一夏「ごほっ……ごほっ……」(58)



内容は1期のアニメを見た後に書いてた物を
最近、発掘して続きを加筆しました。更識姉妹は登場しません。
この頃に書いたのか、とわかる描写が多少ありますので
分かった人は、クスクス笑ってください。

では、始めます。



一夏(風邪をひいてしまった……)

一夏(最近、流行ってたからな……)

一夏(…………)

一夏(ポ○リでも飲もう……) ムクリ

一夏「グビグビ……ぷはっ」

一夏「ふう……」

一夏「…………」

一夏「あ」

一夏(連絡……しておかないと……)


1組教室


箒「…………」

セシリア「…………」

鈴「……遅いわね、一夏」

箒「どうせ朝寝坊したのだろう。 日頃の鍛錬を怠っているからだ」

セシリア「でも……気になりますわ」

     キーン コーン カーン コーン

一同「!」

鈴「わちゃ……もう戻らないと」 タッ タッ タッ…

一同(…………)

山田「は~い、みなさん。 席に着いてください」

山田「授業を始めます」


山田「それから織斑くんとデュノアさんは、今日、風邪の為、欠席です」

山田「後、ボーデヴィッヒさんもデュノアさんの付き添いでお休みするそうです」

     ザワッ……!

山田「それと注意事項ですが、織斑くんへのお見舞いは控えてください」

山田「ここに居る全員で押しかけると 迷惑になりますので」

山田「放課後に誰かを1組代表として選出しましょうね?」

     ハーイ

箒(…………)

セシリア(…………)

箒(これは……!)

セシリア(チャンスですわ!)

クラス全員(織斑くんと『特別に』仲良くなれるチャンス!!)///


ラウラとシャルの部屋


シャル「ごほっ……ごほっ……」

ラウラ「大丈夫か? シャルロット」

シャル「うん……」

シャル「ごめんね……ラウラ。 看病なんてさせて……」

ラウラ「いいのだ、シャルロット」

ラウラ「私が望んでやっている事だ。 気にするな」 クス

シャル「ありがとう……ごほっ、ごほっ……」

ラウラ「のど飴、舐めるか?」

シャル「うん……」

ラウラ「よしよし……」


放課後

1組教室


セシリア(ついにきましたわ……この時間が!)

箒(どの様な方法で決めるか、わからないが……)

箒(必ず勝ち取ってみせる!)


山田「えーっと、それでは織斑くんのお見舞いに行く」

山田「1組の代表者を決めたいと思います」

     ハーイ!

山田「それでは……皆さん、隣の人同士で」

山田「ジャンケンをしてください」


     …………エッ?

山田「どうしました?」

山田「時間もありませんし、最も単純、かつ、公平な決め方だと思いますが?」

山田「宇○兄弟でもそう言ってましたよ~?」

     …………

山田「異論はありませんね? じゃあ始めます」

山田「ジャ~ン、ケ~ン……」

山田「ポンッ!」



―――――――――――




セシリア「やりましたわ!」

箒「…………」 ←初戦敗退

山田「はい、それではオルコットさん」

山田「1組みんなを代表して、織斑くんのお見舞いをお願いしますね?」

セシリア「はい! お任せ下さい!」

山田「それでは、これでHRを終わります」

山田「みなさんも風邪には気をつけてくださいね?」

     ハーイ

セシリア(一夏さん……お待ちくださいね)

セシリア(これからわたくしが、精一杯の看病をして差し上げますわ……)///


一夏の部屋


     コン コン

セシリア「一夏さん、お加減はいかがですか?」

?「……セシリア?」

セシリア「!?」

セシリア「そ、その声は!?」

     ガチャ…

セシリア「り、鈴さん!!」

セシリア「どうしてあなたが……」

鈴「しっ……」

セシリア「! ……鈴さん?」

鈴「……入って。 静かにね」


一夏「…………」 zzz

鈴「ついさっき、眠ったところなの……」

セシリア「そうでしたの……」

セシリア「…………」

セシリア「……何だか苦しそうですわね」

鈴「そりゃあ、熱が39度もあればね」

セシリア「なっ……!?」

鈴「大丈夫……今は薬が効いて下がってるから」

セシリア「……ほっ」


セシリア「それにしても何故、あなたがここに?」

鈴「朝、一夏が来なかったから放課後、真っ先にここへ来ただけだけど?」

セシリア(……そうですわ。 鈴さんは2組ですものね)

セシリア(くっ……! 今回だけは、うらやましいですわ!)

