男「童貞卒業するんだ」 友「またまた」(347)
友「ご冗談を」
男「いやマジだから」
友「はいはい、うそうそ」
男「嘘じゃねーって」
友「笑えないし」
男「笑わせてるわけじゃないから」
友「あー、ラーメン喰いたい」
男「だから」
友「うん、今日の気分は味噌だな」
男「そうか、まあ信じなくてもいいけど」
友「味噌……」
男「とりあえずお前には言っとこうって思っただけだし」
友「……」
男「じゃあ駅前のラーメン屋寄って帰るか」
友「お、おう……」
男「俺は豚骨にしようかなあ」
友「ちょ……何?その余裕」
男「ん?」
友「ま、ま、まさか彼女でも出来たの?」
男「うんにゃ」
友「なんだよその返事?うんかよ?にゃあかよ?」
男「うにゃにゃ?」
友「うぜーっ! こいつうぜぇーっ!!」
友「言えよー」
男「だって言っても信じないし」
友「いやそれは」
男「どうせ嘘付き呼ばわりされるだけだし」
友「うう……」
男「ん?」
友「すいません! 現実から目を逸らしてました!」
男「じゃあちゃんと話聞く?」
友「聞きます、聞かせて下さい!」
男「よしでは聞くがいい、我が春の到来を」
友「おう」
男「俺はな」
友「うん……」 ゴクリ
男「明日童貞を卒業する」
友「明日…だと?」
男「そうだ、明日だ」
友「明日から連休、その初日にか」
男「うむ」
友「マジなんだな?」
男「ああ、連休明けにお前の前に立っているのは」
男「大人の階段を登った俺だ」
友「このやろう……俺より先にだと」
男「ふっ……すまんな」
友「うっ、すでにそこはかとなく大人の雰囲気が漂ってるような」
男「ふっ、まあそういうこともあるかもしれんな」
友「で、その相手は?」
男「ん?」
友「そういう相手ができたんだろ?彼女とか」
男「ああー、まあその…彼女などではないんだが」
友「じゃあどういう……まさかお前風俗とか」
男「何を馬鹿なことを」
男「金を出して童貞を卒業とか、それは違うだろ」
友「まあそうか……」
男「しかもそれでは素人童貞という切ない称号を得てしまうことになる」
友「ということはやはり何か出会いがあったわけだ」
男「出会い……というか」
友「もういいからもったいぶらずにさっさと言えよ」
男「なんだよ、もうちょっと付き合えよ」
友「面倒くさくなった、ほれ早く言え」
男「ちぇっ」
友「彼女でもない風俗でもない、じゃあ何?誰?」
男「んー、簡単に言うと」
友「簡単に言うと?」
男「小さい頃から知ってる……二つ上のお姉さん、かな?」
友「へ?昔から知ってるって幼馴染ってことか?」
男「いやーそうなのかな?いやそうでもないかな?」
友「なんだよく判らんな」
男「まあその辺はまあいいじゃないか、まあそういう人がまあいるんだ」
友「まあまあ言い過ぎ」
男「まあまあ」
友「ん?誤魔化してる?」
男「そのお姉さんとさ、最近久しぶりにあったわけだ」
友「無理矢理持っていったな、別にいいけどさ」
男「久しぶりって言っても一年くらいだったんだけどな」
友「ふうん」
男「その一年で随分大人っぽくなって見えたから、そう言ったんだ」
友「大人っぽくなったって?」
男「そう、そしたらいろいろ経験したとかいう話になってな」
友「ああー、やっちゃってるんだ」
男「かなりのもんらしい」
友「で?」
男「で、俺も調子に乗って童貞なんすよとか言っちまって……」
友「うわ」
男「とか何とかで、男君ならいいよなんて言ってくれたんで」
友「それで」
男「うん、お言葉に甘えることにした」
友「つかお前、そのお姉さん」
男「ん?」
友「ビッチ」
男「それを言うな」
友「お前だってそう思うだろ、一年で経験豊富って」
男「そう言うなよ、俺だってちょっとショックだったんだから」
友「ショック?」
男「そんな人じゃないと思ってた、正直憧れてた時期もあったし」
友「へえそうなんだ」
男「うん、だから実は微妙な気持ちもあることはあるんだ」
友「でもするんだろ」
男「するよ」
男「今がどうあれ憧れてた人と初体験できるんだ」
男「このチャンスは逃せない」
友「ふーん、そういうもんかね」
男「俺はそう決めたんだけど、もしお前ならどうするよ?」
友「俺なら?」
男「お前ならどうする?」
友「俺はなあ……俺ならしない、かな」
男「そうか……」
友「やっぱり愛がなくちゃ……って笑うなよ」
男「笑わないよ、お前らしいわ」
友「真面目ぶってるわけじゃないぞ」
男「わかってるよ」
友「まあその時になったら勢いでやっちゃうかもしれんけど」
男「それもわかる」
友「そっか」
男「うん」
友「まあ頑張ってこい」
男「ああ、戦果は報告する」
友「避妊はしろよ」
男「わかってる」
友「勃たなかったりして」
男「プレッシャーかけんなよ、結構ビビってるんだぞ」
友「はは、だから俺に話したんだろ」
男「ああ、そうかもな」
友「じゃあまた」
男「おうまたな」
男「ふう、明日か」
男「小さい頃から知ってるのお姉さん……か」
男「さすがに『この前の法事で会った従姉の姉ちゃん』とは言えないよな」
男「なんか綺麗になってたよなあ」
男「俺あの従姉ちゃんとセックスするんだよな」
男「今夜寝られるかな」
次の日
男「ええっと、待ち合わせ場所はこの辺りだったな」
男「時間は……まだ三十分もある、早く来過ぎたな」
男「これじゃがっついてるみたいに思われる……あれ?」
男「あ……」
従姉「やあ、来たね」
男「あっ、どうも……こんにちは」
従姉「うん、こんにちは男君」
男「あの、あの……従姉さん、今日はよろしくお願いしますっ」
従姉「あれえ、なんかやだなあ」
男「えっ」
従姉「そんな他人行儀な話し方は無しにしようよ」
男「他人行儀……ですか」
従姉「ほらその『ですか』とかもさ」
男「はあ」
従姉「それと呼び方も以前のままでいいから」
男「そう?じゃあ従姉ちゃん」
従姉「そう、それじゃなきゃ」
男「ほんとにいいの?これで」
従姉「当然、その方が嬉しい」
男「ふう、そう言ってもらえて緊張がほぐれたよ」
従姉「うん?緊張してたのかい?」
男「そりゃあまあ……今日はその……お世話になるし」
従姉「お世話?あ……ああそう、そうだったね」
従姉「うん、わかってるよ。 任せておいてくれいいから」
男「うん、全部任せるから」
従姉「わかってる、わかってるよ」
従姉「さてと、じゃあ行こうか。 どこがいいかな……」
男「わあ、やっぱりいろんなラブホ知ってるんだね」
従姉「え?ラブホって?」
男「えっ?ラブホテル……だけど」
従姉「あ…ああ、ラブホテルね……そうそうラブホ、知ってるさ勿論」
男「この辺じゃ何か所くらい使ったの?」
従姉「それはまあ……あちこち、だね」
男「だったらその中で」
従姉「……」
男「従姉ちゃん?」
従姉「あっ、あーいやいや、焦っちゃだめだ。 何事にも順序が大切だからさ」
男「順序?」
従姉「そう順序だよ、私に任せてくれるんだろ?」
男「あ、ごめん。 つい」
従姉「時間はあるんだから慌てなくていいさ」
男「じゃあこれからどこ行くの?」
従姉「そうだね……まず映画でも見ようか」
男「映画?」
従姉「それからショッピングして、食事かな」
男「ええと、それなんか初デートのスケジュールみたいだね」
従姉「えっ?そ、そうかな……いいと思ったんだけど」
男「いやいいよ、俺も従姉ちゃんとデートみたいなことで来て嬉しいもん」
従姉「嬉しい?! あはっ!」
男「え?」
従姉「あ……ああいや。 そうか? ならいいんだ」
従姉「どんな映画がいいかなあ……」
男「ところで」
従姉「ん?」
男「待ち合わせ、ずいぶん早く来てたんだね」
従姉「え……あ、それはその」
男「我慢できなくて家早く出ちゃったから、俺の方が絶対早いと思ってた」
従姉「私は……この近くで用事があったから、時間持て余してたんだ」
男「なんだそうか」
従姉「そう……そういうことさ」
男「じゃ映画だね」
従姉「ああ、さあ行こうか」
男「でもなんか従姉ちゃんと並んで歩くの恥ずかしいな」
従姉「どうして?」
男「だって従姉ちゃん今日すごくオシャレしてて綺麗だし」
従姉「あわわわ」
男「?」
従姉「いやこんなのいつもだから!いつもだから!」
男「だから俺釣り合ってないから、気後れしちゃって」
従姉「そんなことない! 全然そんなことないよっ!」
男「そうかな」
従姉「そんな事気にしなくていいからっ、じゃなくてー……コホン」
従姉「……気にしなくていいんだよ、男君」
男「?」
従姉「こういう時は、ほ、ほら腕……腕組むのさ」 ギュッ
男「あ……」
従姉「さ、さあ、行こう行こう」 ギュッ
同じ頃 友の家
友「今日だよな……」
友「男のやつ今頃やっちゃってんのかな」
友「なんかもやもやするなあ」
友「なんだろうこれ?孤独感?敗北感?」
友「羨ましいとは思ってないけど……いや思ってんのかな」
友「あいつはあいつ、俺は俺だとは思うけど……しかしまあ」
友「俺も彼女くらい欲しいよなあ……」
友「あーあ、せっかくの連休だってのに」
ドド! タタ! ドンドン!
友「ん?」
バン!
友妹「兄ちゃん!」
友「何だ騒がしいと思ったらお前か」
友妹「アイス買ってきたよ!」
友妹「はいこれ、兄ちゃんの好きなやつ」
友「お、さんきゅ」
友妹「はい」 ヒラヒラ
友「なんだその手は?」
友妹「500円です」
友「金とんのかよっ」
友妹「そりゃ当たり前じゃん」
友妹「はい500円」 ヒラヒラ
友「しかもこのアイス150円だし」
友妹「全部で500円でなんだよっ」
友「おいおい、お前の分も出せってか」
友妹「当然だろ、可愛い妹がわざわざ買ってきてやったんだかんな」
友「可愛くねーし」
友妹「可愛いーし」
友「いや可愛くねーし」
友妹「可愛いよっ! 可愛いって言えよ!」
友「なんだよもう」
友妹「泣くぞ?」
友「あ」
友妹「いいのか?泣くからな」
友「待てよ、わかった、わかったから」
友妹「言えよ」
友妹「ほら」
友「あー、可愛い可愛い」
友妹「ふへへ、可愛い妹がいて兄ちゃんは幸せだな」
友「はいはい」
友妹「よしよし、じゃあ500円」
友「んにゃもう仕方ねーな」 ゴソゴソ
友「はいよ」
友妹「初めからおとなしく出しゃあいいんだよ」
友「カツアゲかよ」
友妹「んでどうしたの?」
友「え、なにが?」
友妹「何がって、兄ちゃん元気ないじゃん。 昨日帰ってきてからさ」
友「そうかな」
友妹「そうだよ、何かあったんだろ?」
友「ないよ、別に」
友妹「嘘つけ」
友「ったく変なとこだけは鋭いな」
友妹「もしかして彼女に振られたとか……」
友妹「ってことはないか、彼女いねーし」
友「大きなお世話だよっ! つかなんで知ってんの?」
友妹「そりゃ毎日観察してりゃわかるよ」
友「観察?おいおい、俺の観察日記でも付けてんのかよお前」
友妹「……」
友「いや否定しろよ」
友妹「それで?」
友「?」
友妹「だから何があったんだっての、言うてみ?」
友「それがなあ……実は」
友妹「ふんふん」
友「って……ああいやいや」
友妹「は?」
友「こんなこと妹に話すことじゃないわ」
友妹「なんだよそれ」
友「あ、早くアイス食べなきゃ」 ガサガサ
友妹「言いかけてやめんなっての」
友「あむ」 シャリ
友妹「ほらさっさと吐いてすっきりしちゃえ」
友「んーやっぱりこのアイス美味いな」
友妹「言えよ、ほら言えってー」
友「んぐんぐ」
友妹「ほら言えーっ!!」
友「……」
友妹「言えよーっ!!」
友「うるさいなあ」
友妹「うるさい言うな。 兄ちゃん、ずっと鬱陶しそうな顔してたくせに」
友妹「あたしが心配して聞いてやるって言ってんだろーが」
友「え、心配してたの? お前」
友妹「……してたよ、してちゃ悪いかよ」
友「いや悪くはないよ……」
友妹「兄ちゃんがしょぼくれてるとつまらねーんだよ」
友「そうか……それは、すまん」
友妹「妹に心配かけんな」
友「ああ、そうだな」
友妹「ほら言え」
友「ん、じゃあ言うけどさ、引くなよ」
友妹「どんと来いや」
映画館
oh... yes...
yeah, right there...
男(これ恋愛映画の割にはハードなベッドシーンだな……)
oh... yes! i'm coming!
oh! ooh!
男(うわ、おもいっきりフェラしてるし、18r指定じゃなかったよな)
男(従姉ちゃんは平気なんだろうけど……) チラッ
従姉「あぅ……あぅ」 ウルウル
男(何で涙目?)
yes! i like it !
keep it up baby!
従姉「うぅ……」
男(あれ?うつむいちゃった)
男(もしかして従姉ちゃん興奮してる?)
yes! oh!yes!
don't stop baby!
