男「死にたがりな幼馴染の自殺を止められない」 その3-2 (406)

当スレッドは
男「死にたがりな幼馴染の自殺を止められない」 その3
男「死にたがりな幼馴染の自殺を止められない」 その3 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1384785150/)
の建て直しとなっております、落としてしまい申し訳無いです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1431797520

最近忙しくスレを落としてしまい申し訳無いです、建て直し前スレッドの続きという形ですが、一応話の頭から巻き戻す形で投下しようと思います

ではでは、数日内に

男「死にたがりな幼馴染の自殺を止められない」

男「死にたがりな幼馴染の自殺を止められない」 その2
男「死にたがりな幼馴染の自殺を止められない」 その2 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1318765682/)

男「死にたがりな幼馴染の自殺を止められない」 その3
男「死にたがりな幼馴染の自殺を止められない」 その3 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1384785150/)

と来ており、3スレ目の建て直しです

現行話の途中で落ちてしまったので、その話の頭から投下させて頂きます

店主「へぇ、それは災難だったねぇ」

男「そんな嬉しそうに言われてもね」

店主「俺があげたものが役に立ったらしいじゃないか、冥利に尽きるね」

男「実際助かったからね、そうじゃなかったらわざわざ話しに来ていないさ」

店主「それならまた良い物を仕入れてこないといけないねぇ」

店主「不安定な回復道具もないし、どうしようかね」

男「不安定なら使いたくないんだけれども」

店主「ん? もう使ったじゃないか」

男「え、あれ回復道具だったんだ」

店主「そりゃそうだろう、一時的に自身の状態の維持及び苦痛の除去は回復に属するさ」

男「安楽死も医療ってところかな、確かに非常に役に立ったけれど」

店主「あんま日持ちしないからね、君が持っているとはいえ」

男「僕が持つと持ちがよくなるのかい?」

店主「なるさ、君の周りはエネルギーがあると言っただろう、そこらの人に渡すよりは遥かに消えなくなるのさ」

男「ふーん、それがいい事ばかりなら喜ばしい所だね」

店主「しかし辻神に精霊風ねぇ、俺も戦いたかねぇわな」

男「まるで戦えるような言い方だけれど」

店主「いーや、剛力無双の天邪鬼かつ予言の件だったあの頃ならともかく、今じゃそういうわかりやすい強さは持ってないさ」

店主「人間ってのは辛いねぇ、既に元だが」

店主「あぁ、君を責めたり文句を言ったりというつもりはないよ、これで良かったと思っているし」

店主「ま、実際のところは逃げるのが精一杯だろうね、俺でも」

男「逃げれればこんな苦労はしなかったんだけどねぇ」

店主「時間稼ぎだったと考えればいいじゃないか、それに君が巻き込まれなければ国津神による退治も遅れたようだし」

店主「被害が少なくてすんだじゃないか」

男「そんなポンポン人に死なれても嫌だから、そこのところはいいけどさ」

店主「引っかかるものがあるみたいだねぇ、君が巻き込まれやすいのは知っているんだろう?」

男「そこに文句はないさ、必要経費の様なものだろう」

店主「君たち二人でいる為のね、今は一人で一匹か」

男「霊を匹で数えるんじゃあない、というか何で今日は店にいれてあげないのかな」

店主「前回は吸血鬼ちゃんに押し入られただけで、ここはそもそも人間以外立入禁止だよ」

店主「そういう小屋なのさ」

男「あぁ、この小屋自体も不可思議なんだったね、ログハウスって方ばかり目が行って忘れがちだね」

店主「そもそもここがログハウスだということに気付くのも普通は難しいんだがね」

男「ぬらりひょんのせいかな?」

店主「そう、この小屋とは相性が良いのでぬらりひょんは俺よりもこの小屋に混ぜちゃいるのだが」

店主「パーツを俺と共有してしまっているせいで、ここからあまり離れられないのが玉にキズだね」

男「ご隠居生活にしてはアグレッシブに移動出来るようだが」

店主「この前気が向いたから極地にオーロラを見に行ったんだが」

男「いきなり地の果てまで行ったね」

店主「いやー、寒かったね、生身の人間じゃ死んでたな」

男「もしかしてその服のまま?」

店主「そうだが」

男「夏服で行くのがおかしいんだよ、常識知らずとかそっちの方かな」

店主「あー話が逸れてるな、いや逸らされたのか、引っかかるのはそこじゃないんだろ?」

男「あら、戻すんだ」

店主「いたずら好きな性格は治らんもんだな、こういうのが楽しくて仕方ない」

店主「話したくないことを話させるとかな」

男「全く、いい性格しているよ」

男「あまり話すようなことじゃないと思うんだけどね、女が中にいないから話してもいいか」

店主「というかだねぇ、君」

男「うん?」

店主「そもそも昨日の時点で連絡をくれていれば俺も何かしらの準備をだな」

男「いや、辻神からの疱瘡神、それで刀持って山までお参りだよ?」

男「流石に疲れたんだ、勘弁してくれないかな」

男「そもそもに連絡と言っても連絡先が無いじゃないか」

店主「言われてみれば、確かに」

店主「何かしら用意した方が良いのだろうか」

店主「そうか、俺はこの時代を全然理解出来ていないのか」

店主「なるほど、知識はあろうと意識にはなっていない」

男「ま、それはどうでもいいや」

店主「どうでもいいのか」

男「僕の話の方を聞きたいんだろう?」

店主「そうだそうだ、そうだった」

店主「話せ話せ、何が引っかかっている?」

男「さしたる証拠もないからあんまり言いたくは無いのだけれど」

男「ざっくり言うと半吸血鬼の性格かな」

店主「退魔士の家だったか、ここいらだと名が通っていたようだが」

店主「当然現在じゃあ退魔士業は廃れているわな、普通の家とさして変わらんだろう」

男「そ、あの子の破滅的なまでの人外嫌い、足どころか身体を半分突っ込んでいるにも関わらず、非常に憎んでいるように見えるよね」

店主「家が廃れたせいって話か?」

男「そうだったら分かりやすいんだろうさ」

男「でも彼女はそもそも自分の家のことを話そうとはしない」

男「と、言うことは退魔士としての家の復興などが目的ではないと考えられる」

店主「ふむ」

男「じゃあ同族嫌悪かと思えばそうでもない」

男「彼女は妖怪が非常に嫌いな時もあれば、苦手程度で済んでいる時もあり統一感がなく不安定だ」

男「不可思議な存在を許せないわけでもなく、特定の何かが嫌いでもなく」

男「倒せる倒せないで決めているかと思えばそうでもなく」

店主「じゃあ何で突っかかる?」

男「自分が嫌いだから」

店主「あぁ、半分人間じゃないという半端さが嫌でってことか?」

店主「情けない、我々と違って自分の在り方を自分で決められるんだ、そんなことで」

男「うじうじしているわけじゃない、のだろうね」

店主「あん?」

男「まぁ、ココらへんまでかな、あとは憶測だし、他人に話すのは本当に気が引けるんでね」

男「それこそ、後でバレたら殺されてしまいそうだ」

店主「ふーん、ま、いいけどさ」

店主「こっちも見せたいものの準備が出来てきたんだ、暇なら見ていってくれ」

男「待ち合わせがあるからそんなにはいられないよ」

店主「あれま、忙しい中寄ってくれていたのかい、そいつは悪いね」

男「ここに寄るのも用の一つさ」

店主「そうかい、まぁいいもんだから見ていってくれよ」

店主「ほら、どうだ、やっと集め終わったんだ」

店主「探すのは手間だったよ」

男「どうして、これが?」

店主「不可思議屋は、どこにだって在るんだ、存在するもので誰も管理していないのなら集められるさ」

男「確かに、壊したりはしていないけど」

男「赤い靴、か」

男「それでこっちは学校の大鏡」

男「あっちは、サリーさん」

男「揃いも揃ってよく集めたね、大鏡くらいだよ、まだ理解出来るのは」

店主「あれはその後処分されていたからな、何の障害もなかったが」

店主「赤い靴は誰かの元へと移動し続けるからな、誰かが履いてしまうとどこかへ消えてしまう」

店主「だから、履いてはいけないよ、ここに戻ってくるわけじゃないからね」

男「いや、流石に履かないし、男性には履けないんじゃないかな」

店主「そんな気はするね」

男「サリーさんはよく捕まえてこれたね」

店主「君にイジメられて弱っていたからな、正直これが一番楽だったかもしれんな」

男「僕が巻き込まれて、どこかにいった物品か」

男「確かに僕らはそんなアフターケアなんて考えてもなかったけれど」

店主「気にする必要はない、そもそも生きてるだけで褒められるべきだよ君は」

男「ま、僕じゃそういうのを壊したりまで出来ないからね、追っかけることも出来ないし」

男「元々、無理にそういうことをする気はないよ」

男「僕は生きるために生きているからね、無駄に死ぬようなことはしないさ」

店主「お前らが変に追っかけたりしないように集めといたんだが、杞憂だったか」

店主「思っていたよりも、しっかりしてるな、自分が見えている」

男「そうかな、出来る事をしようとしているだけだし、なんせ僕は自分を見失ったりすると女が死んじゃうからね」

男「変な余裕が無いだけだよ」

店主「ふーむ、ま、そんな感じで危なそうなアイテムも保有だけはしているぞという話だな」

店主「売る気はないが、壊したりする気はない」

店主「こんなとこに閉じ込めとけば百年もすれば勝手に消えちまうと思うがね」

店主「どうにも、こういう不可思議を壊せないんだよな」

店主「消えゆくものはそういう定めだとして見ていようと思えるのだが」

男「人間の味方に徹しきれないのも君らしくていいんじゃないかな」

男「そもそも、人間の為に開いている店じゃないんだろう?」

店主「はっはっは、お前に諭されるとはな、いやいや敵わんな」

店主「では、また寄ってくれ、何かあるとは限らんが」

男「うん、また寄らせてもらうね」

第39話





同「わざわざ呼び出して、何の用かな」 男「少し、話がしたくてね」







男「何の用かと言われると困ったな」

男「先日は世話になったからさ」

同「それはボクだってそうじゃない」

同「ボクだけだったら死んでたよ」

男「そうかな、僕がいなければ逃げれたんじゃないかな?」

同「ボクが逃げる? 何から?」

男「僕に凄むなって、ま、たしかに君は怪物というか無差別的に被害を与える化け物は嫌いだよね」

男「かと言って同じく強くても知性的というか、人間に混じって生活していたりするものは、例えば神様とかだけど」

男「人型のものにはそこまでは厳しくない」

男「線引きの理由は何かな?」

同「特に決めてないよ、そうだったら昨日の疱瘡神だって戦ってないはずじゃない」

男「そうだねぇ」

男「君はあれだものね、人に危害を与えるものが嫌いなんだよね」

男「人型、というよりは人語を解するかあたりがその区分けの一つで」

男「解さないものは、意思疎通出来ないのが多いから大体嫌いで」

男「人型まで来ると結構な割合で会話が出来るからね、実際はその辺かな?」

同「わかっているなら、周りくどい聞き方する必要ないじゃん」

男「確かに」

男「そうだ、身体の方は大丈夫なのかな」

同「夕方に呼び出してる時点で、大体わかってるんでしょ」

同「知っての通りまだ治ってないよ」

同「ボクが寝ても治らないなんて久々だよ」

同「昔の人が常世をタブー視するわけだね」

男「割には元気そうだけれど」

同「元々この時間からは元気過ぎるくらいだから、弱っていても人並み以上だよ、心配ご無用」

同「っていうかあの後、問題なく届けられたの?」

男「刀? 問題なかったよ、神社まで持ってったらぶっ倒れた神様も現れたし」

男「神域内じゃないと顕現出来ない位だったから、しばらく寝込んでるんじゃないかな」

男「そもそも今は人じゃないんだし、街をウロウロされても困るけれど」

同「あの剣の強さも結局は神様の力依存だったもんね」

男「いや、それは僕にはわからないけれども」

同「ボクにはピリピリくるからわかるんだよねぇ」

男「要は魔に触れてなくてもエネルギーは散っているわけだ」

男「熱みたいに発散してしまう」

男「で、君の話からすると神域内でもピリピリくるのはあると、つまりは神域内はエネルギーがあるから散らない」

男「だから外に出ているとガス欠で倒れてしまうと」

男「まぁそんな所なのかな」

男「そもそも顕現の仕方自体に何かしらの制限があることも考えられるし」

男「信仰域であるこの街から出られないというのは話半分に聞いておいたほうが良さそうだけれど」

同「どうして?」

男「地縛霊でもないのに特に移動が出来ないということは無いだろうということだね」

男「神には分霊みたいな考え方もあるし、しっかり祀って信仰があれば他の街にだろうと顕現することはあるはずだしさ」

男「なーんか不可思議屋が広告というか物販しているから行動範囲広がるんじゃないかなぁとね」

同「なる程ね」

同「じゃあ外に出なければ治るんだ」

男「そうだと思うよ」

同「外に出なきゃ無敵みたいなもんじゃない」

男「神様なんてそんなもんじゃないのかなぁ、管轄内で効力を発揮する傾向にあるし」

男「逆に外をうろつける方が問題だと思うんだけどね」

同「そっか」

男「外を歩けるのは元人間だからってとこかねぇ、昔からいる神だろうし人と神の境目が薄かった時代の名残かも知れないけれど」

同「まぁ、あそこの神様が消えちゃったりしないならいいけどさ」

男「へぇ、君でも神様とかは心配するんだ」

同「ボクはそこまでマッドじゃないよ?」

男「退魔の剣なんて君からしたら嫌かと思うけど」

同「あれはねぇ、斬られたら泣きそうだよねぇ」

男「不可思議屋が死ぬかと思ったとか言ってたなぁ」

同「件と天邪鬼から特殊能力奪って身体を人間にしたら霊能力者程度でしょ?」

同「それであの剣触ったら泣くよね」

男「泣くで済むんだ」

同「逆にベースが人間じゃなかったら即死かもね」

同「そういう意味ではボクも即死はしないだろうけど、身体の半分消えたら結局死ぬからダメだよねぇ」

同「剣って形なのはそういうとこでもわかりやすく強いよね」

男「他の聖なる何かより?」

同「そうそう、魔除けとかも痛いけどさ、刺さらないし?」

男「君もそうだけれど、日本的じゃないよね、武力で解決というあたり」

同「そうなの? 平和ボケしたお国柄だとは思うけどさぁ」

男「それは君が荒んでいるだけだとは思うけどね」

男「上手く付き合っていくとか知恵やら悪知恵やらでどうにかしちゃうとか」

男「何でなんだろうね、平和なお国柄なのか」

男「単に多神教の国だからか」

男「現代の信仰の在り方はもっと変わってきているけれど」

男「複数の意味で世界が狭くなったというのもあるし、科学信仰の時代だからね」

同「科学信仰?」

男「現代の最大宗派だという解釈が出来るからね」

男「他の宗派を否定して正しいとしてきた宗教戦争とかさ、そういうのからすると」

男「神を否定して、物理法則を定めている科学も宗教の一つだという話だね」

同「もしかして、ほとんどの人間が科学の正しさを信仰しているから」

男「物理法則は正しく作用するし、人外の存在は否定される」

男「ということもあるのかもねぇ」

男「現実に君みたいなのもいるわけだし、科学自体が全ておかしいという訳では当然なくて」

男「最大宗派故に、過度に正しく在れている所はあるかもね」

同「でもここには神もいるし幽霊だって吸血鬼だっているじゃない」

男「エネルギーが余っているとか言っていたね、科学信仰だけだと使い切れない多量のエネルギーがあるんじゃないかな」

男「科学はそもそもそういうエネルギー自体を否定しているからどうしても余ってしまうとか」

男「というかさ」

同「うん?」

男「今日はそういう話をしに来たわけではなくて」

同「何の話しに来たんだっけ」

同「っていうか女ちゃんは?」

男「不可思議屋に置いてきた」

同「何で? 君の護衛にはなるでしょ」

男「いや、僕は別に護衛が必要な人じゃないんだけど」

同「え?」

男「え?」

男「まぁいいや」

同「ボクとしてはあんまよくないけど」

男「近頃さ、君機嫌悪いよね」

同「そう?」

男「何か悩んでるんじゃあないかなって」

同「何かって何?」

男「例えば、そうだな、家のこととか」

男「怖い顔するのはやめてくれよ、よくある話だろう、家庭環境で悩みを抱えるなんてこの年代にはさ」

男「それとも、違う何かがあったのかな?」

同「あー、わかった、わかったもういいよ、ボクから話したほうがマシだってわかった」

同「うちが退魔士みたいな仕事してたってこと」

男「うん、知ってる」

同「だよねぇ、いやまぁ何かバレてるとは思った」

男「やっぱり?」

同「だってさ、何かボクの家の話振らないし、雷獣飼ってるあれでも見に来る気も無さそうだったし」

男「そっか」

男「まぁ、君のとこの家業が退魔士だということは知っていたけれど」

男「他の人は知らないんじゃないかな、女ですら」

同「あ、そうなんだ」

男「自分から言わないってことは大方想像つくからね」

男「要は君の代で久しぶりに退魔士が出来るようになったわけだ」

同「うん、まぁそうだね」

男「ただ、退魔士というのは名前だけで実際は」

同「化け物による化け物退治」

同「英雄による化け物退治とは色合いが違うよねぇ」

男「それに加え、君は数代ぶりに吸血鬼の力が使えるなんてもんじゃなくて」

同「初代ぶりじゃないかな、記録を見るに」

同「ボクを除くと代々吸血鬼率は下がる一方だったからね」

男「初代ってことは」

同「半人半妖って奴?」

同「まー江戸時代にはよくある話でしょ」

男「いやぁ、絶対よくある話ではないけれどね?」

ここまでが現行話の貼り直しになります、お疲れ様でした

数日内に次の投下をしようと思います、今後共よろしくお願いします

ではでは、また

今日は来ました

ここからが新しい部分の投下となります

同「で、ボクは恐らくその半不死者初代ぶりの半分な訳だけど」

男「ということは初代ってのは君並に戦えるんだね」

男「そりゃ仕事に出来るわけだ」

男「当時ここらへんには大きい神様もいなかったみたいだし、役に立ったんだろうねぇ」

同「別に人の為にだと、は思ってないけどね」

男「やっぱり退魔士業が嫌いなんだ」

男「だから自分の気の向くままにしかやらない、人の依頼を受けたりはしない、困ってる人を探して助けたりもしない」

男「別に君のそれをどう使うかなんて君の自由だからいいんだけれど」

男「頑なにお金にはしたくないみたいだね」

男「その気になれば仕事に出来るはずなのに」

男「どうしてかな」

同「べっつに、好きじゃないだけだよ、人でいたかった先祖の仕事なんて」

男「人でいたかった?」

同「え、あ、あー、ちょっと待って」

男「昔はコミュニティが現代の僕らでは想像も付かないくらい狭い、外国なんてあるかすらわからないどころか」

男「日本の中ですら国があるような感じで、コミュニティが狭いというより世界が広かったと言うべきなのかも知れないけれど」

男「狭いコミュニティであるということは、自身を構築する世界も狭いということで」

男「当然、人との関わりはその人の在り方に大きく関わり、依存度は遥かに大きかっただろう」

男「そんな中、初代は墓から生まれて」

男「拾われて、育てられて、半分人じゃなくて」

男「君が苛ついている理由はそこなんだろう?」

同「苛ついてる、まぁ苛ついてるんだろうね」

同「あーあー、こんなの人に言うもんじゃないんのに」

男「人であると認められたくて、コミュニティに入れてもらいたくて半人半妖の君の先祖は」

男「化け物退治を、退魔士を始めたんだ」

男「人の為に人ならざる者を倒す半人は人だろう、そうに違いない」

男「何故なら『人である』としていれば非常に有益であるから」

同「恥っずかしいなぁもー」

同「そこまで書いてあったの?」

男「流石にそこまでは書いてなかったよ」

男「でも、君の行動原理を考えている中、それを見つけてさ」

同「それ?」

男「まぁ、古文書のことだけれど、それにはこうも書いてあってね」

男「善意の退魔士である、と」

男「下手すれば宗教家よりも遥かに最低限の礼しか貰わずにやっていたそうじゃないか」

男「確かに、君と同じくらいならば食料すら無くても死なないのだから並みの人間よりは節約出来そうなものではあるが」

男「おかしいだろう?」

男「なんでそんなにお金をもらわなかった?」

男「貰えなかったわけではなく、貰わなかったんだ」

男「善意以外の理由があると考えるの普通だろ?」

同「それで、気付いたんだ」

男「そういうこと」

同「そ、ボクの家は人間でありたくて周りに媚びへつらってたって訳」

同「人なんていくらでも殺せただろうに、そうやって脅したり何かせずね」

男「それは結果として正しかったと思うよ、そういう悪者なら初代で退治されていただろう」

同「でも、媚びへつらっていたってことは変わらない」

同「代を重ねる毎に人になっていくのがボクの家では喜ばしいことだったんだよ」

同「ボクの親の代でついに霊感すらほとんど無い普通の人間、純粋に半々と吸血鬼の割合は減っていくんだから当たり前だけど」

同「10代目で1000分の1以下の割合のはずなんだから」

同「吸血鬼としての力が使えたのはせいぜい6代目あたりまでで、そこからは廃業していたはずだったんだ」

同「でも、ボクが産まれてしまった」

同「親戚一同恐れ慄いたそうだよ、自分の子どもや孫にもまだ化け物が産まれるのかも知れないとね」

同「で、ボクがどういう扱い受けたかわかる?」

男「何となくはね」

男「君は怖がられてるんだろう?」

同「わかってるじゃん、その通りだよ」

同「ボクは色んな意味で怖がられているんだよ」

同「ボクが産まれたせいで、みんな」

同「ボクなんて産まれなければ」

同「とか思ってた時期もあったけど、いくら泣いて死にたがってもボクは死なないからね」

同「しょうが無いから家のこと調べたよ」

男「それで、何のための退魔士かがわかってしまったと」

同「うん、この血をこれ程憎んだときはなかったよ」

同「正直、親とか親戚が内心引いてるし、嫌だと思っているのは子供ながらも察してたよ」

同「でも、それでもボクにはこの身体能力があると、強い力があるとそうも思ってたんだ」

男「そりゃ子供とは言え君には大人でも勝てないだろうね」

同「でも、その力はボクにも勝てない大人たちに媚びへつらう為のものだったんだよ」

同「それを知ったときは悲しいのか悔しいのか、それともキレてるのかわからなかったけど」

同「それからかなぁ、ボクが人外が嫌いになったのは」

同「同級生とかとあんま仲良くないってのは昔からだから変わってないんだけど」

男「君の先祖ってだけで、君とは関係無いと割り切ればいいんだけれどね」

男「時代が違うから、君のそれは受け入れられないのではなく、そもそも理解が、認識がされないんだから」

男「初代と違って半妖が理解されないんだから」

男「現代には妖怪なんていないんだから」

同「ボクの半分はいないようなもんだってこと?」

男「違うよ、半妖が理解されないなら君は何になる?」

男「普通は人間と一緒なら、それはもう」

男「君はそのままで、半人半妖のままでしっかりと人間なんだよ」

同「う゛ぅぅ」

男「それに初代と違って君は綺麗な半人半妖じゃないんだろう?」

