ちはまこゆき「ワイワイキャッキャ」
春香(……出づらい)
春香(特にやましいことをしてたわけじゃないけど、驚いた勢いで隠れちゃった)
春香(今から出るのも、なんだかおかしいし)
春香(ロッカーの隙間から様子を伺えてしまうポジションというのも相まって)
春香(さっきからおとなしく会話を聞いてしまっている)
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春香(ん、だけど)
真「絶対、雪歩の方が可愛い!」
千早「春香はその1億倍可愛いわ」
真「だったら、雪歩は1億万倍可愛いし!」
春香(小学生か!)
春香(どうしてそんな会話の流れになってるの!)
春香(不毛!不毛すぎる言い争いだよ!)
春香(雪歩も雪歩だよ!)
真「雪歩はどう思う!?」
千早「春香の方が可愛いに決まってるわよね?」
雪歩「もう、やよいちゃんが一番可愛いでいいんじゃないかな……」
真「それは宇宙の摂理だよ!」
千早「やよいおりが可愛いのは、鳥が空を飛ぶように自然な事よ」
雪歩「へぇー」
春香(違うよ!!!!!!)
春香(なんでそこで納得しちゃうの!?)
春香(突っ込むべきタイミングがいくらでもあったよ!)
春香(ウマいこと言ったつもりで、ドヤ顔してる千早ちゃんにイラッとすべき場面だよ!)
春香(まず、雪歩のいる前であの会話……突っ込んでくれと言ってるようなzものでしょ!?)
真「やよいおりの可愛さについては、今度議論することにして」
千早「一晩じゃ足りないものね」
雪歩「そうだね」
春香(そんなくだらない議論、一生しなくていいよ!)
春香(ぬるい!空気がぬるすぎる!)
春香(三人だけだと、ボケがこんなに流されっぱなしになってるの!?)
春香(どんだけピリッとしない空間なの!?)
千早「高槻さんの可愛さと春香の可愛さはまったく違うものだから」
千早「高槻さんはなでくり回したいけど、春香はすごく抱きしめたいの」
雪歩「あー、わかるー」
春香(わからないよ!)
千早「高槻さんは性的感情を抱くことに罪悪感が生まれてしまうけれど」
千早「春香はむしろ、性的な目で見つめたいわ」
真「そこは、大きな違いだよね」
雪歩「うんうん。四条さんと美希ちゃんの違いだよね」
真「それはわからない」
雪歩「ええっ!?」
春香(千早ちゃんは、結局やよいを性的な目で見てるんだね!?)
春香(ああ!発言に即突っ込んでしまえないのがもどかしい!)
春香(なんなのこの会話!)
春香(変態の集いというには、微妙な節度の保ち方!)
春香(振り切れもしない半端な空気!)
春香(なんなんだろう!このやりきれなさ!)
真「雪歩はなんていうか、抱きしめたいんだよね」
千早「庇護欲を刺激されるわよね」
真「守ってあげたいっていうかさ……」
雪歩「えへへ」
春香(実は真の方が、雪歩にぞっこんなんだよなあ)
春香(千早ちゃんも真も雪歩が大好きすぎるのは知ってるけど)
春香(私のいない場だと、あんなにデレMAXなの?)
春香(千早ちゃんまで雪歩にデレてるし)
春香(私も混ざってデレたいけど!それ以上に流されてるのが堪え切れない!)
春香(……だから、目の前でデレないのかな?)
真「男の人が目の前にいる時、ボクの後ろに隠れる雪歩の可愛さと言ったら」
千早「隠れられたこと、ないわね」
千早「私の方が、背が高いわよ?」
雪歩「だ、だって、真ちゃんの方が安心するから」
真「へっへーん!いいだろ!いいだろー!」
千早「くっ」
春香(テンション上がりすぎでしょ!うざったいわ!)
千早「わ、私だって、春香に頼られてるわよ?」
真「へえ?」
千早「転びかけた春香を支えてあげて、気を付けてね?って言ったら」
千早「じゃあ、転ばないように手繋いで歩こう?って」
千早「天使が舞い降りたと思ったわ」
真「あー、千早には言うね。割と」
雪歩「春香ちゃん可愛いなあ」
真「雪歩の方が天使だよ!」
春香(いっそ殺して!)
春香(雪歩ばっかり愛でられてるのも釈然としないけど!)
春香(私がいないって前提で語られてるのも恥ずかしい!)
