京太郎「わりとお金持ち」 (426)

透華「……だから、今からでも遅くないですわ!ぜひ龍門渕に……聞いていますの!?」

純「どうしたんだうちのお嬢様は?」

一「なんか、春から高校生のいとこらしいよ?どうも龍門渕じゃなくて別の高校選んだみたいで」

純「それで電話?過保護というかなんというか」

一「それが向こうは家から近いってだけで選んだみたいでさ……それならリムジンで送り迎えするって透華も……」

純「あぁー、まあここらへんの学生なんてそんなもんだろ。俺だってそうだし」

一「そうだったの!?」

……

京太郎「だから、俺は絶対に清澄に行くの!透華姉もこれ以上口出ししないで!じゃ!」

京太郎「……あんな過保護な姉がいたら、彼女の一人もできねーよ」

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京太郎(俺の母親の旧姓は龍門渕、この長野県のみならず天下にその名を知らしめる……うーむ、豪族?違うか。ともかく、すごい金持ちで力持ちだ)

京太郎(そんなとこのお嬢様がなぜか冴えない一般人である父親の須賀氏に惚れ、持ち前の行動力で婿入りまで果たし……あまり両親の馴れ初めというものは語っていて気持ちのよいものでもないな。兎も角、そんなこんなで俺、須賀京太郎の家は、まあ、裕福な方である)

京太郎(カピバラを飼える一般家庭というのもそうないであろう。が、やはり富む者にはそれなりのリスクがあるのである、俺の場合は……)

透華『京太郎、夏休み前までに見切りはつけなさい』

京太郎(親戚、いや、姉付き合いである。どこの家に高校に受かったという報告に、見切りをつけろと返す姉がいるのか……ここにいたわ)

京太郎(悪い人ではないが少し束縛と過保護が目立つ姉を降りきるために、別の高校にしてみたが……失敗だったか?)

京太郎「いや、そうしなければ彼女など夢のまた夢!がんばれ男、須賀京太郎!」

優希「のどちゃん、なんか変な男子が叫んでるじぇ」

和「目をあわせちゃいけません」

京太郎(前途は多難だ)

期待したいが>>5で母親が婿入りしとる…
間違いじゃなくて逆iPS的なアレなら去る

>>10
完全に間違えました……嫁入りで


京太郎「くっ、入学初日から変人のレッテルとは……」

咲「あ、京ちゃんいた!」

京太郎「咲か、俺は今恋に破れて傷心なんだ……放っておいてくれ」

咲「入学式初日から!?まだ式始まってないんだよ!?」

京太郎「しかし同じクラスか、腐れ縁もここまでくるとは」

咲「もう、腐れ縁なんてひどいよ!私は京ちゃんと一緒で、すごく嬉しかったよ?」

京太郎「お前……」





京太郎「……同じ中学からの知り合い俺しかいないもんな」

咲「うん……というか通学路まだ不安なんだけどどうしよう」

京太郎「方向音痴まだ治らないのか、人見知りで方向音痴って二重苦過ぎるだろ……」

咲「これからの三年間不安でいっぱいだよ」

京太郎「式始まる前だぞ」

京太郎(始まるぜ入学式!ここで可愛い女の子ロックオン!)

咲(って顔してる)

京太郎(ん?なんか父兄席が騒がしいな、最近流行りのモンスターペアレ……)

透華「ようやく京太郎の入場のようですわね」

衣「いた!おーい、きょーたろー!」

ハギヨシ「紅茶を用意いたしました」

透華「ありがとう、ハギヨシ」

京太郎(モンスター達がいたぁあああああ!?ってかハギヨシなんでティーテーブル広げてんだよ隣に迷惑!)

咲(あーそっか、龍門渕は私立だから……公立の清澄とは日程が)

京太郎「逃げるぞ咲!」

咲「な、なんで入学式とホームルーム終わった途端に私達は走り出してるの!?」

京太郎「バカ野郎!あの二人、透華姉と衣姉が来てるんだぞ!このまま見つかれば周りからの俺の評判が金髪イケメンさわやかクンからゴールデンモンスターの1体になっちまう!」

咲「……それ私関係ない!そして京ちゃんは金髪イケメンさわやかクンではないよ!」

京太郎「ふふ、それはどうかな?俺はこのままだとリムジンに拉致られる、するとお前は一人で帰ることに……え?それ本当?この髪型けっこうセットに時間が」

咲「ぐ、ずるいよ京ちゃん!」

京太郎「おい無視すんなって、それ本当?」

京太郎「どこだここ?旧校舎か……しばらく隠れるぞ咲」

咲「あ、このシチュエーションゾンビものでみたことある」

京太郎「それ最終的に囲まれてアウトのやつじゃん」

咲「透華さんはゾンビじゃないでしょ……たぶん」

京太郎「咲ってちょくちょくひどいよな」

咲「あ、ナイショにしてよ!お願いだから!」

京太郎「はいはいって……なんだここ、部室か?」

咲「麻雀部?」

久「あなた達、入部希望者ね!? 」

咲(いつの間に背後に!?)

京太郎「そうです!」

京太郎(美人のパイセン!?こりゃ一石二鳥、お近づきに)

咲(って顔してる……)

久「……そう、二人とも経験者なのね」

京太郎「ええ!受験勉強前はよく寝ずにやってした」

まこ「徹麻か、若いのう」

久「じゃあ四人いることだし早速、打ってみしょ」

京太郎「はい!」

咲「ちょっと京ちゃん勝手に……」

京太郎「ばっかお前これはチャンスだぞ」

咲「ちゃんす?」

京太郎「どうやらこの麻雀部は部員がそれほどいない、これは歓迎ムードから優しく指導され……ああっいけません!そんな」

咲「それって京ちゃんのチャンスじゃん!私には何も」

京太郎「部員勧誘を建前にクラスメイトに話しかけられるんだぞ」

咲「話しかけられる……」

京太郎「俺もお前も麻雀が……上手いかはわからんが素人ではない。クラスメイトからルールを教えてと頼られちゃったり……あわよくば友達に」

咲「友達!?あの友達ができるの私に!」

京太郎「そのためにはここで好印象……できるだけ高得点出すぞ!咲!」

咲「うん!がんばるよ私!」

久「あの、抱き合ってるところ悪いんだけどはやく席ついてもらえないかしら?」

まこ(バカップルか)

咲「カン」

久(この子……)

咲「カン」

久(ただの経験者じゃない……)

咲「ツモ、嶺上開花」

久(とんでもない、本物ってヤツだわ)

久(これで三連続、このままだとあの子の親だけで削られる……ここはどうにか)

京太郎「……さて、そろそろ本気を出すとしますか」

久(っ!?まさかこの子も……そうよね、二人で徹麻をしてたってことは匹敵するほどの……)

京太郎「 タ ン ヤ オ 」

久(地味っ!そして安っ!)

