狐娘「ごはんください…」(130)
男「」
男(なんだコイツ、耳っぽいのが生えて…)
狐娘「おなかすいて、たおれそう…」
男「あっ、おい、大丈夫か」
男(なんだかよく分からないまま連れてきてしまった)
男(あのままほっといてもカラスの餌になるだけだったし、まあいっか)
男「…」
男「おーい」
狐娘「きゅう」
男「気絶しとる」
男「おにぎりとかでいいのかな…ほら、ごはんだぞ」
狐娘「む…」スンスン
狐娘「ごはん!!」パアア
男「お、起きた」
男「水は?飲むか?」
狐娘「ひゃい」ムグムグ
男(というか、今考え直してみるととんでもないものを持ち帰ってきてしまった気がする)
男(こいつは狐なのか人間なのか…)
男(あ、しゃべってるから人間か)
男(つーかおにぎりあげちゃったから俺の晩御飯ねぇし)
狐娘「んぐっ…、ぷは」
男「よー生き返ったか」
狐娘「…」
狐娘「さきほどはひろっていただきありがとうござました」
男「え?いや、ご丁寧にどうも」
狐娘「…あなたのばんごはんが無くなってしまいましたね」
男「あ、まぁ、いいよ別に」
狐娘「…」
男「…」
男「え?なんでわかんの?天才?」
狐娘「じつはわたし、ひとのこころが読めるのです」
男「まじか」
狐娘「ふふん」
男「嘘じゃないだろうな」
狐娘「ほんとですよ」
男「じゃあ俺の好きな食べ物は」
狐娘「さばのみそに?」
男「まじか」
男「スゲーな、妖怪ってこんなんもできんのか」
狐娘「半分はにんげんですけどね」
男「ふーん…なぁ、耳さわってもいいか」
狐娘「なんですかいきなり」
男「いや、本物かなぁと思って」
狐娘「仕方ないですね、さっきのおれいです、どうぞ」モゾ
男「お、おう」マフ…
狐娘「どうですか。ふつうの狐といっしょでしょう」
男「俺狐さわったことねーんだ」モフモフ
狐娘「そうですか」
男「…」マフマフ
狐娘「…」
男「…」マフモフ
狐娘「…いつまでさわってるんですか…」
男「ん?あぁ、なんか気持ちよかったから」
狐娘「もぉっ、はなしてください!」
男「えー」
男「なんだよもー…」
狐娘「まったく、そんなになでまわさないでくださいよ」
男「はいはい、すみません」
狐娘「わたしだっていちおうおんなのこなんですからね」
男「え?やっぱり?」
狐娘「化け狐にもせいべつくらいありますよ」
男「ふーん。そうなんだ」
狐娘「そうですよ」
男「じゃ、今度はしっぽ…」
狐娘「もーっ!」
男「なんだよ」
狐娘「あのですねえ、しっぽはにんげんでいうとおしりとおなじようなものなのですよ、たぶん」
男「へー」
狐娘「せくはらです。せくはら」
男「そんな言葉しってんのか」
狐娘「だてに500年いきてませんよ」
男「500年とかまじか」
狐娘「これでもまだわかいほうですよ。にんげんでいうとですね、16くらいなのです」
男「へー…ところでしっぽさわr」
狐娘「だめです」
男「何だよ…いいじゃねーかもふもふするくらい…」
狐娘「猫だってしっぽをさわられるのはいやがるでしょう」
男「はいはい、わかったよ」
狐娘「ところでこんやここにとめてくd」
男「だめです」
狐娘「おねがいです」
男「ごはんあげただろ、とっとと家帰れ。家族も心配してるぞ」
狐娘「とめてください、もふもふしていいですから」
男「了承した」
狐娘「ありがとうございます」
男「よし、もふらせろ」
狐娘「うー」モフ
男「おお…めっちゃもふもふしてる」モフモフ
狐娘「あ、あまりさわらないでくださいね」
男「うん」モフモフモフ
狐娘「…さわりすぎです」
男「うん」モフモフモフモフモフm
狐娘「もーっ!」
男「想像以上にもふもふしてたな」
狐娘「まったく…けなみがみだれたじゃないですか」モフモフ
男「悪い」
狐娘「もおねます」
男「どこで」
狐娘「ここで」
男「それ俺のふとん」
狐娘「かしてください」
男「俺はどこで寝ろと」
狐娘「」ユカ
男「…」
男「よし、じゃんけんで決めようじゃないか」
狐娘「じゃんけんですね、いいですよ」
男「最初はグー」
狐娘「じゃーんけんぽんっ!」
