勇者「勇者とは勇気あるもの!」(122)
『勇者とは勇気ある者!・・・・折れない勇気があれば誰でも勇者になれる』
大昔、どこかの世界で偉大なる英雄が残した有名なセリフである
そのものが勇者だったのかも、それがいつの時代のことでどこの世界であるかは誰もわからないが、
世界中の人がこのセリフだけは知っていた
----------------全く違う時代-------------------------------
この時代の世界は救われた。勇者パーティの奇跡に世界中の人が平和を噛みしめていた
勇者パーティも解散となり、
戦士は故郷に帰りさらに技に磨きをかけると王国を去って行った
魔法使いは魔法学校で教鞭を取るらしい。いつかは賢者になりたいという夢も諦めていないらしい
盗賊は世界一の義賊になると言ってまた旅に出て行った、武道家も一緒に行くらしい
商人は自分の店を持つという夢を故郷で叶えたようだ
そして、勇者と僧侶は王国に残り、結婚をし、幸せな家庭を築いていた
それが仮初の平和とも知らずに・・・・
-----------------------王国---------------------------------
魔王から平和を勝ち得て、10年の年月が経っていた
勇者は子供たちにも簡単な剣術や勉強を教えながら冒険の話をしたりしていた
僧侶は法術を子供たちに教え、さらに教会で司祭をしていた
お互いに充実をしていた、勇者も僧侶も幸せだった
少年a「先生!今日の授業も終わったし、また冒険の話聞かせてください!」
勇者「うん、いいよ、じゃあ、今日は魔法工国に行ったときの話でもしようか、あそこの王様は魔物に憑りつかれて・・・」
・・・・・
勇者「・・・っていうような感じ。どこ行っても僕らは危険な冒険をしてたんだ」
少年「先生って勇者だったんですよね!」
勇者「うん、一応、みんなからそう呼ばれてたし、そういう力も使えてた」
いじめっ子a「ねぇ勇者の力みせてよ!なんか特別な魔法でババーンって!」
勇者「ごめんね、それは出来ないんだ、危ないし、魔王倒したら使えなくなったんだ」
いじめっ子b「ちぇ!なんだよ、それ、つまらねぇの」
勇者「ははは、ごめんね、でもそういう特別な力っていうのは精霊から借りていた魔王を倒すためのもので、僕の元々の力じゃないんだよ」
いじめっ子c「ま、でもどっちにしても先生の剣技とかすげぇよな、兵士たちだって先生に敵わないし。俺たち勇者様に習ってるんだよな」
少女「うん、いっぱい頑張ろうね!」
勇者「ありがとね」
少年「僕たちも勇者になれますか!?」
勇者「それはずっとまっすぐな心を持って、努力すればなれるんじゃないかな?」
少年「じゃあ、僕も・・・」キラキラ
いじめっ子b「ばっかだなぁ!お前そんなわけないだろ!お前みたいな泣き虫、弱虫が勇者なわけないだろ」
いじめっ子a「そうそう!勇者っていうのは、俺みたいに強いやつがなるんだよ」
いじめっ子c「そうだな・・・お前はさしずめ・・・町人aが関の山じゃねぇの?」
いじめっ子3人「あはははは」
少女「ちょっと、やめなさいよ」
いじめっ子a「なんだ、お前も俺の方が勇者っぽいと思うよな!」
少女「あのね!勇者様はやさしくないとなれないのよ!」
勇者「こらこら、喧嘩はよしなさい。いいか、『勇者っていうのは勇気あるもの、折れない勇気があれば誰でも勇者になれる』さ」
下の奴建て間違えとるしww
少年「あ、それ・・・・」
勇者「君達でも知ってるだろ?有名な言葉だからね」
いじめっ子a「でもそれって本当なのか?なんか信じらねぇよ。戦士とかならともかく勇者は選ばれた人だろ?」
勇者「そんなことはないよ、戦士だって勇者だって努力して技量を磨いた人さ。実際、僕は魔法なしで戦士と戦ったらまず勝てないよ」
少年「すごい・・・あの先生の剣技より強いなんて」
勇者「逆に、魔法使いには魔法だけでは勝てない。剣術を使えば別だけど」
少女「へぇ・・・・そうなんだ」
勇者「実はね、勇者っていうのは何でもできる反面、何もプロには勝てないのが勇者なんだ」
いじめっ子b「えええ!?なんか弱そう・・・」
勇者「ははは、勇者の力だけではね。でも勇者は仲間を信じて仲間の力を集結させて敵に向かっていく勇気。それが勇者の武器だよ」
>>5-8
すみませんね、不慣れなものでして
いじめっ子c「よくわからねぇ・・・・なんかすごいのかすごくないのか・・・」
少年「すごいんだよ!魔王を倒せるのは勇者の一撃だけですよね!?」
勇者「それはそう。勇者の剣技は魔王、魔物に対して絶大な効果を発揮する。そもそも、戦士や魔法使いとは争わないのが普通だからね」
少年「勇者先生は厳しい修業をいっぱいしていたんでしょ」
勇者「うん、そうだね、だけど僕も、実は昔は君たちみたいな普通の子供だったんだ」
少女「え・・・?勇者様って代々勇者様なんじゃないの?」
勇者「うん、おやじも近いようなことしてた。けど勇者じゃなくて剣士みたいなことしてたよ。勇者っていうのは遺伝しないみたいなんだ」
いじめっ子b「じゃあ、先生の父親ってただのおっさんじゃないか」
勇者「ははは、そうだね、ただのおっさんだよ、今は僕もね。そこらへんは遺伝しちゃったな」
少女「もう!3人とも、勇者先生のこと馬鹿にしすぎよ!ごめんなさい、先生」
勇者「いや、本当のことだし、問題ないよ、ん?少年クンどうした?」
少年「じゃあ、勇者になるのってどうすれば?そもそも勇者の力ってどうなってるんですか?」
勇者「うーん分からないな。僕は常に世界を平和にしたい!って思ってずっと修業をしてた。そしたらある日、精霊からお告げを夢でもらったんだ、その次の日から勇者になった」
いじめっ子a「急に?」
勇者「そう、だからみんなも正しい心をもって、正しく成長してくれれば勇者にきっとなれるんじゃないかな?さ、もう時間だ、今日は帰りなさい」
少年「はーい先生・・・」
少女「さようなら、先生」
いじめっ子達「んじゃ、また。おい!遊びに行くぞ!」
少年「あ、あのさ・・・僕も行っていいかな?」
いじめっ子a「弱虫勇者はだーめ、弱虫が映るだろ」
勇者「(・・・やれやれ)・・・みんなまた明日!宿題忘れないようにね!」
勇者「ふぅ・・・」
僧侶「あなた、お疲れ様」
勇者「ああ、ありがとう・・・」
僧侶「ねぇ、あなた、最近少年君が暗いみたい、何かあるのかしら」
勇者「・・・・ちょっとね、いじめられてるみたいな感じなんだ。真面目だからね彼は」
僧侶「そう・・・あまり思いつめないといいけど」
勇者「大丈夫だ、彼なら乗り越えられるよ、きっと」
僧侶「助けないでいいかな」
勇者「今、僕達が何かするのは結局少年君を苦しめちゃうことになるんだ、もう少し我慢しないと」
僧侶「そう・・・救ってあげられないのは可哀想だけど・・・」
勇者「大丈夫、彼なら。上手く説明できないけど僕の勘?」
僧侶(昔から勇者の勘ってよくわからないけど当たるのよね・・・精霊のおかげなのかしら・・・)
僧侶「でもいつまでも放ってはおけないわ」
勇者(最近おかしい、昔の、『勇者』だったころの勘、感覚が少しずつ戻ってきてる気がする・・・)
勇者「大丈夫だって、少年クンの目には正義がちゃんと宿っているよ、問題ない」
僧侶「そう・・・」
勇者「ははは、少年クンを見ていると昔の自分を見ているようだよ。彼は真面目だし、隠れて特訓もしているけどなぜかいじめられてる」
僧侶「勇者も小さい頃はいじめられてたのよね?」
勇者「そうなんだ、僕も小さい頃は本気で勇者になるって言ってたからね・・・」
僧侶「でも不思議なものよね、そのいじめっ子が世界を救うたびの時に仲間だったんだものね」
勇者「盗賊と武道家、今どこらへんにいるのかな?まさか結婚して旅続けるとは思わなかった」
僧侶「それは私たちもでしょ」
勇者「戦士、商人は故郷だよな、久しぶりに会いたいな・・・」
------------------------1ヶ月後----------------------------------------
いじめっ子a「てめぇ、生意気なんだよ!おら、宿題見せろ」
少年「そんな・・・僕だって一生懸命・・・」
いじめっ子b「大体、おまえ、先生に媚び売ってるだろ!」
少年「そ・そんなこと・・・ないよ!」
いじめっ子c「最近お前一人で素振りしてるだろ!」
少年「だ、だって、君たちが遊んでくれないし、しっかり修業して勇者になりたいから」
いじめっ子a「なんだと!俺たちが悪いのかよ、それに勇者になりたいだって?まだ言ってら」
いじめっ子b「僧侶さんの授業もお前真面目だしな!」
少年「それは、人の役に立ちたいし・・・僧侶さんきれいだし・・・・」
勇者「・・・(やれやれまたやってるよ、いい加減にしないかな?)ほら、席について~授業始めるよ・・・あれ少女ちゃんは?」
少年「今日見てないです」
いじめっ子a「なぁ?最近あいつなんか暗いよな」
いじめっ子b「あれぇ?aクン、少女ちゃん好きなんだー?」
いじめっ子a「おう!可愛いしな」
少年「ぼ、ぼくも・・・」
いじめっ子c「ん?なんか言ったか?」
少年「べ、別に」
勇者「こら、喧嘩はやめなさい。ふ~ん、あとで僧侶と家に行ってみるよ」
授業も終わり・・・・・
--------------------------少女の家-----------------------------------------
コンコン・・・
勇者「ごめんくださーい」
ガチャ
少女「あ、勇者先生、僧侶先生・・・こんにちわ」
僧侶「こんにちわ。少女ちゃんが授業休むの珍しいと思って」
勇者「体調でも悪かったかな?」
少女「あ、いや、私じゃないんですけど・・・母が」
僧侶「ちょっと上がっていいかな?」
その後、僧侶による少女の母親の診察が始まり、ちょっと厄介な病気であることが分かった
ただ、それほど重篤にならず、微熱が少々出続けるというものである
僧侶「この病気には・・・・特別な薬草が必要なの。ごめんなさい、私の力では解毒できないわ」
勇者「じゃあ、取りに行こうか、僕らならなんとかなるでしょ、裏の森だと近いし。明日にでも行ってくるよ」
僧侶「感染るとあれだから家に来る?」
少女「先生・・・ありがとうございます。でも母が一人になってしまうので・・・・」
勇者「うん、じゃあ、明日の夜にでも、薬草持ってくるよ」
--------------------------少女の家の前-----------------------------------
いじめっ子a「おい、聞いたか?」
いじめっ子b「うん、聞いた、裏の森だよね」
いじめっ子c「おれらで行けるんじゃね?」
いじめっ子a「だな、少女可愛いし、今のうちに仲良くなっておこうぜ!」
いじめっ子b「えーずるいわ、おれも狙ってたのに」
そういって3人は夜、こそこそと町を出ていった・・・
少年「あ、あれ?3人ともこんな夜中にどこに・・・」
-----------------------------王国の外-----------------------------------------
いじめっ子a「そういえば、初めてだな、夜に王国から出るの」
いじめっ子b「そうだね、なんか不気味だな・・・」
いじめっ子c「ごくっ・・・なんかモンスターとか出そうだな・・・」
いじめっ子a「んなわけねーだろ、魔王が倒されて10年だろ?おれらはまだ小さかったけどよ、あれから魔物もいなくなったんだろ」
いじめっ子b「さ、森だよ、ここからは迷わないようにしないとね」
いじめっ子a「大丈夫だ、昼間に何回も来てるだろ」
その後、3人は深い森に入っていき・・・
しんがりをしていたいじめっ子cの悲鳴が轟く
いじめっ子c「う、うぁぁぁああぁあ!!!!た、助けてぇ!」
いじめっ子b「ど、どうした!?」
いじめっ子c「た、助けて!やべぇよ!」
振り返った二人が見たものは・・・
『ぐぎゃぁあぁぁあ!!!!!!!!!!』
いじめっ子a「お、オーク・・・?も、モンスターがまだいただと・・・!?」
いじめっ子b「ま、マジかよ・・・やべぇやべぇ、お、おいどうするよ!」
いじめっ子a「ガクガク・・・・・やば、し、死ぬ・・・に、にげ、に、逃げろ!」
いじめっ子c「そ、そ、そんな、た、助け・・・て・・・」
いじめっ子b「悪い、c・・・・」
二人が全速で逃げようとした
その時・・・
『ぐぉ?』
オークの左足を一本の木片のようなものが掠めた
オークが左足を見て少し傾くが・・・まったく傷にはなっていなかった
それどころか、そのまま左足を乱暴に振るい、一つの物体を蹴り飛ばした
???「うわっ・・ぐっ」
そこには口から血を流してふら付きながら立ち上がる少年の姿があった
少年「はぁはぁはぁ、3人とも、だ、大丈夫?」
いじめっ子a「お前、なんで・・・?木剣なんか持って」
いじめっ子b「お前その傷・・・」
少年「助けに来たんだ!3人で出かけるの見かけたから危ないと思って」
いじめっ子b「に、逃げろ・・・あぶねぇぞ!」
少年「敵わないのは分かってる・・・怖い怖い怖い・・・」
いじめっ子c「た、助けて・・・くれ・・・」
少年「でも僕は、勇者は決して仲間を置いて逃げない!」キッ
少年『たぁあああ!』
少年は幾度なく立ち向かっていく。
だがそのたびに傷だらけになる。
まったく敵うわけのない相手ではある、それは彼自身もわかっているはず
いじめっ子a「!!!」
いじめっ子b「や、やめろ、死んじまう!」
少年「ぐっ・・・でも、あきらめたら、cが食われる、友達を見捨てるのは嫌だ!」
少年『たぁぁぁぁぁあぁぁ!!!!!』
オークが不敵に笑い、右手を振りかぶり少年の木剣の斬撃が届く前に大きく振り降ろそうとした
いじめっ子a(だめだ、やられる・・・)
少年(それでも、僕は・・・・あきらめない!)キリッ!
