・気の向くまま書いただけ
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オーク「ええ……」
女騎士「最近のオークはどうしてそう、女騎士に『くっころ』を期待するんですか」
オーク「……俺のダチが女騎士を捕まえたって自慢してきてよ」
女騎士「ほう」
オーク「それがいわゆるステレオタイプな女騎士でさ」
女騎士「『くっころ』言うタイプの?」
オーク「そうそう、『くっころ』タイプ。強気なんだけど1枚1枚、服を破いていくとどんどん涙目になっていってさ。スゲー可愛かったんだと」
女騎士「それで?」
オーク「ついに我慢できなくなったらしくて、そいついきなり……」
女騎士「ち○ぽ突っ込んだ?」
オーク「にらめっこを始めたんだ」
女騎士「なぜ!?」
オーク「そいつ泣いてる子を見ると、笑わせてやりたくなる衝動に駆られるんだ」
女騎士「やさしい!」
オーク「それでその過程が興奮するんだと」
女騎士「変態だった!ベクトル違いで!」
オーク「まぁそこはなんとなく分かるんだけど……」
女騎士「お前も変態か!」
オーク「このときの変顔がそいつの一生で会心の出来だったらしいんだが、なんと女騎士は笑わなかったんだ」
女騎士「そりゃあ今にも辱められそうだったのに、いきなりその相手が変顔してきたら変な気持ちになるでしょう」
オーク「笑ってくれなかったのがショックで泣いちゃってよ」
女騎士「メンタルが弱い!自分が笑えてない!」
オーク「いや、だってあいつは全国オークにらめっこ大会で上位に食い込むほどの手練れ……いや顔練れだったんだぜ?」
女騎士「上手いこと言ったつもりか!」
オーク「にらめっこ大会にツッコめよ!」
女騎士「知るか!なんで私が怒られてるんですか!」
オーク「で、あいつ相当自分の変顔に自信があったんだよ」
女騎士「あ、普通に続けるんだ」
オーク「そりゃもう落ち込んでよ。今じゃ飯も胃を通らないくらいなんだ」
女騎士「喉は通るんかい!」
オーク「お腹をいつも押さえている」
女騎士「消化不良!」
オーク「ついにはその女騎士を逆恨みして……」
女騎士「まさか殺した!?」
オーク「近くの森に置いてきた」
女騎士「ひどい!……いや、ひどくない!…………やっぱりひどい!」
オーク「大きめの箱にいれて」
女騎士「これが本当の箱入り娘……ってやかましい!棺桶じゃないですかそれ!」
オーク「箱には『かわいがってあげて下さい』とだけ……」
女騎士「捨て犬か!」
オーク「でも帰ろうとするとついてきちゃうんだよな」
女騎士「捨て犬か!」
オーク「あいつの母親は厳しいから……」
女騎士「捨て犬か!」
オーク「俺みたいなオークに捕まるなんてなぁ」
女騎士「…………」
オーク「負け犬が」
女騎士「やかましいわ!誰が負け犬ですか!泣きますよ!?」
オーク「ああ好きなだけ泣けばいいさ!」
女騎士「!」
オーク「そのたびに俺が笑わせてやる!」
女騎士「オークさん……」
オーク「その方が興奮する」
女騎士「いい加減にしなさい」
どうもありがとうございました。
(続くか?)
