今さらハルヒだと?(79)
二年くらい前に書いてデータ破損してほったらかしになってたハルヒssを供養する
―教室―
キョン「うぃーす」
ハルヒ「んー」
キョン「懐かしいもん読んでるな」
ハルヒ「昨日部屋を掃除してたら見つけたのよ」
キョン「わざわざ学校に持ってくるなよ」
ハルヒ「続きをどうしても読みたかったの!」
キョン「結構前だもんなぁ。どれどれ」 メクリ
ハルヒ「ねぇねぇ」
キョン「んー?おー、懐かしいなー」 パラリ
ハルヒ「あんたはさ、こーゆー状況ってどう思う?」
キョン「この主人公みたいにか?」
ハルヒ「そ。年上のおねーさんとの二人暮らし」
キョン「んー……」
キョン「……嫌、かな」
ハルヒ「嘘」
キョン「嘘じゃない。だって嫌じゃないか。いきなり他人と二人暮らしだぞ」
ハルヒ「ガサツでだらしないとはいえ美人のおねーさんよ?」
キョン「嫌なものは嫌だ。というかありえん」
ハルヒ「ふーん。じゃこれは?」
キョン「あぁ、それも……嫌だなぁ」
ハルヒ「嘘!ぜーったい嘘!!」
キョン「なんでだよ」
ハルヒ「だってこんな可愛い同い年の女の子と暮らせるのよ!?」
ハルヒ「年上のおねーさんと!同い年の可愛い女の子よ!!」
ハルヒ「これが嫌なんてありえないわ!!」
キョン「嫌なものは嫌だ」
キョン「仲のいい友達と暮らすのとは訳が違うんだぞ」
キョン「いきなり他人と同居だなんて、心労がたまりそうで嫌だね」
ハルヒ「男なんてこんなシチュエーション好きじゃないの?」
キョン「そんなことあるもんか。おい国木田」
国木田「なーにー?」
キョン「これを見てくれ。こいつをどう思う?」
国木田「あー、懐かしいねー。まだやってるの?この漫画」
キョン「絶賛連載中だ。それはともかく、どう思う?」
国木田「うーん、この主人公の生活?」
国木田「……僕は嫌だなぁ。気を使っちゃいそうで」
キョン「ほらな」
ハルヒ「うっそー!男ってこーゆーのが好きなんじゃないの?」
谷口「おいーっす、なんだぁ?珍しいメンツで集まってるじゃねーか」
キョン「ハルヒ。お前は男をなんだと思ってるんだ」
ハルヒ「単純でどうしようもないバカ」
国木田「あはは。合ってるね」
キョン「じゃあ自分に置き換えてみろ。年上の、大して仲が良いわけでもない男と暮らすんだ」
ハルヒ「……(年上、男。……ぱっと出たのは岡部。ありえないわ)」
国木田「同い年の男子もね」
ハルヒ「……(考えてみれば年上の男の知り合いっていないわ……。吉崎、嫌すぎ)」
谷口「なぁ。なにやってるんだ?」
ハルヒ「……(新川さん、だっけ。古泉くんとこの劇団員?だったかしら。あ、そういえば多丸さんたちも)」
谷口「なぁ。なぁって」
ハルヒ「……(同級生。同い年の男……)」
キョン「どうだ?ん?」
国木田「じゃあ僕いくね。もうすぐhr始まるし」
キョン「おう、すまんな」
谷口「挨拶って大事だぜ?なぁ」
キョン「ハルヒ、岡部が来たぞ。漫画しまえ」
きりーつ れーい おはようございまーす ちゃくせーき
―文芸部室―
ハルヒ「あたし考えたのよ」
キョン「で、どうなんだ?」
ハルヒ「想像してもいまいちピンと来ないわ」
キョン「そうかい」
ハルヒ「なので、実践しようと思います」
キョン「ほう。それはそれは」
古泉「なんの話でしょう?」
みくる「はい、お茶です」
長門「……」
―説明中―
みくる「同棲!ですか!」
古泉「この場合、“同居”でいいのでは?」
長門「……」
ハルヒ「とにかく想像できないならやってみるのが一番よね」
キョン「そうかい」
古泉「やけに落ち着いておられますが、なにか策でも?」
キョン「考えてもみろ。どこでどうやって同居するんだ?場所は?人は?」
キョン「そりゃ機関とやらに頼めばマンションやアパートの一室くらいどうとでもなるだろう」
キョン「だがそれをどうやって説明して使わせる?」
キョン「いきなり『二人暮らしをしてみたかったので部屋を貸してください。はいどうぞ』って貸してもらえましただなんて」
キョン「そんな簡単にいくわけが」
鶴屋「ハルにゃん、部屋は確保できたよっ!」
ハルヒ「さすが鶴屋さんだわ!」
キョン「なん……だと……」
古泉「すんなりいったようですが」
キョン「しまった。この人もある意味チートな存在だったな」
キョン「だ・だがまぁその中で誰と誰が暮らすかまではだな……」
古泉「ふぅ」
キョン「ため息をつくな!」
古泉「理由なんて簡単に思いつきますよ。それこそ、いくらでも」
鶴屋「なんでもねー、うっとこがスポンサーになってるテレビ局の企画でね」
鶴屋「結婚前の恋人同士の生活を、結婚するまでを追うドキュメンタリー風バラエティをやりたいらしくって」
鶴屋「そのモデルケースを一度実験してみたかったらしいのさっ!」
ハルヒ「運がいいわねー、あたし達」
キョン「これはもしかして……」
古泉「涼宮さんの力が働いているのかもしれませんし、働いていないのかもしれません」
みくる「はい、鶴屋さん」 コトッ
鶴屋「おっ!さんきゅーみくるっ!!」 ゴクゴクゴクプハー
