【俺ガイル×世にも】八幡「諸行無常……ってそれは違うだろ」 (46)

テッテッテレレーテレレーテレレー

テッテッテレレーテーンテレーン

タモリ「万物は流転する」

タモリ「これはギリシャ人の哲学者、ヘラクレイトスの言葉です」

タモリ「自然界は絶えず変化するという意味で有名ですが」

タモリ「このようなこの世は常に変化し続けるという思想は少なくありません」

タモリ「これに似た思想は仏教でもありますね」

タモリ「今宵、奇妙な世界に迷い込む少年に訪れる変化とは」

タモリ「一体どのようなものなのでしょうか?」

テレレッテッテレレーテッテッ

テレテッテッテッテッテレレレレーレー

テッテッテレレーテレレーテレレ

テーンテレレレレレン

https://www.youtube.com/watch?v

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1433086296

>>1
URLが途切れている

https://www.youtube.com/watch?v=ccMfyDn7RHI

始まりは些細な話だった。

ゴーインゴーインアロンウェー

比企谷「なんだ? スパムメールか?」スッ

比企谷「……変なメールだな」

そのメールに件名はなく、ただ本文に『諸行無常』と書かれているだけだった。

比企谷「諸行無常……ねぇ……」

諸行無常とは。

まぁ簡単に言ってしまえば、この世に一切不変のものはなく、全てのものが常に変化し続けていることを意味する仏教用語だ。

平家物語の最初に載っていることでも有名だな。

比企谷「……材木座か?」

なんかカッコいい響きがあるしな。

覚えたての言葉を使いたくなってしまうのは、中二病の悪い癖だ。ソースは中二の時の俺。うわ、思い出したくねぇ。

比企谷「迷惑メールに登録して、と……」

 三日後。

比企谷「……だりぃ」

風邪をひいて、学校を休んでいた。おかげでここ数日は家でフィーバー! これ、掛詞だぞ!

が、悲しいことに治癒してしまって学校に行かなければならなくなり、今に至る。

比企谷「正直行きたくねぇんだよなぁ……、でも平塚先生の不条理な暴力も喰らいたくないんだよなぁ……」

なんだかんだ言って世の中をまとめてるのは力だからな。綺麗事で世界は語れない。

そういう意味では俺は世界をまともに見据えている、真っ当な人間であるのかもしれない。違うか、違うな。

チャリンチャリン

校門をいつも通りのスピードで通り抜ける。

比企谷「あれ?」

今、一瞬、変なのが見えたような……。

比企谷「……気のせいだな」

――

――――

比企谷「……はっ!」

比企谷「もう昼か……」

戸塚「はちまーん」

比企谷「おう、おはよう」

戸塚「おはようなんて時間じゃないよ。八幡、授業中ずっと寝てたよね」

比企谷「病み上がりだから本調子じゃないんだ」

戸塚「そうなんだ。無理しちゃダメだよ?」

比企谷「ん、気をつける。……てかなんだ? みんなどっかに移動しているみたいだが」

戸塚「あれ、八幡聞いてない? 今日は集会があるんだよ?」

比企谷「あー、そういや朝にそんなこと言ってたような記憶があるようなないような……」

戸塚「ほら、じゃあ起きて、行こう?」

比企谷「お、おう」

やっぱり戸塚は天使だ。こんな俺をわざわざ起こしに来てくれるなんて。

コレヨリシュウカイヲハジメマスー

高校生にもなって集会なんかいらねぇだろ、なんて思っちまう俺ガイル。

ゼンイン、キリツ

だいたい話すことなんてそんなないだろ。やれ注意しろだ、勉学に励むようにだとか、何十年前から変わってない。

ホンコウケイヨウコウコウハー

……あれ?

今、何て言った?

よくマイクの声に耳を傾ける。

司会『本校、ケイヨウ高校において――』

比企谷「……はっ?」

ケイヨウ?

いま確かにケイヨウって言ったよな?

ここは総武高校だぞ。京葉線は別に関係ないぞ?

司会が間違っているのだろうか。しかしこういうのの進行は大体生徒会がやるから、校名を間違えるとは思えない。

比企谷「……!」

よく見ると、前に掲げられている紙か何かわからないが、校名が書いてあるはずの部分には、見慣れない文字が書いてあった。

『京葉高校』

比企谷「……!?」

思わず目を疑う。何がどうなっている?