久(ず、ずいぶんな凸凹コンビね……よし、そこそこの手が作れたわ、嶺上ちゃんも今回は手が回ってないみたいだしここで点数を)

京太郎「それ、ロンです部長さん、役稗のみ」

久(また安っ!……待って、この子達もしかして)

京太郎「先輩、それロンです、立直のみ」

まこ「せ、せっかくの親が……」

久(やっぱり)

京太郎「……」

咲「京ちゃんのそれ、カン、ツモ、嶺上開花」

久(コンビ打ち!?)

京太郎「あぁっ!?俺の親が!咲、表情読むなって!」

咲「しょ、勝負の世界は非情なんだよ」

久(と思ったら違う!?何よ表情を読むって!?)

京太郎(我々二人は強すぎる姉二人と定期的に開催される徹麻を乗り切るためにとある技を編み出した、というかせざるを得なかった)

咲(それがこの)

咲、京太郎(均し流し!命名、姉、ちっちゃい方)

京太郎(俺は直撃を避けるためにカン材を送り、咲をアシスト)

咲(そして私が駄目そうな時は京ちゃんの早くて安い流しで親を流す)

京太郎(これを繰り返しあの二人のアホみたいな点数搾取を乗り切る!それが均し流し!)

咲(なおこの技は長年の経験から表情を読み取れる者だけでしか使えない……って顔してるね)

京太郎(さらに言えばお互い点数は回数を重ねることでカバーしているから自身の親がとにかく大事……って顔してるなら俺の手番で鳴くなよ!さっきの手別に嶺上開花狙わなくてもよかったろ!)

咲(だ、だって稗が呼んでた気がして)

京太郎「……ったく、まあそんな感じです」

久「いや、わからないから」

……説明中

まこ「サインも動作も必要としないコンビプレーってことかのう」

久「と、いうよりお互いの戦略が噛み合い過ぎた結果の共存って感じね……互いに狙う手が手だけに捨て稗から予測も予想もできないし……えげつないわねこの二人」

京太郎「え、えげつない……」

咲「あ、あれ?なんで?」

久「明日から部室は開いてるから、きちんと来てね?」

京太郎「わっかりました!」

咲「こ、これでクラスメイトと友達に……」

久「じゃあね~」

まこ「いきなり、あんな一年生が入ってくるとはのう、今年は大会行けそうじゃ」

久「気が早すぎるわよ……あと二人、絶対に見つけなきゃ」

まこ「しかし、なんと言うんじゃ、その」

久「ええ、あのバカップルっぽさはどうにかしてくれないかしら」

まこ「のう……」

次の日

咲「ねえ京ちゃん、なんだかクラスのみんな私達のこと見るたび『入学早々愛の逃避行を繰り広げた二人』とか言って話を聞いてくれないんだけど」

京太郎「……」

咲「『俺の青春終わった……』って顔してるね」

久「今日の活動は新入部員獲得よ!」

まこ「ずいぶん気合い入っとるのう。というかあの二人可哀想じゃろ、なんで入部した直後に危機に立ち向かってるんじゃ」

咲「だ、大丈夫です!がんばりますから」

久「……ところで須賀君は」

京太郎「……」

咲「『精一杯がんばります』って顔してますよ」

久「何があったら一日でここまで凹めるのよ」

まこ「大丈夫じゃろうか今年」

久『できることなら男子4人、女子2人!経験者ならなおよし!』

京太郎「とは言われたものの……」

咲「どうしよう京ちゃん」

京太郎「ああ、俺たちのクラスメイトは噂で全滅だ。だが、入学早々だから他のクラスに話題が流れることはなかった……ここはクラスメイトを捨て、他のクラスの巨乳……もとい女子を優先だ!」

咲「うん……って、なんか欲望全開じゃん巨ちゃん」

京太郎「巨ちゃんじゃねえ京ちゃんだ。これは咲のためでもあるんだぞ、そもそも同性の友達すら苦戦してるお前が男子と気軽に話せるようになるか?」

咲「た、確かに……三年間交わしたことばが『それ、カンです』だけになりそう」

京太郎「ロンすらしないのか……よし、手始めにあの女子二人だ。咲、まかせたぞ」

咲「でも、なんて話しかけたらいいかわからないよぅ」

京太郎「最初は適当でいいんだよ、趣味の話とか、そっから実は勧誘手伝ってて、よければ見学だけでもーってな具合よ」

咲「流石京ちゃん!」

京太郎「伊達にナンパで砕けてねーぜ」

咲「砕けてるんだ……」

咲「……!……そうなんだ……で」

京太郎「なんか咲のヤツ、結構話せてるな」

咲「えー……それなら……だよ!」

京太郎「これはもしかして、もしかするぞ」

咲「うん、じゃあね」

京太郎「どうだった咲?というか、あの二人はどこ行ったんだ?」

咲「あ、京ちゃん!二人、舞城さんと清涼院さんって言うんだけどね!」

京太郎「おお、名前まで……立派になったな咲」

咲「えへへ……それで二人とも読書が趣味で話があってね」

京太郎「ほうほう、それで?」

咲「文芸部に入るっていうから今度私も見に行こうかなって!」

京太郎「……お前はアホか!」

咲「痛いよ京ちゃん!ほっぺつつかないで!」

京太郎「っく、そろそろ途中報告の時間だが成果無しでは戻れない」

咲「うわ、いつの間にかこんな時間だ」

京太郎「誰かさんの会話のおかげでな」

咲「じゃ、じゃあ京ちゃんが手本見せてよ」

京太郎「時間的には……一回がギリギリか。まあ見てな、コミュニケーションのなんたるかを俺が教えてやる!」

咲「あ、男子がきたよ!」

京太郎「あれは……ダメだな」

咲「なんで?」

京太郎「みろ、入学二日目でスポーツバッグを左肩に背負っているうえに坊主だ。あれは野球部員だよ、運動部なら入学前から決めて道具持ち込んでるやつが多いからスポーツバッグをすでに使っているんだ」

