南条光「スーパーロボット大戦@ しんでれらがあるず」 (98)


……

新西暦187年

人類に逃げ場なし


恐竜帝国、妖魔帝国、メガノイド、ハルシュタイン軍

様々な人類の敵が出現し、世界は混迷の渦に落とされた。

しかしそんな計り知れぬ脅威に、敢然と立ち向かう者達がいた。


スーパーロボット。

自由と平和を守る、愛と正義の使者。

彼らの活躍により、多くの悪は滅び、人々は歓喜に沸き立った。


しかし……

その熾烈な戦いすらも、これから来たる真の絶望の

序章に過ぎなかった。


戦え、スーパーロボット達よ

この地球の明日のために




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ガン! ガンガン! ガン! ガンガン!


南条光「スーパーロボット大戦@ しんでれらがあるず」




第一話

「だけど、この世界にヒーローはいない」



……

ウー! カンカンカンカン! ウー! ウッウー!

「機械獣だー!」
「きゃー!」
「うわぁー!」「逃げろー!」


光「はぁっ……はっ」タッタッタ

光(早く……シェルターへっ)


「どこへ行くんだい? 南条光」

光「!? なんだっ誰!」

飛鳥「フフ……ボクだよ」

光「確か、転校生の……」

飛鳥「飛鳥……二宮飛鳥」ファサッ

光「飛鳥! 君も早く避難しないと!」

飛鳥「逃げる? いったいどこへだい」

光「そりゃシェルターに」

飛鳥「どこにも安全な場所なんてないよ。この地球上の、どこにも逃げ場なんてない」

光「な、なに言ってるんだ……?」

飛鳥「危機はもう足元まで迫っている。誰もそれに気づかずに……いや、気づかないフリをして生きているだけさ。そんな愚かしさも、ヒトのサガなんだろうけどね」

光「こんなときにカッコつけてないで! ここにいたら」

飛鳥「死ぬ、か?」

光「っ!」

飛鳥「キミの友達のように」

光「……」

飛鳥「もう失いたくないのだろう? …………ならボクと来るんだ」

光「えっ……」

飛鳥「こっちだ」ガシッ

光「ちょっま……待ってよ! 飛鳥!」

グイグイ


……

ドサッ

光「うあっ……ここ、なんだ? まるで……なにかの基地」

飛鳥「フフフ、すぐに分かる」

光「! まさか……」



光「アタシに改造手術する気だろ! エ〇同人みたいに!!」

飛鳥「違うよ」

ガコンッ

ウィーーーン……


飛鳥「……これを見ろ。南条光!」

バァッ

光「こ、これは…………ロボット……?」

飛鳥「EOTの粋を結集して造られたスーパーロボット……」

飛鳥「グルンガスト弐式!!」

光「グルン……ガスト」

飛鳥「そしてボクも、謎の美少女転校生とは世を忍ぶ偽りの姿……」

飛鳥「しかしてその実態は! 天才科学者にしてスーパーパイロット! SRX計画の指揮者であり教官!! 二宮飛鳥少佐だ!!」ババァッ

光「……」ポカーン

飛鳥「……ついてきてるかい?」

光「……あんまり」

飛鳥「つまりね……キミは選ばれたのさ。このボクに……」

光「選ばれた……?」

飛鳥「そう、地球を守る戦士……このグルンガスト弐式のパイロットにね」

光「…………」

飛鳥「どうした? 喜ばないのかい?」

光「いきなり、そんな」

飛鳥「キミは、ヒーローに憧れていると、聞いていたが」

光「……」

飛鳥「友達のことを気にしているのかい?」

光「っ……」

飛鳥「ロボット同士の戦いに巻き込まれ、亡くなったそうだね。……友人を殺したロボットが嫌いか?」

飛鳥「…………けど、今キミがこれに乗って戦わなければ、もっと大勢が死ぬことになる」

光「……くっ」


『……なによアンタ、シケた面して。まだこないだのこと気にしてんの?』

『アイツならきっと無事よ。殺しても死ななそうじゃない』

『……はぁ? 現実にヒーローはいない? アンタバカぁ?』

『ヒーローがいないなら、……アンタがなればいいじゃない。正義面してこのアタシをとっちめに来る、ヒーローごっこさん。アンタならすぐに、悪いやつら……みーんなやっつけれるわよ。きっとね』




光「…………」

飛鳥「乗らないなら帰れ……とは言えないよ。機密を知った人間を」

光「……乗る」

飛鳥「…………フッ」


ウィーン……ガコン


……

光「……これが、鋼鉄のコクピット」

キィイイン!

光「うぐっ! な、なんだ……これ……操縦法が、頭にっ」

光「分かる……分かるぞ……!」


飛鳥『では光、敵と戦い町を……人々を守るんだ』

光「了解っ……」

飛鳥『健闘を祈るよ。……グルンガスト弐式、射出!!』


バシュウゥン!!

ドゴォオオオン


光「~っぅ……ててて……」

ズシン……ズシィン

機械獣「ガォオオオン」

光「!! ……こいつら、こいつらが……」

機械獣「キケェエエエエ」グォオオッ

光「うぉおおおおお!」

ガキィイイン!

光「ブーッスト……ナッコォ!!」

バュウゥン! ズガァアアアン!!

機械獣「ギガァアアアッ」

光「アイソリッド、レイザァーッ!」

ビィイイーーーーーッッ!!

ドガァアアアアアアアアン……

光「や、やった……?」



メカザウルス「グォオオオオ」
戦闘獣「グゲェエエ」
化石獣「ガァアアアア」

光「っ……数が、多すぎるっ」

ズガァアン! ボボボボボォオ!
ビシューン!ビシュンビシューン!

光「うぁあああっ!!」ズガッドガァッ


……

飛鳥「……フフフ」

飛鳥「そうだ、それでいい……」

飛鳥「キミ自身が追いつめられる程……その奥底に眠る力が呼び覚まされる」

飛鳥「フフ、フフフフフ」

飛鳥「ハハハハハ!」ゴン


飛鳥「……頭打った」サスサス



……

ズギャーン! ドガーン!

光「ぅああっ! くぅっ……こ、このままじゃっ……!」

戦闘獣「キシャアアア」ブォンッ

光(っ! やられるっ!?)


「ロケットッパァーンチ!!」ドシュゥウン

ズガガァアアアン!!

戦闘獣「ゲェエエッ……!」

ボガァアアン!


光「た、助かった……? あの、ロボットは!」

「大丈夫かぁ? 俺とマジンガーが助太刀に来たぜ!」

光「君はっ」

P「俺は戦闘のプロだ。気安くPって呼んでくれ!」

光「P、さん……」

P「おっと、まだ敵は片付いてないぜ。一緒に戦おう!」

光「あ、あぁ!」


P「ブレストファイヤァアー!」ゴォオオオオッ

光「マキシブラスタァー!!」ビビビィイイイイッ

メカザウルス「グガァアアッ」
化石獣「ケキョオオオ」


ボボガァアアアアアン……


P「いよっしゃあ! やったな!」

光「う、うん……」

ガシッ

光(なぜロボット同士の手で握手を……)


P「お前、名前はなんて言うんだ?」

光「あっ……南条光。えっと、このロボットは、グルンガスト弐式」

P「へぇ……いい相棒じゃねぇか!」

光「相棒……」

P「ま、じいちゃんのマジンガーPには負けるけどな! ははは!」

P「っと……これからどうするんだ?」

光「え?」

P「見たところ、どっかの軍や組織に所属してるわけじゃないんだろ? だったら一緒に来ないか? 俺はこれから、ロンドベルと接触しようかと思ってるんだ」

光「ロンドベル……確かSDFの」

P「そ! 独立部隊! なんか宇宙怪獣やエアロゲイターに対抗する作戦の中心らしいからよ。俺とマジンガーもそれに参加して、地球を守ろうと思ってな!」

光「……地球を、守る」

P「どうだ?」

光「分かった。アタシも行く!」

P「いい返事だ! ……ところで」

光「?」

P「そいつの背中に、マジンガーを乗せてってくれないか? ……ほら……飛べないからさ……」

光「あー……いいよ! チェンジGホーク!」

P「お! 飛行形態があるのか! そいつはいいぜ!」

光「マッハで行くから、振り落とされないようにね!」

P「望むところだ!」

光「GO!」

ゴォオオッ

キィイイイイン……



第二話

「これが、正義のスーパーロボット軍団??」



……
-SDF基地ロンドベル旗艦


艦長「ゥオッホン。よく来てくれたね。私がロンドベルを指揮するしゃ……艦長だ」

P「俺は戦闘のプロだぜ! 相棒はマジンガーだ」

光「アタシは南条光。飛鳥に託されて、グルンガスト弐式に乗ってる」

艦長「聞いているよ。ここに来るまでにも、何度か敵と交戦し、連邦軍を助けてくれたようだね。私から、全ての仲間を代表し礼を言おう。本当にありがとう」

P「なに、当然のことをしたまでですよ。で、俺達も、その仲間ってやつに入れてもらえるんですか?」

艦長「そうだね……むんっ」

グワシッ

P「ぁがあっ!?」

ギュムギュム

P「ぁっあがっあ、な、なに、をっ」ガクガク

艦長「ふぅむ、縮こまってはないようだねぇ、キミィ」

光「えっ……え?」

艦長「ティンときた! キミ達を仲間に加えよう!」

P「あ、ありがとう、ございます」ヨロヨロ

光「うわぁ……」ササッ

艦長「はっはっは。キミには手荒なことはしないから安心したまえ。飛鳥少佐から、キミが来たら宜しくと連絡を受けていたからね」

光「あ、はい」

P「ちっくしょう……俺も所長に連絡しといてもらうんだったぜ……」

艦長「では、今艦内にいる主だったメンバーを紹介しよう。ついて来たまえ」

スタスタスタ……


……

艦長「ここがブリーフィングルーム。作戦内容を伝えたり、まぁ、普段はダベってお茶を飲んだりお菓子を食べたりだ」

光「ほんとだ。お菓子がいっぱい置いてある……」

P「お、うちの光子力バリアせんべいもある」

「へぇ、あんたが新しいパイロットさん?」

光「! 君達は……」

凜「ま、悪くないかな」

卯月「ちょ、ちょっと凜ちゃん、ちゃんとあいさつしなくちゃ!」

未央「そーだよしぶりん。ハーモニカなんてくわえてないでさ」

艦長「三人は、新ゲッターG(ジェネレーション)のメンバーだ。恐竜帝国を地底に追い帰した歴戦の勇士だよ」

卯月「島村卯月です! 新ドラゴンのパイロットです! 一緒に頑張りましょう!」

凜「……渋谷凜。新ライガーは地上での速さなら誰にも負けないよ。好きな色は、蒼かな」

光(ちょっと飛鳥に似てる)

