後輩「先輩先輩!」先輩「?」(40)
後輩「明日は何の日か分かりますか!」
先輩「(明日?)」
後輩「ふっふふん」
先輩「…………うーん……」
後輩「えー、分からないんですか?えー……幻滅ですぅ……冷めるー」
先輩「(とりあえずココアでも)」サッ
後輩「はい?……!ココア!」
先輩「(この間好きって言ってたんで用意しておいた)」
後輩「あーっ!良い香り!先輩大好き!」
先輩「……」
後輩「♪」
後輩「あったかいし最高です!ナイス先輩!」
先輩「(良かった良かった)」
後輩「…それで、思い出せました?明日」
先輩「……」
後輩「なんですかその顔。もしかしてココアでうやむやに出来るとでも思ってたんですか」
先輩「…まさか」
後輩「ふふふ、動揺してるのがバレバレ」
後輩「先輩ってば考えてる事がすぐ表情に出るんだから分かりやすいんです」
先輩「(ウッソ)」
後輩「あははっ。ウソじゃないですよぉ。先輩の事なら何でもお見通しです」
先輩「……」
後輩「ねえねえ、そろそろ分かっても良い頃合いじゃないですか?」
先輩「(明日?明日、明日…)」
先輩「……誕生日」
後輩「ブッブー!ブーッ!適当に言ったでしょう今の!私の誕生日は9月!」
先輩「………」
後輩「あー、ほんとに思い出せないんですか。そうですか。はぁ」
後輩「…………」
先輩「(……後輩?)」
後輩「なーんか、ねぇ……。愛想がつきたって言うか、先輩のこと、もうどうでも良いかも…」
先輩「あっ、ちょっちょいまち」
後輩「んー、どうしよっかなー…」ゴトッ
後輩「……あっ」
先輩「あっ」
先輩「(飲みかけのココアのカップが)」
カップ「」ビシャッ
後輩「」
後輩「わっ……わっ!?あっ!え、あっ、ええと、ええと、あっ、あっ……!」
先輩「」サッ
先輩「」フキフキ
後輩「あっ……」
先輩「後輩」
後輩「はっ……あ、はいっ!?」
先輩「そこのティッシュ箱ごと」
後輩「は…はい!」
…
先輩「(ようやくこれで片付いた)」
後輩「…………」シュン
先輩「(そこまで被害は大きくなかったし、不幸中の幸い)」
後輩「あ………あの……」
先輩「?」
後輩「すみません……」
先輩「……」
後輩「……お、怒ってたり……します……?」チラッ…
先輩「………」
後輩「う……」
後輩「本当にごめんなさい…」
先輩「……」
後輩「あの、あの!」
先輩「…」
後輩「き、キライにならないで下さい、先輩、お願いです、謝りますから、だから、それだけは」
先輩「別に怒ってない」
後輩「………怒ってない……?」
後輩「…本当に?」
先輩「それよりも、服は?汚れた?」
後輩「あっ…いえ、平気です…」
先輩「(良かった)」
後輩「……」
後輩「あの…迷惑かけて、ホントにすみませんでした」
先輩「おかわり要る?」
後輩「い、いえいえ!いりません!!」ビクッ
先輩「ふふふ」
後輩「そ…そろそろ帰りますね!私!」
先輩「(えっ、もう?)」
後輩「お、お、お邪魔しました!ごめんなさい!!」
先輩「」がしっ
後輩「ぎゃっ!?」
後輩「ななななんですか、先輩……!」じたばた
先輩「明日の事、まだ思い出してない」
後輩「あっ、そんなコトはもう良いですから!!」
先輩「…………あっ」
後輩「…?」
先輩「思い出した」
喫茶店
後輩「」ビクビク
先輩「(昨日の事まだ引きずってる)」
後輩「あの……こ…こぼさないようにしますから……」
先輩「そんなに念を押されると俺まで緊張しちゃうだろ。やめてくれ」
後輩「先輩……」ほっ
先輩「で、後輩は何頼む?ココア?」
後輩「先輩!やめてくださいってばあ!」
後輩「あっ!来た!」
先輩「……」
後輩「来た来た!ほら!チーズケーキ!」
先輩「(甘い物好きの後輩がオススメするんだからよほど美味しいんだろう)」
後輩「ここはコレが美味しいんですよ!看板商品で!」
先輩「あっそ……」
後輩「ふふふ、金欠で買えなかったからふくれてますね」
後輩「そんな先輩に、はい。あーん」
先輩「………………」
後輩「どうです!」
先輩「……普通に美味しい」
後輩「えー。つまんないコメント。ま、良いですけど。二口目行きますよー、あーん!」
先輩「(こんなので味なんて分かるか)」
先輩「(結局半分近く頂いてしまった)」
後輩「気にしなくても大丈夫ですよ。私もペットにエサあげてる感じで楽しかったですから」
先輩「ペット……」
後輩「先輩は…気弱でおとなしい犬って感じですかね?ふふっ、きゃはははは♪」
先輩「………」
後輩「そんな微妙な顔しないで下さいよ!あ、そうだ、私はどうです?何に見えます?」
先輩「後輩?」
