幼馴染「ククク、見よ!男よ!」男「見てるよ」(63)

幼「この魔法陣が完成すれば、もはや我に敵など居なくなる!」

幼「…無限の力が我の物となるのだ!」

幼「クックック…フワーッハッハッハ!」

男「…魔法陣ねぇ」

幼「な、なんだ?男よ。」

男「その無限の力とやらを得て、お前は何になりたいんだ?」

幼「我の事をバカにした者共を、皆殺しに…」

男「…物騒だなぁ」

幼「な、なんだ!男はあやつらの味方をすると言うのか!」

男「そんなつもりはねぇよ」

男「ただ、なぁ…」

幼「な、なんなのだ!はっきりと言ってみろ!」

幼「下僕の癖に、我に意見する事が出来るのならばな!」

男「俺が、幼の事を馬鹿にした奴らの肩を持つ訳がねぇ」

男「それはわかってるだろ?」

幼「…それはこの第三の眼、暗黒竜の魔眼でお見通しだ!」

男「まぁ、わかってくれてるなら、第三の眼でも何でもいいけどさ」

幼「…」

男「これはちょっと方向性違うんじゃね?」

幼「わ、我は、強くならねばならんのだ!」

幼「ち、力を…得ねば…ならない…のだ」

男「無理するなよ、幼」

幼「む、無理なんて…してない…」

男「俺はわかってるから」

幼「…ま、まさか!お、男も魔眼を?」

男「違う!赤ん坊の頃からの付き合いだからだ!」

幼「…」

男「だから、無理して、強くなんかならなくていいよ」

男「幼が前向きな方向で変わるなら、応援する」

男「でも、これは強さじゃなくて、逃げだぞ」

幼「う、うるさい!とにかく!」

幼「この魔法陣の完成には!」

幼「男の血が必要なの!…なのだ!」

男「幼、落ち着け!」

幼「そ、そうしないと、男が、あの女達の味方に…」

幼「あいつらの所に…行っちゃう…」

男「俺はお前の傍に居るだろ?」

幼「ま、マボロシめ!わ、我の眼は誤魔化せぬぞ!」

男「…幼、お前まさか…ヤバイクスリに手を出してるのか?」

幼「え?クスリ?さっきバファリンを飲んだけど…それが何?」

男「…」

幼「とにかく血を!」

男「俺の血で、お前が救われるなら、いくらでもやるよ」

男「…で、どれくらい必要なんだ?」

男「身体中の血か?」

幼「そ、そんなに要らないよ!」

幼「指の先にちょっと傷付けて…」

幼「ちょびっとだけ、この魔法陣に付けてくれれば…いいよ」

男「…これでいいか?」

幼「…う、うん」

男「これでお前は強くなったのか?」

幼「…」

男「何も変わらないだろう?わかったか?」

幼「…じ、呪文を唱えれば…」

男「じゃあ、唱えてみろ!」

幼「…」

男「なんにでも、いくらでも付き合ってやるから!」

幼「…」

男「だから、全部終わったら、元のお前に戻ってくれ、幼!」

幼「…」

1ヶ月前
女a「ねー、幼ってさー」

幼「な、なに?」

女a「前髪鬱陶しくないの?」

女b「確かにかなり長いよねー。目隠れちゃてるもんね」

幼「む、昔から…こうだから」

女c「前髪切ってあげよっか?」

幼「い、いいよ!この長さが丁度良い長さだから…」

女a「えー。でも、幼、髪切ったら絶対可愛くなるってー」

幼「ほ、ほんとに、いいから…」

女b「いいじゃん。私、ハサミ持ってるよ」

女c「前髪だけでも切っちゃおうよ!」

幼「や、やめ…」

女a「ほら、髪の毛上げると可愛い…え?」

女b「え?何、この傷、気持ち悪っ!」

幼「…!」

女c「幼、何なのこの傷?目を閉じた、天津飯みたい」

女b「キャハハ!言い過ぎ!女b!」

幼「うぐっ…ぐすっ…」

女a「これを隠す為に前髪のばしてたの?」