みくる「でもそれって、高校生がやってもいいの?」
鶴屋「問題ないんじゃなーい?あははははは!!」
ハルヒ「じゃあ誰と誰が暮らすのかをくじで決めましょう!」
鶴屋「ハルにゃん、異性にしないと意味ないかんねっ」
ハルヒ「合点承知よ!」
キョン「ま・待て!話がトントンと進んでるが、俺たちは誰ひとり納得してないぞっ!」
ハルヒ「有希」
長門「別に構わない」
ハルヒ「古泉くん」
古泉「面白そうじゃありませんか」
ハルヒ「みくるちゃん」
みくる「はいっ?えっ?あのっ、えっと」
ハルヒ「……」
みくる「た・楽しいことになればいいなぁ……。あははっ……」
ハルヒ「キョン、あんたの意見は聞かないわ。賛成多数なの!」
キョン「朝比奈さんは若干脅し気味だったじゃねーか!」
鶴屋「あははははははっ!あー楽しい!!」 バンバン
キョン「はっ!そうだ!!」
キョン「ハルヒ!その企画はsos団としてやるのか?」
ハルヒ「そうよ?」
キョン「おまえも参加するのか?」
ハルヒ「もちろん」
キョン「なら男女比が合わないじゃないか!誰かひとりを外さなきゃいけなくなるだろ!」
ハルヒ「外れても仕事がない訳じゃないわ。モニタリングがあるもの」
キョン「モニタリングって、それはテレビ局側の仕事だろう!」
ハルヒ「大丈夫なのよ。ね?鶴屋さん」
鶴屋「うん。あのねキョンくん。話はもう全部済んで、通ってるのさ。あとは来週からの夏休みを利用して撮るだ・け!」
キョン「まだだ!まだ終わらんよ!」
ハルヒ「さ、計画を立てましょう!」
鶴屋「おー!」
キョン「待てよ!鶴屋さんたちは三年だろ!?大事な夏のこの時期にそんなことしてる暇、聞けよちくしょうっ!!」
―マンション・一室―
森「皆さま、ようこそいらっしゃいました」
鶴屋「おー!美人メイドさんお久しぶりっ!」
森「はい、今回もお世話になります」
キョン「え?機関が何かするんですか?」
森「いいえ、わたくし共は何も。ただ必要なもの一式を取り揃えて、万が一問題が起きた時は即対処出来るように待機しておりますので」
古泉「それでは早速部屋の中を案内してもらいましょうか」
キョン「ん?このテレビの企画ってどこまで機関や鶴屋さんが関係してるんだ?」
古泉「さぁ?」
キョン「おい」
古泉「我々機関の構成員はどこにでもいますし、どこにもいません。それでいいじゃないですか」
ハルヒ「わー、結構ひろーい」
みくる「キッチンきれいです!」
森「まずはリビングです。洋室10畳。ソファーとテレビがついております」
森「隣が寝室です。和室6畳。少し狭いのはわざとです」
みくる「あの、寝室ってここだけなんですか?」
森「はい」
みくる「え?じゃあ……」
森「はい」
みくる「……」
森「ご安心を。このカーテンで仕切りますので」
みくる「カーテンだけって……」
ハルヒ「なに?じゃあ一緒の布団がよかった?」
みくる「そっ・そんな!」
森「さぁ、お次はバスルームとトイレです」
ハルヒ「有希!冷蔵庫覗いてないで行くわよ!」
森「トイレはまずアコーディオンカーテンで仕切られ、さらに扉と音姫完備で遮音効果は非常に高くなっております。ご安心を」
みくる「う、何気に嬉しい配慮です」
鶴屋「お風呂もきれいだねぃ!」
古泉「ふたりで入れそうですね」
キョン「ほう、入れよ」
古泉「ふふふ、冗談です」
森「最後にダイニングキッチンですね。料理に必要なものは全て揃えてありますので、ご自由にどうぞ」
キョン「レトルトまであるのか」
ハルヒ「至れり尽くせりね!まさに!」
鶴屋「さぁ!さぁ!早速決めちゃうっさ!!」
古泉「あー、その前にですね」
ハルヒ「?」
古泉「ここで暮らしている様子をモニターするために、あちこちにカメラが仕掛けてあります」
鶴屋「あ、そういやそんな企画だったにょろ。すっかり忘れてたっさ」
古泉「まず玄関口にひとつ。リビングは色んな方向から撮るためにみっつ。キッチンにふたつです」
みくる「まさかお風呂場とかは……」
森「ご安心を。トイレ、バスルーム、洗面所、そして寝室にもカメラはついておりませんので」
古泉「寝室にはついていませんが、寝室をリビング側から撮るカメラはひとつだけあります」
キョン「そういや寝室の戸はどうしたんだ?なんでリビングから丸見えなんだよ」
古泉「取り払いました」
キョン「なんでだ」
古泉「その方が面白いからです」
キョン「おい」
森「やや離れた位置から、しかも決まった方向からしか撮れませんので、鮮明には映らないようになっております」
ハルヒ「よく分かんない配慮ね」
鶴屋「寝顔とか撮られないってことだね。見られたらちょっと恥ずかしいっさ」
ハルヒ「あぁ、なるほどね」
古泉「それでは、今度は隣のモニタールームへご案内しましょう」
キョン「うおっ。それだけのためにもう一室借りてんのか」
鶴屋「ハルにゃん何してるっさー?」
ハルヒ「クジを作ってんのよ」
みくる「本当にやるんですね……。どうか当たりませんように……」
ハルヒ「絶対当たるようになってるから、諦めなさい」
