乃々「き、キャンプ地にはゾンビが……」美玲「出ないってばッ!」 (25)

乃々「キャンプ、ですか?」

美玲「ああ」

美玲「他に一緒に行く奴は皆どこか危なっかしいからさ、ウチがしっかりしないとなッ」

乃々「ああ……でしたら……」

乃々「……」スッ

美玲「……何それ」

乃々「銃ですけど」

美玲「いや、それは見たら分かる」

美玲「どういう意味で銃を渡してきたのか聞いてるんだ」

乃々「必要だと思って」

美玲「なんで銃を持っていく必要があるんだよッ」

美玲「サバイバルじゃないぞッ」

乃々「……キャンプ地にはゾンビが出るので」

美玲「なんでだよッ!」


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乃々「こ、この前にですね……」

乃々「山の中でゾンビに出くわす夢を見まして……」

美玲「夢の話かよ」

乃々「内容はですね」

美玲「いや聞いてないけどッ!」



乃々『あうう……山の中で迷子……いぢめですか……』

ボコッ

乃々『えっ? 地面が盛り上がって……』

ボコンッ

小梅『あおおお……』

乃々『!?』

小梅『ぞ、ぞ……ゾンビだぞー……』

小梅『襲っちゃうぞー……』

乃々『ひ、ひぃ!?』

小梅『ウ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛』

乃々『に、逃げなきゃ……!』

ボコンッ

小梅2『ぞ、ゾンビだから……何体も、いるよー……』

小梅3『に、逃がさない、よ……』

乃々『あひぃ、囲まれたんですけど……これじゃ逃げるのむーりぃ……』

小梅『つ、つ、捕まえた』ガシッ

乃々『ひいっ、も、森久保は美味しくないです……』

小梅2『ゾンビ、お肉、だーいすき……』

小梅3『い、いただきます』

乃々『ひいいいいっ!?』



乃々「……キャンプ地って、山の中ですよね」

乃々「逃げ場が無いので、護身用品が必要だと思うんですけど……」

美玲「いや、それ以前にゾンビは出ないだろッ」

乃々「まあ……ゾンビは仮に出なかったとしても」

乃々「山の中なので、危険は沢山あると思うんです……」

乃々「例えば……」



リス久保『エサは確保しましたし、早く帰りましょう……』

??『うひひひひ……!』

リス久保『え?』

??『ダメじゃなーいこんなところに一人で出歩いてちゃあ』

??『誰かに食べられちゃうかもよ? 例えばー……』

狼『あたしとかさぁー♪』

リス久保『ひ、ひい! 狼……!』

狼『さあさあさあさあ!』

狼『そのお山とかお山とかお山とか!』

狼『全身くまなく食べちゃうよーーーん!!』

リス久保『あうう、むーりぃ……』

狼『いただきまーす! うひひ!』

リス久保『ひいいいいっ!?』



乃々「……野生動物が出るかもしれないので、やはり護身用品は必要だと思うんですけど」

乃々「……お山だけに」

美玲「今の話何? この前の公演の話?」

美玲「あ、その銃は公演の時の銃か」

美玲「なんで持ってんだよ」

乃々「護身用に少し……」

美玲「いや、返しとけよ」

乃々「……あ」

乃々「野生動物……狼……美玲さん……狼……」

乃々「……」チャキ

美玲「おぉーい!? なんで銃を向けるんだよッ!」

乃々「だ、大丈夫です」

乃々「この前の狼も、こうやって撃退しましたので……!」

美玲「さっきの話実話なのかッ!?」

美玲「ていうかウチ、一匹狼だけど野生動物なんかじゃないぞッ!」

乃々「…………」

乃々「そうですか……」

乃々「飼い慣らされてるんですか……」

乃々「プロデューサーさんに飼い慣らされてるんですね……」

美玲「なあ、それどんな意味を含めて言ってるんだ?」

美玲「大体さ、キャンプ地って人が来る場所なんだから近くに野生動物なんか簡単に出ないだろ」

乃々「そうですか……」

乃々「でもやっぱりゾンビが……」

美玲「ゾンビに戻るのかよッ!」

美玲「そのゾンビ推しはなんなんだよ」

乃々「……」

乃々「この前、小梅さんとホラー映画を見たんですけど……」

乃々「ゾンビがわらわら出てくる映画で……」

乃々「……」

美玲「……」

乃々「それ以来、夢の中に出てくるゾンビが全員小梅さんの姿になりました」

