幼馴染「え?」
男「誰なんだ?」
幼馴染「・・・・・・」
男「って、訊いたりするのはngか」ハハ
幼馴染「すっ」トサッ
男「あ。カバン落ちたぞ」
幼馴染「好きなっ、人・・・、できたの?」
男「ん、ああ。はは・・・なんか、改めて口にすると面映いなー」テレ
幼馴染「だっ、だれっ!? 私も知ってる人!?」
男「え? あー、知らないんじゃないかな」
幼馴染「そっ」
幼馴染「・・・・・・・・・」
幼馴染「・・・・・・そう、なんだ」
男「たぶんなー。ほら幼、カバン」ヒョイ
男「で、幼の好きなやつは? どーいうんだ?」
幼馴染「―――え」ピク
男「俺の知ってるやつ?」
幼馴染「な、なんで・・・」
男「もしそうならさ、協力してやれるだろ」
幼馴染「協力・・・して、くれるんだ・・・」
男「おう。つっても、大した事はできないだろーけどさ」ニコ
幼馴染「・・・・・・やさしいんだね」
男「そんなことないって」
幼馴染「ううん。小さい頃からね、男はずっとそうだったもん」
幼馴染「私が困ってたり泣いてたりすると、いっつも助けに来てくれたもん」
男「それ、小さい頃の話だろ? いまは」
幼馴染「傍に居て欲しいとき、いつだって居てくれたもん」
男「たまたまだよ」
幼馴染「・・・・・・そんなことないもん」
男「大袈裟だなぁ」ハハ
男「それで、誰?」
男「俺も知ってる?」
幼馴染「・・・・・・・・・、うん」ポツリ
男「お! 誰なんだよ、言ってみ?」
幼馴染「いいよ」
男「え?」
幼馴染「男の迷惑に、なっちゃうから」
男「そんなことないって」
幼馴染「それに私、男になにも返せないし」
男「俺がしたくてするんだから、気にしなくていいんだってば」
幼馴染「それでもっ・・・いいよ、いらないよ・・・っ」
男「遠慮すんなって、俺と幼の――」
幼「もういいって言ってるじゃん!」
男「おっ」ビク
幼馴染「っ、ぅ・・・!」ポロポロ
男「おさな・・・? え、俺なんか不味いこと言った?」
男「あっ、俺、しつこくしすぎたか?」
男「もし気に障ったのなら謝るよ、だから」
幼馴染「~~っ!」ダッ
男「お、幼・・・!」
男「いま、泣いてた、よな?」
男「って、なんで疑問系だよ」
男「・・・幼」
男「・・・・・・・・・」
男「カバン、忘れてるぞ」
○ ○ ○
友「で、学校に着いたのが予鈴ギリギリ」
友「カバンを届けようにも、幼馴染さんのクラスが分からず右往左往」
友「不幸にも生指に見つかり御用、しかして遅刻ってワケか」※生指=生活指導係りの教員
男「一から十まで説明してくれてありがとよ」
友「へっ、お安い御用よ」ニヤニヤ
男「出来れば、そのニタ笑いの理由も説明してくれ。主に俺に対して」
友「お前さ、今日から三日間トイレ掃除やるハメになったろ?」ニンマリ
男「・・・そうか」
男「今週前半のトイレ掃除担当、お前だな?」
男「俺のペナルティー分、丸々お前とバッティングしてたってワケだ?」
友「一から十まで説明してくれてありがとよっ!」
男「へい、お安い御用」
男「なんて言うと思ったかァー!」
友「どうどう」
友「まあ、日頃の行いの差がモノを言ったな」ドヤッ
男「お前の厚顔無恥さには恐れ入るよ」
友「それで、結局返せたのか? カバン」
男「いや、まだ持ってるよ。ロッカーに入れてあるだろ」
友「お、可愛らしいキーホルダー」
男「ジロジロ見るな」
友「見るくらいはいいだろ」
男「お前が相手だとなんか嫌だ、ムカつく」
友「理不尽すぎる!」
友「ま、早く返してやれよ。俺らと違って女の子だし、色々入ってるだろ」
友「ついでにサクッと謝ってくるんだな」
男「謝るって・・・」
男「何にどう、謝ればいいのかな」
友「お前の話を聞く限りだと、突っ込みすぎた、くらいしか考えつかねーけどな」
友「それ以外に、身に覚えはないのか?」
男「身に覚えも何も、さっきもちょっと言ったろ?」
男「幼と仲が、・・・・・・良かったのは中学3年生までで、それからは疎遠、って言い方はシックリこないけど」
男「とにかく距離を取って、普通の友人、いやそれ以下だな」
男「二人きりで会うことなんて滅多に無くなって、たまに街でバッタリ会ったら少し話すくらい・・・」
男「今の俺は、幼がどのクラスかって事すら知らないんだぞ」
友「なんかあったのか」
男「なにが?」
友「その、中学3年生のときにだよ。ふつう、そう思うだろ」
男「なにもなかったよ」
友「それで、そんな風に離れてくもんかね?」
男「そういうもんじゃないのか?」
男「そりゃあ、もっと小さい頃は、周りのやつに『そういう風』に見られてたよ」
男「からかわれる事なんてしょっちゅうだったし、実際、何するにも二人一緒だった気がする」
男「でもさ、そうでなくてもさ」
男「家が近所で、親同士が知り合いって条件の子がいて、その女の子と『たまたま』仲良くしてた男子がいて」
男「そんな二人が、大きくなってからもずっと一緒にいる、なんて・・・」
男「ふつう、ないだろ?」
友「ss深夜vipなら、よくある」
男「え?」
