モバP「留美ィ!結婚しろオォ!!」ギュッ (102)

留美「ありがとう。でも嫌、邪魔だから離れて」

P「アイェェェェ!?ナンデ!?ナンデ?!」

留美「そろそろレッスンの時間なのよ…送迎はいいわ、もうタクシー呼んじゃってるし。P君もお仕事、あるんでしょ?」

ガチャッ

P「」

ちひろ「あちゃー……見事に玉砕でしたね」

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P「…出会った時からすごくいい感じだった筈なんですよ……」

ちひろ「はぁ」

P「『信頼してるわ』とか『もっと早くに出会えていたら』とか……」

ちひろ「はぁ」

P「『P君に祝福してもらえるなら、いい日』とか……なのに…」グスッ

ちひろ「普通に抱きついたのがダメだったんじゃないですか?」

P「”大胆に逝け”ってこの本に書いてあったんで…実行したら文字通り逝ったわけですけど……」

〔キャリアウーマンのおとし方〕

ちひろ「うわぁ」

P「ダメかぁ……”嫌よ”って言われたし」

ちひろ「まだ諦めるには早いと思いますよ!頑張ってください、応援してますから!」

P「ちひろさん…!」

ちひろ「そんな貴方に次の活力!スタドリ一本90円、で5本セットの400円!!」

P「買った!」





留美(…………)

P『結婚しろ!』

留美「………ふふっ」クスッ

P「うおぉおぉぉスタドリチャァァァァァジ!!」ゴクゴク

ちひろ「プロデューサーさんが…本来の力を取り戻していく……!」

P「留美ィ!」

留美「何かしら」

P「結婚しろ!いや、してください!!」

ちひろ「決まりましたっ!伝家の宝刀、土下座だーーー!見苦しい!」

留美「お断りするわ」

P「アイェェェェ!!!!」ズシャァッ





ちひろ「……」

P「土下座はダメか…ふむ」


留美「……」

P「そこな美人のお姉さん」

留美「…なにかしら?」

P「最近、仕事ばかりで疲れてるんじゃあ、ないか?」

留美「そうでもないわ。アイドル、という仕事も充実しているの」

P「ですよね」

留美「いつものP君なら駆け出しの私の勢いに歯止めをかけるような事を言わないのに…ちゃんと私のことを見ているの?」

P「それはもう舐め回すようにじっくりと」

留美「…どこを見ているの?」




ちひろ「うわぁ」

P「バッドコミュニケーションか……おかしいな」


P「そうだ、結婚しないか?」

留美「…」ズズ

P「その珈琲美味しそうですね、無視しないでくれよ」

留美「何度も言う通り、お断りよ」

P「最初の頃はそれっぽい事言ってたじゃないか…」

留美「……そうね」

P「じゃあ…!」

留美「お断りって言ってるでしょう」

P「何故だ…」

留美「さぁ…心変わりしたのかも」

P「」


留美「冗談よ」

P「冗談か」

留美「ざっくりと言えばP君のせいなのよね…」フゥ

P「な、ナンダッテー」

留美「……」

P「……え?冗談ですよね?」

留美「じゃあ、撮影があるから…」サッ


P「………俺がなにをしたんだ…」




P「どう思います?」

ちひろ「どうと言われても…」

P「ですよねぇ、困りますよね」

ちひろ「はい」

ちひろ「心当たりが多すぎて」

P「そっち!?」

ちひろ「だって…プロデューサーさんといえばセクハラの代名詞じゃないですか」

P「酷い言い掛かりだ!」

ちひろ「そもそもの話、ロリコンでしょう?」

P「違いますけど!?」

ちひろ「えっ」

P「えー…」

ちひろ「冗談ですよ」

P「また冗談…」

ちひろ「半分くらいは」

P「どの辺がですか」

ちひろ「私から言えるのは、留美さんは決してプロデューサーさんの事を嫌いというわけではないと言う事だけです」

P「なんですと」

ちひろ「多分アレですよ、距離が近すぎるんじゃないですかね?」

P「確かに、最近の俺はガッツリ系Pだったからなぁ」

ちひろ「なんとなくヘタレ系Pとか見てみたい気がしますね。あ、デフォでしたね」プークスクス

P「へ、へへヘタレちゃうわ!」

ちひろ「とりあえず私からは、一旦距離を置く事をお勧めしますよ?」

P「…考えてみます」




留美「……」スタスタ

P「……ん?」バッタリ

留美「…申し訳ないのだけど、私にその気は……」

P「悪い、ちょっと仕事があるんだ」スタスタ

留美(……あら?)


