穂乃果「夏フェスに行こう!」 (34)

夏フェスと言ってもイメージはアニサマです(それくらいしか行ったことないし……)。

最後までお付き合い頂ければ幸いです。

~部室~

にこ「あと……1分ね……」

花陽「うん……」

にこ「覚悟はできた?」

花陽「うーん……ちょっとまだ……」

にこ「もう時間ないわよ、さっさと決めちゃいなさい」

花陽「うん……でも……」

カチッ…カチッ…カチッ…ポーン!

花陽「!」ビクゥッ

にこ「来たわ……見るわよ……!」

花陽「……」

にこ「ってごめんやっぱ無理!花陽が見て!」

花陽「ええっ!?私も無理だよぅ……!」

にこ「あーもうしょうがないわね!行くわよ!」カチッ!

花陽「……お願い……!」


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にこ「あ……」

花陽「あ……?」

にこ「あ……ああ……!」

花陽「に、にこちゃん……」

にこ「当たった……!当たったわ!」

花陽「……ほんとに!?」

にこ「ええ!ほら見てみなさいこれ!」

花陽「……『チケットがご用意できました』……や、やった……やったあああああ!」

にこ「これで一安心ね!いや、ほんとに良かったわ……」

花陽「うん……あ、メールだ」

にこ「花陽が申し込んだ方の落選通知かしら」

花陽「うん、そうだと思……う……え、えええええ!?」

にこ「!?ど、どうしたのよ!?」

花陽「わ……私も当たっちゃった……!」

にこ「……えええええ!?」

にこ「どういうことかしら……」

花陽「倍率が思ったより高くなかったとか……?」

にこ「そんなわけないでしょ……ネットの反応見る限り落選がほとんどよ」

花陽「だ、だよねぇ……」

にこ「まぁ、考えるのは後よ後!とりあえず発券しちゃいましょう!」

花陽「う、うん!」

にこ「とりあえず発券してきたけど、まだ信じらんないわ……このチケットがこの場に4枚もあるだなんて……」

花陽「うん……まさか二人とも当たるなんて思わなかった……」

にこ「奇跡よ奇跡」

ガチャッ

凛「おはよーだにゃー!」

真姫「もう昼よ、練習午後からなんだから」

にこ「あら、凛に真姫じゃない」

花陽「二人ともこんにちは!」

凛「そうだかよちん、かよちんに頼まれてたやつだけどね」

花陽「うん、大丈夫だよ凛ちゃん。当たる確率の方が低いし、私が当たったから……」

凛「当たったよ!ほら!」

花陽「……え?」

花陽「えええええ!?」

花陽「凛ちゃんも当たったのぉ!?」

にこ「……ちょっと待ちなさい花陽……」

花陽「あ、にこちゃん、これは……」

にこ「アンタ、凛にも頼んでたの……?」

花陽「えっと、その……」

にこ「ってことはそれだけ当たってたら私を置いていく気だったの!?」

花陽「あう……ごめんなさい……どうしても行きたくて……」

真姫「ちょっと待って、何の話?」

にこ「夏フェスのチケットよ……倍率が高そうだったから、花陽の分が取りやすいように凛に2枚応募してもらってたんでしょ?」

花陽「うん、そういうこと……」

にこ「まぁ、幸い手に入ったし咎めやしないわ。何たって私は優しい先輩だからね!」

花陽「にこちゃん……ありがとう……!」

ガチャッ

希「やっほー。皆お揃い?」

絵里「あら、にこが早いなんて珍しいじゃない」

にこ「野暮用があってね。それももう済んだとこよ」

希「ところでにこっち」

にこ「うん?」

希「これなーんだ?」ピラッ

にこ「!」

希「いやー、にこっちが突然『アンタのラッキーパワーを借りたい』なんて言ってきた時はビックリしたわー」

にこ「希、今はまずいわ……今だけは……」

希「せやけど、にこっちに頼られたら裏切るわけにはアカンやろ?って……にこっち?」

花陽「えーっと……にこちゃん……?」

にこ「」ダラダラ

真姫「……優しい先輩が聞いて呆れるわね」

にこ「仕方ないじゃない、行きたかったのよ!」

真姫「さっき花陽も同じこと言ってたじゃない」

にこ「うぐっ……」

花陽「うんうん、大丈夫だよにこちゃん、私も同じ気持ちだもん」

にこ「花陽……アンタ……!」

凛「かよちんは優しいにゃー」

ガチャッ

海未「ごきげんよう、皆さん。今日は早いですね」

ことり「皆こんにちは♪」

凛「海未ちゃん!ことりちゃん!」

希「これで勢揃いかな?」

花陽「あれ、穂乃果ちゃんは?」

海未「穂乃果ならコンビニに用事があると言っていたので先に来ました」

ことり「もうすぐ来ると思うけど……」

ガチャッバーン!