咲「すごいね京ちゃん探偵みたい!」

京太郎「まあな」

咲「じゃあ、あの女子は?」

京太郎「あれもダメだな」

咲「どうして?」

京太郎「いや、うん……ムいや、そのなんだ、ほら、あの子眼鏡かけてるし、麻雀稗とか見にくいだろ?多分」

咲「私も探偵になれそうだよ京ちゃん」

眼鏡の女子に突撃決定。

京太郎「そこのお嬢さん、ちょっといいかな」

「は、はいっ!」

咲(すごいよ京ちゃん!声が宇宙で全裸抱擁キメるバカップルの片割れみたいに!)

京太郎(何を隠そう俺は声優の達人だ!)

京太郎「俺に、付き合ってほしいんだ」

「はうっ!」

咲(すごいよ京ちゃん!背景に薔薇が見えてやたらキラキラする!)

京太郎(フッ、金持ち必須スキル100の内の1つだ!)

「そ、それで私は何を……」

京太郎(ここで必殺技だ!)

咲(あ、あれは!)

京太郎「これで少し相手をしてもらいたくてね」

「お金……?」

咲(ゲスいよ京ちゃん!?なんで目視十万円近く持ってるの!?っていうかこれじゃあの子も怒)

「で、でも私そういうの初めてで……」

京太郎「大丈夫、俺が手取り足取り教えるさ」

「……責任、とってくださいね」

咲(いったー!?というか明らかに誤解発声してるでしょ!はやく誤解を解かないと!)

咲「待って!」

京太郎「咲!」

「誰?」

咲(ええと、あれ、なんか緊張してきた、なんて話しかけたらいいんだっけ?そう!ともかく京ちゃんが二人っきりみたいなニュアンスで言うから誤解を起こしているわけで、つまり……)

咲「わ、私もやるの!」

「えっ……さ、流石に三人でなんて。失礼します!」

咲「ああああああ!?待って!違うの!」

その後、誤解は解けた。

『ごめんなさい、私眼鏡なんで麻雀稗が見えないんですよ……』

咲「……京ちゃん本当、探偵になれるよ」

京太郎「……そうか」

咲「と、とりあえず戻ろうよ!」

京太郎「そ、そうだな!案外先輩達がぱぱっと集めててくれるかも知れないしな!」

咲「そうだよ!」

……

久「……」

まこ「……」

咲「……」

京太郎「……」

全員「……ハァ」

今更なんだけど稗じゃなくて牌じゃない?


>>100
あっ、牌、そうですね……ミスが多くてすいません


優希「のどちゃーん、もう待てないじぇ」

和「ま、待ってください優希。やっぱり明日に……」

優希「昨日もそんなこと言って、はやく麻雀打ちたいじぇ」

和「あなたは知らないからそんなことが言えるんです!新たなグループに入ることの恐ろしさを!……ネット麻雀部とかありませんかね?」

優希「ネット麻雀部があったとしても画面越しに部活するわけじゃないじょ……」

和「うう……不安なんですよ、昨日も見たでしょう?校門前でぶつぶつと独り言を呟く不良さんを!」

優希「髪の色だけで判断するのはよくない……っていうかのどちゃんの方がよっぽど」

和「とにかく!世の中には恐ろしい人がいっぱいいるんです!お父さんが言ってました!それに歓迎されるかどうか……」

優希「そんなにビビらなくて大丈夫、なんたってのどちゃんはチャンピオン!本当だったら麻雀部から引く手あまたの存在だじぇ!」

和「……そう、ですよね!なんたって私はチャンピオンですもんね!」

優希「そうそう!だから早くは、い、れ!」

和「お、押さないでください!きゃっ」

久「……入部希望者だ」

まこ「……入部希望者じゃ」

咲「……入学希望者さんだ!」

和「へ?」

久「さあどうぞこちらへ座って!まこ!」

まこ「いま茶を沸かしてる!咲!」

咲「はい、お茶請け買ってきます!」

和(な、なんですかこの厚待遇……やっぱり私がチャンピオンだから?……なーんだ、そんなに気負う必要なかったですね!なんたって私はチャンピオン……)

京太郎(すげーおっぱいだ、咲何十人分だろ)

和「……きゅう」

久「に、入部希望者が死んだ!?」

なんやかんやあり

久「じゃあ、一年生四人で囲んでみて」

優希「ふっふっふ、のどちゃんはチャンピオンだからな!おっぱいを嘗めてかかると痛い目みるじぇ!」

咲「『舐めて』じゃないからね京ちゃん」

京太郎「まだなんも言ってねーよ」

和(優希ったら何を……お二人がどれだけの実力かは分かりませんが、とりあえず東場の優希が驚異ですね……いつも通り全力でやらせていただきます)

優希(フフーン、初対面でどどーんと印象付けてやるじぇ)

京太郎(おいやべーよ咲、チャンピオンとその仲間が相手だぞ)

咲(衣さんみたいなタイプだと不味いから速攻でやった方がいいかもね)

久(あ、これミスったかも)

京太郎「……」

咲「京ちゃんのそれ、カン」

和(こんな早くに鳴き……?別に役牌でも無いですが……初心者ですかね?)

優希(んっふっふーこれでリーチして、裏が乗ったら三倍満!悪いけど、いきなり決めさせてもら)

咲「ツモ、嶺上開花のみ」

和「な!?」

優希「じぇ!?」

咲(まだ強い支配は受けてないみたい)

京太郎(じゃあ今の内に稼ぐか)

和(先ほどのは驚きましたが……慌ててはいけません、よし、手も回ってきました、これなら)

京太郎「リーチ」

和(そんな!?まだ三順目ですよ……これじゃあ予測も)

優希(い、いくらなんでも早すぎだじぇ……こ、これ!)

