」
「ああ、来年だな」
冬馬「…」ドキドキ
冬馬「…」スゥッ
冬馬「おりゃあああ!!どすこい!!」ポチットナ
「もうちょっと練習して上手くなったら乗せてやるよ」
冬馬「言っちゃったあああああ」バンバンバン
冬馬「…」ドキドキ
「ほんと!?ありがとう!楽しみだな~」
冬馬「…!!!」
冬馬「…やった!!やった!!!」バンバンバン
翔太「…良かったじゃん」
北斗「だね☆」
冬馬「うお!?いつから見てたんだよ!!」
冬馬「よ、よし…」ゴクリ
バタム
冬馬(…)ジーッ
グルグル ジロジロ
冬馬(…うん、今日も俺のスイフトちゃんはピカピカだぜ…)
冬馬(さ、そろそろ来る頃だけど…)
春香「…あ、お待たせ~!」
冬馬「!」ドキーン
冬馬「…お、おう」
春香「えへへ、あ!これ冬馬君の車!?すごい!かっこい~!」
冬馬「…ど、どうも」テレテレ
春香「へえ~赤色だ、私の色だね」
冬馬「は?赤は俺の色だっつーの!まあ何でもいいけどさ…早速行くか、乗ってくれ」
春香「は~い、お願いしまーす!ところでこれなんていう車?」
冬馬「スイフト」
春香「じゃあスイフト春香さん号だ」
冬馬「自分の名前を勝手につけるな!!」
春香「あはは、良いじゃん、そっちの方が可愛いし」
冬馬「…ま、何でもいいけどよ…」
春香「でも誘ってくれてありがとう、なんだか楽しみだな~」
冬馬「…」ドキーン
冬馬(…可愛い)ポッ
春香「…どうかした?」
冬馬「え?な、なんでもねーよ…鞄は後ろに置くか?シートベルト着けてくれ」
春香「ありがとう、オッケーだよ」
冬馬「…行くぞ」
ブロロロ…
春香「わあ…」
冬馬「…」チラッ
冬馬(…生きてて良かった…)グッ
冬馬「…で、潮風アイスだっけ?」
春香「そうそう、しょっぱいんだよ~!気にならない?」
冬馬「へえ、しょっぱいのか、初めて聞いたな」
春香「バニラに良く合うんだってさ!」
冬馬(おいしそうだな、ん、あの車ガソリンスタンドから出るのか)チラッ
冬馬(…入れるか、これ逃したら次は中々無さそうだしな…)
アリガトー
冬馬(どういたしましてっと…)
冬馬「俺も帰りにガソリン入れるかな…」
春香「…へえ、冬馬君優しいんだね」
冬馬「え、ェえ!?」フラフラ
春香「あああ~!真っ直ぐ真っ直ぐ!」
冬馬「おお!?アブね!」
冬馬(い、いかん集中せねば…)
春香「ご、ごめんね…気を散らせちゃって…」
冬馬「い、良いんだよ…」ドキドキ
冬馬(いかん…優しいと言われただけで俺のシフトレバーがオーバートップに……静まれ……)
春香「私のお父さん、あんまり譲らないのに、自分は譲れよ~って煩いからさあ」
冬馬「まあ、そういう人もいるのかな…」
春香「うん、だから余計にね。優しいって良いと思うよ」ニコッ
冬馬「…!」ドキン
冬馬「…う、うるせえ!」カーッ
春香「えぇ~、うるさいって何よ」
冬馬(ったく、俺って奴は素直じゃないんだから…はは…)ニヤニヤ
~
冬馬「これが潮風アイスか」
春香「いただきま~す、うわ、ほんとにしょっぱい!」
冬馬「ほんとだ、でも結構いけるな、俺は好きだぜ」
春香「うん!美味しいね、冬馬君!」
冬馬「…!」ドキン
冬馬(…俺は今、全国1億のファンに命を狙われる存在となった…!)
冬馬(…ん)
冬馬「…口、ここついてるぞ」
春香「え、ええ!?」ペロッ
冬馬(あー今のぺろっ良いわー…)
冬馬(このまま、ずっと一緒に居れたら良いのにな…)
冬馬(そう、このまま…春香と…)
春香「…冬馬君?」
冬馬「…え?」
春香「どうしたの?急にボーっとして。運転疲れちゃった?」
冬馬「え?ま、まあそうかもな」アセアセ
冬馬(…さあ、プランCだ!本じゃなくて北斗仕込だがな!)
冬馬「…あのさ、晩飯どうする?俺はどこでも良いけど」
春香「え?う~ん考えてなかったなあ…」
春香「何か行きたいとこある?」
冬馬「俺?えーと…」
冬馬(なんて言って、北斗に聞いたレストランがあるんだけどな…)
冬馬「…そうだ、あの、ベイエリアのとこのさ…」
春香「…へえ、よさそうだね、そこにしよ!」
ピロロロロ
春香「あ、ごめん。プロデューサーからだ…」
冬馬(…!)