その時、一陣の風がオークの横を通り抜け、オークの右腕を切り落とした
???「そうだね、仲間を見捨てないのは大事だよね」
???「それにしても子供だけで無茶しちゃいましたね」
少年「ゆ、勇者先生!」
勇者「だめだぞ、こんな夜中に子供たちだけで」
僧侶「そうよ、私たちに相談してくれれば・・・っとお説教の前に回復しないとね」
少年「先生、な、なんで・・・」
僧侶「うん、少女ちゃんの家の帰りに君の家にも寄ったのよ、そうしたら帰ってないと言っていたからね、探すことになったのよ」
勇者「そうしたら、この森から魔物の気配と、とてつもない勇気、闘志を感じたんだ。まさかあの闘志が少年君だったとはね!」
僧侶「それにしても、なぜ魔物が?平和な世の中になったはずなのに・・・」
勇者「それについては、僕に考えがあるから後で話す。けど、まずは戦闘だ」
僧侶「勇者、うれしそうね?」
勇者「そりゃそうさ!新しい戦士の誕生に立ち会えたんだ、うれしいさ、それにこの血のたぎる感覚も心地いい」
僧侶「(えっ!?勇者・・・はっ!)少年クン、一人でよく頑張ったね・・・ほら、傷の回復をしてあげる」
勇者「集え!雷撃・・・たぁ!」
オークは丸こげになりことは解決を見せた。
僧侶「!!!あ、あの雷撃剣は・・・勇者の?・・どういうこと?」
勇者(やっぱり、勇者の剣撃が使える、魔王を倒し10年間一度も使えなかったのに・・・・)
勇者「ね?少年、君は仲間のために身を呈して戦った、君は勇者だよ」
少年「でも、結局僕だけじゃ勝てなかった・・・」
勇者「勝ち負けが大事なんじゃないんだ、それは修業をして、力を身につければ必ず、いつかは勝てるようになる」
少年「はい・・・・先生、僕、もっと修業して強く、強くなります」
勇者「強いだけではだめだよ、正しい思いを持って強く。ね?」
いじめっ子a「でもお前すごかったよ・・・よくあの状況で立ち向かっていけるよな。俺なんか腰ぬけちまったし」
いじめっ子b「逃げようとしてしまった、c!本当にすまん」
いじめっ子c「・・・・俺、死ぬかと思った、怖かった」
勇者「cクン、彼らを責めないでやってくれ、あの状況では仕方ない」
僧侶「そう、もともとは子供たちだけでこの森に来たあなたたちにも責任があるのよ」
勇者「僧侶、気持ちはわかるけど、お小言はまたにしよう」
その後、5人は無事薬草を手に入れ、帰路についた
少女「あ、ありがと・・・勇者先生も、僧侶先生!ってみんなも!?」
いじめっ子a「そう、俺たちも大変だったけど頑張ったんだぜ?」
いじめっ子c「(カチン!)よく言うよ!俺がオークに襲われた時逃げようとしてなっさけなかったくせに」
いじめっ子b「そうそう、俺たちは何もしてねぇじゃん、頑張ったのは少年だよな!あんなオークに立ち向かうなんてかっこよかったんだぜ!」
少女「まぁ・・・!怖くなかったの?」
少年「えへへ、夢中だったから、そんなこと考えてないや、怖かったけど」
いじめっ子a「ちっ!喧嘩だったら俺が勝つのによ」
勇者「そうだろうね、少年クンは多分、仲間に手をあげたりしないだろうからね、でも誰かを守るときに頑張るって素敵だと思うよ」
少女「少年クン、本当にありがとう!大好き♪」
いじめっ子b「いままでいじめてて悪かったな」
いじめっ子c「ほんと、お前には感謝してるぜ、こんな俺達でもこれからも仲良くしてくれよ」
いじめっ子a「・・・ちっ」
少年「もっちろん!それにaクンもね!」
いじめっ子a「え?俺も?いいのか?」
少年「なんでよ、友達じゃないか」
少女「うん、少年クンが言うならそうだよね」
いじめっ子b「お前、やっぱすげぇわ。いままでいじめてた俺たちになんで笑顔なわけ?」
勇者「うん、丸く収まったようだ、よかったよかった」
僧侶「さ、皆、もう夜も遅いわ、帰りなさい」
----------------------------深夜 勇者の家------------------------------------
勇者「なぁ、ところで僧侶・・・」
僧侶「ん?なぁに?」
勇者「いや、なんでもないよ」
勇者(・・・どうも、最近おかしい・・・魔王を倒した時に僕の力はほとんどなくなったはず)
勇者(勇者の力として精霊からもらったのが魔王を倒すため。だからそれは自然なのに)
勇者(最近、昔みたいに力がたぎるときがたまにある・・・・なぜだ?)
僧侶「勇者さっき、雷撃剣使っていたよね?どういうこと?それに魔物までいるとは思わなかった」
勇者「うん、その話だけど、最近、僕おかしくて、勇者として戦っていたころの感覚が戻ってきてるんだ」
僧侶「えっ?それは・・ま、まさか魔王が?」
勇者「可能性はあるね、少し調べてみないといけない。あの時、魔王が言い残した言葉が気になる」
僧侶「えっ!?倒す時に何か言ってたっけ・・・?」
勇者「そうか、あれは魔王が僕の意識にだけ話しかけたのかもしれないな、君たちは気づいてなかったのか・・・」
僧侶「えっ?」
そこから勇者は10年前、魔王の間での最後の戦いを回想し、僧侶に説明しだした
---------------------10年前 魔王撃覇のその瞬間-------------------------------------------
武道家「たぁぁぁ!」
魔王「甘いわ!」ブン!
魔王は武道家の蹴りを受け止め投げつけた・・・が盗賊が見事にサポート
盗賊「ふっ、甘いのはお前だ!魔王!」
商人「そうですぞ、昔から魔王を倒すのは勇者と相場が決まっております」
勇者「皆、勝機をありがとう!魔王!覚悟!これで終わりだ!」
戦士「勇者!いけぇ!!!!」
僧侶「勇者に神の御加護がありますように・・・」
魔法使い「勇者!攻撃力をあげたわ!いっけぇぇぇぇぇ!」
ザシュッーーーーーーーー!!!!!