未央「あと、しぶりんはボインちゃんが好きなんだよねー?」

凜「やめてよ未央……確かにボインちゃんは最高だけどさ」

光(似てなかった)

未央「あ、私は本田未央。新ポセイドンの担当だよー海ならおまかせ!」

P「そいつは心強いぜ! よろしくな!」

未央「……うん」

光「?」


……

艦長「ここは格納庫。キミ達のものも含め、様々なスーパーロボットがここで修理、整備を受け、戦いの時を待っているんだよ」

光「すごい……たくさん」

P「テレビで見たことのある有名なやつも多いぜ! 見ろよ! あれハルシュタイン軍を壊滅に追いやったまな板ロボだぜ!」

光「まないた?」

「んっふっふ~あれに目をつけるとは、兄cもお目が高いですな~」

「うんうん、どこに目ぇつけとんじゃわれ! って感じですな!」

光「なんで因縁つけてるんだ……?」

P「君達はっ……!」

真美「そう! 真美こそは超合体メカ、キサラギのメインパイロット! 双海真美!」

亜美「同じく双海亜美! ……って、ねぇちょっと待って」

真美「どしたん亜美」

亜美「メインパイロットは亜美っしょ?」

真美「……はい?」

亜美「いやいや」

真美「うあうあ~」

亜美「うあうあじゃなくて」

艦長「ンオッホン! キミ達ィ、新しい仲間の前で早速ケンカはやめてくれたまえよ」

真美「あ、ごめんなさーい。行こ! 亜美!」

亜美「うん! 表出ろや!」

タッタッタッタ……

P「さすがあのキサラギのパイロット。すごいな」

光「すごい……?」

P「精神の強さがさ。命がけで戦ってるのに、あの余裕」

光「あぁ、確かに」

艦長「まぁそうなんだが……もう少し大人しいと助かるんだけどねぇ」


艦長「それに比べると……」

P「? しゃ……艦長、そっちは俺のマジンガーのホバーPイルダー」

艦長「そんなところに隠れていないで! 新しい仲間に挨拶をしようね」

「……またですか……もう私いらない気がするんですけど……」

艦長「そんなことないから出てきて! 挨拶!」

「むーりぃー……」

光「な、なんだ?」

艦長「あー、仕方ない。キミ達、こっちに来て乃々くんに挨拶を」

ヒョイッ

P「あっ、操縦席の足元に!」

乃々「あうぅ……見つかったんですけど……新しい隠れ場所になると思ったのに……」

艦長「この子はちょーっと引っ込み思案でね。他人のコクピットに身を隠す癖があるんだ」

P「そ、そうなんですか」

乃々「なんですか……もう他にたくさんロボットあるし、もりくぼはいらないと思うんですけど……」

光「森久保、乃々さん? パイロットなのか?」

律子「彼女は対使徒用の人型決戦兵器のパイロットです」

艦長「おぉ、律子くん」

律子「博士と」

艦長「はっはっは。そうだったね、秋月博士」

P「対使徒……? じゃあ、あの化物をやっつけてるのは、この子なのか!?」

律子「他のメンバーのサポートもあるけれど、基本はそうね」

P「すごいじゃないか森久保ォ!」

乃々「でも……」

光「……?」

乃々「でも、生身で使徒と互角に戦ってた人もいましたし……こないだなんて、艦長さんだって戦艦の突撃で使徒倒しちゃいましたし……もうほんとにいらないと思うんですけど…………」

光「とどめを刺さなくたって、乃々だって戦ってるんだよね? なら……」

乃々「それどころか初陣で機体が暴走して周囲の味方をむしゃむしゃしたんですけど……」

光「……」

P「……」

乃々「うぅ、ドン引きされてます……もう、むーりぃー……パイロットやめます私はダメなんですヒトを傷つけてまで戦う資格ないんですけど……乗るしかないと思ってたけどそれはごまかしでヒトの為にできることなんて何もないんです……ずるくて臆病なだけでヒトを傷つけることしかできないならもう何もしないほうが」

律子「はぁ……またか。シンクロ率の再調整が必要ね」

乃々「ひぃっ!」

艦長「まーお手柔らかに頼むよ、律子くん」

律子「博士と。……さ、行くわよ森久保」ガシッ

乃々「い、いやなんですけどっいやっむ、むーりぃー! むーりぃいい!」

ズルズルズル……


光「……改造手術かな」


……

艦長「さて、ここがトレーニングルー」

「納得いかないにゃ!」

「そーだよ! 絶対おかしいって!」

光「こ、ここもなのか……?」

みく「なんで李衣菜チャンと一緒に乗らなきゃいけないにゃ!」

李衣菜「こっちこそ! なんで戦闘中にニャーニャー言うやつとなんか!」

コーチ「あの……落ち着いて下さい」


艦長「彼女らが対宇宙怪獣のトップチーム。そして彼は、彼女らのコーチだ」

みく「どーしてこの組み合わせにゃのか! はっきり答えてほしいにゃ!」

李衣菜「そうだよ! こ、こんなセクハラパイロットスーツ着せてさ……」

コーチ「あの……」

みく李衣菜「「……」」

コーチ「…………炎、です」

みく李衣菜「「ハァア!?」」

コーチ「ですから、一人一人は小さなネコミミとロックでも、二人合わせれば炎に。そして炎となったお二人は……無敵です」

みく「いいこと言ってる風でサッパリにゃ。なんにゃ小さなネコミミって」

李衣菜「小さなロックか……ちょっとカッコいい言葉だな」

みく「流されないで李衣菜チャン!!」


艦長「挨拶……どころではないようだね」

P「みんなすごいなぁ」

光「ある意味ね」


ドアバァーン!

未央「ちょっとコーチ!」

コーチ「本田さん……? なにか」

未央「全然違うじゃん!」

コーチ「違う……?」

未央「私がリーダーじゃないの!? なんでカレーポジションの三号機なの!?」

コーチ「え? いえ……それは」

凜「今更なにを……」

未央「新ポセイドンの出番めちゃくちゃ少ないじゃん!」

コーチ「……充分です」

未央「これで!? 海の多いマップなら活躍できるって……すっごい大雪山おろしかませるって……私、ばかみたいじゃん!」

卯月(そういえば海マップでも新ドラゴンのまま戦ってたなぁ……)

コーチ「この結果は当然のものです……」

未央「当然? 酷いよ……もういい! 私ゲッターチームやめる!!」

ダッ

卯月「あっ未央ちゃーん!」

凜「ちゃんみおー」

タッタッタッタ……


律子「さぁ、再トレーニングよ、森久保」

乃々「目標をセンターに入れて……スイッチ……目標をセンターに入れて、スイッチ」カチッ……カチッ

光(目が死んでる……)

乃々「逃げちゃ、ダメ……逃げちゃ、ダメ…………逃げちゃ……うぅ、むーりぃー」ブツブツ


……

艦長「どうだったかね。ロンドベル隊でやっていけそうかね?」

光「不安しかないけど、アタシはやります!」

P「俺もこの決意に変わりはないぜ!」

艦長「うむ。では改めて、よろしく頼むよ」スッ

サササッ

艦長「むぅ……なぜ逃げるんだね、キミ達ィ……」


光(これが……地球を守ってきたスーパーロボット軍団)

光(想像と随分違うな。もっと……マシーンのような、屈強な戦士ばかりかと思ってたけど)

光(アタシは……やっていけるんだろうか。なれるんだろうか……)

光(みんなを守る…………ヒーローに)



第三話

「誰が為の戦い」



……

亜美「いっけー! パンチだロボ!」

真美「ここはキックっしょー!」

亜美「パンチ!」
真美「キック!」


光「天に凶星、地に聖星……必殺! 計都瞬獄剣!!」ギュィインッ

ズバァアアアッ!

ドッガァアアアン!!

P「よぉし! やったな光!」

光「みんなのサポートあってこそだよ!」

P「へへっ、まぁな。俺のマジンガーもジェットスクランダーで飛べるようになったことだし、あれからさらに仲間も増えて、向かうところ敵なしだぜ!」

真美「もぅなんだよ! 亜美なんてマミツーのくせにさ!」

亜美「あー言ったなぁ! 真美こそアミツーなんだかんね!!」

真美「マミマミマミマミマミー!」

亜美「アミアミアミアミアミー!」

ピピッ

コーチ『各機……警戒を怠らないでください。敵の反応が、まだ』

ジリッ

光「えっ……」

チュドォオオオオオオオオオン!!

