雪乃「八幡」 (14)

八幡「え、今なんつった?」

雪乃「いや私は八幡とちゃんと言ってるのだけれど」

八幡「いきなり下の名前呼びとか勘違いしちゃうだろ、やめてくれ」

雪乃「だから私は八幡っと、おかしいわ……どうして八幡と呼んでしまうのかしら」

八幡「こっちが聞きたいわ、心臓に悪いから普通に呼んでくれ」

雪乃「そんな事わかってるわ、だからちゃんと八幡と呼んで……」

八幡「あーもうわかった、罰ゲームかなにかか?まさか雪ノ下も他の連中と同じ虫の狢だとは思わなかったよ」

雪乃「そんなことないわ!!私の意思とは関係なく八幡と言ってしまうの、信じて」

八幡「もういい、今日はもう帰るわ、またな」

雪乃「八幡!!待って違うの!」 

ガララッ バタン

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雪乃「ほんとどうしたのかしら、私はちゃんと八幡と言ってるのだけれど」

プルルルル

雪乃「電話……、こんな時に誰なの」



陽乃「ひゃっはろー、雪乃ちゃん元気ー?」

雪乃「一体何の用?」

陽乃「久しぶりに電話したのに素っ気ないなぁ」

雪乃「用がないなら切るわよ」

陽乃「ほんとに切ってもいいのかなぁ?」

雪乃「どういうつもり?」

陽乃「今日何か変わった事なかったかな?」

雪乃「何もないわ、要件はそれだけ?」

陽乃「あれれ~?ほんとに何もなかった?そういや比企谷君はそこにいるよね?」

雪乃「八幡なら帰ったわ、あ」

陽乃「雪乃ちゃん比企谷くんの事八幡って呼んでるんだぁ、いつのまにそんな仲になったの」

雪乃「全くそういう仲ではないわ、勘違いしないでもらえないかしら」

陽乃「でも今八幡って言ったよね?ちなみにこの会話録音済みだから無駄だよ~」

雪乃「うっ……」

陽乃「それでもう一度聞くけど、今日なにか変わった事なかったかな?」

雪乃「………」

陽乃「雪乃ちゃん?」

雪乃「八幡の事を八幡としか言えなくなってしまったわ、私の意思とは関係なく」

陽乃「ん~?どういうことかな?八幡の事を八幡?」

雪乃「だから八幡って言いたいのだけれど、八幡と言ってしまうの」

陽乃「なるほどねぇ、噂に聞いてたけどすごい効き目なんだねぇ」

雪乃「どういうことかしら?もしかしてこれも姉さんの仕業なの?」

陽乃「さぁどうだろうね~」

雪乃「いますぐこれをどうにかして!このままじゃ奉仕部の活動に支障をきたすわ」

陽乃「ふ~ん、どうやったら治るか知りたい?」

雪乃「はやく教えなさい!!」

陽乃「ん~どうしようかな~」

雪乃「いいから、どうやったら治るのか教えて!」


陽乃「その原因の彼とキスをすれば治るよ」

雪乃「はい?」

陽乃「比企谷くんとキスすれば、今の雪乃ちゃんに起こった異常な現象も治るって言ってるんだよ」

雪乃「そんなこと……、他に方法はないの?」

陽乃「ないよ、比企谷くんとキスして元に戻るか、一生比企谷君の事を八幡と呼ぶか、どっちか好きなの選べば?」

翌日 奉仕部


結衣「ヒッキー今日遅いね」

雪乃「そうね……どこをほっつき歩いてるのかしら」

結衣「なんかいつもより今日暗かったし、なにかあったのかな…」

雪乃「そうね、きたら問い詰めましょうか」


ガララッ

八幡「うっす」

結衣「あーヒッキー遅い!!どこ行ってたの?」

八幡「いや、マッ缶買いいってたんだよ」

結衣「自販機までそんな時間かからないじゃーん」

八幡「まぁいろいろとな……」 チラッ

雪乃「………」

結衣「ごめーんゆきのん、優美子にカラオケ誘われちゃった、今日はこれで帰るね!」

雪乃「そう、由比ヶ浜さんまた」

結衣「またねーゆきのん!ヒッキーも!バイバイ」

八幡「あぁ、またな」

ガラララッ バタン


八幡「それじゃ俺もそろそろ」

雪乃「あなたには用事はないでしょう?」