幼「ぐすっ…」

女b「えっ?な、何かごめん…そりゃ髪ものばすよね」

女c「そんな傷があったらね…」

幼「…」
ダッ

女c「幼っ…行っちゃった…」

女a「あんたのせいだよ、女b!」

女b「何よ!最初に幼の髪の話しだしたのも」

女b「傷気持ち悪いって言ったのもアンタじゃん!」

女a「アンタがハサミ持ってるなんて言わなければ!」

女c「ふ、二人とも、やめなよ…」

女b「女c!あんたも同罪だよ!」

女c「何で私まで!あんたら2人が…」




友「…これは、男に報告だな…」




友「…って事が、5限目の休み時間に、あった」

男「で、幼は?」

友「飛び出して行って、帰ってこなかった」

友「たぶん、そのまま帰っちゃったんだと思う」

男「そうか、ありがとう、友」

友「取り敢えず、あのクソ女3人は許さんとして」

友「どうするんだ?男」

男「もちろん幼の家に突撃だ!」




男「幼!居るんだろ!開けろ!」
ガンガンガン

幼「う、うるさい!窓を叩かないで!」

男「昼の事、友から聞いたぞ」

幼「…バレちゃった。額の傷の事…」

男「その傷の事、気にするなとは言えないが」

男「あんなアホ達の言う事は無視しろ!」

幼「…私、強くなるから…」

男「え?何だって?」

幼「私!強くなるからっ!」

男「お、おう…」

幼「だから今日は帰って!」

男「帰ってって言ってもな」

男「幼の部屋の窓、俺の部屋の窓から、手届くからな?」

幼「揚げ足とらないで!」




友「…結局幼ちゃん、学校に来なくなっちゃったな」

男「部屋で何かしてるのは間違いないんだが…」

男「最近は俺の問いかけにも返事しないんだよ」

友「心配だな…」

男「…」

友「修学旅行には来られそうなのか?」

男「さっぱりわからん…」




男「おーい幼」

男「明日から、修学旅行だぞ?」

男「…幼が行かないなら、俺も行かないぞ?」

男「…なぁ、幼、いい加減出てきてくれよ…」

男「もう1ヶ月だぞ?」

男「おじさんもおばさんも心配してるぞ?」

男「…頼むから、返事してくれよ…」




男「幼ー。友のやつから修学旅行の土産貰ったぞー」

男「幼が大好きな、東京ばななだぞー」

男「鳩サブレーもあるぞー…」

男「…おーい…」

ピロリンロン

男「ん?携帯?」

男「お!幼からメールだ!」

男「『今すぐ我が結界(テリトリー)へ来るがよい、忠実なる下僕よ』?」

男「…とりあえず行くか…」




男「で、来てみればこの有様」

幼「…」

男「もう気が済んだか、幼?」

幼「わ、私、どうしていいかわからなくて…」

幼「強くなろうと思って、一生懸命考えて…」

幼「喋り方や考え方も、変えて…」

幼「呪術とかもネットで調べて…」

幼「それで…それで…」

男「…間違ってるってわかったか?」

男「こんな、落書きじゃ、何も変わらない」

幼「…うん」

男「なら、いつもの幼に戻ってくれよ」

幼「…」

男「ほら、東京ばななと鳩サブレー」

男「食べなよ、好物だろ?」

幼「クックック。我への供物か…さすが我が下僕」

男「…おい」

幼「ハッ!わ、我とした事が…」

男「おい、幼!」

幼「クッ…右腕の制御が…」

男「やめろってば、幼!」

幼「うぐっ…モグモグ…静まれ…静まるのだ…」

幼「右手に宿りし、モグモグ、あ、悪魔よ、モグモグ」

男「食べながら喋るのをまずやめろ!」

男「そんで、そのおかしな口調もやめろ!」

幼「人の時間で、1ヶ月も特訓したのだ…モグ」

