ちひろ「化け物どもめ」 (45)

ちひろさんが天使ではないので注意

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ちひろ「新しいエナドリはじめました」

シーン

ちひろ「新製品のエナジードリンクMAXの販売を始めましたよー」

ちひろ「……」

ちひろ「売れない」

ちひろ「シンデレラガールの周子ちゃんは、睡眠時間3時間のハードワーク」

ちひろ「他のアイドルも超過密スケジュールで、疲労困憊なはず」

ちひろ「疲れ果て、疲労回復のために、新サプリメントを買い求め」

ちひろ「手にしたギャラを使って、エナジードリンクMAXを買い漁る……」

ちひろ「ラベルには脂肪燃焼、疲労回復とサプリっぽいことを書いたのに」

ちひろ「バカ売れする予定だったのにぃぃいいいいいいいサプリメントが売れない」

ちひろ「おかしい。おかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしい」

ちひろ「見積もりが甘かった……?」

ちひろ「アイドルには、何か秘密があるのかもしれない」


ちひろはロッカーに隠れ、アイドルの観察をはじめた。

商売の基本、マーケティング。

ガチャ

最初に事務所を訪れたのは、塩見周子。

第4回シンデレラガール総選挙1位。“シンデレラガール”トップアイドルである。


周子「やっほー」

モバP「おはよう」

周子「狐のシューコちゃん、撮影で疲れたなー。プロデューサー、アレちょうだい」

モバP「今日も?」

周子「しっかりアイドルやって、恩返しするからさーお願い」

モバP「周子は仕方ないなー」

周子「少しだけ、チョーダイ」


ずるっ ずるっ

ちゅぱ ちゅぱっ


周子「んっあああー…搾り立てのリンゴジュース。精気が沁み渡るよー」

モバP「……」

周子「ハァ……撮影の後はぁ、アアアぁあ」

周子「おいひいぃ」

周子「……ちひろさんも、モバPさんのエナジー」

ちひろ(ヒッ)

周子「ほしいぃ?」

ちひろ(もしかしてバレた?)

モバP「ちひろさん居るの?」

周子「う~ん、あたしの気のせいみたい」

ちひろ(セーフ!セーフ!)

周子「………」

モバP「ちひろさんにバレると、大変だからな。よかった」

周子「それより、アイドルに見つかる方が大変だってば」

モバP「そうだなー、うちのアイドルなら『妖怪は退治するのでしてー』と言いかねないね……ハハハハハ」

周子「『神に逆らう愚者と化け物は、根絶根絶ゥゥウウ!エイメン』…って、言いそうやもんなー」

モバP「ハハハハ、ちがいない!」

周子「ところでさ、モバPさん」

モバP「ん?」

周子「私と契約しない?簡単な印を結ぶだけで、モバPさんは……」


ガチャッ!