春香(話を変えよう!やよいおりの議論をしよう!)
春香(流されるだけに余計、こっちが気恥ずかしいよ!)
春香(突っ込み!律子さんとか伊織とか!)
春香(冷静な発言で流してくれる人が欲しい!)
千早「この前、支えようとしたら誤って胸を触ってしまった時は流石に動揺したわ」
雪歩「柔らかかった?」
千早「ものすごく」
春香(雪歩は何を聞いてるの!!!!!!!?!?!?)
真「ボク、あんまり春香とスキンシップしないなあ」
雪歩「春香ちゃん、顔だけは真ちゃんが一番好みって言ってたから」
真「あー。言われたことあるかも」
千早「真が憎い……ッ」
真「大丈夫。ボクは春香の顔、好みじゃないから」
千早「じゃあいいわ」
春香(よくないよ!)
春香(好みの顔じゃなくて悪かったですねー!)
春香(どうせ、真の好みは雪歩とか言うんでしょ!知ってる!)
真「性格はすごくいいと思うけどね」
千早「えっ」
雪歩「わかる」
春香(えっ)
春香(千早ちゃんの真顔が怖すぎる)
春香(いやー!愛が重いなー!)
雪歩「春香ちゃんは、話してるとぽわーってするんだよね」
真「うんうん。空気が軽くなるっていうかさ。安心する」
千早「萩原さんは許すけど、真は絶対に許さない」
春香(扱いの差が露骨!)
春香(……今度、真と雪歩のクッキーにおまけしよう)
千早「むしろ、萩原さんと春香は会話してるのを眺めていたい」
真「ああ、癒し空間だね」
千早「そこに高槻さんが混ざったら最強ね」
雪歩「響ちゃんは?」
千早「可」
真「ボクは?」
千早「不可」
真「ボクも、千早にそういう目で見られるのはちょっとヤだな」
春香(じゃあなんで聞いたんだろう)
雪歩「千早ちゃんは、真ちゃんのこと嫌いなの?」
千早「ええ」
真「おいこら」
雪歩「……春香ちゃんに言っておこう」
千早「真のこと大好きよ」
真「気持ち悪いなあ」
雪歩「真ちゃん」
真「ボクも千早のこと大好きだなー!」
春香(白々しいよ!)
春香(突っ込みは入れないのに、こういう主導権は握るんだね、雪歩……)
春香(二人は雪歩の言うことなら全通しなんだから、突っ込んでもいいんだよ!)
春香(あの立ち位置なのに会話全スルーは、おいしくないよ!)
春香(突っ込みがいるからこそ、円滑に会話は進むんだよ!)
春香(だから、こんな方向性が迷子の会話になっちゃうんだよ……!)
春香(そもそも突っ込みのない会話なんて、客のいないライブと同じウンタラカンタラ)
春香(ハッ!ついトリップしちゃった!)
春香(今は何の話をしてるんだろう)
千早「だから、春香のパンツはレースつきの少し可愛いやつがいいと思うの」
雪歩「そうだね。ちょっと華があると全体が引き締まるかも」
真「ふーん」
千早「どうでもよさそうね」
真「春香のだしなあ……見ないし……」
春香「なんの話なの!!!!!?」ガッターン
春香「……あ」
ちはまこゆき「あ」
千早「ちょうどよかった。今、春香のパンツの話をしているのだけど」
春香「平然と話を続けようとされても困るよ!?」
雪歩「千早ちゃんのパンツの話がよかった?」
春香「やめて!雪歩の口からパンツとか聞きたくない!」
真「ボクはむしろアリだと思う」
春香「ひいっ!変態二号がいる!」
千早「春香を怯えさせるのはやめてもらえる?」
春香「一号は黙ってて!」
春香「」ゼーハーゼーハー
雪歩「……とりあえず、冷たいお茶、飲む?」
春香「」コクリ
千早「春香、あの程度の絶叫で息が切れるのは、腹筋の鍛え方が甘いのよ」
春香「誰のっ……せいだと……!」ゴッキュゴッキュ
春香「はー……はー……。あー、落ち着いた……ありがとう、雪歩」
雪歩「う、うん」
千早「正直、息が切れてる春香に興奮する」
真「雪歩だったら同意する」
春香「うるさいよ!」
春香「っていうか、なんで平然と私の登場を受け入れてるの!?」
春香「リアクションも何もなくて、ちょっぴりさびしいよ!」
春香「突っ込みの入らない環境だったからって、ここまできて腑抜けすぎだよ!」