男(従姉ちゃんもフェラしてくれんのかな……)
oh! god!!! very! very! big!!
従姉「ひぃっ……」
男(あの口で俺のを……どんな感じなんだろ)
男「うあっ……」
男(大っきくなっちゃった)
男(やべえ、これやべえ)
男(おさまれおさまれ……)
男(しかし横に座ってるだけなのにこんなに興奮するなんてな) チラッ
男(従姉ちゃん……柔らかそうだな、おっぱい大きいし)
男(さっき腕掴まれた時もちょっと当たって、むにゅって)
男(俺この人とセックスするんだよな……このエロそうな身体を俺が)
男「くぅっ……」
男(それまで俺持たないかも……)
友の家
友「と、こういうことなんだけどさ」
友妹「……」
友「ああっと、、やっぱり引いたかな?」
友妹「いや……引いてないよ、引いてないけど」
友「ないけど、なによ?」
友妹「兄ちゃんもそういうのに興味あったんだなって思ってさあ」
友「そりゃお前、俺だって男だし」
友妹「ふうん、あっそう」
友妹「兄ちゃん、男さんに負けたくないんだ」
友「うーん、そういうことになるのかな」
友妹「あの男さんがねえ……」
友「ん?なんだお前、もしかして男に気があったりしたの?」
友妹「えっ?また何でそうなるんだよ?そんなわけねえって」
友「違うのか?あいつ結構いい男だろ」
友妹「まあねえ悪くはないと思うけど、タイプでもないなあ」
友「へえ、タイプねえ」
友妹「男さんと兄ちゃんなら、兄ちゃんの勝ち」
友「勝ちってなんだそれ」
友妹「ランクだよ、言っとくけどあたしの中では兄ちゃんのランクかなり高いんだぞ」
友「はいはいありがと。 もう500円欲しいのか?」
友妹「くれるんなら貰うけど、結構マジだぞ」
友「ふーん、じゃあどのくらい高いんだ?」
友妹「えっとな、シャムとアメショの間くらい?」
友「俺は猫か」
友妹「まあそのくらい高いってことだよ、兄ちゃん」
友「全然わからん」
友妹「とにかく高いんだ」
友「そうなのかあ……」
友妹「そうなんだよ」
友「なあ」
友妹「え?」
友「お前……」
友妹「えっ?」
友「お前さ……」
友妹「ちょ!だめだめ!だめだよ兄ちゃん!」
友「は?」
友妹「いくらランクが高くてもそれはだめっ」
友「は?」
友妹「だって、だってだよ、父さんや母さんに知られたら怒られるし」
友妹「だいいち赤ちゃん出来ちゃったらどうすんの……」
友「へ?へ?」
友妹「あ、そうか赤ちゃんは避妊したら……」
友妹「いややっぱり父さんと母さんに」
友妹「でもでもでも」
友「……おい」
友妹「え?」
友「何ブツブツ言ってんの?」
友妹「やっぱりだめだよ、兄ちゃん」
友「いやいや」
友妹「でもどうしてもって」
友「しないから」
友妹「え?」
友「違う違う、そういうことしない」
友妹「しないの?」
友「するわけ無いし」
友妹「は?」
友「いつそんな話なったのさ」
友妹「なんだ……けっ!」
友「うわ」
友妹「しないのかよ、じゃあ何なんだよ」
友「なに不貞腐れてんのかな」
喫茶店
男「はい、ミルクと砂糖」 コトリ
従姉「いや私はいつもブラックだ」
男「へえ昔は甘いの好きだったのに」
従姉「ふふふ……」 ズッ
従姉「にがっ!」
男「えっ?」
従姉「い、いや、少し熱かった……ふむ、いい香りだ」
男「うわさすが大人って感じ」
従姉「ふふ」
ウエイトレス「お待たせしました、チョコパフェです」
男「あ、きたきた。俺です」
ウエイトレス「どうぞ」 コトリ
男「ありがとう。うはっ美味そう」
従姉「また凄いの頼んだね」
男「こういうの好きなんですよ俺」
従姉「変わらないなあ、男君は」
男「あ、やっぱり俺もコーヒーにしておけばよかったかな……」
従姉「そんなの気にすることはないさ」
男「じゃあいただきまーす」 ヒョイパク
従姉「……」 ジー
男「あむあむ……んっ?」 モグモグ
従姉「……」 ジー
男「うわここのパフェ美味い……」 パクパク
従姉「へえ……」 ゴクリ
男「こりゃいい店見つけたな、あむ……」 パク
従姉「……」 ジー
男「ん?」 モグモグ
従姉「っ……」 ゴクン
男「従姉ちゃん……?」
従姉「……」 ジー
男「えっとあの……ちょっと食べてみる?」
従姉「えっ!?」
男「美味しいからさ、食べてみなよ」
従姉「いや……それはいいよ」
男「こういうの嫌い?」
従姉「そんな事はないが」
男「じゃあ助けてよ。 量が多くてさ、食べきれそうにないんだ」
従姉「そ、そうか? そういうことなら……残すのももったいないしな」
男「じゃあはい……あ、スプーンがいるね。 持ってきてもらおうか」
従姉「いやっ、コーヒーのがあるからこれで」
従姉「では……」 ヒョイパク
男「どうぞ」
従姉「むぐ……これは」 ヒョイパク ヒョイパク
男「どう?」
従姉「おいひぃ~」 モグモグ ヒョイパク
男「じゃたくさん食べてね」
男(可愛いなぁ……っていったら叱られるかな)
従姉「んぐんぐ……んっ」 ペロ モグモグ
男(あの舌で……ペロペロって)
従姉「あむぅ」 パク
男(あの口で咥えて)
男「ううっ……」
男(また大きく……)
従姉「?どうしたんだ、お腹押さえて。 痛むのかい?」
男「い、いや、違うから。 大丈夫、気にしないで」
従姉「そうか?それならいいんだけど……あ、あれ?」 カチカチ
従姉「んー、スプーンが底に届かない……」 カチカチ
男(うわ、ほとんど食べちゃってる)
従姉「んー?んー?」 カチカチ
男「……あの、長いスプーン」
従姉「あっ、それかして」 サッ
男「あっ、それは……」
従姉「よしこれなら底まですくえる」 ヒョイパク
男「俺の」
従姉「あむあむ……ん?」
男「あのそれ、そのスプーン俺の口付けたやつなんだけど」
従姉「へっ?」 モグモグ
男「それ」
従姉「あっ、え?」 ゴクン
男「間接キス……だよ」
従姉「か、間接……キス?」
男「ごめん」
従姉「あ、う……」
男「いきなりだったから言うの間に合わなくて」
従姉「あう、あう」
男「従姉ちゃん?(顔真っ赤だ……)」
従姉「す、す……すまない」
男「いや俺はいいんだけど、従姉ちゃんが」
従姉「私なら……構わないんだ」
男「ほんと?」
従姉「ああ、男君のなら……別に気にならないよ」
男「俺のなら?」
男(それってどうせ今夜はキスしまくるからってことなのか?ベロチューとか?しちゃうの?)
男(でもなんで従姉ちゃんは顔真っ赤にして……)
男「はっ!」
男(そうか!映画の時みたいに性的興奮を我慢してるんだ!さすが大人の女!)
男(これはもしやそれだけ俺に期待してくれてるってことじゃないのか?!)
男(従姉ちゃんはきっと性欲を持て余してるんだ、期待に答えなきゃ!)
男「従姉ちゃん!」
従姉「え?な、なんだい?」
男「俺頑張るから!」
従姉「あ、ああ、うん」
男「じゃあ次行こう!」
従姉「?」
友の家
友妹「なんだよー、この連休に兄ちゃんとの距離がぐっと縮まると思ったのに」
友「どんな距離だよ、それ」
友妹「兄ちゃんとは一度妹との恋愛についてじっくり話合わなきゃいけないようだな」
友「あのなあ妹なんて恋愛対象外だろ? ランクにも入らないよ?」
友妹「そこは入れろよーっ、ほら500円返すから」
友「いらないよ。 まあ入れるとしたら、そうだな俺の中でのお前のランクは……」
友妹「あたしのランクは?」
友「アリとキリギリスの間くらい」
友妹「マジで泣くぞ」
友妹「アリの下ってなんだよ」
友「でもキリギリスより上だぞ」
友妹「そんなの嬉しくねーよ」
友「まあそれくらいありえないってことだ」
友妹「ちぇっ、つまんねーの」
友「おいおい何でそんなしょげてんの?」
友妹「兄ちゃんが悪いんだろ……」
友「なんで俺のせいなんだよ」
友妹「なあ兄ちゃん、あたしってそんなに魅力ないか?」
友「だから魅力があるとかないとかじゃなくてね」
友妹「あるのかないのかって聞いてんの!」
友「それは……なくはないけど」
友妹「おい、テキトーに答えんなよ」
友「そうじゃなくて、その、見た目は悪くない」
友「ていうか、なかなかだと思うよ」
友妹「なかなか? なにそれ? 可愛いってことか?」
友「うんまあ……」
友妹「可愛いってことだな」
友「可愛いんじゃないかな」
友妹「可愛いんだな? な?」
友「ああそうだ、可愛いよ」
友妹「おおっ!」
友「見た目だけはね」
友妹「え?」
友「だって中身は、ほら馬鹿だから」
友妹「くっ……」
友「否定しないのな」
友妹「馬鹿な妹ほど可愛いって言うだろっ」
友「いやいや、言わねーし」
友妹「いやもう中身のことはいい」
友「あ、都合の悪いことは棚上げかよ」
友妹「大事なのは兄ちゃんから見たあたしは可愛い女の子だってことだ」
友「普通は大事なのは中身だって言うんだぞ。 それにな」
友妹「ん?」
友「女の子っていうんでもないんだよな」
友妹「なんだと、あたしが男だってのか」
友「んなこと言ってないよ」
友妹「だって今」
友「俺ってさ若い女性って意識するとと話すとドキドキして上手く話せなくなるんだけど」
友「お前とはこうやって近くで話してても全然平気なんだよ」
友妹「当たり前じゃん」
友「いやそれってお前のこと女って意識してないってことだろ?」
友妹「なんでよ」
友「妹だから」
友「妹を女としては見られ、」
友妹「それは違うんじゃないの」
友「何が違うんだ?」
友妹「兄妹だって恋愛できるんだぞ」
友「そんなお前、世間一般の常識ってものが」
友妹「そんなもん糞食らえだし、ウンコ食わせとけ」
友「お前口悪いよ」
友妹「現にあたしは知ってるぞ」
友「何を?」
友妹「愛し合ってる兄妹をだよ!」
友「愛し合ってるって……」
友妹「それも肉体関係ありでだ」
友「一応聞くけど、それ誰なんだよ」
友妹「私の親友」
友「親友?その子がそう言ってたの?」
友妹「うん、兄さんと愛し合ってるって」
友「……」
友妹「親がいない時に居間で二人っきりの時に」
友妹「あ、その時薄いシャツと短パンの楽な恰好してたらしいんだけど」
友妹「いきなり兄さんが押し倒してきたんだって。 それでそのまま最後まで」
友「いやそれって」
友妹「はじめは嫌だったんだけど、それから兄さんが凄く優しくなったらしくて」
友妹「それで今はもう相思相愛で、休日ごとのエッチがすごく楽しみなんだって」
友「……なんだかなあ」
友「お前それ、からかわれてるだろ。 馬鹿だし」
友妹「ホントだぞ、もうすっごい幸せそうなんだから」
友「うーん」
友妹「あの子はそんな嘘つかないもん」
友「まあいいや、疑っても仕方ないな」
友妹「もう羨ましいったら」
友「でさ、その話って」
友妹「ん?」
友「最近お前が凄い薄着してるのと何か関係ある?」
友妹「え?兄ちゃん気付いてた?」
友「そりゃ寒がりで冷え性のお前が薄着で脚と出したりとかしてりゃな」
友妹「そ、それは……」
友「?」
友妹「あたしは兄ちゃんのためならいつでもパンツ下ろせるよっ!」
友「あ、やっぱ馬鹿だ」
地味なのは自覚してるけど
殺されたり消されたりはちょっと困るなあ
友「あーもう何でこんな話になってんだよ」
友妹「兄ちゃんが振ってきたんんだろ」
友「……お前が勘違いして暴走したんだろうが」
友妹「そうだっけ?」
友「お前はなあ」
友妹「んで、なんだったんだ?」
友「じゃあ話を戻すけどさ」
友「お前ってさ彼氏いないみたいだけど、作んないの?」
友妹「は?だっていらないし」
友「でもそういうことに興味持ってるじゃん。 あ、作りたくても出来ないのか」
友妹「ちげーよ、これでも告られたりしてんだぞ」
友「へえ、告白されたことあるのか」
友妹「今年になってからでも何度かあったよ」
友「マジか?何で断ってんの?」
友妹「好きでもない奴よ付き合うわけねーじゃん、面倒くせえ」
友「それでも付き合ってだんだん好きになるってこともあるだろ」
友妹「ないよ、あたしはない」
友「へえ、じゃあさ告白されるってどんな気分?」
友妹「そりゃあね、好きだって言われて悪い気はしないよ」
友「ならそれ断るのって気が引けたりしない?」
友妹「そんなこと思って中途半端に返事する方が相手に失礼なんだよ」
友「うわあちゃんと考えてるんだな、馬鹿のくせに」
友妹「こういうことでは兄ちゃんよりあたしの方が上だっての」
友妹「好きな人がいるから無理ってバッサリ言うから」
友「はあ……好きな人入るんだ」
友妹「いるよっ!」
友「そいつには告白しないのか?」
友妹「……あのな兄ちゃん」
友「ん?」
友妹「ちっ!言っても伝わんないんだよ、そいつも馬鹿だから」
友「なるほど」
友妹「うわ、納得してるし」
友「そうかあ……うーん」
友妹「結局何が聞きたかったんだよ」
友「いやさ、告ったり告られたりってどんな感じなんだろうなって思ってさ」
友妹「あ?」
友「え」
友妹「なんだ?そんな事する予定でもあんのか?」
友「い、いや今すぐってわけじゃないけど、いずれは俺だって彼女くらい欲しいし」
友妹「ふーん」
友妹「……お!」 ニヤ
友妹「兄ちゃん!いいこと考えた!」
友「いいこと?」
友妹「勝負しよう。 いやどっちかつうとゲームかな」
友「ゲーム?どんなゲーム?」
友妹「んとね、ジャンケン告白ゲーム」
友「ジャンケン告白ゲーム?」
友妹「うん、ジャンケンして負けた方が勝った方に告白するんだ」
友「面白そうだけど、お前が相手じゃなあ」
友妹「あたしが相手だから気楽にできるんだろ? それが告白の練習になるんだよ」
友「そう言われりゃそうか」
友妹「真剣にやるんだぞ。 そうしたら告白の気分が少しだけでも味わえるって」
友「なるほど、よしわかった。やってみよう」
友妹「おうっ」
友妹「んじゃいくよ! 最初はグー!」
喫茶店
男「ここは俺が払うよ」
従姉「だめだめ、私が出すから」
男「だって映画も払ってもらったし」
従姉「男君、私に任せるんじゃなかったっけ?」
男「でも悪いから……」 ゴソゴソ
男「あれれっ?(小銭入れしかないっ?!)」
従姉「気にしないでいいよ、バイト代入ったばかりなんだ」
男「じゃあここは……ごちそうさまです……(やべえ、財布忘れた)」
従姉「次は向こうのショッピンモール行こうか」
男「ああ、最近新しく出来た所」
従姉「そう、行ってみたいと思ってたんだ」
男「えっと……ちょっとその前に」
従姉「なんだい?」
男「トイレ、いいかな」
従姉「え?やっぱりお腹痛いのかい?」
男「いやそうじゃなくて」
従姉「そうか、じゃああそこのベンチで待ってるよ」
男「すぐ帰ってくるから」
従姉「急がなくていいよ」
男(やべえやべえ)
男(小銭入れの中帰りの電車賃くらいしかねえぞ)
男(まだ食事代とか……ラブホ代とか)
男(全部従姉ちゃんに出してもらうなんてカッコ悪いったらねえぞ)
男(どうする、どうする)
男(って、答えは出てるんだけど)
男(やっぱあいつに頼るしかないなあ)
男(家にいてくれよ……)
カチッ
ピッピッピッピッ…
prrrrrrrr……
友の家
友・友妹「ジャンケン!」
prrrrrrrr……
友「あ、電話」
友妹「ちっ!」
prrrrrrrr……
友「ん?男からだ、なんだあいつ」
prrrr ピッ!