鈴「……あたしがここに来た時」

鈴「一夏、まだ起きててね……」

鈴「ドアが開いたら、辛そうな一夏が居たわ」

セシリア「…………」

鈴「……悪い事したかなって思った」

セシリア「鈴さん……」


鈴「だから、ここに居るのは構わないし、看病をしてもいいけど」

鈴「静かにしてて欲しい。 一夏を休ませる為に」

セシリア「…………」

セシリア「分かっておりますわ、鈴さん」

鈴「ありがとう、セシリア」

鈴「じゃ、あたし、ちょっとポ○リを買ってくるわ」

鈴「一夏、ずいぶん飲んだみたいで、もう残りが心もとないの」

鈴「その間 一夏の事、見ててくれる?」

セシリア「ええ。 お任せ下さい、鈴さん」

鈴「うん……」

     パタン…


     タッ タッ タッ…

鈴「あら? ラウラ?」

ラウラ「む? 鈴か」

鈴「どうしたの? そんなにポ○リ買い込んで」

ラウラ「うむ。 同室のシャルロットが風邪を引いてな……」

鈴「え!? シャルロットも!?」

ラウラ「? ”も”とは、どういう事だ?」

ラウラ「他に誰か風邪を引いたのか?」

鈴「同じクラスなのに知らないの? 一夏も風邪を引いたのよ」

ラウラ「な……!? 本当か!?」

鈴「今、部屋で寝てるわ……」

ラウラ「そう……なのか……」


鈴「心配なら、様子を見に来ればいいわ」

鈴「ただし、静かにね」

ラウラ「…………」

ラウラ「いや……私は行かない」

鈴「え……?」

ラウラ「一夏には、おそらく誰かしら付いているだろう?」

ラウラ「でも、シャルロットは……私しか居ない」

鈴「ラウラ……」

ラウラ「もう行かねば……。 鈴、一夏にすまない、と伝えておいてくれ」

鈴「あ……うん」

ラウラ「じゃあな……」

鈴「…………」


ラウラとシャルの部屋


シャル「……お帰り、ラウラ……」

シャル「ごほっ……ごほっ……」

ラウラ「シャルロット……無理するな」

シャル「してないよ……ごほっ……ごほっ……」

ラウラ「ほら……たくさん買ってきた」

ラウラ「水分はしっかり取らないとな」

シャル「ごほっ……ごほっ……」

シャル「うん……ありがとう、ラウラ」 ゴク ゴク

ラウラ「ゆっくり飲むんだぞ……」

ラウラ「…………」


一夏の部屋


鈴「ただいま……」

鈴「一夏の様子は、どう?」

セシリア「あ……鈴さん」

セシリア「変わりありませんわ……」

鈴「そう……」

セシリア「濡れタオルを二度、冷やしたくらいですわね」

鈴「うん……ありがとう」

セシリア「いえ……」


箒の部屋


箒(…………)

箒(……どうして)

箒(私はこう、勝負運が無いのだろう……)

箒「……はあ」

箒「…………」

箒(そうだ)

箒(そろそろ夕げ時……)

箒(一夏の顔は見れなくとも)

箒(夕飯を作って持って行けば、セシリアを通じて食べてくれるかもしれない!)

箒(それにセシリアの手料理を今の一夏に食べさせるのは良くないしな!)

箒(そうと決まれば、さっそく粥を作ろう!)



―――――――――――


箒「~♪」 テク テク

箒「……?」

箒「ラウラ?」

ラウラ「! ……箒」

箒「どうした?」

ラウラ「いや……シャルロットに病人食のサムゲタンを食べさせようと思ったのだが……」

箒「……は?」

ラウラ「どうした? 何か変な事を言ったか? 私は?」

箒「……どこから突っ込めばいいのか」


箒「まず……シャルロットの病状は重いのか?」

ラウラ「いや、やっと熱が下がって食欲が出てきたところだ」

箒「ふむ……しかし、何故サムゲタンが病人食なのだ?」

箒「あれは鶏肉を使う鍋料理の一種のはず……病人には重いと思うぞ?」

ラウラ「!? そ、そうなのか!?」

ラウラ「いや、アニメで病人にサムゲタンを出すシーンがあったものだから……てっきり」

箒(小学生か……お前は)

ラウラ「まあ、どの道、食堂のメニューに無いのでどうしたものか、と思案していたところだ」

箒「…………」

箒(……どうする?)