勇者の必殺剣技が雷鳴とともに魔王に突き刺さる
魔王『ぐぬぬぬぬ、勇者よ、見事だ・・・・私はしばし眠りに就こう』
勇者「これで世界は平和になる!」
魔王『勇者よ・・・つかの間の平和をせいぜい楽しむがよい。光あるところに影もまたある』
勇者『まて!どういうことだ』
魔王『くくく、人が勇者という希望を抱くならば、またそこに魔王という絶望もあるものだ。どちらかだけということはありえぬ』
勇者「くっ・・・」
魔王『さらばだ、強きものよ、さらばだ、ほ・びを・・も・よ・・・』
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勇者「っていう会話をしたわけよ」
僧侶「全然知らなかった!勇者が独り言言ってるのかと・・・
勇者「あ、やっぱり僕にしか聞こえてなかったんだ。最後は僕もなんかよく聞こえなかったし」
僧侶「うーんつかの間?だから復活した?なんでそんな大事なことだれにも相談を?」
勇者「うん。僕が思うに昔にも同じようなことがあって、だから勇者って必要になった時にポッと出たりするんだと思う」
僧侶「要するに、魔王は倒したけど、しばらくしたら復活するってことよね?」
勇者「うん、でもそれは数百年後とか、そういう単位だと思ってたんだ、だからあんなこと言われても別段気に留めなかったんだ」
勇者「だって、僕の前の勇者って記録に残ってるのが100年前とかだもん」
僧侶「確かに・・・ではそれがすごく早くなっちゃったってこと?」
勇者「基本的に、魔王というのは、人の絶望とか、人の欲望とか、憎しみとかの集合体なんだ。それを僕たちは払拭したわけだけど」
勇者「希望とかの裏に必ず絶望とか欲望っていうのはあるってことらしいんだ」
僧侶「そんな、今私たち人間にそんな絶望とか欲望が渦巻いているってこと?」
勇者「いや、僕が思うに、あの時、倒せなかったんじゃないかな、実際は」
僧侶「えっ?」
勇者「力を封印したとか、そういう感覚に近いのかもしれないなと思って。実際、僕は精霊から借りてる力、感覚とかを弱くなったけどしばらく使えていたし」
僧侶「でも雷撃剣だけは使えなかったよね?」
勇者「そう、だけど、ほかの転移魔法とか超回復魔法とか勇者だけの魔法は使えてた。威力は比べ物にならないくらい落ちたけど。」
勇者「雷撃剣は僕の勇者としてのシンボルみたいな技だからね、対魔物用の」
僧侶「それが使えたってことは・・・・」
勇者「どっちにしろ調査が必要だね。明日王様に進言してまた旅に出よう。皆ともう一度集まって旅に出る必要がありそうだ」
僧侶「私も連れて行ってくれますのよね?」
勇者「妻を危険な目にあわせるわけにはいかないんだけど、やっぱり君の回復魔法は必要だし」
僧侶「そもそも、私がいないところで勇者が危険になるのはごめんです」
勇者「ははは、そういうと思ったよ。とりあえず、今日は寝よう」
僧侶「おやすみ、勇者」
勇者「おやすみ、僧侶・・・(そういえば、僧侶、しばらく前から僕のこと勇者って・・・平和だったときはあなただったのに・・」
---------------------------次の日 王宮---------------------------------------------------
勇者「・・・というわけなんです、王様」
王様「なるほど、魔王が・・・倒したのではなく一たびの休息だったかもしれないと」
僧侶「はい、そういうわけで、本日より、調査の旅に出たいと思います」
勇者「はい、再び危険な旅になるかと思います。おそらくそのまま魔王討伐が目的に代わるでしょう」
王様「・・・・すまぬな、勇者、僧侶。お前たちも幸せな家庭を築いているのに、また人類はお前たちに頼ってしまう・・・大臣!」
勇者「いえ、僕にはこれしか能がないようです、ははは」
王様「ふむ、世界を救うしか能がないとは。それだけ能があれば十分だろうに」
大臣「はっ!お呼びですか、王様!」
王様「勇者殿、僧侶殿に、餞別を。そして隣国への書状を用意せい」
大臣「はっ、しばしお待ちを」
勇者「王様、お心遣い、感謝いたします」
王様「よい、隣国への書状をもっていけば事情も伝わり、入国もしやすかろう。まずはどこに行かれる?」
勇者「仲間を集めます。再び、勇者の名のもとに。まずは戦士と商人は故郷にいるはずですから簡単に会えるかと」
僧侶「魔法使いも魔法工国にいるからすぐに会えるわ」
王様「ふむ・・・してその後は?転移魔法でいきなり魔界に行くのかの?」
勇者「盗賊と、武道家はどこにいるかわかりませんが、そのうち会えると思いますので、少し、戦いの勘などを取り戻しつつ、情報を集めながら魔界に行きます」
僧侶「長い旅になるやもしれませんが、彼らを探しつつゆっくり行きたいと思います」
王様「では、国民にもそのことを伝える壮行パレードでも行うかの」
勇者「無駄に国のみなに不安をあおることもないかと、静かなうちに出ていきます」
僧侶「一応、子供たちにだけはお別れを言っていくつもりですが」
勇者「あの子たちの成長をしばらく見れないのはさびしいですが、彼らは立派に成長するでしょう」
王様「ふむ、そちがいうなら間違いあるまい。学校のほうは・・・兵士と学者で存続させよう」
勇者「はい、どうかあの子たちの未来をお願いします」
僧侶「ふふふ、勇者、自分たちの子供じゃないのに」
勇者「きちんと子供が成長できるのは平和な証拠だからさ。こういう世の中だからこそ、優しく強く成長してほしい。その成長を見るのは楽しいさ」
王様「あい、分かった、吉報を待っておるぞ、辛くなったときはいつでも帰ってくるがよいぞ、無理はするでないぞ」
僧侶「ありがとうございます」
------------------------王国 王宮の外 いつもの教室---------------------------------------
勇者「おはよう」
少年「おはようございます、先生!」
少女「僧侶先生もおはようございます」
僧侶「うふふ、おはよ」
いじめっ子a「先生!はやく!今日は実戦訓練するんだろ!?」
勇者「うん、そのつもりだったんだけど・・・ごめんね」
いじめっ子b「ええ!できねぇの?つまんねぇの」
勇者「うん、今日は皆に大事な話があって」
少年「どうしたんですか?先生」
勇者「実は・・・ちょっと僕と僧侶はまた旅に出ることにしたんだ」
いじめっ子c「ええええ!」
少年「!!!」
勇者「どうやら、僕の力が戻ってきていてね、この前のオークとの戦いで雷撃が使えたんだ」
いじめっ子a「ああ!かっこよかったよな!」
勇者「ありがとう、でもね、僕の力は魔王を倒すための力なんだ。それが使えたってことは・・・」
少年「・・・魔王が復活したってことですか?」
いじめっ子b「だから、オークみたいな魔物が・・・・?」
勇者「それは分からない。でも調査しに行こうと思ってて」
僧侶「もちろん、必要があればそのまま倒さなければいけないと思うんだけど」
勇者「ごめん、先生してたのに、途中でこんな形になってしまって」
僧侶「それから、皆にお願いがあるの。このことはお母さんたちに言っちゃだめよ?」
少年「はい・・・でもなんで教えてくれたんですか?」
勇者「教えていくのは、せめて嘘をつかないで出かけたいからだよ。申し訳ないと思ってるからお詫びだ。これは僕たちと君たちの約束だ。信じているよ」
少女「わかりました・・・・」
いじめッ子a「すぐ戻ってきてまたいろいろ教えてな!」
いじめっ子b「で、でもよぉ、勇者先生がいないと万が一魔物とか町に来たら・・・」
いじめっ子c「そうだよね、オークもあんなに町の近くの森にいたんだ。怖いね」
勇者「大丈夫。幸い、王国とかには魔物は入ってこれないはず。精霊の加護があるからね。いい子にして待っておいで」
いじめっ子a「ああ!もし、そんなときがきたら俺たちが魔物なんか倒しまくってやるぜ。あのオークとの戦いから俺は戦士を目指すことに決めたんだ」
いじめっ子b「って昨日じゃん」
いじめっ子a「いいんだよ!俺はcを置いて逃げようとしたからな、勇者にはなれねんだよ!」
勇者「ははは、君たちは確かにだいぶ強くなった。だからそれなりには戦えるかもね。だけど、無理はだめだ、ちゃんと城の兵士たちに助けを求めるんだ、いいね?」
僧侶「勇者、そろそろ、出かけましょう。次の町まで日が暮れてしまいますわ」
勇者「ああ、では、また・・・・」
少年「・・・」
勇者「どうした?少年クン」
いじめっ子a「こいつ、泣くなよ!?」
少年「・・・・つ・・・・だ・・さい」
勇者「え?もう一度言ってごらん」
少年「・・・・先生!僕も連れて行ってください!」
少女「!」
僧侶「・・・・」
勇者「・・・・だめだ」
少年「どうしてですか!僕も世界を守るために戦いたいです!いっぱい今まで修業してきたんです」
勇者「知っているよ、君がどんだけ影で努力してきたかも、きちんと身になっていることも」
少年「じゃあ・・・!」
勇者「でも、だめだ。この旅は遊びじゃない、とても危険なんだ。」
少年「迷惑はかけないです、お願いします!」
勇者「いいかい?あのオークだって、確かに、町の近くで戦うには凶暴だけど、魔物の中ではだいぶ弱い部類なんだ」
少年「そ、そうなんですか・・・・」
勇者「うん、僕もまだ本来の感覚、力が戻ってない、君を守り切れるとも限らない、いい子だから言うことをお聞き」
少年「でも、僕も勇者になりたい・・・先生はこの前、僕も勇者だって言ってくれたじゃないですか」
勇者「うん、そうだね、だけど、旅に出て魔物を倒すだけが勇者じゃないよ、街でちゃんとした大人になって皆の平和を守ることも勇者の大事な役目」
少年「わ・・・わか・・りました」グスン
勇者「だから、君がもう少し大きくなって、人を守れるくらい正しく強くなったら一緒に冒険をしよう」
少年「ほんと?」
いじめっ子達「あ、お前ばっかりずりぃぞ!俺達も!」
勇者「ああ、約束する。そのときは皆で平和に冒険をしよう」
僧侶「そう出来るように、今回できちんとした調査、もしかしたら魔王討伐をして今以上に平和にするわ」
少年「・・・・」
勇者「少年クン、僕や僧侶が君たちに嘘をついたことはあるかな?約束だ」
少年「うん!必ず、必ずだよ!」
勇者「ああ、数年後・・・そうだな、君が16歳になる3年後には皆で冒険に行こう。その前に平和が先だけどね」
僧侶「ふふふ、16歳って私と勇者が初めて旅だった年だものね」
少女「じゃあ、街の入り口まで、お見送りに・・・」
皆「ああ!行こう」
二人は王国を出て歩き出した
勇者「・・・行ってくるよ」
僧侶「勇者、また旅に出るなんてね。今回は初め2人だけど」
少年『勇者先生!』
くるっ
勇者「?」
少年『約束します!僕、もっともっと頑張って、立派な勇者を目指します!』
いじめっ子a『俺もだ!だれもが尊敬するような戦士になるぜ!』
少女『わたしも!一生懸命頑張って僧侶になる!』
僧侶「ふふふ、なんか昔のあたしたちを見ているようね」
勇者「子供だ、子供だと思っていてもみんな成長しているもんさ」
手を大きく振り勇者は大きな声で言い放つ
勇者『ああ!楽しみにしてるよ!皆も元気でな!』
------------しばらく後---------------------------------------------
僧侶「勇者、あんまり大きな声出すと街の人にばれるわよ」
勇者「いいさ、本当の目的を知っているのはいない。国王と子供たちでも調査って言ってきただけだ。それにどうせ、いつかばれる」
僧侶「子供はともかく、大人は街の外に外出するもんね」
勇者「全ての人を守れないのが悲しい。勇者と言っても僕は無力だ。だから急いで諸悪の根源を・・・」
僧侶「魔王を倒すのね」
勇者「うん、魔王がどうなったかの調査なんて必要ない、あいつは必ずよみがえってる。それも以前よりはるかに力をつけて」
僧侶「勘?」
勇者「・・・いや、勘っていうよりも確信に近いかな、今常にあいつのことは意識にあるんだ」
僧侶「なんか魔王に嫉妬しちゃうな」
勇者「やめてくれよ、そんなこと。さ、行くよ」
---------------さらにしばらく後、草原--------------------------------------------------
ザシュ、ヒュンヒュン~
勇者が剣をふるい、魔物を倒していく
僧侶「現役離れて10年になるのに、流石ね,勇者」
勇者「うーん、まだ感覚も戻らないし、力加減もできないや。やっぱりブランク大きいんだよ」
僧侶「そ?私の出番がないようだけど」
勇者「ここらへんだからね、いつまでもこんな戦い方してたらすごい疲れるし、やっぱり近距離戦できるのが僕一人っていうのはつらい」
僧侶「じゃあ、やっぱりまず戦士たちと合流かな?」
勇者「うん、それがいいかな、その次は僕の武器、防具を集めなおさないと」
僧侶「武器とか防具ってどうなったの?」
勇者「魔王を倒し、精霊が光において、封印、または分解をしたようだったよ」
僧侶「そう、集めるのも大変そうね」
勇者「そうでもないさ、僕の血と、僕の武器はお互い引かれ合うはずだ・・・きっと」
僧侶「後は・・・馬車?船?とかいろいろ・・・また長い旅になりそうね、勇者、転移魔法は?」
勇者「使えるには使えるよ、ただ、僕らが冒険していた時とは世界の見た目、情勢がだいぶ変わっているようなんだ」
僧侶「だから?」
勇者「だから、今回の旅で見たり、行ったりしたところにしか正確に転移できないと思う、それにやっぱり今のまま魔王城とか言っても絶対勝てない」
僧侶「修業のし直しが必要ってことかな」
勇者「だね。自分でもわかるんだ、10年前の半分も力が出せないんだ、武器の違いもあるけど」
僧侶「うーん、前途多難ねぇ・・・」
勇者「だから、まずは徒歩でいける戦士のところだね」
僧侶「どれくらいかかるかな」
勇者「歩いて3日くらい。まぁあそこまではのどかだからね何とかなるでしょ」
僧侶「うん、そうだね、でも懐かしいね」
----------------------------同刻 場所・・・不明-------------------------------------------
△△△「・・・とうとう、主殿も動き出したか、我らの目覚めも近いということか」
×××「そうですね、あの時に感じた違和感がやはり現実になってしまいましたね」
○○○「仕方あるまい、10年前、ワシらですら多少の違和感はあったものの『彼の者』を倒したものと思い込んでいたのだ、勇者もそう思っていただろう」
★★★「ああ、確かな手ごたえはあったんだ、僕を伝わって彼にも実感できたはず、はっきりとあの時、一刀両断のもとに落としたはずだった」
×××「それにしても、主殿はまた私たちに辿り着けるでしょうか」
△△△「わからぬ。ただ、主殿と我らは一心同体。必ずやまた主殿のもとに集まることになるはずじゃ」
○○○「どことなく嬉しそうじゃの?」
★★★「それは皆ですよ。僕も正直再び主殿と会えるのが楽しみです」
×××「やれやれ、どうなることやら(なぜだろう・・・主殿に若干の違和感を感じる・・・)」
○○○「何か不安でもあるのかの?」
×××「いえ、気になることがちょっと・・・ですが確信のないことなので、お気になさらず・・・」
△△△「ふむ・・・まぁ良いか・・・しばし主殿を待つとしよう・・・」
------------------------------3日後---戦士の里付近 森の中----------------------------------------------------------
勇者「そろそろ戦士の故郷につくよ、僧侶、大丈夫?」
僧侶「うん、大丈夫だけど、勇者、元気ねぇ・・・・野営とかも戦士がいないと一苦労だっていうのに」
勇者「あ、うん、それなりに鍛えてはいたしね、なんとなく力も戻りだしてるしね」
僧侶「戦士が近くなったからかしら」
勇者「うん、僕の、勇者の名のもとに集まってくれた皆と再会すると僕の力はだんだん戻ってくるからね」
僧侶「うーん、いまいちそこらへんが前の旅の時から分からないのよね」
勇者「勇者は選ばれた人間であるように、勇者の仲間も特別なんだ。だれでもいいわけではなくて、勇者に魂を預けられる者、そして勇・・」
???「勇者を命を賭して守れるものが・・・すなわち勇者との絆を持つものが仲間として選ばれる・・・ってか?」
ガサガサ!樹の上から何かが飛び降りた!