友「なんでもない」オホン
友「二次性徴を迎えて、お互いのパーソナルスペースやコミュニティに対する価値観が変化するってのは分かるよ」
友「客観的な一般論はいいだろ」
友「お前の主観を訊いたつもりなんだけど?」
男「・・・・・・、ないよ。だから困ってるんだろ」
友「そうか。ま、とにかくお前が悪いのは間違いない、謝り倒して許してもらうんだな」
友「女を泣かせる男は、最低のクズだ。キン○マ取っちまったほうが良い」
男「ほぼ全面的に肯定するが」
男「お前に言われているという一点のみ、納得いかない」
友「ところで、お前の好きな子って?」
男「は?」
友「いるんだろ?」
男「・・・・・・」
友「なんだよ、言いたくないか?」
友「それとも、言えないのか・・・」
友「・・・お前さぁ、幼馴染さんのこと嫌いなの?」
男「は、はぁ?そんなわけ――」
友「じゃ、好きなのか」
男「そんな二元論なら、好きって答えるしかないだろ。でも、俺は・・・」
友「まあ、いいさ」
友「親しき仲にも礼儀あり。お前のプライベートは尊重するぜ」
友「お前のことだ。何かあったら、そっちから言ってくるだろうしな」
男「・・・ああ」
友「しっかし、他人の好いた腫れたってのはややこしいモンだね」
友「その点、俺は妹以外は異性として見てないから問題ない!」
男「問題だらけだろ」
男「前々から言ってるけど、お前ソレ、本気なのか」
友「マジというかガチだが?」
男「中学1年だっけ?」
友「うん」
男「・・・血、繋がってるんだよな」
友「うん」
男「・・・・・・妹も、お前のこと好きなんだっけ」
友「うん」
友「相思相愛なんだぜ。あ、妹が16になったら結婚するつもり」
男「日本じゃ、近親婚は認められてないんだぞ?」
友「婚姻届が受理されないだけだ。事実婚は黙認されてる」
友「それに」キッ
友「法律なら、俺が変えてやる」
男「お前ってやつは・・・」
男「ほんっと、恐れ入るよ」
○ ○ ○
男「1限目終わってすぐ飛び出したはいいけど・・・」スタスタ
男「結局、幼のクラスは分からないまま」
男「休み時間、10分しかないし。いっそ、片っ端から声をかけて回るか?」
男「って、ダメだろ。幼に対して無神経すぎる、そんなだから泣かせるんだ」ゴツ
男「よし、職員室に届けよう。それが間違いな――」
ガラガラ
幼馴染「・・・・・・」
保健教諭「もう少し休んでいってもいいのよ?」
保健教諭「顔色、まだよくないわ」
幼馴染「もう、だいじょうぶです」
保健教諭「あんまり、保健室にいさせるのもよくないんだけどね」
保健教諭「けど、幼ちゃん。教室に戻って授業を受けるにしても・・・」
保健教諭「その赤くなった目は、何とかしたほうがいいと思うわよ」
幼馴染「・・・っ」ゴシ
男「幼!」
幼馴染「!」ビクッ
男「助かったよ」
幼馴染「ぁ・・・おと、こ?」
男「カバン落としたろ、届けようと思ってさ、俺・・・! でも、幼のクラスわかんなくって・・・あ」チラ
保健教諭「幼ちゃんのクラスの保健委員かしら?」ニッコリ
男「いえ、違います。俺・・・って、え? ここ、保健室?」
男「幼、具合悪いのか?」クルリ
幼馴染「え・・・ぁっ、う、ううん」フルフル
幼馴染「あの、ね、いつもは朝ご飯、食べるんだけどね」
幼馴染「今日その・・・抜いちゃって、そしたら少しフラってしただけだよ」
男「・・・目、赤くないか?」
幼馴染「っ・・・!」サッ
幼馴染「そっ、それじゃ先生、ありがとうございました・・・っ」ペコリ
保健教諭「ええ。また調子が悪くなったら、我慢しないですぐに来なさい」
保健教諭「それから」
保健教諭「いまはあなたも色々大変でしょうけど、あまり溜め込みすぎないようにね」
幼馴染「・・・はい」
男「?」
男「あ、幼、待ってくれ!」
幼「な、なにかな・・・」
男「幼のカバンだよ、はい」
幼馴染「そ、そっか。落としちゃってたんだ、気づかなかったよ」
幼馴染「あは、あはは・・・」
男「・・・・・・」ジー
幼馴染「!っ・・・、あ、ありがとね、男」
幼馴染「じゃあ、私、つぎ移動教室だから・・・」
男「待って!」
幼馴染「!」
男「幼さ・・・今朝、泣いてたよな、最後」
幼馴染「あれはっ」
男「ごめん!」
幼馴染「ぇ、・・・?」
男「俺、姉さんにもよく言われるんだけど、気の遣えないところあるから」
男「きっとそれで、幼にイヤな思いさせちゃったんだよな」
男「俺が無神経なせいで幼を傷つけちゃったこと、本当にごめん!」バッ
幼馴染「・・・あのね」
男「?」
幼馴染「私、今日ちょっと・・・あの、調子の良くない日で・・・、そのせいなんだ」
幼馴染「だから男が謝ってくれること、ないよ」
幼馴染「私の方こそ、男にあんな態度取っちゃって・・・ごめんね?」
男「いや、あれは」
dqn1「ってわけでェー、ちョーまじやべえんスよ!!」ドカドカ
dqn2「マジカヨー! マジアリエネー! マジウラヤマー!」ドカドカ
dqn3「おれらのwww存在のほうがwwwやべえしwwwありえねっつーのwww」ドン!