友「はいよー」
友「どうした、上手くやってんのかコノヤロ」
友「ん?財布忘れた?」
友「馬鹿じゃねえのお前、浮かれてるからだろ」
友「金貸せ?え?持って来いってお前な」
友「仕方ねえなあ、ああもういいよ行ってやるよ。 いいよ、どこにいんだよ」
友「ショッピンモール? 新しく出来たとこ? ああ、あそこな、わかるわかる」
友「で、いくらいるの? は?」
友「ラブホ代がいくらなんて俺が知るかっ」
友「なに? 三万? そんな持ってないよっ」
友「ああ? なに? 死ぬ?」
友「ああ、死ね」
ピッ
友「はぁ~……馬鹿だなあいつ」
友「さて……」
友妹「はい三万」
友「え?」
友妹「貸したげる、横で聞いてて大体わかったから」
友妹「死ねとか言ってもどうせ行くんだろが」
友「あ……すまん」
友妹「このお人好しが」
友「だけどお前こんな大金よく持ってたな」
友妹「あ?ああそれ、あたし達の恋愛貯金から出した」
友「あたし達の? 恋愛? 貯金?」
友妹「うん」
友「えっと……それなに?」
友妹「あたし達この先いろいろあるかもしれないから貯めてるんだよ」
友「あたし達? いろいろ? いろいろって?」
友妹「ほら、『お前らなんかもう親でも子でもない出ていけっ!』とか言われたりしてさ」
友妹「そんな時いきなり無一文じゃ困るじゃん?」
友「いや何したらそんなこと言われる状況になるんだよ」
友妹「きゃはっ!」
友「……」
友妹「ぐふふふ」
友「……ここはあまり深く追求しないほうがよさそうだな」
友「わかった。 いやわからんけど、とりあえずありがたく使わせてもらう」
友妹「へへっ、意外に頼りになんだろ?」
友「そ、そうだな」
友妹「こりゃいい奥さんになれるんじゃね?」
友「か、かもな……」
友妹「うひひひひ」
友「ちなみにその貯金ってどの位あるの?」
友妹「えっと……二十万ちょいかな」
友「えっそんなに?」
友妹「まだまだだぞ、最低でも五十万は欲しいからさ」
友「その金額の本気度が怖い……」
友妹「そんなことより兄ちゃん、早く用意だ。 あたしも着替えてくるから」
友「えっ、お前も付いて来る気か?」
友妹「当たり前じゃん、誰がお金出したと思ってんだ」
友「それを言われると」
友妹「へへ、あそこのショッピンモール行ってみたかったんだよな」
友「目的はそれか……」
友妹「兄ちゃんとお出かけっ! テンションあがってきたーっ!」
友「いつも高いくせに……」
一時間後 ショッピンモール
従姉「男君、これ、このストラップ可愛いんじゃないか」
男「ほんとだ、これいいな」
従姉「これお揃いで買おうか」
男「えっ(金が……)」
従姉「あ……記念にと思ったんだけど」
男「記念?(なんの?童貞卒業の記念?)」
従姉「いや、いやならいいんだ……」
男「違う、いやじゃない、いやじゃないよ (でも金が無いんすよ)」
従姉「何も無理しなくていいんだよ」
男「だから違うんだ。 それっ俺にプレゼントさせてよっ」
従姉「え?」
男「でも今はその……ちょっとだけ予算がアレだから、この次のときにでも」
従姉「次のとき……?」
男「どうかな?」
従姉「え……」
男「従姉ちゃん?」
従姉「また……会ってくれるの?」
男「あううっ!」 ズッキューン
男「も、もちろん、従姉ちゃんさえよければ……(この破壊力、これが大人の女の手管なのか)」
従姉「ぜひ、そうしてくれれば嬉しいよ」
男「じゃあ……」
prrrrrrrr……
男「あ」
prrrrrrrr……
男「ごめん従姉ちゃん、ちょっと電話」
従姉「いいよ、私はその辺見てるから」 フンフン♪
男「ごめんね」
prrrr ピッ!
男「もしもし」
男「すまん! 信じてたぞ! 今? 二階のアクセサリーショップにいる」
男「え? 見えてる? お前どこにいんの?」
男「いや来なくていい、エレベーターの横のトイレあるだろ」
男「うん、そこで」
男「すまん」
ピッ
友「んじゃ行ってくるし、お前はその辺で待っててくれ」
友妹「えーなんでよー」
友「妹と一緒とか恥ずかしいだろ」
友妹「そんな照れることないいじゃん」
友「だいたい何でそんなめかしこんでるかな、目立つんだよ」
友妹「だって兄ちゃんとデートだし」
友「デートじゃないよっ」
友妹「ていうか、このくらい普通だぞ。 兄ちゃんが服装構わなすぎなんだ」
友妹「もっとオシャレすればいいのに。 あでもカッコよくなってモテ出しても困るな……」
友「いいからお前はおとなしく待ってってくれ」
友妹「ならそのかわり後で買い物付き合ってくれよなー」
友「あーわかったわかった」
友妹「やったー」
友「んじゃ行ってくっから」
友妹「いってらー」
友「ウロウロすんじゃないよ、迷子なるから」
友妹「あーい」
友妹「ふん、迷子ってどんだけ子供扱いだよ、ったく」
友妹「つうかさっきのってやっぱり……」
友妹「あー、確認しとくか」
友妹「面倒くせえことになったらやだなぁ……」
ショッピンモール トイレ前
男「友!」
友「よお」
男「すまん!恩に着る!」
友「ほんと肝心なときに何やってんだかね、お前は」
男「この恩は一生忘れないからなっ」
友「大げさなんだよ、ほい三万」
男「おおお、やっぱり持つべきものは友達だ」
友「俺の金じゃないんだからすぐ返せよ」
男「返す、速攻で返すよ……って、お前の金じゃないって?」
友「ああそれ、妹が貸してくれた」
男「ええっ!友妹ちゃんが?! なんで?」
友「お前からの電話横で聞いてたんだよ、俺が金ないの知ったらじゃあ使えって」
男「出してくれたのか?」
友「ああ」
男「マジか……でも友妹ちゃんよくこんな大金持ってたな」
友「それは……なんか大事な貯金らしいぞ……」
男「大事な貯金って、そんなのいいのかよ?」
友「いいよ、大事って言ってもすぐに必要になるもんでもない」
友「ていうか必要になる時なんて来るのかどうかってのもあるし」
男「は?」
友「まあいいや、本人は真剣みたいだし出来るだけ早く返してやってくれ」
男「わかってる、次会う時絶対返すっ」
男「友妹ちゃんにも感謝しないと……あ」
友「なんだ?」
男「つーことは、この話友妹ちゃんも知ってるのか?」
友「うん、詳しく知ってる
男「なんで?」
友「喋っちゃった」
男「あちゃー」
男「何で兄妹でそんな話するんだよ」
友「別にいいだろ」
男「いいけどなぁ……どんだけ仲いいんだよ」
友「んなことないよ」
男「あー友妹ちゃんに知られちゃったか」
友「あ? なんだお前? あいつに何かあんのか?」
男「え?」
友「もしかしてお前童貞卒業したら、次は友妹を狙ってるんじゃ……」
男「おいおい」
友「男……お前もし遊びでそんな事したら」
男「いやいや」
友「殺すぞ?」
男「馬鹿言うなっ! しねーよ! 死にたくねーよっ!」
友「そうか、ならいいよ」
男「目がマジだ」
男「どっちっかつうと俺は年上がいいし」
友「さっき一緒にいた人みたいな?あの人がそうなんだろ?」
男「あ、見えてたのか」
友「うん、遠くてよく見えなかったけど、髪の毛短めでスラっとしてキュッとした」
男「うーん、よく判らんがたぶんそうだ」
友「なんかすげえ美人そうだよなキリッとしてて、もっとケバケバしいのかと思ってた」
男「美人そうじゃなくて美人なんだよ」
男「うらやましかろうが」
友「まあなあ、しかし俺は」
男「……愛がなきゃか」
友「俺はな、ってことだ」
男「そりゃ俺だって……」
友「それよりあんまり待たせちゃまずいんじゃないのか」
男「あ、そうだった」
男「んじゃ行くわ。 ありがとうな」
友「おう」
男「友妹にも礼言っといて、どうせ一緒に来てるんだろ」
友「お見通しかよ……了解」
男「じゃな」
友「避妊しろよ!」
男「やめろ!声でけえって!」
>>128訂正
× 男「友妹にも礼言っといて、どうせ一緒に来てるんだろ」
↓
○ 男「友妹ちゃんにも礼言っといて、どうせ一緒に来てるんだろ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
従姉(遅いな男君、まだ電話してるのか……)
従姉(もしかして何かあった?)
従姉(もしかして彼女からなんてこと……)
従姉(いや彼女はいないはず)
従姉(いないはずだ……)
従姉(まだ……なのかな) キョロキョロ
従姉「あ……」
従姉「君は……」
友妹「やっぱりそうか……」
キーーーーーーーン!! ピシィッ!!
『いずれどこかで出食わすとは思ってたけど、まさかこんなに身近にいたとはなぁ』
『そうかい?』
『ああ、ビックリだ……あんたは驚いてもいないようだな』
『君のことは知っていたさ、それより君がまさかなんて言葉を使う事のほうがビックリだよ』
『あたしのことを知っていた?』
『ああ、男君の親友 「友」の妹が今の君だ』
『そうか獲物の身辺調査は怠りないか、参ったねこりゃ。 つうかさ、てめえ』
『なんだい』
『兄ちゃんを呼び捨てにすんな』
『ああ、それはすまなかったな』
『そういう君は私のことを知らなかったとは職務怠慢ではないのか』
『職務だと? ふん、あたしはもうそんな事どうでもよくなっちまったからな』
『随分入れ込んだものだな』
『大きなお世話だ』
『それでどうする気だい?』
『どうもしねえ』
『なに?』
『言っただろそんな事どうでもいいんだ。 あんた達の事もな、どうでもいい』
『ではわざわざここへ来た?』
『だけどさ、男さんが不幸になるとお人好しの兄ちゃんがえらく悲しむんだ。 これは絶対に見過ごせない』
『なるほどそういうことか』
『ならばとりあえずそれは心配しなくていい』
『とりあえずかよ』
『私としてはここでケリを付けてもいいんだが』
『強がんなよ、ほら男さんがそこまで戻ってきてんぜ』
『えっ?! 男君が?』
『ああ、今の顔でわかったよ。 とりあえず信用してもよさそうだ』
『私の顔がどうだというんだ』
『へへっ、恋する乙女みたいな顔してたぜ』
『な、なにを……』
キーーーーーーーン!! ピシィッ!!