京太郎「それロン、立直一発……ドラは0だな」

優希(ぎにゃー!?)

和(点数は低いですね……これならまだ全然)

しかし

優希「これでどうだ!リーチ!」

咲「カン、カン、ツモ、嶺上開花」

優希「じぇー!?」

和(ようやく落ち着いてきました……この形なら期待値的にはすぐに上がれるはず)

京太郎「……ツモ、役牌のみ」

和(そ、そんな……)

結果は

和(わ、私はチャンピオンなんです!せめて爪痕を……)

優希(も、もうタコスパワーもなんもかんも切れたじょ……)

咲「カン!カン!ツモ!嶺上開花!」

和「ひうっ !?」

優希「飛んだじぇー!?」

京太郎「あー負けたか」

咲「緊張したよー」

優希「えげつないツモ率だったじぇ……強い人っていっぱいいるんだなー、のどちゃん?」

和「わ、わた、私……」

京太郎(なんで涙目!?)

咲(京ちゃんおっぱい見すぎ!)

京太郎(えっ、バレてたの!?)

和「私チャンピオンなのにいいいいぃぃぃぃー!」

まこ「逃げた!?」

優希「あー、昔からのどちゃん凹むと逃げる癖があるんだじぇ」

久「おいかけてあげて!」

咲「そうだよ京ちゃん!」

久「あなたよ!」

咲「ええっ!?」



和「ふ、ふふ……しょせん私は井の中の蛙だったんです……」

和「引きこもりが調子にのってネット麻雀で結果残して舞い上がっていただけなんです……中学生だから上手くいっただけでしょせん私なんて……」

「原村さん!」

和「……っこの声は!」





京太郎「み、見つけたぜ……」

和(ひぃ!?不良さん!?)

和「な、な、なななんですか私は食べても美味しくないですよ!」

京太郎「いいからち ょっとこっち来て手伝ってくれ!」

和「て、手伝う!?」(それより手!手!手を……男の人の手っておっきくて、あったか……)

京太郎「じゃあ原村さんはこっから左、俺は右ね」

和「……へ?」



久「そっち見つかったー!?」

まこ「こっちにはおらーん!」

優希「なんで雨の中迷子を探さないといけないんだじぇー!?」



咲「こ、ここどこ?」

部室

久「……」

優希「……」

まこ「……」

京太郎「……」

ぐっしょり

咲「ごめんなさい!」

和「そ、それで私に何を……」

咲「えーと、その……」

咲(多分、チャンピオンさんなのに私たちに負けちゃって悔しいやら情けないやらの感情が溢れちゃったんだ……つまり、ここで慰めたりするのはダメ!でも、どうしたら……そうだ!まずは趣味の話題で引き伸ばす!今日覚えたこれを!)

咲「麻雀って……面白いよね!」

和「……必死に探した相手に嫌味を言われましたああああぁー!」

咲「あれ!?なんで!?待って、原村さーん!」

まこ「逃したらあかん!みんなで咲を押さえるんじゃ!」

優希「これ以上濡れたくないじょ!」

久「……もうダメだわこれ」

京太郎「部長が死んだ!?」

京太郎「……って、ことがあって大変だったんだよ」

衣『京太郎のお友だちは楽しそうだな!』

京太郎「まあ、最終的に入部してくれたから部活仲間ではあるけど……って、もうこんな時間だ。そろそろ寝るよ、衣姉」

衣『うん!そろそろ衣も眠る時間だからな、衣はおねーさんだからもう少しだけ起きてるぞ!寂しくなったらかけていいぞ?』

京太郎「うん、ありがとう衣姉……じゃあ、おやすみ」

京太郎「8時……相変わらず早いな」

……

衣「とうかーそろそろ衣はおねむにゃむにゃ」

透華「待ちなさい衣!先ほどの京太郎と話していましたわね!?京太郎は何か言ってませんでしたの!?」

衣「んー?どうもんの少女三人と姦しく濡れ濡れー?」

透華「な、なんですのそれぇえええええ!?きょ、きょ、京太郎に手を出すなど許せませんわ!もっと詳しく話なさい衣!」

衣「くー」

透華「きぃいいいいい!」

京太郎(みなさんこんにちは、須賀京太郎です)

優希「リーチだじぇ!」

和「……」

咲「……」

京太郎(突然ですが)

優希「……む、一発ならず」

和「……」

咲「あ、えと……原村さんのそれカンです」

京太郎(麻雀部の空気が)

咲「ツモ、嶺上開花……」

和「……う、ひっぐ……はい、わかりました」

京太郎(最悪です……)

咲(な、なんで泣いてるんだろう……)

京太郎(咲のコミュ障が発動したか……考えてみろよ咲、この前まで全中チャンピオンと思っていた自分がボロボロに負けて煽られたんだぞ?)

咲(あ、煽ってないよ!)

京太郎(なんにせよ、咲。どうやら嶺上開花で和了り続けるってのはどうやら異常みたいだ、そんなのを先輩ならまだしも同学年にやられてみろ。自分の世界の小ささ、それに及ばないことの悔しさ、そういったものが……あ、ちょっと待って)

京太郎「原村さん、それロン、タンヤオのみ。それで話は続けるが咲」

和「ひ、ひうっ……えぐっ……おぶっ」

優希「あ、あの須賀?そろそろ勘弁して欲しいじょ、五連荘あたりからのどちゃんもう女の子が出しちゃいけないもの色々出しちゃってるから……

咲「うぅ……」

和「ぷいっ……」

京太郎「なんでこういう時、部長も染谷先輩もいないんだよ……こうなったら俺が二人の橋渡しに、とりあえず和に金を」

優希「待つんだじぇ!須賀!」

京太郎「片岡さん、どうしたんだ?」

優希「見ろ、のどちゃんを」

和「つーん……」

京太郎「……あぁ!あれ効果音じゃない!口で言ってる!」

優希「そう、のどちゃんはド天然のコミュ障……つまり」

京太郎「咲と同じ……」

優希「そういうことだじょ」

咲「二人とも、なんか失礼なこと言ってるのはわかるからね!」

優希「二人の根は同じ!なら……」

京太郎「そうか……友達になれるかもしれない!」

優希「そういうこと!なら私達は見守るだけだじぇ……」

京太郎「へへっ、どうやら俺は少しお節介し過ぎてたみたいだな」

咲「な、なんかいい空気になってないで助けて欲しいんだけど!」

和「ぷいっ!