軽くパニックになりながら自分の生徒証を胸ポケットから出して、校名の部分に目を移す。

比企谷「なんだよ……これ……」

そこには、こう書いてあった。

『千葉県立京葉高校』

『総武』の文字はどこにもなかった。

――

――――

ガヤガヤ

集会が終わり、生徒たちがそれぞれの教室に戻る。俺は頭の整理がつかないまま戸塚に話しかけた。

比企谷「と、戸塚」

戸塚「なに?」

比企谷「俺たちの今、通ってる学校名ってさ、何だっけ?」

戸塚「何それ、なぞなぞ?」

比企谷「い、いや、真面目な質問だ」

戸塚「京葉高校でしょ? 何を言ってるの?」

比企谷「ケイ……ヨウ……」

戸塚「うん。……もしかして、何か間違ってるかな?」

比企谷「総武高校、じゃなかったか……?」

戸塚「ソウブ……? 総武線?」

比企谷「……わり、何でもない」タッタッタッ

戸塚「えっ、ちょっと、どこに行くの!?」

朝の違和感の確認に向かう。

俺の予感が正しければ、今朝の俺が抱いた違和感の正体は――。

比企谷「はぁ……はぁ……」

校門にたどり着くと、そこには校名が刻まれた門がある。

比企谷「……何だ、これ…………」

何度も通ってきた場所だから、この門のわずかな傷や模様は覚えている。そしてそれらはそのまま残っていて、『名前』だけが変わっていた。

触れて感じる凹凸から、その傷も、校名も、確かにここに刻まれたものだとわかる。

つまり、この門は昨日今日設置された物ではなく、この数ヶ月、数年にわたってここにあり続けた物だ。

それが何を意味するかを察した瞬間、俺は背筋が冷たくなるのを感じて走りだした。

――

――――

??「――ゃん、――ちゃん」

比企谷「…………」

??「もう、お兄ちゃんってば!」

比企谷「……あれ、小町?」

小町「もう、びっくりしたよ。家に帰って靴があるのに、ただいまって言っても何も返ってこないから」

比企谷「あぁ……わりぃ……寝てた……」

比企谷「……あれは、夢か?」

小町「何が?」

比企谷「なぁ、俺が通ってる学校の名前って、何だったっけ?」

小町「何それ、なぞなぞ?」

比企谷「いや、だからちげーから」

まぁ気持ちはわかる。あまりにも当たり前の質問をされると、裏を読もうとしちゃうよな。

小町「んー? 京葉高校じゃないの?」

『京葉高校』という単語が耳に入った瞬間、視界がグラリと揺れる。

比企谷「……小町、何の冗談だ?」

小町「えっ?」

比企谷「俺の学校は総武高校だろ? 何だこれは、ドッキリか? 由比ヶ浜あたりが仕掛けたのか?」

小町「えっ、ちょっと待って。お兄ちゃん、大丈夫?」

比企谷「俺はまともだ!!」ダンッ

小町「ひっ……!」

思わず机を叩いてしまった。音に驚いた小町は恐怖で顔を歪ませている。

小町「お、お兄ちゃん……どうしたの……?」

比企谷「……わりぃ」スッ

立ち上がって小町の横を通り抜ける。

小町「ちょ、ちょっと!」

その声を無視して俺は家を出た。

比企谷「……何なんだよ、これは」

さっきの衝動は恐怖ゆえのものだろう。この現状を現実的に理屈的に考えてみれば、上がる可能性は二つ。

一つは全てが嘘、つまりドッキリであることだ。全員が全員口裏を合わせているなら、あり得なくない。

ただ、その可能性も徐々に下がりつつある。

逆に上がるのはもう一つの可能性。

それは、俺自身の記憶の誤りだ。

俺が今まで総武高校だと思い込んでいただけで、本当は『京葉高校』だったとしたら、それも現実的に納得のいく説明になる。

ただ、俺はその結論が恐かった。

だってそうだろう?