穂乃果「皆おっ待たせー!」

海未「穂乃果!何ですか来るなり騒がしい!」

穂乃果「もー、海未ちゃんは細かいんだから!嬉しいんだから仕方ないじゃん!」

ことり「何かあったの?」

穂乃果「ふっふふーん、見てこれ!」

海未「これは……何かのチケットですか?」

穂乃果「そうだよ!申し込んでたのが当たったの!」

にこ「え、まさかそれって……」

穂乃果「ほら、2枚あるんだよ!だから誰か私と一緒に……」

穂乃果「夏フェスに行こう!」

にこ「はい、全員着席!状況を整理するわよ!」

にこ「ここに夏フェスのチケットがあります」

海未「夏フェスですか?それは一体……」

花陽「それは私から説明します!正式名称IDOL SUMMER FESTA……古今東西のアイドルが集まる夏フェスです!」

花陽「ラブライブによるスクールアイドルの盛り上がりを受けたプロのアイドル達が企画した、事務所やレコード会社の垣根を超えてアイドルが共演し競演する前代未聞のライブです!」

花陽「これはあの伝伝伝にも匹敵するとんでもない夢の祭典……あまりの高倍率に当落発表の直後から……今まさに、ネット上では落選者達の呻きで阿鼻叫喚の様相を呈しています!」

