遊矢「旅立ちの前夜に」 (40)

【注意事項】
・アニメ未放送の内容を勝手に想像した内容を含んでいます
・地の文あり
・割と勢いだけで書いたのでご容赦を
・キャラ崩壊注意
・デュエルシーンはありません
・カップリング要素を含むかもしれない

上記の注意事項を了解したなら、ライディングデュエル・アクセラレーション!

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1428562882

遊矢「…はぁ」

…眠れない。
明日は旅立ちの日だというのに、目が冴えて眠れない。

俺は、『ランサーズ』の仲間たちと共に、明日舞網市からシンクロ次元に旅立つ。
俺は、柚子を取り戻すために。赤馬零児は、赤馬零王…自分の父親の、野望を止めるために。
舞網チャンピオンシップの決勝戦が終わり、俺達は明日の旅立ちに向けてLDSの宿泊施設で一夜を明かすことになった。

未だに赤馬零児の言ったこと――デュエルを戦いに利用するという考え方に対して、納得したわけじゃない。
デュエルは人に笑顔をもたらすものだ。俺はそう信じている。
ただ…、あいつやセレナの言うとおり、柚子がアカデミアの…融合次元の連中にさらわれたって言うのなら、
この『ランサーズ』の一員となることが、柚子を助け出す唯一の手段なんだ。わかってるさ。

ユート『デュエルで…笑顔を…』

俺の心には、あの時のユートの言葉が強く焼き付いている。
あのカードと共に託された《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》のカードも、俺に変化をもたらした。
勝鬨とのデュエルでは、決して人を笑顔に出来ないデュエルをしてしまった。
…このカードにはあいつの怒りが、故郷を破壊されたあいつの悲しみが眠っている、そんな気がする。
あいつ自身は確かにデュエルで笑顔をと言った。でも、このあいつの苦しみも、きっと本物なんだ。
やっぱり…俺の中にいるのか、ユート…。

遊矢「…っ…」

…怖い。
そもそも異なる次元がどんな世界なのか、そんなことすら赤馬零児は話してくれなかった。
そもそも何故融合ではなく、シンクロ次元に向かうのか。
あいつは「シンクロ次元は我々の敵ではない」と言っていた。
実際、オベリスクフォースの数名を突如現れたシンクロ次元のデュエリストが撃退したと言っていた。
そのデュエリストは、赤馬も知らぬ間にバトルロイヤルから姿を消していたという。
シンクロを味方につけることができれば、来たるべきアカデミアとの戦いで大きな戦力になる、と言っていた。だけど…。

俺はユートとあのバイク(…型のデュエルディスク?)に乗った、やっぱり俺と良く似ているシンクロ使いのデュエルを見ている。
ユートは彼を「融合の手先」と呼んでいた。一方の相手は「融合じゃねぇ!」と言っていたけど。
あの時の相手がシンクロ次元のデュエリストだったというなら、彼が本当に融合の手先だったというなら、
…本当にシンクロが味方かどうかなんて、わからないじゃないか。
もしシンクロが味方ではなかったとしたら…敵だったとしたら…。
アカデミアに辿り着くことすら、出来ないかもしれない。
本当に柚子を助けられるのか、不安でたまらない。
そして柚子と一緒に舞網に帰ってこられるのか、保証はどこにもない。