男「かなりの割合で人に寄れるんだから、自分の吸血鬼率をある程度制御出来るのだから」

男「一層人間らしいじゃないか」

男「って、おいおい泣くなよ」

同「泣い゛でない゛も゛ん」

男「はいはい」

男「君の先祖は、墓から生まれて、そのまま寺に拾われて、育てられて」


男「それで、独立して退魔士業を始めたんだっけ」

同「あ゛ー待ってね」

同「おっけー、ほんと毎回よく調べてるね、そこら辺で調べられるものじゃないでしょ」

男「そこら辺で調べられるけどね、そこの神社とかって涙引っ込むの早いね」

同「ま、汗も涙もボクの体液だからね、再吸収は容易いね」

同「しかし古文書レベルはズルいなー」

男「昔の土砂崩れの記録とかも平然とあるからねあそこ」

男「ちゃんと学術的に寄与した方がいいものが多いよあそこ」

男「面倒くさいで一蹴されたけど」

同「いいのそれ」

男「別に記録を出さないのは罪にならないからねぇ」

男「というか、あの家であの家で、神の直系だからそこら辺の隠蔽の為に公に出来ないんじゃないかなぁ」

男「面倒くさいって言ってるのはあの神様だけど、今なんてそれが住んでるからね、調査機関とか絶対入れられないよね」

同「バレないんじゃないの?」

男「まー、流石に普通の人は入ってこれないと思うけどね」

同「っていうか調査機関とか入ってくるほどのことないでしょ?」

男「いや、あの神社に属している土地は山単位だからね、周りの山と生態が違うから私有地じゃなければ調べたいでしょう」

同「生態が違うの?」

男「長く神域として人の手が入ってない山はすごいよ」

男「君はそう言えば入ってないんだっけ、原生林っていうと語弊があるかもしれないけどさ」

男「普通の山とは違うねぇ」

男「昔のまんまなんてもんじゃ無いよ」

男「そもそも昔の山みたいなのも大体は雑木林とかそういう人の手の入っている前提の山だから」

男「そういう山の森は明るいんだ」

同「明るい?」

男「そ、君は暗くても困らないから存外気付かないかも知れないけれど」

男「人の手が入るって要は何かを取るってことだからね」

男「植林ってのも無くはないけど、それはそもそも木を無くしてるから植えるわけで」

男「だから明るくて風が通って過ごしやすい森になる」

同「そうなんだ」

男「ジメジメ湿った怪しい森ってのイメージつくかな」

同「魔女が住んでそうな?」

男「そんな感じだね、そういうとこは人が何もしてないってわけだ」

男「だから普通の生活をしてて関わるような森とは雰囲気が違って」

男「結果として、神域とかそういう普通ではないとこと考えられてきたんじゃないかな」

同「それでより人が寄らなくなるから怪しい森は怪しいままと」

男「そういうこと、100年も放置されれば大分変わるからね、100年前の状態なんて当時は誰もわからないから」

男「不思議な場所みたいになるわけだ」

男「山だけじゃなくて森も空間の区切りとして昔から考えられてきたってとこの一因だろうね」

男「そもそも森なんてなんもない平地に比べれば湿度が高くて気温が安定していてと肌で感じる違いがあるってのが大きいだろうけど」

同「じゃああの山はずっと人の手が入ってないから貴重だってこと?」

男「まぁ、そうなるんじゃないかな」

男「周りにはいない虫とか鳥とかいると思うよ」

同「妖怪の類的な意味じゃなくて?」

男「そういう意味でもいそうだよねぇ」

男「ほら、神社のある隣の山って荒神が地名に残ってるじゃない?」

同「知らないけど?」

男「いやまぁ、そうなんだよ」

男「で、あそこは入会地とか御留山とかそんな名目っていうか建前で禁忌とされてきたんだ」

男「ま、荒神が攻めてきた時の山だから何か残ってそうってのはわかるけど」

男「というか、何かどころかそもそも残ってたわけだし禁忌にしたのは正解だったんだけれど」

男「そっちの山は何か特に誰の私有地でもないから生態調査とかしたらしいんだけど、周りの山とは独立した生態だったらしいんだよね」

同「へー、何か珍しいのいたの?」

男「植物でも昆虫でも何かあったらしいね」

男「苔なんて固有の種とかなんかで地方新聞の方に前載ってたよ」

同「確かにあそこ鬱蒼としてるよね」

同「淀んでるっていうのかな、そういうとこって悪いのも流れ着きやすいんだよね」

同「街に居場所のない幽霊というかその成り損ない?」

同「残留遺志みたいなのがふよふよしててね」

同「昔はそういうのが悪さしてたのかなーって思いながら前に一通り食べてきたけど」

男「食べたんだ」

同「それが一番早いしねぇ、それにちょくちょく何か食べてたほうが調子いいんだよね」

同「あれ」

男「どうしたの」

同「あっちから赤ん坊の鳴き声聞こえない?」

男「そっちは森しかないと思うんだけど、誰かいるの」

同「いや、いないね」

男「というか、僕には聞こえないんだけど結構遠くの声聞いてる?」

同「あ、そっか身体ガタガタだから普通に吸血鬼状態だし今耳もいいんだ」

同「あー、遠いしこれ人じゃないかなー」

男「どうして?」

同「だって上から聞こえるんだもの」

本日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

次回もまた早めに

お疲れさまです
復活して良かった

おお、復活してたか!

おつ!
復活して何よりです

乙おつ
ひそかにお気に入りだったので嬉しい
頑張って下さい

今日は来ました

意外とこの話書きにくくて困っています、ついでに次の話何にしようかとかも

ではでは、投下していきます

男「上から?」

同「うん、あっちの方」

男「それ赤ん坊なの?」

同「っぽいけどー、見えないからわかんない」

男「木の上に赤ん坊でも吊るされてない限り、あんなとこにいるわけはないし」

同「妖怪かな?」

男「だと思うけれども、赤ん坊の声で泣く妖怪ってのは人を呼ぶためにそんな声を出しているわけだから」

男「木の上から聞こえるなんておかしいんだよね」

男「それじゃあ、通りすがりの人が触れないから」

同「ボクならいけるけど?」

男「今は君でも厳しいだろうに」

男「となると、声の正体を探りに来たところで襲い掛かってくる類と見るべきだし」

男「近付かないが吉だね」

同「でも声はこっちに近付いてるよ?」

男「動いてるの!?」

同「うん」

男「先に言ってよ、とりあえず逃げるよ」

同「あ、うん」

同「とりあえず人気のない方向に行くよ」

男「あぁ、逃げるんじゃなくて移動して迎え撃つ気なんだね」

同「別に追ってこないなら今日はいいかなぁ」

男「そっか」

同「ちょっと強い奴だと勝てないだろうし、困っちゃうねぇ」

男「何でちょっと楽しそうなんだい?」

同「いやぁ、死にそうだなぁってドキドキはあんま感じないから嬉しくて」

男「色々と凄まじいね」

男「まぁいいや、こっち来てるの?」

同「うん、来てるね、ボクら狙いみたいだね」

男「赤ん坊の声で泣く、浮いてる、飛んでる、色んな声が出せる、声マネが出来る」

男「赤ん坊の声で泣いて飛ぶ?」

男「オゴメに産女、鳥だから飛べるし、合っていそうかな」

同「わかったの?」

男「産女の類いかなぁって程度だけどね、怪鳥で赤ん坊を攫うとか、赤ん坊背負わせるけど実は石とか色々あるけど」

男「その中に赤ん坊の声で泣いたり特徴的な高笑いをするっていうのもあった気がするし」

男「ただ、赤ん坊を連れてるでもない僕らを追う理由はわからないねぇ」

男「何かを背負わせたりするタイプは追ってきたりはしない気がするけど」

同「対処法は?」

男「ウブメって言ってもあれは飛んでるから姑獲鳥って同じ読みでも漢字が違うんだけど」

同「どっちもわかんない!」

男「あれは飛んでるから人の子供を連れ去るとか、そういう系だね」

同「ボク達関係なくない?」

男「だから確証が持てないんだけど、赤ん坊の声で鳴いて飛んで移動してるものなんて他に知らないし」

同「新種じゃない?」

男「成る程ね、悪魔の証明って訳だね」

男「僕と女自体がそういう新種だしそれを考慮せざるを得ないところは実際あるけれど」

同「あ、やっぱりボクらの方に来てるし、移動も速いね」

男「どうしたもんかねぇ」

同「ボクの索敵範囲内に入ったよ」

同「まぁ当然人じゃないけど」

同「どうする?」

男「どうするも何も逃げ切れないんだし、対面するしか無いね」

男「君だけ逃げたいならそれでも構わないけれど」

同「まさか、相性悪い神様とかならともかく妖怪相手に?」

男「妖怪とはまだ決まってないじゃないか」

同「生物じゃないんだから、化け物でしょ」

同「神様も化け物って話?」

同「ふふふ、それも面白いけど今はあの鳥ぶちのめさないとねぇ」

男「見えてるの?」

同「ほら、もう見えてるよ、デカい鳥」

男「いや、僕は君みたいに方向とかわかるわけじゃないから」

男「と思ったけれど、普通に見えるねあれ」

男「本当にデカいね、人間大の鳥ってとこかな」

同「だねー」

同「お腹も減ってるし食べてくるね」

男「行ってらっしゃい」

男「あれで、無視して僕の方に来られたら困ったもんだけれども」

男「まぁ、そういうことも無いか」

男「真っ直ぐあっちに向かってるのは、昨日と同じで彼女狙いってこともあるか」

男「もしかして、僕らじゃなくてあっちもかなり巻き込まれるタイプ?」

同「男くん、それ聞こえてるからね!」

男「耳もいいんだったねぇ、悪いね」

同「絶対わかって言ってるでしょ!」

男「そんなことはないさ」

同「まぁいいや、わざわざこっち向かってきてんだからぶん殴ってあげなきゃね!」

男「確かに僕らの高さまで降りてきてくれているのは好都合だけれども」

男「それはやっぱり、僕らが標的にされているということが確定してしまったということで」

男「姑獲鳥、人並の鳥とは言え苦戦しないのは流石だねぇ」

男「って、あれ」

男「おかえり」

同「ごめーん、ぶっ飛ばされたー」

同「デカいだけあって筋力あるねぇ」

同「羽はむしってきたけれど」

同「うーん、味しない」

同「味しない?」

男「どうしたの?」

同「いや、この羽、味がしないから、なんだろ」

同「身体の一部じゃないのかな羽って」

男「髪でもいいんでしょ、君って」

同「だね、ということはこの鳥は偽物かな?」

男「あの鳥が偽物?」

同「そう、生物ではない部分っぽいね」

同「でも、中身はあるから機械みたいなものか、着ぐるみってとこかな」

男「式神の類とか」

同「なのかなぁ、もうちょっと食べてみないとわからないかな」

同「さぁて、もっかい!」

同「別に力負けもしてるって程じゃないし」

同「この程度なら食べれるボクのほうが有利だね」

男「あぁ、そうか、相手を吸収して回復できるから長期戦というか」

男「拮抗した状況みたいなのに基本的に強いのか」

男「成る程、ぱっと見若干不利程度は彼女にとっては普通に有利なんだ」

男「どうりで平然としてるわけだ」

男「というか、これ僕の方に見向きもしないし帰っていいんじゃないかな」

同「ダメ!」

男「きっと女の子限定なんだよそれ、僕関係ないって」

同「やだ!」

男「そんなんだから攫われそうに」

男「あれ?」

男「その鳥、攫おうとしてる?」

同「あー? 鳥の癖に取っ組み合いに持ち込もうとしてるんじゃないか、な!」

同「もう、バサバサ鬱陶しい!」

同「って、これ羽じゃなくて羽毛じゃん」

同「羽毛、いや羽衣?」

男「姑獲鳥だよそれ、やっぱり」

男「毛を着ると鳥、脱ぐと女になり、人間の命をよく奪い、鬼神の一種であると言う」

同「どうしよう、何か女の人になったけど」

男「いや、根本的には同じだから変わったってことは無いはずだけれど」

同「なら、やることは変わんないね」

男「すごい帰りたくなってきた」

同「だーめ」

同「うわっ、危な」

ウブメ「ワタシのアカチャン!」

同「話せるんだ」

同「っていうかボクはあんたの赤ちゃんじゃないっての!」

ウブメ「アカチャン、オオキく、ナッテ」

同「その腕もーらい、いただきますっと」

ウブメ「アカチャン、イイコ」

同「え? 嘘? どうしよう」

男「どうしたんだい?」

同「これ、産女じゃないよ男くん」

男「うん?」

同「だって、これは」

本日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

梅雨になりましたね、ジメジメするのもまぁ年に1回なら悪くないものです

ではでは、また来ますね

おつおつー

1週間以内には投下します…

まってまーす!

待つよー

久しぶりにきたー(゚∀゚)

今日は来ました

夏バテと夏風邪の季節ですね、ある程度は冷房機器の副作用と割り切るしかないのでしょうか

では、投下していきます






同「ボクと同じ味がする」





男「え?」

同「ありえない、これ、ボクと同じってことは」

男「千切れた腕がもう生えてきてる、この治り方って見覚えあるんだけど、もしかしてさ」

同「うん、吸血鬼だ」

同「しかも、この感じ」

同「ダミーとかそんなのじゃなくて、ボクそのものだ」

半吸血鬼と同じ味がする、ということが何を指すのか当人でない僕にはいまいちわからないとこではあるが

吸血鬼のエネルギーと味覚の対応がわからないし、同じ味が何を指すのか僕には理解出来ないけれど

今かなり危険な状況であることはわかる、戦闘にノリノリで持ち込んだ彼女が動揺しているからだ

いくら攻撃を受けようが怯まないで突っ込める精神性が彼女の強さを支えているのだ

それが困った顔で僕の方を見て、ましてや「どうしよう」だなんて

対吸血鬼戦闘が初めてで動揺している、というのでは恐らく無いのだろう

自分のそれに彼女は誇りを持っているわけではない

どころか、吸血鬼なんて現れたら嬉々として排除しようとするだろう

ということは、この同じ味というのはもっと限定的な意味であって

この産女は彼女と同じ系列の吸血鬼なのだろう

産女で吸血鬼で、彼女と同じで、僕には見向きもしない

つまり、産女の標的が彼女であって

産女は子供を狙うはずだ、子供が欲しいから

なぜならば産女とは子供を産めずに死んだ妊婦が成るものだからだ

子を思う想いの強さや生命を生み出すエネルギーを体現している妖怪変化で

その強さは本来幽霊になるはずの人間が妊婦であったという一点のみで鬼神の類にすら分類される程だ

更に吸血鬼でもあるということは、吸血鬼で妊婦だった

或いは妊婦が吸血鬼になったのか

彼女と同じ系列の吸血鬼だと仮定するならば後者の可能性が高いだろう

不死者の王としての吸血鬼は世界各国に点在する吸血系の妖怪や

吸血生物としての吸血鬼とは違うからだ

後者ということは、妊婦のまま吸血鬼にやられ死んでしまったのだろう

不死者にやられ、不死者となり蘇る

その過程で子供を失った

そして産女は彼女を自らの赤ん坊と呼ぶ

産女としての習性の可能性も高いが

やはり吸血鬼の妊婦が死んだ、のではなく

妊婦が吸血鬼に殺され、吸血鬼となったのだろう

そこで居なくなってしまった赤ん坊を探している

つまり、吸血鬼として活動を始めるまでのタイムラグで赤ん坊を失ったのだ

不死者として活動を始めるのに確か数日はかかったはずだ

母体が死んだのだ、中の子供が生きているわけはないだろう

普通に考えるのであれば、流産や死産と捉えるべきだろう

だが僕らは半分死んでいる子供が産まれた話を知っている

おそらく、彼女もそれに気付いてしまい、攻撃できなくなっているのだ

だから、すがるような顔で僕を見てくるのだ

産女にいくら抱きつかれようとも、それが攻撃でないとわかってしまったから

どうすればいいのかと、誰かに教えてもらいたいのだろう

僕だって、教えてもらいたいものなのだが

それに、僕が逃げるか否かも、見極めるとしたら今なのだろう

産女の標的は僕ではない、僕には見向きもしていないとわかったのだから

逃げていいのならば、今のはずだ

しかし、人型になった、人型に戻った産女が彼女を抱きしめるその姿は

その気迫は、並々ならぬ物があって

僕の中の逃げるという選択肢は容易に奪われてしまった

ありえないんだ、こんなこと

ボクと同じ味がするなんて

千切れた自分の身体を再び吸収したみたいな感じがするなんてことは

ボクの身体は確かに血液を体外で操ったりとかは出来るけれど、それはもちろん自分の身体だけの話だし

エネルギーとして分解もしないでそのまま吸収出来る訳ないんだ、ボクの身体でも食べない限り

いくら同じ吸血鬼とか言っても別個体の身体をそのまま動かせるはずはない

ということは、この産女はボクと同じ

同じ?

同じって眷属とかそういう?

でもボクは不死者として、不死者を増やしたりなんてしていないし

記録上はボクの家系でそういうのを作ったことはないらしい、というかそもそも眷属を作る能力があるのかも怪しいし

それにボクのはそもそも日本にいた吸血鬼ではないらしい

所謂南蛮渡来って奴だけど、大量の不死者が世界を支配していない現状からして退治されるなりしたのだろう

そもそも不死者が日本に来てる時点で追われていて逃げついたって感じだし

日本に逃げたってのが運の尽きだったのかな、ボクの祖先以外の不死者の話が残ってないんだから

まぁ、この国は現代ですら暴れ回ったらすぐに滅せられるってのがボクでもわかるし

当時もすぐ姿をくらましたか、すぐに消されたかってとこなのかな

んーでもそこで消えちゃうとこの産女がボクだってのが説明がつかないし

ボクと同じ吸血鬼、ボクのことを自分の赤ちゃんだと思ってるのは産女の習性なのかな?

吸血鬼で母親でボクと同じで

ボクのこれは先祖返りだから

本当は初代のことが探してる赤ん坊ってこと?

んーと、だからこれは初代の母親なんだ

半分生きたまま産まれたボクの先祖を産んだのは

半分死んでる吸血鬼だから、半分だけの吸血鬼

残り半分が幽霊となって、半吸血鬼の産女となって探してるんだ

いなくなった子供を

それにしても何百年探しているんだって感じだけどさ

だから敵意がボクにないんだ、それにしても力強すぎるけど

半分が吸血鬼で半分が人間のボクと違って半分が吸血鬼で半分が産女なんだから当たり前か

人間と比べたら怪力なんだ

しかも、ボクが思うにこれそんな頭良くない、生前の記憶がちょっとだけ残ってる浮遊霊みたいなもんだ

明確な自我はもうないから、赤ん坊なんて言いながら大の大人でも軽く殺せる腕力で抱きに来るんだ

普通に肋骨が折れたし、このまま締められてたら背骨まで折れるのも時間の問題かな

でもこの人、別に敵意があるわけではないし

目当ての物を見つけられたとこなんだろうし、あんま水差したくはないけど

今のボクはそんな骨がバキバキ折れる勢いで抱きしめられて大丈夫な体調じゃないから

どうしよう、一応親みたいなもんだよね、これ

ボクの半身の親の幽霊だもんね、ややこしいなぁ

で、どうしたらいいんだろう

行き場を失った愛情が、迷ってボクに向かってきている

その事実はわかったけれど

どうしよう、わかんなくなっちゃった

こういう時、どうすればいいんだっけ

誰か、ボクに教えてよ

今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

夏はホラーの季節ですね、特に意識はしたことなかったですがお盆があるからでしょうか

ではでは、また来ますね

きたー

おつおつー

おつー

今日は来ました

ではでは、投下していきます

ということは、この人?の狙いはボクなわけで男君は関係ないから

逃げればいいんだろうけれど、気付いてない

ってことは、無いんだろうね、あの顔は

気付いた上で、対処に困っているんだ

そりゃそうだ、ボクだって困っているんだし

とは言え、全快時のボクより強いであろうこの怪力に男君が手を出せるとは思えないし

っていうか、ちょっと待って、そろそろ折れ方がキツい、苦しくなってきた

内側から血液を硬めて骨格の代わりにしてはいるけど、この体力じゃ保たないし

やっぱり倒すしか無いのかな

言葉が通じるレベルなら、自分の赤ん坊だと思ってるボクを絞め殺す勢いで抱きしめるわけないし

つまり、ボクなのではなく初代に対しての執着心によって産まれた存在であって

意識や記憶がある程度保持されてる幽霊的な存在ではないってことなのかな

ま、どっちにしろ人間の意識が残ってないなら関係ないか

話が出来ない相手は誰であってもバケモノだ

腕もがれても気にせずボクに向かってきたのも、気にする頭が無いってことみたいだし

ボクと同じってことは吸収がすごいいいエネルギーってことだし、ちょうどいいね

とりあえず、食べちゃおっか

僕には、これを見ていることしか出来ないのだろう

彼女が力負けしてるとこからも、あれが吸血鬼と産女のハーフということが読み取れる

そして、残念なことにあれのメインは吸血鬼ではなく産女のようで

子供への執着心のみで動いているようなものなのだろう

そうでなければ、まずその大事にな子供をへし折ろうとはしないだろうし

そして、話も出来ないのであれば僕に出来る事は一気に少なくなるし

産女かつ吸血鬼という肉体的に優れた妖怪をどうにか出来るわけもなく

どうにか出来るわけもない、お守りクラスでどうにか出来る相手ではないし

今の僕には女が幽霊になっている以上、そこまで強いものは身につけられないし

産女メインであるのであれば、そこに吸血鬼としての肉体的特性が付与されているだけであるのなら

産女をどうにか出来ればいいだけだが、産女を退治するという話はそもそもになく

力でねじ伏せる彼女の戦い方も相性が悪いのもあって、苦戦している

彼女がやる気を見せてくれれば正直何とかなるのではないかと、近頃の体験から思ってしまうが

彼女が僕にどうにかして欲しそうな目をしているということは、何かしらの対策が欲しいのか

彼女の強がりの限界が近く、実際は勝て無さそうであるかってとこなのだろう

そうであるならば、僕個人としては逃げてしまった方が良さそうではあるが

いや、待てよ

あれの存在の根源は、執着心、つまりは感情だ

僕らのルールは一時的に感情や記憶、想いが失われることで消滅したときがあった

つまり、形造る元となる柱を無くせば成り立たなくなる物もあるということだ

この世への未練で成るという怨霊や子への執着心で成ると言う産女がその感情を失ったら?

消えると考えていいだろう

そして、感情を一時的でも消す物なら持っているじゃないか

煙羅煙羅シガレット

吸血鬼がメインで無いならば、この煙を吸えば或いは

一時的であれ、効果を発揮できるのならば、これは意味を為すのではないだろうか

男君が何かを取り出した

確か、あれは煙草型の煙羅煙羅、だっけ?

効果は確か、無感情になる

あ、そっか、そういうことか

無感情になれば、一時的に力が無くなる、のかな?

ボクと同じ吸血鬼だから、吸っても分解される気はするけれど

食べるという意識が無いなら、確かにちょっとの間は効果が出るのかも

さっきから肩とか食いちぎっても平気にしてるし、再生も多分意識してない

ってことは効くのかな

一時的に動きが止まるってだけでもありがたいし

さっきから食べてもダメージとで全然回復していかないし

おっけー、おっけー、男君、それで頼むよ

ボクは息を止めとくから、うん

うわ、煙い

花火をまとめてつけて水に突っ込んだみたいだね

目には染みない、不思議な煙だ

もしかして、匂いも無いのかもしれない

見えるだけで空気と何も変わらないってのは違和感がすごいね

でも、動きは止まった、無感情になると感情で動く産女は動けない

んで、両手から離れられればボクだって!

