電「な、長門……さん？ 何してるのです……？」

長門「ああ、電。これか？」

電「なんで……注射なんか……」

長門「これはヒロポンと言ってな。疲労回復の薬なんだ」

電「薬……なのです？」

長門「ああ、薬だ。それに官給品だからな。副作用の心配もないぞ」

電「はわわわ。長門さんが注射してたから、びっくりしちゃったのです」

長門「ははははは。それは驚かせたようですまなかったな。最近出撃が多かっただろう？ だから、な」

電「長門さんはいっつも頑張っているのです」

長門「ああ、そうだ。電達にもこの薬を分けてあげよう。疲れたときに使うと、あっという間に疲労が吹き飛ぶぞ」

電「ありがとう、なのです！」

ーーー第6駆逐隊の部屋ーーー


電「長門さんからお薬をもらったのです」

響「電、なんの薬だい？」

電「疲れがすぐに取れるお薬だそうなのです」

雷「へぇ、なんだかよさそうな薬じゃない」

暁「暁は一人前のレディーだから、べべべつつつににに、ちゅちゅちゅちゅちゅうしゃなんかここここ怖くないし！」

電「暁ちゃんは注射が苦手なのです？」

暁「そそそそそんなわけないじゃない！」

雷「はいはい、見栄なんか張らなくてもいいから」

響「電、疲れが取れる薬だっけ？」

電「そうなのです」

響「あまり薬に頼りすぎるのはよくない。せっかくのご厚意だけど、私は遠慮しておこう」

雷「あら、じゃあ私が使ってみようかしら」

電「官給品だから安心して大丈夫だって長門さんは言ってたのです」

雷「最近、いくら頼ってもいいからって司令官、遠征がちょっと多いのよね」

電「電もちょっと使ってみたいのです」

雷「響はいいって言ってるし、暁は……。そうね、電、一緒に使ってみましょう！」

電「はいなのです」

こうしてヒロポンは少しずつ、だが着実に鎮守府に広まっていった。

数ヶ月後

ーーー洋上ーーー

天龍「よし、ここらで少し休憩するか！」

響「そいつはいいな」

暁「一人前のレディーには切り替えが重要なのよ。べ、別に暁は疲れてなんかないし！」

電「電はヒロポンを打つのです！」

雷「電、私にももらえる？」

電「もちろんなのです！」

響「…………」

雷「あー、やっぱりヒロポンは最高ね。あっという間に疲労が吹き飛ぶわ」

響「電、雷」

電「？」

雷「？」

響「あまり薬にばかり頼らないほうがいい。ここ最近、毎日ヒロポンを打ってないか？」

電「……響ちゃんはうるさいのです……」

響「！？」

雷「そうよ。響も疲れてるんじゃない？ ヒロポンを打って落ち着きなさい」

響「(……電も雷もいつもと様子が違うような気がする……。でも、確信は持てない。もう少し様子を見てみようか……)」

ーーー鎮守府ーーー


提督「天龍、暁、響、雷、電。今日も遠征ご苦労だったな。おかげで資源が増えたよ。今日はもうゆっくり休んでいいぞ」

天龍「おお」

暁「それじゃあ失礼するわね、司令官」

バタン

暁「うーん、今日は早く終わったから、これからどこかに出かけましょう。響、雷、電」

響「ハラショー、そいつはいいや」

電「…………」

雷「…………」

電「……電は疲れたから休みたいのです」

雷「私もパス。最近疲れがなかなか取れないのよね……」

電「今日はヒロポンを多めに打って、休むのです」

雷「そうね。打った瞬間は効くんだけど、すぐに効果が切れるのよね、最近は。私も量を増やしてみようかしら」

電「それがいいのです」

雷「というわけだから、暁、響。私たちは先に部屋に戻るわね」

響「………」

暁「ちょ、ちょっと！」

響「(やはり雷と電の調子がおかしい。一度司令官に相談してみようか)」

暁「……まぁいいわ。響、行きましょう？」

響「暁、すまないが私も用事ができた」

暁「え？ ちょ、響までー！？ い、いいわ。暁はおねーちゃんだから一人でも平気だし……」

響「本当にすまない、暁。次は一緒に行こう。(そう、4人で一緒に、ね)」

ーーー執務室ーーー

響「司令官、ちょっといいかな」

提督「ん？ いいぞ。なんだ？」

響「雷と電のことなんだ」

提督「雷と電？」

響「二人の様子が少しおかしいんだ」

提督「おかしい？」

響「ああ、なんというのか……。疲れていることが多くなったし……」

提督「すまんな。ここ最近、資源が不足しがちで、遠征が多くなっていたか？ 今後は調整しよう」

響「いや、私は、あとは多分暁も、それほど疲れてはいない。なんだかんだ言っても、司令官は優しいからね。前よりは確かに増えたけど、無理な範囲じゃない。……だからこそ変なんだ」

提督「つまり、雷と電だけが疲れてるってことか？」

響「ああ。雷と電だけが異常に疲れやすくなっているんだ」

提督「うーん。とりあえず、明日の遠征は休みにするか」

響「いいのかい？ こう言ってはなんだが、資源は……」

提督「なに、なんとかするさ。それよりも、疲れたまま遠征に行って、怪我でもした方が大変だ。明日は休みにしよう」

響「すまない。わがままを言ったみたいで」

提督「気にするな。それにしても、響は妹思いだな」

響「大切な妹だからね。もちろん暁のことも大切に思っている。暁型は四人そろってこそだからね」

スレタイ見て来てみれば…予防接種とかじゃないのかよ…