光「うわぁああああっ!?」ドガァアン

P「光っ!! い、いったいどこからっ」

みく「あ、あれだにゃ! あの遠っくに浮かんでる四角いの!!」

律子『パターン青……間違いない、使徒だわ』

凜「確かに蒼いね」

卯月「言ってる場合じゃないですよぉ!」

艦長『総員! 直ちに敵使徒の射程外まで退避せよ! 繰り返す! 総員……』


……

光「ってて……」

P「大丈夫か? まだ休んでたほうが……」

光「大丈夫。これぐらい何ともないって。……それにやられたのは、アタシの気が緩んだせいだ」

亜美「勝手にカブトの首絞めよ、ってやつですな?」

P「殺す気かよ……勝って兜の緒を締めよ、な」

真美「勝ってカブトを抱きしめよ?」

P「いつでも来い」

亜美「いやん! 兄cのえっちぃ!」

真美「……あれ? ひかるん、いないよ?」

P「おっ? ほんとだ。怪我人だってのに……あいつ、どこ行ったんだ……?」


……

タッタッタ

光「池袋博士!」

晶葉「ん? おぉ、光か。怪我の具合はいいのか?」

光「うん! ばっちりだよ! それより、アタシのグルンガストは……」

晶葉「幸い、何かのバリアが発動したようで、直撃には至っていない。すぐに直せるが……」

光「? なんだ? 修理費でも足りないのか?」

晶葉「いや、資金面に関しては、世界レベルのヘレン財閥が援助してくれているから、問題ない。それより今は、新兵器の方に人をとられてるからな……手が足りん」

光「新兵器って……」

晶葉「あの使徒を、長距離からの狙撃で仕留める為のものだ。射程は互角が精一杯。気づかれる前の一撃でケリをつけるのが理想だ」

光「……誰が使うんだ?」

晶葉「対使徒だからな。バリアフィールドを張れる機体の、森久保だよ」

光「そっか……」

晶葉「なぁに、他のみんなにも出番はある。エネルギーチャージが完了するまで、森久保を使徒以外の敵から守ってもらわないと、だからな」

光「うん! アタシに任せて! それと……整備も、手伝っていいかな?」

晶葉「……あぁ、助かるよ。じゃあ、コクピットで、修理箇所のチェックを頼めるか?」

光「分かった!」タタッ


ウィーン……プシュー

光「よっ、と……あれ?」ムギュ

「あぅ! ふ、踏まないでほしいんですけど……」

光「わっ! ごめん! ……って、乃々……? なんでここに」

乃々「見つかっちゃった……森久保のことは、放っておいて下さい……」

光「そうはいかないさ。アタシ達、仲間だろ?」

乃々「仲間……」

光「どうしたんだ? こんなところで」

乃々「…………これからやる作戦、森久保がメインなんです」

光「そうらしいね。頑張って!」

乃々「うぅ……むーりぃー」

光「どうしてだ? これまでだって乃々はいつも最前線で、一生懸命に戦ってきたじゃないか」

乃々「……そうですけど。でも……それは、……光さんや、みんながいたから……」

光「今回だって、アタシ達は側に」

乃々「違うんですっ……今回は、私の一発に全てが掛かってるんです! 私が、もし私が外してしまったら、みなさんを危険に晒すことになるんですっ……もりくぼの、せいで……」

光「乃々……」

乃々「……私のせいで、みんな、傷つくなんて……む、りぃ……」

光(…………そっか。乃々は、一緒に戦ってるアタシ達のことを……仲間のことを)

光「……やめてもいいんだ」

乃々「え…………?」

光「乃々が戦いたくないなら、アタシからそう言うよ。艦長もコーチも、秋月博士も、みんなすごい人だから、きっと他にも作戦を考えてくれる。そしたらみんなで」

乃々「……ぃたい」

光「え?」

乃々「私だって! 戦いたいです!! けどっけど!」

乃々「……こわい、んです……自信が……ないんです。私なんかに…………」グスッ

光「だったら、やらなくちゃ」

乃々「光さん……?」

光「なくした自信を取り戻せるのは、自分だけなんだ。……戦いたいって気持ちがほんの少しでもあるなら、……逃げちゃだめだ」

乃々「でも……」

光「大丈夫! もし外したって、アタシ達でカバーする! 仲間を……アタシ達を信じてほしい」

乃々「っ…………」

光「……」


カツカツカツ……

輝子「フ、フフ……キノコーキノコーボッチノコー……あ、あれ、ぼっちじゃない……?」

光「どうしたんだ? 輝子」

輝子「フヒ……作戦時間、伝えにきた……ヒトナナサンマル……発進。作戦ポイントへ移動して…………全機、到着次第……作戦開始」

乃々「……むーりぃー」

輝子「……大丈夫。乃々は、死なないぞ……私が、ま、守る、からな……生き残る……きのこる……フフ、フヒ」

乃々「輝子さん……」

輝子「それだけ…………さよなら」

スタスタスタ……

乃々「……!」ガタッ

光「……出るなら、手を」

ガシッ……グイッ

乃々「……ありがとう、ございます」

タッタッタッタ……

光「……仲間、か」


……

ガション……ガション

コーチ『各機、定位置に到着しました』

艦長『うむ、敵の様子は』

律子『沈黙を保っています。エネルギーバイパス、接続完了。森久保?』

乃々「あうぅ……やっぱり……むーりぃー……」

みく「なぁに言ってるにゃ、ここまで来て」

李衣菜「私らがサポートするんだから心配ないって!」

乃々「みなさん……」

P「俺はお前を信じてる! だから、お前も俺達を信じろ!」

亜美「お前の信じる俺を信じろってやつですな~?」

真美「それを言うなら俺の信じるお前をじゃない?」

乃々「……みんなを……死なせるのは、だめだから」

輝子「フヒ……」

光「……やろう。乃々」

乃々「…………少しだけ……ほんの少しだけ、頑張る……」

ガシャコン……

コーチ『! 使徒以外の敵機を確認!』

艦長『やはりこのタイミングを狙ってきたか……』

コーチ『各機! 森久保さんを守って下さい!』

みく「了解にゃ!」

李衣菜「やってやろうじゃん!」

ピシューンピシューン! ボカーン!
バババババ! ビビビィイイイイ!
ニャー! ロックダゼ!


乃々「うぅ……まだですか……チャージ」

律子『40……55……順調よ。昇順を合わせることに集中なさい』

乃々「……はい」カシャッ

乃々(…………目標を……センターに)

乃々「逃げちゃだめ……逃げちゃだめ…………やるしか、やるしかない……やらなきゃっ!」

律子『80……95!』

乃々「やってやる!! やってやるぅう゛う゛う゛!!!」

ピピピピ……カチッ


キュィイイイイイイイン…………チュドォオオオオオオオオオン!!!

使徒「キィャァアアアアアアアアア」ミシミシミシ



光「や、やったか!?」

律子『……! いえ、コアがっ』


使徒「キィイイアアアアアア!」ジリリィ……


ズガァアアアアアアアアアアッ

輝子「ぅぐっ!? うぅうううううっ!!」ググゥウッ

乃々「しょっ輝子さん!?」

律子『再チャージ! 急いで!!』

輝子「ぅぁあああっああああああ!!」バキッメシャア

乃々「あ、あぁあ……」

律子『森久保! 照準を! 今のでコアの位置が見えたわ!』

乃々「むーりぃむーりぃむーりぃいいぃい!!」ガタガタ


使徒「キィイアァ」ジリィ……


律子『っ! 第二撃が来るっ……再チャージは、30っ』

乃々「あぅうううう! もうっもう」

光「しっかりしろぉおおお!!」

ズダァアアン!!

乃々「光さんっ……!?」

律子『来るわよ!!』


ズッガァアアアアアアアア!!

光「うぉおおおおおおお!!」バリッバリバリィッ

コーチ『あれはっ……フィールドバリア!』

艦長『グルンガストにもバリアが……!』

光「っ……ぐぅう…………乃々……」

乃々「……」

光「やるんだ…………乃々がっ!!」

律子『再チャージ、完了っ!!』



乃々「あぅう………ぅううああああああああ!!!」ギュィイイン!

カチッ



カッ…………チュドォオオオオオオオオオン!!

使徒「キィイッ……」ミシイィ



ボッガァアァアアアアアアアン!!!



乃々「はっ……はっ…………はぁ、ぁ……」ガクッ

光「やった……! 倒した! 乃々! 勝ったんだよ!!」

乃々「っ……」ガチャッウィーン


タッタッタ……

ガシャコン……バシュウゥン

乃々「輝子さんっ! 輝子さっ」

輝子「フ……フフ、やった、な」

乃々「う……あぅう…………別れ際に、さよならなんて……寂しいこと言わないでください……」グスッ

輝子「……そ、そうか。そうだな……な、なんで、泣いてるんだ……?」

乃々「……」グスッ……ベソベソ

輝子「す、すまん……こういうとき、どういう顔、す、すればいいか……」

乃々「……笑えば、いいと思います……」

輝子「……フ、フヒ」

乃々「……」



輝子「イェァアァアアアア!!」ガバァッ

乃々「!!??」ビクッ

輝子「ヒャッハァアアアッ!!」

輝子「アハハハハハハハハハハハハハッ!! ヒャハハ!! ヒーハァー!!」

乃々「」

輝子「ゴートゥーヘェエエエエエル!!」ビシィ!

乃々「」

光「…………気絶してるぞ」



第四話

「人形の心」




……

李衣菜「ロック!」

みく「ねこにゃ!」

コーチ「……炎です」

みく「もう! そんなにロックがいいならファイヤーボンバーにでも入ればいいにゃ!」

李衣菜「なっ、そっちこそ! そんなに野生に返りたきゃ獣戦機隊にでもさ!」

コーチ「過激にファイヤァー!」

みく李衣菜「」ビクッ

コーチ「……炎です」

真美「むぅ! キサラギはその平べったさを活かして運動性を改造っしょ!」

亜美「いーや! 鉄板のごとき胸部を活かして装甲とHPだYO!」

キサラギ「」ダバァッ

P「おーい、キサラギが泣いちゃったぞー」

晶葉「あれは一時冷却水だ」

莉嘉「あー! お姉ちゃんもロンドベルに来てたの!?」

美嘉「今のアタシは、ルル★キャンであってそれ以上でも以下でもなみりあちゃんどこ?二人乗りできる機体に早速乗換えたいんだけど」

莉嘉「……せめて最後まで言おうよ」

美嘉「みりあちゃんはアタシの母になってくれる女性だ★」

莉嘉「そんなお姉ちゃん修正してやるぅ☆」

ドガァッ

美嘉「これがっ……若さかぁ……♪」ドパァッ

乃々「鼻血、出てるんですけど……大丈夫なんですか……」

輝子「フ、フフ……あ、危ないから、近づかないでおこうな。乃々は、私とい、一緒にポカポカしとこうな……」


艦長「うんうん、今日もロンドベルは元気に平常運転だねぇ」

光「こんなのに地球の命運が掛かってると思うと、心が壊れそうになるね!」

ピピピッ

飛鳥『こちらSRXチーム。二宮飛鳥少佐だ』

光「飛鳥!」


飛鳥『フフ……久しぶりだね、光。キミの活躍は聞いているよ、念動力も高まっているようで何よりだ』

光「ねん、どう……?」

艦長「飛鳥くん、緊急回線を使用したのだ。何か、急ぎの用なのだろう?」

飛鳥『はい。現在、ボクの部下達……SRXチームのメンバーが、エアロゲイターの大部隊と交戦中です』

艦長「エロゲイター……! 謎の異星人どもか!」

飛鳥『フフ……エアロゲイターです』

飛鳥『ボクも急行しますが、敵指揮官機は強力な念動力を備えるようで。ボクらのみでは』

艦長「分かった。至急、応援を向かわせる。光くん」

光「うん! 飛鳥! すぐ行くから!」

飛鳥『フフフ……待っているよ。光……』



……


ドゥン! ドウゥウン!
ピシューン!