それが意味するのは――

――俺が狂ってるってことじゃないか。

――

――――

あれから何時間か経って、俺は自分の部屋のベッドの上にいた。

比企谷「…………」

小町には寝ぼけていたということにして、とりあえずやり過ごした。が、俺が学校を途中でサボったことを誰かから聞いていることだから、本気にはしていないだろう。

それでも、ありがたい。あれから俺には話しかけないでくれているのが、ただありがたかった。

比企谷「……寝るか」

ゴーインゴーインアロンウェーイオレノーミーチーヲーイクーゼー

比企谷「……電話?」

珍しいな、こんな時間に。そもそもかかってくること自体が珍しいのだが。

比企谷「……げっ」

比企谷「材木座かよ……」

今、あいつと話したくない。疲れる。八幡、死んじゃう。

受話器ボタンを押して切った。が、すぐにまたかかってきた。

比企谷「うっせぇ……」

今度は電源を切る。これでもう大丈夫――

小町「お兄ちゃーん、中二さんから電話ー」

いや、しつこすぎだろあいつ。てかなんでうちの家の電話知ってんの?

比企谷「もう寝たって言ってくれ」

小町「わかったー。……はい、兄はもう寝ちゃったので……、えっ、叩き起こして? 大事な話?」

小町「どうしても話さなきゃいけないことがあるんだってー」

比企谷「えー……」

小町から受話器を受け取る。

比企谷「もしもし」

材木座『…………』

比企谷「切れたのか?」

材木座『……ふふ』

比企谷「ふざけてんなら切るぞ」

材木座『……どうだ? 八幡』

材木座『世界に取り残された気分は?』

比企谷「なっ……!?」

材木座『くくく……、相当きているようだな……』

比企谷「どういうことだ……」

材木座『なに、些細なことよ。今まで日常的に起こっていたことが『より急激に』、『よりわかるように』なっただけだ』

比企谷「だから何を言って――」

材木座『それより八幡。熱膨張って知ってるか?』

比企谷「はっ?」

材木座『すまぬ、作品を間違えた』

比企谷「それってとあ――」

材木座『うるさいぞ! 熱膨張なんてなかったのだ!』

比企谷「知らんわ」

比企谷「で、何だっけ?」

材木座『ふ、八幡。お主は諸行無常という言葉を知っているか?』

比企谷「……!」

ふと、三日前に届いたメールを思い出した。

比企谷「じゃあ……あのメールもお前か……!」

材木座『メール?』

比企谷「三日前のメールだ! 『諸行無常』の四字だけ書いてあったメール!」

材木座『……はて、我にはわからんな』

比企谷「知ったかぶりするんじゃねぇ! この状況ではどう考えても、あんなのを送ってくるのはお前しかいないんだよ!」

材木座『だが我は知らぬ。主が信じるかどうかは別にしてな』

材木座『話が逸れたから戻そう。これは古来から言われてきたことだが、この現世に変わらぬものなどないのだ』

材木座『それは、人にしても、物にしても同じこと。ただ、今はそれが『過剰』になっただけだ』

比企谷「……つまり、今は物事の移り変わりが、急激に起こっていると?」

材木座『そういうことだ』

比企谷「つまり、その変化のせいで『総武高校』は『京葉高校』になったと……?」

材木座『……む。八幡はそう認識したのか』

比企谷「はっ?」

材木座『いや、何でもない。些細なことだ』

比企谷「……お前がこれをやっているのか?」

材木座『何を言っている。如何に我が剣豪将軍であろうとも、世界を操ることなど不可能だ』

比企谷「てか、なんでお前はこんな状況に動じずにいられんだよ」

材木座『我は所謂『説明者』であり、『観測者』だからな。そういうものなのだ』

比企谷「何を言ってんのかさっぱりわかんねぇぞ」

材木座『話すことは話した。それでは切るぞ』プツッ

比企谷「ちょっとま――」ツーツーツー

比企谷「なんだあいつ……! まだわかんねぇことだらけだっつのに!」

携帯の電源をつけ、材木座に電話をかけようとする。

比企谷「……あれ?」

アドレス帳に、材木座の名前が、ない。

比企谷「……はっ? 嘘だろ?」

急いで着信履歴を確認するが、そこにも材木座からの履歴はない。

俺の携帯から、『材木座義輝』が消えてしまっていた。

比企谷「小町っ!」バッ

小町「うわっ! びっくりした!」