留美「……」

P「おっと…」スタスタ


留美「………」

P「あれ?書類忘れたかな」スタスタ


留美「…………」

P「トイレトイ……レはあっちだったかな」スタスタ




留美「……なんだか、避けられているような気がするの」

ちひろ「はぁ…」

ちひろ(またか……)


留美「……何があったのかしら」

ちひろ「ま、まぁプロデューサーさんも忙しいですから」ハハ

留美「昨日まで”結婚”のワードを会う度にぶつけられていたのよ?」

ちひろ「断ってたなら寧ろ好都合じゃ…」

留美「仕方ないじゃない…だって」

ちひろ「へ?」






P「あー終わった終わった。帰ってビールでも開けてツマミでも」

留美「……」

P「仕事しないと…ふぅ」

留美「…終わったんじゃないの?」

P「え?あー、忘れてたんだよ、ははは」

留美「…そう」

P「えーと予定は」

留美「P君、話が…」

P「悪いな、また今度で頼む」タッ

留美「あ…」






P「おはようございまーす」

ちひろ「おはようございます。プロデューサーさん、社長からお電話ですよ」

P「え?なんだろ…」

ちひろ「何かやらかしたんですか?辞表の準備は大丈夫ですか?」

P「なんでそう悪い方に取るんですかねぇ…と言いつつ内心ビクビクだけど。職員室に呼ばれる学生の気分ですよ……もしもし」

『…………』

P「……はい?」

留美「おはようございます」

ちひろ「おはようございますー」

P「っとと、わかりました。考えておきます……はい?い、いえまだ行くと決めたわけではないので…はい、わかりました。確認しておきます、ありがとうございます」ガチャ

ちひろ「何か用事だったんですか?やけに長いお電話でしたけど」

P「あ、まぁちょっと。今手が離せないんだけど…」チラッ

留美「…」ピクッ

P「仕方ないか。ちひろさん、ちょっとこれお願」

留美「郵便ポストね?見てくるわ」

P「えっ」

留美「今ポストを見たわ、P君宛に何か届いているんでしょう?」

P「あ、あぁ」

ちひろ「よく見てますね…」

留美「元秘書だもの。仕事中の一挙一動見逃さないのが癖になってたのね」

P「いや、その」

留美「取りにいってあげる、忙しいでしょう?」ニッコリ



P「……まいったなぁ」

ちひろ「見られたらまずい物でも届いてるんですか、そうですか」ジロッ

P「そういう意味じゃないんですけど…うーん」





留美「電気代に水道代の請求書…P君宛ては……これね?」

留美「P君、この封筒よね」

P「あ、あぁ。ありがとう」ササッ

ちひろ「何が届いたんです?」

P「なんでもないですよ」

留美「……ところで、私に手伝える仕事はあるかしら?」

P「え?いや、ない、ぞ?うん、ほら、休憩室で休んでなさい」

留美「…何で子供に言い聞かせる感じなのかしら」

P「いや、大丈夫だから…うん」

留美「事務仕事くらいはできるわ」

P「大丈夫だって、な?」

留美「……私の事、避けてないかしら」

P「気ぬぉせいだろっ」

留美「ふぅん…あくまでそうするつもりなのね。この前までは求婚の嵐だったのに」

P「それは…その」

留美「私の事、ちゃんと見てなさいって言ったじゃない…」

P「あ、あんまり迷惑を掛けるわけにもいかないだろ?俺なんかに告られて和久井も嫌がっていたしさ…ちひろさんに騙されちまったよ」ハハ

ちひろ「プロデューサーさんそれは誤か」

留美「和久、井…」サァッ

pipipipipipi

P「悪い、電話が……もしもし」

留美「……」

P「ハイ、届いておりました。はい、はい……え?765の先輩も来るんですか!?マジ…いや、本当ですか……はぁ、あの人も大変ですからね。分かりました、今日の夜にでも答えを出します。失礼します」