真姫「まぁ、それはわかったわ。だけど」

花陽「だけど……?」

真姫「どうしてそのチケットが、ここに10枚もあるわけ?」

花陽「……」

花陽「な、何ででしょう……?」アハハ

希「ウチはにこっちに頼まれたんよ。アンタの運なら絶対当たる、って」

凛「凛はかよちんにお願いされたんだよ!可能性は少しでも高くしたい、って!」

にこ「私と花陽は当然二人で2枚ずつ申し込んだわ。どっちか当たったらそれで二人で行くつもりだったの」

穂乃果「私はμ'sの参考になるかな、と思って!誰かと一緒に行った方が楽しいと思ったから2枚申し込んだよ!」

絵里「そしてそれが奇跡的に全部当たった、ってことなのかしら」

花陽「そうだね……」

にこ「奇跡なんてもんじゃないわ。ありえないわよこんなの」

真姫「現に今あるじゃない」

にこ「……うん」

穂乃果「よーし、こうなったら皆で一緒に見に行こう!」

海未「な、何を言い出すんですか穂乃果!」

穂乃果「だって10枚もあるんだよ?もったいないじゃん!」

絵里「そうね、穂乃果の言う通り私達の活動の参考になるかもしれないし」

ことり「楽しそう♪」

凛「皆でお出かけだにゃー!」

希「面白そうやん?」

真姫「……悪いけど私は良いわ。あんまり興味ないし、人混み苦手だもの」

穂乃果「えーっ、真姫ちゃんノリ悪いよー!」

真姫「別にいいじゃない、元から皆で行く予定じゃなかったんだし」

にこ「……決めたわ。真姫、私の隣はアンタよ」

真姫「うえぇ!?何言ってるのよにこちゃん、興味ないって言ってるじゃない!」

にこ「だからよ。アンタにアイドルの魅力を教えてあげるわ」

真姫「教えてなんて頼んでないわよ!」

にこ「……後悔はさせないわ。お願い、真姫」

真姫「な、何よもーそんな真剣になっちゃって……!良いわよ、行ってあげるわ!」

にこ「それでこそ真姫よ!」

真姫「まったく、意味わかんない……」

凛「なら凛はかよちんの隣が良いにゃー!」

花陽「あ……ごめんね凛ちゃん、それはできないの」

凛「ええっ、何で!?」

にこ「本人確認があるのよ。チケットに書かれた名義の人じゃないとそのチケットは使えないの」

希「転売対策、ってやつやね?」

にこ「そうよ、詳しいじゃない。だからチケットの名義になってる人は分けないとダメね」

凛「うー、残念……」

絵里「そうなると穂乃果、希、花陽、凛の隣に一人ずつ入ることになるのね」

希「ならウチはえりちを貰いや!」

にこ「ま、それが一番でしょうね」

絵里「よろしくね、希」

穂乃果「うーん……花陽ちゃんと凛ちゃんは、私達以外に誘える人っている?」

凛「いないにゃ」

花陽「わ、私も心当たりは……」

穂乃果「そっか、それなら私が最後の一枚をあげる人を探すね!」

花陽「お、お願いします!」

穂乃果「うん、任せて!」

ことり「それなら私、花陽ちゃんの隣貰っても良いかな?」

花陽「え、私ですか……?」

ことり「うん!花陽ちゃんアイドル大好きだから、隣で見てて楽しそうだなって♪」

花陽「あ、あんまり自信ないけど……よろしくお願いします!」

ことり「はーい♪」

凛「それなら凛は海未ちゃんとだね!」

海未「私はこういうことには疎いのですが、大丈夫でしょうか……」

凛「大丈夫!かよちんに教えて貰おう?」

花陽「そういうことなら任せてください!」

海未「お、お手柔らかにお願いします……」

穂乃果「私も隣の人見つけなくっちゃ!うーん、当日が楽しみだね!」

穂乃果「うーん……花陽ちゃんと凛ちゃんは、私達以外に誘える人っている?」

凛「いないにゃ」

花陽「わ、私も心当たりは……」

穂乃果「そっか、それなら私が最後の一枚をあげる人を探すね!」

花陽「お、お願いします!」

穂乃果「うん、任せて!」

ことり「それなら私、花陽ちゃんの隣貰っても良いかな?」

花陽「え、私ですか……?」

ことり「うん!花陽ちゃんアイドル大好きだから、隣で見てて楽しそうだなって♪」

花陽「あ、あんまり自信ないけど……よろしくお願いします!」

ことり「はーい♪」

凛「それなら凛は海未ちゃんとだね!」

海未「私はこういうことには疎いのですが、大丈夫でしょうか……」

凛「大丈夫!かよちんに教えて貰おう?」

花陽「そういうことなら任せてください!」

海未「お、お手柔らかにお願いします……」

穂乃果「私も隣の人見つけなくっちゃ!うーん、当日が楽しみだね!」

~当日・AM5:00~

にこ「揃ったわね」

花陽「うん!」

凛「どうして凛達の集合時間だけこんなに早いのぉ……?」

にこ「もちろん物販よ!」

凛「物販……?」

にこ「ライブ限定グッズよ!物によっては売り切れちゃうから、早く行かないといけないの!」