みくる「えっ!」
キョン「長門。冷蔵庫を開け閉めしてないでこっちに来なさい」
鶴屋「あ、ハルにゃん。あたしの名前は入れないでね。見てるだけだから」
みくる「ずるいよー、鶴屋さーん」
鶴屋「ひひっ!なーんとでも言うがいいさ!!」
古泉「くくく……」
森「ふふふ……」
鶴屋「きひひ……」
古泉「(さぁ、涼宮さんと急接近してもらいますよ。何がなんでも!)」
森「(何だったら最後までいっても可。アフターケアも機関側でばっちりしてあげましょう)」
鶴屋「(悪い顔してるっさ、ふたり共。でもあたしも楽しみだねぇ)」
ハルヒ「さぁ出来たわ!いっせいにみんな引きなさい!」
キョン「やれやれ……。どうにでもなれだ」 スッ
みくる「(キョンくんか古泉くんだったら、せめてキョンくんで……)」 スッ
長門「……」 スッ
ハルヒ「あたしも引くわよ!」 ガッ
古泉「さて、僕も」 スッ
キョン「で、どうなってればアタリなんだ?なんか俺のは色がついてるが」
ハルヒ「それがアタリよ。さぁあたしのは……無印、だと……」
みくる「色つきですぅ」
長門「無印」
古泉「無印です」
ハルヒ「……じゃあ、みくるちゃんと、キョンね」
鶴屋「(ぷくくっ、あからさまにテンション下がってるっさ)」
森「(閉鎖空間?知りませんよ。あなた達だけで何とかしなさい)」
ハルヒ「いいことキョン!隣でちゃあんと見張ってるからね!」
キョン「へいへい」
ハルヒ「少しでもみくるちゃんに変なことしてごらんなさい!二度と太陽を拝めないようにしてやるわ!!」
キョン「へいへい」
みくる「覚悟を決める時よみくる。みくるファイト」 ブツブツ
古泉「(いくら涼宮さんでもいきなり最初からはないですか。やはりというかなんというか……)」
森「では皆さま、隣に移動いたします」
ぞろぞろ ぱたん
キョン「……」
みくる「あっ、あのっ」
キョン「なんですか?」
みくる「ふっ、ふつちゅかものですがっ」
キョン「……」
みくる「><」
キョン「はははっ。よろしくお願いしますね、朝比奈さん」
みくる「はいっ」 ペカーッ
キョン「(なんてエンジェルスマイルだ。俺は最後まで紳士でいられるのだろうか……)」
みくる「でも……」
キョン「なんですか?」
みくる「この部屋でいつまで暮らすんですか?」
キョン「あ!そういえば」
とぅるるるる♪ とぅるるるる♪
みくる「電話です。はぁい今出ます」
キョン「家電(いえでん)に返事する人いるんだな……。未来人なのに……」
みくる「もしもし?えっとぉ」
古泉「古泉です。どうも」
みくる「あ、はい。なんでしょうか?」
古泉「日数の件なのですが、人数も鑑みて一泊二日でお願いします」
みくる「はい。でもなんでその話を?まさか」
古泉「えぇ、カメラは音も拾います。迂闊な発言は避けてくださいね。それでは」
みくる「は、はい」
キョン「で、何だったんです?」
みくる「はい、この部屋で過ごすのは一泊だけだそうです」
キョン「なんだそりゃ。そんなんで参考になるのか」
みくる「どうなんでしょう」
キョン「元はといえばハルヒが持ってきた漫画から広がった話なのに、肝心の本人が見てるだけとは」
みくる「あ、こっちの音声は向こうにも聞こえるそうですよ」
キョン「おっと、じゃあ余計なことは言わぬが吉ですね」
―モニタールーム―
ハルヒ「……」 イライラ
森「お腹が空きませんか?何か簡単に作りますが」
長門「……」 キラキラ
森「(この子、本当に感情が表に出るようになったわ……)」
鶴屋「いやあ、ギクシャクしてて面白いねぇ!」
古泉「ははは……(新川さん、多丸さんたち、頑張ってください!応援には行けませんが)」
鶴屋「だけど変化がないねぇ。これじゃギクシャクしながら一日経って終わりそう」
古泉「いいじゃないですか、それでも」
ハルヒ「時間を飛ばすわよ」
古泉「え?」
ハルヒ「時間を飛ばすわ」
ズキュウゥーーーーーーーーーーーン
キョン「さっきまで朝比奈さんと晩飯を食っていたと思ったら朝になっていた」
みくる「あれえ?さっきまで晩ご飯を食べていたはずなのに……」
ハルヒ「はいしゅーーーーーーーーーーーーりょーーーーーーーーーーーーーーー!!」
キョン「おかしい。眠れぬ夜をドキドキしながら過ごしたりなんだりするはずだったのに」
みくる「ふ、ふたりで寝るのは初めてじゃないですものね、だなんて言いながら夜をすg」
ハルヒ「はいクジ!クジクジクジ!」
古泉「はい引いてください。ほらほらほら」
キョン「ま、待て。俺たちはもうやったんだから俺と朝比奈さんは外してk」
長門「色つき。アタリ」 スッ
古泉「僕は無印です」 スッ
ハルヒ「あたしも無印だわ!なんでよ!!このクジ最低!!作った奴誰よ!!あたしだわ!もう!!」
古泉「はいこれはあなたの分です。僕が引いておきました」 スッ
古泉「アタリです。よかったですね。それでは長門さんとお過ごしください」
すたすたすた ばたん
キョン「おかしいだろ、全部」
長門「いつまであなたはいるの?」