さぁ、反撃開始だ

男「いやぁ、これ効いてよかったねぇ」

同「もう、使えるもの持ってるじゃない」

男「そういう使い方を想定していないと思うんだよね、元々」

男「それに半吸血鬼という意味では効くか疑問があったし」

同「どうかなぁ、吸血鬼でも効くとは思うんだよね」

同「でも、その後の回復が早いから問題にならないってだけで」

男「なんであれ、君が元気になったみたいで良かったよ」

同「あ、わかる?」

男「なんとなくね」

同「ボクと同じ部分、吸血鬼部分は全部食べたからね」

同「全快って感じ」

同「だから、あっちはもう消えるとこ」

男「とどめは刺さなかったんだ」

同「わかってるくせに」

男「最初から、戦って倒す気だったら倒せていた」

男「だけど、君にはその気が無かった」

男「いや、あちらにもおそらく害意は無かった」

男「が、基本となる筋力が鬼神と吸血鬼のそれだ、抱きしめるだけで人間なんてへし折れてしまう」

男「それで、君は倒したいのか倒したくなかったのか、どっちなんだい?」

同「そりゃ、倒したくなかったよ」

同「それこそ、珍しくね」

同「でも、話が出来る程度じゃなかったし」

同「だから無力化して、消えるの待ってるの」

男「君がいいならそれでいいけれど」

男「うん?」

産女「よかった、元気になって」

同「え」

産女「元気なかったから、良かった」

同「話せたの?」

産女「良かった、良かった……」

同「あぁ、そういうこと」

産女「よかった、よかった……」

同「じゃあね、お母さん」

同「さようなら」

男「あれま、消えちゃった」

男「生命を生み出すエネルギーを付与することで人に怪力を授けると解釈される産女」

男「これは君に吸血鬼部分を差し出し、赤ん坊を助けたと考えればいいのかな」

男「つまり、最初から狙いは君で、君が死ぬほど弱っていたから助けようとしたと」

男「そして、妖怪としての力を失ったから、少しは喋れるようになった、と」

男「おいおい、泣くなよ、人の愛は慣れてないのかい?」

同「人じゃないもん」

男「はっは、否定するのはそこなのかい」

男「さて、それじゃ帰りますか」

男「いやいや、流石に疲れたな」

同「おぶってあげようか?」

男「グズグズしてる人にかい?」

男「みっともないからやめとくよ」

男「それに、女にも怒られそうだしね」

第39話





同「わざわざ呼び出して、何の用かな」 男「少し、話がしたくてね」






今回の投下はここまでになります、お疲れ様でした

半人半吸血鬼の設定掘り下げ回でした、せっかくなのでここらへんで挟んでみました

ではでは、また来ますね

おつんつん

おつー

とりあえず生存報告

おー待ってるよー

保守保守

今日は来ました

ではでは、投下していきます

男「わざわざ呼び出すなんて、不可思議屋は一体何の用なんだろうね」

初「私は知ってるけどね」

男「あれ、そうなの」

初「うん、近頃よく行ってたし」

男「確かに、そういえば近頃はいないことも多かったね」

初「地縛霊じゃなかったからね、好きに移動出来る内にね」

男「確かに普段の君は地縛霊だけれども」

男「なかった?」

男「あれ、何か君薄くなってない?」

男「触りにくくなってるし、あれ」

男「君、元に戻ってない?」

初「うん、戻ってる」

男「え?」

男「確かに初らしさが戻っている気はしたけれど」

初「そういうのあるの?」

男「まぁね」

男「なんとなく違うかな」

初「へぇ、見た目変わってないのにね」

男「ま、わかるよ」

男「それで、用事ってのは何かな?」

店主「あれ、聞いてないのかい」

男「教えてくれなかったからね」

店主「もったいぶったね」

店主「いや、言い難かったのかな」

男「君、何かやらかしたの?」

初「えーっと、あのね?」

初「やらかしたって訳じゃないんだけど」

初「順番に説明するとね」

初「このままだとお盆が来る度に、こうなっちゃうじゃない?」

男「そうだね、来年もこうなることは想像に難くないね」

初「それだと困るよね」

男「まぁ、困るし、困ってるよね」

初「それで、私以外の私が帰ってこれなくすればこの問題は起きないかなって話になって」

男「霊が帰って来て女が死んでることが他者に認識されるようになるから、僕らのルールが破綻する」

男「確かに死んでる女を認識されなければ破綻はしない」

男「けれど、そもそも初が死んでることは認識されているから、幽霊として留まっている」

店主「だけど、君たちのルールは破綻しなかった」

店主「そうだろう?」

男「そうだね」

店主「じゃあ、何が違うんだ?」

男「それは、初の幽霊はそもそも曖昧な記憶を発端とした噂話が怪談や都市伝説の体を成して」

男「その結果その話に合致する初が最終的には幽霊となった」

男「怪談や都市伝説が一番収まりのいい形に落ち着いたから、その形になったわけで」

男「元々は、女を特定している話ではなかったから?」

店主「おそらくは」

店主「我々において、似ていたり収まりが良かったりする話はそれらが合わさって一つの話になること自体よくある」

店主「そうして形を変えていくというのもまた、我々の在り方だ」

店主「そこから考えた解決策がある」

男「まさか」

店主「そう、別の話と融合させてしまえばいい」

店主「俺ならば、それが出来る」

男「何を言って」

店主「そう怒るな、感情的になるでない」

店主「まぁ、それも人間らしさか、見習うべきとこではあるのだが」

男「つまり、この合成幽霊の女から初を残して切り離し、別の何かの話と混ぜ合わせて」

男「初のように、絶えず存在するようにする」

男「そうすれば当然、お盆だからと言って帰るわけではない」

男「それは初が女の家に強制送還されなかったことからわかっている」

男「ならば、僕らのルールは止まらない、そういうことか」

店主「どうしてそう怒っている?」

男「初、君はわかってて黙ってたね」

初「あはは、男くんが忙しそうだったから放っといただけだよ」

男「そんなことをする君じゃないだろう」

男「僕が反対するから、僕の為に黙ってたんだな」

初「うん」

男「あー、しまった、考えてもなかったな」

男「幽霊の君は非常にアクティブだったね」

男「いや、元々そういう傾向はあったけれど、既に死んでいるからしがらみがないんだ」

男「だから自由に行動出来てしまう」

男「少し、考えてもいいかな」

店主「好きにするといい」

店主「既に起きていることは変わらないのだから」

男「僕が考えるのは、これからのことだよ」

店主「そうだろうな」

男「待たせたね、整理は出来た」

男「結論から言うと、僕は女の自主性を尊重するよ」

男「君がやりたいと思うことにこれといって反対はしない」

男「特に、僕の為にと思ってやったことに関しては、僕は何も言う資格はないだろう」

男「でも、それでもだ」

店主「いや、後の話は俺がしよう」

店主「最初に言っておくと、そういう考えを持ったのは彼女ではない」

男「君の入れ知恵か、まぁそうだろうね」

店主「あぁ、そうだろう、自分のルールについて深く考察ができる不可思議はそもそも滅多にいないからな」

店主「その結果だ、幽霊を隔離してしまうということ自体は成功した」

店主「成功したのだが」

店主「さらに言うと、初という地縛霊だけを残すことにも成功したのだが」

店主「数が足りなかったんだ」

男「数?」

店主「そう、隔離したからには流石に数えるだろう、集合霊とは厳密には違い、重なっている幽霊だから数えにくいのだが」

男「もしかして」

店主「そう、想像の通りだ」

第40話





初「私の数が、足りなくて」




本日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

ではでは、またきますね

きてた!
おつおつ

おつおつ

おつおつ

おつおつ

とりあえず生存報告

年越し前に読み返した記念。

年越し

あけおめ

新年あけましておめでとうございます

今年は、頑張りたいですね、忙しい年になりますが

期待

一週間以内には

少し落ち着いた感じもしてきたし、モチベーションもあるので久々に洒落怖やSCP等のネット系オカルトを読みなおしていたり

期待

待ってるぜ

今日は来ました

投下していきます

男「数が足りないって、どういうこと?」

男「色々考えられるけれど」

初「あ、別に消えたわけではないから安心してね、流石にそれだったら気付いてるから」

男「うん、それは安心だね」

男「しかし、消えているわけではなく君の数が足りていないということは」

店主「悪いけど、分離時のミスとは考えにくい」

店主「分離時に何体か抜けたならその場で気付くだろうし、そもそもに」

初「私に逃げるメリットがないからね」

男「集合霊じゃなくなって、自由意志が無くなり存在しないはずの実家に向かった可能性は?」

店主「わからない、が少なくとも逃げられたという感覚はなかった」

男「ということは、最初から足りていなかった」

男「もしくは、どこかで分離してしまったか」

初「んー、わかんないね」

男「君にその自覚が無いのがなぁ」

男「厳密には君は集合霊ではないからそういうのわからないのだろうけれど」

店主「だろうな、集合霊ではなく存在が重なっているだけだから自分の一部を失ったという霊的な痛覚は備わっていないだろう」

店主「仮に備わっていたら、初を分離する際に死ぬほど痛がっていたはずだからな」

初「え、そんな痛いかも知れなかったのそれ」

初「聞いて無いんだけど?」

店主「言ってないからな、幽霊に効く麻酔なんて用意するのが難しいし」

男「むしろ存在するんだ」

店主「探せばあるかも知れないだろう、霊的な存在に外科的な手術等を施す為の技術が」

男「あるかも知れないね」

男「そう言えば少しは人間なんだっけ、ベースが霊能力者だからそういう方法があれば出来ちゃうのかもね」

初「痛いかもなんて聞いてないんだけど?」

店主「言ってないからな、別に痛くてもいいだろ?」

初「うん、慣れてるしね」

男「記憶は完全に同期したみたいだね」

男「それは良かったことだけれども、数が足りないのはいただけないね」

初「最初からいなかったってことは無いはず、多分だけど」

男「それはそうだろうね、お盆に帰ってこれない理由として弔われなかった、霊として既に存在している等があるけれど」

男「そもそもお盆は祖霊が帰ってくるはずだから厳密には帰ってくるのはおかしいけれど」

店主「直系の子孫どころか本人が弔ってるんだから帰ってきても不思議ではないだろう」

男「そういうことなんだろうねぇ」

男「となると、どこか僕らの知らないところで幽霊になっているということが無ければどこかで分離したことになるけれど」

店主「前者はないだろう、基本的に幽霊になったとしても君らの生活圏はずだし、それならばとっくに半吸血鬼が発見しているだろう」

男「考えにくいよね、実際」

男「じゃあ、自然に分離するってことは考えられるのかな」

店主「霊的な痛覚が無いということは、分離したことに気付けないことはあるが」

店主「流石に自然に分離したら気付くだろう、そんな距離をおいて発生するとも思えないし」

男「となると残っているのはどこかに閉じ込められている、ってとこかな」

店主「何らかの結界に触れて一部が取り込まれたとか、そういうことは考えられるな」

男「結構、僕から離れてうろうろしてたからなぁ」

初「ちなみに、心当たりはないよ」

男「そりゃあったら言っているだろうからねぇ」

男「さぁて、どうやって探したものかね」

男「あれ、同からメールだ」

男「あー、見つけたみたいだね」

店主「ちなみに足りないのは初と数えたら3人だったが」

男「え、足りないのって一人じゃないんだ」

男「とりあえず同に来てもらってから考えようか」

同「やっほー、持ってきたよ」

男「どこに?」

同「ほら、この写真に入ってる」

男「あ、ほんとだ」

男「というか、そのポラロイドカメラが幽霊を閉じ込められるってことなのかな」

同「っぽいね、他にも幽霊が入ってる写真は何枚かあるけど、幽霊以外が入ってることはなかったし」

同「試しにボクを撮ってみたけど特にダメージもないし、幽霊限定かなぁ」

店主「そのカメラは俺が貰っておこうか」

同「ボクが持ってても使わないからね、いいよ」

店主「ありがたい」

男「で、写真に入ってる女は出せるかい?」

店主「これは普通に破れば出てくるタイプだと思うよ」

男「へぇ、便利なカメラだね、それとも特別なのはフィルムの方かな?」

店主「うーん、これは両方かな」

店主「本体でもフィルムでも変わってしまったら幽霊を捉えることは出来ないと思う」

店主「どこでこれを?」

同「そこら辺歩いてたらカメラ構えてうろついてる変な人がいたから、軽くしばいてきた」

男「カツアゲじゃないか」

同「そのカメラ越しに見ると霊感とか無くても幽霊とか見えるみたい」

同「そのカメラが霊感のかわりになってるみたいな?」

同「で、ボクを見てあからさまにビビッてたから急いで気絶させたよね」

店主「カメラが霊感になってて、フィルムに閉じ込めると」

店主「汎用的な機械だが、妖怪に使えない時点で有用とは言えないな」

初「というか、その人大丈夫なの」

同「ヘーキヘーキ、ちょっと記憶が飛んだ位だから」

男「便利だねぇ、邪視」

同「人を殺すほど力はないけどね、針刺せば心が弱い人なら気絶くらいはさせられるようになったよ」

店主「この前の吸血鬼事件以降吸血鬼としての力が増してるな、面白いなぁ」

店主「バラしてみたいなぁ」

同「喰い殺すよ?」

男「なんでそう好戦的なのかねぇ」

男「で、このカメラの出所はわかってるのかい」

同「流石にそのくらいはわきまえてるよ」

同「と言ってもまともなこと答えられなそうだったから微妙だったけれど」

男「君、見られて即針刺したでしょ」

同「うん」

男「そりゃビビって話せないわけだ、君の不死者の王状態は霊感無くてもオーラみたいなの見えるからね」

同「纏ってるのはオーラじゃなくて影なんだけど」

同「ま、いっか」

同「それで、カメラの出所はあれだって」

同「座敷牢の魔女」

本日はここまでになります、お疲れ様でした

ではでは、また近いうちに

>>90
まってたんだ!

おつ

おつ

ほっしゅ

今日は来ました

店主「座敷牢の魔女?」

男「知らないのか、意外だな」

店主「どこにでも行けるからと言っても、どこのことだって知っているわけではないからな」

男「それもそうか」

初「というか私も知らないんだけど」

男「ちょっと遠いからねぇ、電車に乗らなきゃいけない距離だし」

同「ボクは走っていけるね」

男「君ならいけるだろうねぇ」

同「まぁ、座敷牢の魔女って話はボクでも聞いたことはあるけれど」

男「むしろ君だから聞いたことあるんじゃないかな、君結構この街以外にも移動してるみたいだし」

同「まぁね」

男「しかし、それって都市伝説どころか噂話レベルの話だったと思うのだけれど」

同「それは同感、実在するとは思えないね」

店主「それが実在したとして、このカメラを魔女から貰ったってことか?」

同「いや、廃棄品みたいだね、持ってた男は拾ったか盗んだか知らないけど要らないんだったら貰ってもいいだろうみたいなこと言ってたし」

店主「このレベルの道具が要らない? そんな訳無いだろう」

店主「並の霊能家に売ってみろ、百万はくだらないだろうさ」

同「ま、その人も金目当てだったみたいだから捨てられたというよりは保管してたのでも盗難したんじゃない?」

男「その話だと、魔女が実在するようなことになるけど」

同「うん、そこが問題だよね」

男「話が広がらないということは、少なくとも表に出るようなことはしてないのだろうけど」

店主「ははは、マジックアイテムが表に出るルートでやり取りされる時代があったのか?」

男「一理あるね、除霊アイテム系の製造元にあたる可能性があるわけか」

店主「その場所を突き止めた欲深男が盗み出し、その効果を確認している間に吸血鬼にシメられたと」

男「運が無いにも程があるね、その人」

店主「悪いことは出来ないということさ、そういう話はよくあるだろう?」

男「欲深い人間がいいことになる話は、そりゃないからねぇ」

同「いやいや、悪いのは欲深いことじゃなくて弱かったことでしょ」

店主「ブワッハッハッハ、その通りだな、お前に負けなきゃいいんだもんな」

店主「そんな人間が安い盗みを働く訳無いだろうが」

同「そりゃそうだ」

男「まぁ、しかし座敷牢と付くのが気になるよね」

男「場所的には座敷牢があってもおかしくない旧家の本家ではあるが」

男「座敷牢って身体的、精神的に障害がある者を置いておく為の場所だった気がするんだけど」

同「変な性格なんじゃない?」

男「本当にカメラを魔女が作ったものだとして、閉じ込めて作らせてるってのが妥当なのかな」

店主「ありえないとは言えないが、閉じ込めるメリットが薄いな、むしろその力があって閉じ込められるのかが疑問だ」

男「座敷牢ってのは言葉だけで実際には閉じ込めてない、とか」

店主「その魔女が一人であるように見せるための騙りというのも有り得るだろう」

男「同じものなら一人で作ったと言う方が箔が付くもんね」

男「でも本当に閉じ込めていて、本当に魔女がいるとしたら」

男「本人は意図して作ることが出来ない様なタイプってことになるのかな」

店主「意識的に能力を使うことが出来ないから閉じ込めている、あたりならそうなるのだろうな」

男「というか、ここでうだうだ言っててもあんま進まないし、見てきてよ」

店主「いや、そんな簡単には移動出来ないのだが」

男「あ、そうなんだ」

店主「どこにでも在るだけであってどこにでも瞬間的に移動出来るわけではないんだ」

店主「それにどこにでもと言っても例えばここの国津神の神域内には移動出来ないし、そもそも空き地がないと入っていけないってのは言うまでもないか」

男「近くに空き地がないと君は近寄れないんんだね」

店主「ここから長くは離れられないからそうなるな」

店主「それに、これは物理的な移動ではなく概念的な存在の転移だからお前らが入っていると、多分お前らが死ぬことになるが」

男「バラバラになっちゃう感じか」

店主「そんな感じだろうなぁ、まぁ俺以外の移動が出来ないって認識でいいさ」

店主「それで、座敷牢の魔女は旧家なんだろう?」

店主「近くに空き地がないどころかそもそもに敷地が広くておそらく俺では行けないだろうな」

店主「退魔系のアイテムを作ってるとなれば尚更な」

店主「ま、そんな感じでこの家というか俺がか、万能ではないと思ってくれるとありがたいね」

店主「所謂万能さという奴は自由と引き換えに失ってしまったのさ」

男「そりゃ件の能力は万能だっただろうさ」

店主「ただ、その強さは不自由さの上に成り立っていたのさ」

店主「俺が世界を動かしているというよりは、世界に俺が動かされているような物だったからな」

店主「まぁ、大方の不可思議はそうなのだが」

店主「それにああいう所には俺はどうにも悪評でね」

店主「近づかないに限るのだよ、本当に」

男「君、バラ撒いてる側だもんね」

店主「ふふふ、そういう意味でもこの街は居心地がいいわけだ」

同「この街はボクと国津神が担当してるから攻撃されないもんね」

店主「国津神の末裔と吸血鬼の末裔がいる街だ、そもそも魔除け等の需要はなかったろうな」

男「その割には、やたらゴロゴロいると思うけれど」

店主「それは近年の話だろう、ここ百年程度、現人神も吸血鬼も力がなかったのだからそうもなろう」

店主「それにこの街じゃなかろうがゴロゴロしてるものだ、気付けないだけで」

男「ま、そういうものなんだろうね」

男「さて、問題になってるのは女がどこに捕まっているか、ということなのだけれど」

同「一人はこの写真、あと二人だよね」

男「座敷牢の魔女が実在していたとしても、まず女と接点はないだろう」

男「女はそこまで遠出はしていないのだから」

初「そうだね、精々この街の中くらいなものだよ」

男「と、なるとうっかり捕えられた他の場合を考えるべきなのかもしれないな」

店主「ん? その話はもう解決しただろう」

男「いや、あと二人足りないんじゃ」

男「あぁそうか、心当たりが無いのは初だけで、お前にはあるんだな?」

店主「クスクスクス、そういうことだ、それに心当たりではなく情報だ、精度が違う」

店主「実際足りない三人の内、二人は見つかっていたんだ、残り一人が本当に行方不明だから問題だったわけで」

店主「それをこのパトロールが持ってきてくれたわけだ」

同「誰がパトロールだ」

店主「結界に触れて隔離される可能性があると言ったろう?」

店主「あとの二人のうち、片方はこの店に、片方はあの神社にいるのさ」

男「君がイタズラ好きな天邪鬼だということを忘れていたよ」

男「嘘は言ってないけど、情報を全部出してるわけではなかったか」

男「そしてそうか、女が一人君の店に取り残されたのを見て女を分離出来るという着想を得たのか」

店主「流石にいきなり思い付くような内容じゃあないからねぇ」

店主「んじゃ、ちょっと神社にいる女ちゃん持ってきてよ」

店主「そしたら、はじめようか」

男「やれやれ、ずっとそっちのペースじゃないか」

店主「意趣返しという奴だ、さっさと行ってきたまえ」

男「わかったよ」

今回の投下はここまでになります、お疲れ様でした

んー、思ったように投下速度が上げられず申し訳ない
どうにも回復したモチベーションに時間やプロット制作がついてこれてない感じで

ではでは、またきますね

>>101
おつです
モチベがあって落ちる前に来てくれたら待てるよ!
落ちても定期的に探すけど

おつんつん

やっと追いついた
続きも期待

今日は来ました

未だに読み返してくれたり、新規で読んでくれたりする人がいるみたいで嬉しい限りです

読んでくれる人がいるのは本当にありがたいことですね

というか流石に読んでる人がいなかったら書きには来ないでしょう、自分を含めた大抵の人は

ではでは、投下していきます

男「やぁ、久しぶりというほどでもないけど、お邪魔するよ」

ク「お待ちしていました、お邪魔すると言っても私達の家ではないので気にしないでいいですのに」

男「本殿よりも奥の土地に行くわけだからねぇ、勝手に来てたら不法侵入になってしまうよ」

ク「この土地の保有者は確かに法律上は私の親ですが、神様の折り紙つきな男さんを誰が捕まえられるのでしょうか」

男「君がその神様の後継に当たるわけだし、君じゃないかな」

ク「なるほど、私なら捕まえていいのですね」

男「だから顔を出したんじゃないか、毎回と言うわけにはいかないけれど」

ク「時々来ていますよね」

男「お世話になってるからねぇ、この神様にはさ」

ク「お世話になったのは、こっちの方なんですけどね」

男「まぁ、そんな感じで良くしてもらっちゃうのも居心地良くないからね、神様とは仲良くさせてもらっているよ」

ク「それは嬉しいですね、それで今日はどのようなご用件で?」

男「んー、忘れ物を受け取りにって所かな」

男「ってあれ、何も聞いてない?」

ク「ええ、何も」

男「やれやれ、やっぱり隠れ家の方だったか」

男「それじゃ、行ってくるよ」

ク「私も一緒します」

男「そう、それなら行こうか」

男「そういえば、神様は大丈夫だったかな」

ク「あぁ、この前の件ですね」

男「そうそう、大分弱っていたけれど」

ク「弱ってましたけど、二、三日寝ていたら治ったみたいですよ」

ク「もう元気にしています」

男「そっか、まぁあの神様として正しいことをしたのだから特にひどいことにはならなかったのかな」

ク「正しいこと?」

男「んー、外敵からこの街を守るって感じかな、元々大神と戦った神な訳だしさ」

ク「神様の性質としてってことですか?」

男「そうそう、縁結びの方が実は現人神となった後からついた能力で、そもそもは国津神だったのだから」

男「地方というと語弊があるけれど、この地域を守るという能力があったわけだ」

男「それが今の状態になってしまってからどれだけ残っているかは謎だけれど」

男「まぁ少なくともそれでも昔は大神を撃退したわけだ」

男「今回の相手は大神程ではないのだろうけれど、どちらにせよ神の類だったから」

男「どれだけ無理したのかなと思っていたわけさ」

ク「あの時は刀、持ってきてくれてありがとうございました」

男「いや、置いとくわけにはいかないだろうし、そもそも僕が持ちだしたようなものだからね」

ク「警察に刀が自主的に出てきたと言っても聞いてはもらえませんからね」

ク「でもここが被害届を出さない限り問題にならないのでは?」

男「あれは銃刀法に引っかかるんじゃないかなぁ」

男「国宝級の代物だとは言え、あれ切れるし」

ク「確かに、でも警察にはうちや同ちゃんの家ならそれなりにコネはあるからしばらくすれば釈放されるとは思いますけど」

男「やっぱりそういうのあるんだ」

ク「妖怪、悪霊退治は警察と協力することもありますからね」

男「警察内にそういう組織があるわけではないのかな」

ク「さぁ、そこまでは知りませんけれど」

男「興味深いけど、あんまり首突っ込んでいい話じゃないんだろうなぁ」

ク「そうでしょうね、私も出来る限り避けようとはしているのですが」

男「本職じゃ難しいと」

ク「まぁ、そうなりますね」

男「さて、ここに落ちれば到着だね」

ク「やっぱり慣れていますね、普通の人にはそうそう見つからないはずなのですが」

男「そんなことになってるんだ、いやなってそうだねうん」

男「どうも、数日ぶりかな」

「毎日来いと言っておるだろう」

男「ここまで毎日ってのは、どうにも距離がね」

「信仰心の足りん奴だ、呼べば喜んで毎日来るやつだっているだろうに」

男「うん、まぁ本物の神がいるだからそうだろうけどさ」

「ま、お主がやたら忙しいのは知っておるがの」

男「ははは、暇な方がいいくらいなんだけどね」

「人外に好かれておるからの、魅入られてると言うのが正しいのか」

ク「神様も男さんのこと好きですものね」

「にゃっ、別に我はそんなことはないし?」

ク「そうですねぇ、くすくす」

「そうだ男よ、探しものはこれだろう?」

男「あぁ、ありがとうってこれはなんだい?」

「女の幽体の一部ではないのか?」

男「中に入ってる小さいのはそうだと思うけれど、この透明なボールみたいなのものは何なのかなって」

「本体から離れているせいで消えられても困るので、とりあえずの保護じゃ」

「適当に壊して開ければ問題なく出てくるぞ」

男「よく閉じ込められる子だねぇ」

「ふわふわしててそこらの何かに喰われてしまうよりは良いだろうて」

男「その通りなんだけれどね」

男「まぁ、とりあえずこれで揃った訳か」

男「あまり気は進まないが、しょうがないか」

「そうそう、やたらと早く復活出来たことに関してじゃが」

男「やたら早かったんだ、ここに帰って来たからではなくてってことかい?」

「うむ、本来ならしばらく寝たきりではあっただろうの」

男「そんな無理してたんだ」

「最初から覚悟の上で出て行ったのじゃから、お主は何も思う必要はないがの」

「それでもここから出れるだけマシなのじゃ」

男「ま、そうだろうね、今は人間の体ではないのだから」

「そんな訳で寝込んでいた我を治癒したのが今代の巫女よ」

ク「いや、私は別に」

「謙遜するでない、その力は本物だろうて」

男「そんなこと出来るんだね」

「同じ神統、血筋だからの、同じ力を分け与えただけだから普通の人間の治癒が出来るわけではない」

男「クーちゃんやっぱり現人神としての力、あるんだね」

ク「お察しの通り、あの事件以降ですけれど」

ク「おかげで他の神社にも呼ばれるようにもなって、嬉しいやら今まで呼ばれなかった理由も考えると悲しいやらで」

ク「いいことだと思ってますけどね」

男「ならいいのだけれど」

「そもそもお主がいなければ今ここに我もこの子もいなかったのだ、そう考えすぎるな、何でもお主のせいにするもんではない」

男「そこら辺の折り合いの付け方はこれから考えていけたらなと、最近はそう思っているよ」

「ふむ、まぁいきなりと言うのも考えてみれば無理か、お主は数ヶ月前までは普通の人間だったのだから」

男「今も普通の人間なはずなのだけれども」

男「さて、今日はゆっくり出来ないからそろそろ行くよ」

「うむ、いつでも来るといい、歓迎しよう」

男「女を保護しといてくれてありがとうね」

男「でも、直接教えて欲しかったかなぁ」

「ふむ、そういうものか」

男「今の時代の連絡っていうのは人づてじゃなくていいんだよ」

「そういうものか、覚えておこう」

男「それじゃ、またね」

「うむ」

店主「うむ、お使いご苦労様」

男「ここから神社って結構遠いんだから勘弁して欲しかったよ」

同「まぁ、ボクじゃいけないし」

男「あ、君まだいたんだ」

同「ひどくない?」

男「てっきり帰ってると思っていたよ」

店主「いやいや、うちの玩具で遊んでいたよ、なぁ?」

同「あれを玩具ってねぇ、まぁ遊んでいたけどさぁ」

店主「それで、もらってきたのかい?」

男「あぁ、ほら、カプセルみたいなのに仕舞われてたよ」

店主「また彼女は器用なことをするねぇ」

同「いや、あんただって似たようなことしてるじゃん」

店主「三人のはぐれた女の所在は写真と珠と、それとこの磁石」

男「U字磁石?」

店主「そう、しかし放っているのは磁力ではなく言うならば幽磁力」

男「要は幽霊を引っ張るわけか、確かにその磁石NとSじゃなくてP極とG極?」

店主「ファントム極とゴースト極だな」

男「同じものじゃないか、恐ろしく語呂悪いし」

店主「まぁ近くの幽霊を引っ張り寄せるだけのおもしろアイテムだからな」

男「あぁ、それで女を固定していたのか、そして同はそれで遊んでいたと」

同「いや、ボクは、えーとその別に」

同「ごめんなさい」

男「謝っちゃうんだ」

男「というか、この三人の女、どれも反応ないけど大丈夫なの?」

初「あ、それ私も思ってたんだよね」

店主「君以外が単体になるとほとんど意志がなくなるみたいだね」

店主「だからこそ、俺もあの神様もどっかいかないようにしたわけだ」

店主「さて、これで揃った訳だし、始めようか」

男「何か手伝うことでもあるなら」

店主「俺だけでいい、いや、俺だけがいい」

店主「そこで待っていてくれ、そうは掛からないから」

男「具体的な話はまだ聞いていないけれど、そうしておくよ」

店主「期待していてくれ」

今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

久々にインターネット上で簡単に見ることの出来る洒落怖やらSCPや普通にWikipediaなんかでオカルト分を補給していますが、全然読み終わらないですね

というか、元ネタやら似たような話やら気になるワードやらでどんどん検索するものが広がってって収拾がつかなくなります

それが醍醐味ではあるのですが

そしてこのSSも数回読みなおすことになりました、細かい設定や伏線に使おうかと思ってたことやもう使った話やら、そういうのくらいどっかに別に書きだしておけばよかったと思わされました

