少女と鳥類の王アンクとのある日のやりとり

小説版のネタバレは少女とアンク関係のことだけです




少女「トリさんは赤いトリさんなんだよね？」


アンク「ふん、お探しの幸せの青い鳥じゃなくて悪かったな」


少女「むー、またそういういじわるいう……」


アンク「あーはいはい」


少女「はいは一回だよ！」


アンク「あーはいはい」


少女「もー！」

アンク「で、今日は美しい風景を聞かせてはくれないのか？」


少女「んーだってまだ見てないもん」


アンク「何？前に来てからしばらく経ったが……まだか？」


少女「うん……私も早く見たい」


アンク（あのヤミー何をてこずってやがる。適当な人間を襲ってくればいいだけだろう）


少女「トリさん？」


アンク「何でもない。とはいえ、美しい風景を聞かせてもらえないなら無駄足だったな」


少女「帰っちゃうの？」

アンク「そうだな、居る意味がない」


少女「そっかぁ」


アンク「…………」


少女「そっか……」


アンク「……チッ、あと少しだけだ」


少女「本当に！？」


アンク「勘違いするな……雨が降っているからな。俺は雨が嫌いなんだ」


少女「雨？……聴こえないよ？」


アンク「これから降るんだよ！！鳥は天気に敏感なんだ！！」


少女「そっかー！」

アンク「ったく……おい、せっかく残ってやったんだ。何か話せ」


少女「んー……たまにはトリさんのお話が聞きたいな」


アンク「あ？俺の話？」


少女「うん！何かお話して！」


アンク（人間が……調子に乗るなよ）


少女「えへへ」ﾆｺﾆｺ


アンク「……今回だけだ。もう二度と無いぞ」


少女「やった！」

アンク「それでそいつの欲望はボタンを毟り取ることだったんだ。さすがの俺も呆れて……」


少女「うん……うん……」ｺｯｸﾘ…ｺｯｸﾘ…


アンク「チッ、いつの間にか夜になってたか。おい、眠いならちゃんと寝床で寝ろ」


少女「だい……じょうぶ」


アンク「大丈夫じゃない。ほら、行け」


少女「でも……寝ちゃったら……トリさん帰っちゃう……」


アンク「……あーはいはい、わかったよ。朝までいる」


少女「本当……？」


アンク「ああ、だが勘違いするな」

アンク「鳥目だから帰れないだけだ」

少女「そっ……か……」ｺﾃﾝ


アンク「おい……俺に運ばせるつもりか？」


少女「すー……すー……」


アンク「いい加減にしろよ。人間ごときが俺を……！」


少女「ぅぅ……やめて……痛いの……お母さん……」


アンク「…………」

アンク「これはセルメダルのため、こいつの欲望が俺を多少満たすからだ。俺のためだ。こいつのためじゃない」ｷﾞｭｯ


少女「えへ……ふさふさ……トリさん……」


アンク「……クソ」

アンク（人間なんて愚かで醜いだけだ。弱いくせに儚いくせに身に余る巨大で大量の欲望を求める馬鹿な生き物だ）

アンク（そのはずだ……）

少女「んっ……」


アンク「やっと起きたか」


少女「トリさん！本当にいてくれたの！？」


アンク「言っただろ、帰れなかっただけだ。もう帰る」


少女「ちょっとだけ待って！」


アンク「あ？」


少女「おはようトリさん」ﾆｺｯ


アンク「……ふん、またな」


〜〜〜
〜〜
〜

〜
〜〜
〜〜〜


？？？「アンク……アンク！」


アンク（ん……）


？？？「起きろってばアンク！！」


アンク「……なんだ映司、消えろ鬱陶しい」


映司「もう朝だから起きてって！ヒナちゃんのお兄さんのためにも朝ごはん食べる！」


アンク「ったく、これだから人間はめんどくさいんだ」


映司「ほら！行くよ！」


アンク「はいはい」


映司「あっそうだ」


アンク「あ？」


映司「おはようアンク」

少女『おはようトリさん』


アンク「ッ！！」

アンク「なあ……映司」


映司「ん？アイスなら朝ごはんの後だから」


アンク「違う！お前世界中を回ったんだろ」


映司「え？う、うん……」


アンク「だったら色々見て来たんだよな」


映司「うん、色々見た。けど、どうしたのいきなりそんなこと聞いてきて？」


アンク「……映司」


映司「なに？」


アンク「美しい風景を聞かせてくれ」












？？？「続きはない！」

久しぶりに小説版オーズを読み返しました

アンクの章も映司の章もやっぱり素晴らしいですね

ここまで読んでいただきありがとうございます

少女『私、青い鳥を探してるの。トリさんは何色？』


アンク『俺は……赤い』


少女『……そっか』


アンク『幸せはやれないが、お前の欲望を満たすことは出来る』


少女『欲望？』


アンク『お前のしたいことだ。何がしたいか言え』


少女『したいこと……？きれいなものが見たい！』


アンク『お前の欲望、満たしてやる』


チャリンッ……