「トトキコ」【モバマス】 (40)


…貴女が私で

私が…貴女?

これは一体、どういうこと…

十時愛梨?「愛梨イィッ!」

財前時子?「はいぃっ?!時子さん、急にどうしたんですか?」

私と愛梨が…入れ替わっている…?



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時子「…大丈夫ですか?さっき、頭ぶつけちゃいましたし…」

愛梨「…別の意味で、頭が痛いわ…」

…記憶がごちゃごちゃしている

どういう風に…頭をぶつけたのかしら?

…確か…


時子「ケーキ?…甘ったるいのは、あまりいらないのだけど…」

愛梨「はいっ、なのでさっぱり目のレアチーズケーキにしてみたんですっ」

時子「……」

愛梨「…ダメでしたか?」

時子「…フン、わざわざ私のために作ったなら…食べてあげてもいいわ」

愛梨「ありがとうございますっ」

…そうだったわ、戯れに愛梨の相手していたのよ


愛梨「そういえば、レアチーズケーキって何が珍しいんでしょうね?」

時子「…貴女の脳味噌はケーキのスポンジで出来ているのかしら?」

…これだから、栄養が胸に行っている連中は…

でも味は…嫌いではないと褒めてもいいわ


時子「…ごちそうさま。…悪くは、なかったわ」

愛梨「それじゃあ、片付けますねっ。…あっ、危なっ…」

時子「……アァン?」

…私としたことが、あまりに迂闊だったわ…


何かに躓いた愛梨が勢いよく倒れてきて

そのまま遮るものはなく

…私の頭へごちん、と一撃

…後の記憶は、ない

…そして今、というわけね…


愛梨「…貴女の少ない脳味噌で、今の状況を考えてごらんなさい」

時子「私と時子さんの体が入れ替わってるんですよね?」

愛梨「わかってる割には…随分、暢気なものね…」

時子「大丈夫ですよ!頼りになる人はいっぱいいますから!」

…本当に…なんというか…


…そこへ、まるで狙いすましたかのように…

私達のプロデューサー…下僕が現れた

時子「あっ、プロデューサーさん!ちょうどよかった!」

愛梨「…待ちなさい、愛梨」

私の体の愛梨に抱きつかれた下僕の表情は

まさに傑作だったわ

…複雑だけど

池袋博士「こんな事もあろうかと」
しきにゃん「アイドルの人格を入れ替えるお薬を」
ちひろ「作っておいた」
よしのん「のでしてー」

位は頼りになるな……


愛梨「…で、何とかするのが貴方の仕事でしょう?」

時子「とりあえず候補探しですねっ。あ、ちょっと暑いので脱いでいいですか?」

愛梨「やめなさい、私の体よ」

…現状、あてになりそうなのは…


こういう不可思議に詳しそうな芳乃は、仕事で遠出…

小梅は…微妙に違う気がする

…やはり、手っ取り早いのは晶葉かしら…


時子「決まりました?」

愛梨「行くわよ愛梨、まずは晶葉の所。…着いてきなさい」

…面倒だけど、愛梨から目を離したら

何をされるかわかったものじゃないわ…


池袋晶葉「知らん。そんな事は私の管轄外だ」

愛梨「…アァン?」

晶葉「冗談だ。だが私一人では難しいのは本当だ」

時子「一人では…って?」

晶葉「なに、ウサミンに協力してもらうさ。悪いが…明後日まで待って欲しい」

…今日明日は、これで凌がなきゃいけないわけね…

…腹立たしい


今日も今日だけど

さらなる問題は…明日の予定

よりによって…私と、愛梨のグラビア撮影…

…この程度でキャンセルするのは…女王のプライドが許さないわ

…はぁ、番組の収録でないだけ、マシね…

全く、腹立たしいわ…

とりあえずここまで
…どうしてこうなった


椎名法子「あれ?えっと?どう呼べばいいの?」

…案の定、厄介なのが…

法子は妙に、私に懐くのよね…

愛梨「…いつも通りでいいんじゃないの?」