後悔はしましたが、反省はしないので今後も脳内記憶と適宜調査で乗り切っていこうと思います

ではでは、また来ますね

>>111
おつです
情報検索してると時間立つよね

おつおつー

おつんつん

おつー

とりあえず生存報告だけ

報告乙

今日は来ました

保守めっちゃ助かりました(ダメダメ過ぎる

ではでは、投下していきます

同「それで、これどういうことしてんの?」

男「あ、説明されてないんだ、僕も詳しくは知らないんだけれどさ」

同「女ちゃんがバラバラになってたというか、そこにまだ一人残ってるけど」

初「あ、私? 私は良いんだよね、これで」

初「そもそも私は学校の幽霊だしね、分離してしばらく経つしそろそろ潮時かなぁ」

同「やっぱりずっといられるわけじゃないんだ」

初「地縛霊だからね、名残りと磁力でここにいるだけだから」

男「そっか、まぁ、そうだろうね」

初「じゃあね、また学校で」

男「はいはい、明日にでも会いに行くさ」

店主「へぇ、消えたね」

同「そうだね、確かに」

男「何がだい?」

店主「幽霊ちゃんだよ、痕跡を残さずに消えたからさ、面白いなぁって」

男「幽霊なんだから出たり消えたりもするだろうけれど、それとは意味が違うんだろうね」

同「違う違う、全然違うんだよね」

同「移動する為とか、隠れるみたいな感じの幽霊が見えなくなる、いなくなるってのは何となくここにいるなぁってわかるし」

男「まぁ、君ならね」

店主「俺もわかるけど」

男「ダメだ、ここだと人間がマイノリティだった」

同「でさ、見えないって言ってもそこに在るってことは変わらないからさ」

同「消えるってのは変なんだよね」

店主「そうだね、要はワープしたってことだし」

男「ふーん、それって僕と女のあれみたいな感じ?」

同「あー、確かに似てるね、ワープとか死体が消えるのとかと同じかも」

男「要は瞬間移動した訳か」

店主「まぁ、そうだろうな、在るべきところに戻ったというのが正しいのだろうが」

男「しかし、ルールとはそういうものだろう?」

店主「確かにそうだったね」

店主「ふふふ、俺も感性が人間っぽくなってるのか」

店主「とりあえずそういう話は後にして、あれだ、待たせたね」

店主「出来上がったよ」

男「何を作っていたんだい?」

店主「良い物さ、ほら」

男「これは、手鏡?」

店主「覗いてごらん」

男「普通の鏡では無いのだろうけれど、一体何が」

男「女が、映ってる?」

店主「さぁ、これは何でしょうか」

店主「安心してくれ、別に正体を言い当てることが弱点のものではないから」

店主「ただ、物理的に叩き割ったりするのは避けてくれ」

男「あぁ、気を付けるよ」

男「さて、それでこの鏡の中の女は何なのか、という話か」

男「あー、これ君にも見えるのかな」

同「見えるよ、女ちゃんならね」

同「先に言っておくけどその鏡は普通の鏡じゃないね」

男「僕にだけ見えているわけでもない、そして触れても干渉が出来るわけでもない」

男「異世界の入り口などではなく、なぜか中に女がいる」

男「つまり幽霊が入っているわけだが、封印されているのか何なのか」

男「これ、君的にはどうなの」

同「ボク? んー、別にそれ妖怪とか何かなんじゃないの」

男「つまり、退魔系のアイテムじゃあ無い訳だ」

男「封印されてる説はそれでも無くなった訳ではないけれど」

男「鏡の妖怪なんて言ったら一つだろう」

男「雲外鏡」

店主「流石に簡単過ぎたかな」

男「鏡の中に幽霊が、なんてのはパターンも何も無いだろう?」

男「海外の変なものを持ってこられたら流石にわからなかっただろうけれど」

男「確か雲外鏡は古い鏡に霊力が宿り、化物が棲みついた物の事を言う」

男「その棲みついた化物というのに女を使い、古い鏡ならまぁここにあったよね」

男「反転世界の入り口になった姿見がさ」

店主「そ、雲外鏡の素材はあったというわけさ」

店主「これには女の霊が棲みついている」

店主「そういう風に俺が作った、だからこれからも女は死ねばそこに入るだろう」

店主「つまり来年以降のお盆の心配はしなくていい、はずだ」

男「なるほど、既にいる幽霊はお盆であろうと関係ない、そもそも現世に留まっているのは帰ってくるに該当しないから」

店主「そして都合の良いことに、その鏡を維持するのに必要な霊力は、集合霊自体でまかなえている」

男「だから壊さなければ大丈夫だと」

店主「霊能力者とかこの子みたいなのにも気を付けるべきだが、な」

同「ボクは食べないよ?」

男「あぁ、でも女の霊を君が食べたらどうなるんだろうね」

同「え、どうなるの?」

男「さぁ、君に食べられたら消えるんじゃないの」

同「多分」

同「というかそんなことしたらボクが男君に殺されそうだからやらないけど」

店主「はっはっはっ、吸血鬼がただの人間を敵にするのを恐れるか」

同「いや、恐れてるというか、まぁそれでもいいけど」

店主「俺ももう嫌だしな、消されるのは」

男「いや、あれは君が死にたがってたからであって、僕が積極的に消しに行ったわけでは」

男「まぁいいや、どちらにせよ人間相手なら立派な犯罪か」

男「とりあえず、これ中の女と意思疎通って出来るのかな」

男「何かこっち側の声は聞こえているみたいなんだけれど」

店主「あっち側からの音は恐らく通らないな」

店主「ちなみに、手鏡自体を動かす力はあるぞ」

男「なるほど、ふわふわと自力で飛べるなら落として割る心配もないね、人前で飛ぶのは避けてもらいたいけれど」

店主「意思疎通方法は後々考えるとしてだな、ここからが」

男「なんだい?」

店主「いや、ここからも本題なんだ」

同「やっぱりそうなんだ、あれ」

女「やっほー、生身だと久しぶり?」

男「え、女?」

女「そうだよ、わからない?」

男「いや、朝を待たずに現れているとは思わなくてさ」

男「あぁ、そうか、今日死んだ訳ではないからルールが機能するようになった瞬間に現れたのか」

店主「正確には居たことになった、なのだろうがな」

店主「改変に俺ですら気付け無い、いやそこの吸血鬼であろうと影響を免れることは出来ないのだから今更か」

同「ボクそんな便利なもんじゃないんだけどなぁ、半分人間だし」

男「んー、これまでいなかった間のことが補完されたのか」

女「男くんそこはわかんないだもんね」

男「普段は半日も無いからそんなに影響はないのだけれど、今回はちょっと長いから」

男「何があったか、というよりは何をしていたかを後で教えてね」

女「うん、そうだねってあれ?」

男「女? どうした? おい店主お前」

店主「いや彼女が涙を流しているのは痛いせいでは恐らくない、そして俺のミスか何かでは断じてない」

女「あ、私泣いてるんだ」

女「ごめんね、男くんのせいじゃないから、私のせいだから」

女「ごめんね、今はちょっと無理だから」

男「いや、待って」

同「あれま、どっか行っちゃったね」

同「追いかけなくていいの?」

店主「うむ、ああいうのは追いかけるべきだろう」

男「何で泣いてたのか皆目検討がつかないのだけれど」

男「だからと言って、追いかけるしか出来ることはないか」

第40話





初「私の数が、足りなくて」






今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

どう見ても話が終わってませんが明らかに長くなり過ぎるので前編後編みたいな感じで、話数だけとりあえず変える感じです

話のネタはちまちま増えてるのにどうにも書く時間と話のまとまらなさに足を引っ張られてますね、ネタがあるうちは書きたい欲があるのですが

ではでは、また来ますね

おつんつん

おつ

おつー

今日は来ました、いきなり暑くなってきましたね

女がいきなり泣き出した

と言うのはいささか語弊があるだろう

別に子供の様に泣きじゃくったわけではなく、涙だけ流していたのだ

咄嗟に不可思議屋に問い詰めてしまったが、別に何か女を分離する際にミスをしたからとか、そう言う何かを疑ったわけではない

ただ何か、何かわからないかと聞きたかっただけで

いや、答えを教えて欲しかったのだろう

安易に、簡単に、答えを貰い対処したかったのだろう

そもそも肉体的な苦痛で泣いているわけではないことは、むしろ僕の方がわかっている位である

ルールにより現れた女は肉体的なダメージを全てリセットされている、故に現れている時点で

ルールが正常に動き始めた時点で、ミスか何かで身体が痛いなんて事は有り得ないのだ

最も不可思議屋はそのルールに干渉出来るかもしれない、或いは干渉する何かを起こすかもと思わせるだけのことはしているのだが

そして同や不可思議屋が反応していない状態ということで何らかの妖怪や超常現象によって女に異変が起きた、ということも考えにくい

つまり、普通に泣いていたのだ

しかし女は人前では泣きじゃくらない、という訳ではない

僕と違って感受性が豊か、というかしっかり感情移入は出来るので映画や小説などで感動すれば泣いているし、そもそも嫌なことがあれば泣きもする

だけど僕は、泣かない女も知っている

女が絶対に泣かないのは、それに僕が関わっている時だ

彼女は自分が抱え込めばいいと思ったことは本当に抱え込んでしまう、僕らのルールの様に

彼女はこういう時、つまり僕が関わっている或いは僕が原因で女が傷ついたり、迷惑を被った際、僕にそれを知らせないようにする

むしろ、僕がそれに気付くことを阻害してさえいる

だから僕は考える癖がついたのかも知れない、違和感や少しの情報の裏側を、原因へと思考の手を伸ばす癖が

僕らのルールの根幹や不可思議に逢った時の僕や女の対応というのは、僕らのルールが発生したからそれに合わせてというものではない

当たり前かもしれないが、実際には僕らは元々その様な癖があって、そこにルールが入ってきてより強調されているだけで

昔から、女は厄介事を抱え込み、僕は女の後を追う

そう言う関係性自体は何も変わっていないのだ

だからこそ、あの反応には強い違和感があったのだ

僕の代わりに死に続けた彼女は今までどんな表情だったかを考えれば一目瞭然だ

決して泣かずに笑って僕の前で死んでいく女が、僕の前で涙を流したのだ

似たような痛みをよく受ける同の反応を見れば女が普段どれだけ無理しているかわかるだろう

その女が泣くつもりがなかったということは、僕に言いたくない何かであるのはその時点で確実で

その後の女の反応なんて、必要もなくわかっていた

女が泣いた原因には、僕が関係していると

そして、大体原因も絞れている

会話の流れから、僕が覚えていないこと、正確には僕のみ知覚出来ない補完された女の

存在したことになった間の記憶や記録

それが原因なのだろう、詳細はわからないが

腹立たしいことに、あの二人はその理由を理解していそうと言うことだが

あの二人はむしろ、女がいなかった間の方の記憶が朧気になるのだから当然ではあるのだが

その上で僕にそれを教えず、女を追えとだけ言ってくる所だ

むかついていても仕方ないので、追ってはいるのだが

とっさに逃げてきてしまった

後で男くんには謝らないと

久しぶりに現れたから色々と不安定になっていたのかな

別に泣くつもりなんて無かったのだけれど

私がいなかった時の話、というか事情位は現れた際に不可思議屋に聞いたのだけれど

簡単に言うと私達のルールが私の死を認識されることによって停止して

それを無理矢理幽霊の私達をバラして現世に留まる物に構成し直すことで再起動させたと

お盆が終わるまで待てなかった、と言うよりは彼女なりの恩返しなのかな

ルールに縛られていた自分を解放してくれた男くんが、ルールによって縛られているならば

助けたくはなるのかも知れない

男くんは最近やたらと人間以外にモテるのでいい気分はしないけれど

考えてみたらさっきまで私も人間じゃなかったし

今もまぁ人間ではあるけれど普通とは言い難いのでそういうことなのだろう

しかし、私がずっと生きていたことになった時の思い出を急に思い出して不安定になってしまうなんて

何回死んでるんだ、情けない

別に、お祭りに行ったりとかの遊んでいた記憶が、男くんにとっては認識できない

偽物の、存在しない歴史だったとしても

だからと言って悲しくなってはいけないはずなのに

久しぶりに身体を得たといっても、感覚的にはむしろ時間のほうが飛んでいるのだけれど

その何もしていないのに時間が何日も進んでしまったという感覚が消えない内に話したのは失敗だったかな

さて、もう追いつかれちゃうな

走るのも、しんどくなってきたしもう無理かな

女「はは、今回の私はあんまり足が早くないみたいだね」

女「体力もそんなに無いし、ハズレかなぁ、はぁ」

男「どうして、逃げるんだい」

女「んー、どうしてかな?」

男「とりあえず、挨拶からやり直そうか」

女「ん」

男「久しぶりだね、いつも通りに戻ってくれて安心したよ」

女「そうなの? 私は幽霊だったときの記憶はないからわからないけれど」

男「あー、そうか、そういうことか」

男「記憶が飛んだってことになるのか」

男「で、これは僕側の記憶も飛んでいるってことで」

男「なるほど、無神経だったのかな」

女「んーん、別に私がわかってなかっただけだから」

女「何か夏休みがいきなり短くなっちゃって、悲しくなっただけだから」

男「間違ってたら謝るけれど」

男「思い出なら、これから作っていけばいいんじゃないかな」

女「随分と、柄にもないことを言うんだね」

男「それはお互い様だろう?」

男「泣いてる君と話すのは、随分と久しぶりだ」

女「これは、久しぶりに現れたから不安定なだけだもん」

男「それじゃ、感覚的には昨日ぶりの、そんでもって久しぶりにさ」

男「一緒に帰ろうか」

女「うん」

女「そういえばさ」

男「あぁ、もう泣き止んだんだ」

女「うっさいよ」

男「そう恥ずかしがらないでもいいのに」

女「こっちの男くんには、言ってないことになると思うんだけど」

男「最近の君との記憶を僕が失ったみたいな形になるもんね、客観的に見ちゃうと」

男「僕がボケたみたいで嫌だし、バレる前に補完しとかないとね」

女「その、補完の一つになるんだけどさ」

男「うん」

女「近頃毎日同じ夢見るんだよね」

男「へー、予知夢の類?」

女「いや、わかんないけどさ」

女「内容は、殺される夢だけど」

男「うん、全然よくないね」

女「何でいきなりこんな話からってことなんだけど」

男「確かに」

女「何か夢と同じシチュエーションっぽいんだよね、今」

男「それ、やばくない?」

女「どうなんだろう、まぁ所詮はさ」

第41話





女「最近見る夢の話」





女「ってだけじゃない?」

男「そうなのかなぁ」

今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

ルールの設定が複雑怪奇過ぎて自分で処理がどうなるかわからないで結構考えてました

主に女が復活した周りのところで

まぁ、ともかく久しぶりに女も現れて通常運転って感じのお話です、尺とネタの中身の関係で前の話とくっついてます

ではでは、また来ますね

おつおつ

おつ
ヤキモチかわいい

おつおつ

おつおつおつ

今週中には

まってる

今日は来ました

男「当然、その夢の話なんてものは僕は知るわけもないのだけれど」

女「そうだろうねぇ」

女「まぁ、実際は男くんにはこの夢の話、していたはずなんだけどね」

男「あぁ、そういうこと」

男「それで、その僕はなんて言っていたんだい?」

女「んー、私がいたことになったところの記憶だから微妙に思い出しにくいというか」

女「夢の内容を思い出すみたいな感じなんだよね」

女「何か話してた気はするんだけど、反応とかが思い出せないというか」

男「補完された記憶というか過去というかそういうのって、そうなるんだね」

女「いつもはもうちょっと思い出せた気がするんだけど、なんだろうまだ本調子じゃないとか?」

男「無いとは言えないけれど」

男「そういうものなんだろうね、そもそも鮮明に思い出そうとしたことってあったっけ」

女「言われてみればないかも、どうせ思い出しても男くん知らないし」

男「同じような結果になるようになっているもんね」

男「大抵、いつも通りのことしかしないというか」

女「むしろ、宿題がやったことになってるとかが重要だよね」

男「いつも通りの結果が残っているから僕も大体何してたのかわかるからね」

女「そもそも夕方に死ぬことが多いから、困ったことなかったよね」

男「で、こう話が長くなるというか」

男「時間を使ってしまうのも夢の通りだったりするのだろうね」

女「うん」

男「いや、うんじゃ困るんだけどさ」

男「予知夢ってことになるのかなぁ」

女「あ、それでこの後私死ぬんだけれど」

男「そんな切羽詰まった話してたの」

女「してたの」

男「いや、流石にそれならもうちょっと焦って欲しいというか」

男「んー、予知夢の強制力か」

男「君の思考力とか行動力というか、そういうものをかなり制限されていると見た」

女「そういう系なのかなぁ」

男「ちなみに、死因は?」

女「他殺?」

男「事故死とかではないと、ん、他殺って言い方ってことはもしかして」

女「うん、人間に刺されて死ぬ夢だね」

男「それ、犯人は僕とかいうオチは?」

女「そういうオチも悪く無いよねぇ」

女「でも、男くん包丁持ってないでしょ?」

男「あー、ちょっと待って」

男「話が見えてきた気がする」

男「それ、知ってる話かもしれないよ」

男「ちなみに、それって僕は?」

女「無事だったはず」

女「私だけを刺して、そのまま逃げてく犯人を見てるからね」

女「男くんは無事で、私のそばにいるね」

女「悪夢の特徴というか、私が死ぬところで目が覚めるからその後は知らないけど」

男「その場では僕が死なないのか」

男「僕を殺さずに逃げてく理由は、やはり犯人は人間だからで説明はつくか」

男「さて、この夢の結果変えるべきか変えないべきか」

男「君に聞いちゃダメなんだけれどね」

女「変えないでいいよ、変えない方がいいと思う」

男「ってなるものねぇ」

男「僕としては、変えたいのだけれど」

男「嫌かい?」

女「ずるいなぁ、その言い方」

女「あ、あの人だよ、あの人に私は刺されて死ぬ夢だね」

男「成る程、それじゃ逃げようか」

女「え、あ、引っ張らないでも」

男「いいから、走るよ」

男「さて、この時点で変わってくれればと思ったけれど」

女「追ってきてるねぇ」

男「ちなみに、夢の通りだった場合は?」

女「すれ違いざまに刺されるだけだから、こんな動いたりはしないよ」

男「僕としては、彼が本当に人間なのかとかそこら辺も気になるところではあるのだけれど」

女「それで、どこまで走るのかな」

男「助かるところまで」

男「と言いたいのだけれど、正直なところこの時点でお話は終わっていると思うんだよね」

男「それに、僕としては最近頑張って逃げていたことが多かったせいかどうにも忘れていたけれど」

男「こういう時って、君だけ逃げればいいんだったよね」

女「私の足だと追いつけれているもんね」

男「そういうことだね」

男「なるべく死なないように努めるから、頑張って離れてくれ」

男「出来ることなら、この道を真っ直ぐがいい」

女「うん、わかった」

男「さて」

男「時間稼ぎといこうか」

男「上手くいくといいのだけれど」

男「よかった、そのまま走ってくるから通れるのかと思ってしまったよ」

男「流石にそこで立ち往生してくれたか」

男「ちなみに、君は人間なのかな?」

男「だんまりか」

男「一応、ここを通れない理由は道の両端に置いてある置物」

男「って言ってもストラップサイズだから気付いてもなかったかも知れないけど」

男「このペアの置物の視線の間は、人には通れない」

男「本来ならば、通る気が起きなくなるから、そこで立ち往生するなんてことありえないと思うけれど」

男「不可思議屋の人避けアイテムだけど、小さいから一応持っておいてよかったよ」

男「ま、1,2分もここで立ち往生させれば、僕の目論見通りという訳で」

同「うーんと、これ、どういう状況? 女ちゃんが走ってきたから見に来たけれど」

男「いやいや、待っていたよ、君が来ることをさ」

同「あー、多分だけど、あの人は普通の人間だと思うよ」

男「なるほど」

同「だから、殺しちゃうとボクがまずいんだけど、気絶させとけばいい?」

男「うん、それで大丈夫だと思う」

同「さて、あれ」

同「何かここ、壁ない? 見えない奴」

同「ま、この程度じゃボクは止められないので」

同「フフフ、恨みはないけれど、敵みたいだからちょっと寝ててもらうよ」





「夢と違うこと、してんじゃねぇよ」




今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

梅雨もあけて夏真っ盛りという感じになってきましたね、雨の降り方がもう完全に夏のそれです

夏といえばホラーなのでせっかくですし暑い内に何か怖い話でもかければなとは思ってます

ではでは、またきますね

>>156
おつです

おつおつー

おつー

おつんつん

おつおつ

質問なんだけど、最近少し不思議な話してたりする?
ざっと見た感じ文体がそっくりだと思ったんだけど

いえ、ここ以外では何も書いてないですね

何か書くとしたら同じ酉を使うかと思いますし、何より最近他の物を読む余裕が無くて何の話をしているのかさっぱりわからないのがお恥ずかしい限りですが

自分の話に似ているものがあるとすれば、自分の趣味に合うものでしょうし嬉しい限りなのですが、実際のところこういう内容の物を書くと文体はどうしても似通ってしまうのかも知れませんね

自分もその方もおそらく、怪談や怖い話、ネット上の都市伝説等のあれこれ、そういう物を読み漁っているので結果としてインプットが似てるからアウトプットが似ているという可能性もあるのかもしれません