ちひろ(一体何の電話なのかしら……765…仕方ない”あの人”に接触するか…)

P「っと、営業行ってきます!」

ガタッ

ピラッ

P「あ」

留美「航空券…かしら?」

ちひろ(飛行機?)

P「な、なんでもないんだ。なんでも!」ババッ

留美「F、と書いていたわね。ファーストクラス……?一体何処に行くつもりなの?」

P「それは、はは…まぁ……そうだ!今から行く営業先の近くに美味しいプリン専門店があるんだ、買ってきてやるよ。それじゃ」タタッ

留美「あ…!」



ちひろ「よしっ、定時定時~っ」ガタッ

ちひろ(プロデューサーさんはとうとう帰ってこなかった…つまり帰って来づらい状況という事実ッ!これはこれは深い事情がありそうだぜ!)

留美「待ってください」

ちひろ「ちひっ!?」ドキィッ

留美「調べに、行くんでしょう?」

ちひろ「な、ななななんのことやら…?」ガタガタ

留美「連れて行って、くれるわよね?」ニッコリ

ちひろ「ひぃぃぃぃぃ…」





ちひろ「………」

留美「……どこに向かってるのかしら。やたら犯罪臭のしそうな路地に入って来たけれど」

ちひろ「いいですか。私はこれから、”とある人物”と接触をします。決して本名を明かしてはいけません」

留美「…わかったわ」クスッ

ちひろ「…なんだか楽しそうですね」

留美「いえ…前職を思い出しただけ。こうしてサングラスを掛けて潜入みたいな事をする事も……なんとなく懐かしいの」

ちひろ(前職が気になるところですが…ハッ!)

ちひろ「危ないっ!」バッ

留美「…………ッッ!!?」サッ



「……よくかわしたわね。そっちのコも」


ちひろ「…相変わらず、舐めた挨拶ですね…『リトルバード』……!!」

留美(『リトルバード』…?)


「フフ…水鉄砲はお好きでしょ?『ドリンク』さん」ニヤリ

ちひろ「…まぁいいでしょう。今日は聞きたい事があって貴女を呼びました」

「それはいいけど……第三者を呼ぶのは盟約違反じゃない?」

ちひろ「これは……その」

留美「……」タッ!

「……ッ、早いっっ!?」バシッ!!

留美「甘いわ」ギリギリ

「く……っ」

留美「質問に、答えなさい」

「質問……?フフ、『ドリンク』さん?私との関わりを今後一切断つつもりなのかしら…ッ?あっ!いたたたたた、腰がっ、いたーい!」

ちひろ「そういうつもりでは無いの……留美さん!放してあげて!」

留美「……」

イラッシャーセー!


「うぅ…腰が……」グスッ

留美「ごめんなさい…」

ちひろ「あはは…、でもお互いに素性を明かす事ができ無いのは事実ですから」ハハ

留美「そうなの…」

「はぁ、ヤケ酒でも飲ま無いとやってられない世の中だもの……こうしてお互いに傷を舐め合…情報交換をしたり、物資の受け渡しをする仲なの」

留美「…お詫びにはなら無いかもしれないけれど、今日のお会計は私が持つわ」

「本当ですか!?よっしゃー!ガンガン持って来いやーー!!」

ちひろ「すいません、ありがとうございます」

留美「いいのよ」クスッ

「というかさっきの身のこなし……SPでもやってるんですか?」

留美「前職か、前々職がそんな感じだったかしら」

ちひろ(ますます和久井留美という人物像があやふやになってきました)