遊矢「だめだ、こんなことばかり考えてちゃ…」

俺は柚子を助けるんだ。眠れないのに部屋に閉じこもってるからこんなこと考えるんだ。
一旦外の空気にあたってこよう…。

◆     ◆     ◆
【LDS:屋上】

外に出たって、考えることは対して差はなかった。

遊矢「…舞網市…」

眼前に広がる舞網市の夜景。明日、俺はここを旅立つ。
戻ってこられるかわからない旅。もしかしたら、俺も戦いの中でカードにされてしまうかもしれない。

遊矢「でも…俺は行かないと」

柚子を助けるんだ。俺は、絶対。
いつも俺のそばにいてくれたあいつ、いなくなるとこんなに悲しいものだなんて…。

遊矢「…柚子…お前は今、どこにいるんだ…」

「…遊矢?」

不意に名前を呼ばれ振り向く。

遊矢「……柚…子…?」

一瞬、俺が追い求めている顔かと思ったが…。

セレナ「…済まない、私は柚子ではない」

そうだ、柚子とよく似た顔立ちをした彼女は、セレナ。
融合次元からやってきた彼女は、バトルロイヤルの混迷の中柚子と知り合ったという。
柚子からアカデミアがエクシーズにやったことを知らされたセレナは、その真実を求めて黒咲に会おうとした。
柚子の提案でアカデミアの追手から逃れるため柚子と服を交換したが、結果的に柚子だけがさらわれることになってしまった。
その後、彼女は黒咲と話をすることが出来た。エクシーズ次元――黒咲の故郷、『ハートランド』で、アカデミアが何をしたのか。
何故黒咲とユートは、この舞網市にやって来たのか…。
話を聞いたセレナはアカデミアのあり方に疑問を感じ、この『ランサーズ』に参加することにしたらしい。

遊矢「ご、ごめん…。で、何、こんな時間に」

努めて笑顔を作る。

セレナ「それはこっちの台詞なのだが…」

遊矢「えっ?」

セレナ「私は眠れなくてここに来たんだが…。遊矢もか?」

遊矢「え、うん、そうだけど…」

まさか同じような理由だとは思わなかった。

セレナは、長い間アカデミアに幽閉されていたらしい。
当初は黒咲を倒すことばかり考えて他のことを考える余裕などなかったらしいが、
その任務から開放された今、彼女は変わった。
…そして彼女は本当にデュエルのこと以外は何も知らない、相当な箱入り娘であったということも発覚したんだけど。
そのこともあり、この舞網の街には随分興味津々のようだ。

少しばかりそんなこの街についての話をした後、彼女はこう切り出してきた。

セレナ「…柚子のことは、すまなかった」

遊矢「違う、君のせいじゃない! 柚子が、自分でそうして欲しいといったんだろ?」

セレナ「確かにその通りだが…」

遊矢「なら、いいんだ。セレナがここにいることは、柚子が願ったとおりでもあるんだから」

これは嘘偽りのない、俺の本音だ。柚子のアイデアのおかげで、セレナは俺達と合流して、黒咲から真実を聞くことが出来た。
そして彼女自身が、悩んだ末にこの俺達の仲間になると決めてくれたんだ。
柚子が願ったとおりだ。何も悲しむことはない。だから…。
…上手く、笑えたと思っていた。

セレナ「ッ…!」

ガバッ

不意にセレナが抱きついてきた。一体どうなって…!?

セレナ「やめてくれ…! そんな無理した笑いをするのは…!」

遊矢「な、なんで…」

セレナ「なんでそんな無理して笑うんだ! 泣きたいときは泣いてくれ…!
柚子の前でしか泣きたくないって言うなら、私を柚子のかわりだと思ってくれてもいいんだ…!」

遊矢「なっ…俺は君にそんなことは…!」

抱きしめる力がいっそう強くなる。

セレナ「…」ギュウ

遊矢「…ッ…なんでだよッ……! こんなことされたら我慢できないじゃないか…ッ!」グスッ

セレナ「遊矢…」

我慢していた、乾いた叫びが溢れ出す。

遊矢「なんで…なんでこんなことになっちゃったんだよ…!
俺は…! 俺はみんなを笑顔にするデュエルをしたかっただけなのに…!
柚子も…素良も…! なんでいなくなって…!」ギュウ

セレナ「そうだ…お前は何も悪くない…」

遊矢「うっ…うああ…柚子…!」

セレナ「…遊矢…」ナデナデ

◆     ◆     ◆

どれくらいの時間こうしていただろう。

遊矢「その…ごめん…」グスッ

セレナ「気にするな。私がやりたくてやったことだ」ナデナデ

女の子の前で、こんな姿を晒すなんてとんだ失態だ。
…身長も柚子と同じなんだな。俺よりも少しだけ大きくて…。
くっ、悔しくなんかないからね!