箒(でも……こ、これは……私が一夏の為に……)


ラウラ「箒、邪魔をした」

ラウラ「私はこれから、教官に何かいい物はないか、聞いてみるつもりだ」

ラウラ「じゃあ……」

箒「あ……」

箒「…………」

箒「ま、待て! ラウラ!」

ラウラ「む?」

箒「……これを」 スッ…

箒「これをシャルロットに食べさせてやってくれ」

ラウラ「この土鍋は?」


箒「ただのお粥だ」

箒「病人の弱った胃腸にとても良い」

ラウラ「…………」

ラウラ「いいのか?」

箒「構わない」

ラウラ「これは一夏の為に作ったのだろう?」

箒「!」

ラウラ「…………」

箒「……その通りだ」

箒「でも、ここで見て見ぬ振りは出来無い」

箒「粥はまた作ればいい。 シャルロットに食べさせてやってくれ」

ラウラ「箒……」

ラウラ「すまない……ありがたく、もらっておく」



―――――――――――


     コン コン

箒「……セシリア。 セシリア、居るか?」

     ガチャ…

鈴「箒?」

箒「! り、鈴!?」

鈴「シー……病人が居るんだから」

箒「! す、すまない……」

鈴「入って」

箒「い、いや……ここでいい」

鈴「え?」


箒「これ……良かったら一夏に食べさせてやってくれないか?」

箒「お粥を作ったんだ」

鈴「…………」

箒「? どうした? 鈴?」

鈴「……あたしも作ったの」

箒「!!」

箒「……そう……か」

鈴「箒……その、ごめん……」

箒「! ……い、いや……私が勝手にした事だ」

箒「気にしないでくれ……じゃ……」

鈴「あ! 箒!」

鈴「…………」


セシリア「鈴さん、どなたでしたの?」

鈴「箒よ。 入れって言ったんだけど……」

セシリア「ああ……きっと、1組の取り決めを守っているのですわ」

鈴「取り決め?」

セシリア「お見舞いは、代表者一人のみ、と……」

鈴「…………」

セシリア「鈴さん?」

鈴「箒……お粥を持ってきたの」

セシリア「!」

セシリア「……それは、間が悪かったですわね」

鈴「ちょうど食べ終わって、眠ったところだったものね、一夏……」


箒の部屋


     カチャ…… ハム ハム

箒「……うむ、美味い」

箒「我ながら……いい出来だ」

箒「…………」

箒「…………」

箒「…………ぐすっ……」 ハム ハム

箒「うっ……うっ……」

箒「……ひっく……」 ハム ハム

箒「……うっ……ひぐっ……」


―――――――――――



ラウラとシャルの部屋


     モグモグ……

シャル「うん……美味しい」

ラウラ「そうか……良かった」

シャル「それに何て言うか……優しい味だね」

シャル「ラウラって、こんなに料理が上手かったんだ……」

ラウラ「いや……私が作ったのではない」

シャル「? 山田先生……とか?」

ラウラ「箒だ」

シャル「箒? 頼んで作ってもらったの?」


ラウラ「箒が一夏に作ったものを譲ってくれ……」

ラウラ「……!」

シャル「一夏? どうして箒が一夏にお粥を?」

ラウラ「…………」

ラウラ「……その」

ラウラ「一夏も……風邪を引いたんだそうだ」

シャル「!!」

シャル「…………」

シャル「……ラウラ」

ラウラ「……何だ?」


シャル「一夏の事、気にならないの?」

ラウラ「…………」

ラウラ「もちろんなっている……」

シャル「…………」

シャル「じゃあ……行ってきて、一夏のところに」

ラウラ「!」

シャル「ボクの事なら……もう大丈夫だから……」

ラウラ「シャルロット」

シャル「ん?」

ラウラ「お前こそ、そんなに気を使うな」

シャル「…………」


ラウラ「私は、私の意思でここに居る」

ラウラ「普段から世話になっているシャルロットの力になりたい」

ラウラ「そう思って……な」

ラウラ「だから、気にしないでくれ」

シャル「ラウラ……」


一夏「シャルは、もっと人に頼る事を覚えた方がいいぜ?」


シャル「…………」

シャル(…………)

