にこ「運命のタロットカード!にこ☆」 (48)

つらかった――――


本当につらかったテストもなんとかおわって



ついにやってきた


ニコの、高校三年生最後の夏


高校生最後の夏ってなんだかすっごく良い響き



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1415016617

そんな良い響きとは裏腹にニコの高校最後の夏はとーっても大変!



ただでさえ多い夏休みの課題のほかに


バイトに家の手伝いに受験勉強にμ'sのダンスの練習に――――




ああ、もうだめ――――

くじけちゃいそう


でもでも―――



ダメダメ。ニコは皆に夢を与えるアイドルなんだから


ニコはとーっても可愛らしく、嬉しそうに楽しそうにして


皆を幸せにしなくちゃ☆

「ふぅ………」


カラカラと部室の窓を開けて、机にもたれかかる




夏休みに入ってから


穂乃果ちゃんのμ's愛がとってもすごくて



毎日朝から日が沈むまでずーっとダンスの練習



正直体がもたないかも………

そんなわけで、こっそりとひっそりと部室に逃げ込んで


今日は午後の練習を自主休憩


今頃海未ちゃんや絵里ちゃんが探しているのかもだけど


ちょっとくらい――――いいよね?



さっき海未ちゃんがくれたスポーツドリンク



もらった時はクーラーボックスに入っててとってもひんやりしてたんだけど


もう温くなってるや


むむむ………まるで穂乃果ちゃんがそこらじゅうにいるみたい

ああでも―――――


穂乃果ちゃんがそこらじゅうたくさんいたら


なんだかとっても楽しいかも♪



だって穂乃果ちゃんだよ?


辛くて挫けちゃうそうな時でもニコニコ笑ってパワーくれるんだよ?


手のひらサイズの穂乃果ちゃんなら2人くらい欲しいかも☆


くすくす。そんな楽しい事を考えながら



時々窓から入ってくる生暖かい風に喜びを感じていると



ふと、目に入った


希ちゃんの鞄の中から覗かせているタロットカード

いつも大事そうに希ちゃんが持っている私物


時々ニコも占ってもらってるけど



――――気になる



ちょこっとくらい見てもいいよね?


「……………」

そろーっとゆっくり手を伸ばして


もう少しで触る。その時に



ガチャリ


扉が開いて


「もー。ニコっちそれは商売道具なんやから触らんでなー」

突然入ってきた希ちゃん



音もなく扉が突然開いたものだから



ビクッってなっちゃって、10センチくらい宙に浮いちゃったかも


「くすくす。ニコっち驚き過ぎやー」



くすくす笑う希ちゃんは言葉を続けて

「急に入ったら驚くのも無理ないか。ごめんなー?」


「あーでも、そもそもはニコっちが触ろうとしたのが原因なんだからおあいこかな?」


ごめんなさーい


でもものすっごく驚いちゃったニコ



寿命が縮んだかも

そんなことを言うと


「ニコっちもしかして寿命と一緒に身長も縮んだんじゃ――――」


なんて言っちゃって!もー失礼なんだから!