女騎士・オーク「どうもありがとうございましたー」
ここは街通りの道端にあるほんのわずかな空きスペース。
女騎士とオークの感謝を示す言葉は、虚しくにぎわう街のざわめきに掻き消された。
女騎士「…………」
オーク「…………」
先程の彼女らのやり取りを聞いているものなどどこにもいない。
暇を持て余したじいさんでさえ、彼女たちを見ることなく出店の看板娘に夢中だった。
男 「おい邪魔だぞ!ほら、どいたどいた!」
女騎士「あ、すみません……」
オーク「……行くか」
女騎士「……そうですね」
彼女たちはトボトボとした足取りでこの町を出た。
これからまた別の町へと向かうのだ。
オーク「やっぱりこのスタイルは客ウケ悪いぜ……」
その道中、オークはひとりごとのようなトーンで女騎士に話しかけた。
その落ち込み方といったら、彼らの話に出て来た彼のダチにも似ていた。
夕焼けが二人の背中をを哀愁たっぷりに照らし出す。
女騎士「そうですね……」
オーク「物珍しいスタイルを狙うのもアリだが俺たちは素人だ。スタンダードに大道芸の方が稼げると思うんだがなぁ」
女騎士「そうですね……」
オーク「やっぱり客も馴染みがないんだろう。この……漫才?だっけか?そもそも見てすらくれねぇし」
女騎士「そうですね……」
オーク「このまえだって、二人で訳のわからんやり取りをしてる狂人と間違われたしな」
女騎士「そう……ですね……」
オーク「お前はさっきから『そうですね』ばっかりで……っておい!泣くな泣くな!」
オークが女騎士を見ると女騎士の目にはたくさんの涙が溜まっていた。
必死にこらえてはいるがまばたきひとつで簡単に零れ落ちてしまいそうなほどに。
女騎士「う……うぅ……」
オーク「だから泣かないでくれってば!悪かった!俺が悪かった!」
女騎士「な゛い゛てま゛じぇん」
オーク「泣きそうだってそれ!」
女騎士「う……う……うわぁぁぁぁぁん」
オークの気遣いも女騎士の我慢も意味をなさず、結局女騎士はボロボロと泣き始めてしまった。
だがオークはそれほど心配していない。これは女騎士のクセのようなものだ。
しばらくすればまたいつもの彼女に戻っている。そんな風に思っていた。
オークは彼女が落ち着くまで道端に腰を下ろし、彼女と自分のために安っぽいお茶の準備を始めた。
………………
女騎士が泣きやんだのは日も完全に沈んだ後のことだった。
オークは日没の前にランプに火をつけた。今はランプが暖かな光で二人を包んでいる。
草原ではないが山の手前なので草は生い茂ってる。
身を隠すところも多いのでとりあえずは安心だろう。
今夜は野宿だな。オークは思った。
女騎士「落ち着きました」
オーク「そうかそれはよかった」
女騎士「お茶を下さい」
オーク「はいはい」
オークは女騎士に準備していたお茶をティーカップに入れて手渡す。
女騎士もオークもこの一連の流れに淀みはなかった。何度も言うが女騎士が泣くことは珍しいことではない。
女騎士もオークもそれを承知の上だ。つまり二人はもうすっかりこういう状況に慣れきってしまっているのだ。
女騎士「はぁ……どんな気持ちで飲んでも、このお茶は美味しいものです」
オーク「そうだな」
オークも自分の淹れたお茶をに一口つける。うん、いつもの味だ。
そう思いながらもオークは女騎士に向かって極めて現実的な、かつ自分たちが今置かれている状況を告げた。
オーク「だが稼げがなけりゃ、このティーセットもじきに手放すことになる」
女騎士「…………」
オーク「お前の考えはわかる、やりたいこともわかる。だがまずは稼げるようになることだ。それが最初の一歩になる」
女騎士「……あの」
ガサッガササッガサッ。
女騎士が何かを言おうとしたが、その答えは突然聞こえた異形の音に遮られた。
女騎士・オーク「!」
二人はすぐさま身構える。この音は風に揺れる草木なんて生易しい音じゃない。
明らかに何かが草をかき分けて進んでいる。
小さめ動物ならまだいいが、魔獣や山賊なんてこともここでは十分に有り得た。
二人は神経を張り巡らせて音の出所を探った。どこだ? どこからくる?
オーク「後ろだ!」
オークは叫ぶ。女騎士も後ろを振り返る。音はどんどん近づいてくる。
緊張感が最高潮まで達したとき、それはついに飛び出してきた!
???「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
女騎士「え?」
オーク「は?」
どしゃぁぁぁぁぁぁん。
二人はてっきりその何かが飛びかかってくるものだと思っていたので完全に意表を突かれた。
飛び出してきたものは転んだのだろうか叫び声をあげながら二人の足元を滑り、その勢いのまま地面を転げまわる。
しかしこの世界にも摩擦という力はしっかり働いているので、停止するまでそう時間はかからなかった。
???「ぜぇ……ぜぇ……あいたたた……」
飛び出してきたのは一人の男。長い耳を持ったエルフの男だった。
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