手癖で途中送信してしまい、申し訳ありません

この板内かどうかもわからないのですが、まぁそれとなく検索用キーワードを置いておいてくれればホイホイ見に行くと思います、はい、興味ありありです

そういう面白そうな話は大歓迎です、正直オカルトだったり妖怪だったりとこういう不可思議の話を語り合う相手というのが自分には全くいない人生を歩んできたので

正直、誰かと語り合いたいという気はしますけど、それを探す努力をしたことはないというあれです、そういう奴なのです

あと更新は1週間以内には、ではでは

今日はきました

涼しくなり始めたこの頃、逆に夏バテしました

偶の暑い日に大量に汗をかいたのが効きましたね、残暑ってところでしょうか

ではでは、投下していきます

同「で、これ誰?」

男「僕もさっぱり、人間でいいんだよね」

同「僕が見た感じはね」

男「多分だけど夢で見た話みたいな系の奴だと思うんだよね」

同「え、夢で、何?」

男「つまりは予知夢の類の話でさ」

男「連日同じ夢を見る、内容は決まって同じで人に殺されるような類だ」

女「うん」

男「あれ、戻ってきたんだ」

女「戻ってきたというより、追いついたって感じだけどね、同ちゃん速いし」

男「そりゃそうだ」

男「それで、現実でも夢と同じシチュエーションが来るわけだ」

同「うんうん」

男「夢と同じだとこのまま殺されちゃうから、どうにか逃げて助けを呼んで助かるって訳なんだけど」

同「予知夢だねぇ」

男「そこで、相手が夢と違うことしてんじゃねーよって言うところで話が終わるんだよね」

同「相手も同じ夢見てたってこと?」

男「さぁ、そこまではだけど、不気味だろう?」

同「うん、気持ち悪いね」

男「さて、それでこの人はどうすればいいんだろうね」

同「貧血だからほっとけば目覚ますよ」

男「あー、それだと僕らがここにいるままだとマズいのか」

同「面倒事を避けるなら、そうなるね」

男「夢の後がどうなるのか、わからないのがどうにもって感じだね」

同「普通の人間だし、危なくないんじゃない?」

同「少なくとも、ボク達的には」

男「僕らにどうにか出来るとも思えないしね」

男「とりあえず不可思議屋に戻ろうか」

女「うん」

同「ん」

男「あれ、どうしたの?」

同「いや、ちょっとね」

男「何かいた?」

同「あれ、気のせいかな」

「やぁ」

同「うわっ!」

「おっと、逃げないでくれると嬉しいなぁ」

女「えっと」

「へぇ、目配せだけで逃げようとするなんていい連携だねぇ」

「でも、私は敵じゃあないんだからそう怖がらなくたって」

同「お姉ちゃん!」

男「お姉ちゃん?」

男「君、一人っ子だったよね」

「うんうん、君が男くんだね、ほんとに普通の人間にしか見えないねぇ」

「あー、そう警戒しないでくれよ、一目見て私から逃げようとした所は素直に評価するけどさ」

男「えーっと、何方様でしょうか?」

「おっと、自己紹介がまだだったね、私は隣県で退魔師を生業にしている者だ」

退「この子の姉の様なものだと思ってくれればいいよ、親戚ではないけれど」

退「家族ぐるみの付き合いって奴だ」

男「家族ぐるみ? あー、もしかして、君の初代を拾った寺だか神社だかの」

同「うん、その子孫だね」

男「どうりで、強そうなわけだ」

退「いやいや、私なんてそんな大層なもんじゃないよ」

同「いや、ボクなんかより」

退「なぁに?」

同「なんでもないです」

男「隣県からわざわざ来たんですか?」

退「そうだね、同ちゃんを借りに寄らせてもらったよ」

同「え、聞いてないんだけど」

退「言ってないからね、言うと逃げるでしょ」

同「わざわざボクを呼ぶってことは、相当めんどくさいってことでしょ」

退「ははは、それはまぁ後で話すよ」

退「とりあえず今日は、私の家に来なよ」

同「ピリピリするから嫌なんだけど、あと遠いし」

退「同ちゃん用にピリピリしない部屋作ってるんだからいいじゃない」

同「監禁だよ監禁」

退「しっかし、この街は相変わらず変だねぇ、同ちゃんが住みやすい訳だ」

店主「俺の店の前で、聖職者が何をしているんだい?」

退「聖職者では無いけど、まぁめんどくさいからそれでもいいよ」

退「ついでに噂の不可思議屋を見に来ただけだから安心しなよ、別に壊しに来たわけじゃないから」

店主「壊せるみたいな言い方だねぇ」

同「お姉ちゃん、ボクより強いし冗談で言ってるわけじゃないと思うよ」

店主「それは、相性の問題だろう? 神の力を借りたり出来るタイプだろうし」

退「見てわかるんだ」

店主「これでも占い師をしていたからね、人を見るのは得意なのさ」

退「ま、君を殺しても誰かからお金が貰えるわけじゃないからね、やる気はないよ」

退「個人的にはそういう活動は嫌いじゃないし、助言しとくと」

退「あんまり、敵は作らないほうがいいってことだね、特に退治に予算とか付いちゃうような程度はもうダメだ」

店主「つまり、人間に害をなすなって話だろう? 知っているさ、何百年も昔からね」

退「都市伝説から事件になるなってことだよ、事件にね、私の担当は専らそれだから」

店主「いやぁ、怖い怖い、嵐のような人だったねぇ」

男「そう思うなら喧嘩腰で話さないでおくれよ」

店主「僕らみたいなのってね、ナメられたら終わりだからさ」

男「性分というか本能みたいなものなのかなぁ」

女「えっと、さっきの人って結局誰だったの」

店主「確かに」

男「わからないで喧嘩売ってたんだ、やれやれ」

男「あれだよ、ほら、話したっけ同の半吸血鬼のルーツ」

女「うん」

店主「知っているさ」

男「その、赤ん坊を取り上げた、というか保護したとこの子孫らしいよ」

店主「あぁ、吸血鬼の血が途絶えて無けりゃ、坊さんの血も途絶えてなかった訳か」

男「話を聞くにそうらしいよね」

女「あの女の人、本当に強いの?」

店主「桁違いだね、人間じゃない」

女「男くんが全力で逃げろって雰囲気出してたもんね」

店主「神懸って強い訳だ、そのままの意味でね」

男「神を降ろせる人間って現代にいるんだねぇ」

店主「この街には本物がいるじゃあないか」

店主「何にせよ、非常にビジネスライクな考え方をしているらしいから、助かるといえば助かるのだけど」

男「誰かに雇われたら終わりだと」

店主「まぁ、俺は能力的に逃げれるとは思うが」

店主「要は神霊を降ろせる類の人間が、仕事の為に吸血鬼に手伝いを求めにきたわけだ」

男「何と戦うつもりなんだろうね」

店主「さぁ、何かしら面倒な事件でもあったんじゃないかな」

店主「ま、そこら辺は俺らの知ったことではないからいいとして」

店主「もういいのかい?」

女「あ、うん、もう大丈夫」

店主「あと、なんで人避けのマジックアイテムが壊れているんだい」

男「要約すると、使ってたら同が正面突破したって感じ」

店主「やれやれ、半分人間なんだから人間用のものは素直に効いててくれよ」

店主「あれは、意識とか感情に介入するタイプのアイテムだってのに突破するんだもんなぁ」

店主「あー、何か代わりになるものあったかなぁ」

男「代金はまぁ、いずれ払うよ」

店主「気にしないでいい、趣味でやってるだけだからな」

店主「ただ、無料で配ってしまうと普通の人相手には色々と面倒ってだけで」

男「怪しい店の無料の商品なんて受けとりたくはないよね」

店主「そういうことだ、それなりの値段する方が客も安心するし」

店主「それに、どうせタダだからと適当な覚悟で持っていく輩も出なくて済むからな」

男「一応人は選んでるんだねぇ」

店主「そりゃあね」

店主「しかしいいのかい?」

男「何の話?」

店主「いくら、女ちゃんが復活したとはいえ」

店主「あの半吸血鬼がどのくらいの期間不在かは知らないが」

店主「あれは君のボディーガードだろう?」

男「いや、別にボディーガードではないのだけれど」

男「しかし、女不在の間やたらと助けられていたのは事実だからなぁ」

男「どこに行ったかも知らないし、追いかけるわけにはいかないだろうさ」

男「それに、普通に生活してるだけでそんなすぐ死ぬような目に合うわけないだろう?」

女「え?」

男「うん?」

女「いや、まぁいいや」

店主「はっはは、面白いのは結構だが、本当に気をつけておくれよ」

男「それはわかっているさ」

男「さて、今日はそろそろおいとまするよ、世話になったね」

店主「いやいや、また来ておくれよ」

男「それじゃ、またね」

店主「あぁ、また頼むよ」

第41話





女「最近見る夢の話」






今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

久しぶりに男くんに怖い話の概説というか説明というかを短いけれどやってもらいましたが
やっぱりこれやってる時が一番楽しいのでガンガン行こうぜって感じで入れていきたいですね

何かまた怖い話系を読み漁ってみた方がいいのかも知れませんね

ではでは、また

おつー
怪談の解説とか解釈とかやっぱり好きだからうれしい

おつ

おつつー

とりあえず生存報告だけ、来週中にはどうにかしたいです

まってるぜ

最近忙しくて時間が……精神と時の部屋が欲しいですね……

まっとーよー

ほしゅ

あけましておめでとうございます

あけおめ&生存報告乙です

あけおめです

お久しぶりです、もう少ししたらある程度時間が取れるようになるかと言ったところですが、流石にあまりにも書いていないので急遽書くことにしました

ではでは、投下していきます

第42話





男「山の神について聞きたいことがあってね」





「いやはや唐突じゃの、来いと言うたのはこっちの方じゃが」

男「色々と気にはなってたんだ、ここしばらくさ、神社には忙しくて来れなかっただけで」

「ふむ、お主らのルールはもう直ったようじゃの」

男「元より壊れては無かったんだけどね、今回は」

男「いや、根本的に壊れたことなんて一度も無かったのか」

男「機械で言うと詰まってしまったとかそういう状態を解消したのだから、直ったでいいのだろうけれど」

「ふむ、しかし女を連れては来ないのじゃな」

男「いつでも一緒にいるわけではないからねぇ、彼女は彼女でやりたいことがあるだろうさ」

男「それに、別に今日は一日ここにいるつもりじゃないからね」

「ずっといてもいいのだが」

男「それじゃあまるで神隠しじゃないか」

「かっかっか、ん、そういえば女の霊の集合体は持ち歩いてはないのか?」

男「耳が早いね、いや、不可思議屋が噛んでいるのだからむしろ僕よりも先に知っていたと考えるべきか」

男「あれを家に置いておくのもどうかと思うし、携帯しようと思ったんだけどうるさいから置いてきたよ」

「いいのか? 護身用くらいには使えるだろうに」

男「いやいや、あの状態の女こそ僕らのルールの外側なのだから、何かの拍子に消えると復活は出来ないからね」

男「それに、うっかり鏡でも割ってしまって効力がなくなってしまうと来年めんどくさいからさ」

「ふむ、それもそうじゃな」

男「それで、質問の件なんだけどさ」

「山の神について、じゃったか?」

男「そうそう、君が山の神ではないということは知っているけど僕らよりは詳しいと思ってね」

「まぁ、そりゃあのう」

男「単刀直入に言うと、いわゆる妖怪とか付喪神、後者はもう名前に神とかがついているわけだけれども」

男「日本においては神と人の境が薄かったと言うけれど、妖怪、不可思議と神の境も薄かったんじゃないかなって」

「事実、神から人になって、まぁ何だかんだあってまた神に戻ってる変なのがここにおるしの」

男「君みたいなのは、むしろ信仰の具現化としての神なわけだし僕とすれば正統派ここに極まれしって感じなんだけどさ」

「んむ、では河童とかは有名か」

男「一番有名な例だろうね、元々は水神でという話はよく耳にする」

男「しかし、これはいわゆる神がより下のランクの存在になる例だろう?」

男「当然その逆も存在するはず、というよりしているよね」

「元々は人で神になったというのもあれば、神に近いものになる妖怪もおるの」

男「狐とかが有名な例だとは思うけれど、それで本題はさ」

男「山の神ってさ、数千年生きてるキノコ、つまり菌類だったりしない?」

「えーっと、その、なんじゃ」

「どうしてそう思った?」

男「菌類は寿命が長いっていう話だか何だかでさ、同じ山の数キロ離れたところで取れた菌糸が同じDNA、つまり同一個体だったという話を前にどこかで聞いてさ」

男「これは菌糸の成長速度からして、年に数十センチから数メートルだから数キロ成長するには最低でも数百年は生きているのではっていうことなんだけれど」

男「1年に1メートル成長する菌だとすると、1000年経てば半径1キロメートルになるわけだ」

男「数千年生きてる菌類が仮に山の土の中にいた場合さ」

男「山1つ、下手すれば2つ以上の範囲に広がっていてもおかしくはない」

男「でも、一方でそのような生物が何かしらの妖怪や山を統べている菌類のお化けという話は聞かない」

男「山を統べているものと言ってパッと思い浮かぶのは天狗と山の神が出てくるけれど、天狗は元々は人だったという話もあったりである程度素性が知れている」

男「じゃあ、山の神は? と思った次第なんだけれど」

「それを山の神自体に聞かないのは正解じゃったな」

男「というのは?」

「あっておるよ、全てがそうというわけではないが、地中から山全体を監視し、制御しているタイプの神は確かに存在する」

男「山の神って確か美しいものが嫌いで」

「それ以上はやめておけ」

男「でもキノコが醜いとか思わないのだけれど」

「キノコの本体は地中の菌糸であろう?」

男「あー、うん、そういうこと」

「毎度毎度、お主はよう気付くの」

「しかし、その気付き過ぎるのが問題だということは理解しておくべきじゃ」

男「巻き込まれやすいってことではなく?」

「それもあるじゃろうな、人による事件なのか不可思議による事件なのかお主は推理が出来てしまい首を突っ込んでいくことなど容易に想像出来る」

男「えっ、そうかな、別にわざわざ首を突っ込まないと思うけど」

「あの吸血鬼っ子が首を突っ込んで後追いでまとめて巻き込まれるじゃろうが」

男「あー、何かありそうだね」

「そんなこと無くともすでに首を何度か突っ込んでる癖に白を切るでないわ」

「しかし、理解出来てしまうということは、それ以上に深く関わりやすいということになる」

「前に言っておったが不可思議はいわゆる情報エネルギーが形を成した様なもの」

「故にな、何となくじゃが、霊感の有無とは別に自分への理解度の高さのようなものがわかってしまうのじゃよ」

男「より正しく理解している方が情報エネルギー量が増えるからってことなのかな」

「んー、それが無いとは言わんがそれならばお主のようなエネルギーの塊なぞ上質な食料のようなものになるはずじゃろう」

「そうではなく、雰囲気が違うというか、何か違うのじゃよ」

「そして、我らはそういう人間に引き寄せられる」

男「虫が光によってく習性みたいな?」

「例えが最悪じゃが、生命体としての本能という意味では似ているじゃろうな」

男「つまり、ある程度標的になりうる人間がいた場合でも優先的に僕が狙われる可能性が高いってことなのかな」

「お主がその相手が何かを理解していた場合、そうなるな」

「相手からすると適当な人間を襲ったつもりだろうが、確率的には異常に高くお主が襲われることになる」

「不可思議屋は黙っとけと言っていたが、お主にやたら魔除けを貴様に渡しているのはそのせいじゃ」

男「なるほど、というかそれ言っちゃうんだ」

「やつは詰まる所、人間を信頼していないのだ、元があれじゃからの」

男「どういう意味?」

男「あぁ、いやごめん、わかった」

男「僕が確率的に普通の人より遥かに高く不可思議の被害に合うのを防ぐ目的で魔除けを持っているということは」

男「それが、他の人の襲われる確率を結果的に上げているということになって」

男「それに気付いた僕が魔除けを持たなくなることを嫌って、それを僕に伏せようとしたってことでいいのかな?」

「そういうことじゃ、それが不愉快でな、しかし知っての通りここから出れぬ身でな」

「会いに来いと貴様に催促するしかなかったのじゃ」

男「電話で話すの好きじゃないもんね」

「あれで長々と話すのはどうにも慣れんでな」

男「というかまだ隠れ家から出れないんだ」

「神域内であればもう自由に動けるのじゃが、巫女様がお怒りでな」

男「あぁ、クーちゃん不機嫌そうだったね」

「まぁ、神の力としては同じものを使っておるからの、自分の力をほぼほぼ使い果たされたとなれば不愉快だということはわかるが、何もあそこまで怒らぬでも」

男「いや、不機嫌だったのは、そんな状態まで力を使って心配を掛けさせたことが原因だと思うけれど」

男「ま、元気そうで僕も安心したよ、神も体調を崩すものだと感心もしたけれど」

「なんじゃ、もう行くのか」

男「不可思議屋にも呼ばれていてね」

男「悪いけれど、今日はこの辺でお暇させてもらうよ」

「またの、土産話期待しておるぞ」

男「それは無い方がいいんじゃなかったのかな」

「かっかっか、お主には無理な話じゃろうて」

男「じゃあ、また」

今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

女も復活したところで、所謂雑談回です、いない状態だと中々雑談回ってできないので色々とあったりなかったり

今月中にまた来れると、思います

では、また来ますね

投下おつおつ

おつ

おつおつ

おつおつ

オイオイオイ、全然一ヶ月以上経ってるじゃねぇか

途中送信、失礼(エンターとシフト+エンターを間違える奴)

思ったより暇にならなかったので、今週中にはどうにかしようと思います

(´∀`)つ旦~~

ほっほ

ほしゅ



明日あたりにでも

期待

神社を出て、不可思議屋に僕は向かっていた

理由は先程と同じく呼ばれていたからなのだが、こちらの用事は僕の方に非がある

さっきの用事は別にどちらかに非があった訳ではないのだが

不可思議屋の用事とは、人払いの置物が壊れたから代わりに何か用意でもすると言っていたということで

ってあれを使ったのは当然僕なのだけれども、壊したのは僕じゃないし非が僕にあるのかと言われたら微妙なんじゃないかなぁ

でもどちらにせよ、後ろめたい方を後回しにするのは僕らしいというか何というか

そして、後回しにしたのが悪かったのだろう

不可思議屋が存在しない

存在しないというよりは、不在とか留守とかそういうべきなのだろうけれど、いつも不可思議屋が存在するスペースが空き地になっている

何というか、占い師のあれを思い出す光景だ

あれは特殊な能力で移動してきた訳ではなく、勝手に空き地に滞在していたのだろうけれど、警察のお世話になっていないしあれは件の能力だったのかな

天邪鬼かつ件なのだから、違法なことをしていても一言で合法になることは想像に難くない

で、不可思議屋は移動式のログハウスなのだから、そりゃいないことはあるだろうけれど、呼ばれたにも関わらず不在だったことは始めてだ

ここは僕が普段通る道でも無いせいで、不可思議屋がいない状態を目の当たりにするのは初めてだったりする

どっかに行っているのは明確だが、どこに行ったかは分かる訳もなく

しばらく眺めていたが、戻ってくる気配もないので、出直そうと思った時に、後ろから声をかけられた

店主「やぁ、悪かったね、遅くなって」

男「いや、時間を指定していないはお互い様だからね」

男「しかし、どこから来たのかな、不可思議屋は見当たらないけれど」

店主「君が空き地を眺めていたおかげで、移動出来なかったのだよ」

店主「しょうがなく、近くを間借りしたけれど」

男「いや、この空き地だって間借りしているのだろう?」

店主「ま、そうなのだけれどもね」

男「というか、見られてる所に移動出来ないのか」

店主「人間による観測状態下にあるものを変動させるというのは結構手間なんだよ」

店主「大体の話だとそういうのって気付いたらとか、ふと振り返るとが多いだろう?」

店主「認識外だったり意識の隙間だったりが良いんだ」

店主「僕らは照れ屋だからね」

男「うん、照れ屋だからじゃないということはわかったよ」

男「人の視線とかそういうのにも力があると言うし似たようなものかな」

男「あぁ、むしろ僕が見ていると中々女の死体が消えないというのに似ているのかな」

店主「そうだろうね、現実を歪める系統のそれは人の意識の集中を嫌う」

店主「そう言えば女ちゃんは連れてきていないのかい?」

男「連れてきた方が良かったかな? 別段何も言われなかったから一人で来てしまったけれど」

店主「いや、問題は無いが、常日頃から一緒にいるものだと思っていたからね」

男「そりゃこの前は幽霊だったから他に居場所も無かっただろうけれど」

男「別に僕の側にいないと死ぬわけじゃないからね」

店主「むしろ死ぬと側に来るわけだしな」

男「おいおい、その場合は入れ替わるから側じゃあ無くなるだろう」

店主「ははは、確かに」

店主「さて、あの吸血鬼ちゃんに粉砕された人払いの代わりのアイテムだが」

店主「と、言うよりあげた消耗品を君はどんどん使ってしまうから色々と補充しないといけないわけだが」

男「使いたくて使ってるわけじゃあ無いのだけれど」

店主「道具としては使われた方が本望だろうさ、ある程度は用意したから持っていくといい」

男「有難くもらっていくよ、しかし毎回違うものを用意するんだね」

店主「お札やお守りのような型式の決まっている類のものでもない限り基本的にワンオフだよ」

店主「そもそも妖怪や幽霊だって全く同じ個体というものは、普通いないだろう?」

男「それが道具であろうと言えることだと」

店主「端的に言うとね、実際には狙ったものを作ったり探したりするというのは非常に難しいという話なのだが」

男「そういうものなんだね」

店主「そもそもに俺らのような存在が同じ状態を維持し続けられるということが難しいのだよ?」

男「あぁ、放っとくとエネルギーが散っていってしまうからみたいな感じかな、何か同と話していたら思ったけれど」

店主「同じ状態を維持する時点で相当なエネルギーが要求される、いわゆる赤の女王仮説だな、生物だけではなく不可思議にもそれは適応される」

男「その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない。だっけ」

男「僕らのような生物の身体は絶えず新陳代謝を行っているから、見かけ上の状態を維持するだけでもエネルギーを消費しているみたいなことを例えているという訳ではなくて」

男「進化論の話だったよね、確か」

男「生き残る為には絶えず進化する必要があるみたいな」

男「むしろ時代に合わせて同じような怪談が形を変えているとか、混ざっていくとかそういうことの説明だよね」

店主「そうだな、同じ場所にいるためには走り続けるエネルギーが必要だ」

店主「そして、不可思議にとって大きなエネルギーを取るという行為はその存在の情報改変を指す」

店主「呪いの手紙がビデオレターになり、メールになりと形を変えるということは、怪談側からしてみれば、己の存在が新しい情報となることで再び人々の中で増え、エネルギーを得ているわけだ」

男「変化しないということは、絶滅してしまうことを指すと」

店主「そういうことだな、だから君らだって定期的に死んでいるのだろう?」

男「いや、そういうつもりは無かったのだけれども」

男「もしかして、初女からしばらくの間は連続して死んでいたことが結果として今の女を構築する土台になったってこと?」

店主「可能性はあると思っているよ」

店主「仮にだが、過去に君の意識だけが行けたとする」

店主「タイムマシンのようなものでも構わないが」

店主「君が自分の過去の行動を改変出来る状況になったとしよう」

店主「ただし、初女が死んだ次の日からだったとしよう」

男「肝心な日には戻れないわけだね」

男「しかし、今の記憶がある状態でそうなるとまず1日で解決してしまうだろうね」

店主「そう、無意味に女が死んでしまうことを君は避けるだろう」

店主「だが、一人しか死んでいない状態、つまり歴史が1回しか重なっていない状態で君たちのルールはどこまで破綻しないで動いていられるのだろうか」

店主「長くは持たずにルールは破綻し、女は消えてしまうのでは?」

店主「それこそ、夢だったかのように」

男「ルールが消えると、確かに現れた女のことを覚えているのは僕だけになるからね、白昼夢みたいな扱いを受けそうだ」

店主「つまり、女が存在し続けるという目的の為には女が死ぬということは無意味ではない、と考えられないかな」

店主「だから、本能的に君はともかく女ちゃんは死に続けていたのではないかと思っているのだけれど、残念ながら俺は観測者ではないからね」

男「あり得なくはないね、否定するのは不可能そうだ」

男「事実、最初の頃よりも今の方がルールの安定性は高いように感じられる」

男「でもそれは、初女が現れたりと他の不可思議が絡むことで安定性が増したと考えることも出来るわけで証明は不可能だろうね」

店主「まぁ、仮説の話だからね、もっともそうであればいいんだよ、不可思議っていうのはさ」

男「確かに、それっぽさが重要ではあるよね」

男「かまいたちは、鎌を持った獣の妖怪だけど実際には瞬間的に真空が発生することで物や人を斬っている~みたいなね」

店主「実際には、乾燥等で気がつかないうちにぱっくりと切れていたって話だね」

男「かまいたちにぶつかられて、よろけている内に斬られ、薬を塗られるから痛くないっていうのは実際には衝撃を受けた時にぱっくりといくからで」

男「風と関連付けされるのはそもそもに乾燥しやすい季節だったり、強い風が肌の乾燥を促すからとかだったかな」

店主「事実でなくともそれらしい理屈をつけてあげるというのは大事だったりするんだよね」

男「その方が覚えやすいし、人に話したくなるとかメリットは多いよね」

男「それでだ、女を連れてこなかった理由だけれども」

店主「あぁ、やっぱり理由があったんだね」

男「あの手鏡、割ったりしてしまうとどうなるのかなってさ」

店主「幽霊が住んでいるからね、そう割れることはないはずだけれど」

店主「仮に壊れたとすると、中の女ちゃん達は出て行くはず、つまり元通りだな」

男「特にリスクはない、と」

店主「そういう君が心配することは無いけれど、あれをもう一回作ることは非常に難しいという」

男「それなら問題はないかな」

店主「鏡を渡した時に聞かずに、わざわざ一人で聞きに来るなんて面倒なことをするね君は」

店主「そう言えば面白い話を耳にした」

男「なんだい?」

店主「純粋階段って知ってるかな?」

今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

所謂楽に書ける雑談回ですが、変な話、面白い話などが実際の所集めるのが難しいから逆に大変な気もしてきました

ではでは、また来ますね

おつおつー

おつおつ

おつー

ほしゅ

モナカ?