時子「でも姿と声じゃ、わかりにくいですよ?」

…それもそうだけど…


法子「ご、ごめんなさい…っ」

愛梨「ハン、別に怒ってはいないわ…」

…世話の焼ける

愛梨「気にしてるなら、貴女のドーナツ持ってきなさい?そのために来たんでしょう」

法子「一緒に、食べてくれるのっ?」

愛梨「…そう言ってるのよ、全く」


時子「ふふっ。時子さん、優しいんですね」

愛梨「…ひっぱたくわよ」パシーン

時子「もうやってるじゃないですかっ」サッ

自分に自分の名前を言われるのは…

…頭が痛いわ


…ん?

微妙に味が…前と違う?

時子「今度私もドーナツ作ろうかな~」

法子「ほんと?」

時子「時子さんも一緒ですよ?」

愛梨「アァ?…全く、面倒ね…」

…どうして私を巻き込むのかしら


高垣楓「…時子ちゃんが愛梨ちゃんの中に入って」

愛梨「待ちなさい」

楓「文字通りトトキコちゃんになったわけね、ふふっ」

時子「…なるほど!」

躾をする気力も失せるわ…


楓「それはさておき…2人は明日撮影だったわね?」

時子「そうですっ、どうしようか考えてたんですが…」

楓「私は…普段通りにやればいいと思うわ。外から見れば、イメチェンみたいなものよ」

愛梨「…脳の片隅に置いといてあげるわ」

…ふざけているようで…本当に、得体の知れない女ね…


愛梨「…さて、そろそろ部屋に戻るかしら…」

時子「お疲れ様でしたっ、明日もよろしくお願いしますねっ」

愛梨「…下手に出歩いたり、転ぶんじゃないわよ?」

…不安しかないわ…


愛梨「…ふう…」

…自分でない自分の胸

…数値的には極端な差はないはずだけど

妙に大きく見える…

愛梨「私の栄養まで脳から奪ったりしないでしょうね…」

…寝ましょう…


愛梨「…変に喋ったら叩くわよ…?」

時子「大丈夫ですよっ」

…こういう時に限って、水着の撮影なんてね…

いつも通り…ねぇ?


しかし愛梨も慣れたもので

無遠慮と無邪気の境目のような

自分の持ち味を存分に出している

私の体で…というのがなければね…


怪しく思って声をかけてきたスタッフは…

愛梨「今日はお互いにイメージチェンジしてるのよ…悪い?」

…一睨みして抑えつける

遠慮なんて必要ないわ

表面がなんであろうと私は私…女王なのよ


時子「お疲れ様ですっ」

撮影を終えた愛梨がスタッフどもに微笑んでいる…

さっき言った事を完全に忘れているわね

…後で躾ないと

やはりああいう自分の姿を見ると調子が狂うわ

でも…


愛梨「さあ…始めるわよ」

私の武器は…威厳、空気を下僕に変える力よ

シンデレラには出来ないことを…

存分に教えてあげるわ…!


時子「あ、時子さんも終わったんですねっ」

愛梨「私は喋り過ぎるなと…言ったわよね?」パシーン

時子「わわっ!」サッ

何も考えていないようで…

身のこなしは上等なのよね…全く…


晶葉「出来たぞ!人格交換装置だ!」

愛梨「クックックッ…やっとこの体ともおさらばね…」

時子「私は楽しかったですよ?」

愛梨「アァン…?」

新鮮ではあったけど…

二度は、ゴメンだわ


時子「…で、犯人は貴女…じゃなくて、あの子だったわけね」

白坂小梅「ご、ごめん…なさい。あの子が、楽しそうだから…混ざろうと…した、みたい」

時子「ハァ…ちゃんと一言、言いなさい。ウジウジされると面倒なのよ」

小梅「う、うん…」

時子「…私に声は聞こえないから、誰かを仲介しなさい。…本当に世話が焼ける…」

改めて…二度目はない、と思いたいわ…

おしまい
ネタが湧いたらトトキコ状態での
他アイドルとの絡みを書きたいれすね

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