勇者「伝説の剣が抜けないので、抜くことにした」(26)

<山頂>

勇者(やっとたどり着いた……)

勇者(この山頂に刺さっている伝説の剣を引き抜いて、魔王を倒す!)



勇者「よぉ~し、抜くぞぉ~!」ガシッ

勇者「ふんっ!」グッ…

勇者「……あれ!?」

勇者「おっかしいなぁ……勇者なら抜けるはずなのに……」

勇者「ふんっ!」グッ…

勇者「ぬんっ!」グッ…

勇者「ぐぬうっ!」グッ…



勇者「ダ、ダメだぁ……」ハァ…ハァ…

勇者「ぐおおっ!」グッ…



勇者「そおりゃっ!」グッ…



勇者「でいやぁっ!」グッ…



勇者「ちくしょう、ビクともしない……なんで!?」

勇者「これ以上やると、魔王と戦う前にぎっくり腰になっちまうよ……」

勇者「こうなったら仕方ない……」ヌギ…



ポロン…



勇者「伝説の剣が抜けないのなら、抜くことにしよう」

勇者(しっかし、さすがに剣じゃオカズにならんよなぁ)シコシコ…

勇者(よぉし、魔王にさらわれた美しい姫のことを妄想しよう!)シコシコ…

勇者(姫……姫……ああっ、姫っ……!)シコシコ…

勇者(姫ぇぇぇ! なんとお美しい!)シコシコシコシコ…

勇者「姫ぇぇぇぇぇっ!」ビュルルルルルッ

勇者「ああっ、あっ、あああっ!」ビクッビクッ

二日目──

勇者「よし、今日は魔王に凌辱されてる姫を妄想しよう」シコシコ…

勇者(魔王……なんてことを!)シコシコ…

勇者(魔王、やめろぉぉぉぉぉっ! 姫になんてことをっ!)シコシコ…

勇者(やめろっ! ああ、姫、なんというお姿に……!)シコシコシコシコ…

勇者「やめろぉぉぉぉぉっ!」ビュルルルルルッ

勇者「ふうっ……」ビクッビクッ

三日目──

勇者「姫っ、姫っ、姫ぇぇぇっ!」シコシコ…

勇者「姫っ、だめぇっ、姫っ、らめぇっ!」シコシコ…

勇者「そっ、そんなっ! 姫ぇぇぇぇぇっ!」シコシコシコシコ…

勇者「うおおおおおっ!」ビュルルルルルッ

勇者「……」

勇者(マズイな……美人は三日で飽きる、なんていうけど)

勇者(姫に飽きてきたぞ……しょせん妄想だしな)

四日目──

勇者「今日は……ちょっとチャレンジしてみるか!」

勇者「剣っ……! 剣っ……! 伝説の剣っ……!」シコシコ…

勇者「ムリだ。さすがにこりゃキツイわ」

勇者「だったら擬人化してみよう!」

勇者(剣子ちゃん……剣子ちゃん……剣子ちゃぁぁぁんっ!)シコシコ…

勇者「剣子ぉぉぉぉぉっ!」ビュルルルルルッ

勇者「おお、イケるぞ! これ!」

五日目──

勇者「剣子っ……剣子っ……!」シコシコ…

勇者「やめろっ……そんなっ……! そんなもんで挿されたら……!」シコシコ…

勇者「だめぇぇぇっ!」シコシコ…

勇者「剣子、よせぇぇぇぇぇっ!」シコシコシコシコ…

勇者「ソォォォド・オヴ・レジェンドォォォォォ!」ビュルルルルルッ

勇者「……」

勇者(う~ん、擬人化もオレのデザインセンスがないせいか早くも飽きてきたな)

六日目──

勇者「今日はどうしよう?」

勇者「剣そのもので抜くのはムリだ。やっぱりレベルが高すぎる。だったら──」

勇者(剣を男性器、山を女性器に見立てれば……)シコシコ…

勇者(うん……こりゃいい!)シコシコ…

勇者「あんだけ引っぱっても抜けないなんて、どんだけキツキツやね~ん」シコシコシコシコ…

勇者「きっつぅぅぅぅぅぅ!」ビュルルルルルッ

勇者(うん……いい!)ビクビクッ

七日目──

勇者(今日も昨日と同じような妄想をして抜くとするか)シコシコ…

勇者「剣と……山っ! 剣と……山っ!」シコシコ…

勇者「剣山っ! 剣山っ……! 剣山んん……!」シコシコ…

勇者「けぇぇんざぁぁぁぁぁんっ!」シコシコシコシコ…

勇者「あぁぁぁぁぁぁんっ!」ビュルルルルルッ

勇者「……」

勇者「待てよ……? 剣ってよくよく見てみると──」

八日目──

勇者(剣って……美しい女の脚にも見えるよな!)

勇者(うん、絶対見える!)