一日目

咲(……な、何を話したら)

和「……」

京太郎「なあ、片岡さん。こういうのって」

優希「うーん、私もどっちかと言えば感覚だしなぁ……」

二日目

咲(落ち着いて私、深呼吸して……駄目だ!言えない!ああ、下校時間!?)

和「……」

優希「須賀ー、帰り道に美味しいタコス屋出来たの知ってるか?」

京太郎「え、どこだそれ?」

三日目

咲(何か共通点を……)

和「……」

咲(……とりあえず体型にはない)

京太郎「優希、これ昨日頼まれてたCD」

優希「おお!ありがとうだじぇ、きょーたろー!」

四日目

咲(……そもそも私、気負い過ぎてるんじゃないかな?普通に話しかければ)

和「……」

咲(あ、駄目だこれ知ってる、中学生の時も同じこと思って失敗したもん)

優希「おい京太郎はやくしろ!今日こそ勝つじぇ!」

京太郎「サムスピ飽きたわ、鉄拳やろーぜ鉄拳」

五日目

京太郎「おい優希、うちのが今日の夕飯何にするかリクエストあるかだって」

優希「うーん、昨日のステーキは美味かったけどやっぱりタコスだじぇ!」

京太郎「タコスな、了解。あと部屋のことだけど」

咲、和「仲良くなりすぎじゃないですか!?」

咲(少し仲良くなれた気がした)

休み明け

咲「それでね、そのとき……」

和「ふふ、それは面白いですね」

京太郎(どうやら仲良くなれたみたいだな……よかったよかった)

優希「なあなあ京太郎、次の休みは一年みんなで遊びにいこうじぇー」

京太郎「そうだな、ここのところ二人っきりだけだったし。そうと決まれば、原村さん」

和「ひうっ!な、ななななんですか不良さん!?」

京太郎「……優希、また次の休みになりそうだ」

一日目

京太郎「原村さん、それでな……」

和(この人……不良さんかと思いましたけど、話下手な私にも一生懸命話しかけてくれる……)

京太郎「ってわけなんだよ、親戚ながら困ったもので」

和「和で……」

京太郎「え?」

和「和でいいですよ、須賀君」



和「あ、い、いきなり君呼びなんてごめんなさい!」

京太郎「い、いやいいさ!よろしくな和!」



咲「……早くない?」

優希「咲ちゃん捜索で何かあったなこれは……」

その夜

透華「……なんだか今日ののどっちとの対決はやたらとムカムカしますわ、何かこれ、大事なものが狙われてるような……ああっ!?役満振り込みですの!?私の点棒がぁー!」

久「うーん」

まこ「一年生達の牌譜か」

久「ええ、しかし麻雀部で最初に教えることが牌譜の書き方なんて思わなかったわよ……」

まこ「咲と京太郎は特殊じゃからのう、しかしあの二人はあんな強さでいったい誰と打ってたのか……」

久「さあ、でも……」

まこ「でも、なんじゃ?」

久「あの二人が点数を取り戻すので精一杯って言ってたのよ?普通の人間じゃないわ」

まこ「……プロか?」

久「下手なプロ以上よ、本当ならね」

まこ「団体戦には出てこないで欲しいのう」

久「出ても勝つくらいにしないと、というわけでまこ」

まこ「なんじゃ?」

久「執事服……ある?」

……

京太郎「……なんか寒気が」

優希「京太郎、風呂場ってどこだっけ?」

京太郎「そこら辺のメイドに聞けばわかるだろ」

優希「いや、メイドさんに会えないくらい広いのが……ってか普通の家にメイドさんも執事さんもいないじぇ」

冷し透華(自由自在)

冷し透華(有り□)

咲「ロン、12000です」

優希「ま、負けたじぇ」

和「えーと、一位が宮永さん、二位が須賀君、三位が私で、四位が優希ですね」

優希「そりゃ直撃で飛んでるから当たり前なんですけど……しかし京太郎と咲ちゃんはすごいじぇ」

咲「そ、そうかな?」

優希「やっぱり京咲がナンバーワン!」京太郎「ん?」

咲「えーと、ワンツーフィニッシュってことかな?」

優希「ん?あ、そうそうそれだじぇ」

京太郎「なんだその略し方……というかお前が言うならナンバーフォーだろ?ん?いや、何言ってるんだ俺」

和(皆さん打ちすぎて少しおかしくなってしまったのでしょうか……)

久「ごめーん、遅れたわ。唐突だけど須賀君、クイズよ。三文字でドキドキするもの!」

京太郎「え、うーん……ナースとかですかね」

咲「京ちゃん……私は会話ですかね」

京太郎「咲、お前の哀れみの目線、そのままそっくり返してやるからな」

優希「タコス!タコスだじょ!」

和「視線……でしょうか」

和(どうも、見られると緊張してしまいます……画面越し、画面越しなら無敵です!)

京太郎「……」

咲「京ちゃんのイヤらしい視線はバレてると思うよ?」

京太郎「人のドキドキ顔を読むな」

久「うーん、この中だと須賀君が一番正解に近いかなぁ」

咲「えぇ!?」

優希「タコスじゃないのか……」

和「正解するつもりだったんですか……」

久「そうね、男の子がドキドキする衣装ってことなら正解よ」

京太郎「おお!」

久「テンション上がること間違いなしの正解はこれ!」

京太郎「おお!」

久「メイドよ!」

京太郎「お、おぉー……」

久「むしろテンション減!?大丈夫!?あなた男子高校生でしょ!?」

和「それ、着てもいいんですか?」

久「思わぬテンション上昇!?」

久「実はまこの店で病欠が出て、店員が足りないみたいなのよ。手伝って貰えないかしら?ドキドキのバイトよ」

京太郎「それでいなかったんですか……」

和「お店?」

久「喫茶店やってるのよ、あの子。お願い!仲間を助けるのと思って、ね?バイト代も出るわよ」

京太郎「お、おぉー……」

久「須賀君、あなた欲望とかないの?聖人なの?」

優希「部員の危機ならば、行くじぇみんな!」

久「待ちなさい優希、手伝いは三人でいいのよ男の子の須賀君と……」

和(メイド服を合法的に着れるなんて……すばらです!)