遊矢「あ、あのさ…」

セレナ「このことは誰にも言わないから安心してくれ」

遊矢「あ、ああ、確かに言ってほしくはないけど…。それよりもさ…」

セレナ「なんだ?」

遊矢「あの…柚子の代わりになるとか、言わないでくれよ。
確かに顔はよく似てるけど、やっぱりセレナはセレナだ。柚子じゃない」

セレナ「えっ…」

遊矢「俺のことを考えてくれて、その…嬉しかったよ。
けど、なんというか、似てるけど他の女の子を代わりにしたとか、そういうのは嫌なんだ」

嘘偽りのない本音だ。こんなこと、セレナに失礼だ。
だけど当のセレナは…。

セレナ「…」ショボーン

あ、あれ? 何か間違えたか?

遊矢「あ、セレナのことが嫌だなんて言うんじゃないんだ。
その…何かあったらさ、ちゃんとセレナに、相談するからさ。
柚子の代わりになってほしいとかじゃなくて、セレナに、相談するから…」

ああ、我ながらひどい言い訳だ。しかもなんか恥ずかしいこと言ってる気がする…。

遊矢「だから、その、今みたいなことは本当にドキドキ、じゃない、びっくりするから…。あの、いきなりはしないで欲しいかな」カオマッカ

セレナ「そうか…。ありがとう」ニコッ

あっ…。その笑顔は…。

遊矢「えっ、いや…お礼を言うのは俺の方だよ…ありがとう」ドキッ

セレナ「そろそろ部屋に戻ろう。明日の朝寝坊なんてしたら黒咲あたりに怒られるぞ」

遊矢「うん、そうするよ」

セレナ「おやすみ」

遊矢「…おやすみ」

…なんだよ、あの笑顔は反則じゃないか…。
柚子とそっくりの、その笑顔は。

◆     ◆     ◆

【翌朝 LDS社長室】

遊矢「みんな、おはよう!」

沢渡「遅いじゃねーか遊矢! 今日はいよいよシンクロ次元に旅立つんだぜ!」

遊矢「ああ、そうだな」

零児「おはよう、遊矢。何か昨日の夜とは表情が違うんじゃないか?」

遊矢「ああ。俺は決めたんだ」

零児「決めた?」

遊矢「シンクロ次元がどんなところであろうと、どんな人がいようと、
――俺はデュエルで人を笑顔にしてみせると!」

沢渡「…フッ、そうだな、お前はそういうやつだ。だったら、俺はお前の2倍の人間を笑顔にしてやるぜ!」

遊矢「な、言ったな! なら俺はお前の3倍だ!」

沢渡「何をォォォォ! 俺は4倍だ!」

「「ぐぬぬぬぬぬ……!」」

セレナ「…すっかり元気になったようだな」

零児「だな」

そうだ、シンクロ次元に旅立っても、俺は変わらない、そう決めた。
シンクロ次元でも多くの人々を笑顔にしてみせる。そして柚子を助けだしたら…その話をあいつにしてやるんだ。

さあ、行こう。未知なる世界へ――

お楽しみは――これからだ!

TURN END





このさきには
これまでのしんみりとした空気を
ぶち壊しにする内容が
あなたをまっています。
そ れ で も 閲覧しますか?

それなくね?  まさに恐悦至極

TURN SERENA 

セレナ「…はぁ」

…寝付けない。
明日はいよいよシンクロ次元に旅立つ。
赤馬零児は、先日までのバトルロイヤルの様子を観察した結果、「シンクロは敵ではない」ということを知ったらしい。
そこで、シンクロ次元に向かい、可能ならば助力を願う、ということらしい。
私としては早くアカデミアに戻って、プロフェッサーを小一時間問い詰めたいところなのだが…。

…でも、今私の頭の中を占めているのはそんなことではない。






榊 遊 矢 の こ と だ ! ! !

改めて彼を観察してみると、最近の彼は気分が浮かないようだ。
時々物憂げな表情をしてみせたり、不安そうな顔を覗かせたり、無理して笑顔を作ってみたりしている。
彼がそんな表情をするたびに。私の心は酷く掻き乱され、彼を抱きしめてやりたい欲求に駆られるのだ。
ただ、権現坂に「そのような行為は人前でやって良いものではない!」と厳命されてしまった。
そのために、その欲求を実行に移すことが出来ずに、私は悶々とした時間を過ごしている。
こんな感情は知らなかった。アカデミアではこんなことを教えてくれなかった。