勇者「!?」
???「よっ!お二人さん!久しいな」
僧侶「戦士!」
勇者「戦士!元気そうだね!こんなところでどうしたの?」
戦士「ああ、修業かねた見回り中だったんだ。お前らも元気そうだな、どうしたよ?」
勇者「単刀直入に言うよ、戦士!また、僕に力を貸してほしい」
戦士「んあ?どういうことだ?あまりいい話ではないようだな・・・まぁ、立ち話もなんだ、村に来いよ、歓迎する」
勇者「うん、お邪魔するよ」
僧侶「ありがとう、戦士。それから勇者、さっきの続きは?」
続きは?( ・ω・)っ④"
>>55
申し訳ない、仕事が忙しくて今週無理だ
勇者「あ、ああ、戦士が言ったとおりさ。僕の勇者としての力は君たちがいないと機能しないんだ、逆にみんなが力を貸してくれれば何倍にもなるんだ」
戦士「ま、俺、勇者、僧侶、魔法使いは幼馴染で昔から仲良かったから勇者の仲間になったんじゃないか?出身地は違うけどよ」
勇者「盗賊と武道家は出身地も同じ、昔はよく学校でいじめられたよ。旅の最中では皆にいっぱい助けてもらったけどさ」
戦士「でも、まさかあの泣き虫ドちびが勇者とはねぇ・・・今思っても旅立ちの時の顔は笑えるけどな」
勇者「もう!茶化さないでよ」
戦士「ははは、悪いな、でも茶化してねぇよ、今回も旅に出てるということはそういうことなんだろ、お前、勇者として旅だった日と同じ顔してるぜ」
戦士「最近森にも魔物が出はじめてよ、不思議だと思ってたんだ・・まぁ、ここら辺はまだ魔物のレベルが低いから大変でもないけどな」
僧侶「ずっと戦士が守ってるの?(連れていっちゃまずいかしら・・・?)」
戦士「いや、俺の場合、修業もかねてだけだ、ここらへんはまだ普通の大人なら対応できる、狂暴化しないかぎりな・・・っと、そこ曲がれば村だ」
------------------------------------戦士の村 夕刻-------------------------------------------------------
村の子供「おかえり、おっちゃん」
勇者「ぷっw」
僧侶「おっちゃんって・・・」
村の子供「だーれ、この人たち」
戦士「おう!ただいま、この二人は俺の友人、大事なお客さん。まっとりあえず家に行くか」
村の子供「こんちわ~」
勇者「こんにちわ」
村の子供「あ、おっちゃん、村長様が探してたよ」
戦士「っと、じじいが?わかった、そっちから先に行くか・・・勇者たちはどうするよ?一緒にじじいのところ来るか?」
勇者「うんそうする、お邪魔するよ、事情も説明したいしね」
3人は村長の家に行き、魔物が復活していること、魔王を再び倒す旅に出始めたこと、そして戦士にも力を貸してほしいということを伝えた
村長「ううむ・・・事態は戦士より聞いていた状態より悪い様じゃな・・・聖なるご加護のある王国付近まで魔物が出たとなると・・・」
戦士「そういうわけだ、じじい、悪いが俺もこいつらの力になりにいくぜ」
村長「よかろう、立派に勇者殿の助けになるがよい、村の警護は任せておけぃ。しかし、これでまたしばらくはわしが村長を続けないといけないのか」
戦士「すまねぇな、無事帰ってきたら、今度こそ村長ついでやるからよ、まぁ待ってろって、親父」
村長「勇者殿、バカ息子をよろしく頼みます。今日はもう日も落ちる、ゆっくりしていきなされ」
勇者「はい・・・大丈夫です、彼には何度も死の危機から救ってもらいました、一番頼りになる仲間です」
僧侶「ありがとうございます」
次の日、3人は行く先を相談し遠いが陸続きでいける魔法工国へと歩みを進めだした
僧侶「やっぱり戦士がいるとパーティの安定が増すわね」
勇者「あ、ひどいな、僕では頼りないっていうのか」
僧侶「そうじゃないけど・・・私じゃ勇者を守りながら回復できないし、勇者だって私を守りながらだと大技使いにくいでしょ」
戦士「ははは!お二人さん、痴話喧嘩はよしな!ま、前衛は任せな!っと、敵だぜ」
勇者「戦士!援護を・・・」
戦士「要らん!任せておけ!むん!」
戦士が意識を集中すると彼の持っていた剣から炎が巻き上がり、斬撃ともに、敵を燃やし尽くした
戦士「ふぅ、こんなもんだろ」
勇者「!・・・魔法!?つ、使えるようになったのかい?」
僧侶「す、すごい・・・勇者の雷撃剣みたい」
戦士「ああ、修業して剣に魔法を載せる方法、魔法剣っていうのか?を覚えたんだ」
戦士「だけど、俺は魔法だけで敵に打つとか、味方の回復するだとかそういうのはできなかった、あくまで剣を通してだけで魔法が使えるみたいだ」
勇者「それにしてもすごいよ、昔はまったくからきしだったのに、ずいぶん修業したんだね」
戦士「ああ、俺の攻撃力はこれ以上はあがらない、だから、スピードか技術でカバーするしかないと思って、魔法使いに魔力の使い方教わったんだよ」
勇者「そうだったんだ・・・全然知らなかった」
戦士「そりゃそうさ、お前たちが新婚旅行に言ってる間だけだったからな、それからもちょくちょく魔法使いが来て教えてくれてはいたけどよ」
僧侶「・・・魔法剣は凄いけど・・・(このうすらデカ、鈍感!)」
勇者「そういえば、魔法使いも街間での転移魔法使えたっけ・・・(戦士、気づいてないんだな、魔法使いが戦士を好きなの、もったいないなぁ)」
勇者「こりゃ、真剣に戦っても戦士には勝てそうにないな、ははは」
戦士「んなこたぁねぇよ、真剣に戦ったらまず勇者が勝つ」
勇者「え?」
戦士「俺の魔法剣は火、風、氷、みたいな属性を付けた強化攻撃、攻撃に毛が生えただけさ、お前の雷撃剣とは根本的に威力が違う」
戦士「それに、お前が雷撃剣を俺に向けて放てないなら俺も魔法剣はお前には放たない、フェアじゃないだろ?」
戦士「ま、それを抜いても・・・・お前の方が勝つだろうな」
勇者「そうかなぁ・・・?」
戦士「例えば、俺がお前に切りかかっても、お前はなんとなくよけれると思う。共鳴というか、何となく俺の動きが読めるのではないかと思うんだが」
僧侶「そういえば、10年前の魔王との戦いでも勇者は最前線にいたのに、後ろの私たちの動き正確に把握してたよね。見えてないのに」
勇者「うーん自覚無いな・・・」
などど話しながら、戦闘もしながら、魔法工国へと向かっていった。
山越えもあり、僧侶の体力も考慮するとその道のりは18日といったところ。
それでも戦士の加入もあり順調に道を進んでいくことができた
----------------------------魔法工国---------------------------------------------------
勇者「さてと・・・魔法使いはどこかな?」
僧侶「魔法学校に行ってみようよ、多分そこにいると思うよ」
戦士「あそこ、頭痛くなるんだよな・・・なーんかやっぱり勉強とかって苦手だわ」
僧侶「受付で聞いてみるわ。ちょっと待ってて」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
勇者「ねぇ、戦士、魔法使いとはどんな感じ?」
戦士「どんなって、どういう意味だよ、普通だよ、魔法の修業以外で会ってないし、久々だぜ?」
勇者「(こいつ、やっぱり戦闘以外からっきしダメだ、もったいないなぁ・・・・)」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
僧侶「魔法使いは研究棟の最上階にいるらしいわ。ほら、こっち」
勇者「じゃあ、行こうか」
--------------------------魔法学校 研究棟 最上階---------------------------------------
戦士「・・・・なーんかわけわからんもんがいっぱいあんな」
勇者「この匂い、魔力香だね・・・魔力がみるみる回復していく、魔法使いって何の研究してるのかな?」
僧侶「うーん、この魔力香、どっちかっていうと回復系の感じがする・・・多分、勇者より私の方が感受性いいわ、あ、この部屋だわ」
コンコンコン♪
勇者「・・・いない?ノックしても反応ないけど・・・・戦士、もう一回」
ゴンゴンゴン!