シャル(いつだったか……)

シャル(同じような事を一夏に言われたっけ……)

シャル(…………) クスッ


ラウラ「……それに、だ」

シャル「うん?」

ラウラ「一夏には、誰かしら付いていると思うし」

シャル「ふふ……確かに」

シャル「さしずめ、鈴やセシリア、それに このお粥を作った箒ってところかな?」

ラウラ「うむ。 それに肉親の教官も居る」

ラウラ「気にはなるが……きっと大丈夫だ」 ニコ

シャル「うん。 ボクもそう思う」 ニコ

ラウラ「だから、安心して身体を休めてくれ」

シャル「わかったよ、ラウラ」



―――――――――――


一夏の部屋


     コン コン

千冬「一夏、入るぞ」

     ガチャ

千冬「……む?」

セシリア「あ、織斑先生」

鈴「千冬さん」

千冬「織斑せ……いや、今はいい、か……」

千冬「二人とも、ずっと一夏を看病してくれたのか?」

セシリア「はい」

鈴「そうです」


千冬「そうか……それは済まなかった」

千冬「礼を言う」

セシリア「いえ、とんでもございません」

鈴「好きでやっている事です」

千冬「こんなに遅くまで悪いな……」

千冬「後は私が看る。 二人とも、自室に戻って休んでくれ」

セシリア・鈴「…………」

セシリア・鈴「……わかりました」

セシリア「お薬はこちらです」

鈴「そろそろ、服を着替えさせた方がいいかもしれません」

千冬「うむ、わかった」


千冬「…………」

千冬(……二人とも、やけに素直に引き下がったと思ったら)

千冬(一夏……本当に苦しそうだな……)

千冬(いつものバカ騒ぎは、さすがに出来無い)

千冬(……いや、してはいけないと思ったのだろう)

千冬(…………)

千冬(38度3分……まだ、結構高いな……)

千冬(…………)

千冬(早く、元気になれ、一夏)

千冬(…………)