紗南「466PK! T-LINK鉄山靠!!」

ドガァン!

ありす「チャクラムシューター、えいっ!」

キュィーン! バシュバシュバシュゥン!

ありす「ふん……私と出会った不幸を呪って下さい」

紗南「この調子なら楽勝だね!」

ありす「油断しないで下さい。敵の数が多いですから」

ピピッ

裕子『紗南! ありす! さらに敵の増援が来るよっ!』

ありす「了解です、大尉。あと、橘と」

紗南「確かにっ……これじゃキリがないね!」

バン! バババン!
ドガァン!

ありす「となれば……紗南さん」

紗南「あたしもそれを、考えてたとこなんだよね!」

ありす「はい。大尉、聞こえますか」

裕子『えっ? どうしたの?』

ありす「大尉の念動力で、敵指揮官機の位置を探れますか?」

裕子『う、うーん……』

紗南「見つけさえすれば、あたしがガツーンとやっつけて! このマップの勝利条件を満たしてソッコークリアしちゃうよ!」

裕子『うん、……やってみる!』


裕子「念動……集中」

裕子「ムムムン……! さいきっく、索敵!!」

キィ……ィィン


「……ふわぁ……あれぇ?」

「ほんの……ちょっぴりだけど…………ねんのちから……かんじるのー」

ピキィイイン!

「あー、わかったー……そこだねー」

ゴゴォオッ


裕子「ムムムン……ムゥン……!」

ピピッ

ありす『大尉! 大尉!!』

裕子「えっ? どうしたのありす?」

ありす『敵の大型機がそちらに!』

裕子「えっ……は、早い!? 念動フィールドッ」

こずえ「ふわぁ……おそいねー」グォオッ



紗南「させない! ブーステッドライホゥ!! 狙い撃つよ!!」

ズガァン! ズガァン!!

こずえ「あれー? ……なぁにぃ?」

紗南「っ! 効かない!」

裕子「こ、これはっ念動フィールド!? 敵の機体にっ!?」

こずえ「ふわぁ……じゃあー……さきにやるぅー?」

グォオオオッ

紗南「! こっちに来るっ」

ありす「紗南さんっ!」

紗南「かわせないならっ……飛び込む! T-LINKナッコォオ!」

ガキィイイン!!

こずえ「っ? なぁに……このかんじ……」

紗南「うっ!? 念が、逆流するっ! ぐ、ぁああっ」

こずえ「ぅ……ぅうー……あたま、いたいのー……われ、るの」

紗南「なんだ……これ? からっぽな……」

こずえ「ふわぁ……こずえ…………おにんぎょうなのー」

紗南「!?」


ありす「なにしてるんですか紗南さん! 早く離れて!」

ビシュンビシューン!

こずえ「うぅ……うっとおしいのー」

ズドォオン!

ありす「きゃぁあ!!」

こずえ「そっちも……めざわりだね……ばーんするぅー」

ドガァアアン!

紗南「うわぁああああ!!」

裕子「ありす! 紗南!! あぁあっ」

こずえ「ふわぁ…………あとは」


「ブーストナッコォオオ!!」

こずえ「!」

ドガァッ!

光「無事か!? SRXチーム!」

裕子「は、はいっ! さいきっくぱわーでどうにかっ」

こずえ「……また……あたらしいのー」

光「っ……なんて巨大な敵なんだっ」

こずえ「てきー? ……うん、やるぅー……やっちゃうよー?」ガシュン!

ズドォン! ズドォン! ドガァアアアアン!!

光「ぐぁああああっ! あっ……あぐっ」


P『光! くそっ雑魚が多くて、光たちに近づけねぇ!』

莉嘉『カブトムシさんいっぱいだよ!』

みく『そんな場合じゃないにゃぁあ!』


こずえ「ふわぁ……もうおわりー?」

光「ま、まだだっ……アタシは、諦めないっ」ヨロッ

ガキィイイン!



紗南「くっ……こうなったら」

ありす「まさか……紗南さん、」

紗南「アレをやるしかないよね……!」

ありす「でもっ危険すぎます!」

紗南「このままやられるぐらいなら! アレに賭けた方が勝機はあるんだ!! 頼むユッコ! SRXへの合体許可を!!」

裕子「……」

ありす(大尉……飛鳥少佐からは、合体禁止命令が出ていたはず……)

裕子「……いいよ。やろうっ!」

紗南「! 待ってました! そうこなくっちゃね!」


こずえ「……なぁにぃ? なにか、するのー?」


紗南「いっくよ! ありす! ユッコ!」

ありす「橘」

裕子「各機、ヴァリアブルフォーメーション開始!!」

ゴォオオッ

ありす「トロニウムエンジン出力調整!」

裕子「T-LINK、フルドライブ!」キィイイン!

ガシュン! ガシュゥン!


こずえ「ふわっ……おっきくなるの……いやー」グォオッ

光「ま、てぇ」ガシッ

こずえ「っ……しつこい、のも……いやー」


ドギャァアッ!

光「ぁ、が……はっ」ドサッ



ガシィイン! グォオオオオオッ

裕子「う、ぅううう……!」

紗南「天下無敵のスーパーロボットォ! ここにっ」

ガクンッ!

紗南「な、なにっ!?」

ありす「! T-LINKシステムの出力が安定しない! トロニウムエンジン緊急制御っ」

裕子「あぁっ! あぁあああ!!」

紗南「うわぁあああ!!」

ガシャアアアアアン……

紗南「う……く、だめ……バラけちゃった……!」

こずえ「ふわぁ…………こけおどしぃ?」


こずえ「……じゃあ、とどめー」

紗南「このっ! 動け! 動いてよ!」ガチャッガチャッ

ありす「……紗南さん、脱出して……大尉を連れて逃げて下さい」

紗南「なにをっ」

ありす「私が、時間を稼ぎます……」

紗南「なっ……そんな」

ありす「さぁ……こっちです!」

ビシュン! ゴォオッ

こずえ「まだやるのー……?」

紗南「やめて! 無理だありす! やめてよ!!」

ありす「紗南と大尉は、貴重な念動力者……それを失うことは、地球の敗北を意味します。……必ず、生きて」

ドガァアン! ボガァアアアン!

ありす「きゃぁああっ!!」

ありす(紗南さん……あなたを、死なせはっ)



……

紗南『あたしは三好紗南。よろしくね、軍人さん』

ありす『橘です。失礼ですが、あなたの階級は』

紗南『階級? ドラゴン組の天青賢者だけど』

ありす『???』

……

紗南『待って』

ありす『離して下さい』

紗南『さっきのあれはなに? ミッションクリアすればそれでいいっていうの?』

ありす『そうです。それが軍人というものです』

紗南『っ! ……熟練度の取得や各フラグの条件、隠しパーツのある場所だって踏んでなかったのにっ』

ありす『? ……??』

紗南『こちとら機械じゃないっ、人間なんだよ!!』

ポカッ! ペシペシ!

裕子『やめなよ! 紗南! ありすも!』

ありす『橘です』

紗南『ありすっ……あなたなんだって片手しか使わないの!』

裕子『紗南! ありすの左手はねっ』

ありす『橘』

紗南『左手……? 左手がどうしたっていうの?』

裕子『あるすの左手は……』

ありす『……』

……

ありす『まったく、実戦なら死んでますよ』

紗南『堅いこと言わないでよねー。同じ釜のごはん食べてる仲間じゃん?』

ありす『仲間……私が……?』

紗南『そーそー! スーパーロボットはチームワークが命だからね! 協力プレイってことね!』

ありす『はぁ……あなたが言うことですか』

紗南『それもそうかも……ま、まぁ! ありすがちゃーんとフォローしてくれるって、信じてるからさ! ね!』

ありす『全く……仕方ないですね。……えへへっ』

裕子『……ありすが、笑ってる?』


……

ありす(今まで私、名前が嫌いで……頑なだったかもしれません。でも……私らしさも大事って教えてくれて……)

紗南「やめてぇええ! どうしてっ……動いて! 動いてよR-1!! あなたは地球を……みんなを守るために造られたっ」

裕子「うっ……紗南……あり、す」

ありす「ありが、とう……」

ドガァアアアアアアン!

紗南「ありすーーーーーっ!!」


こずえ「ふわぁ……あとは」

P「やろぉ! お前の相手はこの俺だぁ!!」

ドガァアッ!



ゴォオオッ

飛鳥「……」

紗南「!! あれはっ……教官のR-GUN!! 助かっ」

飛鳥「ユッコ……やっぱりキミは欠陥品だったね」

紗南「え……」

飛鳥「スプーン曲げすら満足にできない念動力者では……いくらシステムで強化しても、所詮は飛ぶ鳥の真似事をする、哀れな魚に過ぎない」

裕子「少……佐?」

飛鳥「せめてボクの手で、苦しませずに葬ってあげよう……」ガション……

紗南「な、なにをっ」

飛鳥「フフフ……メタルジェノサイダー……」


飛鳥「デッドエンドシュート!!」

ズガゴォオオオオオッ!!

裕子「きゃあああああああああ!!」

ドガァアアアアアン!!


紗南「ゆ…………ユッコぉおおおお!!」

飛鳥「フフフ……フハハハハハ」

紗南「飛鳥っ……!」

飛鳥「そうだ……ボクを憎め三好紗南。そうすれば、キミの念動力はもっと強くなる」

光「うっ…………こ、これは、いったい」

飛鳥「フフ……目覚めたか。早起きなキミには珍しい、お寝坊さんだね。堀裕子と橘ありすは、もう始末してしまったよ」

光「な、に…………いったいっ……いったいどういうことだ!! 飛鳥!!」

飛鳥「フッ…………」



飛鳥『みんな聞け!!』

光「っ!?」

P『な、なんだっ』

飛鳥『ボクはっ』


飛鳥『エアロゲイターのスパイだーーーーーっ!!!』


未央「へっ?」

卯月「えっ……えっ?」

輝子「フヒッ!?」

みく「にゃんですとぉ!?」


飛鳥「フフ、目立ってるな、ボク」

光「は……? なに、いって」

紗南「飛鳥ぁあああ!」

飛鳥「無駄だ……今のキミ達では、ボクと戦えるレベルじゃないよ」

バキューンバキューン!!