3人「・・・」
???「ふぁーい、どーなーたー?、空いてまーす、どーぞー」
戦士「よう、俺だ」
???(きゃ!戦士の声、ど、どうしよ、研究資料とか散乱しまくってるし、あたしもあたまぼさぼさ・・・・すっぴんだし)
???「ちょ、ちょっと待って!戦士!5分、5分でいいから!」
???『きゃー!!!』
どんがらがっしゃーん!バサバサ・・・
ガチャ
戦士「ま、魔法使い!どうした!」
???「う、う、う、助けて・・・・」
扉の先には資料やら本やら、の山から足だけが出ていた
戦士「・・・・はぁ、やれやれ・・・」
戦士はその足を引っ張り本の山から小柄な女性を掘り起こした
???「きゃーーーーーーーーーーーーーーせ、戦士!!ちょ、ちょ・・・・見ないで―!」
戦士「どうしたんだよ!?なぁ、こっち向けって」
???「やーめーてー!」
勇者「ぷぷぷ・・・・戦士、勘弁してあげて」
僧侶「そりゃ、これだけ部屋汚れててすっぴんだと・・(戦士には見せたくないわよね)」
???「ちょ!!!勇者に僧侶まで!なに、なに、なんなのさ!」
戦士「・・・ちょっと落ち着けって」
その後、ピヨッてる魔法使いをなだめて、魔法使いが身だしなみを整えてる間、
少しだけ部屋を片付けて話し出した
魔法使い「ふーん、なるほどね。魔王がねぇ、んで、どうすんの?」
勇者「とりあえず、王国には調査って言ってあるけど、そのまま戦うことになると思う」
魔法使い「あんたも僧侶と結婚して幸せになれそうだったのに、大変だわ・・・で戦士は?」
戦士「見ての通りだ、俺も、出来る限り勇者たちの力になるつもりだ」
魔法使い「じゃあ、決まり、あたしも行く、いいよね?どうせ誘うつもりで来たんでしょ」
勇者「そのとおりだけど、いいのかい?研究とか先生とかやってるでしょ」
魔法使い「だーいじょぶ、講師の方は、臨時だし、研究は一通り終わった感じだし、それは旅途中でもできるからね」
僧侶「ねぇ、魔法使いってどういう研究してるのよ?」
魔法使い「んふふふふ、知りたい?」
3人「ごく・・・」
魔法使い「あたしの研究は、二つあって、一つはあたしの攻撃系の魔力を回復に使えないかっていうもの」
魔法使い「賢者になりたかったんだけど、どうしても僧侶の部門で神がなんちゃらとかめんどくさくてさ」
僧侶「む、神を冒涜するのは魔法使いでも許しませんよ?」
魔法使い「ああ、そういうんじゃなくって、まぁ、肌に合わないのよ、言ってることは分かるんだけど」
魔法使い「だから、発想を転換して、回復魔法を攻撃系の魔力で行えないかなって」
魔法使い「うーん、説明が難しいな、百聞は一見にしかず、勇者、手だして」
勇者「こうかい?」スッ
魔法使い「んんん・・・」
僧侶「・・・勇者の傷が回復していく・・・回復魔法だわ」
魔法使い「厳密な原理は違うわ、だけど、同じことはできる。ただ、消費する魔力が僧侶のより段違いだけど。まぁあたしほどの魔力がないと無理かな」
魔法使い「あとはあたしが触らないと治癒しないから遠距離も無理、だから全員同時回復も無理。ただ、魔力を込めればかなりの回復もできるわ」
戦士「あともう一つは?」
魔法使い「はぁ?戦士、あんたがそれ聞くの?あたしの被験者第1号なのに?」
勇者「魔法剣・・・」
魔法使い「なんだ、もう見せちゃってるんじゃん。だけど、戦士に教えた魔力の使い方は副産物。本当は違うのよ」
僧侶「イマイチよくわからないわ」
魔法使い「私たち魔法使いは、打突攻撃にも魔力載せて攻撃力を少しあげられるでしょう。元が非力だから大した威力にならないけど。あれを武器に応用したらどうなるかなって」
勇者「要するに、みんなが魔法剣みたいな技を使えるようにならないかって研究?」
魔法使い「さすがね、勇者、平たく言えばそういうこと。だから武器にいろいろ載せてみたんだけど、扱う人が難しくて」
勇者「使い手にそれなりのセンスが必要だっていうことだね」
魔法使い「うん、使ってるだけあって話が早いわ。そうだ・・この剣、スペリオールっていうものなんだけど、あげるわ。使ってみて、勇者になら使えると思うわ」
魔法使い「スペリオールは魔力を吸収して貯蔵しておけるの、勇者の魔力を使わなくても魔法剣が放てると思うし、切れ味もそれなりにあげてあるわ」
勇者「どこから魔力を?」
魔法使い「敵の魔法からでもいいし、私の魔力を詰め込んでもいいし、この魔力香水を注入しても・・・・とにかくなんでもいいわ」
魔法使い「ちなみに、スペリオールの中に魔力がカラになっちゃったら攻撃力としては普通の剣だからね、注意して。ま、あたしがいればいつでも充電できるけど」
戦士「なんか、魔法使いの仕事じゃなくて、鍛冶屋だな、それ・・・」
勇者「あ、ありがとう・・・軽っ!いいのかい?」
魔法使い「大丈夫よ、どうせ、それ使える人いないし。精霊装備が手に戻るまでそんな普通の剣じゃだめでしょ、とりあえずはそれでいいんじゃない?」
戦士「問題はそこだよな、俺たちは最終装備をそのまま持ってるが、勇者は装備がないもんな・・・鎧にしろ兜、盾も・・・心もとないな」
勇者「ごめん、足引っ張っちゃうね」
戦士「何言ってんだか、そのために俺たちがいるんだってぇの」
勇者「・・・戦士、ありがとう」
???「その件だが・・・兜に関しては問題ないぜ」
扉の方を4にんが振り返ると一人の男が扉に寄りかかって立っていた
4人「・・・・!?」
???「よ!皆久しいな。話は聞いたぜ?」
勇者「と、盗賊!?」
魔法使い「いつのまに!?っていうかどうやって入ったのよ!あたしの部屋はあたしが許可しないと開かないように魔法錠があったでしょ!」
盗賊「へっ、そんなもん、世界一の義賊の俺には紙切れみたいなもんだ」
僧侶「・・・・あれ?武道家は?一緒に旅に出たよね」
盗賊「その件なんだが・・・・闘都で捕まった、俺達としたことがへまをしちゃってね。助け出したいんだが、俺だけの戦闘力だと厳しくてな」
盗賊「勇者たちの力を借りたくてよ・・・王都で探してたら、ガキどもが旅に出たっていうじゃないか、目的までは言わなかったけどよ」
盗賊「戦士の里によったら事情が分かったんだ」
僧侶「ちょっと!何をやらかしたのよ!」
盗賊「昔から闘都では、闘いの掛け金が不正に流れていて、貴族たちが甘い汁を吸っているらしかったんだ」
勇者「そうか・・・それで武道家はどうすれば?」
盗賊「捕まってる場所とかはわかっている、ただ、警備が厳しいんだ、かいくぐる自信はあるが万一捕まったらまずいことになる」
戦士「というと?」
盗賊「確信はないんだけど、闘都はかなり魔物も手なずけていて、魔族もかかわってるらしい。俺たちが知ってる時代の闘都じゃないんだ」
勇者「!ここにも魔王の影響が?」
盗賊「だろうね。元からあそこは魔族が暗躍していた、それがひどくなったのは間違いない」
魔法使い「それであたしたちはどうすれば?」
盗賊「近いうちに、闘都で武術大会が開かれる。その時に、武道家が優勝者と戦うことになるらしい」
勇者「な・・・・」
盗賊「しかも戦うなんてとんでもない、武道家は勇者パーティだったということもあって、かなりのハンデを背負わされ、一方的にやられるんだそうだ」
勇者「そ、そんな・・・」
盗賊「少なくとも、その武術大会では警備が乱れるはずなんだ、そこを狙う。俺と魔法使いの魔法で裏をかく」
魔法使い「あたしにスピード向上魔法とか、透明になる魔法とかあるからそれは問題ないけど・・・」
僧侶「捕まったのはどれくらい前?」
盗賊「1か月ほどだ・・・ただ、武術大会までは平気だろう」
勇者「盗賊、自分の奥さん捕まったのに冷静だね」
盗賊「冷静になっていねぇとよ、作戦も立てられねぇ・・・頭を鉄火場にしてもしかたないだろ」
盗賊「それにあいつを信じているからかな。まぁ初めは冷静じゃなかったけどよ・・・」
戦士「ところで、さっきの兜の話とどう関係してるんだ?」
盗賊「つまり・・・その武術大会の優勝賞品が相当に由緒正しい兜だっていうわけさ」
勇者「じゃあ、僕と戦士と僧侶で優勝すればいいってことかな?」
盗賊「ビンゴ!」
戦士「ああ、そういうことか、それで武道家も救うっていうことか」
盗賊「ああ、裏から俺たちが救えなかったら、優勝者とのエキシビジョンで勇者か戦士が助ける。協力してもらえないだろうか」
勇者「言うまでも無いよ、行こう、武道家に会いに・・・」
魔法使い「じゃ、急ぐみたいだし、転移魔法で行こうか。勇者の魔界と人間界往復用じゃなくて、あたしの街間移動用で」
勇者「よろしく頼むよ」
盗賊「っと、その前に当日の作戦は・・・・・」
その夜、盗賊を中心に作戦会議をしていた。
元々、勇者パーティの中で、作戦、戦術、陣形などは盗賊が担当しておりその腕前はピカイチだとみんなが思っていた
戦闘で陣頭指揮を執るのは勇者、だが、実際に、その戦闘隊形をとるのは盗賊の一瞬の判断に任されている。
深夜未明、魔法工国より5人の人間がつつまれた魔力の光が闘都の方角へと飛んで行った・・・・・
----------------------一刻前 闘都---------------------------
武道家「くっ・・・お前たち、あたしをこんな目にあわせてタダで済むと思うな!」
兵士「くくくく、あがけ、わめけ、どうせ貴様は闘技場の売り上げに手を出した犯罪者、処刑されるのだ」
兵士「もと勇者パーティ随一の武道家とはいえ、10年も立てば普通の人よ、おっと今は犯罪者だな」
武道家「くそっ・・・か、かならず、盗賊が助けてくれるはずだ!」
兵士「それはどうかな?あの若造だが捕まえることはできなかったが、逃げ足は流石だ。だが戦闘はそれほどでもないのだろう?」
武道家「ちくしょう、変な妖術さえかけられなければ、こんなことには・・・」
兵士「何度も試したと思うが、逃げられんからな、此処の牢は、我らの魔物が聖なる力を封じる結界を施してある」
兵士「勇者パーティだった君の力も聖なるもの。絶対逃げられんよ」
武道家「今更そんな無駄な体力は使わないわ」
兵士「しかしそもそも、君もあいつをかばわなければ逃げることができたというのに、バカなことだな」
武道家(確かに、盗賊とあたしだったらあたしの方がまず強い、盗賊じゃ、こいつらの飼ってる魔物相手にどこまでもつか・・・)
兵士「仮に、戦い面でも秀でているとしても、お前の処刑を目の前に冷静でいられるかな?」
兵士「まぁよい、お前の処刑は10日後の武術大会決勝後、優勝者にやってもらう、残り10日の命だ、せいぜい楽しむことだな」
武道家「くっ・・・まともな人間だったらあたしを、勇者パーティの一員を殺すなどできないはず」
兵士「そんな人間もいるだろう・・・・だが、最強と言われる武道家のお前の首が欲しい格闘家など山のようにいると思うがな」
武道家「・・・・・」
兵士「ま、ゆっくりな・・・」
兵士はすたすた牢の外に出て行った。見張る気すらないらしい
武道家「すまない、盗賊・・・」
-----------------10日後 武術大会 当日-----------------
その日、闘都の闘技場では多くの武人が虎視眈々と優勝を狙っていた
試合はトーナメントでベスト4までを決め、その後はバトルロワイヤル
ギブアップか場外で試合終了となり、殺害は禁じられていた
闘いは順調に進んでいき、あっという間にベスト4が決まった
そのベスト4は大斧を担いだ大男、黒装束に身を包んだ男、装備が剣のみで他は普段着のような防御力無視の男、鞭を自在に扱う女の4人だった
この4人はそれぞれが群を抜いた強さでトーナメント順も離れていたため、予想以上に早く決まってしまった
司会「あ~レディース&ジェントルメーン!ついにこの日が来たぜ!闘都名物大武術会!さぁ、挨拶もこのくらいにして選手の入場だ!」
司会「いいねぇ、いいねぇ!今年もいい選手がそろったみたいだねぇ!」
司会「そして・・・もう一人呼んじゃおうか!今年の優勝商品のうちの一つは・・・こちらだ!」
選手が入場してきた方向とは逆の扉から一人の男が小柄な女性を引き連れてきた。
司会「紹介しよう!この人はなんと、世界を救った勇者パーティの武道家だ!優勝者は彼女とエキシビジョンマッチを行う権利を与えるぜ!」
司会「世界最強の武道家と戦うことができるなんてチャンス、滅多にないぜ!しかも、ここの結界でハンディキャップをつけどうするも優勝者の自由だ!」
次の瞬間、武道家の周りに淡く光る空間が現れた・・・が、気づくものはいない
武道家(あれ?なんだろう、このあったかい雰囲気、体も楽になったわ・・・これは・・・僧侶の気かしら・・まさかね?)