後輩「そうそう!私!先輩から見て!」
先輩「……躾のなってない犬」
後輩「………」
先輩「ぷっ」
後輩「ばっ、バカにしました!?」
先輩「ぷくく」
後輩「先輩!ちょっと!」
後輩「この私を躾がなってない犬と言うんですか!この!おしとやかで!可憐な私が!!」
先輩「けど根は素直」
後輩「へ?」
先輩「そういう所が好き」
後輩「………先輩?」
先輩「……」
後輩「あの…今の好きって、あの、もしかして」
先輩「ペットとして見るなら」
後輩「うぐ……酷い……」
後輩「素直……素直かぁ……」
後輩「素直……」
後輩「素直に……んー……」
先輩「後輩」
後輩「げぇっ先輩!?」
先輩「(さっきから居たのに)」
後輩「し、心臓に悪いじゃないですかまったくもう、びっくりしたあぁ」
先輩「…………」
後輩「朝一番から驚かすなんてやめてくださいってば本当」
先輩「(そんなつもりはなかったのに)」
後輩「驚いたものは驚いたんです!というか天然とか尚更タチ悪いような……」
先輩「あっ、後輩」
後輩「なんです?ははぁ、さてはまた何か仕掛けるつもりですね、あいにくそうは行きませんよ」
先輩「口元 米粒」
後輩「………」
後輩「……」サスサス
先輩「……」
後輩「きゃっ…キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァ!!!!!」
先輩「」キーン
先輩「びっくりした……」
後輩「だって……だって……」
先輩「(鼓膜が破れるかと)」
後輩「もうイヤ……お米見られた………ここ数日で絶対印象悪くなってる……サイアク……」
後輩「先輩ーお茶持ってきましたよー」
先輩「へくしゅんっ!」
後輩「あら?風邪ですか?」
先輩「ちょっと怪しい」
後輩「あー……」
先輩「後輩は?風邪とか」
後輩「全然」ケロリ
先輩「(羨ましい)」
後輩「でしょうでしょう!私病気には滅法強いんですよー!」
先輩「……」
後輩「あっ!今馬鹿は風邪引かないって思ったでしょう!?」
先輩「いいや?」
後輩「くう……、まあ良いです…それはさておき!そんな私も実はある病気には弱いんですよね」
先輩「………?」
後輩「ここで問題です!その病気とは何でしょうか!シンキングターイム♪」
先輩「……………」
後輩「さあさあ!どうでしょうどうでしょう!先輩さん!」
先輩「棄権します」
後輩「」ガクッ
先輩「……」
後輩「あーんもう!答えは!恋の病でしたー!!わー!!」
先輩「おお」
後輩「何ですその反応!まるで私が一生懸命頭を捻って考えたかのような!」
先輩「悪くないと思う」
後輩「私は馬鹿じゃないですぅ!馬鹿にしないで下さいー!!」
後輩「期末テストは毎回かなり良い線行きますし、学力テストだって結構上位に食い込んだりするんですよ?!私!」
先輩「!学力テストで……?凄い…」
後輩「えへへ……ま、まあ、それほどでもないですけどぉ、やだあ、照れちゃう」
先輩「俺なんていつも下3割に入るのに」
後輩「先輩も負けず劣らず馬鹿じゃないですか!!馬鹿!!」
先輩「二重の意味で耳が痛い」
先輩「ま、まあ、後輩が勉強得意なのは分かってる」
後輩「どーだか?」
先輩「いつもここで課題を広げて真剣にやってるし」
後輩「ああ、そうですね。私勤勉ですからね。ふふん」
先輩「部活で課題をやる事の良し悪しは別として」
後輩「そ、それは……あはは………勤勉に免じて大目に見て下さいよ、ね」
先輩「それに…後輩は何事も人一倍努力するし」
後輩「…先輩……」
先輩「……たぶん」
後輩「そこは断言して欲しかったです…」
先輩「(後輩は小学生の頃、坂上がり、二重飛びが出来ない事をしょっちゅう嘆いていた)」
先輩「(そして、休み時間に鉄棒や縄跳びで延々と猛練習をしてる後輩の姿を俺は何度も見た)」
先輩「(初めて二重飛びが成功した時の後輩の笑顔は……)」
後輩「先輩、どうしたんです。遠くを見るような目をして」
後輩「近くに美少女後輩が居るんですからそっちを見た方がオトクですよーほらほら」
先輩「後輩、鉄棒嫌い?」
後輩「は?どうしたんです…急に………あっ……!し、下ネタ………!?」
先輩「(結局坂上がりの方は出来ずじまいだったな)」ふふふ
後輩「やっ…やめて下さいよ……そういうの…反応に困るというかぁ、あぁ、うぅ」
後輩「分からないですよ…私……」
先輩「?」
後輩「だから……て…てつぼう……み、見たことないし………」
先輩「後輩、小学生の時坂上がり出来なかっただろ?ふと思い出して」
後輩「へっ………」
先輩「それでちょっと懐かしくて、まだウンザリしてんのかなって」