男「俺がバカだった」
狐娘「わたしにんげんのこころ読めるっていいましたよね、だいぶまえに」
男「ちきしょう…」
狐娘「じゃあいっしょにねましょう」
男「しかたねーな、俺ここからここな」
狐娘「わたしのばしょせまくないですか」
男「おやすみー」モゾ
狐娘「…」モゾ
男「…」
狐娘「…もうねましたか」
男「うん」
狐娘「おきてるじゃないですか」
男「あのさ、なんかしっぽがくすぐったいんだけど」
狐娘「がまんしてください」
男「ったく…」
狐娘「でもあったかいでしょう」
男「まぁな」
狐娘「だれかとねるなんて、ひさしぶり…」
男「…」
狐娘「…」スピー
男(寝たし)
---
男「んー…」
男(朝か…)モゾ
狐娘「むにゃ…」
男「」
男「…」
男「…あー…」
男(そーいや昨日来たんだっけこいつ…)
男「おーい、起きろ」
狐娘「んー」ゴロン
男「んーじゃない」
狐娘「…ふあぁ」モゾ
狐娘「…」
狐娘「…おはようございます」
男「おはよう」
狐娘「…いそいでますね」
男「遅刻しそうなんだよ」
狐娘「ちこく?どこかいくんですか?」
男「バイト」
狐娘「はあ」
男「お前テキトーなときにちゃんと家に帰れよ」
狐娘「…はい」
男「食べ物は冷蔵庫だかr…っておい、布団が抜け毛でやべーんですけどおおおおお」
狐娘「もっふもふですからね」
男「やかましい!」
男「まったく…じゃあ俺は行くからな、ちゃんと帰るんだぞ」
狐娘「いってらっしゃいです」
狐娘「…」
狐娘「しずかになっちゃった…」
狐娘「そおだ、おせんたくしなきゃ」
狐娘「えっと…たしかこのなかにいれて…っと」
狐娘「よし」
狐娘「…」
狐娘(さみしいな…)
---
男「ただいまー」
狐娘「おかえりなさい」
男「何故いる」
狐娘「…ごめんなさい」
男「ちゃんと帰れっていっただろ」
狐娘「…それが、その」
狐娘「かえれなくなった、というか…」
男「まじかい」
狐娘「まじです」
男「はぁ…」
狐娘「…」
男「仕方ねーな、とりあえずめしにするか」
狐娘「へ?」
男「腹減ってんだろ」
狐娘「へ、あ、はい」
狐娘「すごいですね、どうしてわかったんですか?あなたもこころがわかるんですか?」
男「うん」
狐娘「あ、嘘ですね」
男「…」
男「そーいえばふとんが無いんだが」
狐娘「はなしそらさないでください。えっと、せんたっき?のなかにいれておきました」
男「おお、じゃあちょっと見てくる」
男「…」
狐娘「…」
男「洗おうとしてくれた気持ちはありがたいが、ここは冷蔵庫だ」
狐娘「ごめんなさい」
男「ふとんがキンキンに冷えてやがる…」
狐娘「すみません」
男「まあいいや…別に大丈夫だろう」
狐娘「…」シュン
男「きにすんな」
狐娘「ごめんなさい…」
男「風呂はいってくる」
狐娘「おふろ!はいります!」テテテ
男「いやちょっと待て」グイ
狐娘「ふぎゅ」
狐娘「なんですかもう」
男「いや別々だろ」
狐娘「?」
男「一人ずつ入るの。ワカリマスカー」
狐娘「わかりません!」
男「」
男「とにかく俺ははいってくるから待ってろ、な?」
狐娘「あい」
男「…」
狐娘「」テテテ
男「何故ついてくる」
狐娘「?」キョトン
男「待っててっていったよねー?」
狐娘「おふろはみんなではいるものでしょう」
男「え…うーん…」
狐娘「はやくはいりましょう」クイクイ
男「えーと…」
男(どうしてこうなった)
狐娘「なんでたおるつけるんですか?」
男「人間はこうするんだよ」
狐娘「ふーん…」
男「さっさと入ってさっさとあがるぞー」
狐娘「なんでめそらすんですか」
狐娘「あの」
男「」ザー
狐娘「あの!」
男「え?ハイなんでしょう」ザー
狐娘「しっぽがじゃまでたおるがまけないんですけど」
男「」
男「そうきたか」
狐娘「もうまかないでいってもいいですか?」
男「え、いやだめです」
狐娘「あ!こっちのおっきいたおるならまけます!」
男「おお」
狐娘「…せまいですね」
男「率直な感想を述べるな」
狐娘「? それがしゃわーってやつですか?」
男「そうだ。これで体あらえよそしてタオルは外すな」