司会「あとの優勝賞品は・・・この輝きの兜だ!これは由緒正しい兜だぜ!被るもよし、家宝にして飾るもよし、売払うもまぁこの際よし!」
司会「説明はこのくらいにして・・・じゃあ、早速行ってみよう!」
司会「・・・・決勝バトルロワイヤル、時間無制限、一本勝負・・・・はじめ!」
まず向かい合ったのは斧の男と黒装束の男。斧の鋭い一撃が黒装束の男を襲う!
しかし、当たらない、黒装束の男は素早い動きで斧男の後ろに回り込み、その脇腹を浅く薙ぐ
その後、斧男の斧は鎧を着ていない男が叩き落としてしまった
此処で勝負は決した、武器を失くした斧男はなすすべもなく、黒装束の男の素早い攻撃をよけきれずダウン
観客の盛り上がりも一層増している。
武道家(くそぉ、目隠しされてなければな・・・でも、このオーラは・・・まさかね)
残るは3人。
鞭女「くくく・・・お二人ともお強いのね!あたしも本気で戦おうかしら」
黒装束「・・・・すさまじい魔力だ」
無装備の男「それもかなりの強さだ」
鞭女「あら?お気づき?あなたたち何者?でもいいわ、二人でかかってらっしゃい」
無装備の男「ああ、そうさせてもらうぜ!よう!そこの黒いの!即席コンビだがよろしく頼むぜ」
黒装束「・・・・(こくり)」
その後、観客がつばを飲み込み、まったくもってシーンとなるほどの激闘が繰り広げられた
武道家(高い魔力同士がぶつかっている・・・いったい何が?)
鞭女は数匹の魔物を召喚し、呪文、鞭を併用した独特の戦い方を披露し、圧倒的な力を示した
司会「ま、魔物・・・!」
黒装束(魔物を召喚・・・いや、生み出したのか・・・あいつは、まさか・・・)
対する二人の男も炎の魔法を放つ黒装束の男、魔物を瞬時に倒していく無装備の男と、即興ながらいいコンビである
鞭女「へぇ、そっちの黒い子、結構高度な魔法使えるんじゃん、面白いわ」
無装備の男「俺を無視してる余裕あるかな?」
鞭女「あんたも悪くないけど・・・邪魔よ!今はこっちの子と遊ぶのよ!はぁ!」
鞭女が鞭を振るうとその先から魔力の塊のようなものが飛び出し、無装備の男に激突。
男は吹っ飛ばされ武舞台の端のほうに叩きつけられた、が、幸い場外にはならずにすんだ
無装備の男「ぐはっ!」
鞭女「少しおやすみ、この黒い子の後に遊んであげるわ!行くわよ・・・!爆裂魔法!」
その後いくつかの爆裂魔法が放出され激しい攻防が繰り広げられる
黒装束の男の周辺で激しい爆発が起こり、砂煙が上がる・・・
鞭女「!い、いない」
黒装束「・・・こっちだ」
後ろに回り込んだ黒装束の男は剣をかまえ、鞭女に斬りかかった。剣が鞭女の顔をかすめ、
鞭女の顔から紫色の血が出た
鞭女「きゃああああああ!あ、あたしの顔が!!!」
黒装束「浅かったか・・・・」
鞭女「貴様!よくも女の顔を!・・・死ね!」
鞭女が魔力を込め鞭を振るった
黒装束「!まずい・・・よけきれな・・」
その時後ろに倒れていた無装備の男が立ち上がり、鞭女の右手に激しく燃え盛る剣を投げつけた
鞭女「なに!」
それが鞭女の手を直撃し、黒装束への攻撃も外れた
無装備の男「へへへ、あの程度でおねんねするほどヤワじゃないんでね・・・おい、ゆう・・黒装束!大丈夫か・・・」
鞭女「くっ・・・流石に傷が深いか、だがただでは負けないわ!」
鞭女が魔力を込め始めると、周囲にキラキラと氷が集まりだし巨大な凍結魔法が炸裂する
鞭女「いくぞ!極大凍結魔法!」
黒装束「くそ、防ぐにはこれしか・・・集え・・・雷!!!」
黒装束の掌に小さな雷が集まりだし、それがバリアとなって黒装束の前に現れる
鞭女「はーははは!そんな脆弱なバリアでいつまでもつかな?」
黒装束(くっ!魔力をもっとはっきりとわかるように雷にしないと・・・持たない・・・・僕が引き付けている間に・・・早く!)
----------------------------------同刻----観客席~武舞台の外-------------------------------------------------
観客席一人の女性(合図だ!行かなきゃ・・・)
武道家「え?」(手錠が自然に外れた!そして目隠しも)
武道家「どうな・・・むぐぐぐ」
見えない何かに口を抑えられしゃべることが出来なくなってしまった
武道家(この手の感じ・・・盗賊?)
そして武道家の近くでポンポンポン!と軽い破裂音が聞こえた
???(二つ目の合図!)
次の瞬間、武道家の近くにいた兵士たちは何者かに殴り飛ばされ
その何者かは武道家を抱えた。先ほどまで武舞台で戦っていた無装備の男である。
無装備の男「よう、武道家!元気か?」
武道家「!その声は・・・せ、戦士?」
戦士「おい!皆!もういいぞ!作戦成功だ!」
その後、武道家の周りには、一人の青年、淑女が現れた。さらに観客席から一人の女性が走ってきた
武道家「盗賊!魔法使い!助けに来てくれたんだ!」
魔法使い「当たり前でしょ、僧侶もいるわよ、ほら!」
僧侶「うまくいきましたね、戦士!今回復を・・・・」
盗賊「へへへ、なんとかうまくいったな、最後の作戦まで持ち込まれると思わなかったけど・・・」
武道家「作戦?」
盗賊「実は・・・」
黒装束(チラッ
黒装束「ふふふ」
鞭女「何がおかしい!?気でもふれたか」
黒装束「いや、僕の仲間たちが目的を達成してくれたみたいだ・・・・・」
鞭女「なに!目的?」
黒装束「僕らの目的は・・・・武道家、かつての仲間を好きだすことだ!」
黒装束の掌にさらなる魔力が集まりだし、鞭女の氷の魔法を完全にのみこみかき消した
鞭女「こ、これは・・・聖なる雷の魔法!ま、まさか、貴様は・・・・・」
バッ!黒装束はまとっていた黒装束を脱ぎ捨てた・・・そこには一人の青年が立っていた
???「ふぅ、暑かった」
鞭女「ゆ、ゆ、ゆ、勇者だと~!!!!」
勇者「そういうこと、で、君は?ただの魔族ではないだろう?僕がこれほど大きな力を放てる相手ってことは」
鞭女「・・・ふふふ、お見通しか」
そのころ、武舞台の外では、武道家に事情を説明している盗賊がいた。
----------------時はさかのぼること 10日前 未明 魔法工国----------------------------------------
盗賊「当日の作戦は、こんな感じだ」
盗賊「まず、勇者、戦士は受付を別々に済ます。その時にはお互いが仲間だってばれないようにな」
僧侶「ばらばらにいくのはなんでなの?」
盗賊「ベスト4が決まるまではトーナメントなんだ。その後はバトルロワイヤルだ。トーナメント順は単純に受付した順だからな。」
魔法使い「一緒に行ったら一回戦で当たり、はい、戦士の負け、決定!」
戦士「おいおい、ひでぇな」
盗賊「まず、9時に受付が開始される。どっちかすぐに受付けるんだ。13時まで受付だから終了ギリで残り一人が滑り込め、それでまず二人が当たることはない」
盗賊「というか、二人は戦っちゃだめだ、両方が絶対にベスト4に残れ。万が一負けたら作戦を変えるけど、まぁ二人なら大丈夫だろう」
僧侶「相手は人間だよね?」
盗賊「なんでもあり、だから人間とは限らない、というか普通にモンスターなんかも出てくる。ただし、殺しはだめだ」
盗賊「1人参加と、殺さない以外はなんでもokだ。装備も自由。年も自由。性別や階級も存在しない、勇者、装備はどうするんだ?」
勇者「ま、なんとかするよ・・・・僕はとくに顔が割れてるからね・・・なんか黒装束みたいなの着てできるだけばれないようにするよ」
戦士「よし、俺の鎧を下に着ていくといい。俺は、普段着で適当に行く。どっちにしろ、剣だけあれば事足りるしな」
勇者「戦士の汗臭いからなぁ・・・・あ、冗談、ありがとう、それでいこうか」
盗賊「それでいい、二人はとにかくベスト4に勝ち進むことだけを考えてくれ、最低でも一人は必ず残れ。とりあえずは、残りはまた後でだ」
盗賊「次に、俺と魔法使い。勇者たちが戦っている間に裏から潜入して武道家のいる牢屋まで行く」
魔法使い「行くだけ?」
盗賊「ああ、透明になって行くだけだ。この時点では助けない。というか助けられないといった方が正確かな」
僧侶「え?なんでよ?」
盗賊「あいつの入れられている牢屋な、聖なる力を封印する術がかけられているんだ。俺達でもまずやぶれない」
魔法使い「なるほど、武道家の腕ならある程度は何とかできちゃうもんね、それができないってそういうことか。でもそれだけのことができるってことは・・・」
盗賊「ああ、さっきも言ったとおり、魔族が噛んでる。だから、此処で暴れると、魔族たちと戦うことになりかねない、それは俺としては避けたい」
戦士「お前、戦闘は結構情けないもんな」
盗賊「戦士の言う通りさ、だから俺はここまでおめおめ逃げてきた」
僧侶「もう、戦士、いじわるいわないの!で?」
盗賊「ああ、俺と魔法使いは透明のまま、じっと待つ。決勝が始まったら武道家が移動させられるはずだ、それについていく」
盗賊「武舞台近くに連れて行かれると思うんだ、そうなったらあいつの手錠を俺が破る」
僧侶「あたしは?観戦してていいの?」
盗賊「僧侶は、愛する夫の活躍を・・・ってちげぇよ!武道家が出てきたらすぐに武道家に聖なる結界を張ってくれ。位置が分からないけど、準備はしっかりしてくれればできるだろう?」
僧侶「うん、でもなんのために?」
