美琴「ありがとうと言いたくて」 (25)

教師「はい、では今日はここまで。お疲れ様でした」

生徒たち「お疲れ様でした」

美琴「んーっ、さって帰りますか」ゴソゴソ

婚后「あの、御坂さん、少しよろしくて?」

美琴「あ、婚后さん。どうしたの?」

婚后「もし予定がないようでしたらわたくしの買い物に付き合っていただけませんか?」

婚后「湾内さんと泡浮さんもいらっしゃるのですが、いかがですの?」

美琴「ん、別にいいんだけど……途中から黒子たちと約束があるのよね」

美琴「それまででよければになるけど……」

婚后「ええ、勿論構いませんわ。構いませんとも!」フンス

美琴「そ、そう……。じゃあ行こっか」

婚后「はい、では湾内さんと泡浮さんのところへ向かいましょう」ニコニコ

美琴(婚后さん何か良いことでもあったのかなぁ……)

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美琴「そういえば湾内さんや泡浮さんと出かけるのって初めてだよね」

湾内「はい、御坂様とお出かけするなんて身に余る光栄ですわ」ニッコリ

美琴「いやいや大袈裟すぎるでしょいくらなんでも……」エー

泡浮「ですが確かに初めてのことですわね。今日が御坂様にとって記憶に残る良い一日になれば良いのですが」

美琴「いや、だから……」

婚后「御坂さん御坂さん、この服などはどう思われますこと? このわたくしにぴったりではなくて?」

美琴「あー、確かに婚后さんが着てそうなイメージあるわ。似合うんじゃないかな」

美琴「……でも、正直私のセンスと婚后さんのセンス違いすぎると思うんだけど……」ハハ

婚后「いえ、その方がかえって新しい目線を取り入れられるというものです」

美琴「そんなものかな」

婚后「そんなものです」ウン

美琴(だって私が選ぶと……あっ、これすごく可愛い!)

美琴(最後の一着、でも今は買えないわよねこのゲコ太服……この前の限定ゲコ太バッジも取り逃したし軽く鬱だわ……)ハァ

湾内「ふふっ」クスッ

泡浮「」クスッ

美琴(なんか笑われてる気がするし……これ見てるのバレたのかしら。ははは鬱が加速するわ)ハァー

泡浮「御坂様、こちらのような服はいかがでしょう? きっと似合うと思うのですが」

美琴「あっ、確かに可愛いかも。ちょっと試着してみようかしら」パァ

湾内「でしたらこちらもいかがでしょうか」ホイ

美琴「こっちも良いわね……。ていうかあれね、二人とも服選びのセンスがすごく良いわね」

美琴「ちょっと二人ともその服を体に合わせてみてよ」ハイ

美琴「」ジー

湾内「……?」キョトン

泡浮「……?」ハテ

美琴(服のせいかいつも以上に二人から漂う人畜無害感が半端ないわね……)

婚后「御坂さん御坂さん、これはどうでしょう? 似合っていませんこと?」クルリ

美琴(そして婚后さんから溢れ出るアジア人の集団に一人だけヨーロッパ人が混ざってた感も凄い)