凛「それでかよちんとにこちゃんが……?」

にこ「そうよ、私達経験者がしっかりアンタ達をサポートしていかないとね。とりあえずライブで使うグッズは絶対よ!」

花陽「ごめんね凛ちゃん、凛ちゃんはまだ寝ててくれても良かったんだけど」

凛「ううん大丈夫!かよちんと一緒に行きたいって言ったのは凛だもん!」

にこ「アンタ達ほんと仲良いわね……じゃ、出発するわよ!」

りんぱな「おーっ!」

~AM10:00~

絵里「ハラショー!屋台がたくさん出てるわ!お祭りみたいね!」

希「こういうイベントは人がたくさん集まるからやろうね」

絵里「よーし希、片っ端から攻略して行くわよ!」

真姫「ライブ本番までに食べ過ぎで倒れても知らないわよ」

絵里「大丈夫よ、まだお昼前じゃない!さぁ食べるわよー!」

真姫「……はぁ……こんな時間からはしゃいでてどうするのよ……」

希「そういう真姫ちゃんも随分早いやん?」

真姫「私はこんなに早く来るつもりなかったわよ……けどにこちゃんが」

希「にこっちが?」

真姫「にこちゃんがこんなメール送ってくるから」

希「何々……『ポカリ3本買ってきて……死んじゃうにこ……』何これ?」

真姫「物販のために朝から並んでるらしいわよ……まったく何してるのかしら」

希「そうやねー……けど真姫ちゃんだって気合い十分やん?似合ってるよ、その帽子」

真姫「べ、別に日焼けしたくなかっただけよ!私もう行くから!」

希「ん、ほななー。また後で♪」

凛「かよちん、大丈夫……?」

花陽「うん、大丈夫……」

にこ「あ、暑い……」

真姫「……まったく、何してるのよあなた達は」

凛「真姫ちゃん!」

真姫「はい、言われた通りポカリ買ってきたわよ」

にこ「女神よ……女神がいるわ……」

花陽「ごく……ごく……い、生き返る……!」

真姫「気をつけなさいよ、ライブ前に熱中症になったら元も子もないじゃない」

花陽「うん……ありがとう真姫ちゃん……」

にこ「あら、心配してくれたの?」

真姫「にこちゃんの心配なんてしてないわ!ただ……そうよ、にこちゃんがいないと私だって入れないんだから倒れてもらっちゃ困るのよ!」

凛「ってことはライブが楽しみだってことだにゃー」

真姫「~~~~~っ!」

花陽「そうだ真姫ちゃん、ポカリのお金……」

真姫「別にいいわよ、花陽達だって大変でしょ?私、日陰で休んでるから欲しいものがあったら言いなさいよ」

花陽「うん、ありがとう!真姫ちゃんの分のグッズも任せてね!」

~13:00~

海未「穂乃果、まだ準備できていないのですか?」

穂乃果「う、うん、もうちょっと……よし、お待たせ!」

雪穂「何で私を誘ったお姉ちゃんが寝坊してるの……?」

穂乃果「いやー、昨日あんまり眠れなくって……」

海未「子供じゃないんですから、しっかりしてください」

穂乃果「てへへ……」

ことり「雪穂ちゃん、受験生なのにお勉強は良かったの……?」

雪穂「良い息抜きになりますよ。お姉ちゃん、決めたら聞かないし……」

穂乃果「そうそう!頑張ってる雪穂にお姉ちゃんからプレゼントだよ!」

雪穂「余ったチケットのくせに……」

穂乃果「うー、雪穂の意地悪!」

海未「それでは出発しましょう。私達以外は早くから会場に着いているみたいですよ」

ことり「おーっ♪」

14:00

絵里「た、食べ過ぎたわ……」

真姫「……だから言ったじゃない……」

希「まぁまぁ、開演まではあと2時間あるし何とかなるんやない?」

花陽「あっ!絵里ちゃん、希ちゃん、真姫ちゃーん!」

希「花陽ちゃん、凛ちゃん、にこっち、お疲れ様」

にこ「ちゃんと全員分買ってきたわよ……」

凛「あー、暑かったにゃー……」

真姫「皆日陰に集まって来たわね」

にこ「あんな暑さだもの、無理ないわ」

花陽「穂乃果ちゃん達は?」

希「もうすぐ着きそうやって」

にこ「もう開場してるってのに何をのんびりやってるのよ」

穂乃果「皆、お待たせー!」

にこ「まったく、遅いわよ!」

海未「すみません、穂乃果がちゃんと起きてくれれば良かったのですが……」

穂乃果「あー、海未ちゃんひどーい」

雪穂「事実じゃん」

穂乃果「雪穂まで!?」

絵里「あら雪穂ちゃん、お久しぶりね」

雪穂「え、絵里さん!ご無沙汰しております!」

絵里「ふふ、そんなに固くならなくて良いわよ」

穂乃果「そうだよ雪穂!」

雪穂「そ、そういうわけには……」

花陽「じゃあ皆にグッズ配るね!」

にこ「ペンライトとタオルは必須よ!」

凛「はい、どうぞ!」

海未「ありがとう、助かります」

ことり「いつも振ってもらってるけど、実は持ったことなかったから新鮮!」

絵里「ハラショー、色が変えられるのね……」カチカチ