みくる「そんな……。あたしのメインヒロイン回が……」
長門「そんなものはない」
―モニタールーム―
ハルヒ「ちょっと楽しみだわ」
古泉「ほう、それはまた。お聞きしても?」
鶴屋「うーん、分かる気がするね」
ハルヒ「有希ってさぁ、どんな生活してるのか想像しにくいっていうか」
鶴屋「うんうん」
みくる「あたしのメイン回……」
ハルヒ「有希の家には何かとお邪魔してるし、泊まったこともあるけどね」
鶴屋「それでもなお想像しにくいんだよねー。有希っこはー」
古泉「なるほど。分かる話です」
みくる「メインヒロイン……」
森「(憐れね……)」
キョン「ふぅ、今度は長門とか」
長門「そう」
キョン「本とか持ってきてるのか?」
長門「……」 コクリ
キョン「ははは、さすが長門だ」
長門「……」 パラリ
キョン「テレビでも見るか」
長門「……」 メクリ
キョン「……」
長門「……」 チラリ
キョン「ははっ」
長門「……」 メクリ
キョン「この芸人絶対来年いないな」
長門「……」 チラリ
キョン「こいつ嫌いなんだよな。チャンネル変えるか」
長門「……」 メクリ
―モニタールーム―
ハルヒ「……つっまんな」
鶴屋「二人とも一緒にいる意味ないよこれじゃ」
古泉「静止画を見ている訳ではないはずなのですが……」
みくる「でも、ちょっといいなぁ」
ハルヒ「なにが?」
みくる「え?だって、ああやってそのままでいられるって、なんかよくないですか?」
鶴屋「あー、沈黙が苦にならないってのは凄いよねっ」
みくる「分かり合ってるって感じで、ちょっと憧れますぅ」
古泉「!!」
森「(やだこの子、天然?なんてこと言うのよ)」
ハルヒ「分かり……合ってる……?」
みくる「はい。あたしとキョンくんだとなんかギクシャクしちゃって」
みくる「でも長門さんとだとお互いリラックスしてるように見えます」
みくる「それって素敵じゃないですか。飾らなくてもいいだなんて」
古泉「(油田に爆弾を放り込むような発言です……)」
森「(え?倒しても倒しても出てくる?それくらいなによ!死ぬ気で戦いなさい!!)」
鶴屋「そうだよねー。ありのままでいられるって凄いことだよね」
ハルヒ「ありの……まま……」
みくる「(……メインヒロインは諦めましたが、こうなったら意地でも涼宮さんとはくっついてもらいます!!)」
みくる「(その為には嫉妬心を煽らないと!さっきから空間振動が凄いですけど、みくる負けません!!)」
森「(違う!この子、計算してっ!?なんて子なの……!!)」
古泉「(だから応援には行けませんよ。危険手当?上に申請してください。僕が上だって?ははは、ご冗談を)」
長門「……」 ピクリ
キョン「ん?どうした?」
長門「なんでもない(先ほどから連続して大規模な時空震を観測)」
キョン「お、もうこんな時間か。さっきまで晩飯食ってたと思ったんだが、飯にするか」
長門「ご飯?」
キョン「っつっても、俺も長門もろくな料理は」
長門「出来る」
キョン「ほう?」
長門「……」 ピピピピピピピ……
朝倉<<なによ?いきなり>>
長門<<彼をgetするハート鷲掴み料理のダウンロードを申請する>>
朝倉<<そんなことで?さっきからすごい勢いで空間変異が起きてるのよ?観測してるでしょう?>>
長門<<事態は一刻を争う>>
朝倉<<はいはい、分かったわよもう!今送るからね>>
長門「……」 ダウンロード中
キョン「長門?」
長門「……」 アップデート中
キョン「長門さーん?」
長門「完了した」
キョン「お?お前の親玉から何か情報でも得たのか?」
長門「そう。料理を作る」
キョン「そうか、そいつは何よりだ。ところで長門」
長門「なに?」
キョン「おでんは、なしな」
長門「……」
キョン「カレーもだ」
長門「こんな時どういう顔をしたらいいのか分からない」
キョン「笑えばいいと思うぞ」
―モニタールーム―
古泉「覚束ない手つきですが、ふたりで料理を始めましたね」
鶴屋「いい感じっさ!これぞ新婚さんにょろ!!」
森「(何のための教導隊ですか!築城の第8航空団にも連絡!!)」
ハルヒ「新婚……」
みくる「(何でも出来ちゃう涼宮さんには無理ですもんね)」
鶴屋「いやぁ、これはヒットヒット!大ヒットっさ!!」
古泉「(スポンサーでなければ口を塞いでいるところなのですが)」
森「(市街地に入る前に落としなさい!それと、長官に緊急連絡……っ!!)」
みくる「本当の恋人同士みたいで憧れちゃいますぅ!」
古泉「……」 イラッ
ハルヒ「変人……?」
みくる「(未来からも特に指示はありません。ということはこのままいっちゃってもいいということです!)」
森「(ベイルアウト……、撃墜された……?)」
キョン「出汁って大事なんだなー。味噌汁って味噌だけ入れりゃあいいのかと思ってたが」
長門「……」 モグモグ
キョン「なんとか形にはなったな。中坊の時の家庭科も役に立つじゃないか」
長門「……」 ズゾーッ
キョン「見た目はあれだが」
長門「おいしい」
キョン「そうだな」
