少年「なんで俺の能力はこんなにヘボなんだよォーッ!」(11)

少年「弾の補給には困らねぇけどさ……」

少年は愚痴をこぼしながらリボルバーに弾を込めていく。

少年「……おっと。一個"足りない"」

少年「…………」

少年は無事、六発分の弾をリボルバーに込め終えると、愛銃を持って立ち上がった。

少年「…今日の飯種はレイダー(襲撃者)グループの首と交換か」

少年(どこにやったかな……)

少年は荷物袋の中から依頼書を探り当てると、何度も確認したそれをもう一度、念入りに確認する。

少年(相手は六人……らしいが、自分でよく調べた方がいいよな)



―レイダーの隠れ家

レイダー1「あぁ~暇だぁ」

レイダー2「女はどうしたっけぇ?」

少年(外の見張りは二人か……?)

レイダー1「この前バラしただろう」

レイダー2「あ~! そうかぁ! ちくしょう、まだとっとけばよかったなぁ」

レイダー1「また攫いに行けばいいだろ」

少年(相手もこいつらで間違いなさそうだな……)

少年(俺が通りかかる前に村を襲うなんて、馬鹿な奴らだ)

少年(さて……、どう片付けるかな……)

少年は自分の右側の腰に手をのばす、そこには少し大きめのナイフが掛かっている。

少年(喉を斬るのが一番いいが、相手が二人いるのが気に入らない…)

レイダー2「そろそろ交代の時間だろぉ?」

レイダー1「あぁ、そういやそうかもな」

レイダー2「代わりを呼んでくる」

少年(しめた…!)

隠れ家の入り口は少し盛り上がった丘のようになっている。

そこから下に洞窟が続いている。レイダーの一人はその中に消えた。

少年(……ナイフ)

少年はジリジリと残った見張りに近づいていく。隠れ家の周りはカモフラージュの為か木々で覆われていた。

カモフラージュを逆に活用した少年は、上手くレイダーの傍に辿り着いた。

レイダー「!! ……」

少年(……良し)

少年(残りは五人の筈だな)



レイダー2「おぉい、そろそろ交代の時間じゃないのか」

レイダー3「もうそんな時間か……おい、起きろ」

レイダー4「ううん……」

少年(…………)

少年(新しい見張り達は外に向かったか……。死体が見つかる前には片をつけないとな)

レイダー2「あぁ~……」

先程外から戻ってきたレイダーは今まで持っていた武器――非能力者は大抵の場合、少年のように銃を武器としている――を地面に置くと、その場に寝転ぶ。

少年(次はこいつだ……)

今レイダーがいる場所は、洞窟の入り口から真っ直ぐ続く通路の先で最初にあたる部屋だ。

少年はそこから少し前にある、通路の脇の小さなくぼみに潜んでいた。

少年(…………)

少年は足音をたてないように近づいていく。

レイダー2「……ん?」

再びナイフを血に濡らした少年は、レイダーの衣服で血糊を拭き取ると奥に進んだ。

少年(…………)

少年はしまっていた爆弾のスイッチを手に持ち、一度見下ろした。

洞窟の先に都合の良い部屋を発見し、中に滑り込む。無人の食料庫だ。

外から少しくもぐった爆発音が少年の場所まで届いた。

少年(…………高い出費だ。まぁ、こいつらの装備を売ればチャラくらいにはなるかな)

少年(あと二人……そいつはこのリボルバーで片す)

しばらくして、一人分の足音が近づいてきた。

少年(……)

相手は外に向かって走り去る。先程の爆発音の正体を確かめにいったのだろう。

少年は少し遅れて後を追った。

レイダー5「……やっぱり外からか?」

場所は少し前に最初の見張りの片割れを倒した部屋と、少年が身を潜めていた食料庫の中間に位置する広間だ。

発砲音が響く。

少年(後一人――)

その直後、少年の背後で何かが炸裂した。

訳も分からぬまま地面を転がされる。

少年が素早く物陰に飛び込むと、間髪いれずにそこへ何かがうちこまれた。

木の箱がはじけとぶ。少年は曲がり角に逃げ込む。

能力者「なんだぁー? ……うまく撃てねぇなぁ……」

少年(衝撃波を飛ばす能力か……?)

少年(能力者がいるなんて聞いてないぞ! ……だが、とりあえず倒すしか無い……)

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