幼馴染「きゃっ!」
男「っと?!」ダキッ
幼馴染「!」
dqn×3「「「ギャハハwww」」」
男「おい、おまえら! 女の子突き飛ばしといて、一言も無しかよ?」
dqn×3「「「あァン?」」」ジロリ
幼馴染「ぉ、おとこ!」クイクイ
幼馴染「私ならへいき、だから・・・ね?」
男「・・・」ムス
dqn1「うへ、女の言いなりかよ、なさけねー!」
dqn2「キン○マ、ツイテネーノカヨ! イコーゼイコーゼ!」
dqn3「リア充がwwwマジ爆発しろやwww」
男「・・・・・・、幼」
幼馴染「・・・」ポー
男「おさな?」
幼馴染「っ、ひゃい!?」
男「痛いところない?」
幼馴染「ぅ、うん・・・でも、その」モゾ
男「! ごめん!」バッ
幼馴染「ぁ――」
男「つい、反射的に・・・って、幼?」
幼馴染「ぅ・・・、っ」ポロッ
男「ほ、本当にごめん! 俺が、軽はずみなことしたから!」
幼馴染「ううん、ちがうの! 男は悪くない、私、私が・・・」
幼馴染「ホント、こんなの何でもないの、ないんだよっ?」
幼馴染「なんでも・・・っ、なのに・・・どうして、涙が出ちゃうの?」ポロポロ
幼馴染「男、困っちゃうよね、迷惑だよね。すぐに泣き止むから・・・っ」
幼馴染「ごめん・・・っ、ごめんね、おとこ・・・!」
男「おさな・・・」
○ ○ ○
男「放っとけないだろ」
友「だからって昼飯を一緒することになったのは、どういう理屈だ」
男「何がスイッチなのか分からないんだよ」
男「何かしてくれってんじゃない、見ててくれればいいんだ」
男「俺じゃダメでも、他人が見たら分かることだってあるかも」
友「・・・もういっそ、俺が聞いてやろうか。『何かあったの?』ってさ」
男「やめてくれ」
男「俺が、なんとかする」
友「随分入れ込むな、そこまでの義理があるのか?」
男「俺の幼馴染だ」
友「クラスも知らない、な」
男「c組だよ」
友「は?」
男「さっき教えてもらった」
友「そういうことじゃなくてな・・・」
男「あ、幼ー!」
幼馴染「おとこ・・・」
男「ごめん、待たせちゃったか?」
幼馴染「ううん、私もいま来たところだよ」
男「先に食べてて良かったのに」
幼馴染「そんなことできないよ」
男「ん、幼はお弁当か。もしかして、幼姉の?」
幼馴染「うん」
男「そっか。・・・そういえば、幼の弁当はいっつも『おさねぇ』のだったよな」
幼馴染「覚えてるの?」
男「おさねぇの料理、すごい美味しかったからな」
幼馴染「ふふ。よかったら。少し食べる?」
男「いいのか?」
幼馴染「うん。お姉ちゃん、いっぱい食べる人だから、たくさん作るんだけどね」
幼馴染「残したら勿体ないって言って、私のお弁当もいっぱいにしちゃうの」
男「はは。変わってないな、おさねぇは」
友「・・・・・・・・・オイ」ボソ
男・幼馴染「「へ?」」
友「いつまでヤッてんだ」
男「わっ、わりぃ!」
友「俺のこと忘れてたろ、なあ?」ジトー
男「そんなわけないだろっ?」アセ
男「幼、紹介する。俺の友達の、友だ」
幼馴染「は、はじめまして」ペコ
友「ドーモ」
男「休み時間にも話したとおり、こいつも一緒でいいかな?」
幼馴染「もちろんだよ」ニコ
幼馴染「席、空いてるところあるかな?」
友「おーい、ここでいいだろー」
幼馴染「わ、もう見つけたんだ!」
男「ああ見えて、役に立つところあるんだ」
幼馴染「もお、そんな言い方ひどいよ?」
友「なにしてんだ、早く座れよ」ガタタッ
友「ランチ組で埋まっちまう前に、席だけは取っておくのが常識だぞ」
男「ああ。って俺、自分の分買ってないや」
幼馴染「あっ、私買ってくるよっ?」
男「へ、なんで? 幼は弁当だろ?」
幼馴染「う、うん・・・」
男「すぐに戻るから、友と先に食べててよ」
幼馴染「でも・・・」
友「男」
男「ん?」
友「とっとと行け」
男「お、おう」タッ
友「・・・・・・」
幼馴染「っ」
友「・・・・・・」
幼馴染「・・・・・・」
友「座らないの?」
幼馴染「あっ・・・!? う、うん」ガタ・・・
友「俺の隣に座るの?」
幼馴染「えっ?」
友「向かいの、男の席の隣でなくていいの?」
幼馴染「い、いいよ。ここで・・・」
友「ふーん」
幼馴染「だっ、ダメかな?」
友「幼馴染さんがいいなら、いいんでない?」
幼馴染「・・・うん」ガタッ
男「あれ、まだ食べてなかったのか?」
友「ん、早かったな」
男「俺はパン食だからな」
友「んじゃ、いただきます」
幼馴染「・・・いただきます」
男「ぁんぐっ」パク
友「!!」ガツガツ
幼馴染「・・・」モグ
幼馴染「・・・。男、はい」
男「え?」
幼馴染「好きなの食べて?」
男「でも幼、まだ一口しか手付けてないだろ?」
幼馴染「おなかいっぱいだから」