「それで、質問って?」

ちひろ「765プロの、プロデューサーについて1つ」

「……奇遇ね。私も貴方に確認したい事があったのよ」

ちひろ「……偶然じゃ、ない」

「えぇ…そうかもね」ピラッ

ちひろ「それは…!」


【新人プロデューサー候補生募集、並びに海外研修のご案内(現役・新人共に募集)】


「うちのプロ……765のプロデューサーの机から見つけたわ。航空券らしきものも見かけた」

ちひろ「くっ…、やはりそうでしたか!!」ガタンッ

「落ち着きなさい『ドリンク』。これはもう、私達の手に余る問題よ」

ちひろ「分かって、ます……けど」

留美「……その募集は、どこからなの?」

「961プロ、よ。有能なプロデューサーのヘッドハンティングを全国的に行っているみたい。最初に怪しい封筒を千は………ウチのエージェントが765のプロデューサーの自宅ポストにて発見しているわ」

留美「封筒…それはやはり、黒い封筒に宛名の紙が貼り付けてある……?」

「えぇ。765のプロデューサーも揺らいでるところがあるみたいでね、千早ちゃ……エージェントが彼の自宅パソコンのメールや検索履歴からもその形跡を発見している」

留美「……」

「私達にはどうすることもできないわ。これは彼等自身の選択に委ねられているのだから」






.




P「…………はぁ」

留美「……」

P「おっと……仕事仕事」スタスタ

留美「……っ」

ちひろ「……ぷ、プロデューサーさん!」

P「はい?」

ちひろ「…や、辞めたりしません。よね?」

P「何をですかね」

ちひろ「その、うちの事務所を……」

P「ハァ?やめて欲しいんですか?」

ちひろ「そういうわけじゃないです!けど…」

留美「此の期に及んで嘘なんて…見損なったわ」

P「は?」

留美「私達は全て知ってるのよ。…あの航空券の正体を!」

ちひろ「っ」

P「!」

留美「……」

P「…社長に、貰ったんだ。俺がレベルアップする為に、必要なものだからって……」

留美「成長しても…ここに居ないんじゃ、意味ないじゃない……!」

P「…俺はまだ、倒れるわけにはいかないんだ。まだ、まだやれる事がある……!!」

留美「へぇ、そう。結局私を…私達の事は手放すのね?」

P「大袈裟だな…そういうわけじゃないだろ?」

留美「どう違うの?私に第二の人生を歩ませたのはP君なのよ…?私だけじゃない、他のアイドル達だって同じ事!」

P「お、おいおい……そうだ!そんなに言うなら、和久井も来るか?」


パァンッ!!

留美「……」

P「…」

留美「私は、ここから離れるつもりなんてないわ。……さようならP君。そんな人だなんて思わなかった」スタスタ

ガチャッ


P「一体なんなんだ……俺が何をしたってんだよ…」

ちひろ「……」スタスタ

P「ちひろさん?」

ちひろ「……今まで、ありがとうございました。さようなら」

ガチャッ


P「……なんなんだよ」



P「……酷い目にあったんです。よりによって出発前に」

「ハハ…奇遇だな、俺もだ」

P「先輩もですか?」

「俺の後ろっていうか、助手席の後ろ見てみろよ」

P「えぇ…?俺今運転してるんですけど…」チラッ


P(……………)


P「俺の見間違いじゃなければいつのまにかロングヘアでスリムな女の子が乗り込んでるような気がするんですけどどういう事で…ヒィッ、違います悪口じゃないです!睨まないで!!」

「……ウチのアイドルだよ。帰ったら家に居たんだ…俺の航空券を手に握ってな」

P「そちらの社長は…?」

「何とビックリ。すでに社長からチケット代をせしめて旅行の準備までバッチリときた。……他のアイドルからの視線が突き刺さりまくったよ…特に伊お」

ガシッ!!