後輩「………………」ふい
先輩「……後輩?」
後輩「嫌……今こっち見ないで……私……最低……何考えてんのよ……」
寝ぼけてたみたい
恥ずかしい
後輩「先輩先輩!可愛い後輩ちゃんがわざわざ教室まで来てあげましたよ!」
後輩「…あれ?居ない?え、あ、す、スミマセン!!」
~
後輩「先輩ぃ」
後輩「おかしいなぁ、図書室にも居ないなんて」
…
後輩「せーんーぱーいー?」
先輩「………」
後輩「わっ!いきなり後ろに来ないで下さいよ!はぁ……探したんですからね?もう」
先輩「どうして倉庫を覗いてたんだ」
後輩「えーと、意外とこういう所に居るんじゃないかなーって」
先輩「後輩」
後輩「へ?先輩?」
先輩「………」すっ
後輩「……書類?あー、名前書く奴ですね、はいはい分かりました」
後輩「いやぁ、先輩から声かけてくるなんて珍しいなぁ。へへっ」
先輩「(失礼な)」
後輩「でも実際基本だんまりですし」
先輩「…」
後輩「ほら反論出来ない。ふふふ」
先輩「………」
後輩「何か言い返してみたらどうですか!やーい!ばーかばーか!あははははっ!」
先輩「………」
後輩「……あの…」
後輩「先輩先輩!見て下さい!この右手と左手のグーの」
先輩「右」
後輩「さ、最後まで聞いて下さいよ!えーと、なんだっけ、ええと、あ、あっ」
後輩「こほん!このグーのどちらかにですね、なんと私からの素敵な贈り物が」
先輩「右」
後輩「贈り物が!入ってます!!!どっちか、選、はあっ、はあ……はあっ…」
先輩「……」
後輩「げほっ……ほら、早く選んで、けふっ……」
先輩「左で」
後輩「ずいぶんと気まぐれな……じゃ、左で良いんですね?」
先輩「…」コクン
後輩「ほ、本当にですか!チャンスは一度きりですからよぉーく考えて下さいよ?」
先輩「左。早く」
後輩「後悔しませんね!絶対後悔しませんね!後で悔やんだって知りませんから!」
先輩「………」
後輩「…じゃあ!お待ちかねの…結果発表……さて……どっちなんで…しょう…!」
先輩「後ろに隠して何やってるんだ」
後輩「じゃ、じゃじゃーん!!大当たりー!!わー!!」
先輩「………くくく」
後輩「笑うな!!」
後輩「とにかく!はい!プレゼントです!」
先輩「……」
後輩「ほらほら喜ぶ所ですよ?今いっぱい喜べば私の好感度がグングン上がりますよ♪」
先輩「………、ハンカチ…」
後輩「え、ええ、はい、うん………どうですか、柄とか……」
先輩「……ありがとう」
後輩「…………ま、まあ、無難な言葉ですけど、良しとしてあげます」
先輩「(わざわざ選んでくれたのかな)」
後輩「これで先輩を釘付けに出来るなら安いものです。あれですよ、良いキープ君ですから」
先輩「大事にする」
後輩「…約束ですよ?」
先輩「……………」
先輩「……………」
後輩「先輩せんぱーい!」
先輩「」ばばっ
後輩「…あれ?」
先輩「よ、よう後輩」
後輩「……先輩、今ハンカチ眺めてましたよね」
先輩「別に」
後輩「ねえねえねえどうなんですかどうなんですか?あっ持ってる!」
先輩「」
後輩「ふふふふっ!やっぱり見てたんだ?一人で?おっかしい、ふふふふ!」クスクス
先輩「」
後輩「はぁ……あっ、でも、嬉しい事には嬉しいんですけど…」
先輩「?」
後輩「えーと、私は深い意味があってそれを渡した訳ではないんですよ」
後輩「勘違いされては困ると言いますか、ごめんなさい、私先輩とはちょっと…」
先輩「(まだ告ってないんだけど)」
後輩「あ、毎月お小遣いくれるなら付き合ってあげても良いですよ」
先輩「断る」
先輩「………………」
後輩「先輩!ココア!」ガラッ
先輩「俺はココアじゃない」
後輩「良いですから!ココア下さい!」
先輩「(自分で入れりゃ良いのに…)」
後輩「そこを何とかお願いします!ね!」
先輩「…………」
後輩「ふふっ、何だかんだ文句を言いつつやってくれる先輩のこと、好きですよ」
先輩「はい」
後輩「……あーっ!美味い!」
先輩「……美味い?」
後輩「美味いって言うとなんか野性的な感じがしません?さっき気づいたんですよ」
先輩「…………」
先輩「品がない」
後輩「え~、一緒にやりましょうよ、ホラホラグイっと!」
先輩「熱湯なんだけど…火傷させる気?」
後輩「じゃあじゃあこっちのお水で!こんな感じです!」グイっ
先輩「(あっ……後輩スタイル良いから体を反らすとすげぇ……)」
後輩「ぷはーっ!………?どうしました……?」
先輩「げほっ、げふんげふん!」
後輩「……?」
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