勇者(なんて美しい脚だ……!)シコシコ…

勇者(こんな脚に踏まれたり、蹴られたりしたら、最高だろうなぁ……)シコシコ…

勇者「ああっ……そんなっ! もっと踏んでっ……! 踏みにじってぇ!」シコシコ…

勇者「蹴り上げてぇぇぇぇぇっ!」シコシコシコシコ…

勇者「ありがとぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」ビュルルルルルッ

勇者「……」ハァ…ハァ…

九日目──

勇者「もう……蹴られたり踏まれたりしなくてもいいっ……!」シコシコ…

勇者「この美しいおみ足を眺めているだけで」シコシコ…

勇者「俺の性的興奮はっ! マックスにまで高められるっ!」シコシコ…

勇者「この世のどんな女よりっ!」シコシコ…

勇者「この脚はエロスッ!」シコシコシコシコ…

勇者「しあわせぇぇぇぇぇっ!」ビュルルルルルッ

十日目──

勇者(ついに恐れていたことが起こってしまった)

勇者(俺は今、伝説の剣を眺めている。いつものように何かに見立てることなく)

勇者(にもかかわらず──性的興奮を覚えている!)

勇者「剣っ……! 剣っ……! 伝説の剣っ……!」シコシコ…

勇者「その古びた柄、きらめく刃、突き刺さり方、なにもかもが素晴らしい!」シコシコ…

勇者「剣っ! 剣っ! 剣っ! けぇぇぇぇんっ!」シコシコシコシコ…

勇者「伝説の剣っ!」ビュルルルルルッ

勇者「ああっ……ああっ……!」ビクッビクッ

勇者「……ついに、ついにやってしまった」

勇者「剣をオカズに自慰行為!」

勇者(しかし……背徳感はない。むしろ清々しい気分だ)

すると──



ズボォッ!!!



勇者「伝説の剣が……ひとりでに抜けた!?」

勇者「あれだけ引っぱっても、抜けなかったのに……!」

勇者「そうか、やっと分かった……!」

勇者「“伝説の剣を抜く方法”は“伝説の剣で抜くこと”だったのか!」

伝説の剣『んなワケねーだろォ! このオナ猿がァ!』ブオンッ

勇者「わわっ!?」

伝説の剣『テメェがオレを引き抜けなかったのはなァ!』

伝説の剣『単純にレベルが足りなかっただけだァ!』ブンブンッ

勇者「ひいいっ!」

伝説の剣『なのにテメェと来たら……修行するどころかオナニーしかしねェ!』ブオンッ

勇者「あぶねっ!」

伝説の剣『しかもオレをオカズにするとか……ヘンタイの極みもいいところだァ!』ブンッ

伝説の剣『ブチキレて、ひとりでに抜けたくもなるってもんよォ!』ブンブンッ

勇者「や、やめろって! 当たったらどうすんだ!」

伝説の剣『うるせェ!』ブオッ

勇者「ま、まぁ、いいじゃんか……結果的に抜けたんだから」

伝説の剣『よくねェッ!』ブオンッ

勇者「うおっ!」

伝説の剣『まぁいい……こうなったらとっとと魔王ブッ倒すぞ!』

伝説の剣『テメェみたいなヘンタイに長く使われたくねェしな!』

勇者「わ、分かったよ……」

勇者「ところで、一つだけ頼みがあるんだが」

伝説の剣『あ? なんだよ』

勇者「旅を再開する前にもう一回……アンタで抜いていい?」

伝説の剣『去勢されてェのか?』ギラッ

勇者「ごめんなさい」

……

…………

<魔王城>

ザシュッ!

最高幹部「ぐぎゃぁぁぁ……!」ボシュゥゥゥ…



勇者「どうやら今のが、魔王軍のNo.2だったみたいだ」

伝説の剣『ってことは、この先の部屋にいるのが魔王だな!』

勇者「扉を叩き切って、なだれ込むぞ!」ダッ

伝説の剣『オウよ!』

ズバンッ!

バシィッ! ベシィッ! ビシィッ!



姫「こうですか? こうですか?」ヒュバッ

バチィンッ!

魔王「あああああ~~~~っ! いいいい~~~~~~~~~~っ!」

魔王「もっと強く! もっと強くお願いしますぅぅぅぅぅ!」

姫「もっと強く……? 私の力じゃとても……」ハァ…ハァ…





勇者「……」

伝説の剣『……』

勇者「姫……なにをしてらっしゃるので……?」

姫「あら、勇者様! 実は──」



魔王『勇者がなかなか攻めてこんから、ワシを責めてくれんか?』



姫「──とお願いされまして……。だからムチを振るって……」

勇者「はぁ……」

伝説の剣『ったく、どいつもこいつも……!』イライラ…

伝説の剣『もう怒った!』

伝説の剣『魔王! テメェはオレ直々に責め上げてやらァ!』ザシュッドシュッ

伝説の剣『楽には殺さねェぞ!』ドシュッズバッ

魔王「ぐおおおお~~~~~! ありがとうございます、ありがとうございます!」



勇者「──ってことは」ポロン…

勇者「俺は姫で抜けばいいんだな! やっぱり実物はちがうわ~」シコシコ…

姫「まぁ、勇者様ったら……」ポッ…







~ THE END ~

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