友妹「じゃそういうことで、お互い不干渉でいこうぜ」
従姉「不干渉か……わかった、そういうことなら私もことを荒立てるのはよそう」
友妹「決まりだな」
♪ピンポンピンポーン
友妹「ん?」
お客様にお呼び出しいたします
○○市よりお越しの~~友妹様 ~~友妹様
友妹「えーーーーっ!!」
お連れ様がお待ちですので、一階迷子センターまでお越しください
♪ピンポンピンポーン
友妹「兄ちゃん……勘弁してよ」
従姉「ぷぷっ」
友妹「何笑ってんだよっ」
従姉「ほら早く行かないと友君が心配してるぞ」
友妹「くそっ、兄ちゃんめーっ!」
ダダダッ……
寝るでまんこ
従姉「ふぅ……」
従姉「よかった……」
男「ごめん、従姉ちゃん」
従姉「あ」
男「ちょっとそこで友達に会っちゃったんで」
従姉「なるほど、それで……」
男「え?」
従姉「いやいいんだよ、友達は大事だからね」
男「うん、ほんとに世話になってばかりの奴なんだ」
従姉「そうか、いい友達を持ったみたいだね」
男「俺が女なら絶対惚れてるよ」
従姉「へえ」
男「でも現実には彼女出来ないんだけどね、何故か」
男「それに出来たら出来たであいつの妹が黙っちゃいないんだろなぁ」
従姉「それは、怖い妹さんだね……」
男「怖いっていうか……可愛いよ」
従姉「え、可愛い?」 ピク
男「うん、すごく可愛いよ」
従姉「へ、へえぇ~、凄くなの、か」
男「どうしたの?」
従姉「じゃ、じゃあ男君は……その妹さんに気があったり、するんだ」
従姉「へ、へえぇ~」
男「うわ、またこの話になるのか」
従姉「ふ、ふぅ~ん そうなんだ~」
男「ち、違うっ! 違うんだって!」
従姉「へ、へえぇ……え?」
男「そういうこと言ったら俺死ぬことになってるからっ」
男「つかっ、俺、年上のほうがっ」
従姉「……え」
男「俺は、俺は……」
従姉「男……君?」
男「えっと……あの」
従姉「な、なに……」
男「その……ですね」
男「う……」
男「……さっき誰かと話してませんでした?」
従姉「え?」
男「俺が帰ってくる前、チラッと見えたんだけど……」
従姉「あ……あれは、道を尋ねられて、女の子に」
男「ああ、そうなんだ」
従姉「うんそう、そうだよ」
男「そっか、」
従姉「そう、それだけ」
男「……ふぅ」
従姉「……はぁ」
男「……」
従姉「……」
男「あっそうだ! 従姉ちゃん!」
従姉「えっ? は、はひっ!」
男「はひ?」
従姉「あ、いや……なんだい、男君」
男「さっきのストラップやっぱり今買うよ」
従姉「そ、そうかい……って! はあ?」
男「従姉ちゃん? どうしたの?」
従姉「いや……それは次に、次に会う時にってことじゃ」
男「いや財布確認したら結構あったんで」
従姉「えっ? えっ?」
男「そのくらいなら買えそうだからさ」
従姉「えーっ?」
男「ちょっと行って買ってくるね」
従姉「男君! いいからっ、それはいいからっ!」
男「へ?」
従姉「それは次でいいからっ」
男「でも」
従姉「ねっ、そうしよう、次にしよう」
男「ほんと? それでいいの?」
従姉「いい、それでいい。 絶対にいい」
男「でもなあ」
従姉「さ、もうここは見たから、他へ行こう。 ほらほら」 ギュッ ムニ
男「あぅ……」
うーん
思い付きで変な風呂敷広げちまったんで先が見えない
ふん、レスを貰うためにわざと誤用したのさ
ごめんなさい嘘です、馬鹿なんです、学がないんです
変なパンツはいたらチンチンが出せないって言いたかったんです
ごめんなさいごめんなさい
ああーっ、ここレス返したら怒られるんだった
ごめんなさい、ごめんなさい
もうしません、黙って書きます
ショッピンモール 迷子センター
友妹「にっ、兄ちゃん!」
友「おおっ! 来たか!」
友妹「来たかじゃねえよ、なに館内呼び出しかけてんだよ! 恥ずかしいだろっ」
友「仕方ないよ、お前が迷子になるから」
友妹「なってねーよっ!」
友「だってウロウロすんなって言ったのに、あそこにいなかったじゃないか」
友妹「それは……ちょっと用事が」
友「いなけりゃ心配すんだろ」
友妹「子供じゃねーんだからさぁ」
友「それに携帯かけても繋がらないし、もしお前に何かあったらって」
友妹「携帯? あ、そっか……(結界で電波届かなかったんだ)」
友「なんだ? 携帯具合悪いのか?」
友妹「あーいやあ、バッテリー外して掃除してたんだ」
友「何でそんなことしてるかな」
友妹「いいじゃん別に」
友「よくない、それで俺がどんなに心配したと思ってるんだ」
友妹「おっ?」
友「おかしな奴らに絡まれて携帯取リ上げられて、とか思うだろ」
友妹「へへっ」
友「それでなくても危なっかしいんだからお前は」
友妹「えへへっ」
友「こら、何笑ってんの」
友妹「えへへ、ごめん」
友「お前はな……」
友妹「それと、兄ちゃん」
友「あん?」
友妹「心配してくれて」
友妹「ありがと」
友「ん……わかりゃいいんだ」
友「よし、じゃ迷子センターの人に礼言わなきゃ」
友妹「そゆとこ固いなぁ、兄ちゃんは」
友「当たり前のことだよ」
友妹「いってら」
友「こら、お前も来るんだよ」
友妹「ええーっ」
友「はいさっさと来る」
友妹「へーい」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
友「さてと礼も言ったし、これから」
友妹「なあなあ、兄ちゃん」
友「あ?なんだ」
友妹「そんなに心配だった?」
友「ん……まあな、お前も女の子だし」
友妹「くふふっ」
友「なんだよ」
友妹「なあなあ」
友「だからなんだよ」
友妹「あたしがもし悪い奴らに連れ去られそうになってたら、兄ちゃんどうしてた?」
友「うん?そりゃ助けるさ」
友妹「へへっ、どうやって? やっぱ戦うのか? 相手はそうだな、三人だ」
友「三人か……ならひとりじゃなんだし、とりあえず男呼ぶかな」
友「まだ近くにいるだろし、すぐ来てくれるだろ」
友妹「それでそれで?」
友「それであいつが来たら二人で」
友妹「やっちゃうんだな」
友「いや土下座する」
友妹「へっ? なんだそよそれ」
友「どんなやつだって土下座して必死に頼んだらなんとかなるんじゃないかな」
友妹「戦わないのかよ」
友「俺たちそんな強くないよ? 怪我したらどうすんの?」
友妹「プライドとかないのか? そりゃ怪我すんのは嫌だろうけどさあ」
友「いや、お前がだよ」
友妹「え?」
友「荒事になってお前になんかあったらどうすんだよ」
友「お前の安全第一。 それに比べりゃ俺のプライドなんて屁みたいなもんだ」
友妹「なんかそれ……ずるいよ」
友「ん? この答えじゃ気に入らなかったか」
友妹「いや……」
友妹「そうでもない」
友妹「へへっ、兄ちゃーん」 ギュッ
友「な、何だよ急に」
友妹「世は満足じゃ」 ギュッ
友「放せよおい、恥ずかしいだろ」
友妹「んー苦しゅうない」 ギュッ
「友妹ちゃん……?」
友妹「えっ?」
友「え?」
友妹「あ……眼鏡ちゃん」
眼鏡「やっぱり友妹ちゃんだーっ」
友妹「やっぱりって、なんで眼鏡ちゃんが」
眼鏡「館内放送聞いてもしかしてと思って来てみたんだよっ」
友妹「あ……そうか、名前呼ばれてたんだっけ」
眼鏡「そうそう、急に知ってる名前聞こえたんでビックリしちゃった。 あははっ」
友妹「うぅ、笑わないでよ……恥ずかしいじゃない」
眼鏡「そんなことないよ、私だって小さい時呼ばれたことあるもん」
友妹「それ慰めになってないよ」
眼鏡「大丈夫、大丈夫」
友妹「ほらもう、こういう恥ずかしいことになるから」
友「いやその……ごめん」
眼鏡「えっと、そちらの人は?」
友妹「あ、これはあの……私の兄さん、よ」
眼鏡「えっ?そうなの?」
友妹「うん」
友「へっ? 『私』? 『兄さん』? 『よ』?」
眼鏡「お兄さんだったの? ねえ紹介してよ」
友妹「いいけど……兄さん」
友「……兄さん?」
友妹「兄さんってばっ!」
友「あ、はいっ」
友妹「この子は友達の眼鏡ちゃん」
眼鏡「初めまして、眼鏡です」
友「あ……ども」
友妹「で、こっちが私の兄さん」
友「あ、えっと、初めまして……兄の『友』です」
眼鏡「友さんですね。 よろしくお願いします」
友「こ、こちらそ、こそ」
友妹「兄さん、噛んでるわよ」
友「あうぅ」
眼鏡「うふふっ」
友妹「……」
眼鏡「でも意外、お兄さんだったんだね。 彼氏さんかと思ったよ」
友妹「どうしてそうなるのよ、私が彼氏いないの知ってるくせに」
眼鏡「だって友妹ちゃん、いつも言ってるでしょ」
眼鏡「自分のお兄さんのことダサくてショボイくて魅力なしの駄目駄目男って」
友「ひでえ」
友妹「それは……」
眼鏡「だから私の中ではかなりイメージ良くなかったんだけど」
眼鏡「でも実物はとても可愛くって、まるで友妹ちゃんがいつも言ってる理想の彼氏みたいなんだもん」
友妹「そ、そんなことないよ! こんなの全然だめ! 彼女だって出来ないし」
眼鏡「へえ、友さん彼女いないんですか?」
友「え、いやまあ……うん」
眼鏡「へえ、じゃあよかったら私が」
友妹「なっ何言ってるの! だめよっ、こんな兄さんなんてよくないって! だいいち眼鏡ちゃんには」
眼鏡「うふふっ」
眼鏡「焦ってる、焦ってる」
友妹「えっ……」
眼鏡「うふふ冗談よ、冗談に決まってるじゃない」
友妹「なによもう、眼鏡ちゃんったら」
眼鏡「私にお兄さんのこと嘘ついてた仕返しよ」
友妹「うっ」
眼鏡「見た目のこともだけど、ウザいとか好きじゃないとか」
眼鏡「言ってたよね」
友妹「あーそれは……言ったような」
眼鏡「好きじゃないお兄さんの腕に嬉しそうに抱きついたりする?」
友妹「あれは兄さんがどうしてもしてくれって言うから」
友「おい」
眼鏡「私の目は誤魔化せないよ、もうお兄さん大好きオーラ出まくってたもん」
友妹「……そうですか、出てましたか」
眼鏡「友妹ちゃんもブラコンだったんだね」
友妹「あうっ……」
眼鏡「まあこういうことは隠したいのはわかるよ?」
眼鏡「でも他の友だちにはともかく、私にまで隠すことなかったのに」
友妹「そうだよね、ごめん」
眼鏡「私はちゃんと打ち明けたのにさ」
友妹「ごめん」
眼鏡「でも嬉しいよ」
友妹「え」
眼鏡「同志が出来て、これからは兄妹愛についてもっと深い話が出来るよ」
友妹「うん、そう、そうだね」
眼鏡「私の方が先輩なんだからなんでも相談してね」
友妹「眼鏡ちゃん……」
眼鏡「とりあえず避妊は大事だよ」
友(なんかすごい話になってる……)
友(なんとかしなきゃ)
友「あ、あの眼鏡ちゃん」
眼鏡「はい?」
友「今日はその、ここへはひとりで?」
眼鏡「はい」
友「やっぱ何か買い物でも?」
眼鏡「いえ今日は後輩の応援で……あっ! そうだった」
友「え?」
友妹「どうしたの? 眼鏡ちゃん」
眼鏡「私早く行かないと」
友妹「後輩ってクラブの? 眼鏡ちゃん急いでたの?」
眼鏡「ごめん行くね。 またね友妹ちゃん」
友妹「うん、またね」
眼鏡「友さん」
友「あ、はい」
眼鏡「これで失礼します。 またお会い出来れば嬉しいです」
友「そ、そうだね。 また」
眼鏡「はいっ」
友「ふぅ……行ったか」
友妹「……」
友「なあ、あの眼鏡ちゃんって」
友妹「兄ちゃん、眼鏡ちゃんみたいなの好みか」
友「えっ?」
友妹「やけにデレデレしてたじゃねーか、顔真っ赤にしやがってよ」
友「あれは……女の子を意識するとああなっちゃうんだよ」
友妹「意識してんじゃんか、可愛いとか言われて嬉しかったんだろが」
友「違うよ、そんなこと年下に言われても俺は嬉しくないって」
友妹「なら友さんって呼ばれて舞い上がったのか?」
友「それは……ちょっと嬉しかったけど」
友妹「ちっ」
友「あ、舌打ちした」
友妹「……眼鏡ちゃんもなかなか可愛いだろ」
友「うん」
友妹「ちっ」
友「あ、また」
友妹「だから合わすの嫌だったんだよ……」
友「なんのことだよ」
友妹「兄ちゃん」
友「な、なんだよ」
友妹「どっちいいんだ?」
友「へ? なにが?」
友妹「あたしと眼鏡ちゃん、どっちがいいのかって聞いてるんだ」
友「お前と眼鏡ちゃん? それはなにを基準に」
友妹「兄ちゃんの基準に決まってんだろっ」
友「俺の基準?」