凛「プロデューサー!」

モバP「おはよう」

ドアを開けたのは渋谷凛。第4回シンデレラガール総選挙において

“シンデレラガール”を返上するも、上位にランクインしており

アイドルの中のアイドルである。


モバP「そんなに慌ててどうした?まだ仕事の時間ではないよ」

凛「プロデューサーを取り込もうとする、卑しい女狐の臭いがしてさ、飛んで来た」

周子「あ?」

凛「古臭ーい神社の臭いがするから、ハッキリわかるんだよね。リフォームすれば?」

モバP「リフォームかー。実は、俺って日曜大工が苦手でさー」

凛「プロデューサーは黙ってて」

周子「よく聞こえなーい。人狼、ヴァラヴォルフの凛ちゃん」

周子「でも、怒りっぽいし、よく吠えるから負け犬が正しいかな?」

凛「は?」

周子「あたしは1位だけどさ……選挙は何位だっけ?あれ~?負け犬って言葉がピッタリ!」

凛「負け犬?」

周子「ほら、凛ちゃん、ワンワーンって吠えてごらん」

凛「はぁぁあ?」

周子「ワンワーン♪」ケラケラ

凛「その喉笛、食い千切ってあげるよ…ぐるるっ」

周子「お手もできるかなー」

モバP「ハイハイ喧嘩しない」

ガチャ

事務所に来たのは、相場夕美。第4回シンデレラガール総選挙の4位であり

CD発売が決定している将来有望なアイドルである。

CDデビューすら、ままならないアイドルとは、天と地ほどの差が存在する。


夕美「凛ちゃん、周子ちゃん」

夕美「その辺にしておこうよ。モバPさんも困ってるよ」

モバP「オロオロ」

凛「………」

周子「………ふぅ」

夕美「ね?」

周子「お仕事行ってきまーす。またね」

凛「振り付けの確認してくる」

モバP「いってらっしゃい」

モバP「いやーハハハ、夕美のおかげで助かったよ」

夕美「喧嘩になると大変だもんね」

モバP「あの2人の喧嘩の仲裁では、エナドリを大量に消費するからね」

夕美「ところでモバPさん、血を吸わせてもらっても…いいかな?」

モバP「ああ、いいよ」

夕美「動かないで、そのまま」

夕美「少しだけ、指がチクッとするけどごめんなさい」


がりっ

ちゅぱ

ちゅぱっ


夕美「んっあああー…おいひぃい」

モバP「噛みつくなよ?」

夕美「はぁ、レッスンの後は格別だね」

夕美「この香しく、芳醇な血の臭い……どう考えても、血液ぃぃいいい」

れろ れろ

ちゅぱ ちゅぱっ


夕美「この血を口に含んだけでぇぇぇえぇ…アドレナリンが放出されるぅぅ!!」

夕美「グレリンは減少して、レプチンがガバガバ出てくるガバガバガバ!ハッハハアアアアアア」

夕美「レプ、れぷぅうっぅぅLEPTIIIIIIIINNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNN!!!」

夕美「れ、れれれぷっぅちんんんんんんんんああああああああああああああああああああああ」

モバP「夕美、声が大きいぞ」

夕美「あ、ごめんなさい。ついつい興奮しちゃって。植物は太陽がないと生きていけないように」

夕美「Pさんは私にとっての太陽だから」

モバP「いいよ。夕美はやさしいなー」

夕美「へへっ。そうだ、モバPさんも吸血鬼にならない?私がしt」

モバP「ん?」

夕美「あー…何でもない」



モバP「夕美のやつ、突然帰っちゃったな。“葉っぱの裏に、隠れている虫が気になる”……とか呟いていたけど」

モバP「何のことだろう」

モバP「ガーニングの害虫駆除を思い出したのかなぁ」

ちひろは事務所に、自分以上の怪物が潜んでいたと感じた。


ちひろ(……)

ちひろ(バレてないはず)

ちひろ(とにかく、落ちつけ!落ちつけー素数を数えて落ちつけええええ!ちひろおおおおおお)

ちひろ(ハァハァ……1、2、3………4、5…ハァハァ)

モバP「おや?今日は早いね、奏」

奏「こんにちは」


ドアを開けることなく、事務所内に存在した速水奏。第4回シンデレラガール総選挙の順位は46位。

どこから事務所に入ったのか、鏡か窓か、元から存在していたのか。

それとも、もっと違う何かであろうか。

奏「突然だけどモバPさん、キスって10回、唱えてくれる?」

モバP「キスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキスキ」

奏「私のことは?」

モバP「スキ」

奏「とうとう告白してくれたのね、ふっふ」

モバP「はっ、謀られた!」

奏「モバPさん…こっちを向いて」

モバP「ん~」


ブチッ


モバP「痛っ」


ぱくっ


モバP「もう~キスするフリして、俺の顔面を齧るのはやめろ」

ムニュ ムニュ ムニュ

ぬろっ ぬろ ぬろ


奏「~♪」


プチュッ!