男「え、朝も食べてないのに・・・?」
幼馴染「ぅ、飲み物、飲みすぎちゃったからかも・・・えへへ」アセ
男「まあ、食べていいなら貰うけど」スッ
幼馴染「あ、おはしっ! これしかないんだけど・・・つ、使う?」
男「お。ありがとう」パク
幼馴染「・・・・・・///」ジー
男「ん、旨いっ! てか、ハハ・・・なんか懐かしいや、この味」
男「そうだよ、これ、おさねぇの味だよ・・・ははっ」モグモグ
幼馴染「ふふっ」ニコニコ
友「・・・・・・」ムシャムシャ
男「おさねぇ、料理上手くなったなぁ。これが毎日食べれるなんて、幼が羨ましいよ」
幼馴染「そうかな?」
男「・・・頼んだら、一回くらい俺にも弁当作ってくれないかな?」
幼馴染「!」
幼馴染「わたしっ」ガタッ
男「え?」
幼馴染「あの、私もねっ、お料理、勉強してるんだよ?」
幼馴染「その・・・、お姉ちゃんと比べたらまだまだかもだけど」ボソ
男「へぇ、そうなんだ?」ニコ
幼馴染「っ///」コクコク
友「・・・・・・」ゴックン
友「ゴチソーサマ」
男・幼馴染「「!」」
男「はっ、早いな!?」
友「俺が早いんじゃなくて、お前らが遅いんだっつの」
\ワイワイゾロゾロ/
友「って、いよいよ混んできたな」
後輩「男先輩!友先輩!」
友「よう」
男「後輩ちゃん・・・」モグッ
男「珍しいな、学食でランチ?」
後輩「はい。その、お母さんが寝坊しちゃって・・・あはは」
友「へぇ。a定食か、よく買えたな」
後輩「学食って、数えるくらいしか来たことなくって・・・」
後輩「人も多いし、よく分からないから、友達に一緒に頼んだんです」
友「a定食は、この学食で一番人気のランチメニューだ」
後輩「そうなんですか?」
男「俺は一回しか食べたことないな」
後輩「・・・・男先輩、ちょっと食べます・・・?」
男「はは、今日はいいや。もうおなかいっぱい、ほら」ポンポン
後輩「あれ・・・先輩、お弁当なんて初めてじゃないですか?」
男「あ、コレか? 俺が作ったんじゃないよ」
後輩「それ、誰が――」
友「後輩」
後輩「はい?」
友「何か用があるんじゃないの?」
後輩「あ~、・・・ぇと」チラ
男「?」
後輩「じつは、友達に買い物を頼んで、あたしは席を探す予定だったんですけど・・・」
友「ウロウロしてるうちに立ちんぼか」
後輩「ぅ、そのぉ・・・、はい」コクリ
後輩「それで、その」
後輩「男先輩の隣って、空いてますか?」
幼馴染「・・・・・・!」ギュッ
男「ああ、空いてるぞ」
後輩「じゃあ・・・、あたし座ってもいいですか?」
男「そりゃ空いてるんだから、誰が使ってもいいに決まってるだろ?」ハハ
後輩「! やったぁ!」パァ
幼馴染「っ」
男「でも、友達はいいのか? 席探してるんだろ?」
友「なら俺が退くぞ。もう食い終わったし」
後輩「ありがとうございます、友先輩!」
友「んむ」ガタッ
幼馴染「あ、」
幼馴染「あのっ!」ガタタ
男・友・後輩「「「?」」」
幼馴染「えっと・・・友達と食べるなら、あの、なっ、並んで食べた方がいいよ!?」
幼馴染「友くん戻るんだよねっ? じゃ、じゃあっ、私が男の隣に行く!」タタタ
幼馴染「こうすれば、ほらっ、お友達と二人で座って食べられるもん、ねっ?」ガタ
後輩「え、・・・え?」
男「幼?」
幼馴染「え、えへへ・・・、~~っ!///」
友「・・・・・・・・・」ジトー
後輩「あの・・・」
友「とりあえず、席は2つ空いただろ?」
後輩「で、でもっ」
友「とりあえず友達呼んでこいよ。早くしないと、食べる時間が少なくなるぞ」
後輩「・・・・・・、そうですね」カチャ
幼馴染「っ」ビクュ
友「じゃ、俺は先に戻ってるぞ」
友「それから、男」
男「なんだ?」
友「放課後、時間いいか」
ビクュ←ワロタwww
ビクッとかじゃないのかwww
>>84
全くその通りの間違いです
読んで下さってる方がいれば、脳内保管お願いします
と言いたいのですが、僕自身、なんか締りが悪い気がするので
改めて投稿し直させて下さい
幼馴染「っ」ビクッ
友「じゃ、俺は先に戻ってるぞ」
友「それから、男」
男「なんだ?」
友「放課後、時間いいか」
○ ○ ○
友「昼間の幼馴染さんだけど」
友「お前から見て、どこか変に感じなかったか?」
男「変にって、どこかおかしかったか?」
友「ってことは、特におかしいとは感じなかったわけだ。お前は」
男「そうだな」
男「急に泣き出したりすることもなかったし・・・」
男「そういえば、結局その辺の話はできなかったな」
友「それなら、見当は付いた」
男「ホントかよ!?」
友「ああ。けど、腑に落ちない点もチラホラある」
男「どういうことだよ?」
友「幼馴染さん、好きな人ができたんだって?」
男「あ?・・・ああ」