八幡「いや俺もいろいろと忙しいんだ」

雪乃「小町さんに確認はとってるわよ」

八幡「小町の野郎……」

雪乃「それで話があるのだけど……八幡」

八幡「雪ノ下、俺をおちょくってるのか?」

雪乃「そ、そんなことはないわ」

八幡「じゃあなんでいきなり俺の事を下の名前で呼ぶようになったんだ」

雪乃「それは……今は話せないわ」

八幡「なんでだ?」

雪乃「とにかく今は黙って言うことを聞いてくれないかしら、お願い……」

八幡「はぁ………わかったよ、んでなんだ」

雪乃「とりあえず、立ってもらえるかしら」

八幡「おいおい、俺に何するきだよ」

雪乃「なにも危険な事はしないわ、とにかく座ったままじゃいろいろとやりにくいのよ…」

八幡「んでどうするんだこっから」

雪乃「目を閉じてもらえなかしら?」

八幡「おい、いくら俺の眼が腐ってるからってひどくないか」

雪乃「いえ、今回のはそういう意味で言ったわけじゃなくて…」

八幡「どういう意味だよ、まじでこれ罰ゲームかなにかか、終わったら周りに隠れてる奴らが一斉にでてきたりしないよな」

雪乃「そんなことないわ、私を信用してちょうだい、いいから目を閉じて、お願い」

八幡「わかったよ、はやくしてくれよな」


雪乃(比企谷くんとキスするのよね……、いまさら止めるわけにも……)      ※心の声では比企谷呼びです



チュッ

八幡「えっ!?///」

雪乃「/////////」

八幡「ゆっっきのした??今俺に……。」

雪乃「比企谷くん何顔を赤くしてるのかしら?」

八幡「あ、苗字呼びに戻ってる」

雪乃「勘違いしないでもらえないかしら?私が比企谷君を下の名前で呼ぶわけないじゃないっ」

八幡「いやでも、雪ノ下今俺にキスしたのは」

雪乃「夢でも見てたんじゃないかしら?私があなたにキスをするわけないわ、ほんと勘違いも甚だしい」

八幡「まぁそうだよな……俺の勘違いだったわ、変な事いってすまなかった、雪乃」

雪乃「今なんて言ったのかしら?」

八幡「俺の勘違いだったって」

雪乃「いえその後よ」

八幡「変なこといってすまなかった」

雪乃「その後!」

八幡「雪乃」

雪乃「もう一度」

八幡「へ?」

雪乃「雪乃ってもう一度いいなさい、私の目を見て」

八幡「そんな改めて言われると恥ずかしいんだが……、雪乃っ」

雪乃「比企谷くん」

八幡「そういや俺だけ名前呼びってのもおかしいよな、雪乃も俺の事名前で呼んでくれよ、さっきまで言ってたように」

雪乃「わかってるわ、私だって比企谷くんのことを、比企谷くん!!って……あら……」

八幡「どうした?」

雪乃「おかしいわ………、私はちゃんと比企谷くん!って言ってるのに」

八幡「なんだよ……俺だけ下の名前で呼ぶってのもおかしいよな、んなら俺も雪ノ下呼びに戻すわ」

雪乃「それは駄目!!」

八幡「なんでだよ」

雪乃「どうしたのかしら………」

プルルルル

陽乃「ひゃっはろー」

雪乃「姉さん今忙しいから後にしてもらえないかしら」

陽乃「いやぁ、もしかしたら雪乃ちゃんが困ってるかもしれないって思ってねぇ、ちょっと説明し忘れた事があって」

雪乃「どういうこと?」

陽乃「私が雪乃ちゃんに飲ませた薬の副作用でね、キスをすると相手の事を下の名前呼びできなくなっちゃうの」

雪乃「それを治す方法はあるのかしら?」

陽乃「簡単なことだよ、もう一回キスする、それだけ」

雪乃「そう……」

陽乃「あと24時間以内にやらないと効果ないからね、それじゃまたねー雪乃ちゃんファイト!」




八幡「陽乃さんからか?」

雪乃「えぇ……」

八幡「もう用がないなら俺帰っていいか?」

雪乃「最後に一つお願いしたい事があるの……」

八幡「なんだ?」



雪乃「私と……キスをしましょう」




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