美玲「どうしてそうなるのか本気で理解できないんだけど」

乃々「まあ、夢ですし」

美玲「あっさりしてんなー……」

乃々「それまでは普通の腐った体のゾンビでしたので」

乃々「ひたすら銃を撃っていれば良かったんですけど……」

美玲「オマエの夢の中では頻繁にゾンビが出てくるんだな」

美玲「あれか? 日頃のストレスを夢の中で発散してるのか?」

乃々「あれ以来、ゾンビが全部小梅さんになったので、すごく撃ちづらいわけでして……」

美玲「はあ」

乃々「だから現実にゾンビが出てくれば遠慮なく撃てるなーって」

美玲「オマエってさ、そんな幻想抱く奴だったっけ」

乃々「森の中でひっそり暮らす妖精さんになるのが夢でして……」

乃々「あっ、この夢は寝て見る方の夢ではないです」

美玲「分かるって」

乃々「でもまあ……今はアイドル頑張ってみようって、思ってますけど」

美玲「オマエの方がプロデューサーに飼い慣らされてるんじゃないのか」

乃々「まあ……結論から言いますと」

乃々「森の中で暮らすなら自己防衛は大事だと思うので……」

乃々「銃、持っていった方がいいです」スッ

美玲「暮らすっていうかキャンプなんだけど、いるの数日間だけだけど」

乃々「そしてゾンビが……」

美玲「だから出ないってばッ!」





美玲「そんなわけで、結局押し切られたんだけどさ」

紗南「道理で変な物持ってると思ったよ」

紗南「それで何か遊ぶ? あたしガンシューや射的で鍛えてるよ!」

ライラ「射的でございますかー」

ライラ「当てたら景品くれますか?」

仁奈「銃で撃たれるクマさんの気持ちになるですよ」

ライラ「ばーん」

仁奈「あおお……」バターン

こずえ「あー……しんだー……」

ライラ「当てましたー、景品ください」

紗南「射的は当てたものが景品になるんだよ」

ライラ「おー、景品はニナさんですかー。やりましたです」

仁奈「仁奈が景品でごぜーますかー」

ライラ「これでしばらくは食事に困らないですねー」

仁奈「えっ……」

ライラ「ふふ、ブラ、えー……そう、ブラホックというものです」

紗南「もしかしてブラックジョーク?」

美玲「遊んでないで早く準備しようよ」

こずえ「ふわぁ……くまさんだー……」

美玲「はいはい、仁奈がクマの気持ちになってるな」

こずえ「ちがうのー……あそこにくまさん……」

美玲「……へ?」

紗南「お? エンカウントしちゃった?」

ガサガサッ

美玲「うひいッ!?」チャキ

タヌキ「……?」スタスタ

こずえ「くまさんー……」

ライラ「あれがクマでございますかー、日本のクマは小さいですねー」

仁奈「あれはクマじゃなくてタヌキでごぜーますよ」

美玲「な、なんだよ……脅かせんなよッ」

紗南「……」

美玲「……な、何見てんだよ」

紗南「銃を構えるの早かったね」

ライラ「なんかかっこよかったですねー」

美玲「ち、ちげーしッ! ビビってるとかそんなじゃねーしッ!」

仁奈「がおー!」

美玲「……?」

仁奈「今、シャケを獲るクマさんの気持ちになったですよ」

美玲「ウチは魚かよッ! だからビビってなんていないってばぁッ!」


おしまい

なんとか当日に間に合った、美玲ちゃん誕生日おめ!
そして見てくれた人ありがとう

早坂 美玲(14)
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森久保 乃々(14)
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白坂 小梅(13)
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三好 紗南(14)
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ライラ(16)
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市原 仁奈(9)
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遊佐 こずえ(11)
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