久「やたら乗り気な和は決定として」

咲「?」ちま~ん

優希「じぇ?」ぺた~ん

久「……よし!宮永さん、お願いできる?」

優希「なんだかとてつもなく不快な音が聞こえた気がする」

咲「奇遇だね優希ちゃん、私もだよ」

和「?」ドゴーン

京太郎「雀荘、ここらへんのハズだけど……」

咲「や、やっぱり雀荘って怖いところなのかな」

和「ど、どどどどどんなとこでも、う、うっ、おげぇ……」

京太郎「和、落ち着け、出ちゃいけないドキドキが出てるから」

咲「うっ……」

京太郎「貰いドキドキしてんじゃねーよ!」

まこ「おーい、こっちじゃこっち……って何しとるんじゃ」

京太郎「ああ、助かった染谷先輩」

まこ「こっちが助けて欲しかったんじゃが」


まこ「おー、やっぱり二人とも似合うのう」

咲「これ、スカート短すぎじゃないですかね?」

和(わー!かわいい!一度でいいからこーいうの着てみたかったんです!フリフリ~)

まこ「んー?いや、普通でそれくらいじゃないかのう」

咲「もっと、染谷先輩のスカートより長くして、色も黒で……」

まこ「ほ、本格的なんじゃのう咲は」

和「それで私たちは……」

まこ「ああ、接客を頼みたいんじゃが」

和「せ、接客!?」

咲「そんな……」

まこ「なんで予想外なんじゃ、その格好で厨房入ると思ってたんか?……っと電話か」

久『どう、まこ?お客さんとかドキドキしてるんじゃない?』

まこ「うーん」

和「い、いらいららら、ひうっ!?」

咲「はぁー……はぁー……」

まこ「……どちらかと言えば本人達がビクビクじゃな」

久『……須賀君は?』

まこ「京太郎は」

京太郎「お帰りなさいませ、旦那様」

まこ「なんかプロがいるぞ」

久『彼はどこへ向かってるの?』

和「須賀君……」

咲「京ちゃん……」

まこ「つられて二人がドキドキし始めたぞ 」

久『もう一度言うけど、彼はどこへ向かってるの?』

優希「修行?」

久「そうよ、須賀君と宮永さんには一度凹んでもらおうかと思ってね、知り合いに頼んだの」

優希「む、むぅ……確かにあの二人がボロ負けっていうのは見たことないじぇ、でもそんなことできるのか?京太郎とかは結構大きいのに振り込んで取り戻せないとかはあるけど、咲ちゃん平気で国士無双とかカンカン大三元とかで取り戻してくるし」

久「だ、大丈夫よ!多分、プロだし……」

優希「それで絶対とか言い切れないのが怖いじょ」

久「……不安になってきたわ」

優希「まあ、なんにせよあの効果音で選ばれたわけじゃなくてよかったじぇ……あれ?それならなんでのどちゃんは選ばれたんだ?のどちゃんならもう二人というか主に咲ちゃんにボッコボコにされてるじょ?」

久「いや、本当に手伝いが足りなかったのよ」

優希「……」ぺた~ん

久「……あ、状況が気になるから電話でもしよかしら~、もしもしまこ?今どんな感じ?」

まこ『おー京太郎のおかげで評判うなぎ登りじゃ、ビクビク二人組も娘や孫みたいに可愛がられとるよ』

久「あら、よかったじゃない」

まこ『けどあの三人、残りの一人を集中攻撃するもんじゃから今度は客がビクビクでのう』

久「なんで同卓させたの!?」

まこ『はやく藤田さんこんと客がドンドンビクビクでわし内心ドキドキじゃ』

久「止めなさいよ!」

靖子「あら……」

咲「!」

靖子「今日のバイトはかわいらし……」

京太郎「お帰りなさいませ、お嬢様」

靖子「……イイわね」

咲(逃げてー!京ちゃん逃げてー!)

和(宮永さんが震えている……まさかすごい実力者?)

靖子「新人クン、カツ丼特盛でお願い」

京太郎「かしこまりました」

まこ「あー、わしがやるから、京太郎は卓についとくれ。藤田さん、よろしくお願いします」

京太郎「?はい」

靖子(ってことはこの子と……あと一人は)

咲「?」

和「?」

靖子(どっちだ?……まあ、全員)

靖子「倒せばいいってことね」

咲「!?」

……

久『どう?調子は』

まこ「今、藤田さんが一位で終わったところじゃ」

久『流石ね、これであの二人も凹んで……』

藤田「よしっ!これで私の三勝二敗だな!」

咲「もう、京ちゃんが振り込むから……」

京太郎「いや、あれは読めないって」

和「藤田さんは後半での巻き返しがすごいですね……」

靖子「まあ一応プロだからね」

咲「えぇ!?プロの人なんですか」

京太郎「さ、サインとか貰えますか!?」

和「ど、どうしましょう私書くものが」

まこ「聞いての通り、和気あいあいじゃ」

久『ヤスコォオオオオオオ!!』

咲「私だって負けて凹んでばっかりですよ」

久「そ、そうなの?」

咲「ええ、京ちゃんのお姉さん……前に徹麻してた他の面子には今でも勝てるところが想像できませんし」

久「じゃあ、大きなお世話だったみたいね」

咲「いえ!色んな人と打ててとっても楽しかったです!ありがとうございます、部長!」

久「……ま、それならいいか。ところで、須賀君は?」

咲「京ちゃんは……」

和「見てください優希!サインですよサイン!」

優希「おーおー、すごいすごい」

まこ「おんし達、そろそろあがっていいぞ」

咲「それじゃあ藤田さん、ありがとうございました」

和「あ、あの!応援します!」

京太郎「ありがとうございました」

靖子「ああ、こちらこそ。楽しかったよ」

カランコロンカラン

「あー、ようやく休めそうな店見つけたよ」

「寝過ごした分、歩いて帰るとか……よく考えたら一時間待った方が早くない?」

「それは言わない約束……」

京太郎「お帰りなさいませ、お嬢さ……って!」

「京太郎!?こんなところで何やってるの!?」

「何?知り合い?」

京太郎「葉姉……いや、師匠!」

靖子(あれは……)