友「それって『いつ』だ?」
男「訊いてないし・・・・・・、知るわけないだろ」
友「好きな人って」チラ
友「お前のことだぞ」
男「・・・・・・いや。そんなわけねえよ」
友「お前は、そこら辺の漫画やアニメに転がってるニブチン共と同じなのか?」
友「幼馴染さんの態度や言動に、本当に、何も思うところはなかったか?」
男「そんなの、だって、俺たちは幼馴染で――」
友「ちょっと前まで、自分のクラスも知らないくらい縁の離れてた男をだ」
友「ずっと見てたんだ。食事の間・・・いや、お前と一緒にいる間は、お前以外目に入っちゃいなかったよ」
友「朝に、パーソナルスペースがどーのこーのって言ったけどな」
友「彼女に取っちゃ、お前はそこに初めっから含まれてるってカンジだったぜ」
友「な。これってどういうことよ?」
男「・・・・・・俺に、わかるかよ」
友「じゃあ、誰になら分かるんだ? 俺は、お前以外の誰に聞いてくりゃ良いんだ?」
男「ッ、俺は!」
男「だって、俺・・・・・・」
男「幼のこと、嫌いなわけない。でも幼は・・・」
友「・・・・・・」
男「・・・俺は、幼に・・・」
男「拒絶されたんだ」
○ ○ ○
3年前
男『おっ、幼ぁー!』
幼馴染『男・・・』
男『ごめん、すこしっ、お、遅れちゃった・・・っ』ゼェゼェ
幼馴染『もう、そんなに走ってこなくてもいいのに』
男『俺が自分で時間、決めておいてさ・・・っ、幼に、悪いじゃんか・・・』ハァハァ
幼馴染『ふふ。汗、すごいよ? いま、拭いて――』
幼馴染『っ! ぁ、ハ・・・ハンカチ・・・、忘れちゃったんだ。えへへ、ごめんね』
男『? ああ、いいよ』
男『電車に乗ってちょっと移動するんだけど、大丈夫?』
幼馴染『うん。・・・どこに行くの?』
男『着いてからのお楽しみ』
男『それと、その』
幼馴染『ん?』
男『順番逆になっちゃったかもだけど・・・、そのワンピース、すごい似合ってる・・・』
男『幼、すごく可愛いよ』
幼馴染『! あっ、あり・・・!』パァ
幼馴染『っ・・・、ありがとう・・・』
男『うん』ニコ
◇
ガタンゴトン、ガタンゴトン
幼馴染『ねぇ、どこまで行くの?』
幼馴染『切符、男が買ってくれたから、全然分からないよ』
男『もうすぐかな』
幼馴染『・・・・・・うん』
男『そういえばさ』
幼馴染『?』
男『会うの、夏祭りの時以来だよね?』
幼馴染『うん。・・・そうだね』
男『出店、いっぱい回ったよな』
幼馴染『うん』
男『景品、幼が欲しかったの取って上げれなくてごめんな』
幼馴染『・・・ううん』
男『花火、すごかったな』
幼馴染『・・・・・・うん』
男『楽しかったよな』
幼馴染『・・・・・・っ、』
男『幼?』
男『寝ちゃったのか?』
幼馴染『・・・・・・』
◇
プシューーーバタン
幼馴染『ここって』
男『ビックリした?』
男『途中で気付くかなって思ったんだけどな・・・、幼が寝てたみたいで良かった』
幼馴染『海・・・? 私、水着持ってきてないよ?』
男『俺も持ってきてないよ』
男『いいんだ。そりゃ、泳いでる人もたくさんいるけどさ』
男『泳ぎには、また来ればいいよ』
男『少し、歩かない?』
幼馴染『・・・・・・』コク
◇
男『もうすぐ夏休みも終わりだな』
幼馴染『そうだね』
男『この休み、遊んじゃったからな。学期が明けたら、受験漬けだ』
幼馴染『・・・・・・男はもう、どの高校に進むか決めたの?』
男『強制的にね』
男『たぶん、姉さんと同じとこ』
幼馴染『だ、大丈夫なの?』
男『すげー不安。けど、姉さんはどうしても自分が卒業した学校に俺を入れたいみたい』
男『いまから勉強一辺倒するにしても、多分・・・いや、きっとギリギリだと思う』
男『でもまあ、優秀な家庭教師がいるからな! 超スパルタだけど!』
男『幼は? どこに進学するの?』
幼馴染『私は・・・・・・。まだ、決めてないかな・・・』
男『俺と違って、幼なら選択肢たっくさんだもんな』
男『・・・でも、そっか』
男『ってことは、高校になったら、俺たち離れちゃうかもしれないんだな』
幼馴染『・・・・・・』
男『・・・ずっと』
幼馴染『?』
男『ずっと、一緒だった気がするよ』
男『幼と、小さい頃からずっと・・・』
男『でも、そうなんだよな』
男『俺たち、それぞれ自分の道があってさ、その内きっとやりたい事とか見つかって』
男『たぶん、そうやって離れていくことが普通なんだよな』
幼馴染『・・・・・・、うん』
男『・・・・・・。でも、俺は、』
男『そんなの、イヤだ』
幼馴染『え』
男『幼!』クルッ
幼馴染『・・・・・・!』
(ッ・・・、ほら今だ、行け、言えよッ)
(「海の近くを並んで歩きながら告白」だなんて・・・ベタベタもいいとこだけど・・・!)