とりあえず生存報告だけ

乙です

ほしゅ

今日は来ました

お久しぶりです、それなりに落ち着いたのでリハビリがてら書いていこうかなと思ってます

ネタはいつでもないので、絶えず募集中です

では、投下していきます

男「純粋階段ってまた随分懐かしい響きだね」

店主「あら、知っていたのかい、古い話だと思ったけれど」

男「社会現象になったらしい、というレベルでしか知らないけどね」

店主「にしても君が産まれる前に流行ったものなはずだが、それでも知っているのは流石だね」

男「そうかな、今でもネット上でSNS等だと活動しているから文化としては残っていると思うけれど」

店主「なるほど、それでなのかも知れないね」

店主「その純粋階段が噂になっていてね」

男「今頃超芸術トマソンの流行かい?」

男「こういうものは一定周期で流行りなおすとは言うけれども、登った先に何も無い階段、故に純粋階段」

男「門はあれど、開けても壁、故に無用門」

男「そういう、本来の機能が果たせない、建築物に付属しているだけの無用の長物のことを指す日本語が超芸術トマソンだ」

男「芸術品よりも現実的に役に立たないから芸術よりも芸術的で超芸術だなんて言うみたいなところは面白いと思うけれど」

男「ブームが再燃するって、それこそSNSとかで流行でもしない限り起こらないと思うけれど、何かあったのかな」

店主「いや、それは俺の範疇じゃないからご存じないが、こういう話があるんだ」

店主「純粋階段は登った先に何もないべきである」

男「定義の話?」

店主「いや、定義の話であったならそれでいいのだが、残念ながら続きがあるんだ」

店主「登った先が存在してしまったら、その先に行ってはいけない」

店主「帰ってこれなくなるのだから」

男「帰ってきた人がいないなら、その話は成り立たないじゃないかという話は」

店主「消えるのを目撃した人がいれば解決するね」

男「まぁ、そうだね」

男「純粋階段というのは当然だけれども建物の外側にある」

男「だから登っている人を目撃した人が偶然か、故意にかはわからないけれど存在して」

男「登りきったところで、消えるように見えるマジックでもすれば一応登りきると消える階段のような噂話は完成する」

男「でも、それだと不自然だね」

店主「あぁ、登った先が存在してしまったら、という部分の説明がつかない」

店主「つまり、最低でも見えない何かに踏み込んでいって消える、見えない足場を歩いていって消える等のギミックも必要になる」

男「要は、これは異世界への入り口とか、神隠しとかの失踪系の話だというわけだ」

店主「そうなるね」

男「今時失踪系の話なんて確かに珍しいけれど、面白いかと言われると微妙かな」

店主「手厳しいね」

店主「しかし、どうかな、なんて俺がその噂を知っているのか気にならないかな」

男「客とかの、不可思議屋に来る人間からの話ではないということかな」

店主「そうして都市伝説等を集めていることは否定しないが」

店主「忘れたのかい、俺の元々持っていた能力を」

男「天邪鬼、ではなく件の方か」

男「予言の力、無くなった訳じゃなかったのか」

店主「現実にする力は失ったがね、あれは正確には件と天邪鬼の混合によって順序を反転させて件の言うことが現実になっていたのだよ」

店主「今は両方共名残レベルさ、痕跡器官みたいなものさ」

男「へぇ、ついてる意味もないのに病気になって困りそうだね」

店主「知らないのかい? 妖怪には病気はないんだよ」

男「受験もないもんねぇ」

店主「知ってるのかい」

男「そちらこそ」

店主「という訳で残念ながら僕が発生させているものではないのだが」

店主「かなり高い確率で純粋階段の話は実在するだろう」

店主「君が巻き込まれなければそれでいいのだが」

男「おいおい、他の人が消えるのはいいのかい?」

店主「構わないだろう、俺としては困ることはあまりないさ」

店主「それに、そういうのが幅を利かせてくれた方が俺らにとっては都合がいいことは知っているだろう?」

男「そうだったね、そもそも君らはお互いには非干渉な方が正常か」

男「つまり、純粋階段に気をつけろってことかな」

男「他の超芸術トマソンも危ないのかな、当然避けるつもりではいるけれど」

男「看板とか合っても気付かないようなものまで入り口になっていたら、本当にうっかりどこかに迷い込んでしまうかもしれないし」

店主「その心配はないだろう、トマソンではなく純粋階段が対象なのだから」

男「まぁ、占い師としての君のそれは信用出来るだろうけど、別に信用したい内容ではないね」

店主「危機回避が出来るんだ、いいじゃないか」

男「で、どこらへんで流行ってる噂なのかな、場所が特定出来るとありがたいんだけど」

店主「君、特定したら見に行くつもりだろう?」

男「まさか、生活圏に入っていたら避ける為にだよ」

店主「残念ながらどこで流行ってる噂かは知らないし、そもそもに流行っている噂なのかも不明だ」

店主「しかし安心してくれたまえ、俺が教えたのは君が初めてだ、不可思議屋が原点にはなりえない」

男「なるほど、脈絡なく情報を得られる系の能力にはそのルーツを探れないという欠点もあるわけだね」

店主「そもそも俺らのような存在の情報に対して、ルーツを求めるのはナンセンスだとは思うがね」

男「確かにね」

男「しかし、君はどう思う? この純粋階段について」

店主「どう、と言うのは?」

男「特定の場所のことを指す話なのかどうかって話さ」

店主「それならNOの可能性が高い、程度かな」

男「だよねぇ」

男「特定の場所を指すならば場所の名前も含まれているべきだから、それが無いということは広い意味で捉えていいという可能性が高い」

男「ただし、非常に狭い場所、例えば学校、町レベルの都市伝説だとすると、対象となる純粋階段が1つしかない、と言ったことが考えられる」

男「それだと、特定の場所に別の空間への入り口等が生成されてて、不可逆的な物の移動しか出来ないみたいなことが想定できる」

男「広い意味だとすると、言うならば純粋階段の怪みたいな妖怪みたいになっているとか」

店主「ある純粋階段自体が、この店のように移動するとか」

男「うん、その可能性が高そうなのかな、話を聞く限り」

男「つまり、特定の場所にある純粋階段や、どこでもいいけれど純粋階段に行くことが問題なのではなく、こういう話になる」

男「昨日まで、いや、今朝通った時まではなかったはずの純粋階段が何故かある」

男「意味もなく建物の外側に階段だけが付いている」

男「それはどうやっても気になるだろう、その中には意味はないけれど登ってみようと思う人間が現れる、或いは登ってしまう引き込まれるような魅力が、魔力があるのかも知れないけれど」

男「そうして登った人間がいなくなる」

男「そして産まれた純粋階段の噂」

店主「悪くないんじゃないかな、おおよそそんなところだろう」

店主「問題があるとすれば」

男「この噂話は想像だから、回避方法或いは解決方法のヒントが含まれていない」

店主「そんなとこだね、ま、精々気をつけることだ」

男「言われなくても気をつけているつもりなんだけれど」

男「それじゃ、また」

店主「またのご来店、お待ちしています」

第42話





男「山の神について聞きたいことがあってね」







男「さて、夕方のいい時間だし、帰る前に初のところに寄ろうかな」

本日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

雑談回も挟んで、そろそろ平常運転です、張り切っていきましょう

ではでは、また来ますね

おつおつ

おつー

あっれ二ヶ月……とりあえず生きてます

そわそわ

あけおめ

あけましておめでとうございます

生きてはいますしそろそろ書きたいんですけど1日が48時間になったりしませんかね

雪がすごいみたいなので皆様お気をつけて下さい

まあ、エタったことねえしその点は安心してるわ

syu

そろそろかな

し……しんでる……

生きとったんか書けェ!

ほしゅ

ほしゅ




今年半分以上家にいなかったりで余裕が無いにしてもサボり過ぎですし週末には…

待つよー

というわけで今日は来ました

この書くのに間をあけると読み返す必要があるから更に時間が必要でというあからさまな悪循環

では、投下していきます

さて、とりあえずいい時間なので家に帰る前に学校に寄っていこう

無論、夏休みであるにも関わらずわざわざ学校に行って、勉強をしようという訳ではない

そこまで優等生ではないのだ、素行はいい方だとは思うけれど

いい時間と言うのは普段で言うところの放課後に近い時間という意味であって

つまりは、初女に会いに行くということだ

彼女は放課後に飛び降り自殺を再現する幽霊で

再現というのは実際のところは正しくはないのだけれども

しかし、そういう噂であって、怪談であって

彼女はそのようになってしまった

その責任は僕にある

あと、女本人と不可思議屋にもそれはあるのだろうけれど

夜の間は出現せず、朝になると出て来るというのは

幽霊であっても生身であっても共通している所なのは何というか因果を感じるけれど

しかし、幽霊の彼女は学校から出ることが基本的に出来ない

地縛霊であるからだ

そして何より普通の人には見えないのだから暇らしい

どれくらい暇かと言うと、このままでは学校の図書室の本は読破出来てしまうペースだそうだ
,
元々本を読むタイプではなかったにしろ、出来ることが少ないと読書家にもなるだろう

というか、触ろうと思えば物に触れてしまうから本を読んでいるのだろうけれど

いつか本が勝手に動いているところが人に発見されるだろうからやめて欲しいのだが

僕にそんなことは言えないわけであって

放っといても図書室の本を読破出来るのも良くて10年後くらいだろうと言うわけにもいかず

こうして時間がある時は会いに行くのだ

彼女は基本的に屋上にいる、特に夕方に近い時間になれば尚更だ

実際には校内を自由に移動出来るけれど、結局のところ誰も来ないところが落ち着くのだろう

僕らと会話するにも、人目が無い所でないと困るというのもあって

屋上にいてくれる方が都合が良いという所を組んでくれているのかもしれない

何故ならば、こういう休みの日に会いに行くと、予め決めていない限り屋上にいないことが多いからだ

平日は、生きている自分と会うことを避けるためか、来れるにも関わず

授業中に会いに来ることは少ない

暗黙の了解として、放課後に話しに行くという感じになっている

長期休みだから定期的に顔を出そうと思うのだけれど

女と一緒にいるときに、初女に会いに行くと言うと非常に微妙な顔をされてしまうので

その上で明らかに気を使って女が別行動を取ってしまうので

死んでいる時や別行動しているときでないとどうにも会いに来る足が遠のいてしまう

そんなことを直接初女に言ったら、毎日来いと怒られることも無くなるのだろうけれど

怒られている方がいいから、言わないのだ

あれ、なんかこれだと僕が被虐趣味の人間みたいに聞こえてしまうな

当然そういう意味ではないのだけれども、日本語の妙と言ったやつか

というか、初女にしろ神にしろ不可思議屋にしろ、毎日来いと言うやつばっかだな

彼女らに共通するところは、わかりやすいな

自身で動ける限界があるのだ

そして正体を知っていたり、認識が出来る人間が少ない

話相手になる相手が少ないのだ

なるほど、毎日でもと呼ぶわけだ

実際の所、全員に毎日会いに行くというのは、休日だとしても中々に難しいのだが

いや、無理だとわかっているからこそ

毎日でもという表現なのだろう

そんな訳で、そこそこ足繁く学校にも通っているわけなのだが

うちの学校は、休みだからといって入れない訳ではない

部活等があるので当然入れる

入れるはずなのだが、今日は業者を入れてのワックスがけらしい

業者もいないので、そろそろ乾いただろうで侵入してもいいのだが

足跡がついてしまうと問題だし、非常階段で外から上がればいいか

初「あれ、今日はそこから来るんだ」

男「ま、たまには靴のまま屋上に行くのもいいんじゃないかなって思ってさ」

初「で、入ってこないの?」

男「いや、鍵がかかっているからさ、そっち側から開けて欲しくてね」

初「あぁ、そういえば飛べないんだもんね」

男「そういえばもないと思うけれど」

初「あー、そういえば今日はワックスしてたもんね」

初「だからそっから来たんだね」

男「普段からここから来るのも楽でいいかもしれないけれど」

男「どうしても中から来るより目立っちゃうからね」

男「屋上に行く姿は出来る限り見られないようにしたほうがいいと思うからさ」

初「また噂が変わっちゃうと面倒になるもんね」

男「そういうことだね」

初「そういえば、私って生きてる私と記憶は共有してないじゃない?」

男「うん」

初「でも、この前途中まで共有したじゃない?」

男「あぁ、あれそういうことになるよね、一つになってたから」

男「それで?」

初「男くんって新しく現れた私に対する記憶がないけど、最近はひと目でわかるよねって」

男「あー、慣れみたいなもんだよ」

初「慣れるんだ」

男「意外にね、違和感もないよ」

初「最初はキレてたのにね」

男「いや、それは知らなかったからであってね」

初「でも、私的には私の見た目が変わってるのはよかったかも」

男「それはどうしてかな」

初「だって、私が成長して行くの、見たくないじゃない?」

男「あー、うん、それは」

初「いいのいいの、気にしなくて」

初「そもそも同一人物だからね」

初「でもさ、やっぱり男くんが新しい私を私として認識しようっていう意志が」

初「その集中力の高さが、違和感を持たずにいる理由なのかなって」

男「仮に僕が高く集中しているから、違和感を生まない秘訣だったとしてさ」

男「純度が高く集中出来ているとしてさ」

男「集中の純度の高さが幸福度を生むと思うんだよね」

初「どういうこと?」

男「何かテレビなり映画なり、本でもマンガでもゲームでもなんでもいいんだけどさ」

男「我を忘れるくらいのめり込んで、集中してやった後ってさ」

男「よかったなぁ、幸せだったなぁって思わない?」

初「あー、あるある」

初「確かにそういうのはあるよね」

半端で申し訳無いですが、今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

超芸術トマソンみたいな、オカルティックかと言われると違うけれど、何か関連ありそうなそういうラインの物もいいですよね

ではでは、また来ますね

おつおつー

生きとったんかわれぇ……!
おつ

まだー

今日は来ました

暑さがひどくて今年は地球に殺されるかと思いましたね、皆さんまだ生きていますでしょうか

ではでは、投下していきます

男「これって、面白いから集中してのめり込んでたってのは当然あると思うのだけど」

男「逆に言うと、集中出来ていればそれはもう面白い、幸せだってことになると思うんだよね」

初「手段と目的が逆になってる、みたいな?」

男「逆、なのかなぁ」

男「僕が思うに、目の前の物事に対する集中力の高さが幸福度の高さであり」

男「集中力の低さが、幸福でない、つまりは不幸なのだと思うんだよね」

男「無論、嫌なこと、悪いことという意味の不幸ではなくて」

男「集中出来ていれば幸福であったことに対して、幸福を感じられないことが」

男「プラマイ収支みたいな発想をすれば間違いなく不幸だと思うんだ」

初「あー、言いたいことはわかるけれど」

初「そもそもの集中しているとってとこがピンとこないよ」

男「集中してる時ってさ、周りが見えなくなるとか、聞こえなくなるとかってあるじゃない?」

初「うん」

男「つまり、集中すると他の情報、思考を弾き出していられるんだけれど」

男「その思考のノイズが無いという状態がストレスが無い状態であって」

男「その状態が持続すればするだけ幸せであるっていうイメージなんだけれども」

初「あー、ストレスがない状態が幸福感を出してる的な」

男「そうそう」

男「つまり、思考のノイズを減らして物事の純度を高くしていれば、運に左右されない要素として幸福度を上げられる、という考えなんだよね」

初「何となくわかったけど、何の話してたんだっけ」

男「僕が高く集中出来ているから女を女だと違和感を持たずに認識し続けられているみたいな話」

初「あぁ、そうそう、その話だったね」

初「つまり、集中しようと普段から意識してるからってことなのかな」

男「そういう話だね、大体のことは実際の話、集中して1つずつやった方が結果として早く終わるし」

初「宿題とかね」

男「テスト勉強とかね」

初「でも、その純度の高さって私達、“不可思議”と相性が良い理由でもあるんじゃないかな」

男「ん、どうして?」

初「まぁ、男くんとか、多分生きてる私の方にはわからないと思うけどさ」

初「不可思議ってさ純度の高さなんだよね、存在自体が」

初「私達って情報の集合だから、純度が高さが必要で」

初「だから、純度の高い人って相性が良いと思うの」

男「そう、なのかなぁ」

初「不可思議は生物と違って何となくで存在しているけど」

初「何となくでは生きては、存在し続けていられないんだよ」

男「それで、相手にするには相性のいい人間があるってこと?」

初「そんな感じ」

初「現に、私は男くんとのルールにぶら下がっている状態に近いからね」

初「まぁでも、始めて会うはずの私を理解して、見た目に対しても違和感を持たない」

初「そういう心が、その純度の高さが、私達のルールの根底なのかもしれないね」

男「実際、都市伝説や妖怪みたいな存在はともかく、僕らのルールが何から構築されているのか」

男「どうやって成り立ち、維持されているのかってよくわからないところだからね」

男「そういう意見は無下には出来ないね、正直間違っているとは僕も思えないよ」

初「だから、ね」

男「うん」

初「明日も、来て欲しいな」

男「そういう着地点かい?」

初「いいじゃない」

男「来るのは夕方だからいいけれども、それでも最近は暑くてねぇ」

初「いいじゃん、私を一回殺せば疲労も残らないでしょ」

男「そんな理由で本当に僕が女を殺したら、僕はとんだクソ野郎だね」

初「減るもんじゃないし」

男「いや、何かが減るかもしれないじゃないか」

初「生きてる方の私に聞いたら?」

男「この流れを説明した上でそんなこと聞いたら、本当に死なれちゃうかも知れないんだけれど」

初「そうだろうねぇ、あぁ、そういう意味ではもう減ってるのかな」

男「僕も君もね、変化しないっていうのは無理なんだよ」

男「ま、今日はこんな所で、また来るよ」

初「ん、じゃあね」

初と別れて屋上から、学校から帰ろうとする

なんだかんだ言っても初は僕を執拗に引き止めはしない

どころか別れを済ませるとわざわざ屋上から消えてしまう

厳密には自殺ごっこを繰り返す自分の姿を見せないようにする為で

僕もその前には、つまりは放課後の時間になるまでには帰ろうとしている

実際には放課後すぐという訳ではないのだが

おっと、今日は非常階段から来たから中を通って帰るわけにはいかないか

非常階段ってカンカン鳴ってあんま好きじゃないんだけれど

上る時は気を使いやすいけれど、下りる時はどうしても音が出てしまいがちだ

しかし、無駄に音を立てて誰かに見つかってしまう、なんてことは避けたいわけで

なんてことを考えて、足元に気をつけていたから、気が付けた

屋上と、非常階段の間に微妙だけれど、数cmだけれども隙間がある

繋がっていないのだ

来た時からそうだった?

構造として建物本体と非常階段が切り離されているなんて大幅な改修工事でもしない限りありえないだろう

まさかと思い、覗き込むと屋上だけではない、遠くてわかりにくいがおそらく1階に至るまで繋がっていないだろう

元々こういう構造で僕が気が付かなかった…?

無いとは言えないけれど、これは異常事態、何らかの不可思議の影響下だと考えるべきなのだろう

そしてこの現象は、心当たりがある

どこにも繋がっていない階段が現れて上ると、どこかに消えてしまう

ざっくり言うとそういう話だと思っていたが

逆だったのか、元とはいえ天の邪鬼の話を真っ向から聞くもんじゃないって?

面白いけれど、状況は面白くない

これは、純粋階段なのだろう

そう、元々あった階段がどこにも繋がらなくなってしまうのだろう

どこにも繋がっていない階段の行き先は?

見えないけれど、どこかがあると考えるべきなのだろうか

そして、そこへ消えてしまう

まぁ、そんな考察は今は置いておいて

結論だけまとめてしまうと

元々あった階段が、普通の階段が、ある時突然切り離されている

それに或いは降りてしまうと、乗ってしまうと

その人は消えてしまうのだろう

端から見れば結果は上っていても降りようとしていても

切り離されている階段の一番上に立つと消える、という現象だとすれば同じなのだから

そして、そんな切り離されている階段なんて物に、都合よくも純粋階段という言葉があったから

純粋階段と呼ばれたのだろう、他に呼びようもない

とりあえず乗ってしまわなくて良かったと、言っていいのだろうか

第42話





男「山の神について聞きたいことがあってね」






男「さぁて、どうしたものかな」

今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

もっと早く投下するつもりでしたが、本気で暑さにやられていて寝て起きて寝たら休日が終わるという悲しい夏を過ごしていました

ではでは、また来ますね

test

おや、板(というかVIPService)いつの間にか復活していますね

荒牧氏が鯖のHDD物理破損っぽいっていうから終焉の時かと思っていましたが、どうにかなったようですね

また時間作ってちまちま書いていきますね、ではまた

イヤッッホォォォオオォオウ!