冬馬(ああ、そうだ…)
春香「プロデューサー?どうしたんですか?」
冬馬(天海はプロデューサー、アンタの事が好きだったんだよな…)
冬馬(ぐぬぬ、あの眼鏡優男め…)
冬馬(北斗は、好きな子なら奪っちゃえとか言うけどな…あのプレイボーイがよ…)
冬馬(はあ…早く終わってくれねーかな…)
春香「え、これからディナー…?」
冬馬「…!?」
冬馬(…そうか…)
冬馬(これではっきり分かる…)グッ
春香「あ、あの…えっと…」チラッ
冬馬「…良いじゃん、765プロなりに色々考えてるんだろ」
春香「ちょ、ちょっと待ってくださいね」
春香「…でも、さっきのレストラン…」
冬馬(言えよ、プロデューサーなんかより俺と一緒に居ろ、って…)
冬馬「はは、あんなとこいつでも連れってってやるよ」
冬馬(しばらく忙しくなるから今日が最後のオフだとか、理由は嘘でも何でも良いんだよ…)
冬馬「なんならプロデューサーに連れてってもらえば良いじゃん」
春香「えっと…」
冬馬「まあ、俺はどっちでも良いけどさ。…早く決めねーと電話代勿体無いぜ」
冬馬(俺はお前と一緒に居たいんだよ…!!)
冬馬「…」
春香「えっと…」
冬馬「…」
春香「…ごめんね、今回はプロデューサーと…」
冬馬「…」フッ
冬馬「そっか」
冬馬(ったく…)
冬馬(俺って奴は…素直じゃないんだから…)
冬馬(…何か心配事などがある場合は、運転を控えるべき、か…)
冬馬(こんなので気を取られて事故でも起こしてみろ、春香に迷惑かけちまう)
冬馬(しっかりしろ、俺)キッ
春香「あ、あの…ごめんね…」
冬馬「ん?なに、そういう事もあるもんだ」
春香「うん、タイミング悪くてごめんね…」
冬馬「謝ることじゃねーよ、ところで何時までにどこに送れば良いんだ?」
春香「えっとね…6時ぐらいまでに駅まで送ってくれるかな…」
冬馬「分かった、任せとけって。6時に駅だろ?じゃあそろそろ出ないとな」
冬馬(…そうだ、春香を無事届ける。それが出来るまでが俺の仕事だ)
冬馬(気を引き締めていくぜ)
春香「今日はごめんね、誘ってもらったのに…」
冬馬「ああ、良いんだよ」
春香「ありがとう、楽しかったよ!」
冬馬「おう、こっちこそ付き合ってくれてサンキュ」
春香「またドライブ行こうね」
冬馬「ああ」
冬馬(…)
冬馬「…じゃあな」
春香「またね!」
バタム
冬馬「…」
冬馬「…はぁ…」
冬馬「…」
冬馬「…北斗のとこに行くか」
~
冬馬「うーっす…」
北斗「…あ、冬馬君、ドライブデートはどうだった?」
冬馬「え?ああ、サイコーだったぜ、マジで…」
冬馬「はあ…」
翔太「…」チラッ
北斗「…」コクリ
翔太「…冬馬君、アイス食べる?」
北斗「疲れたときは、甘い物だよ」
冬馬(アイスなら食ってきたんだけどな…)
冬馬「ありがとう」
冬馬「…そうそう、今日食った潮風アイスっての、塩バニラ味でよ」
北斗「潮風アイス?へえ、塩バニラか、おいしそうだね」
冬馬「うん」
『うん!美味しいね!』
冬馬「…!」
冬馬「…」
冬馬「…」ポロ…
冬馬「…」ポロポロ…
冬馬「美味…しい…な…」
冬馬「ううっ…ううぅぅ…」ポロポロポロ
翔太「…さてと、晩ご飯にしますか!」
北斗「…冬馬君料理にはうるさいから、今日は気合入れて作らないとね☆」
冬馬「うううう…えぐっ…うううぅぅ…!!」
冬馬「…今日でこいつともお別れか…」
北斗「若葉マーク取れると車の印象も変わるでしょ」
冬馬「そうだな、やっぱり無いほうがかっこよく見えるぜ」
冬馬「…赤にしてよかった」
北斗「やっぱり色は自分の好きな色じゃないとね」
冬馬「自分の好きな色…か…」
冬馬「…尚更、大事にしないとな」
北斗「…安全運転でね」
冬馬「ああ。じゃあ行くか!まずは翔太を拾ってかないとな」
北斗「よろしく…☆」
おわり
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