盗賊「この状況だと勇者パーティのなかで、武道家だけが存在が分かられてて、いつでも殺せる状況だからさ。魔族も多いんだと踏んでいる」
盗賊「その後が流動的にならざるを得ない。パターン1勇者、戦士のどっちかが優勝をして、武道家と戦うことになったら助ける。これが確実性が高い」
盗賊「パターン2、ベスト4の戦いの途中で俺と魔法使いが武道家をかっさらう。これはできるかがわからないからパターン1がぽしゃったらだ。錠前外してどうなるかだな」
盗賊「パターン3、ベスト4の戦いの最中に勇者と戦士が武道家を助ける。これはパターン2までがどうしようもなかった時に、勇者たちに無茶をしてもらうことになる」
戦士「パターンはどうやって決めるんだ?」
盗賊「とりあえずは1だ。戦士と勇者が両方とも戦局的に厳しくなるかどうかわからんからな」
勇者「じゃあ、決勝で厳しい感じになったら、合図を出すよ、そうだな、雷撃の魔法を一発放つ」
僧侶「じゃあ、あたしはその合図で皆と合流できるように動こうかな。でも、勇者ばれるんじゃないの?」
勇者「そう見えないように放つから大丈夫。だけど君たちには分かると思うよ」
盗賊「それで2に移行。見張りとかが厄介で出来そうもないならこっちも魔法使いが花火の合図を出す」
魔法使い「任せといて、爆裂魔法の応用でなんとかなるわ」
戦士「その後は勝とうが負けようが、俺と勇者が武道家を助ける、そのあとパーティで戦うってことか」
勇者「わかった。ただ、僕の場合、相手が魔族だと、ちょっとまずいなぁ、勇者の力使っちゃったら流石にばれるよね?」
盗賊「ベスト4になるまでは頑張って使わないでくれ、ベスト4になったら・・・」
魔法使い「あたしがごまかすから大丈夫よ」
盗賊「ご明察、やっぱ魔法使い話早いな」
魔法使い「この天才を捕まえてなにわかりきったこと言ってんのよ」
盗賊「他、質問あるか?」
戦士「当日までの流れを知りたい、事前に闘都に行った方がいいのではないか?」
盗賊「そうだな、よし、この話し合い終わったら出よう。夜の方がばれないだろう。だが、街に入るのは明日の朝だ」
僧侶「それまでは?野宿?」
盗賊「俺の隠れ家がある。偵察用に各地に作ったんだが、闘都の近くにもいいところがある。そこに向かう」
魔法使い「ちょっと!そんなところ転移魔法でいけるわけないでしょ、あたし知らないんだから」
盗賊「闘都からは月夜の散歩だよ、決まってんだろ?後は?」
・
・
・
--------------------------------------再び 闘都 武舞台の横------------------
盗賊「って感じで考えてたんだ、うまくはまってよかったぜ」
武道家「あんたの作戦がうまくいかなかったことなんかないじゃない、あ、今回あたしが捕まったのが初めてのミスだね」
盗賊「おいおい、勘弁してくれよ」
戦士「おい、夫婦喧嘩もその辺にしとけ、後は勇者次第だろ・・・おれも場外出ちまったからな」
僧侶「一緒に戦おう!」
戦士「そのつもりだ!あの鞭女はおそらく・・・・」
魔法使い「うーん、でも勝敗はどうなるのかな?」
盗賊「この時点で、勇者かあの鞭女が優勝ではあるだろうけど、あいつ普通じゃないよな?」
僧侶「かなり位の高い魔族だと思います」
戦士「この際、勝敗はいいだろう、目的は達成した・問題はタイミングだけだな」
---------------------------------------------------------------------------------
鞭女「・・・ふふふ、お見通しか」
勇者「エギドナか?」
鞭女「そこまでお見通しか・・・では、この姿では失礼だろうな・・・はぁ!」
勇者「やはり・・・魔物を生み出せるのはエギドナくらいしかいないからな・・・・」
ギロッ!真っ赤な瞳で勇者を睨みつける鞭い女の姿があった
鞭女から魔力があふれ出し真っ暗になった。
次の瞬間、鞭女は蛇のような足をもち、黒い翼を生やした紫色の肌、灰色の髪を持った姿へと変身していた
鞭女「わが名はエギドナ・・・久しいな勇者よ!10年前の屈辱、忘れんぞ!」
勇者「あの時、相当なダメージは与えたはずだ、何の目的でまた人間界に来ている?懲りていないのか?」
エギドナ「貴様!あの時なぜ私に情けをかけた!なぜ他の四天王と同じように光のもとに殺さなかったのだ!」
勇者「・・・君が多くの魔物の母親だからだ」
エギドナ「貴様の情けのせいで私は・・・魔王様がいなくなり、魔力の効果が薄くなった中で、地獄のような痛みに耐えることになった」
勇者「それは、僕の配慮が足りなかったな・・・すまない」
エギドナ「気がついたら他の四天王は死に・・・私はひとりだったのだ・・・・」
エギドナ「私の目的は、貴様ら勇者一行への復讐だ!あのとき、一思いに殺してくれればよかったものを」
勇者「なら、なぜ僕のところに直接来ない?」
エギドナ「貴様は力がなくなり探すこともできなかった。だが武道家がここにつかまっていると情報をつかんだ!」
勇者「・・・・」
エギドナ「そこにいけば、武道家は少なくとも殺すことが出来る、あわよくば貴様たちも現れると踏んだのだ」
勇者「そこは当たっているな」
エギドナ「そして、最近のことだ・・・魔王様が眠りから覚められた、そして私も当時以上の魔力を与えられた」
勇者「やはり!」
エギドナ「しかし、魔王様が私に興味を示さなくなった、悲しいことよ」
エギドナ「さて、どうでもいいことを話したな・・・・行くぞ、勇者!全力を持って殺す!」
その後、エギドナは確かに以前よりはるかに力を増していて、極大魔法も連続で放つ
勇者「っ・・・強い」
魔法使い「ああ!もう我慢できない!皆、行くよ!盗賊!作戦!!」
盗賊「はいよ、基本形態で行くぞ!戦士、勇者と双翼の陣を取れ!僧侶、魔法使い、第2陣での補佐を頼む」
一同「了解!」
盗賊「俺は、遠距離からの補佐をする、いいか、絶対二人一組で動くんだぞ」
武道家「あたしは?」
戦士「休んでろ、まだ本調子じゃないだろう」
その後、勇者パーティとエギドナの激しい戦いが始まる
エギドナ「喰らえ!」エギドナはその太い尻尾で勇者に向けて薙ぎ払った
戦士「させねぇ!」それを戦士が剣を使い軌道を変える
さらにエギドナは口から火の球を魔法使いに向けてはなった
盗賊の弓矢によって、それは打ち消され、魔法使いは安定した詠唱を続ける
魔法使い「・・・・アンチエーテル!!」魔法使いが勇者たちの魔法耐性をあげる魔法を唱えた
僧侶「中回復魔法!」
エギドナ「小癪な!人間どもが!」
勇者「行くぞ!戦士!」(懐かしいな、この布陣・・・常に戦士が反対側にいて、妙に安心する)
戦士「了解!」(っと、俺は上か)
勇者「集え!雷撃!!」
戦士「燃え尽きろ!わが剣よ!」
勇者が右下段から雷撃剣を、戦士が左上段から火炎剣を放つ
エギドナ「その程度か!」手と尻尾で攻撃を受けようとする
魔法使い「やらせないわ!極大爆裂呪文!!」
僧侶「あたしも!聖閃光魔法!」
エギドナ「くっ!」
4人の合わせ技が炸裂し、エギドナが体勢を崩す
戦士「やったか!」
勇者「いや・・・まだだ!」
エギドナ「・・・くくく、やはりな」
魔法使い「・・・笑ってる、あのダメージで」
僧侶「めちゃくちゃ強くなってるわ・・・」
エギドナ「僧侶よ、それは違うぞ、確かに私は強くしていただいた。それでも昔のお前たちなら今の攻撃で終わっていただろう」
戦士「くっ!どういうことだ!?」
武道家「・・・勇者の放つ聖なる攻撃、雷撃剣の発するオーラが以前とは比べ物にならないくらい弱いからよ、武器がどうこうじゃなくて・・・」
エギドナ「はっーははは!気づいているものもおるか!流石に気の流れを読む武道家よ!その通り、勇者よ、お前が弱くなっているのだ!」
エギドナ「普通の魔物ならば問題ないだろうが、私のような高位の魔族ではその差は致命的だぞ!」
勇者「くそっ!(ここまで僕の力は落ちているのか)」
エギドナ「勇者よ!みじめだな!普通の人間である戦士にも劣るその攻撃力!哀れだ!」
エギドナ「貴様のような勇者は・・・こうしてくれる!はぁ!」
勇者「ぐっ・・・あああああ!」
魔法使い「何を!?」
僧侶「しまった!高レベルの呪い・・・早く呪いをとかないと!」
僧侶が勇者に近寄って治療をしようとした・・・が、
戦士「あぶねぇ!」
勇者が剣を振りぬき、僧侶に襲いかかった。戦士がかばい、間一髪よけることが出来た
勇者は目がうつろとなり、敵味方の区別がつかないでいようだ
戦士「勇者!しっかりしろ!てめぇの嫁さんだろうが!」
僧侶「っ!戦士、あたしは大丈夫だから、それより、勇者を・・・あれはまずいわ」
エギドナ「ほほほほ、混乱の呪いをかけてくれたわ!さぁ、戦士たちよ、どうする?愛する勇者に殺されるのも、私に殺されるのも自由だぞ」
戦士「っ!この外道が!てめぇから始末してくれる!喰らえ!」
戦士は再び炎をまとった剣を構え、エギドナに向かっていった!
ガッキィーン!!
戦士の渾身の一撃を勇者が受け止めた
勇者「エギドナ様に・・・手を・・・出すな・・!」
戦士「てめぇ!しっかりしやがれ」
エギドナ「無駄じゃ、戦士、そやつはもう私の魔力の虜じゃ。ほうれ、放っておくとどんどん勇者の精神をむしばむぞ」
戦士は力任せに剣を振りぬき、勇者を剣ごと吹っ飛ばした!