希ちゃんとだってそう離れてないじゃなーい



――――5㎝くらいまでなら誤差ニコ

――――――――――――――――


「あー……これは意外といいかもやね」


「朝から練習続きでちょこっと疲れたからウチもニコっちと休憩♪」


「そうそう、エリちや海未ちゃんに内緒にしといてな?こんなんところ見られたら―――ああもう、怖い怖い」



ニコを探してきたかと思えば、どうやら希ちゃんもサボりみたい



パタンと静かに扉を閉めた希ちゃんが


ニコの隣に座って一緒に机にもたれかかってフニャーって

溶けたチーズみたい



ニコも一緒♪


この蒸し暑さでニコも希ちゃんももう駄目みたい

時計がカチカチ、窓の外から聞こえる運動部の声、セミの鳴き声



――――屋上からかすかに聞こえた海未ちゃんの怒鳴り声



これはニコの耳からシャットアウト


希ちゃんもきっとシャットアウトしちゃってるニコ



今は――――そう今を楽しまなくちゃ


それが大事なことなんだから☆

希ちゃんがすぐそばにいるっていうのに会話も何もなく


ただただふたり机にもたれかかって


時間が経過する



うーん――――なんだかこの時間好き♪


なんていうか、ふたりの時間を満喫してるっていうか

って、なんだかシワシワお婆ちゃんになったニコと希ちゃんを想像しちゃった


ニコは歳をとってもプリティーで可愛いお婆ちゃんになるんだから



小さな子どもに飴玉あげたりしちゃったりする



うん。そんなイメージ通りのお茶目なお婆ちゃんになってやるんだ☆


だらーって一緒にだれていた希ちゃんが何かを思い出したように



あ、と小さく声をあげた後、顔をこっちに向けて



「そういやニコっち。さっきウチのカード触ろうとしてたみたいやけど、もしかして興味持ってくれたん?」

「興味持ってくれたんならなんか嬉しいなぁ。ウチの占いって結構話題に出来るんやけど」

「でもそれって『占い結果』の話題で、『占い』自体の話題やないやん?そこも語れる友人がいるんやったらとっても嬉しいよ」


ただの気まぐれ。とは言えない雰囲気



でも興味を持ったのは本当で



希ちゃん、占っている時ってとっても真剣で楽しそうにしていて


どんな感じなんだろうなって思ったことはあるの

だから、コクンと頷いたら



「わぁー。とっても嬉しいなぁ♪」


「じゃあじゃあ、ウチのお気に入りなカード教えるなー」



とってもウキウキな希ちゃんは体を起こして鞄の中をごそごそ――――



「ウチのお気に入りのカードはこれ。『月』のカード」


取り出したカードの一番上をめくると。めくられたカードには犬?が月が見上げている絵――――

もう、希ちゃんってすごい。占いとかそういうレベルじゃないニコ


きっと預言者ニコ


驚いてるニコを尻目に話を続ける希ちゃん


「『月』のカードってあんまりいい意味を持ったカードじゃないんよ」

「正位置は嘘や不安。不信を意味しているんやけど」

「でもこのカード。実は正しい道を導くって意味もあってな」

「ひたすら真っ直ぐみんなを引っ張る穂乃果ちゃんがμ'sの『太陽』なら」

「ウチは少し後ろから皆を支えて、間違った道を歩かないように皆をこっそり導く『月』になりたい。ってな。なんかそんな感じがしてとっても好きなんよ♪」


「なんだかひねくれてるウチにピッタリやろ?」


最後にニシシと笑った希ちゃん


体を起こして真面目に聞いていたニコなんだけど


なんだか――――


少ししんみり

希ちゃんって普段おちゃらけてるけど、実はそういう大事なとこしっかりと考えているから


普段の希ちゃんとのギャップが凄くて


少し見惚れちゃった☆




「ああそうや、ニコっちにはこのカード」


そう言って次のカードをめくる


「『恋人』のカード。ニコっちにお似合いやね」



恋人。なんか名前だけでもニコに相応しそうな響きニコ

「わぁー!どんな意味があるのかわからないけど、とーってもニコに合いそうなカードニコ☆」


「愛するニコとあなた。ううん。ニコを愛してくれるファンのみんなを幸せにしてあげるラブニコスマイル♪」


「きっとそんな素敵な意味があるニコー。うんうん素敵♪」


体をくねらせて語るニコに希ちゃんはカードの意味を説明することなく


優しく微笑みかけた

言いたいことを先に言われた。そんな感じかな?


やーん。ニコってもしかして占い師になっちゃったのー?



さっそくのぞみんパワー炸裂ニコ☆



ウキウキ気分で希ちゃんからカードの事もっと聞こうとして


「ああ、そうだ。希ちゃんあのね――――」

ガチャリ―――――

突然。ギィー、とホラー映画にありそうな扉が開く音がして


ニコが振り返ると――――



「探しましたよ。ニコ、希」


にっこり笑顔の海未ちゃんがいたニコ


ただ、気になる部分はその笑顔がとっても引きつってて――――

後ろから、あちゃー。って希ちゃんが呟いた気がした


そのセリフはニコも呟いたような――――


「もう練習は始まっていますよ?今まで部室で何をしてたんですか?」


下手な言い訳をしたらやられる――――!