P「ひゃぁぁ!先輩の首が!!」

「ちょっ、くる、苦じ……千は、や、ギブ、ギブ…キマってる、締まってる……っ!!!」ペシペシ


P「……なんとか落ち着いてくれましたね」

「あぁ…今まで一人でなんでも出来る子と思ってな、放置ぎみになってたらこんな風になってしまってたわけだ。一緒にいる時に他のアイドルの名前は勿論、女性の名前を口にしただけでも怒る。……曰く、そろそろ私だけにかまってくれとの事だ」ナデナデ

P「なるほど…できればそのまま膝の上で甘えさせてあげてください。また暴れられると怖いんで」

「……そうするよ」ナデナデ




留美「……そろそろ、発つのかしら」

ちひろ「…近くに空港ありますよ」

留美「…何を言っているの?私は私の仕事をするだけよ…早く撮影を済ませて帰りましょう。意外と自然と触れ合うのも嫌いじゃないの、近くの木でも眺めながら撮れば……私情は挟まないで済みそうね」

ちひろ「はい……あ、カメラマンさんが呼んでますよ」

留美「えぇ……あら?」

\シャーッ/

「うわぁぁぁ!蛇だ!」

「誰か捕まえろよ!!」

ちひろ「ちょっ!こっち来ますけど!?」




ちひろ「っ!」

留美「危ない!」



ガブッ!!


.



P「何でこんな鬱な気持ちのまま飛行機に乗らなきゃならんのでしょうか。車どうしよ…」

「俺なんか一挙一動に注意しなけりゃいかんのだが。あー違う違う、邪険にしてるわけじゃな痛たたたたた」

P「もうそのままハネムーンにでも行っちゃったらどうです?お似合いですよははは!アーッハッハッハ!!!」

「人の苦労を……お?いいぞ、もっと何か言え。上機嫌になってるっぽい」

P「ハイハイオニアイノカップルデスヨ」

クイクイッ

「あ、そうか。お前のチケットも買ってこなくちゃな。当日券でも大丈夫なのかな……土産屋でも見ててくれ」

P「アハイ」

pipipipipipipipipi

「電話か?」

P「すません、ちょっと」


P(…ちひろさんか?……一体何の用だ、また何か言われんのかなー出たくないなー)