赤馬零児が言うには、この感情こそが「愛」らしい。つまり、私は遊矢を愛してしまったためにこのような悶々とした時間を過ごしているということになる。
愛というものは、もっと時間をかけて育まれるものだと思っていたが、私は遊矢と出会って、本当に短い時間で彼を愛してしまっている…ようだ。
…正直、今すぐにでも彼のもとに駆け寄りたい、抱きつきたい、抱きしめたい。
でも…私が遊矢を愛しても…きっと遊矢は私のことを愛してはくれない。
彼が愛しているのは柚子だ。先日、赤馬零児にぶつけた遊矢の叫びを、私ははっきり覚えている。
遊矢は苦しんでいる。私が欲求のまま抱きついたら、かえって彼を困らせてしまいそうで、怖い。

セレナ「…」フトンバタバタ

スタンダードは面白い。ずっとアカデミアに幽閉されていた私にとって、知らなかったことが本当にたくさんある。
だけど、こんな感情まで知ってしまうことになるなんて、想像もしていなかった。
この感情はずっと…私の中でくすぶり続けるんだろう。

セレナ「…遊矢…」

駄目だ。彼のことを考えるだけで悶々としてしまう。ちょっと、外の風に当たって頭を冷やしてこよう…。

◆     ◆     ◆
【LDS:屋上】

屋上に出た時、既に先客が居た。
あれは…。寝間着を着ているが、遊矢?

遊矢「…柚子…お前は今、どこにいるんだ…」

相手が誰か、確信を得たところで声を掛ける。

「…遊矢?」

振り向いた彼の表情は…

遊矢「……柚…子…?」

酷く痛みを抱えたような、そんな表情。ま、まずい…!

セレナ「…済まない、私は柚子ではない」

呼ばれた名前が自分でなかったことに冷静さを取り戻し、返答する。

遊矢「ご、ごめん。な、何、こんな時間に」

先程の表情を引っ込め、慌てて笑顔を作る遊矢。

セレナ「それはこっちの台詞なのだが…」

遊矢「えっ?」

セレナ「私は眠れなくてここに来たんだが…。遊矢もか?」

遊矢「え、うん、そうだけど…」

私たちは同じ理由でここに来ていたようだ。
その後、しばらくはとめどない話をした。とは言っても、話題を振るのはもっぱら私の方。
私が知らなかったスタンダードの――この舞網の街のいろいろなもの。
あの狭い島に居たままだったら…決して知ることは出来なかっただろう広い世界。
そして…この気持ち。

セレナ「…柚子のことは、すまなかった」

話に間が空いてしまったタイミングで、私はずっと気にしていたことをぶつけてみた。

遊矢「違う、君のせいじゃない! 柚子が、自分でそうして欲しいといったんだろ?」

セレナ「確かにその通りだが…」

遊矢は一瞬顔を伏せ…。そして、顔を上げた。

遊矢「なら、いいんだ。セレナがここにいることは柚子が願ったとおりでもあるんだから」

…その言葉は、きっと嘘偽りのない、遊矢の本音だったのだろう。
しかし、その表情は…やはり無理をして作った笑みで。
やめてくれ…その表情は、私に効く。

セレナ「ッ…!」

ガバッ

ついに衝動のリミッター解除を発動してしてしまった私は、感情に任せるままに遊矢を抱きしめる。

セレナ「やめてくれ…! そんな無理した笑いをするのは…!」

遊矢「な、なんで…」

私が我慢できなくなるからに決まっているだろう!

セレナ「なんでそんな無理して笑うんだ! 泣きたいときは泣いてくれ…!
柚子の前でしか泣きたくないって言うなら、私を柚子のかわりだと思ってくれてもいいんだ…!」

…柚子の代わりでも良い…。そうか、私自身でも気づいていなかった…。これが私の本音…。
柚子の代わりでもいい、甘えて欲しい。我慢しないで欲しい…。

そんなことより抱きしめてる感触が凄い。こんなに気持ちいいなんて。しかも良い匂いもするし!
これが遊矢の匂いなのかクンカクンカスーハースーハー

遊矢「なっ…俺は君にそんなことは…!」

あーもう私が我慢できない…!