比企谷「材木座って知っているか!?」

小町「えっ? 誰?」

比企谷「さっきも電話してきただろ!? 中二病のデブの真夏でもコート着てる変なやつだよ!」

小町「……? 何かのアニメのキャラ?」

比企谷「…………」

その時、俺は悟った。

材木座の話は本当で、彼はこの世界の『変化』に巻き込まれて消えてしまったのだと。

比企谷「…………」

ぼーっと天井を見つめる。材木座は本当に消えてしまったらしい。

戸塚にメールしてみたが、知らないの一点張りだ。由比ヶ浜も同じく。

前にもらったはずの小説も設定資料集もなかった。あんなにウザかったのに、いなくなってしまうのは、ひどく寂しい。

ただ、それを俺しか知らない。

俺しか、『材木座義輝』という人間が存在していたことを知らない。

これを客観的に見てみると、自分以外知らない人間が消えたと騒いでいるそれこそ中二病、いや、精神異常者だ。

比企谷「……夢だよな」

そう、こんなのは悪い夢。明日学校に行けばまたうっとおしい奴が俺の名を呼ぶはずなのだ。

――

――――

『京葉高校』

比企谷「……くそ」

文字を見て吐き気を催すなど初めてだ。心がひどく重い。

HRが終わってからC組に向かうが、予想通り材木座の姿はなく名簿にも名前はなかった。

それによって改めて材木座義輝の存在が消えてしまったと痛感させられる。

比企谷「なぁ、戸塚」

それでも現実を認められない俺がどこかにいる。そうでもしないと足元の安定しない世界が俺を恐怖に陥れるのだ。

比企谷「材木座ってわかるか?」

戸塚「……?」

比企谷「すまん。忘れてくれ」

純粋な戸塚の表情がさらに俺の精神を蝕む。少しでも気を抜けば発狂してしまいそうだった。

これから、俺を待つ明日はなんだろう。こんな何かが確かに狂っている世界が持つ未来とは、何なのだろう。

 数週間後

ガヤガヤ

自分を取り巻く世界は常に変化し続ける。最初は頭がおかしくなってしまいそうだったが、今はもう慣れた。誰がどうなっていようともうさして驚かない。

結衣「あっ、ヒッキーだー」

比企谷「よう」

由比ヶ浜はほとんど変わっていない。強いて言うなら雪ノ下に唯一勝っていた部分が負けるほどのものになってしまった程度だ。さしたる違いはない。

本人にその記憶もないのだから、そんなことを言うのも無駄なのだが。

??「ゆ、結衣……」

黒髪の自信なさげな女子が由比ヶ浜に話しかける。

結衣「あっ、優美子。どうしたの?」

三浦「い、一緒に……お昼……食べよ……?」

この女子は誰だろうか、と最初は驚いたものだ。

何を隠そう、この消失長門にも勝らずとも劣らぬほどに、物静かでオドオドしている女子こそがこの世界での三浦優美子なのだ。かつてのような獄炎の女王の面影は見られない。

結衣「もちろんいいよ! ヒッキーも来る?」

比企谷「いやいやお前な。そんなことするわけないだろ」

結衣「えー? たまにはいいじゃんー?」

比企谷「昼ごはんくらい一人で食べたいんだよ」

文句を垂れる由比ヶ浜を尻目に教室を出る。さてと、マイベストプレイスマイベストプレイス……。

戸部「っべーわ、マジでっべーわ」

葉山「どうしたんだ?」

戸部「海老名さんがマジでっべーわ。最近また一段と可愛くなったってゆーか?」

葉山「あー、すごい人気だよな」

戸部「でしょー? もう俺に入る隙間ないってゆーかー」

葉山「元々ないだろ」

戸部「ちょっとないわー。隼人くんそれはないわー」

あの二人は大して変わらないんだよな。不思議なことに。

ちなみにこの世界の海老名さんは腐っていない、ごく普通の女の子で元々顔も良いことからかなりモテていたりする。

葉山「あれ、比企谷?」

比企谷「……よう」

葉山「これから昼かい?」

比企谷「まぁ」

葉山「なら、俺も一緒にいいかな?」

比企谷「はっ?」

何こいつちょっと口説こうとしちゃってるの? 違うでしょ。する相手間違ってるでしょ。

比企谷「昼ごはんは誰にも邪魔されたくないんだ」

葉山「そうか……。悪いな」

とりあえず話を打ち切ってその場から去る。

正直、葉山からの視線がこわい。まるでそういう目で見られているような……いや、それはないな。ないよね。

平塚「おっ、比企谷か」

比企谷「平塚先生。こんなところで何を?」