友妹「当たり前だろっ、他にどんな基準が……」
友「お前」
友妹「え?」
友「お前の方がいい」
友妹「え? え? マジで?」
友「俺の基準だろ? だったらお前」
友妹「そ、そうか、あたしか……あたしの方がいいか」
友「どっちかと訊かれればな」
友妹「へへ、兄ちゃんはあたしの方がいいと」
友「うん」
友妹「ということは、兄ちゃんはあたしのことが好きと」
友「ん?」
友妹「つまり兄ちゃんはあたしのこと愛してると」
友「こら」
友妹「兄ちゃん」
友「ん?」
友妹「今日は帰えさないぞ」
友「帰るよ! 一緒に」
友妹「じゃあ夜中にあたしの部屋に」
友「行かないよ」
友妹「パンツ脱いで待ってる」
友「やめろ、風邪ひくから」
友妹「なんだよっ! 愛してるって言ったくせに!」
友「言ってない、言ってない」
友妹「あたしの方がいいって言っただろが」
友「うん、それは言った」
友妹「? 同じことじゃん」
友「お前さぁ……ほんとに馬鹿だな」
友「じゃあなわかるように言うから、聞けよ」
友妹「うん」
友「お前と眼鏡ちゃんとでは、お前の方が一緒にいて気楽なの」
友妹「気楽?」
友「逆に言うと眼鏡ちゃんはちょっと疲れるかな」
友「可愛いんだけど、変に色気みたいなの感じるんだよな」
友「俺ああいうのだめなんだよ」
友妹「ふーん」
友「なあ、もしかして眼鏡ちゃんってお前が言ってた親友? 兄妹でやっちゃってるっていう」
友妹「うんそうだけど」
友「やっぱりなあ、なんか出てたよ。 男に対しての余裕みたいなのが」
友妹「ふうんなるほどぉ」
友「そういうこと、だからお前の方がいいってこと」
友妹「うーん……そうか」
友「これで判っただろ」
友妹「うん、じゃあ兄ちゃん」
友「お?」
友妹「帰りにホテル寄って帰ろうぜっ!」
友「ぜんっぜん判ってねえし!」
連休も終わり
寝るでまんこ
友「お前のその頭の中はどうなっての?」
友妹「兄ちゃんとのエッチな妄想でいっぱいだけど?」
友「あのなぁ」
友妹「へへっ、冗談だよ。 割と本気の」
友「ええ……どっちなんだ」
友妹「ぷっ」
友「何笑ってんのかな」
友妹「そりゃ言われるな、と思ってさ」
友「何てよ?」
友妹「可愛いって」
友「お、おい」
友妹「兄ちゃん可愛い」
友「可愛い言うな!」
友妹「ぷぷっ! 今の顔!」
友「なんだよ」
友妹「あはははっ!」
友「……くそ」
友妹「ははっ……あ、あれ? 兄ちゃん?」
友「もういい、先帰る」
友妹「え……」
友妹「ちょ、ちょっと兄ちゃん!」
友「……」
友妹「買い物付き合うって言っただろ」
友「……」
友妹「兄ちゃん!」
友「……」
友妹「兄ちゃんって!」
友「うるさい勝手にしろ、俺は帰る」
友妹「え……怒ったのか」
友「……」
友妹「兄ちゃん……」
友「……」
友妹「怒んなよぉ……兄ちゃぁん」
友「……」
友妹「何とか言えよぉ」
友「……」
友妹「にい……ちゃん」
友「……」
友妹「待てよ、やだよこんなの……やだよう」
友「……」
友妹「うぅっ……」
友「……」
友妹「にぃ……」
友「ぶふっ!」
友妹「っ?」
友「うはっ! 今の顔、今の顔!」
友妹「ぅえっ?」
友「へへっ! やーい仕返しだよっ はははっ」
友妹「うっ、うう……ぐすっ」
友「あ、あれれ?」
友妹「あうっ……えぐっ……」
友「あ……あ、やべ」
友妹「ひぃーんっ!」
友「あっ!うわっ」
友妹「ひぃーんっ!」
友「な、泣くなよ」
友妹「うぐっ……ぐすっ……怒ってない?」
友「怒ってない、怒ってないよ」
友妹「よかった……えぐっ、兄ちゃん……えぐっ、怒ってなくて……ひっく、よがった……」
友妹「ひーんっ」
友「ごめん、俺が悪かった」
友「なっ、こんなとこで泣くなって」
友妹「ひっく、びっ、びっくり……した……」
友妹「うっく……にいちゃ、怒ったかと……うぐっ」
友「悪かった、兄ちゃんが悪かったよ」
友妹「うええええっ!」
友「ああああ、泣くなって。 どうしたらいいんだもう」
友妹「うっ……じゃあ買い物、付き合ってくれる?」
友「付き合う付き合う、約束しただろ」
友妹「ほんとか?ひっく……何か買ってくれる?」
友「買う買う、欲しい物買ってやる」
友妹「ひっく……美味しいケーキ、食べたい」
友「ああわかった、食わせてやるから。 美味しいとこ探してやる」
友妹「うぐっ、帰り……ホテル寄る?」
友「寄らない」
友妹「うええええっ!」
友「それは泣いてもだめ」
友妹「ちえっ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
友「うん、うん、パン屋の隣な、坂のとこの」
友「パフェだな、わかった。 すまんな邪魔して」
友「うん、じゃ。 さんきゅ」
ピッ
友妹「男さん、美味しいとこ知ってた?」
友「ああ、喫茶店だけどパフェがすげえ美味しいらしいぞ。 さっき食べたんだってさ」
友妹「おっ、そりゃいいな」
友「じゃ早速行こうか」
友妹「えぇー、もう行くのかよー」
友「もう十分買い物したろ」
友妹「あと靴が見たいんだよ。 それから兄ちゃんに指輪買ってもらわないと」
友「馬鹿言うな、もう服買ってやったじゃないか」
友妹「指輪欲しいー、兄ちゃん買ってくれよー」
友「今度、また今度な」
友妹「ほんとか? 今度なら買ってくれるんだな?」
友「はいはい」
友妹「ちぇっ、誤魔化す気満々じゃねーか」
友「ほら置いて行くぞ」
友妹「しゃーねーな……あっ! 待ってくれよーっ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
男「別にいいよ。 判んなかったらまた電話くれ」
男「んじゃ」
ピッ
男「ごめん、従姉ちゃん」
従姉「さっきの友達かい?」
男「そう、ケーキの美味しい店知らないかって言うから、さっきのパフェの店教えてやったんだ」
従姉「うんあれは美味しかったねえ」
男「ふふっ」
従姉「あ、あれっ、何笑ってるのかな? わ、私どこかおかしかったかい?」
男「ううん、ただ従姉ちゃん俺のパフェ半分以上食べちゃってたから」
従姉「あ、そうか……ごめん」
男「いいんだよ、やっぱり従姉ちゃんまだ甘いもの好きだったんだなって」
従姉「それはあの、そのう……判る?」
男「判るよ、すごく夢中で食べてたもん」
従姉「え、えへへ……」
男「あのパフェまた食べたいなあ」
従姉「え? じゃ、じゃあ……」
男「また食べに来よっと」
従姉「だっ、誰と?!」
男「え?」
従姉「いやあの、ああいうのは男の子ひとりでは頼みにくいんじゃないかなと、そう思ってさ」
男「あ、そうか。だったら友と」
従姉「それなら私がっ!」
男「えっ?」
従姉「私、男君の食べてしまったし、よければもう一度私に奢らせて欲しい」
従姉「だから……わ、私と」
男「あーだめだよそれは」
従姉「え……? だめ?」
男「うん、だめ」
従姉「う、あうううぅ……そ、そうか、だめか」
男「今度は俺に……ん?」
従姉「そうか……いいんだ、男君が嫌ならいいんだよ」
従姉「仕方ないよね……ぅぅ」
男「従姉ちゃん」
従姉「はぇ?」
男「だから今度は俺に奢らせてね」
従姉「ふぇ? 奢る? にゃにを?」
男「パフェをだよ、俺と一緒に行ってくれるんだよね?」
従姉「パフェ?……えっ?!」
男「あれ? 俺勘違いしてたかな? また一緒に行こうって言ってくれたと思ったんだけど」
従姉「あ、えっと、えっと」
男「ごめん、俺てっきり」
従姉「いや違うっ、勘違いじゃない! 私行くって、一緒に行きたいって言ったんだ」
男「ほんと? よかったー。 だったら今度は俺に出させてね」
従姉「そういうことか……ああいいよ、男君がそうしたいなら任せる」
男「うん、任されるね」
男「じゃあ今度はストラップ買うときにでも」
従姉「んんー」
男「どうかな?」
従姉「いやそれとはまた別の日の方が……いいな」
男「そう? 俺はいいけど、日を変えると従姉ちゃん何度もこっち来なきゃいけないし」
従姉「構わない、全然構わない。 いやそっちのほうが絶対にいい」
男「ならそうしよう。 日時はメールしてもいいかな? アドレス教えてくれる?」
従姉「よしっ! も、もちろんだっ!」
男「じゃ送るよ」
ピッ ピッ
男「……届いてる?」
従姉「ん……うん、来てるよ」
男「登録っと」
従姉「うふ……うふふ」
男「?」
従姉「……ゲット!」
男「え?」
従姉「あ、いやいや何でもないよ」
男「なんか嬉しいなあ、実は女の子とアドレス交換するの初めてなんだよ」
従姉「女の子……」
男「あ、ごめん。 従姉ちゃんは女の人だよね」
従姉「ああ、いいよ女の子で。 まだ未成年だよ」
男「いや大人だよ。 その携帯だって男友達のアドレスいっぱい入ってるんだろ?」
従姉「それはまあ……それなりには」
男「さすがだなあ、お誘いのメールとか来まくるんだろうなあ」
従姉「あは、あはあは、あは」
男「でもほんとに良かったのかな……俺みたいなの相手にしてもらって」
従姉「そっ、それは気にすることはないよ。 男君と私の仲じゃないか」
男「俺舞い上がっちゃって気軽にお願いしちゃったけど」
男「迷惑じゃなかったのかな……俺と、その……セックスなんて」
従姉「だから気にしないで、私も考えた上でのことだから。 迷惑だなんて」
男「そう? じゃ一つだけ訊いていい? すごく気になってるんだ」
従姉「な? なに?」
男「従姉ちゃん、俺で……俺で何人目なの?」
従姉「っ、それは……」
男「ごめんね、こんな事聞いちゃ失礼なのはわかってるんだけど」
従姉「……」
男「どうしても気になっちゃって」
従姉「それは……ええと」
男「まさか覚えてないくらいなの?」
従姉「いや違うんだ……実は」
男「実は?」
従姉「いや駄目だ。 今は……今は駄目」
男「今はって」
従姉「その時まで待って……その時に教えるから」
男「やっぱりこんな事聞いちゃいけなかったね、ごめん従姉ちゃん」
従姉「いや……いいんだよ」
男「でも興味半分で訊いたんじゃないんだよ、俺は」
従姉「だったらそれは……私のこと気にかけてくれてるってことかい?」
男「大きなお世話だよね」
従姉「……嬉しい」
男「え?」
従姉「よしっ!じゃあ次は上の階に行ってみようか」
男「上? ああ……うん、そうだね」
喫茶店
ウエイトレス「ミックスサンドとコーヒー、ロイヤルジャンボタワーパフェdxがお一つずつですね」
友「それでいいです」
ウエイトレス「パフェのスプーンはお二つお持ちいたしましょうか?」
友「あ、じゃあ」
友妹「要らないです」
友「って、お前あんな大きいのひとりで食べるつもりなの?」
友妹「心配すんなって、あたしがアーンして食べさせてやっから」
友「やっぱりスプーン二つお願いします」
ウエイトレス「かしこまりました」
友妹「えー」
ウエイトレス「それでは少々お待ち下さいませ」
友「お願いします」
友妹「ちぇっなんだよ、つまんねー」
友「おかしなこと言うなよ、ウエイトレスさんが変に思うだろ」
友妹「んなことねえよ、恋人同士だって思うだけじゃん」
友「いや兄妹だし」
友妹「まだそんな事言うか」
友「いや言わないイベントでもあったか?」
友妹「くそっ、覚えとけよ、いつか想い知らせてやるかんな」
友「意味わかんないよ」
友妹「んんー、それにしてもまだかな」
友「いやいや、今注文したばっかだし」
友妹「んあー、待てないぃ」
友「辛抱ないなあ」
友妹「兄ちゃんなんか話しろ。 あたしを楽しませろ」
友「何で俺が」
友妹「こういう時は女の子を退屈させちゃだめなんだぞー」
友「改めて話って言われてもな~」
友妹「じゃああたしのこと褒めてみろよ。 歯の浮くようなくっさいセリフでいいからさ」
友「やだよ、しかしほんっとに口悪い……あっそうだ」
友妹「ん? どしたんだ?」
友「あのさっきの友達、えっと」
友妹「眼鏡ちゃん?」
友「そうそう眼鏡ちゃん」
友妹「んだよ、やっぱ気になってんのか」
友「違うって」
友「お前のことだよ」
友妹「え? あたしの?」
友「お前さ、眼鏡ちゃんと話す時口調違ったよな」
友妹「ん? あー、あれなぁ」
友「お前あんな話し方も出来るんだな」