セレナ「…」ギュウ

遊矢「…ッ…なんでだよッ……! こんなことされたら我慢できないじゃないか…ッ!」グスッ

セレナ「遊矢…」

遊矢から…我慢していた、乾いた叫びが溢れ出す。

遊矢「なんで…なんでこんなことになっちゃったんだよ…!
俺は…! 俺はみんなを笑顔にするデュエルをしたかっただけなのに…!
柚子も…素良も…! なんでいなくなって…!」ギュウ

遊矢も抱き返してくれた!
私の頭の中が凄い勢いで「遊矢可愛い」で埋め尽くされていく。遊矢、可愛い…。

セレナ「そうだ…お前は何も悪くない…」

そうそう、私が我慢できなくなって抱きしめたんだから遊矢は何も悪くない。

遊矢「うっ…うああ…柚子…!」

セレナ「…遊矢…」ナデナデ

ああああ髪の毛の撫で心地もたまらない! 遊矢可愛い遊矢可愛い遊矢可愛い遊矢可愛い遊矢可愛い遊矢…

◆     ◆     ◆

…遊矢可愛い遊矢可愛い遊矢可愛い遊矢可愛い遊矢可愛い遊矢可愛い遊矢可愛

遊矢「その…ごめん…」グスッ

はっ!

セレナ「気にするな。私がやりたくてやったことだ」ナデナデ

本当に素敵な時間だった。こんな幸せな気分になったのは生まれて初めてだ。

遊矢「あ、あのさ…」

セレナ「このことは誰にも言わないから安心してくれ」

言えるはずがない! 私が遊矢可愛いに侵略し尽くされた挙句、屈服させられたなんて恥ずかしいこと!

遊矢「あ、ああ、確かに言ってほしくはないけど…。それよりもさ…」

セレナ「なんだ?」

どうしたんだ遊矢? 今の私ならお前のためになんでもしてしまいそうだ!

遊矢「あの…柚子の代わりになるとか、言わないでくれよ。
確かに顔はよく似てるけど、やっぱりセレナはセレナだ。柚子じゃない」

セレナ「えっ…」

しかし、遊矢から放たれたのは、衝撃の言葉。

遊矢「俺のことを考えてくれて、その…嬉しかったよ。
けど、なんというか、似てるけど他の女の子を代わりにしたとか、そういうのは嫌なんだ」

そ、そんな…。じゃあ、柚子の代わりになって遊矢を抱きしめることは、もう出来ないっていうのか…。

セレナ「…」ショボーン

かなりショックだ。しかし、そんな私に思わぬ言葉が。

遊矢「あ、セレナのことが嫌だなんて言うんじゃないんだ。
その…何かあったらさ、ちゃんとセレナに、相談するからさ。
柚子の代わりになってほしいとかじゃなくて、セレナに、相談するから…」

…柚子の代わりじゃなくて? 私に?

遊矢「だから、その、今みたいなことは本当にドキドキ、じゃない、びっくりするから…。
あの、いきなりはしないで欲しいかな」カオマッカ

ああ、顔を赤くしている遊矢も可愛い。
いきなり抱きしめるのはダメという。つまりいきなりじゃなければいいってことか!
…私の心は格段に軽くなってるのを感じた。
そうか、遊矢は…私を見てくれるのか…。

セレナ「そうか…。ありがとう」ニコッ

遊矢「えっ、いや…お礼を言うのは俺の方だよ…ありがとう」ドキッ

セレナ「そろそろ部屋に戻ろう。明日の朝寝坊なんてしたら黒咲あたりに怒られるぞ」

遊矢「うん、そうするよ」

セレナ「おやすみ」

遊矢「…おやすみ」

私は、もうダメみたいだ。抱きしめて満足できたと思ったらもっと嬉しい言葉を貰ってしまった。
――もしかしたら、遊矢に愛してもらえるかもしれない。
ああ、そんなことを考えるだけで、頭が遊矢のことで埋め尽くされる。