狐娘「はぁい」
狐娘「♪」ザー
男(どうしてこうなった…)
狐娘「あ!」
男「な、なんだよ」
狐娘「あたま、あらってあげましょうか」
男「いいよ」
狐娘「そんなこといわずにはやくあがってください。ほら」
男「…」ザバ
狐娘「えっと、このやつつければいいんですよね」
男「おう」
狐娘「おゆかけますよ」
男「おう」
狐娘「つけますよ」
男「おう」
狐娘「えへへ」ワシャワシャ…
男「…」
狐娘「…」ワシャワシャ
男「…?」
狐娘「…全然あわあわしませんね」ワシャ…
男「もしかしてリンスじゃね?」
狐娘「…これにつけたせば、りんすいんしゃんぷというものになるのでは…」
男「うん…いいよ好きにしろよもう…」
狐娘「おお、あわあわ」ワシャワシャ
男「ちょ、つけすぎ、目にはいった」
狐娘「えへへ」ワシャワシャ
狐娘「ながしますね」ザー
男「おう」
狐娘「きもちよかったですか」ザー
男「…まあまあ」
狐娘「ふふん」
狐娘「…よし」キュ
狐娘「こうたいです」
男「え?」
狐娘「こうたいです」
男「そうきたか」
男「ったく…」
狐娘「♪」
男「この耳?もあらっていいの?」
狐娘「あい」
男「おゆかけるぞ」ザー
狐娘「ふふ」
男「犬あらってるみたいだ」ワシャワシャ
狐娘「しつれいな」
男「おもしろいな何か」ワシャワシャ
男「ところでしっぽがじゃまなんだが」ワシャワシャ
狐娘「もっふもふですからねそりゃ」
男「しまえないの?」ワシャワシャ
狐娘「しまえませんよ」
男「ふーん…ながすぞ」ザー
狐娘「わぷ」
男「目つむってろって」ザー
狐娘「は…鼻ぎゃ」
男「…はい、終わり」
狐娘「むー」ブルブル
男「ちょ、水とぶ」
狐娘「さっぱりしました」
男「左様か」
狐娘「なんかくちょうおかしくないですか」
男「決してそんなことはないぞ」
狐娘「…」
男「俺もうあがr…」
狐娘「まってください、まだおふろはいってないです」グイ
男「」
男「いや、べつにシャワーだけでm」
狐娘「だめです」
男「何故」
狐娘「おふろにちゃんとつからなきゃおふろのいみがありません」
男「お前過去にお風呂と何かあったのか」
狐娘「わけのわからないこといってないではいりましょう」グイッ
男「ちょっ…」
男「溺れるかと思った」
狐娘「…鼻が痛いです」
狐娘「きもちいですねえ」チャプン
男「…」
狐娘「男さん?」
男「お前のしっぽ面積で俺の場所がせますぎる」
狐娘「ほにゃ?」
男「お前どこまでもっふもふなんだよ…水にぬれてしぼむとかねーのかよ…」
狐娘「もっふもふなのでむりです」
男「そうかい…」
狐娘「♪」チャプチャプ
男(ほんとにどうしてこうなった…)
男「…」
狐娘「…あついですね」
男「あがるか」
狐娘「はい」
男「お前先にあがれそして服を着ろ」
狐娘「むー」ザプ
男「着終わったらいえよー」
狐娘「はぁい…」ガラ
男「…ふー」
狐娘「…着ましたよう」
男「おう。じゃあリビングいってろ」
狐娘「あい」テテテ…
男「ふー…」ザパ
男(くそっ…心ん中読まれてないといいけど…)ペタペタ
狐娘「おかえりなさい」
男「お、おう」
狐娘「たのしかったですねえ!」
男「お、おう」
男「てかお前、それしか服ねーのか」
狐娘「あい」
男「しゃーねーな、俺のなんか貸してやるよ」
狐娘「!」パアア
男「お前には少し大きいかもしんないけど…」バサ
狐娘「ふおお…」モゾ
男「あっ、バカここで着替えるなあっちで着替えろ」
狐娘「あい」テテテ
狐娘「じゃじゃん」
男「ハイハイ似合う似合う」
狐娘「男さんのにおいがします」スンスン
男「嗅ぐな」
狐娘「いいにおいですよ」スンスン
男「だから嗅ぐなと」
狐娘「…」ジッ
男「何だよ」
狐娘「きょうもいっしょにねましょう?」
男「こ と わ る」
狐娘「なんでですか!」
男「お前と寝るとしっぽが邪魔」
狐娘「しまいますから!」
男「しまえるんかい!」
狐娘「まあ嘘なんですけどね」
男「」
男「よし、じゃあお前布団で寝ていいから。俺は床でねる」
狐娘「そんなこといわずに」
