男「最近俺を見る目が怖い」(17)

※ホモ注意

友「えっ?なんのこと?」

男「いや、俺の勘違いかもしれないけどさ……。最近お前の視線が怖いんだよ」

友「そんなに目つき悪かったかな?」

男「いやそうじゃなくてなんというか……。気づくとたまに俺のことを食い入るように見てるじゃん?」

友「うん……まあ……」

男「だよな!いったいなんでよ?」

友「いや、特に深い意味はないよ」

男「そうかぁ?ならさ……」

友「うん」

男「近くね?」

友「何が?」

男「距離だよ!なんかこれ近くね!?友達の距離と違くね!?」

友「そうかな?」

男「近いってこれ!絶対おかしいって!」

友「そんなの誰が決めたのさ」

男「いや普通に考えればわかるよな」

友「……最近は、さ」

男「お、おう?」

友「あんまり会話もできなかったよね」

男「まあいろいろ忙しかったしな、すまん」

友「いや、別に責めてるわけじゃないよ」

男「そうか……」(あれ、なんだこの流れ)

友「久々にこうして交友を深めているんだからさ、物理的に離れていた距離を少しでも縮めようと思ったんだ。心まで離れてしまわないようにって」

男「んーあー……別に少し離れてたくらいで疎遠にゃならねえだろ。一番仲がいい友達お前だしよ」

友「……うん」

男「だから離れろ」

友「……」

男「おう、あんがとよ。まあなんつうかよ、気にし過ぎじゃねえか?」

友「……だって僕、友達少ないからさ」

男「友達っつうのは量を競うもんじゃねえぞ」

友「そうかもしれないけどさ……」

男「お前も男ならクヨクヨすんな!細かいことばかり気にしてっとうちの親父みてえになんぞ?」

友「あ、あははは……」

男父「聞こえてるぞ馬鹿たれが!」

男「お、帰ってきてたのかよ」

友「あ、お邪魔してます」

男父「おお、遊びにきとったのか。久しぶりだね。元気にしてたかい?」

友「はい、勿論です」

男「そういや今日は帰ってくるの早いな親父」

男父「たまには早く帰れる時もある」

男「クビにでもなっちまったのかと思ったぜ」

男父「縁起の悪いことを言うな!」

友「はは、相変わらずなんですね」

男父「ああ、すまんな。まったく誰に似たのやら」

男「残念ながらテメーにだよ」

ガン!