 ――愛してるよ、私の可愛い、遊矢。

◆     ◆      ◆

【翌朝 LDS社長室】

遊矢「みんな、おはよう!」

沢渡「遅いじゃねーか遊矢! 今日はいよいよシンクロ次元に旅立つんだぜ!」

遊矢「ああ、そうだな」

零児「おはよう、遊矢。何か昨日の夜とは表情が違うんじゃないか?」

遊矢「ああ。俺は決めたんだ」

零児「決めた?」

遊矢「シンクロ次元がどんなところであろうと、どんな人がいようと、
――俺はデュエルで人を笑顔にしてみせると!」

沢渡「…フッ、そうだな、お前はそういうやつだ。だったら、俺はお前の2倍の人間を笑顔にしてやるぜ!」

遊矢「な、言ったな! なら俺はお前の3倍だ!」

沢渡「何をォォォォ! 俺は4倍だ!」

「「ぐぬぬぬぬぬ……!」」

セレナ「…すっかり元気になったようだな」

零児「だな」(ファンサービスしたい衝動に駆られながら)

元気になった遊矢。…しばらくは私が抱きしめられる機会はなくなってしまいそうだ。
…きっと、遊矢と一緒なら、これから、私が知らなかったいろいろなことに出会えるに違いない。
お前がきっと、私を楽しませてくれるよね?

お楽しみは――これからだ。

TURN END

投下終了です。
ゅぅゃヵヮィィはコモンセンス(断言)

前作は
権現坂「遊矢について語れだと?」零児「ああ」
権現坂「遊矢について語れだと?」零児「ああ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428475607/)
でした。

【お☆ま☆け】

・書き溜めなしでリアルタイムで書いていくので途中で止まったり方向性がブレることがあります
・それはドン・サウザンドのせいなので彼に責任を押し付けて下さい

TURN REIJI&KURISAKI

零児「…」カタカタ

黒咲「…こんな時間時間までご苦労なことだな」

零児「その言葉をそのまま君に返すことにしよう」

黒咲「デッキの調整が終わったので気晴らしに散歩をしていただけだ」

零児「ふむ。それでは寝たまえ。明日は早いぞ」

黒咲「フン、俺はレジスタンスだ。睡眠時間は短くても問題ない」

零児「そうか」

黒咲「で、貴様は何をしている?」

零児「…良いだろう。君には教えておこう。
これは異次元移動装置の調整装置。今やっているのはその最終調整というわけだ」

黒咲「ほう、これが…。今はシンクロ次元につながっている…というわけか」

零児「そういうことだ」

黒咲「……今からでも、それを融合次元に変えることは出来ないのか?」

零児「それは無理な話だ。もし仲間が増やせるかもしれないというなら、まずはそちらを優先するべきだ」

黒咲「俺達だけでもアカデミアには勝てる…!」

零児「そう簡単にはいくまい。連中も…赤馬零王もこちらの動きには感づいているはず。
オベリスクフォースが全滅したことは、奴にとっても予想外だったはずだ。
より強力な部隊を用意していても、何ら不思議ではない」

黒咲「…」

零児「実際、セレナはこちらのデッキを既に読んだ上で、その対策カードを用意されていたと言っていた。
我々のデッキも既に読まれている可能性がある。
だからこそ、こちらもその上を行かなければならない」

