P「……とりあえず今日は帰れ。明日も学校だろう？」

春香「はい……はい……すいません……」

P「そんなに謝るなよ。アイドルは笑顔を届けるんだぞ？」

春香「！　はい！」ﾆｺｯ

P「それでいい。それでこそ天海春香だ」

春香「は、はい。それじゃ、お先に失礼します」

P「おう」

‐駅‐

春香「……(プロデューサーさん、悔しかっただろうな……。私も頑張らないと……)」

女「あっ」ﾄﾞﾝｯ

春香「きゃっ！？」ﾄﾞﾝｯ

女「あ、あっ、す、すいません！」

春香「い、いえ、いいですよ」

女「ほ、本当にすいません……」

春香「大丈夫です。気にしないでください。あっ！電車が来たので私、行きますね！」

‐家‐

ﾌﾞｫｰﾝﾌﾞｵｰﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾊﾛｰﾕｰﾁｭｰﾌﾞﾌﾞｫｰﾝﾌﾞｵｰﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝ

春香「何だか、外がうるさいな……」

春香「……でも明日早いから、寝ないと……」

ﾌﾞｫｰﾝﾌﾞｵｰﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾊﾛｰﾕｰﾁｭｰﾌﾞﾌﾞｫｰﾝﾌﾞｵｰﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝ

春香「……」

春香「あー！もう！バイクうるさすぎるよ！」

ﾌﾞｫｰﾝﾌﾞｵｰﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾊﾛｰﾕｰﾁｭｰﾌﾞﾌﾞｫｰﾝﾌﾞｵｰﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝ

‐駅‐

春香「(昨日は結局寝れなかった……)」ﾄｺﾄｺ

女「あっ」ﾄﾞﾝｯ

春香「きゃっ！？」ﾄﾞﾝｯ

女「あ、あっ、す、すいません！」

春香「ま、またですか！？」

女「すいません！すいません！」

春香「もう……気をつけてくださいよ？」

女「すいません！本当にすいません！」

春香「でも、こんな偶然ってあるんですね！　あっ、電車が来たので！　それじゃあ！」

P「春香、このオーディションは結構重要だ。気を引き締めてかかろう！」

春香「はい！」


ｰｰｰｰｰｰｰｰｰ


春香「……」

P「……」

春香「……私、才能ないのかな……」ﾎﾞｿｯ

P「……そんなことない」

春香「……」

P「……大丈夫、次があるさ」

‐駅‐

春香「(もう……プロデューサーさんにどう顔を合わせたらいいか、わからないよ……)」

女「……」

春香「(あっ、私にぶつかってきたあの人だ……。偶然……？)」

女「……」ﾆﾔｯ

春香「(えっ、えっ！？　笑った！？　な、なんで？)」

女「……」

春香「(……もしかして、わざと……？)」

‐家‐

ﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞｨﾝﾌﾞｩﾝﾌﾞｩﾝﾌﾞｵｵｵﾝﾌﾞｲﾝﾌﾞｲﾝﾌﾞｫｫｫｵﾝ

春香「……」

ﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞｨﾝﾌﾞｩﾝﾌﾞｩﾝﾌﾞｵｵｵﾝﾌﾞｲﾝﾌﾞｲﾝﾌﾞｫｫｫｵﾝ

春香「……うるさい」

ﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞｨﾝﾌﾞｩﾝﾌﾞｩﾝﾌﾞｵｵｵﾝﾌﾞｲﾝﾌﾞｲﾝﾌﾞｫｫｫｵﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞｨﾝﾌﾞｩﾝﾌﾞｩﾝﾌﾞｵｵｵﾝﾌﾞｲﾝﾌﾞｲﾝﾌﾞｫｫｫｵﾝ

春香「……うるさい！！」

ﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞｨﾝﾌﾞｩﾝﾌﾞｩﾝﾌﾞｵｵｵﾝﾌﾞｲﾝﾌﾞｲﾝﾌﾞｫｫｫｵﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞｨﾝﾌﾞｩﾝﾌﾞｩﾝﾌﾞｵｵｵﾝﾌﾞｲﾝﾌﾞｲﾝﾌﾞｫｫｫｵﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞｨﾝﾌﾞｩﾝﾌﾞｩﾝﾌﾞｵｵｵﾝﾌﾞｲﾝﾌﾞｲﾝﾌﾞｫｫｫｵﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞｨﾝﾌﾞｩﾝﾌﾞｩﾝﾌﾞｵｵｵﾝﾌﾞｲﾝﾌﾞｲﾝﾌﾞｫｫｫｵﾝ

‐電車‐

春香「(最近、寝れてないな……)」

男「……」ﾁﾗｯ

春香「！？」

春香「(あ、あの向かいの席の人、わ、私のこと見た！？)」

男「……」

春香「(スマホをいじってる"フリ"をしてるみたいだけど……、絶対私のこと見てたよね……)」

男「……」ﾁﾗｯ

春香「！！」

春香「(やっぱり……！)」

春香「(こ、こういう時ってどうすれば……)」ｷｮﾛｷｮﾛ

春香「(こ、こわい……。プロデューサーさん、たすけて……)」ｸﾞｽｯ

おばさん「……」ﾁﾗｯ

春香「！！」

おじさん「……」ﾁﾗｯ

春香「！！！」

学生「……」ﾁﾗｯ

春香「！！！！」

‐事務所‐

春香「プ、プロデューサーさん！」

P「ど、どうした？　そんなに慌てて？」

春香「ス、ストーカーですよ！ストーカー！」

P「ス、ストーカーぁ！？　ほ、本当か春香！？」

春香「は、はい……」

P「春香、詳しい話、聞かせてもらってもいいか？」

ｰｰｰｰｰｰｰｰｰ

P「……うーん……、偶然、じゃないよな？」

春香「そ、そんな訳ありませんよ！　絶対にあれは……」

P「……気にしすぎじゃないか？　春香」

春香「でも……でも……」

P「……」

春香…「絶対にあれは……」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

P「なぁ、春香。最近寝てるか？　目の下のクマすごいぞ」

春香「！　す、すいません……。なんか、家の外の音がうるさくて……」

P「そうか……、春香、すこし休まないか？」

春香「ど、どういうことですか？」

P「きっと疲れが溜まってるんだ。一週間ぐらい休みをあげるからゆっくり休んでくれ」

春香「でっ、でも……」

P「休んでファンたちに笑顔を見せてくれ。いいな？」

春香「……はい……わかりました」

P「……大丈夫だって。春香なら……」

春香「……」

P「……」

春香「……」

P「……」

春香「……それじゃ、お疲れ様です」

P「ああ……」