そう、生き残るには素直に謝罪を



でも――――

「やーん。海未ちゃんってば。もうもう、みんなに内緒にしてたのに来ちゃうなんてー」


「せっかく希ちゃんと計画進行していたのにぃー」


「ほら、朝から練習続きで体とか精神とか色々と疲れている時期だと思ったから」


「こうして希ちゃんと一緒に慰安旅行の計画を練っていたニコ☆」


「ニコのオススメはやっぱり山より海で―――――」

チラリ―――

希ちゃんをチラリと見て合図を送る


それを察したのか希ちゃんがニコの言葉に続く


「そうなんよ。ウチは山でバーベキューがいいなぁって思ってたんやど」


「よくよく考えたら海でもバーベキューできるし」


「開放感ある海で夕日を眺めながらワイワイするのまぁ、オシャレでいいなぁって―――」

「ああ、やっぱり希ちゃんってばわかるニコー♪」


「海でみる夕日ってなんだか特別な意味があるみたいで素敵☆」


「あぁー……みんなで海に沈む夕日眺めてみたいなぁー」


「ということで海未ちゃ――――ー」


海未ちゃんにスキを与えないように仕掛けたマシンガントーク


サボっているのではなく、μ'sのみんなの事で練習に参加できなかった


そう思わせればきっと雷を回避できる

その認識があまかったニコ


「言いたいことはそれだけですか?」


笑顔を崩さない海未ちゃん


海未ちゃん。アイドルとしてはそれは正解だけど


怖いから、どうせなら雷落としてぇー!

結局、海未ちゃんに連行されたニコと希ちゃんは


屋上で絵里ちゃん真姫ちゃん海未ちゃんの雷が落ちた



うわーん!こんな事になるなら素直に謝るんだったぁー!



「まったくニコと希は、油断しているとすぐこれです!」

――――――――――――――――


ううう………

海未ちゃん怖かったニコ


さすがのニコでも泣いてしまいそうなくらい怒られた


でも――――

「確かに練習続きでは体がもちませんね」


「ニコの言う通り、少し休息が必要なのかもしれません」


「特に希やニコや絵里は3年生なんですし、色々と大変でしょう。1日くらい何もかも忘れて遊んでも罰は当たらないかもですね」



珍しい


真面目という言葉を具現化したような海未ちゃんがこうも簡単に折れるなんて

きっと―――――穂乃果ちゃん辺りに見せつける水着でも買ったのかな?


なんて、そんな事口が裂けても言えないニコ


海未ちゃんの機嫌損ねちゃったらまた何を言われるか――――


それは希ちゃんもわかっていたみたいで、希ちゃんとアイコンタクト♪


作戦成功やね―――そうみたいニコ☆

言葉にしなくても伝わったそれは、なんだかとっても嬉しくて


思わずニシシって笑っちゃった



プチ旅行計画は、賛成多数―――ていうか満場一致でその場で決定♪


来週には真姫ちゃんの別荘にお世話になることが決まったニコ


くすくす。とっさの言い訳でも言ってみるもんだなーって


これはやっぱりニコの日頃の行いがいいからかな?

それとも一緒にいた希ちゃんのラッキーパワーのおかげかな?


なんて、どっちのおかげでもいいニコー



聞きそびれちゃったタロットカードの事も旅行の時に聞いたらいいか



そう、ニコの夏休みは始まったばっかり


時間はまだまだたーっぷりあるんだから



うーんと楽しんで、高校三年生最後の夏を満喫するニコ~☆



おしまい

最後まで読んでいただきありがとうございました。
前回言われたので、にこ→ニコに変更しました。
そのうち全キャラ分書きたいなと思っています。

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