真「一人でまくしたてすぎじゃない?大丈夫?」
春香「さっきまでの真たちのせいだよ!」
春香「特に、雪歩のツッコミ能力のなさには失望したよ!」
雪歩「え?私?」
春香「オチのない電波会話が許されるのは、美希か貴音さんと組んだときだけだよ!」
春香「この二人はどうしようもないんだから、雪歩がしっかりしないと!」
真「なんか、ひどいことを言われてる気がする」
千早「この言葉責めがクセになる……でしょう?」
春香「千早ちゃんは頭のネジを拾ってきて!」
春香「出てきて数分で、この突っ込みどころの嵐だよ!」
真「うん。これだけ叫び続けるのはレッスンの成果だなって思う」
千早「昔だったら、今頃酸欠で倒れてる頃ね」
雪歩「それは言いすぎなんじゃないかな?」
春香「……うん。雪歩ががんばろうとしたんだろうことは、ちょっとだけ伝わってるよ……」
真「春香も大概、雪歩に甘いよね」
千早「萩原さんはほら、春香と同じ天使属だから。春香の方が上だけど」
真「身内びいきなんだね。なるほど。雪歩の方が天使だけど」
千早「いやいや春香が」
真「いやいや雪歩が」
春香「もうそれいいから!」
春香「千早ちゃんと真は、どうしてそんな不毛で、低次元の争いをしてるの!?」
真「失礼な」
千早「もっと高次元……春香のパンツのローテーションが可愛いってことかしら」
春香「なんで私のパンツのローテを知ってるの!?」
真「ボクだって、雪歩がどんなパンツ履いてるかくらい知ってるし!」
雪歩「この前、泊まりに来て、一緒にお風呂入ったもんね」
真「あ、ああ、うん。そうだね」
春香「絶対、雪歩が見てない隙にタンスとか覗いてるでしょ!」
真「なぜ知ってる」
春香「千早ちゃんが私の部屋に来た時、真っ先にタンス開けたから」
春香「たまたま、私がロッカーに隠れてたからよかったものの」
春香「三人の時って、ずっとあんなオチのない話をしてるの?」
真「そういうワケじゃないけど」
雪歩「うん。千早ちゃんから、春香ちゃんがいるって聞いてたもんね」
春香「え?」
真「この時間なら、春香のスケジュールもちょうど開いているし、帰りの電車まで暇潰しついでに待ってるはずとかなんとか」
雪歩「そして、このタイミングなら、ちょうど驚いた春香がどこかに隠れることもありえるわねとかなんとか」
千早「あとは、出るタイミングを失って、私たちの会話を聞きつつ悶々とするはずね、なんて」
春香「把握しすぎてて気持ち悪いんだけど!」
春香「千早ちゃんの変態能力を甘く見てたよ」
雪歩「でも、気配とかで大体どのあたりに人がいるか読めるよね?」
真「うんうん」
春香「アイドルが持つべきスキルじゃないよ!」
春香「千早ちゃんは私がどこにいるかわかってたの?」
千早「私が、春香の喉から発せられる音を半径1km以内で聞き分けられないとでも?」
春香「重ねて気持ち悪い!」
春香「分かってるなら、声をかけてくれたらよかったのに!」
千早「ごめんなさい。私が頼んだの」
春香「新手の変態プレイって言ったら殴るからね。グーで」
真「突っ込みを我慢して、我慢して、ようやく突っ込んだときの春香の顔が見たいって千早が」
雪歩「な、殴らないであげてね?」
春香「千早ちゃん……!」
春香「もー!わざわざそんな頼みごとしなくても!」
千早「ご、ごめんなさい。どうしても見てみたくて」
春香「言ってくれれば突っ込みくらい我慢するよ!わざわざお膳立てされたら恥ずかしいじゃん!」
千早「つい、欲望を抑えきれなくて」
春香「もー!もー!ついでやっていいことじゃないよ!」
千早「反省するわ」
春香「わー!恥ずかしい!なんか恥ずかしいなー!」
千早「予想通り、可愛かったわよ」
春香「照れるってばー!」
はるちは「キャッキャウフフ」
真「いい話だなー」
雪歩「…………」
雪歩「なんなのこのオチ!!!!?!!?!??!?!」
おわり
真の方が雪歩大好きなSSを書きたかった
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