待ってるよー

生存報告と年末のご挨拶的な

なんだか忙しい年だったのであれでしたが、来年もよろしくお願い致します

来年は流石にもっと書きます(断言)

別に今日書いて下さってもいいんですよ?(笑)
まあ、楽しみに待ってますので
来年も無理し過ぎない程度に頑張って下さい
それでは良いお年を

1/12終了

今日は来ました

前回話のタイトル書くところ間違っていたことに気づきましたので修正するところから始めます

ではでは、投下していきます

第43話





男「純粋階段?」




さて、どうしたものだろうか

非常階段はどうやら建物から切り離されていて

物理的強度の心配よりも、乗った瞬間に純粋階段に上ったと見なされ

僕が消えてしまう、或いはどこかに飛ばされてしまう

ということになる方が危惧される

消滅というのは経験がないが、おそらく女との入れ替わりが適用されて帰宅には成功するだろう

問題はどこかに飛ばされてしまった場合だが、まぁどちらにせよ最悪ルールに頼って帰ってくることは出来るだろう

どちらにせよ、最悪の場合であることには他ならないが

しかし、不可思議屋の助言がなければ気付かずに間違いなく踏み出していただろう

そして、死んだ理由或いはワープした理由がわからず悪戦苦闘しただろう

複数回純粋階段を踏まない限り、自力ではまず気付かないはずだ

だから、日が傾いてきている時間に出てくるのかもしれないな

流石に、明るい時間帯はかなりの確率で気付かれてしまうだろう

とは言え真っ暗ではそもそも目撃者が純粋階段になっていることに気付かないだろう

逢魔が時とはよく言ったものだ

その視界の不安定さ、不明瞭さを不可思議は本能的に好むのだろう

さて、冷静にならずに逃げるように考えるのであれば屋上の鍵を開け、校舎内から帰るべきだろう

こちら側からは開けれないし、僕の力でドアを破るというのもあまり現実的でない

故に誰かに来てもらうというのが現実的な案だろう

男「よし」

男「出てきてくれるかい? 神様」

「何が良いのかわからぬが、出てくること自体はやぶさかでないよ」

男「屋上の鍵を開けて欲しくてさ」

「神様に頼むこととして、程度の低さが気にならないのかい?」

男「確かにね」

男「休みの期間じゃなければ誰か学校にいる人にやってもらっただろうさ」

「ふむ、今日は休みにしても人がいないようじゃの」

男「業者が入るような日は部活動も休みにするみたいだね」

男「業者と生徒とのトラブルでも過去にあったのかな」

男「立入禁止ってしているのに、勝手に入ってワックスをダメにしたとか」

男「そういう系の何かが過去に問題になって、業者の入る日は生徒が来ないように」

男「部活動もすべて休みにする、みたいなね」

男「そう考えるのが自然なのかな」

男「別にワックスがけや清掃業者が入るって言ってもグラウンドと部室があれば出来る運動部まで休みにする必要はないからね」

「ふむ、人間の都合など知ったことではないが」

男「いや、少しは知るべきなんじゃないかな、学校の神様なわけでしょ」

「人間が人間のことを知り尽くしていないように、神もまた神のことを理解していないのだよ」

男「うん、そういうこともあるだろうけどさ」

男「こう、興味をもう少し持つべきなのかなと思うのだけれど」

男「いや、拘りがない、変化を拒絶しないという意味では正しくあるのか?」

「神様を呼んだ割には考え無しじゃの」

「困ったときの神頼みというやつか?」

男「うーん、確かに困っているし神頼みではあるんだけれども」

男「じゃあ、あっちの階段さ、どうにかしてもらえるかな?」

「あっちの階段?」

「なんじゃあれ、何処から来た?」

男「あぁ、やっぱり知らなかったんだ」

男「何か知っていれば、と思って呼んだのだけれど」

「ここで管理しているものじゃない、というかなんだあれは」

男「純粋階段の怪って僕はとりあえず呼んでるけれど」

「階段の怪談ってか、面白くない話だねぇ」

「これを学校から追い出せばよいか?」

「それくらいなら容易いぞ」

男「一応聞くけど、追い出したこの純粋階段は」

「どこかの階段にまた現れるだろうの」

男「発生条件不明、正体不明、こりゃ困ったねぇ」

男「逆に、ここに留まらせるって出来る?」

「可能じゃが、いいのか?」

男「他の人間が被害に遭うかも知れない、だろう?」

「わかっておったか」

男「構わないよ、非常階段の年間利用人数は避難訓練及び点検業者を覗いたたらほぼ0だ」

男「いたずらに使うような奴がいたとしても自業自得さ」

「ふむ、お主のような奴が、か?」

男「いやまぁ確かに、学校から見たらいたずらに利用しているわけだけれども」

「学校の怪談、以外の存在に話題を奪われるのは好ましくないが」

「不可思議の話題が上がることは好ましいことだ」

「故に廃校舎の管理人、いや学校の付喪神としては人間がどうなろうとあまり関係ない」

「ここに留めろというのならば聞いてやらんでもないぞ」

「君たちのルールには大変助かっているからね、このままたくさん死んでくれるとなお良い」

男「たくさん死にたくないんだけれども」

男「しかし、この階段の詳細は神様でもわからないんだね」

男「不可思議屋をここまで呼ぶか、巫女さん呼ぶか」

「あの吸血鬼はどうした、食わせれば良いだろう」

「それとも食われると困るのか?」

男「いや、学校の怪談みたいにしっかりとした管理人がいるのなら別だけれども」

男「彼女の基本は人に害するものなら見敵必殺」

男「登った人間が消えてしまう上に、特定場所に縛られず移動もするであろう階段」

男「正直こういうのどうやって食べるのか非常に興味があるのだけれども」

男「あなかなしきかな、彼女はお姉さんに連れ去られてどこかに行ってしまっているのだよ」

「いないのか、なるほど」

「では仕方あるまい、とりあえず今日のところは旧校舎の中を通って帰ろうかの」

そう言うと旧校舎の屋上に瞬間移動させられ、そのままお化け屋敷のような見た目の建物の外まで歩いたところで

現実の世界に戻されて、家路についている

ルールのおかげだろうけれど、瞬間移動した時にさして驚かなくなってしまっているようだ

たいてい瞬間移動するときは命に関わっている時なのでそんなことで動揺している場合ではないからなのだろうけれど

さて、とりあえずは純粋階段を学校の非常階段のまま移動させなくなった、はずだ

神様に任せてはいるが、そもそもいつの間にかあったことにも気付いていないようなので

その管理能力というか集中力というかには些かの疑問が残るけれど

そもそもに一人でも人間が引っかからない限りは移動しない、と言ったような一度人を被害に遭わせたら

何処かに移動するといった徘徊系の怪談ならば何もしなくてもあのままだったということも考えられるけれど

残念ながらあの話の詳細はわからないのだ

詳細というか、その怪談自体を聞いていないのが問題で

パッと思いつくような妖怪等の正体も浮かばず

話の出処がわからず

ネットで調べても出てこないということは非常に狭い範囲で流行しているか、出来たばかりの怪談だということだ

巫女さんに頼るような話でもまだないのだろうし、僕にとっての話の出処である不可思議屋に相談するしかないだろうが

不可思議屋が本当に出処である、というオチは勘弁願いたいものだ

女を含めて他の人間に話を聞くという行為はイコールで巻き込むというデメリットをはらんでいる

と、なるとやはり不可思議屋に行くしかないのだろう

しかし、超芸術トマソンの定義から考えると、僕の遭遇したあの階段の不可思議は本当に純粋階段だったのだろうか

悩んでいても仕方がない、日が暮れる前に不可思議屋には着くようにしよう

本日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

気付いたら1月が終わっていたので焦りましたね

もうちょい暇になってくれればいいのですが…

ではでは、また来ますね

おつおつ

おひさ
待ってる間に話忘れてた
また読み返して来よう
おつ

hosyu

引っ越しが連続で押し寄せてきてGWが待ち遠しいです

GWは時間が取れるので書きます、想像以上に最近時間がなかったですね

そんな感じの生存本能です

報告です…

引っ越しは大変だから、ゆっくりしてくださいな。

久しぶりに見に来たら更新来てた。おつー。

GWは特に時間を取れませんでしたので今週末書きます

wktk

おい1ヶ月経ったぞ

「書きます」「更新します」…そんな言葉は使う必要がねーんだ。なぜならオレやオレたちの仲間はその言葉を頭の中に思い浮かべた時には!
実際に作品を書いちまってもうすでに更新し終わってるからだッ!だから使った事がねぇーッ

「更新した」なら使ってもいいッ!

ほしゅ

今日は来ました

なんだかんだ言ってもスレ建てた日(パート1の)は覚えているものですね

ではでは投下していきます

男「さて、それでもう少し話が聞きたいと思ってさ」

店主「ふむ、毎日でも来いとは言ったが同じ日に何回も来るとはね」

男「来れる時に多めに来ておこうと思ってさ」

店主「おやおや、それは女ちゃんを連れてないからかい?」

店主「それとも吸血鬼がいないからかい?」

男「んー、どちらかと言えば前者にあたるのかもしれないけれど」

男「まぁあれだよ、君に会いに来たわけなんだよ」

店主「おやおや、嬉しいねぇ」

男「まず確認したいのだけれど、君の件の力って発揮されないんだよね?」

店主「それは、予言の力ということかい?」

店主「ということは逢ったんだね、純粋階段に」

男「そういうことになるのだろうね」

店主「しかし、件と天の邪鬼の能力は知っての通り自分の能力で自分自身を消してしまったからね」

店主「俺が占ったから現実になった、ということはありえないと思うけれどね」

店主「少なくとも占った時点で、君に伝えても伝えなくてもそれは現実のものとなる事柄だっただろうし」

店主「俺はそれを君に伝えるしかなかったのだろうさ」

店主「おそらく、そういうものだ」

店主「これが件の能力だとするならば、天の邪鬼の能力も機能してなければおかしいだろうし」

店主「それならそもそも君を招き入れないだろうさ」

男「まぁ、そんなところか」

男「いや、とりあえず確認程度のつもりだったからいいのだけれど」

男「話の詳細と出処を知りたいなってさ」

店主「信じていない、と」

店主「いや、むしろ天の邪鬼だった俺のことを信じているのかな」

男「そんなところだね」

男「だって、いきなり占うようなこと普通はしないだろう?」

男「それとも本当に占い師だったのかな?」

店主「はっ、どちらだとしてもやらないだろうさ」

店主「能力が、妖怪としての特性が戻りつつあるということではないんだ」

店主「それならば、同じような結末を迎えるように君を誘導するし」

店主「何より君は誘導するまでもなく気付いてくれるだろうさ」

男「じゃあ」

店主「君が逢ったという純粋階段は、俺の知らない話なんだよ」

男「出処は不明っていうのも本当なんだね」

店主「この仕事柄ね、出処不明が気付いたら手元にあったりするのだよ」

男「収集癖というわけではなくてかな」

店主「それなら幾分いいのだけれど、残念ながら役割に近いね」

男「始めて世に現れる不可思議と人を繋ぐっていう役かな」

男「フレンドオブアフレンド、友達の友達」

男「友達の友達が言っていたんだけどっていう出だし」

男「あ、でも僕友達がいな」

男「いやそうじゃなくて、結局はその後話の出処を探ろうとしても」

男「その友達の友達なんてものは存在しないとか、結局誰なのか特定出来ないとか」

男「そういうやつ」

店主「話の導入部分にあたる存在だな」

店主「君の言う通り不可思議と人を繋ぐ存在というのものは必要だ」

店主「それは人間側であったり、不可思議側であったりするが」

店主「俺が思うにフレンドオブアフレンド、FOAFなんてものは不可思議側だ」

店主「不可思議自体が人と関わりが無さ過ぎて必要として生み出された存在」

店主「機能といっても差し支えないだろう」

男「うん、概ねその通りなのかなと思うよ」

男「なぜなら都市伝説、妖怪、そういう不可思議の話をわざわざ流布して回る犯人がいてはいけないから」

男「いたとするならば、悪いのは不可思議ではなく人になってしまう」

男「人の悪意が発祥では駄目なんだ」

男「わざわざ流布して回る悪人がいてはいけない」

男「後からそれが誰が発祥だから、誰が悪い」

男「という結末がついてはいけないんじゃないかな」

店主「どうしてかな」

店主「別に意図せずそのような結果になってしまったとしても」

店主「不可思議の手引きをした人間のような扱いを受ける人がいてもいいんじゃないかな」

男「いや、よくないんだよ」

男「それだと不可思議のルールが、前提が破綻してしまうから」

店主「と言うと?」

男「いくつか思いつくとは思うけれど、まず第一は」

男「解決策や対処法が必要なくなってしまうこと、かな」

男「犯人がいるのであれば、不可思議を対処するのではなく、犯人をやっつければいいだろう?」

店主「そうだろうね」

男「そして、最も問題なのは」

男「誰も言って回らなくなってしまうことが正しい対処方法になってしまうことだね」

男「不可思議はそれでは存在出来なくなってしまう」

男「故に、不可思議との出会い方は唐突であるし」

男「そこに人の悪意は介入しない」

男「人が人に不可思議を押し付けるなんてことはあってはならないし」

男「むしろ、不可思議の領分を人間が犯してしまい云々だとか」

男「不可思議が存在して、そこに人が偶々遭ってしまうだとかそういう風に」

男「あるべきなんだ」

男「少なくとも僕はそう思うよ」

店主「ルールの方から、不可思議の成り立ちから逆算するとそういう考え方になるのだろうね」

店主「実際そういう視点は人間はそうだし、不可思議も持たないのだよ」

男「そうかな」

店主「君はどうして、何のために自分は生きているのだろう、存在しているのだろうって考えて生きているかい?」

男「それはまた哲学的な問だね」

男「生物は遺伝子の乗り物であるという考え方から言っても」

男「ここまで個体数の多く社会の発達した現代において人間一人の生きる意味というのは」

男「考えて答えが出るものとは思えないね」

男「故に考えないのが正解な気がするけれど」

店主「不可思議にとっても同じようなものなのだよ」

店主「自身の存在理由とは外側からは理屈で、理論で説明されるのかもしれないが」

店主「こと内側も、内面も考慮する場合、答えは出ない」

店主「ここにいる、だから存在するのさ」

男「ふむ、なるほど」

男「確かに、僕は不可思議をルールありきに考えすぎていたのかもしれないね」

男「不可思議がいるからルールが存在する」

男「それは間違いないけれど、ルールから考えても不可思議は見えてこない」

男「つまりだ、正体不明な純粋階段の怪は」

男「実際に観測をして考えないといけないのだろうね」

店主「回避できるのならわざわざ関わる必要もないのだよ?」

男「それもそうなのだけれども」

男「放置した結果、不運にも女が被害に遭ってしまう」

男「という可能性がある以上、どうかしたいよね」

男「何より、あんな風に出てこられたら初と会いにくいじゃないか」

店主「君って相変わらず自分に関心がないというか、なんというか」

店主「大人しくしているってことができないタイプだよね、意外と」

男「そうかなぁ、あまり活発な自覚はないのだけれど」

男「まぁ、どちらにせよ、どうするのか、どうもしないのかを含めて」

男「対応を考えないといけないね」

男「もう日も暮れるし、今日はこの辺にしておくよ」

店主「あぁ、そうだね」

男「それじゃ、また」

店主「またのご来店、お待ちしております」

今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

気がついたら時間がなくて日ばっかり過ぎていきますね、最近は

良くないですね、生きるために生きているわけではないのに

ではでは、また来ますね

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

きたきた

おつ

hosyu

ギエピー

今日は来ました

休日に昼寝込みで14時間程寝ているとこう何もできないですが

睡眠時間を減らすと人間として己の存在が維持出来なくなってしまうのでスヤスヤしていきます

寝ないでも大丈夫な人間とは人種が違うと思います

では、投下していきます

そんな感じで不可思議屋とは結局雑談程度で終わってしまい

帰宅して、今にいたる

もう寝るだけとはいえ、今日の整理とどうするかについての考察はしなければならないだろう

出処不明の不可思議

偶々学校の非常階段として現れ、固定化しているけれど

話の中身からしても上ると死ぬというよりは、どこかに消えるのだろう

所謂別次元、別空間に行くという話は数が多い

フェアリーサークルなんてのもその一つだったりするけれど

まぁ、本当にそういう世界が存在するのかは、行ってみないとわからない

いや、行ったとしてもわからないだろう

幻覚や夢であるという可能性を消さない限り、行ったという記憶すら

少なくとも僕は信じることは出来ないだろう

そして、乗って消えたという場合も

僕自体が死なない限りルールは作動せず女と入れ替わることはない

ドッペルゲンガーの時のように、僕らのルールの作動条件を満たさないだろう

最悪なのが、そのまま行方不明になってしまうことだ

例えば記憶喪失や精神誘導等により自殺を選ばない様な状況になると

僕は行方不明のままになってしまうだろう

そうなればその後の話の展開は想像に難くない、不可思議屋に話を聞いた女が行動に出てしまうだろう

そうしてミイラ取りがミイラになるというのが本当の最悪の展開

では、逆に最適な行動はなんだろうか

それは簡単だ、吸ちゃんの戻りを待ち、食べて

もとい退治してもらうことだろう

この街の治安を影で守ってきた彼女の大切さを身を以て実感しているというわけだ

今はお姉さんに拉致、もとい連れられてどこかで何かを退治しているのだろう

そもそも彼女を圧倒できるような人が、どうして彼女を助っ人として連れて行ったのかは

気になるところではあるのだが

まぁ、それこそ帰ってきて会ったら聞いてみればいいだろう

しかし、いつ帰ってくるかすら不明だ

メッセージに既読もつかないので当然連絡はつかないし

付くようになればまぁ帰ってくる頃なのだろう

そもそもあまりこういうことで他力本願になってしまうのはよくないことだ

と、僕は思う

誰かに助けてもらうが為の物語なんて虚しい寓話は事実、蔓延っていないわけだし

近代のエンターテイメント色が強い都市伝説等は別としてもそれ以前の怪談、伝承等は

警告、助言、歴史等を学ぶ知識としての側面も大きいわけであって

それは結局、自分で同じ様な場面に遭遇した際に対処できることを目的にしているわけで

自分の手に負えないから人に押し付けることを目的にしているわけではないのだ

人って言っても半分だけどね、なんておちゃらけた言葉が聞こえてきそうだけれども

やはり見てしまった、逢ってしまった以上

もう少し、僕が関わるべきなのだろう

男「って感じで今日も来たんだよね」

初「私以外の不可思議の為に屋上に来るなんて、なんだか複雑な気分」

男「不可思議としての自覚が進んでくると、そういう感じになるの?」

初「ははは、冗談だよ、うん、冗談なはず」

初「私を連れてこないで来てくれるだけでありがたいし」

男「自分と会うのは嫌なんだね」

男「まぁ、女の方もそれは避けたがっていたしちょうどいいのかな」

男「別に全ての現実に、向き合う必要はないと思うし」

男「というか、そんなこと僕が言えたことじゃあないからねぇ」

初「でも、男くんは私に会いに来てくれるじゃない」

男「普段は中々これてないから、休みくらいはね」

初「屋上って、今立入禁止なんだっけ」

男「そうそう、何故かね」

初「何故かねぇ」

男「まぁそれが本当に何故か、になっているおかげで形骸化してきているけどね」

初「男くん以外の人も時々来るもんね」

男「あ、そうなんだ」

初「見晴らしがいいしね、天気がいい日は気持ちがいいとこだと思うよ」

男「夕焼け、日没とかは気温的にも丁度いいのもあって好きだなぁ」

初「ま、でも見回りじゃあないかもだけど、先生が見に来るから男くんらみたいな素行の悪い生徒しかこないよ」

男「僕は別に素行が悪いわけでは」

男「いや、今の状態を鑑みるに理由はどうあれ素行は悪い、のかな」

男「あとどうせ吸ちゃんとかでしょ来るのなんて」

初「来たらよく給水タンクの下で寝てるよ」

男「彼女の場合は、夜に活動しているせいで眠いとかそういうのがあるだろうしあんま悪くは言えないねぇ」

なんて雑談をしながら、今日も無事に建物からちょっとだけ離れている純粋階段(?)を確認していたら

見回りの先生が来てしまった

僕らの話し声が聞こえてしまったのだろう

「誰かいるのか?」

と、言いながら屋上のドアを開けた音に気付いて、僕らも純粋階段からそちらに振り返り

やばい、見つかるだとか、どう誤魔化そうかとか

先生にとりあえず女の名前を出せば一時的には思い出すだろうからとか

そんなことを考えつつも、逃げるわけではないのだがつい体が後ろに行ってしまい

後ずさる様な形になり純粋階段側へ踏み込んでしまった

いや、踏み込んでしまっていたのだろう

突然現れた教師に驚き、そちらに意識がいっていた

そもそも避難階段なんて大体はいかにも後付チックなのに

うちの学校だけはバリアフリー意識が高く、屋上の避難階段も段差がないのが悪いのではなかろうか

そもそも非常時に屋外に出るための避難階段で、変なところに段差があると転倒の恐れがあるのはわかるけれど

屋上の避難階段を使う場合は4階から屋上に上がるための階段を使っているわけで

なんてことはこの場合関係なくて

屋上の入り口から避難階段までは視界が完全に開けているにも関わらず

教師はキョロキョロとしている

まるで、僕が見えないかのように

そして、気の所為か、などと言いながら

少し屋上をウロウロとした後に校舎内に戻って行ってしまった

男「いや、びっくりしたね」

男「休みだっていうのに先生がウロウロするもんなんだね」

男「しかも、なぜか見つからなかったし」

男「初、なんかやった?」

男「初?」

男「いや、君は隠れる必要なかったと思うのだけれど」

男「おーい」

男「いないのか?」

男「まだ時間には少し早いはずだけれども」

男「さて、どういうことなのかな」

男「初がいない」

男「びっくりして消える、隠れる、ドッキリ」

男「どれもないかな、早めに消える、放課後という判定が先生が来たことによってズレた」

男「うん、これもないかな」

男「なら、噂が消えた」

男「学校の怪談、ローカル都市伝説としての姿を維持出来なくなった」

男「ありえるのかな、長期休み等だと学校への意識が希薄になる等で変化が起こり得るのか?」

男「起こり得たとしてこのタイミングで起こった?」

男「手元の情報だけだとわからない、か」

男「なら、今日は帰って様子見、になるのかな」

男「あ、いや、そういうことか」

男「連絡先に女がいない」

男「つまり、今ルールが破綻している、成立していないんだ」

男「故に、初が消える」

男「消えるのか?」

男「前にルールが破綻した時は、逆に死んだ女たちが認識されるようになって」

男「それで初が生まれたんだ」

男「もう一回認識されるようになって周囲の噂話等が変わった?」

男「そもそも僕が先生に見つからなかった理由は?」

男「ルールが破綻した理由は?」

今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

もう少し書く時間を確保しないといけないですね、ええ

ではでは、また来ますね

待ってた!

来てた!!!!

久しぶりに頭から見返したけど良いね良いね

初スレが2011年…何気に長寿だった

ふぇぇ1か月だよぉ

今日は来ました

中々書く時間を取れないまま時間ばかりが過ぎていくのでもうちょっと考えないといけないようです

そしてこの話いつもよりちょっと長めになってしまう感じががが

ではでは、投下していきます

結局初はその後、少し待っていたが出てくることはなかった

時間的にも彼女が夜に学校にいることはないので、僕が見失ったタイミングで自殺したか

或いはどの様な意味かはともかく、消えているかといった所なのだろう

初に関しては今日中に答えが出ることはないだろう

朝、ないし昼の時間帯を待つ必要があるであろうし、今すぐ状況を理解することは不可能だろう

そして問題なのは、どういった訳か女がいなくなったという方だ

こちらの状況としては、連絡先から消えていることでのみ確認しているので

実際には、僕のスマホなどに悪さをするような何か

という可能性も捨てれないのかもしれないけれど

などと思ったのは最初の頃だけで

家に帰る前に、それに気づいたのだ

僕は今、人間に認識されていないということに

まぁ、歩いていて誰にも見られない、こちらに意識を向けないということは

正直、気にならないどころかスマホが発達した現代において珍しくはないことなのだろうけれど

まぁ、そういう時代の流れをスマホだけを理由にしてしまう時点でなんだか流れに置いて行かれている人みたいなのだけれども

しかし、僕の現状はそんなレベルではない

完全に認識されていないのだ

もしくは凄まじく手の混んだ村八分か何かで無視されているのかもしれないけれど

人とすれ違う際に避けないタイプの人もいるだろう

体験談として、お互い譲り合いになった結果反復横跳びを始めるような状態になり結果ぶつかりかけるなんてこともあるし

意思疎通がそこまで出来ていない相手に互いに無言で何となくで避けようだなんて

虫が良い話なのかもしれないけれど

故に、敢えて気づいてませんよ、避ける気がないですよというフリをすることで

その様な事故を回避するという歩き方もなくはないだろう

しかし、それは相手も避けそうにない場合はこちらが避ける前提なのであって

避けるスペースがないような道のど真ん中を堂々と歩き、相手を突き飛ばすような話ではないのだ

そして僕に当たってからビックリしたように立ち止まり、キョロキョロした後に

首を傾げながら去っていってしまうという状態は演技にしてはどう見てもやり過ぎで

屋上の件と合わせて、人に認識されなくなっているという状態を理解してしまったのだ

見えないのではなく、認識されないのだ

故に声をかけても気付かれないし、ぶつかっても相手には何がぶつかったのかがわからない

そうでなければ、僕のこの状態は説明がつかないだろう

ならば、初が消えたことはこれで説明をつけようとするのであれば

と考えたところで違和感を抱いた

僕が認識されなくなっていることと、初が消えたことが直接結びつかないことに

だって、そうじゃないか

初が僕のことを見えなく、認識出来なくなっても

初が消えることにはならないだろう

初が存在している根幹にあるルールは

「屋上に自殺し続けている女生徒の幽霊がいる」

というもので、これ自体は僕はおろか初のことを特定しているわけでもないのだ

故に僕が人に認識されなくなろうが、ルールが崩壊するわけがない

そう、僕が認識されないことで崩壊するのは初のルールではない

あるじゃないか、僕が

僕でなければ、いけないルールが

僕と女のルールが

急いでスマホを取り出し、女に電話をかけようとする

もちろん、安否確認の為だ

しかし、いなかった

連絡先の中に女が存在しないのだ

女がいないということは、どういうことか

こういう時こそ焦りながらも落ち着いていないといけない

急ぐという、結果を急くという気持ち自体は悪くはない

しかし、落ち着いた思考、広い視野、そういうのを失ってはいけない

そうでなければ、重大なミスを犯してしまうかもしれないから

そしてそれは、命に関わるかもしれないのだから

だから、落ち着こう

女が存在しないということに、覚えはある

お盆時期に女が幽霊として戻ってきてしまい、死んでいるという認識がなされてしまい

僕らのルールの死んでいることをなかったことにするという部分

或いは別の女として現れるという部分

そのあたりが上手く機能しないことで僕らのルールが機能不全を起こした時だ

そして、もう一つ

普通に女が死んでいる時だ

いや、普通に死んでるってなんだよ

まぁ、普通に死んでいるというのが分かりやすい表現なのだが

しかし、僕の中で女が死んで翌日に現れる間の期間のことを

普通に死んでいる時と表現が出てきてしまうことは、良くないだろう

女はそれでも、いやむしろ自分から同じ様なことを言いそうではあるのだが

それを僕が言ってしまうのは、駄目だろう

僕が僕であり続ける為に

この様な内面的なプチ反省会というのはコマ目に

厳密に言えばその都度行っていくべきだろうと思ってはいるのだけれど

今は、このくらいにしておいて

要は、現在の状態からわかることは

僕と女のルールが破綻している

或いは、女が僕の気付かない内に死んでしまっている

このどちらかということだろう

そして、初が消えていて、僕が人から認識されなくなっている

大雑把に見えている情報はこんなところだろう

安易に、分かりやすい答えに飛びつきたくなるが

しかし、これはテストの問題ではないのだ

一つの問に対してその答えがあっていれば途中は多少省こうが○

そういうわけにはいかないだろう

途中式を、途中の計算を省いてしまうことで、見えなくなってしまう情報があるかもしれないから

そして、この結果が合っているか確認しないまま、その答えを利用して次の問を解かなければいけないから

故にミスは許されないし、見落としはあってはいけないのだ

だから、落ち着こう

まず、僕は生きている

これはさっき人にぶつかったが、人に認識されなかったことから想像が出来る

僕が実は教師に発見されなかった瞬間死んでいたとするならば

幽霊だから見えなかったという論法なのだとすれば

人にぶつかったのは、物理的に干渉が出来る霊ということになり

別におかしくはないが、物理的に干渉が出来る状態の霊は大抵人間に見えるのだ

それは、人に霊感があるから霊に触れてしまうにしろ同じだろう

故に、死んだことに気付かず記憶が混濁している系の幽霊ではないだろう

まずは最悪は回避されているはずだ

そもそも、僕が死ぬには女が一度死んでからでないといけないので

女が生きていれば死ぬはずはないけれど

まぁ、僕の知らないところでなにかに首を突っ込んだか何かが突っ込んできたかで、命を落としていることは考えられてしまうけれど

思考を戻して、僕が生きているが人に認識されないかつ初が消えている

かつ、女がいないという状況を説明するには

何が起こってそうなったかを考える必要があるだろう

女がうっかり勝手に死んでしまっている場合は、とりあえず想定しないで良いだろう

なぜなら、そうであれば明日になれば女がいないということ自体は解決するからだ

となれば、考えるべきは女がいないことと

僕が認識されないことが繋がっている場合だ

さて、どうして

どういう理由で、こんな状況になってしまったのだろう

今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

こっから年末年始の時期はどうにも忙しそうですが、まぁだからと言って書けないことはないだろう

という気分でやっていきましょう

ではでは、また来ますね

来てた!お疲れ様です。

長寿スレの1レスは80人ぐらい後ろにいるからな…見ているぞ…

明けましておめでとうございます、本年もよろしくおねがいします

今年の抱負とかは今度考えます

1ヶ月だぞおい

いつの間にか時間が…

また引っ越しな感じなので諸々がわちゃわちゃしてますが、書かないとですねぇ

(´・ω・`)