男「お前こないだ床で寝ろって俺に言ったよな」
狐娘「きょとん」
男「口で言うな」
狐娘「いーじゃないですか最後なんだから」
男「い や だ」
狐娘「…」
男「…」
男「え?」
男「最後?お前帰んの?」
狐娘「…」
狐娘「…みちを、おもいだして」
狐娘「やっぱり、いつまでもこっちにいるわけにもいかないので」
狐娘「…はは」
男「…そっか」
狐娘「あはっ、いわなきゃよかったですねえ!」
狐娘「…いわなきゃ、よかった、です」
男「…」
狐娘「たのしかったです、すこしのあいだだったけど」
男「うん」
狐娘「にんげんにも、いいひとはいるんだなって、おもったし」
狐娘「だれかとごはんたべたり、いっしょにねたり…」
狐娘「おふろにはいって、あたまあらってもらったり」
男「…うん」
狐娘「ほんとうに、おせわになりました。」ペコ
男「いや、別に俺はなんも…」
狐娘「あしたのあさ、ここをでます」
男「…おう」
狐娘「…」
男「…」
男「…寝るか」
狐娘「…あい」
狐娘「…」
男「…」
狐娘「…もうねましたか」
男「うん」
狐娘「ふふ」
狐娘「なんかおはなししてください」モゾ
男「眠い」
狐娘「むかしばなしがいいです」
男「やだ」モゾ
狐娘「はやく」
男「…昔々あるところに、おじいさんとおばあさんがいませんでした。おしまい」
狐娘「ふぎゅー!」ポカポカ
男「痛いし」
狐娘「いじわるですね」
男「別に」
狐娘「そして嘘つきです」
男「…」
狐娘「てをつないでもいいですか?」
男「…」
狐娘「…」キュ
男「俺まだいいっていってないんだけど」
狐娘「いいじゃないですか」
男「…」
狐娘「あったかいですね」
男「ふーん」
狐娘「…おやすみなさい」
男「おやすみ」
男「…」
男「…」チラ
狐娘「すぴー…ふにゃ」ゴロン
男「…」ゴロン
男「…」パチ
狐娘「おはよございます」
男「…はよ」モソ
狐娘「おきちゃいましたか」
男「…帰るんだっけ」
狐娘「…」
狐娘「ほんとは男さんがおきないうちにかえろうとおもってたんですけどね」
狐娘「…」
狐娘「…さみしくはないですか」
男「べつに」
狐娘「にんげんはうそつきですね」
男「…」
狐娘「…あなたにあえてよかったです」
男「…」
狐娘「さようなら」
男「…」
男「…俺も」
狐娘「え?」
男「俺も楽しかった」
狐娘「…そうですか」
男「お前はアホだし、大変だったけど」
狐娘「…むぅ」
男「しかも妖怪だったけど、誰かと一緒にいるなんて久しぶりで、」
狐娘「…」
男「ほんの少し一緒にいただけだったけど、本当は楽しかった。あんまりにも、楽しすぎて…
男「…行くなよ」
狐娘「…」
男「…ごめん、本当はこんなこと」
狐娘「じゃあ」
男「?」
117誤爆
男「ほんの少し一緒にいただけだったけど、本当は楽しかった。あんまりにも、楽しすぎて…」
男「…行くなよ」
狐娘「…」
男「ごめん、本当はこんなこと」
狐娘「じゃあ」
男「?」
狐娘「また、ひろってください」
狐娘「…また、わたしがこっちにきて、まいごになったときは、またひろってください」
男「…おう」
狐娘「…いつくるかはわかりませんけど」
男「いいよ。何十年でも、何百年でも待ってやる」
狐娘「嘘はいやですよ」
男「嘘じゃねーよ」
狐娘「変なの」クスッ
男「うるさい」
狐娘「みじかいあいだでしたが、ありがとうございました」
男「おう」
狐娘「…」ジッ
男「何だよ」
狐娘「ちょっといいですか」クイ
男「?」
チュ
狐娘「…ふふん」
男「なっ、おま…」
狐娘「これであなたはわたしをおよめさんにもらわないといけなくなりました」
狐娘「にんげんのきまりですよね?」
男「え、それはどうだろう」
狐娘「せきにんはとってくださいね」
男「…おう」
狐娘「…こんどこそ、ほんとうにさようなら」
男「…おう」
男「…あ、あいつ俺のtシャツ持っていきやがった」
男「今度返してもらわないとな…」
おわり
寝る
寝る
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