美琴「ま、まあとにかく、私もちょっと試着してくるわね」

婚后「ごゆっくりどうぞ」

泡浮「おう」


美琴「ど、どう? ちょっと私には明るすぎないかな?」

婚后「いえいえ、とでも素晴らしいですわ御坂さん!」

湾内「そうですわ、普段とはまた違った雰囲気が出てますもの」

泡浮「いつもの御坂様より御坂様ですわ」

美琴「どういう意味なのそれ……」ハハ

婚后「御坂さん、次はこちらを着てみませんこと?」ズイ

泡浮「でしたらこちらも……」ズイ

湾内「御坂様でしたらこういうのもお似合いかと」ズイ

美琴「えっ」



・・・


美琴「ここまで着せ替え人形にされるとは思ってもなかったわ……」ゼーハー

婚后「いつもとは違う御坂さんをたくさん見ることができたので満足ですわ」ホクホク

湾内「わたくしはもう少しお時間が欲しかったですわ……」

泡浮「それですわね……」

美琴「ええ……。あっ、もうそろそろ行かなきゃだわ」

美琴「良かったら三人も一緒に来ない? きっと楽しいわ」

婚后「……いえ、せっかくのお誘いを申し訳ないのですが、わたくしたちもちょっと用事がありまして」

湾内「申し訳ありません……」

泡浮「ですが、またすぐに会えますわ。では、わたくしたちはお先に失礼させていただきます」

美琴「えっ、それってどういう……行っちゃった」

美琴(うーん、なーんか三人とも……うーん?)ムムム

美琴「……ま、いいか。それよりも早く行かないと……ってあれ、初春さんから連絡?」

美琴「個室サロンに呼び出し……だと……?」エー

美琴「なにかがおかしい、けどまあ行ってみるしかないか……」テクテク

美琴(私なんか悪いことしちゃったかなぁ……?)ウーン


美琴「とりあえず着いた、けど……何故だろう、入るのがちょっと怖い」

美琴(いや本当なんでこんなとこに呼び出されてるのかしら……。いつものファミレスの予定だったのに)