紗南「ぐぁあああっ!」

光「うぁああっああ!!」

ボガァアアアアアアアアン!!



シュタッ!

ヘレン「へぇ……なら、世界レベルならどうかしらね?」

美嘉「可愛い後輩達にオイタくれちゃった落とし前は、つけてもらうよ」

飛鳥「フッ……キミ達の相手をする暇はない」


飛鳥「クロスゲートシステム……起動」

ギュィイイイイイン……シュパァアンッ


美嘉「っ!! 消えたっ!?」

ヘレン「転移反応すらなし……世界レベル、以上の技術ね……」



こずえ「ふわぁ……ひくのー? うん……わかったー」

P「待てっこの!」

コーチ『追わないで下さい!』

P「!? なに言って」

コーチ『味方の損害状況から見て、これ以上の戦闘は続行不可能です! ここで深追いすれば、分断された部隊は……壊滅します』

P「……くっ……そぉおおおおおお!!」ダンッ

コーチ『…………』




第五話

「再会、そして」



……



光(……生き、てる)

光(アタシは……グルンガストを、飛鳥に破壊されて……)

光「っ! みんなは!」ガバッ

ズキイッ!

光「ぁうっ……!」

紗南「まだ無理しないほうがいいよ。光」

光「う、うん……って、紗南!!」

紗南「おはー、久しぶりだね」

光「まさかとは思ったけど……あの機体に乗ってたの、紗南だったのか!? 今までどこでっ」

紗南「ごめんごめん、軍事機密がどーとかで連絡とれなくってさ。……あの日、ゲームの大会で優勝したあたしは、エアロゲイターの襲撃に巻き込まれてね」

紗南「そこで教官……飛鳥に助けられて、そのままスカウトされたんだ。才能があるとかなんとか」

光「……そうだったのか。飛鳥が……」

紗南「……エアロゲイターのスパイだった、って」

光「……」

紗南「あたし、今だに信じられないんだよね。……教官があたし達を騙してた、なんてさ」

紗南「変な人だけど、悪い人じゃないって思ってた」

光「けど……現実に」

紗南「分かってるよ。でも……ユッコなんて、初めて才能を認めてくれる人がーなんて喜んで、すごく仲良くしてたし…………認めたくないんだ」

光「……うん。それでも、認めないと。認めて……その上でどうするか考えないと」

紗南「はは、光は相変わらず正しいね。眩しくなっちゃう」

光「そんな……アタシはただ」

紗南「大丈夫。あたしだって、このままでいるつもりはないから」

光「……みんなは?」

紗南「怪我はしてるけど、無事だよ。あの戦闘の最中、ビームの雨あられをかいくぐって、助けてくれた人がいてね」

光「その人は……」

紗南「このカーテンの向こう。開けるよ?」


シャッ

麗奈「……別に、助けたくて助けたわけじゃないから、感謝なんて」

ガバァッ!

麗奈「ちょっえ!? な、なにいきなり抱きついてっ」

光「レイナぁ!!」

麗奈「え……?」

光「生きて……生きてたんだ……レイナ、よかっ、たぁ」グスッ

紗南(このリアクションの違いだよ。ま、いーけどねー)

麗奈「……ごめんなさい」

光「?……なんで謝るんだ?」

麗奈「アタシ……覚えてないの。何も……アンタのことも」

光「!? ……そんな」

麗奈「そこのやつにも言われたけど、アタシ達、友達だったんだって? でもごめん。アタシはなんにも覚えてないから。今日からは、赤の他人よ」

光「う、うそでしょ……また、いつものイタズラなんでしょ!?」

麗奈「……こんな悪質なイタズラをするやつだったの? アタシは。だとすれば、アンタ達よく友達やってたわね」

光「違うよ…………友達、以上だった」

麗奈「……え?」


光「レイナは、いつも」

麗奈「と、友達以上って、え? あ、それってまさか、そ、そうなの、へー、そっち……だったんだアタシ、へー」

光「嫌々言いながらも一緒にヒーローごっこしてくれて……親友、っていうか……聞いてる?」

麗奈「オーイエス! ヒァウィゴー! はいなんでしょう南条」

光「えっと……」

麗奈「ど、どこまでいったんだっけ?」

光「……話のことだよね? レイナは、どうしてたんだ。記憶喪失って、いったい」

麗奈「えぇ……アタシは、気がついた時には飛鳥に保護されててね」

光「! 飛鳥が……」

麗奈「そのままアイツの側にいたから、アイツが異星人の仲間だっていち早く知ることができた。けど、それを誰かに言っても信じてもらえないだろうし、こうやって駆けつけるしかなかったのよ」

光「飛鳥が……紗南や麗奈を助けてた……なんのために」

麗奈「さぁ? 念動力とか言う、インチキ臭い超能力の才能が。って話だけど」

麗奈「それだけにしては、アタシは操縦技術や戦闘訓練だけでなく、救助訓練や応急手当、簡単な手術の仕方まで叩きこまれたし」

光「しゅじゅちゅまで……?」

麗奈「えぇ、おかげで、撃墜された人達、ほとんどの治療をその場で終えれたけど」

紗南「それにさ、あの教官が、そう易々と秘密を暴かれるとは思えないんだよね。いくら側にいたからって」

麗奈「そう? 買いかぶりすぎじゃないの、あの変人を」

紗南「実際、あたしより長い付き合いのユッコやありすだって見抜けなかったわけだし」

シャッ

ありす「橘です」

シャッ


光「……とにかく、もう一度、ちゃんと向き合ってみないことには、何も分からない」

麗奈「向き合うって、アイツは敵なのよ?」

光「だからこそさ。真正面から、ぶつかって、聞き出すしかない」

麗奈「はぁ……アンタがアタシなんかと付き合ってた理由、分かった気がするわ」

光「……?」

麗奈「とにかく、まずは療養すること。アイツの目的を確かめるのは、それからよ」

光「……うん!」

紗南「あたしも、一緒にやるね! ファイトー!」

「「オオーーー!」」

シャッ

ありす「うるさい」

紗南「あ、ごめんちゃい……」



……

コーチ「高速飛行物体を探知!」

艦長「このタイミングでっ……敵か!?」

コーチ「まって下さい……こちらに通信が」

艦長「メインモニターに回したまえ!」

ピピッ

『あ、あの~すみませ~ん、お訊ねしたいことがあるんですけど~』ドタプ~ン

艦長「おわっ……」

コーチ「おお……」

『あずさ! 顔が映ってないにゃ!』

『カメラはこっち! しっかりしにゃいと!』

あずさ『あらあら~えっとぉ、それでですね……』

あずさ『ここって、どこなんでしょうか~』

艦長「……あー、その前に、あなたとそのマシンはいったい」

あずさ『あ、申し遅れました~私、魔装機神の操者で、異世界から来たんですけど……あ、私自身は、地上の生まれなんですけど~』

コーチ「は、はぁ……」

……

艦長「……つまり、貴方はそのグランゾンという機動兵器を追ってきたが、地上で迷子になってしまい、我々に道を訊ねた、と」

あずさ『そうなんです~。ウィ、とか言って、やたらセレブな人なんですけど~、あ、それとは別に、運命の人も探してるんですけどね? そっちはまだ影も形も』

みく「失礼しまーす。発掘された新型ロボットの件でコーチに話が」

『いいから話を進めるにゃあ!』

あずさ『あらあら~それもそうねぇ』

みく「」

みく「た、大変だにゃあ……ねこ語で、しかも二匹の猫にアテレコしてる腹話術だにゃんて……か、完全に負けてるにゃ……みくのアイデンティティがクライシス帝国だにゃあああああああ……」ガクガクガク

『オイラたちはネコじゃないにゃあ!』

あずさ『ねこねこにゃんにゃん♪ねこにゃんにゃん』

『だから、違うってにゃ……』



……

ウ~! ウ~! ウッウ~!


光「どうしてなんだ博士! もう怪我は治ってるのに、出撃できないなんて!」

晶葉「問題は君らの身体だけではないんだよ。今は他のみんなに任せて」

紗南「機体の修理だって完全に終わってるじゃん! 飛鳥や、あの大型機ともう一度戦うために、すぐにでも勘を取り戻したいのに!」

晶葉「すまない。私にはどうにも……」

麗奈「……飛鳥が開発に関わった機体だからね?」

光「! それって」

ありす「裏切り者が作ったものを、そのまま使うわけにもいかないでしょう」

麗奈「そうね。アタシなら自爆装置とか暴走機能とかつけて、戦いの真っ最中に発動させるわ」

紗南「飛鳥は、そんなことっ……」

ありす「そんな飛鳥が、私達を撃ったんですよ」

紗南「それは……」

晶葉「SRX計画の機体……紗南達のRマシンと、グルンガスト弐式、エクスバインには、私の知識と技術をもってしても解析不能なブラックボックスが積まれている。それがもし……」

光「博士なら、きっとすぐ開けられるよ。そんな箱」

晶葉「しかし……」

光「けど、今はアタシを……飛鳥はこの、スーパーロボット達に危険なものは仕込んでない、っていうアタシの勘を、信じてくれないか?」

ありす「なに言ってるんですか! もし何かあって仲間を巻き添えにしたら、責任をとれるんですか!」

紗南「でもそんなことするぐらいだったら、もっと大規模な破壊工作とかもできたんじゃないの? 教官はSDFでも結構な権限持ってたんでしょ?」

ありす「それはっ……そう、かもしれませんけど」

麗奈「あのタイミングでの唐突な変わり身。ただの破壊とか侵略じゃなく、何か裏に目的があるのは間違いないけど。……アタシ、手をこまねいてるのは好きじゃないの。できることがあるなら、全てやるわ……どんな手段でもね。ね? は、か、せ?」

晶葉「……この世界的な天才博士を脅そうとは、いい度胸だ。だが何をされようと」


「えー? こんな可愛い子達にお願いされてるのに、聞いてあげないのかい?」

晶葉「っ!? ……誰だっ!」


真「よかろう。ボクの名は、可愛らしきマッコカラルド」

晶葉「こ、こいつ……使徒と素手でやりあった……!!」

ありす「敵の侵入です! 直ちに排除を!」

真「そのロボットの封印を解くつもりなら、手伝ってやろうか?」



真「ただし…………マコマコリンだぞ?」


光「なんだと……!」

麗奈「ほんとに何よそれ」


真「すぅー…………マッコマッコリーン!!」キャッピピピーン!