黒咲「…悔しいが、その通りだ。ハートランドが襲われた時も、連中はエクシーズ対策を完備していた」

零児「シンクロ次元のデュエリストが現れた時、連中はシンクロ召喚に対して酷く動揺していた。
シンクロへの対策はまだ手薄である可能性が高い」

黒咲「…分かった。もうこのことにこれ以上口を挟むつもりはない」

零児「理解してくれて嬉しい限りだよ」

チョット中断

黒咲「ところで、その右下に見えるサブタスクウインドウ」

零児「ん? これか?」

黒咲「どう見ても榊遊矢の部屋のようだが、カメラでも仕掛けているのか?」

零児「当然だ」

黒咲「…このストーカーめ」ボソッ

零児「LDSの人間を見境なく襲撃していた時の君の不審者ぶりはなかったな」

黒咲「…なんでそんなに榊遊矢にこだわる? 
確かにペンデュラムを生み出したデュエリストというなら注目に値するが、
デュエル戦士としては未熟極まりない」

零児「そんなこと決まっているだろう」

黒咲「?」

零児「彼がこの上なく愛らしい、私の伴侶となるものだからだ」

黒咲「…は?」

ローマ字のところ栗咲になっとるwww

黒咲「お、俺の耳がおかしくなったようだ、もう1回言ってくれ」

零児「彼がこの上なく愛らしい、私のはんr」

黒咲「もういい! おかしくなったのは俺じゃなくて貴様だということはよくわかった!」

零児「私が遊矢に狂わされた、というのか? 全くもってその通りだ。
そう、始まりはあの時、遊勝塾争奪のために私が彼とデュエルしたあの日…

~~~ 赤馬社長ファンサービス中 ~~~

…あの表情が私を狂わせた。それ以来、私は毎日5分に1回以上の彼の監視が日課となっt」

黒咲「わかった! わかった、お前が個人的な感情として奴に目をつけていたことは分かった!
だが、そんな理由でデュエル戦士たるランサーズに選出などと…!」

零児「ランサーズの一員となるに十分な実力は持っている」

黒咲「…確かに、これから強くなっていくだろう、とは感じた。だがそんな個人的感情で…!」

零児「彼もアカデミアには大事なものを奪われている。戦うだけの動機も、十分持ち合わせている」

黒咲「…この前のバトルロイヤル終了後のデュエル。
露骨に彼の怒りを煽るような言葉を浴びせたのは、その戦いへの動機を煽るためだったのか」

零児「いや、あれは久々に直接顔を合わせることが出来て自分が抑えきれなかっただけだ」

黒咲「…赤馬零児、少なくとも人の笑顔を奪うことに愉悦を感じるなど、常識的な性癖とは言いがたいぞ」

零児「そうか」

黒咲「…」

零児「むっ? 遊矢が部屋を出るようだな。カメラを切り替えて…」

黒咲「…本当に徹底しているな」

>>30
やらかした
----
零児「屋上に出るようだな。眠れない様子だったし、風にでも当たりたくなったのだろう」

黒咲「もう本来の仕事はしないのだな」

零児「私にとってどちらの優先度が高いか、言うまでもあるまい」

黒咲「…ん? もう1人屋上に入って…」

零児「あれは…」

黒咲「瑠璃ッ!? 瑠璃なのか!? うっ!?」ドスッ

零児「彼女は瑠璃ではない。セレナだ」

黒咲「ッ…! そうだったな…」ゼエゼエ

零児「何か話しているようだな…。マイクオン」

黒咲「そんなものまで用意しているのか」グッタリ

 セレナ『…柚子のことは済まなかった』

黒咲「柚子…確かこのスタンダードの…」

零児「君の妹とよく似た女性だ」

 遊矢『違う、君のせいじゃない! 柚子が、自分でそうして欲しいと言ったんだろ?』

 セレナ『確かにその通りだが…』

黒咲「…自らを犠牲に、セレナを助けたのか。気高い心の持ち主なのだな」

零児「…全くだ。アカデミアにさらわれたのが惜しまれる人材だった」

 遊矢『なら、いいんだ。セレナがここにいることは柚子が願ったとおりでもあるんだから』

零児「」ガタッ

黒咲「な、なんだ!?」

零児「君にはわからないのか! あの悲しみを押さえ込んだ、痛々しい笑顔の素晴らしさを!」カーン☆

黒咲「何を言っているんだ貴様は…」

 セレナ『ッ…!』ガバッ

黒咲「何ィ!?」

零児「ほう」

黒咲「る、瑠璃が、瑠璃が榊遊矢に抱きついて、る、ルリルリルリルリ…」ダッ!

零児「(無言のドアロック)」ピッ

黒咲「ど、ドアを開けろ! 瑠璃が、瑠璃があんな男に…!」

零児「君こそ落ち着け、彼女は瑠璃ではない」

黒咲「スーハースーハースーハースーハー…」

零児「落ち着いたかね」

黒咲「あ、ああ、そうだ、彼女は瑠璃に似ているだけだ…。