平塚「別に、ただの散歩だよ。君はまた一人でどこかに行くのかい?」

比企谷「まぁ、そんなところです」

平塚「なら邪魔をしたな」

平塚先生が背中を向ける瞬間、左手の薬指がキラリと光る。

この世界では平塚先生は無事に結婚できたらしい。変化する世界の中で唯一心が救われた瞬間が、それを初めて見た時だ。

比企谷「先生」

平塚「なんだ?」

比企谷「旦那さんとは、どうですか?」

平塚「ん、まぁまぁだな。新婚と言うには少し時間が経ったし、新婚さんというよりは、どちらか言うと夫婦らしく毎日過ごしているよ」

最近は喧嘩することもあるな、なんて笑う。そんな風に一人の女性としての幸福を享受している姿は自分にはまぶしく映る。

比企谷「いいですね。羨ましいですよ」

平塚「君にもいつかそんな相手が出来るさ。結婚する時は私も呼んでくれると嬉しいね」

比企谷「ええ、その時は是非」

平塚「結婚式に呼んでくれなんて、数年前の私なら絶対に口にしなかったろうなぁ」

比企谷「そうでしょうね」クスッ

平塚先生との雑談もそこそこに、今度こそマイベストプレイスへ向かう。

雪乃「あら」

比企谷「お、雪ノ下か」

今日はやけに知り合いに会うな。厄日か?

雪乃「いつもの場所へ?」

比企谷「まぁ」

雪乃「そう」

雪ノ下との会話なんてこんなものだ。特に用事もなければ話すこともない。それは世界が変わったところで今のところは変わりはしない。

比企谷「…………」

たとえ雪ノ下の胸が大きくなっていたとしてもだ。

比企谷「…………」ジー

雪乃「何かしら?」

比企谷「いえ、なんでも、ないです」スッ

雪乃「……ふっ」

なぜか勝ち誇ったような笑みを浮かべる。いま何に勝ったんだよ。

てかこれはもうあれだろう。アイデンティティクライシスだろう。雪ノ下の個性が崩壊していないか?

雪乃「あなたもせいぜい頑張ることね」

比企谷「何をだ」

殴りたい、この笑顔。

――

――――

比企谷「はぁ……今日も疲れた……」

行きたくもない学校に行き、日々変化する何かに一喜一憂し、あまりにも変わりすぎて原型がわからなくなってしまう自分に絶望し、それすらわからなくなる自分に安堵もする毎日。

不条理としか言いようがないが、それでもこんな世界で生きていくしかない。まぁ、世界中の人間が材木座になってしまうよりはマシだろう。ん、何の話をしているんだ?

比企谷「ただいまー」

小町「ん、おかえりー」

比企谷「小町帰ってたのか」

小町「まぁねー。今日は小町の勝ちだね。



ね、『お姉ちゃん』♪」



比企谷「何の勝ち負け? それ?」

小町「別になんでもいいじゃーん? じゃあ今日の夕ご飯は『お姉ちゃん』が作ってね?」

比企谷「『わたし』が? まぁ、それくらいはいいけど」

そういえばいろいろ変化が起こり続けるけど、『わたし』自身に変化って起こらないな。それとも、もしかして、起こっているのに気づいていないだけ?

……なんてな。そんなこと、あるわけないか。実は『わたし』が元々『男』だったけど、変化に巻き込まれて『女』になったなんて、そんなオチはないだろう。

小町「小町はカレーがいいでーす♪」

比企谷「はいはい。わかったよ」



世にも
奇妙
な物語



テッテッテレレーテレレーテレレー

テッテッテレレーテーンテレーン

タモリ「仏教用語では諸行無常という言葉も有名ですが、他にも有名な言葉があります」

タモリ「それは『縁起』」

タモリ「すべての事物は『縁』あって『起』こるという、所謂因果論的な意味ですが」

タモリ「実は諸行無常自体もこれに則った言葉なのです」

タモリ「現実ではそのようなルールが成立していますが」

タモリ「そんな因果律からも外れた諸行無常が入り乱れる世界」

タモリ「それこそが奇妙な世界の心髄なのかもしれません」

テレレッテッテレレーテッテッ

テレテッテッテッテッテレレレレーレー

テッテッテレレーテレレーテレレ

テーンテレレレレレン

https://www.youtube.com/watch?v=ccMfyDn7RHI

終わりです。読んでくださりありがとうございました。
仏教については軽く勉強した程度なので間違っていてもお許しを。

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