ドッガァアアアアアアアアン!!

晶葉「うわぁああっ!」

ありす「きゃぁあああ!」

光「うっ……アタシのグルンガストがっ!!」

麗奈「エクスバインまで、バニシングしちゃった……!」

真「さて、お次はそちらのロボットを……っ!?」ババッ

ガキィイイン!

真「っ……貴様はっ」グググッ

コーチ「……させません」ガシッ


光「こ、コーチ!」

コーチ「ここは私に任せて、お二人は機体の方へ」

麗奈「機体ったって、たった今粉微塵にぶっ壊れちゃったわよ!?」

コーチ「お二人に……ピッタリの新機体があります。奥の第二ハンガーに。そちらへ」

真「ボクを目の前にしておしゃべりとは……愚かなり!」

コーチ「!!」

真「マッコマッコリーン!!」

コーチ「ぐぅうっ……!」ズササッ

真「マコマコリンを耐えた……! よもや貴様、不死身のっ」

コーチ「……お二人とも! 早く!!」

光「……分かった。行こう! レイナ!!」

麗奈「あぁっもう! 分かったわよ!!」

タッタッタッタッタ……

コーチ(……忘れないでください……特訓で伝えたこと。あなた方ならば……きっと)



……

光『コーチ! アタシを鍛えなおしてくれ!』

コーチ『? 南条さんは、充分、自己鍛錬を積んでおられると思いますが』

光『それじゃ足りないんだ……アタシには、まだなにか』

コーチ『……それでしたら、小関さんと一緒に』

光『レイナと?』

コーチ『はい。連れてきて、いただけますか』

……

麗奈『なんでアタシが……』

コーチ『一人一人が小さな火でも、二人が合わされば炎となります。……炎となったお二人は…………無敵です』

麗奈『……アタシ、アイツのこと忘れちゃってんのよ。アイツは、すっごく親しげに話しかけてくれるけど……でも、かえってアタシ、それが』

コーチ『……こぼれた水は、またくめばいい』

麗奈『!』

コーチ『違いますか?』

麗奈『……』

コーチ『取り戻すのではなく、新しく、積み上げて下さい。新しいお二人を。それが』



……

麗奈(それがきっと、アタシ達のチカラになる……!)

光(ダンスゲームで息を合わせるとか、技の発声練習とか、テレパシーでお互いの下着の色を当てろだとか、変なことばっかりやらされたけどっ)

麗奈(全部、全部が……!)


光「! これか! ……龍の、ロボット!」

麗奈「こっちは虎ね……行くわよ! 光!」

光「おう!」

シュバッ!

ギュィイイイイイン……


光「分かる……お前のことが、自然と理解できる」

麗奈「そうね、この子達は、永い間待ってた……アタシ達のことを」


光「天を駆けろ! 龍王機!!」

バサァッ! ゴォオオオオッ!!

麗奈「地を奔れ! 虎王機!!」

ダンッ! ダダッダダッダダッ!


光「いっけぇ! ドラゴンカッタァーッ!」ジャキンッ

ズガァッ!

麗奈「くらいなさい! タイガーファング!!」グオオッ

ザシュッ!

P「あれはっ……光なのか!?」

亜美「あー! 新型だよ! いいなぁ~」

真美「真美達ずっとキサラギだもんねぇ」

乃々「また一緒に戦えるんですか……そうですか、その、嬉しいんですけど……」

光「あぁ! 一緒に地球を守ろう!」

麗奈「そーいうの後にしなさい! デカブツが来るわよ!」


巨大敵「グォオオオオオオ!」

P「っ……こいつは厄介そうだぜ!」

光「……レイナ! やろう!」

麗奈「言われなくてもっ分かってるわよ!」

光「必神火帝……」
麗奈「天魔降服!」

光麗奈「「……龍虎合体!!」」


ギュォオオオオオオオッ!

ガシィイイイイイン!!

光「龍虎王! 見参!!」バァーーン!!

巨大敵「グオォオオ……!」

P「敵が、怯んでる……!?」

麗奈「やっちゃいなさい!」

光「うんっ! ……龍王破山剣!」スラァッ

光「はぁあああああああっ!!」


ズバァアアアアアアッ!!

巨大敵「グッ……ガァ……」ガクッ

ドサァアッ……



P「す、すげぇ!」

凜「へぇ、一撃でなんて、やるじゃん」

ヘレン「世界レベルね」


麗奈「その……やったわね、光」

光「うん! レイナのおかげだよ!」

麗奈「……ばぁか。……かっこよかったわよ」

光「? うん、ありがとっ!」

麗奈「……///」



……

律子「敵、全機撃墜確認しました」

艦長「侵入者はどうなった?」

コーチ『いい、ところまでいったのですが……取り逃がしてしまいました』

艦長「いや、撃退できただけで御の字だよ。よくやってくれた」

コーチ『はい。ではブリッジに戻ります』

艦長「うむ。……しかし、ハルシュタイン軍の幹部に、生き残りがいたとはな……」

律子「最終決戦で、キサラギ以外の機体は破壊されたと聞いていますが」

艦長「生身でもあれだけやるとはね……認識を改める必要がありそうだ」




第六話

「アタシらしく」



……

-エアロゲイター旗艦


カツ……カツ……カツ……

飛鳥「……相変わらず、殺風景な場所だ」


ちひろ「あら、飛鳥さん。おかえりなさい。気力体力の回復するドリンクはいかがですか?」

飛鳥「必要ない。……指令はどこだ」

ちひろ「さぁ、お見かけしてませんけど……多分まだ調整室でお休みに……あ、今のうちにあの不気味な仮面、引っぺがしちゃいますか? 素顔、気になりますもんね」

飛鳥「……偽りの素顔などに興味はないよ」

ちひろ「そうですか……? あの仮面、好きじゃないんですけどね。まるで機械人形みたいに表情のない作りで……」

飛鳥「……」

ちひろ「よほどブ男なんでしょうか?」

飛鳥「……あれは、男ではない」

ちひろ「え?」


こずえ「ふわぁあ……」

ちひろ「あ、起こしちゃいましたか? 戦爵」

こずえ「……くるのー……」ムクリ

ちひろ「来る……?」

飛鳥「……」ピッ……ピッ

飛鳥「どうやら、SDFの艦隊が地球を出たようだ。こちらに向け、打って出る気らしい。……フッ、愚かなことにな」

ちひろ「なるほど。戦爵の念動力がそれを察知したんですね」

こずえ「こずえ…………やるぅー……」

ちひろ「迎え撃つんですか? それじゃお着替えしましょね」

こずえ「……うんー……たたかうー」

パサッ……カション、パチッ

ちひろ「サイコクラッチ接続確認。ジュデッカとのリンクを開始……っと」

こずえ「ぅ……うぅう…………あぁ」

ちひろ「戦うことがあなたの使命……あなたの役目……それが星を救うことに繋がる」

こずえ「……たた、かぅ……」

ちひろ「弱い敵は、ころしちゃいましょうね」

こずえ「ぅ……ん……ころすー……」

ちひろ「そして強い敵は…………我らバルマーのものにしちゃいましょうね」

こずえ「つよいの…………ものー……?」

ちひろ「あなたと同じ、お人形さんにするのよ」

こずえ「おにんぎょう…………こずえ、おにんぎょう……」

ちひろ「ふふふ……いいわ……それでいい」


飛鳥(……SDF艦隊の中心は、おそらくスーパーロボット軍団……光や紗南達だろう)

飛鳥(こずえの枷……そしてボクの因果の鎖、お前達ならば……)

飛鳥「うっ……ぐぅっ…………ボク、は……」

飛鳥「…………再調整を、受け、なくては……」



……

ズガーン! ババババ!
ドォーン! ドタプーン!


あずさ「え~い! 魔法剣、エーテルちゃぶ台返し~……なんちゃって」ズバァーッ

裕子「ムン! さいきっくレーザーキャノンです!」ビビィーッ!

ズドォン! ドガァアン!

ありす「大尉、もう戦場に出て大丈夫なんですか」

裕子「うんっ! 私だって、ちゃんと向き合わなきゃって思うし……あの子達の頑張りを見てたら」


麗奈「来るわよっ……左!」

光「オーケーレイナ! てやぁあああ!!」ブォンッ

ズガァアアッ!


ありす「……そうですね。でも無茶はしないで下さいよ。本調子ではないこと、知ってるんですよ。私の作った料理だって残してましたし」

裕子「えー、えっとそれはー」

ありす「Rマシンも、戦力が必要だからって封印解除されましたけど、ブラックボックスは依然未解明……出力を上げたらどうなるか」

裕子「大丈夫! 私だけで突っ走ったりしないから。ちゃんと二人を頼らせてもらうよっ! 私達、チームだもんね」

ありす「はい……そうですね」

紗南「PPPPPP! 明日のために打つべし打つべぇし!!」

ありす「紗南さん! 言ってる側から前に出て……チームワークというものをですね!」


キキィイン!

裕子「っ……!? …………この感じ……来る!!」

ありす「え……?」

ピピッ

コーチ『新たな敵部隊が接近中。……エアロゲイターのものと思われます』

紗南「! なら……飛鳥が!」

ゴォオッ

ありす「あっもう! また勝手に!」

裕子「行こう! 紗南をサポートしよう!」

ありす「……仕方ないですね」


光「エアロゲイター……」

麗奈「行くんでしょ?」

光「でもっ」

P「ここは俺達に任せな!」

輝子「フ、フヒ……突破するなら、え、援護するぞ……」

光「……ありがとう。行ってくるよ!」

ゴゴォッ


李衣菜「敵が光達の背後を狙ってる!」

みく「させないにゃ!!」

乃々「二人はっやらせないんですけどっ……!」

ババババババ! ビシューン!
ドガァアアン!



……

紗南「あれはっ……!」

裕子「あの時の、大型機!?」

ありす「指揮官機が先陣を切ってくるなんて!」

紗南「……私がぶつかってみる」

ありす「なにをっ」

紗南「やらせて! ……気になることがあるんだ」

ありす「……分かりました。紗南さんを先頭。フォーメーションRで敵大型機と交戦に入ります!」

裕子「了解っ!」

紗南「うおー! いっくよ!」


こずえ「ふわぁ……みつけたのー……」

ありす「ハイゾルランチャー、シューッ!」

ズゴォオオオッ!