モバP「他の人に、同じことするなよ?エナドリの過剰摂取とプロデュース業による過労の果てに」

奏「ごくり」

モバP「自己治癒能力を身につけた俺だから、眼球ぐらい食べても良いけどさ」

奏「また生えるものね。ふふっ……はぁぁぁー…素敵」

モバP「まぁ、ちひろさんのエナドリのお陰かな?」

奏「生き物は環境に適応する…生命の神秘よね」

モバP「そうだなー。あ、口から血が漏れてるぞ」

奏「あら、ごめんなさい」

モバP「前から思っていたのだけど、眼球って美味しい?」

奏「モバPさんの眼球が一番、美味しいかな。プチトマトみたいね」

モバP「事務所のアイドルから摂るなよ?」

奏「はぁい♪」

ちひろ(周子ちゃん、凛ちゃん、夕美ちゃん以外にも怪物がいましたか)

ちひろ(奏ちゃん……そして、プロデューサーさん)


事務所に潜む化け物は2人……いや、もっといた。

『まだ化け物が居るのではないか?』と考えたちひろは、考えることをやめた。

――――翌日

まゆ「凛ちゃんって良い声ですよねぇ」

モバP「そうだなー歌も素晴らしいな」

まゆ「さっき、廊下で声を聞かせてもらったんですよ」

モバP「へぇー廊下で歌声を披露するなんて、珍しい」

まゆ「それはそれは、良い声で鳴きましたよ」

モバP「まゆ……まさか」

まゆ「ちょっとしか聴けませんでしたけど」


ガチャ


凛「うがあ゙あ゙あ゙あ゙!!!…やってくれたね、まゆ」

まゆ「大袈裟ですねぇ。ランカスター大聖堂の十字架を熔かして、作った包丁で突いただけですよぉ」

凛「良い根性してるね。背後から刺すなんてさ」

まゆ「凛ちゃんも回し蹴りで、まゆの肋骨をへし折ったじゃないですか」

モバP「お前らーハシャギすぎだぞ」

まゆ「ちひろさんのエナジードリンクMAXがなければ重症でしたよ?」


ガチャ

ずるっ… ずるっ…


奏「ざぁ……ぁぁ…ぐまぁ……」

モバP「おや?」

ずるっ… ずりゅ…


奏「まぁゆゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙」

モバP「おやまぁ、これは……」

まゆ「あら、もう回復したんですかぁ?首を切り落としたのに残念ですねぇ」

まゆ「エナジードリンクMAXの大量摂取でエナジーを飽和させて」

モバP「リッチマーン」

凛「お金持ちだね」

まゆ「ゴリ押しの勝負をしたのに、無駄遣いになってしまいましたねぇ」

モバP「こっちにおいで奏。顔と背中の包丁を抜いてあげるよ」

奏「お゙…願ガいずっるわ゙ぁあァァあ」


ずぼっ


モバP「よいしょ」

奏「ふぅ…やっと喋られるわ」


ずぼっ じゅっぽ ズボッ じゅっぽ

ずぼっ ずぼっ ズボッ ずぼっ


モバP「滅多刺しだね。刃物が9本も刺さっていた」

奏「ありがとう、モバPさん」

まゆ「御先祖様がマタギ(ハンター)だったので、血が騒いでしまいました(はぁと」

モバP「そっかー仕方ないな。宮城出身だから、まゆのハンターの血が騒いで喧嘩っ早いのはわかるけど……」

奏(マタギって宮城に居たかしら)

凛(嘘っぱちだね)

モバP「ほどほどにな。同じ事務所のアイドルなんだから、仲良くしよう」

まゆ(ライバルを減らし損ねました。命拾いしましたね)ニヤァ

凛(今度は、首の骨を折る)ギリッ

奏(処女なら塩漬け…それともステーキがベストかしら)ギロッ


まゆ「はぁい♪反省しました」

凛「あ?」

奏「絶対、反省していないわね……」

まゆ「そんな~反省してますよ?」

凛「まゆが引退したら、腸をぶちまけて捨て犬の餌にするよ」

奏「串刺しにして晒してあげる」

モバP「お前ら、本音が漏れているぞ!あと、凛と奏はチームワークいいね」

まゆがヴァンパイアハンターか…

ちなみにマタギは東北から北海道にかけて点在してたそうだが、宮城県にはないとか
それと今でも比較的有名なのは秋田(以上、wiki情報)

ちひろ「……」

ちひろ「事務所が化け物だらけで退職したいけど」

ちひろ「特定のアイドル達に、エナジードリンクMAXがバカ売れしてるから」

ちひろ「まぁ、いいか」

おわり

ありがとうございました。HTML依頼してきます

>>33
wikiによると宮城にマタギはいません
まゆさんは嘘つきですが、プロデューサー愛ゆえに嘘ついたので
セーフです

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