(それくらいの後押しでもなきゃ、今更、好きだなんて言えないだろ!?)
(だから、今こそ言え!あるんだかないんだかハッキリしない、勇気ってのを振り絞れ!!)
(言うんだ、幼が好きだって!これで言えなきゃ、タダの間抜けだぞ!!)
男『俺は幼のことが――』
幼馴染『・・・・・・やだ』
男『え・・・?』
幼馴染『ち、ちがうよ』ポロッ
幼馴染『・・・だって、私は男のこと、・・・っ』
幼馴染『私は!男のことは、ずっと、とっ、ぅ、友達・・・だって』
幼馴染『っ!・・・だから、そんな風に・・・』ポロポロ
幼馴染『そんなっ、目で・・・、私を見ないで・・・っ、おねがい・・・』
男『・・・・・・っ』
男『・・・そっ、か』
男『わかった』
幼馴染『っ・・・! ご、ごめ・・・なさ・・・っ』フルフル
幼馴染『っ、く・・・、ごめん、なさい、ごめんなさい・・・っ』ポロポロ
男『いいよ』
男『・・・・・・なんでもないから』
男『なんにも、なかったから』
男『ごめんな、幼』
○ ○ ○
男「それからだ」
男「幼がどうだったかは分からない。俺だけが一人で、気まずい思いをしてたのかも」
男「幼との距離感が計れなくなって、だんだん避けるようになっていって」
男「そのうち話すことも・・・」
男「だから、入学式で幼を見た時は二重にビックリした」
男「声をかける勇気は、さすがになかったけどな・・・」
友「おいおい。お前、今朝は何もなかったって言ってたろーが」
男「だから『なんにもなかった』んだよ」
友「なんだよ、そりゃ」
男「そういうことなんだよ」
友「わからんなぁー」
友「一つハッキリしたのは、お前が根性無しだってことだ」
男「・・・そんなの。あれ以上、何をどうしろってんだよ」
友「さァなー?」
友「って、もう16時か!? ったく、お前の話は長いんだよ!」
友「悪いけど男、今日はこれから、外せない用事があるんだわ」
男「そうか」
友「ああ、そうだ。お前、明日の朝ウチ寄れよ」
友「いいモン見せてやるから!」ニッ
男「はは・・・、期待しないどくわ」
友「んじゃ、お先なー」スタスタ
男「友!」
友「ん?」
男「・・・ありがとう、・・・ってのもおかしいか」
男「幼との事、誰かに話すの初めてだったけど・・・思ったより、スッキリするもんだな」
友「・・・そーか」
友「スッキリしたのはいいけどな、そこで終わらせんじゃねーぞ?」
男「ああ」
友「あー、それと」
友「もしかしたらだけど、お前分かってないかもしれないし」
友「誰かに話したの、初めてなんだろ?」
友「俺がハッキリ言っといてやるわ」ガラガラ
友「お前、それな」
友「フラれたんだぞ」ピシャン
男「・・・・・・」
男「・・・・・・わかってるよ、そんなの」
○ ○ ○
男「掃除用具は・・・。ん、これで全部だな」バタン
男「ふーっ、思ったより時間かかっちまったな」
男「姉さん、もう帰ってるかな?」
男「今更だけど、メール入れておこうかな」
男「・・・・・・後が怖いし」
男「えぇと、今から帰ります、っと・・・あれ?」チキチキ
幼馴染「あっ・・・!」
男「・・・・・・幼」
男「・・・忘れ物?」
幼馴染「・・・」フルフル
男「じゃあ、えっと。あ、誰か」キョロキョロ
男「待ってたり?」
幼馴染「おとこ」
男「え」
幼馴染「男を待ってたの」
幼馴染「あの、ね・・・。一緒に、帰らない?」
幼馴染「あ!その・・・予定とかっ、なかったらだけど・・・っ」
男「・・・・・・」
男「もしかして、下駄箱でずっと待ってたの?」
幼馴染「うん」コク
幼馴染「えっと・・・どうかな。い、一緒に・・・」
男「幼」
幼馴染「はい」
男「一緒に帰ろう」
幼馴染「! うんっ」
○ ○ ○
幼馴染「・・・」テクテク
男「・・・」スタスタ
幼馴染「・・・」
男「えっと・・・けっこう、待ったよね?」
幼馴染「ううん。私も、職員室に用事があったから・・・」
男「そっか・・・」
幼馴染「うん・・・」
男「・・・」スタスタ
幼馴染「・・・」テクテク
男「はじめて、だよな?」
幼馴染「え?」
男「高校に入ってから、こうやって並んで帰るの」
幼馴染「うん。・・・そうだね」
男「・・・・・・」スタスタ
幼馴染「・・・・・・」テクテク
男「幼は、その・・・」
男「三年間、どうだった?」
男「って、ごめん。なに訊いてんだろうな、俺」
幼馴染「・・・・・・ふつう、だったよ。きっと」
幼馴染「友達と一緒にショッピングに行ったり、ケーキ食べたり、テスト勉強一緒にやったり」
幼馴染「1年生の文化祭の劇では、メイド服を着て」
幼馴染「友達は可愛いって言ってくれたけど、私はすっごく恥ずかしかった」
幼馴染「2年生の体育祭は、クラスの女子みんなでチアをやったよ」
幼馴染「なかなか曲が決まらなくて、一週間しか練習できなかったな」
幼馴染「修学旅行は北海道だったよね」
幼馴染「行く前は、あそこも行きたい、ここも行きたいって盛り上がったけど・・・」
幼馴染「なんだかよく覚えてないの。私、空はしゃぎしてばかりだった気がする」
男「・・・そっか」
幼馴染「・・・・・・男は?」
男「俺も、似たようなもんだよ」
男「友達と馬鹿な話して、アホなことやってさ」
男「カラオケで喉が枯れるまで歌ったり、ゲーセンのufoキャッチャーに何時間も噛り付いたり」
男「自分でお金を稼ぐ感覚が知りたかったから、アルバイトもしてみた」
