女「麺茹でる」(16)

女「とにかく茹でる」

女「まずは蕎麦だ、はっ!」

チャッチャッ

女「見ろ、蕎麦がまるでカブトムシのように黒光りしている!」

サッ

女「盛り付け、良好!」

スッ サササッ ズパッ

女「よし貴様、食べていいぞ」

男「…」

女「どうした貴様、食べないのか」

男「あの…僕…蕎麦アレルギーで…」

女「えぇいアレルギーなど気合いで乗り越えろ!」

グイッ

男「あっ、駄目!お口に無理や…んんっ…」

ムグムグ ンクッ

男「食べ…ちゃ…っ…」

男「っぶべはらっ!」

ビチャビチャ

女「き、汚い!」

男「あ、あ、あ…」

ガクガク ガガガガ

女「あ、アレルギーとは本当だったのか…お、男!」

男「じ、時間の流れが数字で見える…」

女「こ、これアカンやつや…」

ニゲッ

男「あ…意識が…」

クラッ

・ ・ ・ ・ ・

男「…」

フワフワ

男「僕は死んだのか…?」

?「死んじゃいないよ、危険ではあるけどね」

男「君は?」

?「精神世界の住人…そうだなぁ、アリスとでも呼んでよ」

男「アリス…」

アリス「君は蕎麦を食べたアレルギー反応で、やばい」

男「うん」

アリス「助かるには…ある事をやってもらう必要があるんだ」

男「ある事…?」

アリス「君の住む国…日本にある『麺宝具』を探し出して欲しいんだ」

男「麺宝具…」

アリス「それぞれ、うどん、蕎麦、ラーメンにまつわる宝具で、日本にあると言い伝えられてきた」

男「そんなものが日本に…」

アリス「私はね、宝具を管理する者なの。宝具ってのは使い方を間違えれば人々を不幸にする危険な物…あるべき場所で、それに相応しい人間が管理しなくちゃならないんだよ」

男「管理って…そんな高慢な言い方がありますか!」

アリス「黙れよ」

ドンッ

男「きゃっ…」

アリス「人間が…劣等種が一人前の口を…そんな口は…こうだよ!」

ブッチュゥゥゥ
ドギュゥゥゥン

男「~~~!?」

アリス「っぷはぁ…遅効性の毒を含んだ唾液だよ…君は…死ぬ」

男「なんとぉー!」

アリス「半日おきに麺類を食べる事によってのみ、その毒の効果を緩和できる…これは呪いだよ」

男「なんとぉー!」

アリス「さぁ、この毒は私が持つ抗体でしか解毒できない。君は私に従うしかないねぇ…」

ニンマリィ

男「なんとぉー!」

アリス「さぁ目覚めなさい。この精神世界で起きた事は現実世界とリンクしている。起きたらまず麺類を食べる事だね…」

ボヤー

男「ま、待っ…」

クラッ

・ ・ ・ ・ ・

男「…」

ムクリ

男「ぐっ…全身が痛い。恐らく遅効性の毒が原因だろう!」

ダダッ

男「麺類を食べねばー」

ガサゴソ

男「パスタ!パスタ!」

ユデッ

男「えぇい、味付けが面倒だ。ウスターソースでいい!」

ドバリ

男「ウスターパスタ!」

ズゾゾゾゾ

男「イマイチだが仕方ない…食べるッッ!」

ズゾゾゾゾ

男「ずびっ!ずびっ!」

チュルルン

男「っ…どうやら毒が緩和されたようだ」

ムクリ

男「むっ…股間が。どうやら毒の副作用に違いない」

ムラムラ

男「どうしたものか」

男「…」

ジッ

男「茹でて余ったパスタがある。オリーブオイルも、ある…ならさっ!」

オリーブ ドバー
ニュルリ

男「食べ物で遊ぶなと親には言われてきたが…南無三!」

ズブリ
ズンズンズン

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