長門「……」 モグモグ
キョン「おかわりか?俺のもいいか?」
長門「……」 コクリ
キョン「食って、風呂入って、風呂……?昨日入ったっけ?覚えてないな」
キョン「ま、いいや。あとは歯ぁ磨いて寝るだけだな」
長門「お風呂」
キョン「ん?」
長門「沸かしてくる」
キョン「おう」
長門「……」 ジーッ
キョン「なんだ?後片付けならやっとくぞ」
長門「そう」 カチャリ パタン
朝倉<<そこは『一緒に入る?』でしょう!?>>
長門<<それ無理>>
朝倉<<何を弱気な。そうやって異性であることを改めて認識させないと!>>
長門<<ガッツが足りない>>
朝倉<<言っとくけど!キョンくんは長門さんを妹とか娘みたいにしか思ってないからね?>>
長門<<……>> ションボリ
朝倉<<だから!女であるってことを意識させるの!長門さんならできます!!>>
長門<<ガッツが>>
朝倉<<巨人の小笠原でいいなら連れてきます!>>
長門<<……>>
朝倉<<大丈夫!長門さんはとっても魅力的よ?だから自信を……わっ、何よ!邪魔しな>> プツッ
喜緑<<お騒がせしました。それでは ご ゆ っ く り >>
長門<<……>>
―モニタールーム―
鶴屋「to loveるタイム!はっじまっるよー!」
みくる「きゃあー、そんなー(棒)」
ハルヒ「はっ!お風呂で思い出した!!」
古泉「なんです?急に」
ハルヒ「あたし達昨日入ってないじゃない!!」
鶴屋「ん?そうだっけ?」
みくる「思い出せません」
ハルヒ「という訳で入るわよ!三人で!!」
みくる「えっ!狭いですよぉ!?」
鶴屋「だーいじょうぶっさ!だいじょぶじょぶ!!」
みくる「(しまった!これは罠っ……!圧倒的っ……罠っ……!!)」
古泉「それはいいですね。僕は銭湯に行ってくるとしましょう」
ハルヒ「ここで入れば?」
古泉「さすがにそれは」
鶴屋「さぁそうと決まればいっちゃうよっ!!」
みくる「ああああのその、やっぱり三人ってのは……」
森「(米軍基地がヘリを集め始めた?何を……、まさか!!)」
ハルヒ「着替えはあるわね?よしレッツゴー!!」
みくる「まだお湯も沸いてあわわわわわ」
森「(北が弾道ミサイルの燃料を入れ始めたですって!?戦争でもするつもりなの!?)」
ハルヒ「うおっしゃあー!みくるちゃんのおっぱい揉むわよー!!」
みくる「ひええええ!!」
ハルヒ「鷲掴む所存!!」 ヒュッ バッ ヒュッ バッ
―銭湯・北の湯―
古泉「おっと、サービスシーンですか」
古泉「女性側を見たかった?それはそれは」
古泉「そういえば、こんな話をご存知ですか?」
古泉「自販機で飲みたいジュースがふたつあって」
古泉「どちらを買うか迷ったこと、ありませんか?」
古泉「そんな時はふたつのジュースのボタンを同時に押すといいそうです」
古泉「そうすれば自分が本当に飲みたかったジュースが出てくるそうですよ」
古泉「古泉一樹でした」
―マンション・バスルーム―
ハルヒ「ふぃー」 パシャア
鶴屋「やだハルにゃん。今のめがっさオッサンくさいにょろ」
ハルヒ「そうだった?気が抜けちゃって」
鶴屋「あははっ。まぁそういうハルにゃんを見れただけでも今回の企画は価値があったねっ」
ハルヒ「……うん」
みくる「どうしました?」 ゴシゴシ
ハルヒ「へっ?ううん!なんでも」
鶴屋「さぁみくる。背中流してあげるにょろ!」 ザバァ
みくる「わぁ。ありがとう鶴屋さん」
ハルヒ「……」 ジーッ
鶴屋「うーん、スベスベっさぁ」 スリスリ
みくる「ひゃっ!やめてよー」
ハルヒ「……」 ジーッ
みくる「本当にどうしたんですか?涼宮さん」 ゴシゴシ
ハルヒ「……おっぱい」
みくる「へっ?」
ハルヒ「前も一回見たけど……、やっぱりおっぱい持ち上げて洗うってすごい光景よね」
みくる「なななななにをいきなり」
鶴屋「なぬっ!?見てなかったっさ!みくる!もっかいやるにょろ!!
みくる「嫌だよぅ!」
ハルヒ「きれいにしときなさい。もうすぐあたしが鷲掴むから」 ヒュッ バッ ヒュッ バッ
みくる「嫌ですよぅ!!」
ハルヒ「いいなぁ」
鶴屋「なにが?」
ハルヒ「おっぱい大きくて」
みくる「涼宮さんだってきれいじゃないですか。形もいいし、あたしは羨ましいです」
鶴屋「みくるは男子にジロジロ見られて大変そうだもんね」
ハルヒ「体育の時とかすごそうね」
みくる「いいことないです。いやらしい目で見られるし、走ると痛いし」
鶴屋「みくるは体育ある時はガッチリしたブラしてるよねっ!色気も何もないような!あははっ!」
みくる「だってぇ。頑丈なものじゃないと……」
ハルヒ「じゃないと?」
鶴屋「胸んところの毛細血管切れるんだってさ!信じらんないよ!!」
ハルヒ「あぁっ。それは嫌ねぇ」
みくる「気をつけないと汗疹も出来ちゃうし……」
ハルヒ「巨乳には巨乳の悩みがあるのねー」
ドガン!
みくる「ひゃっ!!」
鶴屋「なになに!?何の音!?」
ハルヒ「ビックリしたぁ……」
キョン「なんだ今の音!」 バタバタバタ ガラッ!!