幼馴染「アルバイト?」
男「年末年始の郵便局の臨時雇いと、コンビニくらいだけどね」
男「・・・・・・たぶん、ふつうだよ」
幼馴染「・・・うん」
男「・・・」スタスタ
幼馴染「・・・」テクテク
男「あのさ」
幼馴染「?」
男「俺、変わったかな?」
幼馴染「男は・・・。ううん、変わってない。昔のままだよ」
男「なら・・・さ」
男「子供の頃みたいに、なんでも相談してくれないかな?」
幼馴染「え・・・」
男「今日、幼から話かけてくれてすごく嬉しかった」
男「だから幼が何かに悩んで、苦しんでるのに気付いても、しつこく訊かなかった」
男「もしかしたら、また昔みたいに話せるようになるかもって、勝手に期待してさ」
男「余計なこと言って、また距離が離れたら、今度こそ『他人』になっちゃうんじゃないかって」
幼馴染「私はそんな!」
男「でも、違うよなって」
男「幼が泣くことの方が。俺の知らないところで泣いたままでいることの方が、よっぽどイヤだ」
男「俺の我侭だけど・・・」
男「幼には、笑っていてほしいんだ」
幼馴染「男・・・」
幼馴染「っ、私!」
幼馴染「私、ねっ・・・――!」
?「やっぱり男!・・・と、え。幼?」
幼馴染「・・・っ」
男「おさねぇ!」
幼姉「男の声が聞こえたから、もしかしたらと思って家から出てきてみれば・・・」
幼馴染「うそ・・・もう、着いちゃったの・・・?」ボソ
幼姉「久しぶりね、男」
男「おっ、お久しぶり・・・です」
幼姉「なんで敬語なのよ?」ムッ
男「き、緊張しちゃったかな、はは・・・」
(子供の頃、散々振り回されたトラウマのせいとは言えない)
男「今日は仕事休みなの?」
幼姉「いろいろあってね。お昼には退勤したの」
男「へぇ、そうなんだ。・・・幼?」
幼馴染「・・・私、着替えてくるね」タタタ
男「あ、うん」
幼姉「・・・・・・」
幼姉「ねえ、男」
男「なに?」
幼姉「今日は、どうして一緒に?」
男「どうしてって・・・。幼が帰りに待ってて、一緒に帰ろうって」
幼姉「じゃあ、その・・・幼から、聞いたの?」
男「なにを?」
幼姉「聞いてないみたいね」
幼姉「もしかしてタイミング的に、あたししくった・・・?」ボソ
男「おさねぇ、もしかして知ってるの?」
幼姉「へっ?」
男「幼、何か思いつめてるみたいでさ・・・」
幼姉「え、え? ぅーん・・・知ってるっていうかー、その・・・」
幼姉「あはは・・・まあ、立ち話もなんだし、ちょっと上がってく?」
男「じゃあ、」
幼馴染「だめっ!!」
男「ぅわ!?」ビク
幼馴染「!・・・あ、違くて! その、散らかってるから、ねっ・・・!?」
男「そんなの気にしないのに」
幼馴染「だめだよ! あの、しっ、下着とかあるし!」
男「そ、そっか・・・///」
幼姉「幼あんた――」
幼馴染「お姉ちゃんは家に入ってて!」
幼姉「・・・」
幼姉「わかったわよ」
幼姉「じゃあね、男。ちょっとだけど、会えて嬉しかったわよ」
男「なんだか、もう会えないような言い方するんだね」
男「あ、そうだ」
男「おさねぇのお弁当、食べさせて貰ったよ。幼に分けてもらってさ」
男「ご馳走様、すごく美味しかった。あれなら、毎日でも食べたいな」
幼姉「ふふっ。お世辞でも、男に言われると嬉しいわ」
幼姉「お肉だけじゃなくて、野菜もちゃんと食べたんでしょうね?」
幼姉「でも、そうね。なら、幼が男に作ってあげたらどう?」
幼馴染「わ、私!?」
幼姉「ええ。この子、少し前からあたしがお料理を教えてるんだけどね」
幼姉「食べてくれる人が居た方が、どれくらい上達したかハッキリ分かるでしょ?」
幼馴染「やめて!」
幼馴染「男に・・・? 無理だよ、私には」
幼馴染「そんな機会、無いよ・・・」
男「・・・はは」
幼姉「幼!」
幼馴染「お姉ちゃん、お願いだから・・・」
幼姉「・・・・・・っ」
幼姉「・・・ごめん、男」
幼姉「幼のこと、お願いね」
男「? はい」
幼馴染「・・・・・・」
男「・・・」
男「あの、幼?」
男「気にしてないからな、俺」
幼馴染「・・・うん」
(そうだ。こんなことくらいでヘコたれるか)
男「それよりもさ、幼」
男「もうすぐ、一学期も終わりだろ?」
男「そうしたら夏休みだ」
(全部やり直してやる。過去が取り返せないのなら、せめて未来では繰り返さない)
男「・・・夏祭り、一緒に行かないか?」
幼馴染「夏、祭り・・・」
男「うん」
幼馴染「男と・・・」
男「行こう、二人で」
幼馴染「ごめん」
男「・・・・・・」
幼馴染「行けないよ」
男「今すぐ決めなくてもいいんだけどな・・・」
幼馴染「私、無理だから」
男「なにか、行けない事情があるの?」
幼馴染「・・・」コク
男「わかった」
男「でも、もう少し、ゆっくり考えて欲しいな」
幼馴染「・・・」
男「じゃあ、俺帰るね」
幼馴染「っ」
幼馴染「お、おとこ!」
男「ん?」
幼馴染「・・・、・・・っ・・・!」パクパク
男「どした?」
幼馴染「き、・・・気を付けてね」
男「うん。すぐそこだけどね」ニコ
男「ありがとう。幼、またな?」フリフリ
(焦ることない。祭りまで、時間はある。幼もきっと前向きに考え直してくれる)
(そうだ。だから、落ち込むんじゃない。素振りも見せるな。笑えよ、男)
(大丈夫。なんたって一度フラれてるんだ。あとは上がるだけじゃないか・・・!)