幼「そう簡単には、パリポリ、やめられん、のだ…ポリポリ」

男「…なら、ショック療法しかないな!」

幼「…ショック療法?」

男「2人で行くぞ!」

幼「え、どこに?」

男「東京への修学旅行!」

幼「え?」




幼「ククク、見よ!男よ!」

男「見てるよ」

幼「この光景!我が支配するに相応しい街と言えるな!」

男「そうか、まだそのキャラを貫くつもりか」

幼「し、しかし、眼前に広がる荒廃した街並みを見ると、心が…」

男「荒廃してないだろ、幼。東京都民に申し訳ないよ」

幼「ふん。げ、下僕の分際で、我に意見するとはな!」

幼「制裁がひ、必要な様だ…な…」

男「はいはい。制裁ね。どんと来いよ」

幼「わ、我を虚仮にしているのか?」

幼「いくら貴様でもゆ、許さんぞ、男!」

男「で?どんな制裁が待ってるんだ?」

幼「ま、窓際まで行って、真下を覗いてこい!」

男「あー、はいはい。お安いご用ですよ」

幼「…」

男「あー、すげーな。街がおもちゃみたいに見えるぜ」

幼「…」

男「幼もこっちに来てみろよー」

幼「フフ。わ、我はこの第三の目、暗黒竜の魔眼で」

幼「この街の全てを既に観ておるのでな!」

幼「このような建造物から観る必要などないのだ!」

男「そうっすか。でもさー、幼」

男「せっかく東京タワーの特別展望まで来たのに」

男「見ておかないともったいないよ」

幼「…クックック。くだらん。こんな薄汚れた街になどに興味は無い!」

男「さっき、支配するに相応しいって言ってたじゃん」

幼「言ってない!」

男「ほらほらー窓際まで行こうぜ、幼」
ガシッ

幼「は、離せ!さもないと…」

男「どうなるんだ?」

幼「うぐっ…静まれ…我が右手よ…」

男「はいはい。右手静まったよね?」
グイグイ

幼「ぎゃーーーや、やめろ!男!やめるのだ!」

男「やめませーん」

幼「ぎゃーーーーゆ、許して!男!」

男「んじゃ、もうその変なキャラ作りやめるか?」

幼「やめる!もうやめるから!」

男「よしよし。それでいいんだよ、幼」

幼「ハァハァ…お、恐ろしい事を…」

男「ん?まだ喋り方がおかしいかな?」

幼「おかしくない!全然おかしくない!」
ヘタッ

男「大丈夫か?幼」

幼「た、高いところ、怖い!怖いよ、男!」

男「ほら、…幼」
ガシッ
ギュッ

幼「えっ?」

男「これで安心出来る…だろ?」

幼「…うん。とっても安心出来る、よ」

男「よし!それじゃ、2人きりの修学旅行はこれで終わりだな」

男「はぁ…荒療治だったけど、やって良かった」

男「やっと俺の幼が戻って来たような気がするよ…」

幼「…私も、やっと振り切れた気がするよ、男」

幼「ありがとうね」

男「何のこれしき」

幼「…ずっと傍に居てね?」

男「おう、まかせろ。俺は幼の…」

幼「…忠実な下僕だもんね?」

男「…そうか、そんなに窓際まで行きたいのかそうか」

幼「ぎゃーーーー。嘘!嘘です!」



東京タワーに来ていた客達(あそこのリア充、爆発しねーかな)


おわり

これで終わりです
読んでくれた人が居たら嬉しいです

次スレは
幼馴染「あん?何か文句でもあんのか?」男「別に」
ってタイトルでスレ立てると思います

では。

キモオタ系幼馴染なんて萌えないよな?


むちゃくちゃ真面目で頭も良いけどいつもズレてる幼馴染を頼む

みなさん、読んでくれてありがとうございます

>>41
>>43
それはフリですね?フリなんですね?

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