長門「なんでもない」
キョン「なんでもないわけあるか!壁にヒビ入ってるじゃねーか!!」
長門「すぐに直す」
キョン「どうした?ゴキ○リでもいたのか?」
長門「似たようなもの」
キョン「そうか。まぁさすがのヒューマノイドなんちゃらもあの生命体にゃ勝てんか」
長門「許可があれば今すぐ滅ぼす」
キョン「そんなことも出来るのか?」
長門「出来る。許可を」
キョン「ん?お前なんか様子が……」
長門「今すぐ許可を。全て消す。あれは敵。あの女は滅ぼすべき敵。情報統合思念体もそう言っている」
情報統合思念体「これは教育やろなぁ」
キョン「……あの女?」
長門「それと」
キョン「ん?」
長門「あなたは何か穿いた方がいい」
キョン「///」
森「お湯加減はいかがでしたか?」
鶴屋「最高っさ!目の保養にもなったしねっ!!」
みくる「揉まれた……。いっぱい揉まれちゃった……」
ハルヒ「んっんー!マーベラス!!」 グッ パッ グッ パッ
森「冷たいお飲み物などいかがでしょうか」
鶴屋「さすが美人メイドさん!抜かりがないね!!」
森「恐れ入ります」
みくる「しかも段々揉むのうまくなってきてるのが……」
ハルヒ「あー、この湯上りの一杯ってなんでこんなに美味しいのかしら!」
みくる「そういえばさっきの凄い音は何だったんですか?」
森「音、でございますか?わたくしには聞こえませんでしたが」
鶴屋「なんでもいいっさ!メイドさん!おかわり!!」
ハルヒ「……あれ?」 ズク……
森「どうかなさいましたか?」
ハルヒ「えっ?いえいえ!なんでも!!(気のせい……よね)」
―寝室―
キョン「長門。暗い中で本読むのはやめなさい」
長門「問題ない。わたしはヒューマノイドインターフェース」
キョン「そういうことじゃない。とにかく駄目だ」
長門「……」
朝倉<<チャンスよ!長門さん>>
長門「……?」
朝倉<<小首を傾げないで!可愛すぎるから!!>>
キョン「ふぁーあ。俺はもう寝るぞ。おやすみー」
長門「おやすみなさい」
朝倉<<さぁ!男女ひとつ屋根の下!to loveるが起きても仕方がないわ!!>>
朝倉<<いえ!起きない方が失礼ってものよ、長門さん>>
長門「……?」
朝倉<<これを有機生命体は“様式美”と言うそうね>>
長門「様式美」
朝倉<<究極美!>>
長門「破壊美」
朝倉<<壮絶美!!>>
長門「殲滅美」
喜緑<<消失美>>
朝倉<<ひゃあ!どうしてここに!?あっ、うそっ、ごめんなさい!もうしないからやm>>
喜緑<<それでは、おやすみなさいませ>>
長門「……」
森「特にこれといってトラブルは起きなさそうね」
古泉「起きても困りますが」
森「あちらサイドは何か仕掛けてくると思ったんだけど、杞憂だったみたい」
古泉「涼宮さんが隣りにいる状況ではしないでしょう」
森「仕掛けてきたらそれはそれで面白いことになりそうなんだけど」
古泉「勘弁してほしいですね」
森「まぁ本番は明日よ。古泉、あなたももう寝なさい」
古泉「えぇ、そうします。それでは」
森「違うわよ、古泉。こういう時は」
古泉「おやすみなさい、でしたね」
森「えぇ。おやすみなさい」
―寝室―
キョン「……」
長門「朝」
キョン「……もうちょっと……」
長門「起きて」
キョン「頼む……。後生だ……。あと少しだけ……」
長門「駄目。起きて」
キョン「……うう……。うぉっ!?長門!?」
長門「……」
キョン「あぁ、そうか……。思い出したぜ……」
長門「おはよう」
キョン「……ん?あぁ、おはよう」
長門「……」
キョン「なんか……変な感じだな」
長門「なに?」
キョン「朝に長門が隣にいるって……、隣……?」
長門「……?」
キョン「なんでお前が 俺 と 同 じ 布 団 に入ってるんだ?」
長門「……?」
キョン「キョトンとするな!」
長門「これが……様式美」
キョン「またどっかで変なこと覚えてきやがって……」
長門「それよりも」
キョン「あ?」
長門「朝ご飯」
ハルヒ「おっはよー!みくるちゃーん!!」 ムギュムギュムギュ
みくる「ひゃあああああ!おはようごじゃいましゅううううう!!」
鶴屋「んあー!なんでみくるはこんなにいい匂いがするんだーぃ!?」 バフバフバフ
みくる「やめてえええええええ!!」
コンコン
ハルヒ「どーぞー」
ガラリ
古泉「おはようご……、おや、お取り込み中でしたか?」
森「朝食を用意してございます。準備が出来ましたらお越しください」
鶴屋「はーい!」
みくる「鶴屋さんどいてぇええええ」
ハルヒ「朝よ!一日の始まりよ!!」 モギュモギュモギュ
鶴屋「エネルギー吸収っさ!!」 ボフボフボフ
みくる「たしゅけてええええええ!!」
古泉「朝から元気で結構なことです。……どうされました?」
森「ちょっと目を離した隙に……。やってくれたわ、あの宇宙人」
古泉「ヤって!?まさか!?」
森「馬鹿!なに勘違いしてるの!?そういうのじゃないわよ」
古泉「おやおや、これはこれは」
森「まぁいいでしょう、このぐらい。潜り込んだのは朝方みたいだしね」
古泉「しかし涼宮さんには見せられませんね。モニター消しておきます」