美琴「あーこほん。こほんこほん。あー」スーハー

美琴「ち、ちわー。御坂美琴です、けど……?」ギィ

パァン パンパン パパン


「「「「「「「誕生日おめでとう!!」」」」」」」


美琴「……はへ?」ボウゼン

黒子「おっ姉さまぁぁぁぁぁぁん!! お誕生日おめでとうございますのぉぉぉぉ!!」ジタバタ

初春「御坂さん、今日は本当におめでとうございます!!」パーン

佐天「いやー、ただでさえ大人っぽい御坂さんが更にまた一歩大人っぽくなっちゃいますねぇ!!」ニヤニヤ

固法「ほんとほんと。追い越されないように頑張らなきゃいけないわね私も。おめでとう御坂さん」

婚后「ついに今日という日がやって来ましたわね!! ささ御坂さん、今日は無礼講ですわよ!!」

湾内「びっくりさせてしまって申し訳ありません。ですが今日は御坂様のお誕生日ということでしたので」ニッコリ

泡浮「わたくしの能力で急いで向かってきたのですが、間に合って何よりですわ。今日はおめでとうございます御坂様」

美琴「……」

佐天「御坂さん? どうかしたんですか?」

黒子「やはり婚后光子が何か失礼を働いたのでは……」ジトッ

婚后「まあ、何という失礼な! わたくしがそのような無礼を働くわけがないでしょう!」

婚后「むしろ白井さんこそ品のないその態度に御坂さんが愛想を尽かしたのではなくて?」オホホ

初春「それは今更ですよー」

固法「まあまあ。大丈夫、御坂さん?」

美琴「……れてた……」ボソリ

泡浮「え?」

美琴「今日、誕生日。完璧に忘れてた……」フルフル

固法「あらら……」

黒子「たとえお姉様本人が忘れていようとも、この白井黒子は一千億万光年経っても忘れませんわ!!」

泡浮「しまった こうねんは じかんじゃない きょりだ!」

初春「白井さんついに頭にバグが起きたんですか、元からですけど。それはともかく、なら尚更のサプライズになりましたね!」

佐天「黒いよ初春……こっちは水色だけどね♪」ピラッ

初春「ひゃあっ!? や、やめてください佐天さんー!」ポカポカ

湾内「は、は、破廉恥ですわ!」カァ

婚后「何だか一気に騒がしくなってきましたわね。御坂さん、しっかりしてくださいな」

美琴「あ、あー。あーあー。うん、やっと今の状況が理解できてきたわ」ウン

佐天「御坂さん? 顔を隠してどうしたんですか?」ニヤニヤ

美琴「あーやばい。どうしよう、すっごい嬉しい。私、多分今凄く変な顔だ……」ニヨニヨ

美琴「あーあーあー、いやほんとにマズいわ、嬉しくて嬉しくて全然顔が戻らない」ニヨニヨ

初春「みーさかさん♪」ヒョイ

泡浮「そう恥ずかしがらずに、お顔をあげてみてください」ニコリ

黒子「シャッターチャンスの予感ですわ! 心の!」

固法「こらこら、あまりいじめないの。……改めて、本当におめでとう、御坂さん」ニッコリ

美琴(今までも誕生日を祝ってもらったことはあるけど……なんでだろう、今日が一番嬉しいかもしれない)ゴシゴシ

泡浮「というわけなので、御坂様、これを」スッ

美琴「これって、あっ!」

湾内「あれからこっそり購入しておいたんです。少しでも喜んでいただければ幸いですわ」ニコリ

美琴「私が目をつけてた服……いつの間に?」

美琴「ううん、湾内さん、泡浮さん。すっごく嬉しいよ。ありがとう」ニッコリ

婚后「わたくしからはこちらですわ。手違いがなければよいのですが」スッ

美琴「これ、私が不覚にも取り逃がした限定のゲコ太バッジ……」

婚后「少しばかりそのげこたとやらに詳しい知人のお力も借りましたが、手に入って何よりでしたわ」

美琴「ありがとう、婚后さん。ずっと大切にするわ」ギュッ

初春「わ、私からはこれです!」スッ

固法「誕生日プレゼント、ね」スッ

佐天「なにおう、負けないぞ! あたしだって頑張って用意したんですよ!」スッ

黒子「わたくしはこちらと……この黒子を差し上げますわぁぁぁぁん!! お姉様ぁああああああああん!!」シュン

美琴「ええい、最後のはいらん!! いい加減にしな、っさい!!」バヂバヂ

佐天「変わらんねー」ホッコリ

初春「変わりませんねー」ニッコリ

固法「定例行事ね」ウン

湾内(や、やっぱり女の人も怖い……)

泡浮(どうして白井さんはあの中で笑顔を浮かべていられるのでしょうか……)

婚后「全く、節度というものを少しは弁えていただきたいですわね」フン

美琴「ま、まあとにかく!!」オッホン

黒子「」プスプス

美琴「誕生日は私自身も忘れてたけど……こんなに祝ってもらえて本当に嬉しいわ」

美琴「みんな、今日はありがとう。それと……」

美琴「ずっと言いたかったの。誕生日のことだけじゃなくて、私と友達になってくれて」

美琴「欠点だらけの私をいつも支えてくれて……ありがとう!!」ニコリ

湾内「こちらこそ、ですわ」フフ

固法「これからもよろしく、ね」

佐天「はい、あたしの方こそです」ドヤ

婚后「支えていただいているのはわたくしの方ですわよ」

泡浮「御坂様……」

初春「御坂さんには助けられてばかりですからね、お互い様です」

黒子「う……あ……? とんでもございませんわお姉様!」ガバッ

初春「さあ、美味しいケーキも用意してありますのでいただきましょう!」

ハッピーバースデートゥーユー ハッピーバースデイディアミサカサン ワーワー コラサテンサンガサキニタベテドウスルンデスカ ギャーギャー キャッ、ドコサワッテルンデスカ ミサカサンオメデトウゴザイマス、ジブンモオイワイシマス