―――――――――――


数日後の朝

一夏の部屋


一夏「よし、今日は行けそうだな」

一夏「ここ数日、みんなにはずいぶん世話になった」

一夏「何かで恩返ししないとな」

一夏「……う~ん」

一夏「何がいいだろう?」

一夏「う~ん……」


1組教室


セシリア「まあ、一夏さん!」

セシリア「おはようございます。 お元気になられたのですね」

一夏「ああ、セシリア。 おはよう」

一夏「みんなもおはよう」

箒「ああ。 おはよう、一夏」

鈴「おはよう!」

シャル「おはよう、一夏」

ラウラ「うむ、おはよう一夏」

一夏「ここのところ、みんなから世話になったな」

一夏「何かでお礼をしたいと思うんだけど……」

ラウラ「…………」

シャル「…………」


セシリア「いえ、一夏さん」

セシリア「その様な事、お気になさらないでください」

一夏「え……でも」

鈴「別に何でもないわよ、このくらい」

箒「そうだとも」

箒「一夏が元気になったのだから、それだけで十分だ」

一夏「本当にいいのか?」

セシリア「ええ」

鈴「ま、どうしても、というのなら」

鈴「もし、あたしが病気になったら看病してくれたらいいから……」///

箒「!!」

箒「そ、それなら、私も是非に頼む!」

セシリア「な! それでしたらわたくしも!」


シャル「あはは……みんないいなぁ」

シャル「それにラウラ、ごめんね」

ラウラ「私は何とも思わないぞ?」

ラウラ「私は、私の意思でああしたのだ」

ラウラ「後悔など何もない」

シャル「でも……」

ラウラ「いいのだ」

ラウラ「嫁に対しては、また別の形でアプローチすればいいだけの事」

ラウラ「ただ、この点について、譲る気はないからな?」

ラウラ「だから……気にするな」

シャル「うん。 ありがとう、ラウラ」


一夏「じゃあさ」

一夏「今度の休みにみんなでピクニックにでも行かないか?」


ヒロインズ「!!」


一夏「ちょうど暑くもなく、寒くもない、いい季節だし」

一夏「どうだろう?」

セシリア「いいですわね!」

セシリア「初夏のロッジ、爽やかな空気の中で」

セシリア「一夏さんと二人っきり……」///

鈴「なに妄想してんのよ、セシリア!?」

箒「おまけに泊まり込む気マンマンではないか!! 破廉恥な!」


セシリア「さっそく軽井沢のロッジに予約を入れますわね♪」 ピッポッパッ

鈴「人の話をまるで聞いていない!?」

箒「ええい! こうなれば、料理で一夏の胃袋を掴むまで……」

一夏「ははは、盛り上がってきたな♪」

シャル「な、何か、一夏の受け答えも微妙に変じゃない?」

ラウラ「熱の後遺症があるのかもしれないな」

シャル「一夏! しっかりして!?」

一夏「どうしたんだよ、シャル?」

一夏「楽しいピクニックだぞ? 参加しないのか?」

シャル「う、うん、参加はするけど!」

ラウラ「私もだ」

ラウラ「とっておきのサバイバル技能を嫁に伝授しよう」

シャル「ラウラも話をややこしくしないで!?」



―――――――――――


そんなこんなでピクニック予定日の前日

ラウラとシャルの部屋


シャル「いよいよ明日だね、ラウラ」

ラウラ「……うむ」

シャル「結局二泊三日のロッジ泊まりになったけど」

シャル「バーベキューとか、釣りとか、楽しみだね♪」

ラウラ「……うむ」

シャル「……?」

シャル「ラウラ?」


シャル「何だか様子がおかしいみたいだけど……大丈夫?」

ラウラ「……大丈夫だ。 問題ない」

シャル「…………」

     サッ…

シャル「!!」

シャル「ラウラ、ひどい熱じゃない!」

ラウラ「……そんなはずない」

ラウラ「私の体には、免疫活動を補うナノマシンが……」

シャル「でも現実に熱があるんだからお医者さんに見てもらわないと!」

ラウラ「だ……大丈、夫……だ……」

     ドサッ…

シャル「ラウラ!!」



―――――――――――


医療室


     ガー(扉の開閉音)

千冬「…………」

シャル「織斑先生!」

シャル「ラウラは……ラウラは、大丈夫なんですか!?」

千冬「結論を言うと、大丈夫だ」

千冬「安静にしていれば命に関わる事はない。 安心しろ」

シャル「そ、そうですか……」

千冬「ただ、な……」

シャル「え?」


千冬「こうなった原因は、ボーデヴィッヒの体内にあるナノマシンの不調だ」

シャル「……!」

千冬「ドイツ政府に掛け合ったところ、新しいナノマシンが届くまで」

千冬「2~3日かかるそうなのだ」

シャル「2~3日……」

千冬「それまで、ボーデヴィッヒの免疫力は落ちたままなので」

千冬「この医療室から出てしまうのはまずい」

シャル「…………」

千冬「そんな顔をするな」

千冬「ボーデヴィッヒの面倒は、私が看る」

千冬「お前たちは、予定通りにすればいい」



―――――――――――


病室


ラウラ「…………」

ラウラ「……う」

ラウラ「…………」

ラウラ「……ここは?」

千冬「気がついたか、ボーデヴィッヒ」

ラウラ「教官……」

千冬「……まあ、今は大目に見てやろう」


千冬「――というわけだ」

ラウラ「…………」

ラウラ「……そうですか」

千冬「それからこの事は、デュノアにもう話してある」

ラウラ「!」

千冬「前々から予定を立てているのは知っていたからな」

千冬「余計なことだったか?」

ラウラ「…………」

ラウラ「いえ」

ラウラ「配慮していただき、ありがとうございます」

千冬「そうか。 ナノマシンが届くまで、私がボーデヴィッヒを看る」

千冬「問題ないな?」

ラウラ「はい。 ありがとうございます」



―――――――――――


翌日の朝

病室


ラウラ「…………」

ラウラ「……朝か」

ラウラ「…………」

ラウラ「……みんなは、もう出発したのだろうか」

ラウラ「…………」

ラウラ「…………」


ラウラ(……これで良かったのだ)

ラウラ(みんなや嫁が楽しみにしていた企画……)

ラウラ(私一人の体調不良で、予定変更など馬鹿げている)