pipipipipipipipipi

P「……」

「……」

pipipipipipipipipipipipi

P「………」ハァ

「いや、出ろよ」

P「あ、はぁ……もしもし」



ちひろ『プロデューサーさん!?プロデューサーさんですか!?』

P「はぁ、まさしく俺ですけど。何か文句でもあるなら、帰ってきた時に聞くんで切っていいですか?発つ前から余計に落ち込みたくないので」


ちひろ『留美さんを助けてください!!!』

P「………………は?」

ちひろ『今、留美さんが、蛇に、それで、』

P「……ちょっと待ってください、今どこですか?」

ちひろ『○○の森公園です!私達が乗ってきたカメラマンさん達の車もパンクしちゃってて!!今留美さんが』

P「すぐ近くか……今、蛇に噛まれたんですね?どこを?」

ちひろ『右の足首ですっ!』

P「迅速に右足を……そうですね、脹脛辺りできつく縛って!そんで傷口から毒を…ああクソ、ちょっと待っててください!あとその蛇絶対逃さないで!!」

pi


「……急用か?」

P「その子に俺のチケットあげるんで、2人で楽しんできてください!」




ちひろ「留美さん、大丈夫ですか!?今、プロデューサーさんが来ますから!!!」

留美「ふ……フフ、来るわけないじゃない」

ちひろ「気をしっかり持ってください!」

留美「…へぇ、蛇に噛まれた痕ってこうなるのね……」

ちひろ「ダメですよ、プロデューサーさんが…」

留美「彼は自分の成長する未来を選んだのよ…今更戻ってなんてこないわ」

ちひろ「早く…プロデューサーさん早く……!」


留美「……こんな事になるなら、最初から彼の気持ちに応えてあげればよかった、わね」

ちひろ「……っ」

留美「P君の事が嫌いなわけじゃなかったの。むしろ……だって私に新しい人生を歩ませてくれたのは彼だもの」

ちひろ「留美さん…」

留美「そっか。ちひろさんに相談したんだものね。知ってて当然……ねぇ。私って、バカだと思う?」

ちひろ「…プロデューサーさんが来たら、一緒に謝らないといけませんね」

留美「……そうね。もし、彼が来てくれるなら…」

ちひろ「留美さん!」






留美「また、一緒に、歩みたい…」




P「一緒に歩んでもらおうじゃねーか!!」



留美「……P、君」


ちひろ「……っ!遅いですよ!」

P「傷口見せろ。セクハラとか言うなよ」

留美「どうして…ここに」

P「和久……留美が蛇に噛まれたって聞いて飛んできたんだよ、クソッ!血は!?腫れてないか!?」

留美「そうじゃなくて……レベルアップに」

P「俺の都合なんか後回しでいい。お前の方が何百倍も大切だからな…………ん?」

留美「…………そう」

P「…………」

ちひろ「……?」

P「……ちひろさん、水持ってきて」

ちひろ「え?はい…」

留美「……P君、何をして」


チューチュー

P「……」チュー

留美「P君っ…傷口っ…吸ってるの……っっ?」

P「……」チューチュー

留美「………んんっ」

P「……」ペッ


ちひろ「毒は?毒はどうなんですか!?もしかして、もう回って…」

留美「……」


P「いや、毒なんて入ってないですよ」


ちひろ・留美「「え」」

P「…噛んだ蛇は?」

ちひろ「逃げました…」

P「どんな色でした?」

ちひろ「えっと……背?というか上の方が青みがかった…」

P「やっぱりか…」

留美「P君…?」

P「お前は青大将に噛まれたんだろうよ。この、穴が2列に何個か並んだ噛み痕が証拠だ」

ちひろ「青大将、ですか?」

P「アオダイショウ。無毒だ」

ちひろ「」

留美「でも、今…」

P「野良蛇は雑菌やら病原菌持ってるかもしれないからな。一応吸い出した」

留美「」

P「毒蛇だと血もべらぼうに出るし痛みも激しい。さて、留美の体調はどうだ?」


ちひろ・留美「「」」

P「でも傷口は洗い流すから水。早よ」

ちひろ「あ、はい…」

P「こんな事なら温泉旅行行けばよかったぜ……」ハァ

ちひろ「温泉……?」

留美「旅行……?」




P「知ってたんでしょう?俺たちが温泉旅行でまったり休暇をとるって計画」



ちひろ「え、いや」

留美「旅行…旅行……?!」

P「楓さんやら他のアイドルが騒ぎ出すから内緒にしようとしてたのに速攻で見破られるし……挙句、唐突に殴られた上に温泉旅行お取り潰し…うわもう辞めたい」


ちひろ「ちょちょ、ちょっと待ってください。じゃあ、ヘッドハンティングの件は……!?」

P「は?……あー961プロのですか?先輩んトコにも来てたみたいですけど速攻断りましたよそりゃ。俺達は自分のアイドル達が大好きですからね、置いて行くわけにもいかんでしょう」

留美「………………」




『此の期に及んで嘘なんて…見損なったわ』

『私は、ここから離れるつもりなんてないわ。……さようならP君。そんな人だなんて思わなかった』



P「留美的には余計なお世話だったかもしれないですけ……ど…………留美?」

留美「……」ズーン

ちひろ「」

P「え何この空気」

留美「P、君…」

P「はい?はいぃぃぃ!?」

留美「ごめ、なさい……っ」ポロポロ

P「何が?何が!?」





P「はぁ、勘違いだったと」

ちひろ「…すみましぇん」

留美「ごめんなさい…」


P「済みませんだごめんなさいだで済むわけねぇだろうがーーーっっ!!!!!」ドドドドドドド

ちひろ「ひぃっ」

留美「…」ビクッ

P「……と言いたいところですが、俺も何も言わなかったのが悪かったですし。ちひろさんと”和久井”はお咎めなしでよかろう」ハァ

留美(また…和久井……)