友妹「たりまえじゃん。 つうか外じゃたいていあんな感じだけど」
友「へえー」
友妹「んだよ、キモいっていうんだろ。 だから兄ちゃんの前では」
友「いやいや、あれは良い」
友妹「え? あんなのが?」
友「良いよ女の子らしくて。 『兄さん』とかさ」
友妹「おっ?」
友「俺思わずグッと来ちゃったよ」
友妹「そうか……なるほど」
友妹「ああいうのが良いんだね」
友妹「兄さんは」
友「うぁっ!」
友妹「どうしたの? 兄さん」
友「くうっ……キュンキュン来るっ」
友妹「もうっ兄さんったら、大げさすぎだよ」
友「や、やばい……俺の妹すげえ可愛い」
友妹「そんなこと言われたら恥ずかしいよ」
友妹「でも嬉しいな、ありがとう兄さん」
友「い、いや……あの、えと」
友妹「なに? 様子が変だよ?」
友「いやちょっと……なんだこれ?ドキドキして」
友妹「やだなあ、話し方変えたくらいでそんな反応しないでよ」
友「いやしかしな……」
友「別人みたいでなんか……その」
友妹「別人みたい? じゃあ兄さんはこっちの方が良いの?」
友「そ、そうなのかな……」
友妹「ちっ!」
友「え?」
友妹「やーめた、なんか面白くねー」
友「あ……」
友妹「ったく、口調なんかに惑わされてんじゃねーよ」
友「あう」
友妹「あのな、あたしはあたしだぞ? 兄ちゃん」
友「それはわかってるよ」
友妹「んじゃそんなことで態度変えんなって」
友「ごめん」
友妹「んだよ……ばーか」
友妹「兄ちゃんって悪い女に簡単に騙されるタイプだよな」
友「我ながら情けないよ……」
友妹「そうだよ、もっと女に対する免疫付けたほうがいいぞ」
友「わかってるよ、だから彼女作ろうと思ってるんだろ」
友妹「はあ? なんだと?」
友「だから彼女をね」
友妹「こらこら、そんな凄いことをサラッと言っていいと思ってんのか?」
友「なんで?」
友妹「なんでって、いいのか? あたし死んじゃうよ?」
友「馬鹿言うな、また大げさな」
友妹「んなことない、きっと寂しくて死んじゃうな」
友「いや……死んじゃ駄目だよ」
友妹「死んじゃだめ?」
友「駄目」
友妹「だったら彼女作んな」
友「えー」
友「それじゃ脅しだよ」
友妹「へへっ、ただの脅しだと思うなよ」
友「怖い……」
友妹「告白ゲームで我慢しとけ、いくらでも相手してやるからさ」
友「そう言えばそんなゲームやろうとしてたんだっけ」
友妹「ということで彼女禁止な」
友「ひでえ」
友妹「心配すんな、あたしが側にいてやるから」
友「ちなみにそれは……いつまで?」
友妹「んー、死ぬまで?」
友「ええーっ、そりゃ無理だよ」
友妹「……どうして?」
友「え」
友妹「私は兄さんとずっと一緒にいたいよ」
友「あぅ」
友妹「私じゃだめなの? 兄さんは私と一緒じゃ嫌?」
友「い、いやそれは……」
友妹「ねえ、兄さん……私のこと」
友「あぅ……あぅあぅ」
友妹「なっ? 兄ちゃん全然だめじゃん」
友「もうやめてくれよ……」
友妹「まともに話も出来ないで彼女作ろうとかよく言えるよな」
友「くう、男は大人の階段登ろうとしてんのに俺ときたら……」
友妹「ああ、男さんねえ」
友「あいつも今日いろいろ経験して自信つけて、そのうち彼女とかバンバン出来ちゃうのかな」
友妹「うーん、どうだろなあ」
友「きっとそうだよ。 エロエロ経験豊富な女の人に手取り足取りみっちり教えて貰うんだから」
友妹「もう、言い方が卑猥だぞ兄ちゃん」
友「だってさ」
友妹「それにそんなうまくいくとは思えないけどな」
友「なんでよ?」
友妹「あの男さんの相手、経験豊富なんて嘘もいいとこだしさ」
友「へ? 何でわかんの?」
友妹「そりゃ見たらそのくらい……あ」
友「え? 見たら?」
友妹「しまった」
友「おい」
友「どういうこと?」
友妹「ええと……パフェまだかな」
友「おい、誤魔化すな」
友妹「あー」
友「お前見に行ったんだろ? 俺が男と会ってる時」
友妹「えー、行って……ないよ?」
友「こら、兄ちゃんに嘘つくのか?」
友妹「っ……行った」
友「ほんとにお前はな、男は見られたくなさそうだったのに」
友妹「別に見られて減るもんでも」
友「めっ!」
友妹「あぅ……ごめん」
友「他人の嫌がることしちゃだめ」
友妹「兄ちゃん……ごめんなさい」
友「わかった?」
友妹「……うん」
友「そうか、ならいいよ」
友妹「これから気をつけるよ」
友「ふふ、そうやって素直に謝れるのはお前の良いとこだな」
友妹「そ、そうかな……」
友「そういうとこ好きだよ」
友妹「好き? そう? うはっ、じゃあさ」
友「すぐ調子に乗るのは悪いとこ」
友妹「あうー」
友「で、どういうことなんだ?」
友妹「へ?」
友「男の相手がどうとかって言ってたろ?」
友妹「ああ……うん、あの人が経験豊富とか……ないよ」
友「マジで? ちょっと見ただけだろ?判るのか?」
友妹「あれは判りやす過ぎ、糞真面目タイプだよ」
友「でも男は判ってないんだろ?」
友妹「男さんそういうの全然ダメみたいだから」
友「まああいつはそうだろうなぁ」
友妹「何言ってんのさ、その男さんに兄ちゃんは置いて行かれようとしてるんだろ」
友「そう言われれば……そうだった……」
友妹「ダメ度なら勝ってるぞ、やったね兄ちゃん」
友「うるせ」
友「いや今はそんなことはいいんだ、それより」
友「お前の言うことが当たっているとすると、男は騙されてるってことじゃないか」
友妹「絶対当たってるって、でもあれは騙すとかじゃなくて」
友「早く男に知らせてやらなきゃ」
友妹「ええっ?! なんでっ?」
友「なんでってお前、あいつ騙されてるんだぞ?」
友「いざという時にドッキリでしたとかで人がいっぱい出てきたらどうする?」
友妹「いやいやそれは」
友「そんで笑い者にされたりなんかしたらさ、あいつ傷付いちゃうだろ?」
友妹「そんなことないって」
友「絶望して死んじゃうかもしれないよ?」
友妹「だからさー」
友「友達が傷付くの黙って見過ごせるかよ」
友妹「うーん、放っといた方が上手くいくと思うけどなあ」
友「そんなことあるか、騙されて何が上手くいくんだよ」
友妹「あー、お人好しにやべえこと言っちゃったなあ」
友「男に教えてやらなきゃ」
友妹「やめた方が良いって兄ちゃん……つっても聞かないんだろうなあ……」
友「ここじゃなんだから、外で電話してくる。 パフェ来たら先に食べといてくれ」
ガタッ
友妹「あー、行っちゃったよ」
友妹「ほっときゃいいのに」
友妹「兄ちゃん、お人好しすぎんだろ……」
友妹「あー、やべえなあ……不干渉って約束したのに」
友妹「あいつ怒るだろうなー」
友妹「うーん……どうするか……」
ウエイトレス「お待たせしました、ロイヤルジャンボタワーパフェdxです」 コトリ
友妹「おっ、来た来たー」
友妹「うはっ美味そーっ。 とりあえずこれ食べてから考えよっと」
ショッピンモール
男「この階は本屋に玩具屋……うわ、でかいゲームコーナーだなあ」
従姉「いわゆるアミューズメント施設だね……あ」
男「へえ、広いなあ」
従姉「お、男君……プリクラが、あるよ」
男「おっ、ufoキャッチャーもいっぱいだ」
従姉「プ、プリクラがね……」
男「取れそうなのあるかな」
従姉「プリクラ……」
ピロピロピロ ポトン
男「ああっ落ちたっ! もう少しで取れたのに」
従姉「惜しかったね」
男「もう諦めるか……えっと他には」
従姉「そ、そういえばあっちに……」
男「えっ?」
従姉「プリクラが」
男「プリクラ?」
従姉「いや、ああいうのってどうなってるのかなって……」
男「俺もしたこと無いなあ」
従姉「あ、ああそうなんだ……それなら」
prrrrrrrr……
男「ん? 携帯鳴ってる?」
従姉「私と」
prrrrrrrr……
男「あ、また友からだ」
従姉「プリクラ……」
男「従姉ちゃん、何度もごめんね」
従姉「プリ」
ピッ
男「もしもし?」
従姉「クラ……」
男「どうした友? 喫茶店の場所判んねえのか?」
男「違う? じゃあ何?」
男「言い難い? って、わざわざ電話してきて何言ってんだよ」
男「俺が怒る? だから何で?」
男「言えよ、言ってみなきゃ判んねえだろ」
男「は? なんだよ騙されてるって」
男「え……」
従姉「あれ? 男君離れて行っちゃった……」
従姉「なんか慌ててた感じだけど、私に聞かれたくないのかな」
従姉「急な用事で呼び出しとかだったらやだな……」
従姉「ふぅ……」
従姉「やりたいなあ……プリクラ」
従姉「んー」
従姉「そうだ、プリクラの所行ってさり気なく見てる振りしてよう」
従姉「へえ、プリクラっていろんな種類があるんだ」
従姉「え、これカップル専用って……」
従姉「ど、どんなの撮れるんだろ? 顔を寄せ合ったり、抱き合ったりとかなのかな……」
従姉「こ、こんなのが出来たら」
♪pruru pruru pruru ♪pruru pruru pruru
従姉「あっ……この着信音」
ピッ
従姉「はい」
従姉「はい、事は順調に」
従姉「え? いえ、嘘なんか」
従姉「もっと積極的に? それは……あ」
従姉「もしかして今見張って……いや、見守ってくれてたりするんですか?」
従姉「そうですか。 いえ、ありがとうございます」
従姉「ええ、はい」
従姉「しかし急げと言われましても私にもその、都合が」
従姉「これからですか? えっと……プリクラ撮ってですね」
従姉「それから食事して、夜景の見える公園に行って……」
従姉「えっ? 生温い? そんな……」
従姉「いえ引き伸ばすなんてそんなことは……ええっ?!」
従姉「こ、これから? ここで、ですか……? 」
従姉「しかし急にそんな事して嫌われたら、私」
従姉「え? 状況が? バレるって、まさか」
従姉「ではさっきの電話はそれを……くっ、あいつ」
従姉「……」
従姉「判りました、そういうことなら」
従姉「いえそれはお断りします。 ええ、男君は私が」
従姉「従業員通路脇の機械室、鍵は開いているんですね?」
従姉「判りました。 大丈夫です、はい」
従姉「それでは」
ピッ
従姉「はぁ、こんなことになるなんて……」ガクッ
従姉「何が不干渉だ、あいつめ」
従姉(しかし見張られていたとなればそれも同じことだったか)
従姉(やはり考えが甘かった……元々無理だったんだ)
従姉(あと半年、このまま引き伸ばしてヒト化しようなんて)
従姉(ではこのまま半年姿を消すか?)
従姉「いや駄目だ……(ここで私がやらなくては、あの人が男君を)」
従姉「それだけは避けなければ」
従姉「それに……(嘘をついたと判ったら男君は怒って私のことを嫌いになってしまうかも)」
従姉「駄目駄目っ、それはもっと駄目っ」
従姉「やるんだ(やはりやるしか無い)」
従姉(あの友に聞いたからといって男君はまだ半信半疑のはず)
従姉(私が男君をリードすれば淫乱なのが嘘じゃなかったと思ってくれる)
従姉(大丈夫だ、出来る。 how to本で学習した通りにやればいいだけだ)
従姉「焦らずにやれば……でも」
従姉「やっぱり痛いのかなぁ……」
男「ああ、とりあえず話は判った」
男「ん? だから怒ってねえよ。 お前は冗談でそんな事言う奴じゃない」
男「俺のこと心配してくれたんだろ、それくらい判るって」
男「何言ってんだ、どんだけお前と付き合ってんだよ。 このお人好しバカ」
男「だから友妹ちゃんのことも悪く思ってないって。 それにな」
男「うん、実は俺もちょっとおかしいって思うとこもあったんだ」
男「いやいや、だからってドッキリとかは無いって。 うん」
男「従姉……彼女はそんな事出来る人じゃないから。 それは絶対だ、保証する」
男「ああ、もしそれが事実なら何か理由があるんだろうけど」
男「どっちにしても今デートみたいで楽しいから成り行きに任せてみるわ」
男「まあ安心しろ。 って、何で俺がお前を安心させなきゃいけねえんだよ」
男「ははは、判ってるって。 うん」
男「いやそれは言うな。 ああ、じゃ」
ピッ
男「うーん」
男(友ならともかく、友妹ちゃんが言ってるとなると……)
男「うーん、成り行きに任せてみるとは言ったものの」
男(どういうつもりなんだろ、従姉ちゃん)
男「うーん」
男(後でそれとなく聞いてみるか?)