森「お願いね」
ハルヒ「しゅーーーーーーーーりょーーーーーーーー!!」
古泉「お疲れ様でした」
キョン「やっとか。なぁもう次こそは古泉でいいだろ?」
みくる「よく眠れましたか?」
キョン「あぁ、俺は」
みくる「俺は?」
キョン「あ!いえ、なんでも!!」
鶴屋「乙女センサー!!」 キュピーン
みくる「反応ありです!!」 キュピーン
古泉「さぁいよいよフィナーレといきましょうか。あと長門さん、無表情で睨むのはやめていただけませんか」
長門「……」
ハルヒ「クジはもういいわ。残るはあたしだけだしね!」
キョン「……はぁ。もうこうなったら覚悟を決めるさ」
古泉「結構なことです」
鶴屋「さぁいよいよ大トリだね!」
みくる「この日を待っていました!」
長門「朝比奈みくる」
みくる「はい?」
長門「話がある。あとで屋上へ来て」
みくる「屋上?なんですか話って。あと長門さん、なんでスクールバック持ってるんですか?」
長門「……」 スタスタ
みくる「長門さん?長門さーん?」
森「それでは、わたくし共は隣りにおりますので。何かありましたら」
キョン「すんません。いつも下らないことに巻き込んでしまって」
森「お気になさらず。わたくし共も楽しんでおりますので」
キョン「そうなんですか?」
古泉「えぇ、楽しんでますよ」
キョン「お前に言われると腹が立つ」
鶴屋「それじゃキョンくん!あとは任せたにょろ!」
キョン「鶴屋さんも大事な時期なのにすみません」
鶴屋「気ーにしない気にしない!夏期講習は明後日からだからね!」
キョン「あれ?長門と朝比奈さんは……?」
鶴屋「さぁ?さっき二人でどっか行ったみたいだけど。あ、そうだ!」
キョン「なんスか?」
鶴屋「有希っこにオイタはしなかっただろぅね!?」 ヒソヒソ
キョン「するわけないでしょう」
鶴屋「うんうん!それでこそキョンくんっさ!!」 バンバン
キョン「いたっ!褒めてないでしょ、それ」
鶴屋「オイタならハルにゃんにするといいよん!ハルにゃんなら許してくれるっさ!!」 ヒソヒソ
キョン「するわけないでしょう」
鶴屋「んーふふっ!じゃあねーん!!」
キョン「それじゃ」
ハルヒ「……」
キョン「どうした?」
ハルヒ「っ!ううん、なんでもないわ」
キョン「……少し顔色悪くないか?」
ハルヒ「そんなことないわよ!」
キョン「そうかい」
ハルヒ「……」
キョン「寝室なんか覗いてどうした?」
ハルヒ「別に」 スタスタスタ
キョン「……今度は洗面所かよ。なんだってんだ」
ハルヒ「……(ここも)」
ハルヒ「(リビングにも、寝室にも、キッチンにも、洗面所にも……)」
ハルヒ「(有希とキョンの匂いが残ってる……。二人で生活してたって空気が)」
ハルヒ「(当たり前じゃない。だってそういうイベントなんだもの……)」
ハルヒ「(なのに……。なんで……こんなにモヤモヤすんのよ……)」
キョン「どうしたってんだよ」
ハルヒ「なんでもないったら」
古泉「……!」
森「……!」
みくる「……あ」
長門「……」
鶴屋「……」
古泉「まだ小規模ですが」
森「早かったわね。注意深く観察しておかないと……」
みくる「どうして……?」
長門「……」
鶴屋「おほん!」
古泉「?」
鶴屋「あっれぇ?どうしたのみんな。なーんか暗いにょろ」
みくる「ううん、なんでもないよぉ」
古泉「少し疲れが出たのかもしれませんね」
鶴屋「だったらいいけどね。ま、大丈夫っさ」
みくる「え?」
鶴屋「大丈夫だよ。みくる」
長門「……」
森「……」
みくる「……うん」
キョン「あーぁ!」
ハルヒ「なっ・なによ。急に大声出さないでよ」
キョン「急に大声出すのはお前の専売特許だろうが」
ハルヒ「なんですって!!」
キョン「ほら、普通に過ごすんだろ」
ハルヒ「う・うん……」
キョン「今日の飯は何だろうなぁ。ここに来てから飯ばっか食ってるような気がするが」
ハルヒ「……何が食べたいの?」
キョン「……シチュー」
ハルヒ「子供……」
キョン「それかハンバーグ?」
ハルヒ「……まるっきりガキじゃない」
キョン「いいだろ、別に」
ハルヒ「はぁ……。冷蔵庫に……材料はあるのね」
キョン「本当か?手伝うぞ」
ハルヒ「いいわよ!余計に手間だわ。あんたは座ってて」
キョン「へーい」
ハルヒ「まったくもう……」
古泉「……収まりました……ね」
森「自然消滅?そんな……」
みくる「こんな形で……」
鶴屋「ね?言ったっしょー。大丈夫だって」
みくる「うん!」
鶴屋「にゃっはは!機嫌直ってよかったよかった!」
古泉「そうですね。なによりです」
森「気を取り直して、こちらも夕餉の準備をいたします。用意が出来たらお呼びしますので……」
長門「……」
森「あとでお呼びしますので」
長門「……」 ションボリ
キョン「あー食った食った。ほんと飯ばっか食ってるけど」
ハルヒ「行儀悪いわね」
キョン「ご馳走さまでした」
ハルヒ「当然よ!あたしが作ったご馳走なんだからね」
キョン「片付け、するか?」
ハルヒ「いいわよ、やっとくわ」
キョン「そうか……」
ハルヒ「……う」
キョン「どうした?」