P「よりによって和久井だもんなぁ…やりにくいったら……」ハァ

留美「……P君っ!」

P「は、はい!?」


留美「もし、もしP君が、まだ、私の事をほんの少しでも好きでいてくれたら……」

P「はぁ…?」

留美「結婚しましぇぅか!?」

P「」

ちひろ(しましぇぅか…)

留美「~~~~っっっっ!!!」カァ

P「え、今の…」

留美「わ、忘れて!忘れなさい!!」

P「……嫌われてると、思ってたけど」

留美「!」

P「だって、何度もお断りされたし、さ?」

留美「……それは、私が、アイドル…だから」ボソッ

P「ん?」

留美「P君が示してくれたアイドルという仕事が……どうしようもなく楽しくて…この楽しさを離したくなくて……でも結婚なんてしてしまったら…………アイドルとしては活動できなくなる、から…」

P「……」

留美「そうして、迷い続けていたら……P君が告白をしてくれて…すごく嬉しかったわ」

P「……」

留美「でも…”アイドル”を手放したく、なくて……君の気持ちを知ってるくせに…最低なのは、私の方で…」グスッ

P「……」ハァ

留美「ごめんなさい、やっぱり、忘れて……?」


P「嫌だ」


留美「」

P「大好きだ。愛してる。超絶愛してる。最悪、生涯独身を貫こうとしたこの気持ちは出会った頃から揺るがない」

留美「……P、君…っ」

P「今でも、好きだ」

留美「今度こそ、逃げない。自分の気持ちから!だって……P君の心が私から離れる事が、アイドルを諦める事より辛いから……!!」

P「留美…」

ちひろ(留美さん…よかった)

P「…さっきは噛んだぞ?」

留美「っ」カァ

P「俺は何度も言ってるからな。今度は留美から言ってくれ、俺はその後に改めて本気で言ってやる。大声でな!」

留美「……えぇ」クスッ


ちひろ(いい話ですね…)グスッ


留美「……言うわよ」スーハースーハー

P「ドンと来い」




留美「私と、結婚、しませんか?」

P「ありがとう。だがまだダメだ」


.


ちひろ(いい話…いい話……いいはな……え?)

留美「」

ちひろ「あいえぇぇーーーーー!?!?」


P「……」


ちひろ「一体どうしたって言うんですかプロデューサーさん!?脳みそ沸いてるんですか!?」

P「黙れチヒロットォ!!何いい顔して聞いてンだよ事の発端の片棒担いでンのを忘れたンですかァ!?」

ちひろ「う……それでもですね!!」

P「うるさい!今いいところなんだから黙ってなさい!」

ちひろ「えー…」


P「…まったく」ハァ

留美「P君……どうして」

P「勘違いしないでくれ。”まだ”ダメなんだ」

留美「どういう…?」

P「第三の人生を送るにはまだ早すぎるとは思わないのか?」

留美「え…」

P「俺のためにアイドルを諦めるな」

留美「…でも、P君が、私から」

P「俺はお前しか見ちゃいない。これからもな!」

留美「…!」

P「……だからさ、待ってる」ニコッ

留美「……待ってて、くれるの?私なんかのために…」

P「おうとも。それに、新人アイドルを楽しむだけじゃ物足りないだろ、このままトップアイドルまで突っ走っちまおうぜ!」

留美「トップアイドル…私が」

P「そんでさ、『もうがんばった、悔いは無い』って引退してから。俺と新しい人生を歩まないか?」

留美「……」

P「それまでは待ってる。ジジイになっても、留美の事を待っててやるよ」

ちひろ「……キザですね」

P「悪いな、性分なんだ」


留美「…っ、P君!」

P「ん」





留美「見てなさい、すぐに迎えに行くわ。私と、後悔なんてさせない人生を歩ませて”魅せる”わ!」






.

終焉


ふと思いつきで書いていくスタイルに無理が生じて来ました。>>1です。
現行スレの方が気掛かりで仕方ありません。
でも現実逃避で書き始めた結婚世界が楽しくて仕方ありません。
あぁぁぁぁ脳髄になんか登ってきた

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