ラウラ(ロッジのキャンセル料とか、諸経費のことだってあるしな)

ラウラ(…………)

ラウラ(そうだ……これでいいのだ)

ラウラ(これで……)

ラウラ(…………)

ラウラ(…………)

ラウラ(……っ) ジワッ…



―――――――――――


数時間後


???「――ラ、ラウラ?」

ラウラ「…………」

ラウラ「……ん」

ラウラ「…………」

ラウラ「っ!?」

シャル「ラウラ、体調はどう?」

ラウラ「シャ、シャルロット!?」

ラウラ「な、なぜだ!?」

ラウラ「どうしてここに居る!?」


シャル「……病気のラウラを放って、遊びになんて行けないよ」

ラウラ「…………」

シャル「ラウラ?」

ラウラ「……バカ者が」

シャル「なぁに? 織斑先生の真似?」 クスッ

ラウラ「以前の事に恩義など感じなくてもいい」

ラウラ「あれは、私が勝手にやった事なのだから」

シャル「じゃあ……これはボクが勝手にやっている事だから」

シャル「ラウラも気にしなくてもいいよ」

ラウラ「シャルロット……」

ラウラ「…………」


ラウラ「すまない、シャルロット」

ラウラ「いつか、この恩は……」

シャル「だからいいんだよ、ラウラ」

シャル「気にしなくて」

シャル「構わないから、何かして欲しい事があったら言って?」

ラウラ「シャルロット……」

シャル「何か飲みたい物はない?」

シャル「食べたい物でもいいよ?」

シャル「ボクに甘えてよ」 クスッ

ラウラ「……っ」

ラウラ「そ……それでは……ポ○リを頼む」


シャル「うん。 わかった」

シャル「ちょっと待てて」

     タッ タッ タッ

ラウラ(…………)

ラウラ(ああ……何だろう? この気持ちは)

ラウラ(体はだるいし、気分も良くないのに……)

ラウラ(何故か……)

     ガー(扉の開閉音)

一夏「ラウラ、大丈夫か?」

セシリア「体調を崩したとお聞きしましたが?」

鈴「珍しい事もあるわね」

ラウラ「」

ラウラ「な、なぜ、一夏たちが!?」


箒「私も居るぞ」

箒「もうすぐ昼だから、粥を作ってきた」

ラウラ「箒まで!?」

一夏「……そんなに驚くことか?」

セシリア「どうやらわたくし達、そうとう薄情者だと」

セシリア「ラウラさんに思われていた様ですわね」

鈴「……まあ、正直を言えば、確かに行こうかなって頭をよぎったけどね」

鈴「そんな寝覚めの悪い事して、恨まれたくないし」

箒「ラウラ……鈴は口で、ああ言っているが」

箒「そうとうお前の事を心配していたぞ?」

鈴「ななな、何、言ってるのよ! 箒!」///

     アハハ……


ラウラ「…………」

シャル「はい、ラウラ」つ(ポ○リ)

ラウラ「! ……ありがとう、シャルロット」

ラウラ「…………」 ゴクッ

ラウラ「……美味いな」

シャル「だよね」 クスッ

     ギャー ギャー

ラウラ「少し騒がしいな」

シャル「みんなー、ラウラがうるさいって」

     …………

シャル「これでいい?」

ラウラ「ああ」


一夏「すまない、ラウラ」

鈴「……箒のせいよ」

箒「照れ隠しに殴ろうとするからだ」

セシリア「ほらほら、お二人さん?」

セシリア「もうヒートアップは無しですよ?」

鈴・箒「……はい」

ラウラ「ははは……」

シャル「うふふ♪」


     アハハ……


千冬「…………」


千冬(良かったな、ボーデヴィッヒ)

千冬(それが……『友人』という存在だ)

千冬(もし、今……満ち足りた気持ちでいるのなら)

千冬(きっとお前は……)

千冬(強くなれるだろう)

千冬(…………)

千冬(さて……)

千冬(たまにはあいつらの成績にも)

千冬(色をつけておいてやるか……)

千冬(ふふふ)



     おしまい

最初は、セッシーのいたれりつくせりで
酷い目に遭うワンサマーを描こうと思っていたのに
何故かこうなってしまいました。
読んでいただければ幸いです。では、またいつか。

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