・・・

美琴「はー、騒いだ騒いだ。最後にあんな風に派手に祝ってもらったのは大分前になるかしら」テクテク

美琴「まだ落ち着かないしちょっと歩いてから帰ろうかな」テクテク

御坂妹「お姉様?」

美琴「おわっ、なんだアンタか。どうしたの?」

御坂妹「おわっ、なんだアンタかとは随分な言い様ですね、とミサカはお姉様を無言の非難を込めてジッと見つめます」ジー

美琴「わ、悪かったわよ……。それで実際どうしたわけ?」

御坂妹「妹が姉の誕生日を祝いに来てはいけないのですか、とミサカは率直な疑問を吐露します」

美琴「えっ……?」

御坂妹「妹が姉の誕生日を祝いに来てはいけないのですか、とミサカは難聴のお姉様のためにCM明けのリピートをします」

美琴「ああもう、そうじゃなくて! アンタまで祝ってくれるんだって思ったら、何か、何か……凄く、胸がね……」プルプル

御坂妹「心拍数が乱れているようです。特別気温が低いわけでもないのに体が震えているのはどうしてでしょうか、とミサカは若干の焦りを見せます」

美琴「馬鹿……。そういう、ことじゃないのよ……」ポロポロ

美琴「あんなことがあったのに……ありがとう……。私、きっと今日世界で一番の幸せ者だ……」ポロポロ

御坂妹「……ミサカは、こういう時どうすればよいのでしょうか、とミサカは困惑します」

美琴「ありがとう……本当に、全部に感謝しなくちゃね……」ゴシゴシ

御坂妹「……そういえば、ミサカの誕生日はいつになるのでしょうか、とミサカは思案します」

美琴「えっ……?」

御坂妹「以前その話でミサカたちで議論になったことがあるのですが、決着はつかず……ですので……」

御坂妹「ミサカはお姉様と初めて会った日をミサカの誕生日にしようと、そう思いますとミサカは衝撃の事実を明かします」

美琴「――――……。ああ、もう……アンタって子は……本当に、もう!!」グスッ

御坂妹「理不尽な怒りをぶつけないでください、とミサカは……」

上条「おーっ、お前らこんなところで何やってんだ?」オッス

御坂妹「うわあ、最悪のタイミングで面倒なのが来たよとミサカは頭を抱えます」ウワァ

上条「いきなり何!? って、なんで御坂泣いてるんだ!?」ガビーン

御坂妹「ほら面倒くさい、今日はお姉様の誕生日なので祝福しに来たらいきなり泣き出してしまってこの始末です、とミサカは事実を羅列します」

上条「え、御坂今日誕生日なのか!?」

美琴「ぐすっ……そうよ、この馬鹿……」プルプル

上条「そうか……御坂」ニコリ

美琴「……?」

上条「誕生日、おめでとな」ナデナデ

美琴「……ん」グスッ

御坂妹「……まあ、今日はお姉様の誕生日ですから全てを許しましょう、とミサカは器の大きさを見せつけます」

上条「って、しまったな。知らなかったからプレゼントとか何も用意してないぞ……」ドウシヨウ

御坂妹「実を言うとミサカもです、こういう時に何を渡すべきなのか分からなかったので、とミサカはしゅんとします」シュン

美琴「……大丈夫よ。二人からもプレゼントならもう貰ってるから」

上条「え? どういう意味だ?」

御坂妹「ミサカは何も渡してなどいませんが、とミサカはお姉様のボケを心配します」

美琴「ううん、もう十分すぎるほどにもらったわ。胸から溢れるくらいに」

美琴「私じゃ抱えきれないほどたくさん、ね。だから、二人とも」

美琴「今日の誕生日のことだけじゃなくて、全部ひっくるめて」

美琴「言わせてほしいの。……ありがとう」ニコ

上条「……ああ。こっちこそありがとうだ。お前に助けられたことも一度二度じゃないしな」

御坂妹「それを言ったらミサカなどあなたたち二人に一万ほど助けられていますので、それこそありがとうございますですね、とミサカは感謝の意を表明します」

上条「これからも、ずっとよろしくな。御坂」

御坂妹「よろしくお願いします、とミサカたちは素直な気持ちを吐露します」

美琴「……うん、よろしく。もう何度言ったか分からないけど、本当に本当に、ありがとう!」フッ



美鈴『ハッピーバースデー美琴ちゃーん!! ママはねー、ひっく、今可愛い一人娘に電話してまぁーっす!!』


旅掛『美琴ちゅわぁ~ん、パパの肩揉んでよぉー!! 誕生日おめでとうだけど、財布ないんだけどさぁはっはっは!!』


美琴「だぁーっ!!アンタらべろんべろんに酔った状態で電話してくるんじゃない!!」

美琴「各自完全に酔いが醒めてからかけ直してこいこの馬鹿親どもーっ!!」ピッ

美琴(……でも、感謝はしてるよ。パパ、ママ、みんな)

美琴「……ありがとう」

終わり
ハッピーバースデー御坂美琴

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