男(……でもなんて聞けば……やっぱり成り行きか)
男「あっ、あんまり従姉ちゃん待たせちゃ駄目だ」
男「従姉ちゃん!」
従姉「ひっ!……男君」
男「何度もごめん、従姉ちゃん」
従姉「っ……」
男「? どうかしたの?」
従姉「あ、あのっ……男君」
男「従姉ちゃん?」
従姉「こっち、こっち来て」 グイッ
男「えっ? どこ行くの?」
従姉「……」
男「従姉ちゃん……」
従姉「大丈夫、大丈夫だから」
男「な、なにが?」
従姉「出来る……ちゃんと出来る」
男「従姉ちゃん?」
従姉「こっち」 グイッ
男「ここ店の人しか入っちゃいけない通路なんじゃ……」
従姉「ここ入って」
ガチャ ギィ
男「機械室? 何でこんなとこに」
従姉「入って、人が来ないうちに」 グイッ
男「あ、ちょっと……」
ギィ バタン
従姉「ふぅ……」
男「従姉ちゃん?」
男「なんだよここ」
従姉「……」
男「ねえ、従姉ちゃん!」
従姉「ここで……するの」
男「え?」
従姉「いっ、今から、ここで」
男「ここで何を……?」
従姉「わっ、私に……任せて……」
従姉「まず……まずは……く、口で」
男「は?」
従姉「私が、口で……男君の、性器を……口に含んで」
従姉「あ……あい、愛撫、するんだ」
男「ええっ?!」
従姉「大丈夫……な、慣れてるから……」
従姉「男君は、じっといしていてくれれば……いいんだ」
男「ねえ……従姉ちゃん本気なの?」
従姉「その壁に、もたれて……下、ぬ、脱が……してあげる」
男「ちょ……」
従姉「ん、んっ……あ、あれ? ベルト外れない……あれ?」 カチャカチャ
男「ま、待ってよ従姉ちゃん。 無理しなくていいよっ」
従姉「む、無理なんか、してない。 動かないで……あ、外れた」 カチャ
男「でも手が、手が震えてる」
従姉「ダイジョウブ ゼンゼンヘイキ デキル、デキルカラ」
男「……声裏返ってるし」
従姉「ファファッファ ファスナー、オロスヨォ……」
サワサワ ジー……
男「あうっ! そんなとこ触っちゃ……うわっ」
もっこり凸
従姉「ひぃっ……」
男「 従姉ちゃ 」
フッ……
従姉「え?」
従姉「えっ? 何?……男君?!」
従姉「男君っ!!!」
従姉「……なんだ」
従姉「なんなんだこれは……」
従姉「消えた」
従姉「男君が……」
従姉「……消えてしまった」
喫茶店
友妹「まだかな兄ちゃん……」
友妹「どんだけ長電話なんだよ、男さん好きにも程があるよ」
友妹「パフェ全部食べちゃうぞー」 パク
友妹「ったく……」
友妹「ひとりで食べても美味しくないよ……」
友妹「……」
友妹「もう30分か……」
友妹「おかしい、遅すぎる」
友妹「まさか何か」
友妹「……」
友妹「よし出よう」
ガタッ
喫茶店前 歩道
友妹「どこだ……」 キョロキョロ
友妹「兄ちゃん……」
友妹「どこ行ったんだよ」 キョロキョロ
友妹「あたし置いてどっか行くなよぉ」
友妹「こっちは……公園か」
友妹「この中かな」
公園
友妹「どこ?……どこ?」
友妹「だめだ、見当たらない」
友妹「……兄ちゃぁん」
「おいっ!」
友妹「えっ? あ……あんた」
従姉「貴様っ!」
友妹「あ、やっぱり怒ってる」
従姉「よくもっ!」
友妹「ごめん悪かった」
従姉「悪かっただとっ!」
友妹「ちょっと口を滑らせただけなんだ。 それを兄ちゃんが大げさにさ……」
従姉「ふざけるなっ! そんな事どうでもいい!」
友妹「?」
従姉「貴様、何処へやった?」
友妹「え?」
従姉「男君を何処へやったと聞いているっ!」
友妹「おい待て、それは何のことだよ?」
従姉「とぼけるな! 男君を消しただろうがっ」
友妹「なんだと? 男さんがいなくなったっていうのか?」
従姉「消えた……私の目の前から……一瞬で」
友妹「消え、た……?」
従姉「あんな事が、あんな事ができるのは貴様しかいないっ」
従姉「言えっ! 男君を何処へやったっ!」
友妹「待て、それはあたしじゃない」
従姉「貴様っ!」
友妹「いいから聞けよっ! あたしに、今のあたしにそんな力はない」
従姉「な、なにを……貴様がその気になれば」
友妹「あたしは羽化もしてない卵だ。 卵にそんな力はない、殆どヒトと同じだ」
従姉「しかしさっきは」
友妹「そう、さっきみたいに結界張ってで会話したりが精々なんだ」
従姉「それでは私と同じ」
友妹「ああ、あんたも覚醒してないいんだろ、同じようなもんだ」
従姉「……知らなかった」
友妹「知ってるようなことを言ってたのに。 羽化した連中がヒトと一緒に居るわけが、居られるわけがない」
従姉「そんな……じゃあ男君は何故……何故消えた?」
友妹「わからない、でも多分……いやきっと」
友妹「兄ちゃんも一緒だ」
従姉「え? まさか友君も」
友妹「ああ、兄ちゃんも……さっきから姿を消してる」
「何か厄介なことになったみたいだねえ」
従姉「あっ!」
友妹「えっ?!」
従姉「……眼鏡さん」
眼鏡「男さんと友さんが消えてしまうなんて」
友妹「え? 眼鏡ちゃん……?」
眼鏡「さすがの私もちょっとビックリしちゃったよ」
従姉「眼鏡さん……姿を現したということは、正体をバラすつもりですか」
眼鏡「うん、もう隠してる場合でもなくなったみたい」
友妹「眼鏡ちゃん……どういうこと?」
眼鏡「隠しててごめんね、友妹ちゃん」
眼鏡「実は私、その従姉ちゃんの同種族なんだ」
友妹「同種族? うそ……」
従姉「嘘じゃない、眼鏡さんは私の先輩、指導役だ」
眼鏡「指導役っていうか、監視役って感じかな」
友妹「でも……眼鏡ちゃんの方が年下」
眼鏡「人間の世界ではそうなんだけどね。 でも私達の種族」
眼鏡「淫魔としては私の方がずっと先輩」
友妹「淫魔……眼鏡ちゃんが淫魔……」
眼鏡「えへへ、気付かなかったでしょ」
友妹「でも、なんで……そいつは魔族だってわかったのに」
眼鏡「私は覚醒していない従姉ちゃんとは魔力値が違うからね」
眼鏡「いくら天使でも羽化していない卵なんかに感知されたりしないよ」
友妹「じゃあ眼鏡ちゃんは知っててあたしに」
眼鏡「ごめんね、実はそうなんだ」
眼鏡「私の役割は二つあったの」
友妹「役割……?」
眼鏡「一つは従姉ちゃんが二十になる前に覚醒させること」
友妹「……」
眼鏡「私達淫魔は男性と交わることで覚醒するんだけど、従姉ちゃんはね」
眼鏡「淫魔のくせに好きな人としかセックスしたくないとかわけの判らないこと言って」
眼鏡「未だに処女」
友妹「やっぱり」
従姉「あうぅ」
眼鏡「人間界に転生した淫魔は二十までに覚醒しないとただのヒトになってしまうの」
友妹「ただのヒトに……」
眼鏡「そう、天使の卵が16歳までに羽化しないとヒト化してしまうのと同じね」
友妹「……」
眼鏡「従姉ちゃんはね認めようとはしないけど、二十まで処女を守ってヒト化するつもりだったのよ。 ねっ」
従姉「う……」
眼鏡「だから従姉ちゃんの好きな人を私が戴いちゃうよって脅したんだ」
友妹「それが男さん」
眼鏡「そう、小さい頃から好きだったみたいなのよ。 一途だよねえ、うふふ」
従姉「……」
眼鏡「それで私に獲られるくらいならって、やっと男さんとやる気になったわけ」
眼鏡「まああわよくば二十になるまでのあと半年間、セックス手前でズルズル引き伸ばせれば……」
眼鏡「なんて事もこっそり考えてたみたいだけどね。 楽しげにデートみたいなことしちゃってさ」
眼鏡「時間稼ぎ。 私にはバレバレだったけど」
従姉「くっ……」
眼鏡「だから友さんからの電話を利用して従姉ちゃんに事を急がせたんだけどねえ」
従姉「あれは……そういうことだったんですか」
眼鏡「ごめんね、でもそうでもしなきゃ従姉ちゃん今日は初体験までいきそうになかったんだもん」
従姉「それは……」
眼鏡「私だって鬼じゃないからね、他人の恋路の邪魔はしたくないんだけど」
眼鏡「立場上、時間稼ぎを見過ごすわけにもいかないのよ」
従姉「それは、判ってます」
眼鏡「あーあ、せっかく従姉ちゃんがおちんちん咥える寸前までいったのになぁ」
友妹「っ!? おちn……」
従姉「め、眼鏡さんっ、そこまで言わなくても」
眼鏡「いいじゃない可愛かったわよ。 ブルブル震える手でズボン下ろしてー」
眼鏡「膨らんだパンツ見て涙目」
従姉「や、やめて下さい」
眼鏡「もう少しで従姉ちゃんのぎこちないフェラが見られたのに。 それと男さんの喘ぎ顔も」
従姉「男君の喘ぎ顔……」
眼鏡「飲んであげるつもりだったんでしょ?」
従姉「……あんな場所では処分に困りますし」
眼鏡「それだけでも少しは覚醒できたんだよ。 いいとこで男さんが消えるなんて、ホントにもう台無しだよ」
眼鏡「それもこれも友妹ちゃんのせいなんだからね」
友妹「えっ?あたしのせい?」
従姉「ではやはり貴様の仕業かっ」
友妹「だから違うって言ってるだろがっ!」
眼鏡「そうそう友妹ちゃんがやったわけじゃないよ、ただ原因が友妹ちゃんなだけ」
従姉「原因? どういうことですか? 眼鏡さんは男君が消えた理由が判ってるんですか?」
眼鏡「大体の予想はついてるわよ、案の定友さんも消えてるみたいだし。 男君はその巻き添え」
友妹「あたしが原因……?」
従姉「男君が巻き添え……?」
眼鏡「ていうか羽化を妨害してた私への報復なのかな?」
.