こずえ「? 当たらないよー……?」

ありす「これは牽制っそして!」

紗南「そのビームに乗って! 私参上!!」

こずえ「ふわっ」

紗南「T-LINKっ」

こずえ「だいいちじごくー? ねみーなー」

ギュォオオオッ

紗南「なっ……うぁああっ!?」

ありす「紗南さん!」

裕子「!! T-LINK……コンタクトッ」



……

紗南(……こ、こは?)

紗南(暗い……寒い…………あたし、死んじゃったの?)


「えーん……うぅう、うわぁあん」

紗南(……誰か、泣いてる……? 誰っ?)

「やだよぉ……もうおくすりやだ……」

紗南(この……声)

「あたま、いたいよぉ……こわいよぉ」

紗南(あれはっ)

「こずえのあたま……かきまぜないでっ……いやぁああ」

紗南(……っ! あの子)


お前は人形なんだ。我々の研究のための。人間ではない。

「ちがうよ……こずえは」

お前はただの実験体……道具……空っぽの、人形

「ちがうっ……ちがう、ちがう」

人形……人形…………中身のない人形……人間ではない……人形

……人形

……

紗南「や、めてぇええええええ!!」

裕子「紗南! 気がついた!?」

紗南「え、私」

裕子「よかった……さいきっく呼びかけが届いたんだ……」

ありす「……気を失って、どうなることかと思ましたよ」



こずえ「あれぇー……ねみーなで……ねなかったのー?」

紗南「! やっぱり、そうだ」

ありす「なにが……」

紗南「ありす! 少しの間でいい、あれの動きを止めて!」

ありす「橘と。しかし……また無茶を」

紗南「ユッコは、私のT-LINKと、敵の念動力の周波数を合わせて!」

裕子「精神感応する気!? そんなことしたらっ」

紗南「大丈夫! 私を信じて!」

裕子「……分かりました。リンク開始……私のマシンをパイプにして、二機の念を繋ぐっ……!」


こずえ「ふわぁ……なぁに……?」

ありす「ビームチャクラム!」

ビュィインッ

こずえ「きかないよー……」

紗南「うぉお!」ガシィッ

こずえ「……だいさんじごくー」

紗南「させないっ! T-LINK頭突きぃ!」

ゴチン!!

こずえ「あぅっ……」


紗南「私の声を聞いて!! あなたは、操られてるんだ!」

こずえ「ふわぁ……?」

紗南「今のあなたは本当のあなたじゃない!」

こずえ「ぅ……うぅ……あたま、が」

紗南「あなたはお人形なんかじゃない! 生きた人間だよ!!」

こずえ「にん、げん……こずえは、にんぎょう」

紗南「違う!! 人間を……誰かの都合のいい道具なんかにしていいはずない!!」

こずえ「……こずえ、は」

紗南「あなたは人間なんだよ!!」

こずえ「ぅうう……うあああぁあっ」

裕子「こ、これ以上はっ」

ありす「洗脳か何か、ですか……なら、今のうちに敵機体を破壊して! 物理的に救出するしか!」

紗南「! ならっ……T-LINKナッコォ!」

こずえ「あぁあああぁあっ」グォオオオンッ!

ズガァアアアン!

紗南「うぁああっ!」

ありす「っ……暴れだした。錯乱してる」

裕子「きゃああっ」

こずえ「にんぎょ、う……こわす……ころす……こず、えはっ」

ズガァン! ボボォオオン!

ありす「あぁあっ! こ、このままじゃ、また」



裕子「……合体しよう」

紗南「!」

ありす「無茶ですっまた失敗したら!」

裕子「私も紗南も、今日まで何もしてこなかったわけじゃない。……やれる。今度こそ!」

裕子(そして……私が、道具なんかじゃ、欠陥品なんかじゃないってことを)

紗南「……やろう」

ありす「…………仕方ないですね」


紗南「ヴァリアブルフォーメーションだっ!!」

こずえ「ぅ、ぅう……ふ、ぁ……?」


ギュィーン……ガション! ガション!!
グォオオオオッ

ガキィイイイイン!!

紗南「天下無敵のスーパーロボットォ! ここに見っ参!!」



ありす「や、やった!? トロニウムエンジン、出力、80%で安定っ」

裕子「ぅ、ううっ……T-LINK、フル稼動……成功!!」

紗南「やれる……やれるよっ! うぉおおおおっドミニオンッボォオオル!」

キュィンキュィイン!

こずえ「ぁ……ぁあ……」

紗南「3KG6P466PKっ……天上天下!!」

こずえ「つよい……の……もの」

紗南「念動! 爆砕剣!!!」

ギュガァアアアアアアアアアアッ!!

紗南「……念動爆砕!」


ボッガァアァアアアアアアアン!!!

ありす「……敵機のコクピットブロック、回収しました」

裕子「やった……」

紗南「くぅう……とうとう合体できたね! それにこの子も助け出せたし……勝利条件達成だわー!」

ありす「はいはい……ふふっ」



……

飛鳥「……こずえを倒したか」


光「飛鳥!」

麗奈「見つけたわよ! さぁ、アンタもとっ捕まえて、きっちり吐いてもらうんだから!」

飛鳥「フフ……このアストラナガンに、敵うとでも?」

光「アストラ、ナガン……それがその、黒い機動兵器の名前」

麗奈「まるで堕天使ね。アンタ好みのイタいメカでお似合いよ!」

飛鳥「心外だね。この機体は、キミ達地球のロボットに使われた技術……その全てを取り入れたものなんだよ? 言わば、地球のスーパーロボットを一機に結集した、究極の機動兵器」

光「それを作り上げることが、飛鳥の目的だったのか!?」

飛鳥「……それは違うよ」

麗奈「なら、なんだってのよ! アタシ達を助けたり、SRX計画のロボットを造ったりして、挙句に離反して究極のロボット? アンタいったい、なにがしたいの!?」

飛鳥「……ボクの目的、それは」



飛鳥「…………ヒーローを創ることだ」


光「ヒーローを、つくる……?」

麗奈「はぁ?」

飛鳥「ロンドベルのスーパーロボット、そしてキミ達を、この世界のヒーローに仕立て上げ……そしてその全てを支配し、操る」

麗奈「なんですって……」

飛鳥「希望の象徴たるヒーローを操れば、それに追従する全ての人間を操ることも容易い……人間なんて、所詮はその程度の愚かな生物。全て人形として、全能の調停者が支配するべきなのさ」

光「そんなことっ」

飛鳥「南条光」

光「!」

飛鳥「キミを、理想のヒーローとしてその中心に置く」

麗奈「光が……理想のヒーロー?」

光「なんで、アタシが……」

飛鳥「キミ、だからこそさ」

光「なにっ……」

飛鳥「フィクションのヒーローに憧れ……しかし戦火に友人を失い、現実のヒーローに失望したキミだからこそ」

光「……」

飛鳥「キミならば、人々が求めるヒーロー像を示し続けることができる。人間性を捨て……ただただ理想のヒーローであり続けることが、ね」

光「アタシが…………ヒーローに」


麗奈「ふざけんじゃないわよっ!!」

光「!?」

麗奈「他人の勝手なイメージを光に押し付けて、ヒーローにしようだなんてっ……光はアンタのおもちゃじゃない! 人間なのよ!!」

飛鳥「……フフフ」

麗奈「何がおかしいの!?」

飛鳥「ならその人間味はどこにある?」

麗奈「!?」

飛鳥「決してくじけず、己に厳しく、仲間を励まし、人々に夢や希望、笑顔を届け、守る……偶像」

飛鳥「そうありたいと願い、そうあろうとしているのは、他でもない光自身だ。……完璧なヒーロー像しかもたないキミの、どこに人間味がある?」

飛鳥「…………それはもう、ただの人形だよ」

光「アタシは……」

麗奈「光っ」






光「アタシは、人形じゃない」

麗奈「!」

飛鳥「へぇ……なぜだい」

光「確かにアタシは、ヒーローがいないなら、自分自身がヒーローになろうって……そう思った。理想のヒーローであろうとした…………けど、」

光「アタシが憧れてた、ヒーローだと思ってた人達だって、迷い……悩み、傷つき倒れ、くじけて泣いちゃったりする…………人間だった」

光「普通に生きてたアタシ達と、何も変わらない……」

光「アタシだってそうだよ。飛鳥が、知らないだけ」

飛鳥「……」

光「みんなと楽しく遊んだり、おいしいもの食べて、特撮やアニメ見て、笑って……ヒーローごっこして、……恋だって、まだ分からないけど……いつかきっと。だから」


光「アタシは、人間だ」

光「飛鳥の思い通りにはならない!!」


飛鳥「フフフ……そうだ。それでいい」

麗奈「アンタのくだらない野望なんてアタシがぶっ潰してやるわ! 行くわよ虎龍王!」

飛鳥「誰も逃れられん……私の繰糸からは、誰もな……」

光「……!?」

麗奈「やぁあっ! ランダムスパイクッ!!」グォオッ

ドガッバギィイッ!

飛鳥「ゆけっガン・ファミリア!」

キュインッ……バキュンバキューン!!

麗奈「ちぃっ! だったら、ソニックジャベリン!!」

飛鳥「ゾルオリハルコニウムソード!!」

ガキィイイン!

光「……レイナ! アタシに換わってくれ!」

麗奈「なによ! あんなこと言われてすぐ、出しゃばってヒーロー面する気!?」

光「そうじゃないんだ……試したいことがある! 頼む!」

麗奈「……チッ、なら……しくるんじゃないわよ!」

ガキュィン!

光「龍虎王! 推参!」

飛鳥「無駄だ……T-LINKフェザー!」

キュィンキュィン!!
ボガァアン!

光「うぐっ……」

麗奈「ちょっと光!」

光(紗南達にやれたんだ……アタシだって!!)

キィイイイン!


麗奈「! なに? 念動力がリンクして」

飛鳥「うっ……ぐ、ぅ」

光「飛鳥! 聞こえる!? 飛鳥!!」

飛鳥「な、にをっ」

光「ヒーローを操り、支配する? そんなの、飛鳥らしくない!」

飛鳥「なん、だと……」

光「だって……」

光「飛鳥だって……ヒーローだろ!?」

飛鳥「っ!」


飛鳥「うっ……ぐ、ぅああっ」

バシュゥウンッ!