希「一本あるととっても便利やね!」

にこ「配り終わったらいよいよ入場するわよ!」

穂乃果「おーっ!」

~チームほのゆき・アリーナA~

穂乃果「おおー!近ーい!」

雪穂「わー、凄いねこれ」

穂乃果「ふっふっふー、これはμ's一のラッキーガールの称号を希ちゃんから奪っちゃえるかな?」

雪穂「調子に乗らないの」

穂乃果「ちぇー……あっ、あそこで黄色のペンライト振ってるの凛ちゃんじゃない?おーい、凛ちゃーん!」

~チームうみりん・スタンド2階ステージサイド~

凛「あっ、穂乃果ちゃん気づいた!おーい穂乃果ちゃーん!」

海未「凛、身を乗り出しては危ないですよ。それにあまり大声を出さないでください」

凛「えー、海未ちゃんも手振ろうよー!ほら、穂乃果ちゃん海未ちゃんの方見てるよ!」

海未「ほ、本当ですね、では少しだけ……お、おーい……」

凛「かよちんとことりちゃんもアリーナだって言ってたよね、どこだろ?」

海未「アリーナCと言っていましたから、中央辺りではないでしょうか」

凛「あっ、ことりちゃん発見!……あれ、かよちんいないや」

海未「席を外しているのでしょうか?」

~チームことぱな・アリーナC~

花陽「お待たせ、ことりちゃん!着替えて来ました!」

ことり「おおー、それ今回のライブTシャツ?」

花陽「はいっ!動きやすい格好は必須ですから!」

ことり「気合い十分だね!活発な感じの花陽ちゃんも可愛いなぁ……」

花陽「えへへ、こういう時にしか勇気が出なくって……」

ことり「えー、そんなのもったいないよ!今度私がコーディネートしてあげる!」

花陽「ふえぇ!?じゃ、じゃあお願いします……!」

ことり「うん!任せてっ!」

~チームのぞえり・スタンド2階ステージ正面~

希「ちょっとステージは遠いけど、全体が見渡せて良い感じの席やね」

絵里「そうね、皆前の方だから姿があまり見えないのが残念だけど」

希「花陽ちゃんは言わずもがなやし、穂乃果ちゃんも凛ちゃんもこういうイベントは大好きやからはしゃいでそうやもんね」

絵里「そうね、雪穂ちゃんと海未はちょっと戸惑い気味、ことりはそんな花陽を見てにこにこ……と言ったところかしら?」

希「あれ?」

絵里「どうしたの希?」

希「にこにこと言えば……にこっちはどこやったっけ?」

絵里「ああ、にこと真姫なら確か……」

~チームにこまき・スタンド5階~

真姫「ちょっと、この席ステージ遠すぎない!?全然見えないじゃない!」

にこ「当たり前でしょ、スタンド5階よ」

真姫「何それ、知ってて私をここに連れてきたの?」

にこ「そうよ、真姫にはこの席が一番良いと思ったから真姫を誘ったの」

真姫「私がアイドルに興味ないから遠くでも良いってこと?」

にこ「何言ってんのよアンタ、そんなわけないでしょ?」

真姫「じゃあどうして……」

にこ「そりゃもちろん、この席がアンタにアイドルの魅力を教えるのに一番だからよ」

真姫「どういうこと?」

にこ「ま、追々わかるから安心しなさい。さ、そろそろ始まるわよ」

フッ……ワァァァァァ!

絵里「きゃっ、停電!?」

希「停電じゃなくて暗転。ほら、始まったみたいやね」

絵里「ハラショー……凄い熱気、それにとっても……」

希「うん……綺麗やね」

絵里「こうしちゃいられないわ!私達も参加しましょう!」

希「そうやね!」

ワァァァァァ!ハイ!ハイ!

ことり(私は今、とんでもない事態に遭遇しています)

セーノ、ハーイハーイハイハイハイハイ!

ことり(確かに私は、おっとりとして可愛い後輩と一緒にライブに来たはずです)

パンパパンハイッ!

ことり(けれどその後輩は今、私の隣で全力で跳び、全力で叫び、全力でペンライトを振っています)

花陽「ハイ!ハイ!」

ことり(彼女は『誰か助けて』が口癖ですが、今助けてほしいのは他でもない私です)

花陽「ことりちゃん!」

ことり「は、はいっ!」

花陽「ボーッとしてちゃダメだよ!ほらペンライト振って跳んで叫んで!」

ことり「ひ、ひぃっ!?」

花陽「ハイ!ハイ!」

ことり「え、えーっと……はい!はい!」ピョンピョン

「みんなー、今日は来てくれてありがとー!」

ワァァァァァ!

「お礼にみんなのハートを奪っちゃうぞー!どっきゅーん!」

ドッキューン!

「もういっちょー!どっきゅーん!」

凛「どっきゅーん!」

海未「り、凛は恥ずかしくないのですか……?」

凛「何言ってるの海未ちゃん、恥ずかしがったら負けってかよちんに教わったでしょ!」

海未「し、しかしですね……」

海未(と言うか、これはステージにいる彼女に失礼かもしれませんが……彼女を見ていると蘇るんです!悪しき記憶が!)