友妹「えっ? 羽化を妨害してた?」
眼鏡「そう、私のもう一つの役割。 それは天使の卵である友妹ちゃんの羽化の阻止」
友妹「そんな、妨害なんかしなくったってあたしは羽化なんて」
眼鏡「忘れちゃったの? 去年あたり自棄になっちゃっかなり危なかったじゃない」
友妹「あ……」
眼鏡「兄である友さんに恋した苦しみ、結ばれ得ない関係への悲しみと絶望」
眼鏡「そんな毎日から逃げ出したくて今にも羽化しそうだったよ。 こっちはハラハラし通しだったんだから」
友妹「……」
眼鏡「だから私が希望を与えてあげたんだよ」
友妹「希望……? 」
眼鏡「希望を持てたでしょ? 私と私のお兄ちゃんが恋愛してるって聞いて」
友妹「じゃああれは……私を羽化させないための嘘?」
眼鏡「え? あ、嘘ってわけでもないけど……実際お兄ちゃんとは関係持ってるし」
従姉「それは事実だ」
眼鏡「まあ、ね、無理矢理押し倒されたんじゃなくて、そうなるように誘ったんだけど」
眼鏡「処女のふりなんて私にとっては朝飯前だしさ」
友妹「そのために自分の兄さんを利用したってことか」
眼鏡「うーん、そう思われても仕方ないけど……」
従姉「いや眼鏡さんは真正のブラコンだ」
友妹「そうなのか?」
従姉「ああ、10歳の初体験だって相手はお兄さんだからな」
友妹「10歳……」
従姉「精通のあったその夜にお兄さんを眠らせて自ら挿入、破瓜したんだ」
友妹「じゃあそのことを兄さんは」
従姉「気付いていない。 これは淫魔の間でも語り草になっていてな」
眼鏡「こらこら、それはプライベートでしょ」
従姉「すいません」
友妹「じゃああたしに話した兄さんへの想いは本当なんだな?」
眼鏡「ふふ、近親に惹かれるのは私達の性なのかもしれないね」
眼鏡「まとにかく兄さんとの恋愛に希望を持った友妹ちゃんはもう羽化しないって決断したよね?」
友妹「ああ、したよ。 絶対に兄ちゃんと結ばれてやるって決めたんだ」
眼鏡「私としては大成功だったんだけど、それがどうも気に入らなかったみたいね」
友妹「誰がだよ! どこのどいつだ?」
眼鏡「それは決まってるでしょ」
眼鏡「天使の卵の羽化を望んでるのは? 天使を従えているのは?」
従姉「神……」
友妹「神様? 神様が兄ちゃんたちを消したっていうのかっ?」
眼鏡「そうだよ。 実際に動いたのは神の意向を受けた上級天使ってとこだろうけど」
眼鏡「神ってのは基本的に何にもしないからね」
友妹「神様って怠け者なのか……」
従姉「あんな事言ってますけど」
眼鏡「友妹ちゃん、天使って言うより悪魔的思考ね」
従姉「あれでは元々天使になどなれなかったのでは?」
眼鏡「それがなれちゃうのよ。 変わる、から」
従姉「変わる?」
眼鏡「そう、羽化すると……」
友妹「くっそー!!!!」
眼鏡「えっ?!」
友妹「そんな事どうでもいいんだよ! 兄ちゃんだよ! 兄ちゃんを何処に隠しやがったんだよっ!!」
友妹「そのクソッタレの神の意向ってのはよっ!」
眼鏡「落ち着いて友妹ちゃん」
友妹「落ち着いてられっか!」
眼鏡「やだ怖い顔」
友妹「知らないなら黙ってろよ、淫魔」
眼鏡「ひどいなあ親友にそんな言い方」
友妹「誰が親友だっ! 騙してたくせによ!」
眼鏡「騙してたのは謝るけど……私は今でも、これからも親友でいたいと思ってるよ」
友妹「嘘つけ……」
眼鏡「嘘じゃない」
友妹「じゃあ教えてよ……親友だと思ってんなら教えてくれよ……頼むよ」
友妹「兄ちゃんどこだよ……」
従姉「眼鏡さん、その、私も知りたいです。 男君がどうなったのか」
眼鏡「そうね、このままじゃ放っておくと友妹ちゃん絶望して羽化しちゃうだろうし」
友妹「教えてくれるのかっ?」
従姉「二人は一体何処へ?」
眼鏡「多分どこかの空間に幽閉されてるはず」
友妹「どこかの空間ってどこだよっ!」
眼鏡「それがどこかは判らないの」
友妹「それじゃ何にもわからないのと一緒じゃねえかっ!」
眼鏡「そうだね、でも探す方法は判るよ」
従姉「そんな方法があるんですか?」
眼鏡「あるよ。 私達には無理だけど、友妹ちゃんなら出来る方法がね」
友妹「あたしなら出来る?」
眼鏡「天界が隠した場所を魔界の下っ端が探そうなんて到底無理、でも」
友妹「あたしなら……」
従姉「しかし今のこいつにはそんな力は」
眼鏡「うんだから、ちょっとだけ出せばいいんだよね。 翼を」
友妹「あたしが翼を……」
眼鏡「出せるよね? 友妹ちゃん」
友妹「……出せるけど」
従姉「それは駄目ですよ。 それでは羽化してしまいますよ?」
眼鏡「ちょっとだけって言ったでしょ? 私が教えられた話ではね」
眼鏡「羽化は天使の卵が翼を全部出した状態で神の祝福を受けて完了するんだって」
眼鏡「知ってた? 友妹ちゃん」
友妹「それは……知らなかった」
眼鏡「でしょうねぇ」
従姉「自分のことなのに」
友妹「……全然興味なかったし」
従姉「ではある程度翼を出せば天使の力を得て、それで居場所を感知できると?」
眼鏡「そうだよ。 だから友妹ちゃん次第ってこと」
友妹「……」
眼鏡「どう? 出来るかな? 友妹ちゃん」
友妹「兄ちゃんは……兄ちゃんは無事なんだな」
眼鏡「ええ、天使は人間を殺せないから。 幽閉されているだけで友さんも男さんも無事なはず」
友妹「そうか……良かった」
従姉「男君も無事……」
眼鏡「でも安心はできないよ、幽閉された場所に耐えられるかどうかは別だから」
友妹「えっ?」
眼鏡「直接手は下せないから隔離する。 そしてそこで死ぬのはひとの勝手」
従姉「そんな……」
眼鏡「だから急がないと」
友妹「よしわかった、やってやる。 ちょっと出せばいいんだな?」
眼鏡「三割程でいいと思うよ。 逆に半分以上は絶対出しちゃ駄目」
眼鏡「自分では止められなくなっちゃうよ」
従姉「眼鏡さん、本当に詳しいですね」
眼鏡「常識だよ、って言いたいけどね。 こういうこともあろうかとかなり勉強したんだよ」
友妹「何のためにだよ……」
眼鏡「ひどいなあ、親友のために決まってるじゃない」
友妹「……」
眼鏡「それともうひとつ大切なことを言っておくね」
友妹「なんでも言えよ、急ぐんだろ」
眼鏡「これは覚悟の必要なことだからね。 一度出した翼は戻せない」
従姉「それは元に戻らないってことですか」
友妹「……」
眼鏡「そうよ、友妹ちゃんの背中には一生小さな翼が残る」
眼鏡「完全なヒト化も出来なくなって、中途半端な状態。 半人半天使となるの」
友妹「半人……半天使」
眼鏡「そしてその状態を神が許すかは……判らない」
友妹「……」
眼鏡「覚悟……が、必要なの」
従姉「そんなっ! それではこいつはどうやって暮らしていけばっ」
友妹「……へへっ」
従姉「?」
友妹「あんた、従姉さん、だっけ?」
従姉「ああそうだ」
友妹「ははは……あんた馬鹿だな」
従姉「なにをっ!」
友妹「何であんたがムキになってんだ? って話だよ」
眼鏡「ププッ」
従姉「そ、それは……」
眼鏡「自分と重なっちゃったんだよねー」
従姉「眼鏡さん……」
友妹「へへっ……」
友妹「んじゃっと、始めよっかな」
従姉「おい……」
眼鏡「いいのね?」
友妹「当たり前じゃん、どうせ兄ちゃんいなきゃあたしの生きてる意味ないんだ」
友妹「後のことはその時考えりゃいいの」
友妹「あんた……従姉さんだってそうだろ?」
従姉「それは、同じ気持ちだ」
友妹「うん、じゃあさっさと出すわ」
友妹「えっと……んー」
眼鏡「ちょっと待って、友妹ちゃん! 結界張らなきゃ周りに気付かれちゃう!」
友妹「あ、そっか。 ははは」
従姉「こいつもしかして物事を深く考えてないだけなんじゃ……」
眼鏡「たぶんそうだよ……」
友妹「うるせ」
キーーーーーーーン!! ピシィッ!!
従姉『大丈夫です。 結界に綻びはありません』
眼鏡『友妹ちゃん、ゆっくり、ゆっくりよ。 出し過ぎちゃ駄目だよ』
友妹『わかってる……んー』
友妹『背中に意識を……集中……集中……』
友妹『…………』
友妹『…………』
友妹『…………っ!』 ピクッ
友妹『うっ……くうっ!!』 ピクッ ピクッ
従姉『あ、背中が……光って』
眼鏡『始まるわよ』
友妹『うっ! うああっ!!』
ミシッ…… ミシッ……
友妹『ああっ!! あああああっ!!!』
ミシッミシッ…… メキメキっ
友妹『がああああああああああああああっ!!!』
バサッ! ビリビリ! プツン!ブチッ ぷるん
従姉『あ、服が破れた』
眼鏡『ブラがちぎれた……』
友妹『ああっ!! んあああっ!!』 ビクン
ザッ! ザザザザッ……
従姉「あれが天使の翼……」
眼鏡『友妹ちゃん! もういいよっ!』
友妹『ぐああっ!!』 ビクンビクン
ザザッ……
眼鏡『そこまでだよ! それ以上は駄目!!』
友妹『ぐぅっ……はあ……はあっ……』 ビクンビクン
友妹『はぁ、はぁっ……くっ』
友妹「っ……」
バタンッ
眼鏡「友妹ちゃん!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
従姉『おいっ! しっかりしろっ!』
眼鏡『従姉ちゃん翼に触れちゃだめだよ、私たちには結構ダメージあるから』
友妹『……主よ……神よ……』
眼鏡『友妹ちゃん!! ごめんっ!!』
パシッ!!!
友妹『っ!? え?……あたし……』
眼鏡『正気に戻った? しっかりするのよ』
友妹『え?……あっ』
友妹『そうか、あたし翼を……』
眼鏡『大丈夫? 気分は悪くない?』
友妹『やば、やばかった……』
眼鏡『え? 』
友妹『す、すごく気持ちが良かった……身体が熱くて、頭が真っ白になって……気が遠くなって』
従姉『そ、それは、オルガスムス』
眼鏡『途中で止めないように性的な絶頂感に襲われるみたいね』
友妹『あんな、あんなの初めてだった……眼鏡ちゃんが気付かせてくれなかったらそのまま』
眼鏡『友妹ちゃんはそういうのに慣れてないからねえ』
眼鏡『オナニーもあんまりしたことないでしょ、処女だけどオナニー大好きな誰かさんと違って』
従姉『えっ? ちょっと! やめて下さいよ、眼鏡さん』
友妹『へえ、そうなのか?』
従姉『うっ、うるさいっ!』
眼鏡『淫魔だから仕方ないけど、もう中毒だよね。 男君男君ってクチュクチュ、クチュクチュ』
友妹『うわあ……』
従姉『やめろ、そんな目で見るな……あれは性欲を抑制しているだけで』
眼鏡さん『抑制してるんだか、 増進してるんだか』
従姉『眼鏡さん! いい加減にしてください!』
眼鏡『あ、ごめんごめん』
友妹『凄いんだな、あんた』
従姉『……黙れ』
従姉『そんなことより』
友妹『そうだな、翼を出したのはいいけどどうやって……あっ』
眼鏡『もう友妹ちゃんには判るはずよね』
友妹『うんわかる……わかるよ、あの空間の裏側……』
眼鏡『どうすればそこへ行けるのかも』
友妹『うん……飛べる、あそこなら一瞬で』
友妹『一緒に行くんだよな』
眼鏡『当たり前じゃない、といっても友妹ちゃんに連れてもらわなきゃ行けないんだけど』
友妹『じゃあ手を』
眼鏡『はいっ』
友妹『あんたも、ほら』
従姉『……よろしく頼む』
友妹『行くぞっ』
シュンッ!
白い空間
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・パッ
友「あれ?」
男「えっ?」
友「あっ! 男」
男「へっ? 友?」
友「お前何してんの?」
男「お前こそ」
友「俺はお前に電話して……気が付いたらここに……あれ?」
男「俺も急に目の前が白くなったと思ったらここに……って」
友「ここは?」
男「どこなんだ?」
友「なんだ……? どうなってる?」
男「わからん……」
友「夢、じゃないよな……」
男「ああ……たぶん」
友「……ところで」
男「ん?」
友「お前なんでズボン下ろしてんの?」
男「え?……」
男「あっ!!」
友「お前……まさかこの状況で俺を……」
男「んなわけあるかっ!」 カチャカチャ
友「本当だな? 俺はそんなんじゃないからな」 サッ
男「本当だ。 本当だからケツを隠すのはよせ!」
友「ならいいんだけど……」
男「ったく、気まずくなるような事言うな」
友「じゃあなんでズボン下ろしてたんだよ?」
男「それはその……従姉ちゃんが」
友「うわあ、そんな事してたのかよ」
男「いきなりだったんだよ。 んで分けわかんねえうちに気が遠くなって」
男「気が付いたらここにいた」
友「そうかその辺は俺と一緒だな」
男「しかし……」 キョロキョロ
男「ここは何なんだ、真っ白で何もない」
友「ああ」
男「ん? お前やけに落ち着いてるな」
友「そういうお前もな」
男「いやあビビってるんだけど、なんかこう現実感がなくってさ」
友「同じだよ、夢じゃないってのは判るんだけど、どこか他人事みたいな気がする」
男「奇妙だよな、自分でもパニクらないのが不思議だ」
友「まあその辺は良かったんだけど……しかしこれは」
男「ああそうだな……俺達閉じ込められてるんだ」
友「いったい……」
男「どうして……」
『知りたいですか?』
男・友「えっ?」
少女『知りたいんですね? ではお教えしましょう』
友「き、君は……」
男「誰だ?」
少女『私は使いです』
男「使い?」
友「君はこの状況を説明できるって言うの?」
少女『はい、私はその為にここに使わされました』
友「説明するために……」
男「じゃあ教えてくれっ! ここはどこなんだ?! 俺達はどうなってるっ?!」
少女『では目を閉じてください』
友「目を? どうして」
男「説明してくれるんじゃないのかっ?」
少女『これからあなた達が知ることは言葉で説明しても伝わらないでしょう』
少女『それはあなた達の心が自分達以外の世界の存在を無意識に拒否するからです』
少女『故にまずはその障害を取り除く為あなた達の心に直接刻みつけます』
男「おい友、この子何言ってるんだ」
友「判らん……でも疑う気が起きない」
少女『目を閉じるのです。 さあ』
友「従うしか無いみたいだ」
男「ああ」
少女『目を閉じたら心の中でゆっくりと数をかぞえて下さい』
友「……」
男「……」
少女『この者たちに天より知の雫を』
!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!
男「ぐうっ!」
!!!!!!!!!!
友「くっ!」
少女『受け入れよ』
!!!!!!!!!!
男・友「うわあああああああっ!!!」
少女『あなた達はこの世界の真の姿に対する知識を得ました。 ほんの僅かですが』
男「はあっ、はあっ、はあっ」
友「うううっ……」
少女『あなた達が今まで見てきたのはこの世界を形作るほんの些細な部分なのです』
少女『そして今あなた達はもう少しだけ世界の真実の形に近づきました』
少女『僅かな知識とはいえあなた方を取り巻く状況は理解できたはずです』
男「従姉ちゃんが……淫魔」
友「友妹が天使の卵……」
友「そんな……」
男「ううう……」
少女『受け入れてください』
男「おかしい、駄目だ、疑えない」
友「俺もだ。 こんな事あるわけないのに……」
少女『大丈夫です、この空間は精神が制御不能にならない様に出来ています』
男「この空間に?」
友「だからさっきからパニックにもならずに平静でいられたのか」
少女『普通の状態ではヒトが知の雫を与えられれば精神錯乱に陥りますからね』
少女『あなた達の生命に危険が生じても困りますので』
友「生命の危険?」
男「いくらなんでもそんな」
少女『錯乱、発狂した挙句に殺し合いなどどいったこともありますので』
男「俺達が殺し合いだと?」
友「それこそありえない」
少女『それは今の精神が安定した状態だから言えるのでしょう』
友「なんだよその言い方は」
少女『所詮ヒト、ということです』
男「……」
友「なるほど、馬鹿にされても腹も立たない」
少女『そういうつもりで言ったのでは無いのですが』
男「そんなことはもういい。 それより俺達はこれからどうなるんだ?」
友「ああそうだ、それに友妹だ。 あいつは今……」
少女『そうですね、では後ろを振り返ってみて下さい』
友「え? 後ろ?……あっ」
男「なんだ? こんなところに扉が」
友「こんなのさっきまで無かったのに」
少女『友妹さん、そして淫魔が二匹』
少女「すぐに彼女達はその扉の向こうに来ます」
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