葉子「あー、私の親戚、須賀京太郎……麻雀教えたことがあるの」

舞「へぇ、偶然だね。私はこの葉子の先輩、田中 舞、よろしくね。って何この店、プロまでいるんだけど……」

靖子(今宮女子の門松 葉子に田中 舞、それに親戚ってことは……ああ、龍門渕の血筋なのか、彼は)

……

咲「偶然、親戚に会ったみたいで打っていくそうですよ」

久「もしかして、徹麻したっていう……」

咲「あ、そうじゃなくて……その徹麻してた人達を倒すための、協力者みたいな」

……

葉子「やったー!一位抜け!これで私達とイーブンですよ、藤田さん」

靖子「ふ、ふふ……いいだろう、プロの全力を見せてあげるよ、カツ丼特盛!」

舞「あー、この役満当てれたら私が一位だったのに」

京太郎「プロ相手に役満当てられただけですごいと思いますよ?」

まこ「あの、もう営業時間過ぎてるんじゃが……」

透華「ふわぁ……昨日ははやくに寝てしまいましたわ。今の時間は……って、京太郎からメールですの!?どうしましょう、もし急用のメールなら……」

京太郎『今日はバイトで執事業、中学の頃の経験が役にたったよ(添付画像、執事服の京太郎)』

透華「あら、あらあらなんて凛々しい……ってバイト!?あのバイトですの!?……う、うーん?京太郎は何か高いものが欲しいのかしら?あら、もう一通……門松のところの葉子じゃありませんか、珍しい。一体何を……」

葉子『やっぱり京葉がナンバーワン!(添付画像、京太郎と肩を組む葉子)』

透華「むきぃいいいいい!な、なんなんですのこれは!うらやま……ハギヨシ!」

ハギヨシ「はい、ここに」

透華「このお店を特定しなさい!変装して京太郎としゃし……ゴホン、働きぶりを見に行きますわよ!」

ハギヨシ「はっ」

それから数週間、サングラスをかけた妙な客がroof-topに現れたという……

透華「きぃいいいいい!今日も休みですの!?」

が、会えなかったそうな。

京太郎「へっきし!」

咲「京ちゃん風邪?」

京太郎「かもな」

やっぱり京透がナンバーワン!ですね!

咲の金髪キャラまとめとかないですかね、あと金髪に見えなくもないキャラとか。

女だぁ、と親戚はすごい楽しみにしていました(過去形)

京咲ナンバーワンスレは楽しみにしています(ダイレクトマーケティング)

京太郎「うわっ」

久「どうしたの須賀君?」

京太郎「いえ、アプリで麻雀をしてたら役満テンパイした瞬間充電無くなっちゃって」

久「あー、出掛けで充電器持ってないときとか本当に嫌になるわよね」

京太郎「そうですね。ところで部長は何を?」

久「ゴールデンウィーク近いでしょ?部員が集まったから合宿でもしようかと思ったんだけど……清澄のは他の部活で押さえられちゃってるし、近場のはほとんど埋まっちゃってるみたいで」

京太郎「……それなら心当たりありますよ」

久「あ、そんなこと言って女の子五人を自分の家にあげるつもりでしょ」

京太郎「ち、違いますって!この前親戚がやってる旅館だかホテルだかでゴールデンウィークの団体のキャンセルが入って困ってるとか聞いたんですよ。まだ空いてたら格安で泊まれると思うんですけど……」

久「でかしたわ須賀君!お願いできるかしら?」

京太郎「いいですよ、早速連絡を……って充電が」

久「ああ、もうそれなら私の……って、須賀君iPh○neじゃないわね、どこの?」

京太郎「龍門モデルっす」

久「……と、いうわけで!須賀君のおかげでゴールデンウィーク中の合宿が決定したわ」

まこ「おー」

京太郎「いや、たまたま親戚にそういう人がいただけですから。それに二部屋だけですし」

優希「でかしたじぇ!」

和(みんなでお泊まりなんて初めてです!何を持っていけばいいんでしょう……)

咲「あ、いつものとこだ」

久「あら、宮永さんは知ってるの?」

咲「はい、夏休みとかたまに呼ばれて泊まりにいってたんです」

まこ「集合場所はどうするんじゃ?」

久「んー、地図も貰ったから現地集合でいいんじゃないかしら?それじゃあみんな、おやつは三百円までよ!」

……

久「……ねえ、まこ。ここであってるのよね?」

まこ「そうみたいじゃが……目の前には帝○ホテルしか見えんのう」

久「そうよね、なぜか長野の山奥に○国ホテルがあるのよ」

まこ「……これ一泊いくらなんじゃ?」

久「それがほとんどタダ同然なのよ……『京太郎君の友達ならいくらでも泊まりにきなさい』って、だからてっきり私小さな民宿みたいなものかと……」

京太郎「あー着いた着いた」

咲「相変わらず遠いよねここ」

和「とりあえず入りましょうか」

優希「ルームサービスにタコスはないのか?」

京太郎「あるわけねーだろ」

久「……なんであの子達動じてないのかしら」

まこ「うーん、若いもんとは価値観が違うのかのう……」

京太郎「? 」←言うまでもなく金持ち

和「?」←同じく、そして世間知らず

咲、優希「?」←京太郎の金持ちぶりは知っている

久「ホテル龍門……どっかで聞いたような」

まこ「部屋も広いのう……」

優希「ぶちょー、荷物置き終わったじぇー」

和「宮永さんはどこでしょうか?」

久「まさかまた迷子?とりあえず須賀君に連絡ね」

京太郎『ああ、咲だったらこっちの部屋にいますよ』

久「あら、そうだったの。じゃあ今からとりあえずお風呂ってことで……うん、じゃあね」

まこ「どうしたんじゃ?」

久「迷子じゃなかったみたい。宮永さんは須賀君と同じ部屋だ……ちょっと待ってなんであの二人自然と同じ部屋にいるのよ」

和(仲がいいんですね、二人とも)