…だが、そっくりな別人とはいえ、妹が男と抱き合っている姿というものはこんなに心苦しいものだとは…!」キリキリ

零児「(君が苦しいのは胃ではないのかね)」

 遊矢『なんで…なんでこんなことになっちゃったんだよ…!
 俺は…! 俺はみんなを笑顔にするデュエルをしたかっただけなのに…!
 柚子も…素良も…! なんでいなくなって…!』ギュウ

黒咲「…そうだ、そうだったな。
デュエルで笑顔なんて…長いこと忘れかけていた。ハートランドでも、デュエルは人を笑顔にするものだった。
ユートも昔は…デュエルで人を笑顔にしたいと、そう言っていた」

零児「(泣いてるゅぅゃヵヮィィ)」

黒咲「遊矢から《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》のカードと、
ユートに会ったときの話をされたときは…そうだな、あいつなら、ユートならそうすると思った」

零児「(くそ、私も屋上に行きたいが、今行っても反発されるだけだ)」

黒咲「だから、あえて俺はダーク・リベリオンを受け取らなかった。
ユートが、俺の親友がそう願ったのなら…。それを持つべきは俺じゃないと」

零児「(こんなお宝映像を見ることが出来ただけでもよくやった、セレナ!)」

黒咲「赤馬零児!」

零児「(セレナ、彼女は私が想像していた以上の逸材だ。こんなに早く、遊矢の泣き顔を見せてくれるとは!)」

黒咲「俺はお前のことを完全に信用したわけじゃない。
だが、俺は瑠璃を救うため、親友の願いを叶えるために、お前に協力すると決めた」

零児「(なんだ黒咲、私は遊矢の貴重な泣き顔を堪能するので忙しいんだ。適当に返事しておけばいいだろう)」

黒咲「必ず――アカデミアを倒すぞ!」

零児「ああ、そうだな…」

黒咲「…もう屋上に邪魔しに行ったりはしない。俺も部屋に戻って寝ることにする。
だからドアロックを解除しろ」

零児「(無言のドアロック解除)」

黒咲「…よろしく頼むぞ」

スタスタ…

零児「…ハァ、遊矢…」

◆     ◆      ◆

【翌朝 LDS社長室】(黒咲視点)

遊矢「みんな、おはよう!」

沢渡「遅いじゃねーか遊矢! 今日はいよいよシンクロ次元に旅立つんだぜ!」

遊矢「ああ、そうだな」

零児「おはよう、遊矢。何か昨日の夜とは表情が違うんじゃないか?」

遊矢「ああ。俺は決めたんだ」

零児「決めた?」

遊矢「シンクロ次元がどんなところであろうと、どんな人がいようと、
――俺はデュエルで人を笑顔にしてみせると!」

沢渡「…フッ、そうだな、お前はそういうやつだ。だったら、俺はお前の2倍の人間を笑顔にしてやるぜ!」

遊矢「な、言ったな! なら俺はお前の3倍だ!」

沢渡「何をォォォォ! 俺は4倍だ!」

「「ぐぬぬぬぬぬ……!」」

セレナ「…すっかり元気になったようだな」

零児「だな」

未だに、榊遊矢が戦士として相応しいとは思わない。
だが…彼のデュエルで笑顔をという願いは、俺の親友の願いでもある。
必ず、アカデミアを倒す…! 瑠璃を助け出し、デュエルに笑顔を取り戻す!
それが、俺の戦う理由だ!

TURN END

TURN ???

ザザーッ

「どうだ!コレがライディングデュエルだぜ!」

「うん、なかなか素晴らしいものだったわよ」

「へへっ、じゃあ俺は? カッコ良かったか!?」

「全然ダメ」

「えっ」ガーン!

「そもそも顔は確かに似てるけど、それ以外は全く似てないのよね。
アイツ、よく調子乗ったりする割には泣き虫だし、
私に甘えてくるときは可愛くてしょうがないし、
逆に私が甘えさせてくれる時の優しい顔も可愛いし、
実は私よりちょっと背が低いところも可愛いし、
寝顔も可愛いし、布団に潜り込むと良い匂いがするし、
イジメられてる時に無理して笑ってる顔も可愛いし、
かと言って心の底から笑顔でいる時もたまらないくらい可愛いし…」ブツブツ…

「は、はは…」

「もぉー! そもそもなんでこんなところに連れて来ちゃったのよ!」

「し、知らないってば! 君のブレスレットのせいだろ!」

「もう! 遊矢に会いたくてしょうがないのよーーーーーっっっ!!!」

TURN END

ということでこのスレでの投下は終了。
多分このSS及び前回のSSの設定を引き継いで書くことはもうないと思います。
一番ディープな遊矢prpr勢なのは柚子だと勝手に思ってます。

それではご覧いただき、ありがとうございました。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom