男子「おかーさーん。たなばたやろーよー」(27)

女「まぁ、七夕? どうしたの、急に?」

男子「イケメンくんからきいたの。7がつ7にちはたなばたやるんだってー」

女「7月7日ねぇ……。何も予定はなかったとは思うけど……、夫のスケジュール次第かしらねぇ」

男子「おとーさん?」

女「それにやるなら笹も用意しなきゃね。この近くに笹を売ってるところなんてあったかしら?」

男子「ささー? たなばたってささがいるのー?」

女「……ひょっとして男子は七夕が何か知らないの?」

男子「しらなーい。でもたのしんだってー」

女「あらら……」


女「七夕っていうのはね、笹にお願い事を書いた紙を吊るしてお星さまにお願い事をすることなのよ」

男子「おねがいごと?」

女「そう。元気になりますようにとか、夢が叶いますようにとかね」

男子「じゃあかめんライダーになるってかくのもいいの?」

女「なんでもいいのよ。自分の願い事を書くんだから」

夫「お、中々楽しそうな話をしてるじゃないか」

男子「あ、おとーさんだ。おかえりー」

女「おかえりなさい、あなた」

夫「ただいま、女」


男子「おとーさん。たなばたやろー」

夫「七夕? そうか、もうそんな季節だったか」

女「あなた、その日は仕事の予定あるの?」

夫「いや、なんというか偶然にもその日は仕事がないんだ」

男子「やったー!」

女「あらまぁ。何かあったの?」

夫「いや、それがみんな家族サービスって言って会社の人のほとんどが休むらしくてさ」

夫「信じられないけど、出社する人も少ないから休みにしてしまおうって話らしくてね」

女「へぇ、変わったこともあるものねぇ」

女「まるで彦星と織姫がかけた魔法みたい」

夫「まったくだよ。でもま、こうして僕も家族サービスできるから大歓迎なんだけどね」

女「ふふ」

男子「うちのおとうさんはまほうつかいやー!」


女「それじゃ、7月7日は七夕決定ね!」

男子「わーい!」

夫「それじゃあ、笹とかはこっちで用意しとくよ。幸い、あてがあるからね」

女「お願いするわね、あなた」

夫「任せておいて」

夫「男子はどんなお願い事を書くつもりなんだい?」

男子「んー、せいぎのみかたになるの!」

夫「ほぉ、それはまたたいそうなお願い事だねぇ」

女「この前見たアニメに影響されたらしいのよ」


~七夕当日~

女「晴れてよかったわね」

男子「ねー」

夫「雲もないし、これならよく星も見えそうだね。2日前まで雨だったからちょっと心配だったけど」

男子「おとーさーん、ささー!」

夫「よーし、待ってろ!」

女「怪我はしないようにねー!」

女「…………」

女「私にもあんな時があったわね……」

女「お父さん……」


~回想~

娘(女)「お父さん! 七夕やるの! 七夕!」

男「七夕? 七夕って夜に星を見ながら西瓜を食べるあれか?」

娘(女)「そうなの? お嬢様ちゃんはメロンを食べるって言ってたよー」

男「むむ…。さすがにメロンを買えるほどうちに余裕はないな……」

妻「あら、どうしたんですか二人とも」

男「娘が七夕がやりたいらしい」

娘(女)「なのー」


妻「七夕? 確か今日でしたっけ?」

男「むむむ! それならやるとすればもう準備に取り掛からないといけないな」

男「妻はどうだ? 俺は娘がやりたいなら大賛成の姿勢だが」

妻「私にも反対する理由はありませんね」

妻「娘のやりたいようにやらせればいいと思います」

男「よし! それなら準備を始めるか!」

男「喜べ娘! 今日の夜は七夕だぞぅ!!」

娘(女)「やったー!」

妻「いぇーい!」


男「笹持ってきたぞー」

妻「どこにおきましょうか?」

娘(女)「どこー?」

男「広いところがいいな。庭の縁側の近くとかどうだろう?」

妻「いや、むしろ私は池の近くの方がいいと思いますが……」

男「……縁側」

妻「……池の近く」

娘(女)「…………?」


男「妻、今まで俺たちは何度も争いをしてきたっけか?」

妻「ええ、そうですね」

妻「時にはプリンを奪い合い、時には風呂の順番を奪い合い……」

男「そして、娘を抱く順番も言い争いしたな」

妻「もっとも、その時に勝ったのは私ですけどね」

男「馬鹿言え。その他では重要な戦いでは俺が勝っているだろうに」

妻「寝言は寝てから仰ったらどうですか? 勝率で換算すれば私のほうが上ですよ」

男「いくら妻でもこれだけは譲れん」

妻「いくらあなたと言えど、これだけは譲れないんです」

娘(女)「なのー?」


男「やりあえば無事ではすまないぞ?」

妻「上等です。目にモノ見せてあげます」

娘(女)「うー……。お父さんもお母さんも怖いのー……」

娘(女)「なんで喧嘩するのー…」

娘(女)(あれの場所が決まらないから喧嘩するのー…)

娘(女)(……! そうなの! 娘が決めれば二人とも喧嘩しないのー!)