久「と、いうわけで!今回の強化合宿の主旨を説明するけど……須賀君がまだね」

京太郎「どっこいしょ、ただいま戻りま し たー」

まこ「麻雀卓?わざわざ持ってきたんか?」

久「私は遊戯室にあるって聞いたから持ってこなかったわ」

京太郎「ちょっと一卓借りてきました」

まこ「借りたって……いくらなんでも問題にならんか?」

京太郎「大丈夫ですよ、経営者の趣味で50卓はありますし、許可もとってますから」

久「失礼なこと言うようだけどここの経営状況大丈夫?」

和(麻雀卓を抱える須賀君……男らしいですね)

優希「のどちゃん、湯中りでもしたか?」

咲「京ちゃんってば亀みたい」

久「今回の合宿の目的は全体の底上げよ!というか宮永さん、須賀君にみんなで追い付くの!」

優希「打倒咲ちゃん!」

まこ「打倒咲!」

和「だ、だとう宮永さん!」

久「優希、まこ、和みんなで打倒宮永さん!ファイッ」

「オー!!」

咲「えぇ……って部長、なんで私のことだけ名字で」

久「ファイッ!オー!」

咲「き、聞いてくれない……うぅ……な、なんでこんなことに」

京太郎「咲……」

咲「京ちゃん……」

京太郎「やりすぎたな」

咲「今さら!?遅すぎるよ!?」

優希「ローン!」

優希「ツモだじぇ!」

優希「またまたロン!」

京太郎「だぁーっ!?俺の点棒が!」

和「須賀君は少し振り込みが多いですね……」

久「唯一弱点らしい弱点ね……普段は咲がカバーしてるんだろうけど、ロンよ須賀君」

京太郎「お、おぉ……0点」

優希「フフフ、仕方ないじぇ京太郎。お前が弱いのではない!私が強すぎたのだ……」

まこ「リーチが早いからかのう、もしくは早く手を作ることに慣れ過ぎてるのか……」

久「まあ、なんにせよここに……宮永さん、交代してもらえる? 」

咲「はい」

……

優希「うぅ……カンが、連荘が……やめるじぇ、もう点棒は……」

京太郎、咲「イェイ~」

久「ほら、京咲が南場で一位 」

まこ「なんで新たなトラウマを植え付けてるんじゃ!」

久「須賀君の振り込み癖もどうにかしないと……いや、現状ではそれでも強いんだけどね。じゃあ次は咲を相手に三人で打っていくわよ」

咲「が、がんばります!」

咲(名前呼んで貰えた!よーし……)

カン

カン

カン

咲「ツモ、これで終わりです!」

和「あわわ」

優希「カンが……カンが襲ってくるじょ……」

京太郎「おーすげーな、全員飛ばして終わりか」

咲「えへへ、どうでしたか部長?」

久「うん……すごかったわ宮永さん」

咲「なんで!?」

……そんなこんなで。

咲「カン!」

優希「ひぃっ!?」

熾烈を極めたこの合宿。

京太郎「リーチ」

優希「うぅっ!?」

一番最初に結果を出しはじめたのは……

まこ「ローン!16000じゃ!」

咲「ひうっ!?」

優希「染谷先輩だったんだじぇ……」

和「ゆーき、どうしたんですか?壁にむかってぼそぼそと」

京太郎「カンのされ過ぎで壊れたか?おーいタコスだぞー」

まこ「おんし達の対局は何回も見てるからのう、出す牌や何を聴牌しているかっちゅーのはある程度対応できるようになってきたわ」

久「まこは今まで見たことのある対局から似たパターンを探してほぼ確定に近い形の予測ができるの」

京太郎「え、それって俺たちの対局全部記憶してるってことですか!?」

咲「す、すごい」

まこ「まあの」

京太郎「めっちゃ神経衰弱得意そうっすね!」

咲「日本史とかのテストも!」

久「ええ、どちらもまこは得意としてるわ」

まこ「注目部分おかしいじゃろ」

優希「きゅう……」

和「優希がうんともすんとも言わなくなってしまったので、温泉にいれてきますね」

久「そうね、そろそろ休憩にしましょうか。私たちはこの対局だけ終わったらするから、先に休んでて」

和 「ありがとうございます、優希も溺れかけたら目覚めると思うので」

久(この子たまに怖いわね……)

京太郎「あー!駄目だ東場で一回も和了ねえ」

咲「わ、私のカンまで警戒されてる……」

まこ「ちとキツいが、最初に京太郎へブチ当てた分の得点があるからに。ここは逃げさせてもらうとするかのー」

久「じゃあ私は横から貰おうかしらね、ツモ」

咲「わ、私のカン材が、そんな……」

まこ「流石に久までは対応しきれんわ」

久「悪いわね、まこ、咲、漁夫の利ってヤツよ」

京太郎(このままだと不味い……というか俺にだって男子たるものプライドがある!年上のお姉さまにいいようにされたままなんて……いや、いいかもしれない、だいぶアリだ。いやいや!ここは使わせてもらうぞ!)

咲(京ちゃんアレ使いたそう顔してる……まあ、あとは南場だけだし、そんな長くもならない……よね?私もそろそろ休憩というか、トイレに……)

まこ(ここらで先輩の威厳を見せつけとかんと……ッ!?)

久(私達も一応プロ相手に何度もしごかれてるんだから、一年生ばっかりにいい顔は……って何よコレ!?)

京太郎「……」

久(須賀君の方から!?冷たい……)

まこ(水……河か?)

咲(うぅ……よりにもよってこんなときに、そんなイメージさせるようなこと。なんか近くなってきたかも……ここは冷静に、冷静に)

久(今度は咲!?)

まこ(どんだけ変身残しとるんじゃフリ○ザか!?)

……

和「いいお湯でした」

優希「うぅ……まだ色んな穴の中に水が残ってる気がするじょ……」

和「ただいま戻りました」

まこ「魚は……魚はもう嫌じゃ……」

久「プラマイゼロプラマイゼロプラマイゼロプラマイゼロプラマイゼロプラマイゼロ……」

和「ひっ!?」

優希「ぞ、ゾンビが二匹……」

和「とりあえず温泉にいれてみましょうか?」

優希「のどちゃん度胸あるな……いや見た目通りだったじぇ」

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