ハルヒ「……なんでもない。テレビでも観てれば?」
キョン「あぁ」
カチャ パタン
ハルヒ「……はぁ、なんでよ……。まだ先だったはずなのに」
ハルヒ「慣れない生活で体がびっくりしたのかしら……」
ハルヒ「森さんのことだからきっと……あ、あったわ」 ゴソゴソ
ハルヒ「羽根つき……、高いやつだ……」 イソイソ
カチャ パタン
キョン「……どうした?」
ハルヒ「何が?」
キョン「顔、青白いぞ」
ハルヒ「なんでもないわ」
キョン「やっぱお前、どっか悪いんじゃないのか?森さんに……」
ハルヒ「いいってば」
キョン「いやしかし」
ハルヒ「いいって言ってんの!ちょっと具合悪いだけ!月に一回あるだけよ!分かれ!!」
キョン「……そ・そうか」
ハルヒ「はぁ。デリカシーのない……」
キョン「ぐっ……。すまん」
ハルヒ「サイテー」
キョン「返す言葉もない……」
ハルヒ「一気に疲れた。あー……」 ボスッ
キョン「やっぱ片付け、俺がやっとくな」
ハルヒ「そうして」
キョン「……」
ハルヒ「はぁ……」
キョン「お・終わったぞ」
ハルヒ「あっそ」
キョン「……」
ハルヒ「……」
キョン「……」 ソワソワ
ハルヒ「なによ?」
キョン「ど・どうすればいい?」 ソワソワ
ハルヒ「なんにもしなくていいわよ、別に」
キョン「そ・そうか……」 ソワソワ
ハルヒ「薬も飲んだし」
キョン「……すまん」
ハルヒ「なんで謝んのよ」
キョン「いや、なんか……」 ソワソワ
ハルヒ「はぁ……」
キョン「……」 ソワソワ
ハルヒ「あんた今からそんなんで妹ちゃんの時どうすんのよ?」
キョン「お袋に任せるさ」
ハルヒ「……ダメ兄」
キョン「……」
ハルヒ「お腹」
キョン「へっ?」
ハルヒ「下腹部、さすってると少し楽……かな」
キョン「そ・そうか、よし」
ハルヒ「なっ!なにしようとしてんのよ!!」
キョン「す・すまん……」
ハルヒ「……」 ゴロン
キョン「……」 ソワソワ
ハルヒ「はぁ……。ほら」
キョン「お・おぅ」
ハルヒ「はぁ……」
キョン「お・お邪魔します」
ハルヒ「変なとこ……触んないでよ?」
みくる「キマシターーーーーー!!」
鶴屋「いいぞいいぞー!こんな展開を待ってたっさー!!」
みくる「ダメですよキョンくん!そこは乙女の聖域!サンクチュアリですよ!!」
鶴屋「いいぞいいぞー!突撃するっさー!!」
みくる「ッキャー!!もう見てられません!!」
鶴屋「とか言いながらー?指の隙間からー?」
みくる「いやーーーーっ!!」
古泉「楽しそうですね」
長門「……」 ソワソワ
古泉「あと数分で出来るそうですよ」
長門「……」 メクリ パラリ
古泉「読んでも頭に入ってないでしょうに……」
―寝室―
ハルヒ「疲れたぁ」
キョン「ようやく終わりだな」
ハルヒ「なんでこんなことしてたんだっけ?」
キョン「おい、発案者」
ハルヒ「あー、そうだったそうだった。あの漫画のせいね」
キョン「で、感想は?」
ハルヒ「……よく分かんない」
キョン「そうかい」
ハルヒ「……でも、ちょっとだけ、……楽しいかな」
キョン「……そうかい」
ハルヒ「おやすみ」
キョン「あぁ。おやすみ」
ピピピッ ピピピッ ピピピッ
アスカ「うぐ……。うるっさい……」 ガション
アスカ「ぐぅ……」
シンジ「アスカ!もう時間だよ、起きなきゃ!」
アスカ「うにゃぁ……、あと5分……」
シンジ「ダメだよ、朝ご飯片付かないだろ!ほら!」
アスカ「うぐぐ……、昨日あんなにゲームやってるんじゃなかった……」 モソモソ
シンジ「自業自得だよ」
アスカ「ミサトは?」
シンジ「……そこで寝てる」
アスカ「うっわ、朝帰り?だらしない。パンツ丸見えじゃない」
シンジ「ミサトさん?ミサトさーん?」 ペチペチ
ミサト「うへへ……。もうダメよぅこんなところじゃあ……」
シンジ「しょうがない、ベッドまで運ぶか……重っ!すっごい重い!!」
アスカ「あー、脱力した人間って重いのよねー」
ミサト「うへへ、う……」
シンジ「う?」
ミサト「うおえぇぇぇぇぇぇぇ」
シンジ「うわあああああああああああ!!」
アスカ「やだ。マジサイテー。こっち来ないでよね」
シンジ「嫌だ……、こんなの嫌だ……」
アスカ「あー、朝ご飯食べる気なくなったわー」
ミサト「うへへへへ……、シンちゃああん」
アスカ「ご指名よ。シンジ様?」
シンジ「くぅ……。このシャツもう捨てよう……」
アスカ「横にしないと寝ゲロで死ぬわよ、ミサト」
シンジ「……」
アスカ「いや、だから横に……」
シンジ「……」
アスカ「まぁいいわ」
シンジ「ほら。朝ご飯食べちゃってよ」
アスカ「はいはい、っと。ジャム取ってー」
シンジ「ほら」
アスカ「あー、そういえばさー」
シンジ「ん?」
アスカ「変な夢見たのよねー」
シンジ「へぇ。どんな?」
アスカ「よく覚えてない」
シンジ「なんだよそれ……」
アスカ「でも……」
シンジ「でも?」
アスカ「楽しかった、……かな」
終
さよならハルヒ 飯食って他人の作品見て寝る!
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