「よーし、次はこっちに行くよー!」

凛「ほらこっち来るよ!海未ちゃんペンライト出して!」

海未「わ、私は良いです!」

凛「もー……」

「……」

海未「……?」

「♪」パチンッ

海未「!!り、凛、今の見ましたか!?」

凛「え、何を……?」

海未「彼女、私に向かってウィンクしました!」

凛「かよちんが、そういうのは大体勘違いだって言ってたけど……」

海未「いいえ間違いありません!彼女のペンライトの色は何色ですか!?」

凛「ピンクだけど……」

海未「ピンクですね、わかりました!」カチカチ

「まだまだ行くよー!どっきゅーん!」

海未「どっきゅーん!」

凛「……」

「次の曲は、私達にとって大切な曲です。聞いてください ──」

穂乃果「わ、凄い!にこちゃんと花陽ちゃんの言う通りだ!」

雪穂「え、何が?」

穂乃果「ほら雪穂これ!この曲が来たらこれを使うんだって!」

雪穂「何これ……?」

穂乃果「最後のサビで折るんだよ!」

雪穂「ふーん……」

~~~~~~~~~~

穂乃果「最後のサビだから……今だ!」ポキッ

雪穂「え、え、もういいの?」ポキッ

真姫「え、え、嘘、何これ……!?」

にこ「……どうよ、真姫?」

真姫「凄い……一面のオレンジ色……とっても綺麗……!」

にこ「これがアンタに見せたかったもの。私が思う、アイドルの魅力」

にこ「私の、一番の憧れ」

真姫「にこちゃんの……憧れ……?」

にこ「そうよ……今のこの瞬間、ファンの心は一つなの」

にこ「アイドルは元から大好きだったけど……私はこの景色に、心奪われた」

にこ「そして、同時にこの光を向けられるような存在になりたいとも思った……こっちにいるだけじゃ、気がすまなかった」

にこ「この景色がいつだって、折れそうになった私を支えてくれてたの」

真姫「にこちゃん……」

にこ「ね。この席で良かったでしょ?」

真姫「うん……最高の特等席だわ……ありがとう……!」

ザワザワザワ……

穂乃果「皆お待たせー!」

海未「穂乃果、貴女は一体今日だけで何回お待たせと言うつもりなのですか?」

穂乃果「しょーがないじゃん!私達最後まで出してもらえなかったんだよ!?」

にこ「かぶりつきの代償よ。安いもんじゃない」

真姫「あら、私達の席は最初に出して貰えたわよ?あんなに素敵な席だったのに」

にこ「ま、そういうもんよ」

花陽「ごめんねことりちゃん、私ライブになると周りが見えなくって……」

ことり「ううん大丈夫!花陽ちゃんに合わせてみたらとーっても楽しかったもん!」

花陽「ほんとですか!?じゃ、じゃあまた私と……!」

ことり「うん、良かったらまた誘ってね♪」

海未「しかし、ペンライトというのは竹刀とはまた違った筋肉を使うのですね。腕が痛いです」

凛「海未ちゃん、途中からノリノリだったもんね……」

海未「ええ!思い切りコールすることがこんなに楽しかったとは……!」

凛「それを隣で見てた凛はちょっと複雑だにゃ……」

絵里「へー、あの海未がねぇ。見てみたかったわ、残念」

希「そういうえりちは50回近くハラショーって言ってたやん?」

絵里「ちょ、ちょっと希!」

ことり「時速10回!?」

穂乃果「雪穂も楽しそうだったもんね!」

雪穂「そうだね、息抜きにはなったかな」

穂乃果「もー、素直じゃないんだから!」

雪穂(……アイドル、かぁ)

希「何にせよ、皆得られた物があったみたいやね♪」

絵里「時間も遅いし、今日はもうお開きにしましょうか」

にこ「明日からはまた練習よ!いつかこんなステージに立てるようにビシバシ行くんだから!」

凛「えーっ、きついのは嫌にゃー」

にこ「何ですって!?」

穂乃果「よーし、何だかやる気出てきた!今度はアイドルとして、皆で!」

穂乃果「夏フェスに行こう!」

どっとはらい。

これにて完結です!

時間軸の関係上このメンバーで夏フェスに出演する機会はないのですが、まぁ穂乃果のことだから勢いでしょう。この後雪穂辺りに突っ込まれたのでは。

最後までお付き合いいただきまして誠にありがとうございました!

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