武内P「今日は島村さんの誕生日ですね」 (89)


未央「おお!?プロデューサーってそういうのに無頓着かと思ってたけど……」

凛「知ってたんだ、卯月の誕生日」

武内P「はい。皆さんのプロフィールを把握しておくことは、プロデューサーとして基本ですから」

武内P「それに―― 」



莉嘉「飾り付けってこんな感じかなー?」

みりあ「うん!あとはこっちのデコレーションだけだね!」

きらり「高いところはきらりに任せて☆」


かな子「卯月ちゃんの誕生日をお祝いするために、ケーキを焼いてきました!」

智絵里「か、かな子ちゃん、凄い……!」

杏「あーあ、かな子ちゃんが嫁に来てくれれば杏が食事に困ることはないんだろうなー……」


みく「違うにゃ!まずはケーキ、ありきのプレゼントにゃ!ケーキの火を消してからプレゼント!」

李衣菜「違うね!誕生日おめでとうってことを伝えてプレゼント渡して、それからケーキだね!プレゼント渡してからケーキ!」


アナスタシア「自身の誕生日でなくても、誕生日というのは……ワクワク、しますね?」

美波「ふふっ、そうね。卯月ちゃん、きっと喜んでくれるわ」

蘭子「遂に根源の依代を祝福の闇へと誘うときがきたか……(私も精一杯お祝いしたいです!)」



武内P「――プロダクション内がこの様子ですから、どなたでも気づくかと」

未央「確かに!」

凛「じゃあさ、プロデューサーも何か持ってきたの?卯月に誕生日プレゼント」

武内P「その件なんですが……」


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未央「ええっ!?迷ったあげく何も用意していない!?」

武内P「……はい。そこでお二人にご相談しようかと思いまして」

未央「いやいや、当日に相談してどうすんの!」

武内P「……すみません」

凛「別に何でもいいんだよ。気持ちのこもったものなら、何でも」

武内P「そう、でしょうか……?」

未央「しぶりんの言う通り!気持ちのこもったものなら、何であってもしまむーは喜んでくれるよ!」

武内P「気持ちの、こもった、もの……」

凛「……相当悩んでるみたいだね」

未央「あ。じゃあさ、こんなのはどう?プロデューサーちょっと耳かして」

武内P「はい?」

未央「――」ゴニョゴニョ

武内P「……え、そんなことで、いいんでしょうか?」

未央「大丈夫大丈夫!きっと喜んでくれるから!」

武内P「分かりました……それでしたら」

ちひろ「すみません。プロデューサー、ちょっと」

武内P「はい。それではお二人とも、ご相談にのっていただきありがとうございました」

スタスタ

凛「……未央、プロデューサーに何言ったの?」

未央「ふっふっふ、まぁ見てれば分かる分かる!」

みりあ「卯月ちゃんきたよー!!」

未央「おっと、こうしちゃいられない!早く準備しないとね!」



ガチャッ

卯月「皆さん!おはようございま――」



未央「しまむー!!」

全員『誕生日おめでとー!!!』

パンッ パン

おめでとー!おめでとうございます!おめでとう、です!めでたいにゃ!



卯月「わ!わわっ……ビ、ビックリしました……」

卯月「でも……凄く嬉しいです!!皆さん、ありがとうございます♪」


李衣菜「はいはい!それじゃあこれ!私からのプレゼント!」

みく「あ!そうやって自分からプレゼントの流れを作るのはズルいにゃー!」

きらり「きらりからもこれ!手作りなんだよぅ☆」

ワイワイ

武内P「……島村さん」

卯月「あ、プロデューサーさん!おはようございます!」

武内「お誕生日、おめでとうございます」

卯月「はい!ありがとうございます♪」

杏「プロデューサーからもプレゼントあるんでしょ?」

武内P「え、ええ、まぁ……」

卯月「ほ、本当ですか!?嬉しいなぁ…!」

武内P「あ、いえ……プレゼントと言えるかどうか、分からないのですが……」



武内P「私の出来る範囲であれば、何でもひとつ、島村さんのしたいことを致したいと思います」


ちひろ「何でも!?」ガタッ

かな子「ち、ちひろさんがいち早く反応した……」

智絵里「こ、怖い……」

莉嘉「何でもひとつー!?」

アナスタシア「どんなことでも、プロデューサーが叶えてくれる……ということ、でしょうか……?」

みく「Pチャンにしてもらいたいこと、何でもしてもらえるってことにゃ!」

美波「ひ、膝枕とかもしてもらえるのかな……」///

きらり「もしきらりならぁ、プロデューサーとクレープを食べに行きたいにぃ☆」

みりあ「わたしもー!」

杏「杏だったらプロデューサーが一生養ってくれるよう命令するよ」

蘭子「私は我が友と肉塊を生みし儀式を取り図る!(プロデューサーさんと一緒にハンバーグを作りたいです!)」



凛「未央がプロデューサーに提案したプレゼントって、もしかして、これ?」

未央「あはは……も、盛り上がるかなぁと思って……」

凛(プロデューサーのことだから、なんの疑いもなく真面目に受け取ったんだろうな……)

武内P「どうでしょうか、島村さん」

卯月「ふぇ!?え、えーっと、それでしたら……」



卯月「プロデューサーさんと一緒にお出掛け、したいです……」



李衣菜「そ、それって……」

ちひろ「デートのお誘いですかー!?」

かな子「わっ!?び、ビックリしたぁ……」

智絵里「ちひろさん……怖い……」

みく「さっきから皆と食いつきかたが違うにゃ」



武内P「お出掛け、ですか?」

卯月「はい!」

武内P「で、ですが……プロデューサーである私と、アイドルである島村さんが出かけるというのは……」

莉嘉「えー!?ダメなのー!?」

みりあ「何でもって言ってたのにー!」

アナスタシア「せっかくの卯月のお願い、なので……行ってきてほしいです」

武内P「ですが……そんな場所を、もしマスコミに発見されでもしたら……」

卯月「そ、そうですよね!ごめんなさい、私ったらなにも考えずに――」

凛「卯月」ゴゴゴ

卯月「……え?り、凛ちゃん…?」



凛「卯月が曲がる必要なんてないよ。プロデューサー、卯月のしたいことをしてあげるんじゃなかったの?」

武内P「ですが、」

凛「ですが、じゃない!卯月は、勇気を出してプロデューサーを誘ったんだよ。その気持ちがアンタには分からない!?」

武内P「!」

卯月「凛ちゃん……」

凛「……あっ、ごめん…言い過ぎた。けど、卯月の気持ちは汲んでほしかったんだ……それだけ」

武内P「渋谷さん……」

未央「ま、まぁ今のところ、悪いマスコミに目をつけられてる訳じゃないしさ、変装してれば大丈夫なんじゃないかな?」

杏「そうそう。人って案外他人のことなんて見てないって」

武内P「……分かりました。それでしたら、ちょうどオフですので今週の日曜日はどうでしょう…?」

卯月「は、はい!宜しくお願いします!」



かな子「プロデューサーさんと二人でお出掛けかぁ……素敵だなぁ……」

凛「それで、どこに出かけるかは決めないの?」

卯月「あっ!す、すみません。こういうのに慣れていなくって、すっかり忘れちゃってました……」

武内P「い、いえいえ、私も同じようなものですから……」

ちひろ「公園、映画館、アミューズメントパーク、カラオケ、遊園地……ああ!どこに出かけるか迷いますよね!!」

みく「やっぱり一人テンションがおかしいにゃ」

李衣菜「というか、一応止める立場なんじゃないの?あの人……」

杏「あー、決まってないならちょうど良いものがあるよ。ちょっと待って」ガサゴソ

美波「杏ちゃん?」

杏「――あった、これこれ」

美波「これって……遊園地の、チケット?」

蘭子「悠久の翼……!(しかもペアチケットです!)」

莉嘉「どうしたのーこれ!?」

杏「親戚から貰ったんだけどさ、杏は遊園地に行くよりも家で寝てる方が好きだし、使う機会もなくって。ちょうど良いから使ってよ」

卯月「い、いいんですか!?ありがとうございます!」

武内P「双葉さん、ありがとうございます」

未央「ということは、日曜日に遊園地デートだあ!!」

凛「良かったね、卯月」

卯月「え、えへへ……」



未央(これは私も日曜日にオフを貰って、二人の動向を見守るしかないね!)

日曜日 遊園地

未央「って……」


未央「なんで皆いるのさー!?」


李衣菜「いやぁ……つい気になって」エヘヘ

みく「気がついたら遊園地に来てたにゃ」エヘヘ

杏「私は今日もプロダクションで寝てたかったんだけどさ……」

きらり「きらりが連れてきちゃった☆」

莉嘉「うわー!遊園地なんてお姉ちゃんとずっと前に来て以来だー!」

みりあ「楽しみだねー!」

かな子「チュロス、クレープ、ポップコーン……楽しみだなぁ…」

智絵里「た、食べ過ぎは良くないよ……?」

アナスタシア「ハラショー…!これが日本の、遊園地なのですね……!」

蘭子「今こそかりそめの姿を棄て真の姿を見せようぞ!(今日は思い切り楽しみたいです!)」

美波「それじゃあ、皆の分のチケット買ってきちゃうね?」


未央「で、しぶりんもちゃっかり来てるんだ。やっぱしプロデューサーのことが気になって?」ニヤニヤ

凛「ちっ、違っ!私は卯月がこけたりして怪我しないかと心配で…!」

未央「はいはい♪」

ちひろ「私は気になりますよ!卯月ちゃんとプロデューサーさんの行方!!」

未央「ってちひろさんも来てるの!?」

凛「ということは、もしかして今346プロには誰も居ないんじゃ…!?」



346プロダクション


ガチャ

美嘉「やっほ★みんな元気してる?――って」

美嘉「誰もいない!?」



卯月「」ソワソワ



未央「しまむー、プロデューサーのこと待ってるみたいだね」

ちひろ「待ち合わせの時間はまだ来てませんからね、早く着きすぎたんでしょうねー」

杏「え」

かな子「ど、どこでそんな情報を?」

ちひろ「秘密です♪」

みく(あ、相変わらず底が知れない人にゃ…!)


武内P「島村さん」タッタッ

卯月「あ!プロデューサーさん!」

武内P「すみません……お待たせさせてしまいましたか」

卯月「いっ、いえいえ!私もさっき来たところですし!」

武内P「それでは……行きましょうか」

卯月「はい♪」




莉嘉「Pくん来たよ!」

未央「それでは、しまむーとプロデューサーを見守り隊!いざしゅっぱーつ!」

みりあ「おー!」

きらり「にょわー☆」

ちひろ「皆さん!あくまで卯月ちゃんとプロデューサーさんにはばれないよう隠密に、ですよ!」スタタッ

凛「一番ノリノリだ……あの人」

智絵里「や、やっぱり最近のちひろさん……怖い……」

李衣菜「出来る人である一方、あんな一面もみせるなんて……ちひろさん、ロックだね!」

みく「あれのどこら辺がロックにゃ!?」



武内P「島村さん。早速ですが、どこに行ってみたいですか?」

卯月「そうですね……あっ!あれに乗ってみたいです!」

武内P「……コーヒーカップ、ですか」

卯月「はい!」




未央「プロデューサーがコーヒーカップに……なんともシュール……」

みりあ「あっ!あれに乗ってみたーい!」

莉嘉「行こ行こ!」

きらり「きらりも行くにぃ☆杏ちゃんも☆」ズルズル

杏「杏もー!?」ズルズル

未央「ちょ、ちょっと!?いきなりしまむーとプロデューサーを見守り隊解散!?」

かな子「あっちから良い匂いがするぅ……」フラフラ

智絵里「かな子ちゃん…ま、待って…!」

みく「あちゃー、いきなりバラバラにゃ」

アナスタシア「皆さん、楽しそうで、なによりです」

ちひろ「あ、乗り込みますよ!あの二人!」

凛「この人は本当にぶれないなー……」



卯月「えへへ、コーヒーカップなんて久しぶりです!」

武内P「……私は初めてです」

卯月「そうなんですか!?この真ん中のハンドルを回すと、その分回転が速くなるんですよ!……って、知ってますよね、そんなこと……」

武内P「それは……なるべく回した方が良いんでしょうか?」

卯月「え、えーと……そうですね!速いと楽しいです!」

武内P「……なるほど」




<キャアアアアア


美波「悲鳴!?」

未央「しまむーのだ!」

凛「一体何が――」



卯月「ぷ、プロデューサー……さん……!!」グルングルン

武内P「」一生懸命ハンドル回し

卯月「こ、これ以上回さないで……ください…!」

武内P「……はい?」グルングルン

卯月「だ、誰か、止めてくださいー…!!」グルングルン



凛「卯月とプロデューサーが…!」

未央「超高速で回ってる…!!」

アナスタシア「に、日本の遊園地は、凄いです…!」キラキラ

蘭子「輪廻の如き回転…!(卯月ちゃん大丈夫かな…?)」



卯月「ぷ、プロデューサー、さん……」フラフラ

武内P「だ、大丈夫ですか島村さん?」

卯月「は、はい……。ビックリです、まさかコーヒーカップがあんなに速く回転するなんて……」

武内P「……すみません。もしかして、やり過ぎてしまいましたか…?」

卯月「い、いえ!プロデューサーさんが私のために一生懸命やってくれたことですし、私、嬉しかったです!」

武内P「そう……ですか」ホッ

卯月「はい♪」

武内P「それでは、次はどちらへ行きましょうか?」

卯月「次はですね……あれに乗ってみたいです!」

武内P「……メリーゴーランド、ですか……」




みく「Pチャンがメリーゴーランドに乗ってたら完全に不審者にゃ」

未央「お、思ってても言っちゃダメだって!」

美波「他のみんなは何してるのかな……」



みりあ「これこれ!ジェットコースター!」

莉嘉「すっごく楽しそー☆」

杏「げっ、ジェットコースターなんて反対はんたーい!杏には向かないよ!」

きらり「きっと杏ちゃんも楽しめる筈だから☆ゴーゴー!」ズルズル

杏「待って…!だっ、誰か助けて…!」ズルズル



かな子「これも美味しいー!これも――」

智絵里「か、かな子ちゃん、早く戻らないとみんなとはぐれちゃうよぉ…」


卯月「私、メリーゴーランドも久しぶりなんです!」

武内P「……私は、これも初めてです」

卯月「そうなんですか!?それでしたら、今日は初めてメリーゴーランドに乗りました記念日、ですね!」エヘヘ

武内P「……はい、そうですね」


あっ、見て見てあの子可愛いー!
ちょっと、あの子の隣の人、凄く怖くない!?
ホントだ!乗ってる馬粉砕しそうな顔してる…!


卯月「えへへ、ちょっと恥ずかしいですけど……楽しいですね!」

武内P「はい。島村さんが楽しそうで、なによりです」



凛「周りの人は引いてるけど、本人たちはなんだか楽しそうだね」

蘭子「さながら幼き小鳥のよう……(見ていて微笑ましいです)」

ちひろ「それに比べて、私はこそこそと何をしてるんですかね……」

未央「やめてちひろさん、我に返らないで……」

李衣菜「プロデューサーとメリーゴーランドの組み合わせ……うん、ロックだね!」

みく「だからそのロックの定義って何にゃ!?」

アナスタシア「ロックと、感じたものが、ロック……なんですよね?」


卯月「楽しかったですね!」

武内P「ええ。次はどちらに行きましょうか?」

卯月「えーと……それなら、次はプロデューサーさんが行きたいところに行ってみたいです!」

武内P「私が選んでしまって、宜しいんですか?」

卯月「はい!」

武内P「そうですね……でしたら、あちらはどうでしょう?」

卯月「あれって……お化け屋敷、ですか?」

武内P「はい。この遊園地の売りの一つだそうで、所要時間も一時間近くかかるとのことです」

卯月「そ、それは凄そうです…!」




凛「次はお化け屋敷に向かうみたいだね」

蘭子「お、お化け、屋敷…?」

美波「わ、私はあまり得意じゃないなぁ……」

ちひろ(怖がる蘭子ちゃんと美波ちゃん、可愛いなぁ……)ホッコリ

みく「だっ、大丈夫にゃ!お化けなんて空想の産物!実際はキャストさんがいるだけだし、怖い要素なんて何もないにゃ!」

アナスタシア(みくなりの励まし……ですね)

李衣菜(今頃、他のみんなは各々楽しんでるのかな?)



杏「こ、こんなはずじゃなかったのにぃ……!」ガタンゴトン

きらり「きっとたのすぃよ!馬には乗ってみよー!とも言うし☆」ガタンゴトン

莉嘉「馬ー?なにそれ~?」ガタンゴトン

みりあ「そんなことより、お、落ちるよー!」


わあぁぁぁー!!きゃあぁぁぁー!!にょわぁぁー☆☆

智絵里「あ……あれ、杏ちゃん達……」

かな子「え?あ、本当だね!楽しそう――ってあれ?みんなは?」モグモグ


お化け屋敷

お化け「わっ!」

武内P「」

お化け「うわぁ!?こ、怖っ!?」

武内P「……怖がらせてしまいましたか、すみません」


武内P「……先程から、私がお化け役の方を怖がらせてしまってますね」

卯月「き、きっと急に現れたプロデューサーさんに、ビックリしてしまったんだと思います!」

武内P「……先程から様子を見ていましたが、島村さんは、お化けや幽霊には恐怖感を覚えないようですね?」

卯月「え?えーと、普段は、お化けや幽霊はいたら面白いなぁって思っているんですけど……」

卯月「でも、いざ本当に会ってしまったら、腰を抜かしちゃうかもしれないです……」

武内P「……そうでしょうか?今は随分と落ち着いていられますし……」

卯月「い、今も本当はちょっと怖いんですよ?」

卯月「それでも落ち着いていられるのは、プロデューサーさんが近くにいてくれるから、なんです……」

武内P「島村さん……」




未央「なんかお化け屋敷本来の趣旨と変わってきちゃってるけど、いい雰囲気!」

凛「ってあれ?皆とはぐれちゃったな……」



お化け「ばぁ」

みく「にゃー!?なんでさっきからみく達のこと驚かしてくるにゃ!?」

李衣菜「お化け屋敷だから!それにさっきまで怖い要素なんて何もないって言ってたのは!?」

みく「頭で考えてることと実際に体験してみることは全然違うの!!」

ちひろ(慌てる李衣菜ちゃんとみくちゃん、可愛いなぁ♪)ホクホク



アナスタシア「細かい部分まで、彩飾が凝っていて、クラスィーヴァ…美しいです…!」

美波「アーニャちゃん、ちょっと待って!蘭子ちゃんが!」

蘭子「怖いのはダメ怖いのはダメ怖いのはダメっ…!!(闇からいでし鎖が我に襲いかかるか…!)」ガタガタ



ギィ

卯月「あれ?広い場所に出てきちゃいました」

武内P「手術室、と書いてありますね。……どうやら、ここでキーアイテムを手に入れないと先に進めないようです」

卯月「探す必要があるんですね、分かりました!島村卯月、頑張ります!」


卯月「プロデューサーさーん!見つかりましたかー…?」

武内P「いえ、こちらには無いようです」

卯月「そうですか……」

武内P(?……隠し扉が在ります)

武内P「島村さん――」

卯月「こっちはどうでしょう?……うーん、見つからないです……」

武内P「……」

武内P(集中しているようなので、私がサッと行って見てくることにしましょう)ギィ



卯月「どうですか?プロデューサーさん……プロデューサーさん?」

卯月「あ、あれ?プロデューサーさん?ど、どこに行っちゃったんですか?」キョロキョロ

卯月(もしかして、前の部屋に探しにいっちゃたんでしょうか…?)

卯月「ぷ、プロデューサーさーん…!」



武内P「……またお化け役の方を驚かせてしまうことになりましたが、キーアイテムは手にいれました」

武内P「……島村さん?」キョロキョロ

武内P(ここの部屋以外に行く場所は無い筈ですが……)

武内P(……もしかして、キーアイテムは幾つか存在しており、ここの部屋で見つけて先に行ってしまったんでしょうか……?)

武内P(……とりあえず、先に進んで島村さんを探しましょう)ギィ


<プロデューサーさーん…!

未央「あっあれ?しまむー1人になってない?」

凛「まったく、なにやってるのプロデューサー…!」



卯月「プロデューサーさーん…!」

卯月(うう……心細いです……)

卯月(もしかして、このまま卯月は皆ともプロデューサーさんともお別れに……)

卯月「」グスッ

卯月「ど、どこですかー…!プロデューサーさーん…!」


一方その頃武内P

お化け「ばぁ!」

武内P「あの」ズイ

お化け「ひぃ!?な、なんでしょう!?」

武内P「このくらいの身長で、髪を結った女の子を――」

武内P「――いえ。女性を、見かけませんでしたか?」

お化け「い、いえ。見てないですね」

武内P「そうですか……ありがとうございます」

武内P(こちらに来ていないとしたら、前の方へ戻ってしまったんでしょうか……)



卯月「うう……」グスン

卯月「! な、泣いちゃダメです!私、笑顔だけが取り柄なんですから…!」



凛「ああもう見てられない…!行くよ未央!」

未央「ええ!?今までつけてたことがバレちゃうよ!」

凛「だけど、このまま見てるだけなんて私には…!」

未央「ちょっ、ちょっと待ってしぶりん!何か凄い足音しない?」

凛「足音…?これって……」



ダダダダダダ

武内P「し、島村さん…!」



凛「プロデューサーだ…!」



卯月「! プロデューサーさん!!」

武内P「――はぁ、はぁ、すみません島村さん……私が、勝手に1人で移動してしまったせいで……」

卯月「い、いえ!プロデューサーさんは悪くありません!私が勝手に動いちゃったせいですし……」

武内P「……」

卯月「……」

武内P「……あの…大丈夫、でしたか?」

卯月「え?は、はい!大丈夫です!」

武内P「そうですか……」

卯月「……」

武内P「……」

卯月「……プロデューサーさん」

武内P「はい?」

卯月「じ、実はさっきまで、不安でしょうがなかったんです……」

卯月「でも、プロデューサーさんが来てくれましたから……もう大丈夫です!」

武内P「……そう、ですか。それなら、良かったです」

卯月「はい♪」



凛「良かった……プロデューサーが来てくれた」

未央「今にも飛び出しそうだったもんね、しぶりん」

凛「卯月が泣いてるのに、見ないふりは出来なかったからね」

未央「よーし!何はともあれ、デート再開だー!」



武内P「それでは、気を取り直して先へと進みましょう」ザッ

卯月「あっ、あのっ!」

武内P「はい…?」

卯月「も、もうはぐれないように……その……」


卯月「……手を繋いで、くれませんか…?」



ちひろ「ぶひゃあ」

李衣菜「なぁぁ!?ちひろさんが急に鼻血を吹いて倒れた!?」

みく「な、なんなんにゃあこの人!?」


武内P「手を……ですか?」

卯月「は、はい…!」

武内P「で、ですが…」


凛『ですが、じゃない!』


武内P「!」

武内P(……島村さんは、今、勇気をだしている。私もその勇気に、正面から向き合わなければ…)

武内P「……」

ぎゅっ

卯月「!」

武内P「こう、でしょうか?」

卯月「は、はい…!」

武内P「つ、拙いですが、よろしくお願い致します……」

卯月「こっ、こちらこそ、よろしくお願いします……」///



未央「見てよしぶりん!しまむーとプロデューサー、手、繋いじゃってるよ!」

凛「ふーん……」

未央(!? しぶりんがなんとも言えない複雑な表情してる…!じ、実はこの状況、結構な修羅場なんじゃ…!?)


卯月「……」ドキドキ

武内P「……あの、」

卯月「は、はい!?」

武内P「ここに段差がありますから……気を付けてください」

卯月「へっ…?あっ、ありがとうございます……」///

卯月(――正直なところ、私はその時のことをあまりはっきりと覚えていません)

卯月(私は緊張しっぱなしで、ドキドキしていて……)

卯月(プロデューサーさんに、手を通じてドキドキしてることがバレちゃうんじゃないかって、思っちゃうほどでした)

卯月(……プロデューサーさんの手は私のと違って、大きくて、繋いでるだけで安心できて…)

卯月(何だか、すごく幸せで)


武内P「……島村さん」

卯月「ふぇっ!?は、はい!」

武内P「あそこがゴールみたいですね」

卯月「そ、そうみたいですね!」

武内P「行きましょうか」

卯月「……はいっ♪」


キャスト「お疲れ様でしたー」

武内P「どうでしたか?楽しんで、いただけましたか…?」

卯月「えへへ……すっごく楽しかったです♪」

武内P「そうですか……それは良かったです」

卯月「はい♪それじゃあ次はどこに――」

武内P「あの……」

卯月「?」

武内P「手は繋いだままで、宜しいんでしょうか?」


卯月「え?あっ!す、すみません…!もう大丈夫ですもんね!」パッ

武内P「あ、いえ、そういう意味で言ったわけでは……」

卯月「――」ドキドキ

武内P「……」首の後ろに手を回す

ぐぅ…

卯月「――!」/// カァッ

武内P「……そろそろお昼ですね。ご飯、食べに行きましょうか」

卯月「うう、すみません……恥ずかしいです……」///

武内P「……お昼を食べ終わったら、次は違うエリアに行ってみましょう。まだまだ、時間はありますから」

卯月「そ、そうですね!せっかくの遊園地です、思いっきり楽しんじゃいましょう!」

武内P「それでは行きましょう、島村さん」

卯月「はい、プロデューサーさん♪」




未央「お!しまむーたち移動するみたい!こちらもまたまたこっそりと――」

凛「行こう、未央」

未央「――え?ど、どこに行くのしぶりん!」

凛「これ以上、卯月とプロデューサーの動向を見守る必要はないよ。むしろ、私たちは邪魔になっちゃうから」

未央「ちょっ、ちょっと待ってよ!」


未央「急にどうしたのさー!?」

凛「……」

未央「しぶりん?」

凛「――ダメだね。私」

未央「え?」

凛「卯月もプロデューサーも幸せそうでさ、それは私にとっても喜ぶべきことなのに……ほんのちょっとだけ、見てるのが辛かった」

凛「二人が幸せそうなのに、見てられなくなって……そんな自分に今、腹が立ってる」

未央「しぶりん……」

凛「私は、卯月にもプロデューサーにも、幸せになってもらいたい……その筈なのに。その想いは、何も変わらないのに」

未央「そっか……」


未央「しぶりんはさ、今、自分に正直でいる?」

凛「……え?」

未央「しぶりんは優しいから。きっと、自分のことなんて二の次三の次なんだろうなぁって思うよ」

未央「だけど、しぶりんが自分の想いを見なかったふりしてるのは、見たくないよ。それはきっと、しぶりん自身を傷つけることになるから」

凛「未央……」

未央「それに私は、しまむーにも、プロデューサーにも、そしてしぶりんにも、幸せになってほしいなぁって思うんだー!」

未央「だからさ、自分の想いは素直に受け取ってあげてほしい。自分の想いには、正直でいてあげてほしいんだ」

未央「……私は自分に正直すぎて問題なんだけどね」エヘヘ


凛「……ふふっ、ありがとう、未央」

凛「……うん、何だかスッキリした。プロデューサーに対するこの想いが本物なのか……まだ私にはわからないけど。でも、もう目を背けたりはしないよ。未央がそう思ってくれてるから」

未央「えへへ……よーし!遊ぼう、しぶりん!」

凛「え…?」

未央「考えたあとは身体を動かすのが一番!せっかく遊園地に来てるんだもん、遊び倒さないと!ほら行こ!」ギュッ

凛「ちょっ、ちょっと未央!」


時は過ぎ――

夕方/観覧車内

卯月「遊園地といったら観覧車ですよね!」

武内P「これに乗ったのも、初めてです」

卯月「え、そうなんですか?もしかしてプロデューサーさんって、遊園地初めてだったんじゃ……」

武内P「いえ。仕事のために来たことは来たことはありましたが……こうして、ゆっくりと回れたのは初めてです」

卯月「そうなんですか!いつか私も、遊園地でライブをできる日が来るんでしょうか…」


武内P「……島村さん」

卯月「はい?」

武内P「どうして、私と出掛けたいなどと思ったのでしょうか?」

卯月「え…?」

武内P「……私はこの通り、不器用な人間です。誰かを楽しませることなど、出来ません」

武内P「そんな私を今日のように誘ってくださったのは……どうしてなのでしょうか?」



卯月「……プロデューサーさん。私がまだ養成所にいたときのこと、覚えていますか?」

武内P「……はい。あの頃は、シンデレラプロジェクトの始動さえも危ういものでした」

卯月「あの時、プロデューサーさんが必死に頑張ってくれたお陰で、私はアイドルとしてのスタートを切ることが出来ました」

卯月「私はアイドルとして、凛ちゃんと未央ちゃんと、色んな経験をすることができて……」

卯月「今では凛ちゃんや未央ちゃんだけじゃなくって、シンデレラプロジェクトのみんな、346プロの皆さん、スタッフの方々……沢山のお友だちが出来ました」

卯月「全部、プロデューサーさんのお陰で、今の私が――私たちが、あるんだなぁって。私、すっごくプロデューサーさんに感謝してるんです!でも……」

武内P「……でも?」

卯月「でも……あの頃と違って、今ではプロデューサーさんとお話しできる時間も少なくなっちゃったなぁって、思っちゃったんです」

卯月「プロデューサーさんはシンデレラプロジェクトのみんなを1人で担当していますから、忙しいのは当然なんですけど……」

卯月「でもそれが何だか……少しだけ、寂しくて…」エヘヘ

武内P「そうでしたか……」

卯月「だから今日は、プロデューサーさんと沢山お話しできて、私、嬉しかったです!」

卯月「それに、さっきプロデューサーさんは自分のこと、人を楽しませることなど出来ないって言いましたけど……そんなことありません!私、今日とっても楽しかったです!」

卯月「最高の誕生日プレゼント……ありがとうございました♪」

武内P「島村さん……」


武内P「……私も、楽しかったです」ニコ

卯月「プロデューサーさん…!」

武内P「……ちょうど、頂点付近のようですね」

卯月「!! わぁー!とってもいい景色ですね!」

武内P「はい」

卯月「またこうして、この景色を見に来ましょうね!プロデューサーさん!」

武内P「……はい。必ず、また」


正門前

卯月「今日は本当に、ありがとうございました!」

武内P「こちらこそ、ありがとうございました」

卯月「あ、あの、プロデューサーさん!」

武内P「……はい?」

卯月「わ、私――」



卯月「――まだまだ未熟で、アイドルとしてもまだ半人前で、おっちょこちょいなところもありますけど……」

卯月「絶対にトップアイドルになります!プロデューサーさんと、一緒に!」

卯月「ですから……」


卯月「私のこと、ずっと見ていてください!!」


武内P「……はい。勿論です」

卯月「えへへ…これからも、宜しくお願いします♪」

武内P「……こちらこそ、これからも宜しくお願い致します」ニコ


後日談

未央「それでは……しまむーとプロデューサーを見守り隊、反省会を行いまーす!」

智絵里「反省、会…?」パチパチ

未央「そうだよ反省会!みんな各々楽しんで、結局当初の目的忘れてたでしょう!?」

凛「私たちもだけどね」

未央「う、うぐ……」

みく「みく達は倒れたちひろさんを救護室に運んで看病してたら、いい時間になってたのにゃ!」

ちひろ「うう……本当に面目ないです……」

李衣菜「でも大事に至らなくて良かったですよ。それにしても、あのとき急に倒れるなんてどうしたんですか?」

ちひろ「こう、どこからともなくビビっと萌え萌え電波を受信しまして」

みく「どこかのウサミン星住民みたいなことを言い出したにゃ!?」

きらり「きらりは~休日をみんなと満喫できて、とってもはぴはぴっだったよぅ☆」

杏「結局一日中絶叫系に乗せられるとは思わなかったけどね……」グデー

みりあ「でも楽しかったねー!」

莉嘉「お姉ちゃんもくれば良かったのになー」

美波「そういえば、卯月ちゃんとプロデューサーってどうなったのかな…?」

蘭子「我は真実の書を求めん!(私、気になります!)」

アナスタシア「卯月、と、プロデューサーに、直接聞くわけには……いきませんよね?」

かな子「さっき、卯月ちゃんとプロデューサーさん、ちょうど一緒にお仕事で出たみたいだけど……仲良さそうに話してたよ?」

ちひろ「本当ですか!?」ガバッ

李衣菜「わっ!ビックリした……」

智絵里「こ、怖い、です…!」

みく「その食い付き方、どうにかした方がいいにゃ!」

未央「しまむーとプロデューサーが、だってさ!しぶりん!」

凛「……そっか。負けてられないね」フフッ



武内P「今日は、島村さん個人でのお仕事です」

卯月「わっ、分かりました!頑張ります!」

武内P「はい、頑張ってください。応援、しています」

卯月「はい♪」



カメラマン「それでは撮影開始しまーす」

卯月「はいっ!宜しくお願いします!」

卯月(この先、きっと楽しいだけじゃなくって……困難なこともあると思います)

卯月(けれど、みんなと、そしてプロデューサーさんと一緒に、目指します!トップアイドル!!)

卯月(だから今日も……)



卯月「島村卯月、頑張ります!」



END

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年06月03日 (水) 20:34:00   ID: 0mxDW5Kk

ほっこりするなぁ
この作者に武内Pと他のアイドルの個別ss書いてもらえばいい感じにアニメの補完になると重う

2 :  SS好きの774さん   2015年09月21日 (月) 18:53:07   ID: wM9quqTM

よかった

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