娘(女)「なのー!」バッ!

男「あ!?」

妻「娘!?」


娘(女)「二人とも喧嘩はよくないのー!」

娘(女)「七夕は楽しいものなのー!」グスッ…

娘(女)「こんなんじゃ……、全然楽しくないのー!」ウワーン!

男「む、娘!?」

妻「ど、どうしましょう!?」アタフタ


寝ます。明日の朝まで残ってたら続きを書こうと思います。

id違うけど1です。続き投稿します。

娘(女)「うわーん!!」

男「ほーら、よしよし娘。頼むから泣き止んでくれ」

妻「あ、飴ちゃんあるわよ、娘」

娘(女)「うえーん! お母さんの意地っ張りー! お父さんの頑固ー!」

男・妻「「*っ……!?」」


妻「お、お母さんたちもう喧嘩してないから、ほら、ね?」アセアセ

男「そ、そうだぞ娘! ほら俺らはこんなに仲良しだろ!?」ガシッ

妻「あ、あなた、笹が当たって痛いです」

男「うぉ、スマン」

娘「グスン……」


娘(女)「ひっく……。もう、喧嘩しない……?」

男・妻「「しないしない」」

娘(女)「ん……」

娘(女)「これからはもう喧嘩しちゃダメなの」

娘(女)「今度喧嘩したらお父さんは肩たたき券を没収なの」

男「なに!? 肩たたき券の没収!?」


娘(女)「お母さんは娘に抱きつき禁止なの」

妻「そ、そんな……」ガーン!

男「妻……」

妻「あなた……」

男「ごめん、俺頭に血が上って周りが見えてなかったよ」


妻「私の方こそごめんなさい。愛してるわ、あなた」

男「妻……」

妻「あなた……」

娘(女)「うー。二人ともラブラブなのー」



私用でしばらく書き込めないです。書き込むのはまたあとになりそうです。


男「よし、だったら笹の位置は娘に決めてもらおうかな」

妻「娘、そのまま動いたらさっきみたいに、私たちに当たっちゃうから気をつけてね」

娘(女)「なの!」

娘(女)「うー、お庭の真ん中がいいと思うの!」

男「よし、うんじゃ、そこ置くか」

妻「そうしましょう」


男「これで、よしと。娘、短冊は持って来たか?」

娘(女)「短冊なの? なにに使うの?」

妻「短冊にはね、お願いごとを書くのよ」

妻「そのお願いごとが叶いますようにってお願いするのよ」

娘(女)「あ、西瓜なのー!」

男「どうしたんだ、これ?」

妻「昨日実家から送られて来たの。ちょうど買おうと思ってたところだから助かっちゃった」

男「またお礼を言っとかないとな」


娘(女)「美味しいのー」

男「こりゃ美味いな。是非ともお代わりが欲しいな…」チラッ

妻「まだありますから安心してくださいな」

男・娘(女)「やったー!」


男「妻は短冊に何を書くんだ? ほれ、短冊」シャクシャク

妻「そうですね……。皆健康でいられますようにっていうのはどうでしょう?」

男「お、中々いいな。じゃあ俺は……、出世して社長になる!とかかな」

妻「頑張って私たちを養ってくださいね」

男「任せろ! 俺にかかれば朝飯前だ!」


娘(女)「うー…、娘は何をかけばいいのー?」

男「なんでもいいのさ」

妻「自分が思ったことを書けばいいのよ」

娘(女)「だったら娘は……」


男子「おかーさん? おかーさん?」

女「…………え?」

夫「どうしたんだ、ぼーっとして? どこか調子でも悪いのか?」

女「あ、いや、なんでもないわ。ちょっと懐かしいこと思い出しちゃって」

男子「おかーさんもたんざくー。おねがいごとかくのー」


女「ありがとう、男子」

男子「えへへ」

夫「書くことは決まってるのかい?」

女「ええ、何年も前から七夕には必ずこれを書くって決めてるの」

女「それに、今日は星が綺麗だから、きっと私の願いも聞き届けてくれるわ」

夫「へー、どんなことを書くのか気になるね」

男子「なるー!」

女「ふふ、私が頼んだお願いごとはね……」



娘(女)・女「「『皆が笑っていられますように』なの(よ)!」」


おしまい

ここまで読んでくださった方ありがとうございました。
七夕はとうの昔に終わってしまいましたが、書きたい衝動に駆られ、やってしまいました。
皆さんは星にどんなことを願いますか?


こんなssでも、誰かの役に立てるとしたらそれはとっても嬉しいなって、思ってしまうのでした。

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