そして、勇者は武舞台から離れたとある場所に落ちた。優勝者に与えられる予定だった兜の近くに・・・
勇者「っぐ!」
戦士「そこでおとなしくしてろ!エギドナは俺たちで何とかする!」
魔法使い「・・・重力縛り」魔法使いが唱えた魔法によって、勇者の動きが止められた
その衝撃によって、飾られていた兜が勇者の近くの床に落ちた
------------------------------そして意識の中へ・・・-----------------------------------------
×××『目覚めてください、主殿・・・あなたはこのようなところで倒れるべきではありません』
勇者「・・・懐かしい声がする・この声は・・・」
×××『久しぶりです、主様・・・』
勇者「君は・・・!?」
×××『今こそ、私の中にお借りしたあなたの力をお返しする時が来たようです』
勇者「力を・・・貸した?」
×××『思い出してください、主殿・・・あなたは10年前のあの日、自らのお力を我らに中に入れ、それごと封印がかかるようにしたことを』
勇者「・・・そうだ、そうすれば、僕の勇者の力は薄まり、魔王復活も伸びると思った、後世に力を残すために・・・そんなことをした気がする」
×××『しかし、残念ながら、後世まで平和は保てなかったようです・・・』
勇者「君たちはいつ気づいた?魔王が死んでいないことに」
×××『封印されてほどなくして・・・封印されたはずが、私たちの意識ははっきり残っていましたから。まだ使命は終わっていないと・・・』
勇者「くそ、僕の気づくのが遅かったのか・・・」
×××『それは勇者としては弱体化していたあなたには仕方のないことです。そして弱体化しているまま、戦うことになってしまった』
勇者「なぜだ?10年前のあの日、僕の詰めが甘かったのか?僕で本当に平和な世の中にできるのか・・・・」
×××『・・・それは勇者たるあなたが考えることではありません。『勇者とは勇気ある者』ではないのですか?』
勇者「!」
×××『間違った人を精霊は選びません。世界を平和できる人は、今のところあなたしかいません』
×××『その目的のためなら、私たちも再びともに戦いましょう・・・さぁ、今こそお呼びください、私の名前を・・・」
勇者「力をわが手に・・・マリアンヌ!」
マリアンヌ『それでは、現実の世界で・・・他の3人も封印が解かれるのを心待ちにしております・・・』
--------------------------------------------------------------------------
戦士「そこでおとなしくしてろ!エギドナは俺たちで何とかする!」
エギドナ「戦士、貴様も冗談を言うのだな、私を何とかするだと?勇者抜きで?どうやってするのだ?」
戦士「くそったれ・・・魔法使い!僧侶!俺にありったけの補助魔法を!」
魔法使い「勇者を縛っているのに結構魔力を使っているから・・・ちょっと待って・・・」
僧侶「防御力は限界値まで上げたわ!」
戦士「くっそぉ!」
武道家「あたしだけ、寝てるわけにはいかないわ・・・あたしも戦う!」
盗賊「武道家!待て!」
武道家「放して!もう力はそれなりに戻っているから!」
盗賊「くそっ・・・なんとかならないのか!」
その時、魔法使いの魔力で縛られていた勇者の体から聖なる魔力があふれだし、魔法使いの魔力を消し去った
次の瞬間、優勝者に与えられるはずだった兜が勇者の頭にかぶさり、兜が輝き形が聖なる兜へと変換されていった
魔法使い「あたしの重力縛りが・・・解放された!?ゆ、勇者を抑えられない!」
勇者「皆!大丈夫か!すまない・・・」
戦士「勇者!気が付いたのか」
僧侶「勇者、その兜・・・」
勇者「ああ!マリアンヌ、彼女のおかげで僕は魔力のとりこから戻ることができた・・・みんな行くぞ!」
勇者は聖兜マリアンヌを手に入れた
エギドナ「ふん!たかが兜一つで何が変わる!食らえ!高位呪縛!」
呪縛の塊は勇者に届く前に白い光に包まれて消えてしまった
エギドナ「!!」
勇者「すまないが、もうその魔法は僕には効かない」
エギドナ「魔力の大きさ、オーラの強さが、さっきとは別人だと・・・」
武道家「勇者のオーラが膨れ上がった・・・これは一体」
勇者「タダの兜じゃない・・・・聖兜マリアンヌは自由の象徴、精神を司る神・・・そんな呪いがが効くわけないだろう」
勇者「そして、彼女の中に封印していた僕の力も戻った・・・エギドナ、もう君の好きにはさせないぞ」
エギドナ「それでこそ勇者よ!だが、私も負けないぞ!」
勇者「僧侶、戦士の回復を・・・魔法使いも戦士に援護を」
勇者「後は・・・全員、僕に続け!」
その後は、勇者の攻撃、戦士の魔法剣を起点に、いつもの戦い方展開し、勇者たちが勝利を収めた
エギドナ「・・・さすが勇者よ、さぁ、今度こそ止めを刺すんだ」
勇者「すまない、エギドナ、君にはつらい思いをさせたようだ、せめて安らかに眠れ」
勇者が雷撃剣にて止めを指し、エギドナは光の魔力に分解され天へと昇って行った
勇者「ふぅ・・・終わった」
戦士「だな」
武道家「・・・あ、あの、みんなありがとう」
勇者「武道家、おかえり」ニコッ
武道家「あ、うん・・・」
その後、武道家をパーティに加え、闘都の魔族による支配を明らかにし、王都への連絡をすませた。
また、これまでの経緯、および、精霊武具が戻った時に勇者が強くなった理由などを説明した
勇者「・・・というわけなんだ」
戦士「なるほど、そういうことか、お前が弱くなってたの」
勇者「あ、やっぱり弱くなってると思ってた?」
戦士「あ、いや、その・・・すまん」
勇者「謝らないでよ、その通りなんだ、弱い魔物だったら全然平気を装えるんだけど、あそこまで強いのが相手だとね」
僧侶「気付かなかった。具体的にはどんな感じ?」
勇者「僕、兜、鎧、盾、剣に力を5個に分けて封印させたんだよ、僕の力が強いままだと魔王復活が早まりそうだからね」
盗賊「なるほどねぇ・・・」
勇者「だから、僕が今回の旅で戦いで使っている力は、10年前の戦いが終わってから修業で身に着けた力なんだ」
戦士「それだけでも十分だとは思うが・・・・」
武道家「で、とりあえず、勇者の力を戻さないといけないわけでしょ、じゃあ兜以外のほかは宛てあるのかな?」
戦士「ないな」
勇者「うーん・・・でも何となくの方向性はわかるかな、マリアンヌが戻ったことで」
武道家「とりあえず、今日は寝ようか、いろいろあって疲れちゃった」
勇者(マリアンヌ・・・他の武具はどこに?)
マリアンヌ(主殿、それはお答えしかねます。正確にはわからないのと、教えるわけにはいきません)
勇者(そうか・・・まぁでも引かれあうのは間違いなさそうだ・・・)
----------------------------次の日--------------------------------------------
戦士「さて・・・じゃあ、精霊武具の前に次は商人のところ行くか」
僧侶「商人に聞けば、精霊武具のほかも手掛かりあるかも?」
魔法使い「さすがにそういうのは詳しそうよね、本職だし」
勇者「商人元気かな?」
盗賊「元気だろうよ、あいつは。ただ、同行してくれるかがわからんな」
武道家「そうだね、前も誘ったのに、来てくれなかったもんね」
戦士「うーん、商人は戦闘能力的にはそんなでもないが、いろいろな知識とかあって助かるんだけどな」
勇者「まぁ会ってみればわかるさ」
魔法使い「商人はヘイゼルバーグだよね、転移魔法でいけるよ、もう行っちゃう?」
勇者「うーん、任せるよ。どっちにしろ、海路を使わないといけないしね」
魔法使い「よし、お任せ~」
武道家「・・・あの転移魔法・・・苦手なんだよな・・・酔う」
------------------------商業の街 ヘイゼルバーグ-----------------------------------------
魔法使い「ってことで到着!」
武道家「早っ・・・って、うぷ、酔った」
僧侶「商人はどこかなぁ?なんかお店やってるとかって」
盗賊「あれ?何も知らねぇの?」
戦士「ん?」
盗賊「なんだ、お前らマジで知らねぇのかよ、お店やってるとかのレベルじゃねぇよ、あれ」
勇者「どういうことだ?っていうか商人どこにいるのか知ってるんだよね?」
盗賊は黙って後ろにあるひときわ大きい建物を指さした
盗賊「・・・あれ。商人の店。っていうか家?」
僧侶「お、おっきいねぇ・・・」
戦士「お店・・・じゃねぇよな?城?」
武道家「・・・はぁすっきりした。商人はね、今この町の総元締めやってんのよ」
戦士「は?すげぇじゃん」
勇者「ってことは実質この町の町長?」
武道家「実質も何も・・・普通に町長だよ、それどころか、全世界商人協会の会長」
魔法使い「相変わらずアクドイ儲け方してるんだろーなぁ・・・研究費まかなってほしいわ」
勇者「と、とにかく、会いに行ってみようか」
盗賊「アポなしですぐに会ってくれるとは思えんけどな」
戦士「え?昔の仲間の俺達・・・っていうか勇者でもか?」
武道家「勇者を名乗って商人に口きいてもらおうなんて輩もいると思うけどねぇ」
勇者「とにかく、行ってみようか・・・・」
-------------------------------商人の家------------------------------------------
勇者「こんにちわ!商人いますか」
執事「どちら様でしょう」
勇者「僕は勇者といいます、商人に会いたいんですけど、いますか?」
執事「勇者様・・・っと、それを証明できるものはありますか?」
勇者「えっと、王様からの書簡じゃだめかな?」
執事「それが本物である証明は?」
戦士「いいから商人に会わせてくれないか?昔の仲間っていえば通じると思うんだが」
執事「商人様に会いたいのであれば、アポイントを取ってください。今からですと・・・・1か月後ですね」
魔法使い「そんな!そんなに待てるわけないじゃない!」
盗賊「やっぱりこうなるよな」
武道家「前来た時と同じだね、あいつ立場あるだろうけど、付き合いが悪いよね」
僧侶「何とかなりませんか・・・」
執事「それと、商人様は今はご在宅ではありません。今現在は、西の大海で航海中であります」
勇者「それって具体的にどこらへんかわかりますか?もし行けるなら行きたいんですけどいいですか?」
執事「商人様のお仕事の邪魔をなさらないなら構いませんが・・・・会ってくださるとは限りません」
戦士「いいから場所を教えてくれ」
執事「場所は正確には分かりません。ですが、目的は機械公国との貿易ですので、そこの海域にいらっしゃると思います」
魔法使い「ありがと!」
------------------------------------------------------------------------------------
盗賊「ありがと!って言って出てきたものの・・・正直どうするんだ?」
魔法使い「うーん、だよね、でも、あそこにあれ以上いても埒が明かないと思って・・・
僧侶「流石に船だと・・・行きようがない気がするんだけどね」
戦士「機械公国まで転移魔法で行って船出してもらうっていうのが一番早いんじゃないか?」
武道家「うーん、船、出してくれるかな?そもそも、王都、魔法工国側に身を置いている私たちでは入国も難しくない?」
僧侶「それは王様からの書簡で大丈夫じゃないかなぁと思うんだけど、でも行きようがないよね、やっぱり」
勇者「とりあえず、機械公国まで行ってから考えよう、何とかなると思うし」
戦士「おっ?なんか勇者に策ありか」
勇者「マリアンヌが戻ったことで、使えなかった僕の力の中で便利なのが使えるようになったんだよ」
盗賊「なんだ、そりゃ?」
勇者「昔の戦いでは結構使っていたんだけどね・・・さすがにうまく使えるかなぁっていう感じだけど」
僧侶「具体的には?」
勇者「成功するかも分からないし、期待させちゃいけないからまた後でね。ああいう力はめちゃくちゃ疲れるから使わないならそれに越したことないし」
魔法使い「よくわからないけど、機械公国までいけばいいのかな?」
勇者「うん、きっとなんとかなるよ、僕の勘では・・・」
魔法使い「ま、いっか、行くよ・・・」
武道家「ちょ、ちょっと待って」
盗賊「・・・可哀想だけど、しゃあない、まぁ慣れろや」
武道家「あんた、自分の嫁に冷たくない?」
盗賊「まぁまぁ」
勇者「大丈夫、武道家?行けるなら行きたいんだけど・・・」
武道家「あーあたしに気にしないで。行こうよ・・・少し休めば大丈夫だから」
勇者「転移する前に、ちゃんと闘いの準備はしようね」
戦士「どういうこった?」
勇者「僕の勘では、すぐに・・・明日にでも商人に会えると思う。でもまずは船をゲット。それは変わらないよ」
僧侶「じゃあ・・・」
勇者「だけど、多分、何かにと戦うことになると思うんだ」
魔法使い「この大人数だとちょっと疲れるから元気なうちに行きたいんだけど
武道家「うん、大丈夫、行こう
魔法使い「じゃ、行くよ!転移!!!」
勇者(この感じは・・・きっとまた彼らに会える、すぐに・・・)
--------------------機械公国------------------------------
戦士「っと・・・うへぇ、油くせぇ・・・何回来てもよ、俺にはここは合わねぇ」
盗賊「戦士の里は自然豊かだからな」
武道家「食事もここより旨いしね」
戦士「おう!旨いもん食ってる方が体の動きもいいしな・・・」
僧侶「勇者、これからどうするの?」
戦士「って話聞け!ま、いいけど」
勇者「うーん、そんな何かする時間はないと思う、1日中には船かなんかを調達しないと」
魔法使い「借りられる?」
盗賊「ま、無理だろうな・・・魔王の脅威が全世界の人間が意識してれば別だが・・・ってことはここは俺の出番だろ?」
武道家「・・・はぁ、またか」頭を抱える
僧侶「盗賊・・盗むんですか?」
盗賊「いや、盗むだけが俺の特技じゃない。それに盗んだら俺達で船を動かすのは骨だ。そこで・・・・」
・・・・
魔法使い「ふむふむ、なるほど、要するに、情報を操作して、なんかの船が商人のところに行くようにすると」
僧侶「それに紛れ込まさせてもらうってことかな」
勇者「僕らは役に立ちそうにないな、盗賊任せて構わないか?」
盗賊「任せとけ。ここは軍事国家だ、情報の一つや二つ転がってるだろうし、それを操作するのもわけないだろう」
武道家「一緒に行こうか?」
盗賊「大丈夫だって、一人の方が身軽だし。近々戦闘になるの分かってるんだから、皆はゆっくり休んどけって」
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