男「ってぇー!?」

男父「アホな息子だが良ければこれから仲良くしてやってくれ」

友「あははは、勿論」

男「後で覚えてやがれよ……」

男父「返り討ちにしてやるからいつでも来い! じゃ、奥で休んでくるな」

友「……相変わらず仲がいいんだね」

男「けっ、仲がいいもんかよ。何かあれはすぐ拳骨だぜ?」

友「愛の鞭ってやつだよ」

男「いーや、そんなのじゃないね。あれは悪意が込められた拳だ」

友「またそんなこと言って……」

男「俺にはわかる。小さい頃から拳骨を受け続けてきた俺にはな」

友「……」ジィ

男「……なんだよ」

友「本当にそう思ってるの?」

男「そ、そんな眼で見んなよ……」

友「…………」

男「っち!別に本気でんなこと思ってねえよ!」

友「うんうん」

男「……さっきだって加減してたしよ。マジで殴るのは本当にやらかした時だけだ。……あ、あい、あいあ、愛情っつうもんがあるのもわからないでも、ねぇ……」

友「ふーん。へえー。ほぉー。なるほどなー」

男「なんなんだよ!?あぁもう、この話はしまいだ!わかったな!?」

友「うん、わかったよ」ニコニコ

男「あと親父には言うなよ!絶対、絶対だかんな!?」

友「そこまで念押しされると振りかな?」

男「ちげえよ!?」

友「冗談だよ。……それにしても、さ」

男「なんだよ」

友「親の心子知らずって言うけど、ここまで察してもらえるだなんて。立派な孝行息子だよね、君」

男「こっぱずかしいこと真顔で言ってんじゃねえよ!オラぁ!」

男「そ、そういうお前はどうなんだよ!」

友「僕?」

男「俺みてぇな出来の悪いやつじゃなくて、お前みたいな面が良くて優等生なら親もさぞかし鼻が高いってもんだろうがよ」

友「その通り。いっつも僕のことを自慢してるよ」

男「あーはいはい、優等生様は羨ましいですねー」

友「ははは、へそを曲げないでよ」

男「まー素材が違うんだろーな。親父だってそんな頭よくねーしよ。カエルの子はカエルってやつなんだろうな」

友「とんびが鷹を産んだって言葉もあるよ?」

男「俺が鷹に見えるってのかよ?」

友「ごめんね、無神経すぎたよ」

男「謝られてもそれはそれで腹が立つなおい」

友「ごめんごめん。でも成績を上げたいのなら勉強に付き合うよ?」

男「…………」

友「……そういうところが原因だと思うなぁ」

男「ひ、人には向き不向きがあるからよ……」

友「不向きでもやらなくちゃいけない時もあると思うんだ」

男「そうは言ってもよぉ……」

友「ま、気が向いたら言ってよ。教えてあげるからさ」

男「おう、悪いな」

友「そんなことないよ、だって友達だろう?」

男「いやぁ、頼りになるなぁ俺の友達は」

友「さてと、日も暮れてきたしそろそろ帰ろうかな?」

男「お、もうこんな時間になっちまったか」

友「それじゃあまたね」

男「おう、またなー」

友「……………………カエルの子はカエル、か」

友「……ただいま」バタン

友「…………………………」

「夜は勝手に食べておいてちょうだい」

友「…………………………」

友「……自分の部屋に行こ」

友(今日はどれにしようかな)ゴソゴソ

友(このスカートは前に着たし……)

友(服自体はたくさんあるけど、アイツの服は死んでも着たくないし……)

友(……やっぱりレパートリーが少ないんだよな。だけどあんまり多すぎると隠せないし)

友(フリッフリのフリルや飾りがついた少女趣味丸出しのゴスロリとかが好きだからなぁ。かさばるかさばる……)

友(それにそういう服の方が肩幅や体系なんかをごまかしてくれることが多いからなぁ……)

友(うーん…………決めた。今日はこれにしよう。えーとお化粧お化粧……)ガサゴソ

友「…………うん、これでいい、よね」

友「……うん、我ながらかわいい」

友(……はず。……かわいいよね?うんかわいいかわいい)

友「……こんな姿、あいつが見たらきっと驚くだろうな」

友(なんちゃってなんちゃって!それにそれにぃ、もしかしたら……)

男(妄想)「すっげえかわいい!」

友(とかなんて言われたら……!)

友「うぇへへ…………」

友(…………はっ!?今すごい顔してたぞ僕。……でも言われたいなー、そういうこと。無理だってわかってるんだけどね)

友(こんな趣味とても言えないよ……。絶対に気持ち悪がられる。それに加えて褒めて欲しいだなんて。……でもあんなことやこんなことがもしかしたら……)

友「…………こんなこと考えてるのは、君のせいなんだからな」

友「……それにしてもよく撮れてるなぁ、この写真。四六時中シャッターチャンスを待ってた甲斐があったよ」

友(……いつも見てたのはバレてたみたいだけどね。目的までは気づかれてない、はず)

友(でも今回はちょっと引かれちゃったからなぁ。寂しかったからって強引に行き過ぎたよね。やっぱり勢いだけじゃダメか)

友(……それにしても久しぶりにゆっくり話せたなぁ。今日はなんだかかわいかったなぁ。慌てふためいたりしてて)

友「………むふふ」

友(でも…………その先は無理なんだろうな。)

友(肩をくっつけて座ることも)

友(手を握って一緒に歩くことも)

友(あーんってお互いに食べさせあうことも)

友(……恋人になることも)

友「…………」

友(変だよねやっぱり。男が男を好きになるだなんて。女の子の格好をするなんてさ)

友「……この変態」

友(でももう末期なんだろうね。そんなこと思いつつもやめられないんだからさ)

友「…………くすっ」

友(許してくれるかな?)

友(これ以上は望まない。だから今のままずっと……ずっと……)

友(……やっぱりこれ以上を望まないなんて嘘だ。ただ無理なんだろうって諦めているだけで、本当は……僕は自分の中でさえ嘘を通しきれないんだなぁ)

友「…………………」

友(それはさておき、今日はどの写真にしようかな。この居眠りをしているところがいいかな?それともこの勉強していて難しい顔をしているところかな?自動販売機で間違えてボタンを押してしまって少し間抜けな顔をしているところ……えーと美味しそうにラーメンを食べているところもいいかな?)

友(鏡と写真を見ながらだと想像がはかどるよね。想像の中でならどれだけいちゃいちゃしても自由だし、うん!)

友(でももっと撮りたいなぁ。周りにあまり人がいない時に気づかれないように撮るしかないから一チャンスを逃すことが多いし、そもそもチャンス自体が少ないよ。真正面から撮るのに至っては気づかれないようにするのは無理だし)

友「……どうしよっかなー」

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