幼馴染「・・・」フリフリ
幼馴染「・・・・・・」
幼馴染「ばかだ、私・・・。なんにも言えないまま・・・」
幼馴染「・・・でも、がんばって泣くのは我慢したよ」
幼馴染「だって、男は私に、笑っててほしいんだもん」
幼馴染「・・・・・・」
幼馴染「・・・さようなら、男」
幼馴染「大好きだよ」
○ ○ ○
姉「んもぉー!」ダキッ
男「姉さん・・・」
姉「おそいよー!」
男「ごめん」
姉「ちゃんと連絡してほしいよー!」
男「掃除当番で居残るから遅くなるよって、メールしたろ?」
姉「見てない」ギュー
男「見ろよ」
姉「今日の夕飯は、男くんの大好きなハンバーグにしたのにー・・・」
男「俺は子供じゃないって」
姉「ハンバーグ、きらい?」
男「好きだよ。好きだけどさ・・・」
姉「男くんと一緒にご飯食べたくて、毎日はやく帰ってるのにー」
姉「この前なんて、上司がすっごい怖かったんだよ?」
姉「『姉ちゃんっていつも定時で即帰るわよね。何か予定あるの?もしかして、オトコがいたりするのかしら?』って」
姉「口では笑ってたけど、目が全然笑ってなかったんだからー!」
男「姉さんは、もう少し会社での付き合いを大事にした方がいいよ」
姉「だってー。そしたら、男くんと会える時間少なくなっちゃうよー・・・」
男「毎日、朝と夜には会ってるじゃないか」
姉「たりないよー!」ブンブン
男「俺が言うのもアレだけどさ」
男「姉さん、弟離れしろよ」
姉「それは無理だよー」ニッコリ
男「もういい、わかった・・・」
男「姉さん、そこにいたら、ウチにあがれないんだけど」
姉「まだ『ただいま』言ってない」プクー
男「・・・ただいま、姉さん」
姉「おかえりなさい!」パァ
姉「んー。でも、掃除当番かー」
姉「わたしはてっきり、友くんと一緒に遊んでるのかと思ってたよー」
男「違う、違う。今日はさ――」
男「幼と一緒に帰ったんだ」
姉「え・・・・・・」
男「姉さん、どうかした?」
姉「男くん、幼ちゃんに会ったの?」
男「? ああ・・・家にも寄ってきた。中には入らなかったけど」
姉「そう・・・・・・」
姉「そっか。もう、明後日だもんね」
姉「じゃあ、お別れは、済ませたの?」
男「は?」
姉「あれ、何も聞いてないの・・・?」
男「なんのこと?」
姉「?・・・どういうこと?」
姉「『男くんには、あたしから伝える』って」
姉「幼姉、あのキツネ女、なに考えてるのよ・・・っ」
男「!やっ、待ってよ、姉さん! ちょ、え、何が・・・?え、」
男「・・・お別れって?」
姉「あのね」
姉「引っ越すんだよ、幼ちゃんたち」
男「え、・・・え? そんなわけ――」
『―いまはあなたも色々大変でしょうけど』
『―職員室に用事が』
『―その、散らかってるから、』
『―そんな機会、無いよ』
男「――。ハハ・・・うそだ・・・?」
姉「わたしも、知ったの先月なの」
姉「でも、3年前にはもう決まってたみたい」
男「・・・3年、前・・・」
姉「たまたまだったの。引越し業者のトラックがね、止まってたんだよ」
姉「わたしもすぐには理解できなくて。押しかけて、幼姉を問い詰めてやったの」
姉「男くんには、きちんと事情を説明するから、わたしからは言わないで欲しいって。でも・・・」
姉「このかんじだと、本当は、わたしたちには黙って行くつもりだったみたいだね」
男「引越し・・・? ハハ、え・・・? ど、どこに」
姉「・・・男くん」
男「どこへ、行くって?」
姉「・・・・・・」
姉「アメリカ」
ご指摘どおり、最初の投稿分と、それ以降で設定を変えたために
話の繋がりが上手くいってません
そうした理由は、完結した後にでも述べたいと思います
矛盾に付いては、もはやどうしようもないので
今後は、不恰好でも書き切ることを目標にさせてください
支援o(^▽^)o
続きマダー?
まぁゆっくり頑張って下さい(^^)
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