光「消えた……?」

麗奈「チッ、逃がしたわね……」

ピピッ

コーチ『全員、すぐに帰還して下さい』

光「コーチ……?」

律子『エアロゲイターの母艦が……こちらに向かっているわ』

光「!!」




第七話

「この星の明日のために」



……


仮面『地球人の諸君、ごきげんよう。私がゼ=バルマリィ帝国監査軍……君達がエアロゲイターと呼ぶものの、司令官だ』

艦長「……通信を行うということは、話し合いの余地があると見てよいのかね?」

仮面『フ、フフフ……それは違うな』

仮面『話し合いの余地などない。なぜなら……』


仮面『今からお前達は、我々バルマーのものとなる』

艦長「なんだとっ」

仮面『そして我々のために手足となり……宇宙怪獣や巨大な異星人と戦うのだ』

コーチ「……同盟を結んで、共に戦うことはできないのですか」

仮面『戦う力ばかり発展させ、争うことしか能がない下等生物となど、対等に手を組めるか』

コーチ「……」

艦長「断る……そう言ったら?」

仮面『フフ……力づくでも、と』

艦長「……総員発進。前方のエアロゲイター艦隊を迎撃せよ!」

仮面『それが答えか……愚かな地球人らしい選択だ』

仮面『いいだろう……今度こそ、私がこの宇宙の神となる。そのためにお前達を捻じ伏せてやる……!』



……


タッタッタ……

紗南「博士っ!」

晶葉「来たか。SRXチーム。そして光、麗奈」

麗奈「ちょっと! 他の連中はもう出撃して敵と戦ってるのよ! なんでまたアタシ達だけっ」

晶葉「落ち着け。大事な話なんだ。……この決戦の行方を左右するかもしれん」

裕子「そ、そんな重責が私達に……?」

紗南「話の前に……あたし達が助けた、あの子は?」

晶葉「あぁ、心配いらない。投薬や実験の痕はあったが、健康体だ。ほれ、今あそこで」


美嘉「んー! 可愛いでちゅねーこずえちゃんっていうの?」ハスハスクンカクンカ

こずえ「ふわぁ……こずえ、おきがえするのー……」

美嘉「そうなの? いいわーお姉ちゃん手伝ってあげちゃう★ぐへへ」スリスリペロペロ


光「……うん! 元気そうだな!」

紗南「大丈夫なのかな……あれ」

麗奈「っていうか美嘉はエースなんだから出撃しなさいよ!」


晶葉「さて、本題だが……つい先程、この艦に向けて敵艦隊方面から荷物が届いた」

紗南「!」

麗奈「まさか爆弾!?」

晶葉「いや……R-GUNだ」

裕子「えっ……!」

晶葉「それも完全に整備された状態で、不審なパーツ等も一切ない」

ありす「それってつまり……」

紗南「メタルジェノサイダーモードで、SRXのトロニウムバスターキャノンが使えるんだね!」

晶葉「その通りだ。そして……君らの機体にあるブラックボックス、解析が終了した」

光「……結果は?」

晶葉「念動力者同士の、精神波感応装置……相手の深層心理に呼びかける装置」

晶葉「平たく言えば、洗脳解除マシーンだ」

光「!!」

裕子「それで、あの子を救うことができたんですね……」

晶葉「もちろん、念動力を持つ者同士でなければ使えないがな」

光「飛鳥が……それを仕込んだ理由」

裕子「そしてR-GUNを託してくれたわけ」

紗南「……行こう! あたし達で!!」

光「うん! 必ず、飛鳥を……!」



……

ズガァアアアアアアアアアアッ!!!


P「うわぁああああああああっ!」

亜美「うあうあ~強すぎっしょ! 隙が全然ないYO~」

真美「確かに、好きにはなれそうもないね。あの不気味な仮面」


仮面「フフ……私はこの宇宙の因果律を束ねる神となるのだ。お前達ごときでは、な」

ヘレン「世界レベルの力でも、苦戦するなんて……!」

あずさ「困ったわ~」


ゴォオオオオッ

紗南「みんなー! 無事!?」

光「遅くなってごめん!」


みく「紗南チャン! 光チャン!」

李衣菜「SRXと龍虎王がいれば百人力だぜ!」


仮面「フフ……そうはいかない。お前達の相手は、こいつだ」


飛鳥「…………」

紗南「教官っ!」

光「紗南……ユッコ、レイナ」

裕子「はいっ!」

麗奈「ったく、しょーがないわね」

飛鳥「……ゆけ、ガン・ファミリア」

ありす「来ます!」

紗南「ハイフィンガーランチャー!!」

光「急々如律令! 異山召喚!!」

ビギュゥーン! ドゴォオオン!

飛鳥「! アキシオンバスター!」

ズガァアアアアアッ!

紗南「今だ! 光!!」

光「うぉおおおおっ!」ガシッ

飛鳥「!? なにをっ」


光「思い出して! 飛鳥!! 本当の自分を!!」

飛鳥「本当の……ボク?」

麗奈「T-LINK、フルコンタクトッ!」

キィイイイインッ

飛鳥「ぅ、ぅうっ……ぼ、ボクは」

光「飛鳥は、本当は優しい心を持ってる! だって、レイナを助けてくれた! ありすやユッコを殺さなかった! アタシをヒーローにしてSDFを自分のものにするだけなら、そんなの必要ないハズでしょ!?」

飛鳥「っ……ボク……ボクは、いったい……」


『ボクは、いったい誰なんだ。なぜ……』

『フ……まぁ、自分が何者か、なんて、本当に解っているやつなんて、いないのかもしれないけどね。そういう意味では、ボクも同じ年頃の少女と変わらない、自分探しに逃げ込むモラトリアムな』

キィイイイイイインッ


飛鳥「ぅ……ぁあああっ」

光「飛鳥っ!!」

飛鳥「…………ボク、たちは……この、宇宙に生きる者はみな……弱い、存在」

光「!?」

飛鳥「戦いは……他者と、するものではない。自分自身の……心と、」

飛鳥「う、ぐぅううっ……ボクらは、……世界の因果よりも、ずっと強く、結び……ついて、あぁあああああっ!!」

キキィイイイン!!

光「飛鳥!! 飛鳥! どうしたんだ!?」

飛鳥「……光、か」

光「飛鳥……? 正気に戻ったのか?」

飛鳥「フッ……やはり、また会えたね」

光「え? どういうこと?」

飛鳥「……そうか。それもそうだ。この世界での記憶は」




仮面「ばかな……やつに対して、私の持つ因果の鎖は絶対のハズ……! やつと私は」

飛鳥「それ以上のものが、ボクにあったということさ」

仮面「っ……おのれぇ」

飛鳥「この世界でも、キミを倒すのはボクの役目だ!!」

光「よし! やろう!! みんな!!」

紗南「うぉおおお! いっくよ!!」


仮面「えぇいまだだ! 私とこのジュデッカの力があればぁっ!!」


P「さ、せるかよっ……うおおおおっ」ヨロッ

仮面「こいつっまだ!?」

P「地を裂き……海を割りっ、全てを導くこの拳ぃいっ」

P「ビックプロデューサァアーッパァーンチ!!」


ドゴォオオオオオオン!!

仮面「ぬぅうっ小癪なっ!」


未央「今だよ! しぶりん! しまむー!」

凜「ペダルを踏むタイミング、合わせて!」

卯月「はいっ頑張ります!!」

「「フラ、イド、チキン!!」」

卯月「新っ! シャァインスパァアアアアアアアク!!」


カッ……チュドォオオオオオン!!

亜美真美「「キサラギィコレダー!!」」キーラーリーレーラー!

みく李衣菜「「スーパーイナズマキィイイイイイック!」にゃ!」ズガァアアッ!


仮面「ぐぉおおおおっ……ば、ばかな、この私が、全能の、調停者である……この」

光「龍王破山剣っ!!」

仮面「っ!!」

光「逆鱗だぁあああああああん!!」

ズバァアアアアアアッ!!

仮面「がぁあああっ!? おのれっおのれおのれおのれぇえ!」

仮面「この宇宙でも、因果から、逃れ、られぬとっ」

ありす「トロニウムエンジンフルドライブ!!」

裕子「紗南! トリガー預けたよっ!」

紗南「超必殺……天上天下ッ……一撃必殺砲!!!」


ギュォオッ……ドガァアアアアアアアアアアアアアアッ!!!


仮面「うをおぉぉおおぉぉぉおおおおおおおおおっ!!??」

仮面(こうなれば……パラダイムクロスゲートシステムを使って!!)

ギィイン!!

仮面「な、なんだっし、システムが、いうこと、をっ」

飛鳥「……逃がさないよ」

仮面「!!?」

飛鳥「廻れ! インフィニティシリンダー!!」ギュィイイイイインッ……!

飛鳥「さぁ……虚無へ還れ」

仮面「や、やめろぉおおおおおおお!!」

飛鳥「デッドエンド……シュート!!!」





チュドォオオオオオオオオオン!!


パリィイイイイインッ

??「が、はっ…………」

光「あの顔っ」

??「ただの……人形にすぎないハズの……お前が、な……ぜ」

飛鳥「……」

飛鳥「確かにボクらは……時に、人々の願望を受け止める偶像<idol>かもしれない」

飛鳥「けど、ただ意のままに操られる人形<doll>ではない!!」

??「な、にぃ……!? なぜっ、なぜだぁ!」


飛鳥「…………そこに、<i>があるからさ……」

??「っ…………!」


シュパァアアアアアンッ……



飛鳥「……この世界での因果……断ち切ったぞ。二宮……飛鳥」



紗南「勝った……?」

麗奈「そうよ……勝ったのよ! レイナサマ大勝利よー! アーッハッハッハッハッハグッ……げほっ!」

光「あははっレイナってばまた、」

麗奈「な、なによっ」

光「……ううん。帰ろう! ……アタシ達の、あの地球(ほし)へ!!」




……

これで、脅威の全てが去ったわけではない

またきっと……みんなで戦わなければいけない日がくる

きっと

みんなで立ち向かうべき敵は、現れ続ける


けどアタシ達は、それに負けたりしない

時々くじけたり、へこんだり、間違ったりもするけれど

そのたび、また立ち上がっていけるんだ


だって……



本当に戦うべき敵が、自分自身の中にあるように、


ヒーローも、一人一人の心の中に

必ず、いるはずだから…………







END




ここまで読んで下さった方は、本当に有難うございます。


前作
二宮飛鳥「フフフ……スーパーヒーロー作戦」

もよろしく!

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