今日は来ました

季節外れの雪が降っていますが、自粛ムードなのでどちらにしろ花見とかは被害を受け無さそうな不思議な感じですね

では、投下していきます

とりあえず家に帰ろうとしていたが、その途中で大方の状況が

僕が置かれている状況というか、僕の状態がわかってきた

途中で僕がコンビニに寄った際に、わかったのだ

僕が入店した際に店員らが発した会話で、現状が読めてきた

「自動ドアが勝手に開いたね」

「虫とかでセンサーが反応することもあるから、故障ではないと思うけど」

自動ドアは僕に反応するが、人が僕を認識出来ていないのだ

虫等に反応するという店員の言葉から、この自動ドアは光線や赤外線等のセンサーによるものだろう

つまり、僕が透明人間になっているわけではなさそうだ

最も、可視光だけ透過するという半端な透明人間の可能性もあるが

しかし、外の暑さ、つまりは遠赤外線等を僕が知覚出来ているし

そもそもに窓などに僕は反射して映っている

つまり、ある程度の光は僕を通り抜けることなく当たっているのだろう

物理的に透明になっているというわけでなく、人には見えない

幽霊の状態とどちらかというと真逆のような状態のようだ

まぁ、そもそもにこんな状態でどうしてコンビニになんか寄っているのかと言えば

とりあえず真っ直ぐ家に帰るということに恐怖感があったのは否めない

だって、一般的な話では家までの帰路であったり、家で死ぬことはあっても

営業中のコンビニやスーパーの店内で死ぬ話はな

要は臆病風に吹かれたということなのだろう

臆病風のおかげで、早めに現状が理解出来たことは収穫だが

同時に、僕がある程度冷静さを保てていないこともわかってしまった

とりあえず買い物は出来ないし、おそらく僕が商品を持つとポルターガイスト騒ぎになってしまうだろう

それに店内に長くいて、人とぶつかったり等のトラブルが起きても面倒になるだけだ

他の客に紛れて自動ドアをやり過ごして、コンビニの前で思案する

まず、いつからなのだろうか

いつから、見えなくなっていたのか

今朝家を出た時、はおそらく見えていただろう

そもそも初と会話している間、初が僕を認識出来ていたのだから

見回りの先生が来るまでの間なのだろう

うん、わからないな

何となくだけれど、この方向からの思考では解答が見えてこないという感覚がある

感覚というよりは直感だけれども、こういう時の僕はその直感に従い思考を回すことにしているのだ

とりあえず連絡先に女がいないということは確認していたが、もう一度確認する

女が死んでいて、次の女が現れるまでの間である場合と

僕らのルールが破綻している場合に起こるであろう現象は、現状は同じだからだ

しかし、前者では僕が認識されないことの説明は難しいだろう

と、なると後者なのだろう

これ自体は純粋に明日の朝になるまで待てば正解がわかることなのだが

そう、今の僕の感情は明日の朝になるまで結果を先延ばしにしたいのだ

それは明らかな逃避であって

それを防ぎたいから、わざわざコンビニで立ち止まっているのだ

現状は僕が認識出来なくなっている、そのせいでルールが破綻していると考えるべきなのだ

おそらくは、女が僕のことを認識出来なくなり、ルールが破綻したのだろう

考えるのもいいが、行動も同時に行うべきだろう

とりあえず不可思議屋に話を聞きに行こうか

見えなくとも、認識出来なくとも

僕と何だかんだ意思疎通は出来るだろう

その方法を考えながら向かえばいいさ

そう思い移動している間にメッセージが来た

残念ながら、女からではなかったのだが

クーちゃんからで「神様が暇だったら来て下さいと仰ってます」という内容だった

まぁ、実際には神様が暇なら早く来いって言えとクーちゃんに言っているのだろう

直接連絡してこないあたり、賢いところがある、流石は神様だなと

めちゃくちゃに神様を下に見たりなどしている瞬間に気付いた

なんでクーちゃんからメッセージが来たのだろう

いや、何となく察しは付いた

今の僕は人間から認識されないのだ

つまり、人間以外からは認識されるのだ

それは自動ドアしかり、ケータイしかり、不可思議しかり

ということは、不可思議屋は僕のことが見えるだろう

とりあえず不可思議屋に行こう、そこまでは正解のはずだ

と、考えていたのだが問題があった

どういう訳か知らないが、不可思議屋がいない

正確には不可思議屋がない

そう、店があって不在なのではなく、店ごと不在なのだ

不可思議屋は店ごとの移動販売店舗みたいなものだし

何より連絡がつかないのは当然なので、もはや世界のどこにいるのかもわからない

とはいえ、僕が来るような時間帯は大抵ここにいてくれるのだが

少しウロウロして視界を外したりしていても、空き地は空き地のままである

純粋階段に気を付けろ、その言葉の意味を再度確認したかったが

今日は無理かもしれないな

今の彼女の状態を鑑みるにそのままの意味で捉えてもいいのかもしれないが

占い師のころの彼女の能力であれば、言ったことを真逆にして現実となってしまうので

気を付けろという様な助言は、どうなるのだろう

状態を指していない故に特に効力がないのか

僕がそれを注意することが出来なくなってしまうのか

不明だが、どちらにしろ純粋階段を生み出すことには繋がら無さそうだ

そもそも彼女はもう天邪鬼でも件でもないので、発言にその様な効果はないのだが

霊能力者としての素質か、その後に取り込んだ不可思議が原因で

予言のような能力を持っていてもおかしくはないのだろう

これを否定する材料を僕が持たない以上、これ以上の考察は無駄だろうし

今日、不可思議屋と話すことは諦めよう

そうなれば真っ直ぐ家に帰ってもいいのだが

正直に言って時間がまだ早い

日が暮れるよりも先に帰っても時間を持て余してしまう

普段ならば、別にいいのだが

こういう時に、家に帰ってテレビを見たり本を読んだりしても

何も楽しむことなんて出来ないのだから

ではどうしようか

夕方以降に外を彷徨くというのは女がおらず

そして吸ちゃんがこの街に不在の今、出来るなら避けたほうが良い

小学生並の、門限意識を勝手に持つのがこの僕であるのだが

さっきのメッセージで思い出した

日が暮れてもどこよりも安全なところがあるじゃあないか

クーちゃんの神社である

うん、この言い方だとクーちゃんを祀っていそうな感じだが

まぁ現状半分くらい間違いでもない感じなのでそれでもいいか

クーちゃんの家にというのは非常に迷惑がかかってしまうが

あそこには神様の隠れ家があるし、まぁ一泊くらいなら軽くさせてくれるだろう

むしろ帰してくれなくなりそうな気がするけれど

ま、さっきのメッセージに返答しつつ

とりあえずクーちゃんに電話しながら切り出すタイミングとかは考えようかな

というか、神様も含めて純粋階段の話はしておきたいし

クーちゃんも神様も僕のことは見えるだろうし

いや、そうだ

そもそも今日僕は家に帰る必要がないんだ

親だろうと僕のことは認識出来ないのだから

というかそれで親は僕のことを認識出来てしまって

実は親がもう人間でなくて不可思議に成り変わられていたという話が

更に始まってしまいややこしさの迷宮に陥るなんてことがあったら

目も当てられないだろう

しかし、見えない聞こえない認識できないということは行方不明という扱いにでもなるのだろうか

行方不明として扱うにしても一晩はかかるだろうし

そこら辺も考えつつ、今日は神社に向かおうかな

本日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

今年も引っ越しをしたので何とか落ち着くと思ってましたが、世情が全然落ち着きませんね

あまり買い占めみたいなことはしたくは無いのですが、実際餓死したくは無いのである程度の買いだめは必要だろうなぁと言う微妙な感じの流れですね

ではでは、また来ますね

スレが伸びてる!!と思ってきたらやったね

おつおつ

暇だし読み直すかね

ho

syu

ほほほのほ

ししししし

今日は来ました

忙しかったりバタバタしている間に時間が取れないまま過ぎてしまいますね

まぁこういう時勢に仕事が全く減らないということは感謝してないという訳ではないのですが

休みが全く増えないし、むしろ関係なさ過ぎる上に忙しいせいで減っていることに関しては何か違うんじゃないかなと思ってしまうのもまた人間の悲しいところですね

ではでは、投下していきます

男「という訳でね、今そっちに向かっているのだけれど」

ク「え、急にどうしたんですか?」

男「あぁ、よかった僕の声は聞こえるみたいだね」

ク「聞こえますけれど、電話の調子が悪いんですか?」

男「あぁ、いやいや電話の調子が悪いわけでも、電波が悪いところにいるわけでもないんだ」

ク「そうなんですね、それでこっちに来ているというのは」

男「そうそう、今向かっていてね、もう2,30分で着くと思うのだけれど」

男「とりあえず神様も交えて話がしたいし」

男「隠れ家の方でいいかな」

ク「えぇ、大丈夫ですよ」

ク「でも何かあったんですか?」

男「まぁ、そこそこにね」

男「でも、どうして?」

ク「だって、私と神様のところに急いでくるなんて珍しいじゃないですか」

ク「今は吸ちゃんもいないですし、何かあったのかと思うのもおかしくないのでは?」

男「はは、まぁ更に言うと女もいないしね」

ク「初さん…?」

男「ん? あぁ、何でもない」

男「それじゃあ、後でね」

ク「はい、気を付けて来てくださいね」

男「転ばないよう、気を付けて登っていくさ」

クーちゃんに電話して神様にアポを取ろうと思ったが、それ以上の収穫があった

とりあえずクーちゃんの言う通り、今の僕は認識されないので交通事故には普段より気を付けていかないといけないのだが

いや、クーちゃんが気を付けてと言ったのはおそらく僕が不可思議に巻き込まれていると想定して

それで僕が神社に来るまでに事柄が悪化しないように、またさらなる何かに遭遇しないようにという半分祈りのようなものであろうが

そして半分神様のあの子の半分祈りなら四分の一程は効果があるのだろうか等と変なことを考えながらも

僕が『女』のことを話題に上げた時の反応を考えることにしよう

クーちゃんはその時、初の名前を出したんだ

これはどういうことか

僕が言う女は現在における一番新しい女の名前にあたる

僕らの不可思議なルールにも僕らが慣れてきていることの現れであるこの呼び名の使い分けは無意識的だ

これは書き換わった過去の記憶

僕らからすると重なっていく過去の記憶の中の無意識的な選別

というよりは最初の頃こそ逆に意識していたから言いにくかっただけで

今の僕らの肉体は、いや精神もだろう

ずっと女のことは初ではなく、女と呼んできていたのだから

意識さえしなければ癖でしっかりと女と言えるのだ

つまり僕らは意識せずに名前を言っていたことになるのだが

人間の脳が持つ適応能力なのだろう、重なっている記憶も

手癖で新しい記憶部分しか使わないようにしているのだろう

脳への負荷とか、そういう問題なのかもしれないけれど

しかし、今は何故か女=初になっている

そうだ、僕の頭の中でのイメージでは女は一番新しい女であることは間違いなかったのだが

口から出てきた言葉は確かに初だった

これは僕の重なっている記憶自体が僕らのルールによる影響を受ける関係で

僕の自覚と実状、というより実際の史実に齟齬が生じるというあれに似ているのだろう

つまり現状は僕が認識出来ない過去が正しい歴史と化しているということで

そしてクーちゃんが初と言った事実から考えると

おおよその現状はわかってくる

クーちゃんが生きている女のことを初ということはまずない

そもそもに優しい彼女のことだ、死んでいる女のことを話題にあげることすら気をつかってしないだろう

そして電話越しの僕の真意を測りかねているというか

どうして突然その名前が出たのかわからず困惑していたようなあの感じからすると

初は死んでおり、女は現れていない

現状をもう一度整理してみよう

現在僕は人間に認識されることが出来ず

僕らのルールは機能しておらず

しかも、女が現れるのが阻害されているというよりは

ルール自体が無くなっているような気がする

これは過去の女も認識されておらず、初しか認識されていないことから推測出来る

或いはお盆の時の様に女が死んでいることが認識されすぎてしまい

過去の改変が出来なくなっている等の状態も考えられるが

僕の現状から前者の方が確率は高いだろう

行くと言ってしまっている手前、やっぱ行かないという訳にはいかないのだろうが

というか、この流れでやっぱ行かないなんて言ったら逆に心配して飛び出してきてしまいそうだ

しかし、僕の足は重くなってしまった

それは神社に行くことで僕の状態がよりはっきりと理解出来てしまうであろうことから

いや、僕の現状が理解出来てしまうことによって僕らが

もしかしたら僕らではなく、僕だけが気付いていなかった、或いは気付こうとしてこなかった事実に目を向けないといけなくなってしまうからだ

他人から見てしまえば、僕らのルールは夢を見続けている様なものであるという事実に対して

だってそうじゃないか

他人から見れば、女があの時から生きていようが死んでいようが、何も変わりがないのだから

女がそこに居たかいないか、それだけの差でしかない

僕が人間に認識されなくなったことを発端に

女が僕を認識出来ないことによって

僕らのルールが成り立たなくなり

初が死んでいる事実のみが残った

これにより女が消え、初の幽霊も消えたことが説明出来るだろう

そして、クーちゃんの状況

つまり神様がいる現状等から考えられることは

普段のルールとは逆の現象

つまり、女が生きていたことになるという過去の改変ではなく

女がいなかったという過去の改変が起こり

僕と女のではなく、僕だけの不可思議と関わっている最近の日常があることになっているのだろう

その差分の過去に関して、僕が認識出来ていないということだけはいつも通りなのだが

そこまで考えが進むと、当然疑問が出て来てしまう

つまり、女がいなかった

死んだままであるという過去の改変は本当に起こったのだろうか

という疑問である

他者と話すことで、この事実を突きつけられてしまうのではないか

そういう懸念が、疑念が、恐怖が

僕の心と足を重くしているのだ

本日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

うっかり初スレ立て記念日を越してしまったことに気付いたことにより慌てて書き始めたみたいなところはありました

ではでは、また来ますね

うむ

9月だぁぁぁぁ

ぬるぽ

11月だぁぁぁ

とりあえず生存報告だけ

最近忙しいですね、ええ、本当に

どこかでどうにかしたいですね

wktk

あけおめ

3月だぞ

4月ぅぅ

今日は来ました

隙間を見つけて書いたりしていましたが

その間に読み返したり、怖い話読んだり、未解決事件調べたり、横道が果てしなくなってしまいました

ではでは、投下していきます

男「さて、到着したのだけれど」

「うむ、待っておったぞ」

男「待ってなくても、と言いたいけれど今日は僕の方が用があったからね」

男「いてくれて助かったよ」

「ここにいないことの方が珍しいがの」

ク「ここにいなくても神社の敷地内にはいらっしゃいますしね」

男「その場合いるであろう場所が山のどこかになるから割と困るんだけれどね」

ク「それで、何があったのですか?」

男「うん、まぁ君たち相手だと僕に何も起きていない様に錯覚してしまうのだけれど」

男「端的に言うと僕は人に認識されない状態になっている、気付かれないというべきかな」

ク「だから電話に出たことに驚いていたんですね」

ク「というか私たちには男さんが見えているのは」

「それは私達が人間ではないから、なのだろう」

ク「それは、どういう」

「どういう訳か人間からだけ認識されなくなった」

「そして不可思議には認識されるので、ここに来た」

「そんなところかの?」

男「大体そんなところだね」

男「それで、経緯を話す前に確認したいのだけれどいいかな」

ク「ええ」

男「僕らのルールってわかるかな?」

ク「男さんの…?」

「ルールとな」

男「あぁ、そういうパターンなのか」

ク「そういうパターン、というのは?」

男「僕のルールの影響がロールバックしたパターンってことかな」

ク「ロールバック?」

男「簡単に言うと巻き戻し処理かな」

ク「未来から来たのですか?」

男「いや、僕が過去に移動したとかいう訳ではなくてね」

男「というか、僕が時間移動してきた可能性を考慮するのは」

「今までの行いじゃろうて」

男「いやそれは、どちらかというと僕ではなく神様の方だと思うけれど」

男「特に時空関係というか、過去を見せるというかそういうのは」

男「うんまぁ、つまり僕らのルールが無くなったことによって」

男「過去の僕らに起きた結果ごと無くなっているというか」

男「うーん、これ説明が難しいな」

「ふむ、何となく言いたいことは伝わったが」

「現実改変系の不可思議が消滅し、その改変がそもそも起こらなかったことになった」

「という感じかの?」

男「おおよそその通りだよ」

ク「その、初さんが、なにか絡んでいるのでしょうか?」

男「あぁ、電話の時のでわかっちゃうか」

男「そうそう、初は死んでるけど生きていたんだよ」

男「詳細を説明すると長くなるから今は割愛させてもらうけど」

男「ルールを再び動かすことが出来れば、元通りになる」

男「だから、現状確認と解決のヒントを探しにきたんだ」

男「まぁ、そんな感じかな、ざっくりとだけど」

「つまり、他人に認識されなくなったことで効力を発揮出来なくなった」

「そのルールとやらを直したいと」

男「問題は、僕が他人に認識されなくなった、ということだと思うのだけれど」

ク「私には何も変わりなく見えますけれど」

「問題はそこじゃろう、男がどこか変には見えないのだ」

男「ここに入った時点からその可能性は諦めていたけれど」

男「憑物、みたいなことではなさそうだね」

男「不可思議屋のやつめ、結局あの占いだか予言だかみたいなのが悪さしてるじゃないか」

男「いや悪さするところまでセットでらしいとも言えるけれど」

ク「不可思議屋、とは?」

男「ほら、ここのお守りの出張販売というか、そんな感じのやってる」

男「え、いや、待って」

男「知らないのか?」

「うむ、そんな店は知らんぞ」

男「えーっと、そうだね、何個か質問いいかな」

ク「えぇ、どうぞ」

男「荒神、犬神はクーちゃんと僕の二人だけで?」

ク「治めましたね」

男「同ちゃんは?」

ク「少し前からどこかに行っている、のでしたっけ?」

男「初はわかるけれど、女のことは?」

ク「存じません」

男「つまり、どういうことかな」

男「あー、ちょっと考えさせて」

つまり、どういうことだろう

現象としては僕と女のルールが破綻したことによって

女を構築する為の歴史修正が無かったことになっているのだろう

ルールが破綻したことは今回が初めてではないが

ルールが無くなる度に条件が違うからかルールが無くなっている状態での過去も同一ではない

今回は僕が他人に認識されなくなっているからか、今までとは違うのだろうか

ルールが破綻するタイミングで違うのだろうか

後者の影響も間違いなくあるだろう

僕らのルールは、女が死ななかったことになる以外は同じ行動を取っていたことになる

逆に言えば、女の死が絡むところに関しては大きく異なる行動を取っていたりもする

訪れていた所に訪れなかったことになっていたりがその例だろう

極端な話、女はその日家にいないと死ぬという運命の日があった場合

女が前日から海外旅行に行っていたとしても

緊急的に帰宅する、予定がズレる等の理由で行かなかったことになるだろう

僕らのルールが干渉するのは女の死の前後の時間ではないのだ

女の死の原因、或いは僕の死の原因に対して改変が行われる

女はある程度、その改変後の過去も認識していたが

僕は認識出来ていない

そして、この現状はおそらく、僕の認識出来ていない過去と想定出来る

そしてその仮説を裏付ける根拠は僕の生存という事実なのだろう

僕らのルールが破綻した際に起きた事象として

ルールによる改変は無かったことにならない、つまり改変の改変は行われないということだろう

冷静に考えてみると、そうでなければルールが消えた時点で僕も

いや、僕こそがあの日に死んでしまうから

現状が、ルールが消滅しているのか、ルールが止まっているか

どちらなのかということでまた認識が変わってくるのだが

重要なのは、現時点で女が生きているという事実は

僕或いは僕の周囲のみでの幻想などでは決してないということだ

もしかすると、その可能性が否定出来ないことが

僕らのルールが構築される条件の一つなのかも知れないけれど

そういう考察は今後、神様や不可思議屋とすればいいだろう

不可思議屋?

そういえば不可思議屋を知らないと言っていたけれど

それはつまり不可思議屋がこの街にはいないということなのだろうか

女と行動していた僕も含めての行動が無かったことになっているからなのだろうか


男「よく当たる占い屋って、知ってたりするのかな」

ク「よく、というか絶対外れないと聞きますよね」

ク「駅前の空き地でやっている占い屋さんって」

今日の投下はここまでになります、お疲れ様でした

SSを書く時間を捻出し続けている人って凄まじいですよね

体力が追いつかないと、夜なんて頭が回らないから書けませんし

なんて話はここには関係ないので頑張って書きましょう、それに尽きます

ではでは、また来ますね

生きてた!!!!!!おつ!

いつのまに

おつんつん

生存報告

うむ

いきてるかー

生存報告その2

うむ

こなあああああああああああああああゆきいいいいいいいいいいいいいいいいい

チラッ

あけおめ

2月ぞ

しししがつ

5月ぞ

エタりたがりな>>1の自殺を止められない
既に死んでたりして(笑)

SS避難所
https://jbbs.shitaraba.net/internet/20196/

6月ぞお

生存していた!!!!!!!!!

いきてるかー

あけましておめでとうのほ

おらぁ6ヶ月ぶりの ほ

エタったか…

このSSまとめへのコメント

1 :  MilitaryGirl   2022年04月19日 (火) 18:03:31   ID: S:6VPEvT

今夜セックスしたいですか?ここに私を書いてください: https://ujeb.se/KehtPl

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