小鳥「私が正妻という風潮」 (38)
小鳥「ありですね!」
P「……」
小鳥「ね!」
P「なに言ってるんですか、あなたは?」
小鳥「もう、あなたなんて……それは私の台詞ですよ、あ・な・た♪」
小鳥「なぁんて!えへへ///」
P「……」
P「バカなこと言ってないで仕事してください」
小鳥「あ、はい。すいません……」
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おかしい……これはおかしいですよ!
正妻どころか、相手にすらされてないじゃないですか!
小鳥「あの、プロデューサーさん……?」
P「まだなにか?」
小鳥「いえ、なんでも……ないです……」
P「……」
うぅ、空気が重い……。
私なんか、話すのも煩わしいと言わんばかり……。
なにが「ピヨちゃんマジ正妻」だドチクショーーー!!
最初に言ったヤツ出てこーい!
P「あ、音無さん」
小鳥「は、はい!なんですか?」
P「これ、発注ミスですよ」
小鳥「へ?……あああ!すぐに修正かけます、ごめんなさい!」
P「ミスは誰にでもあることですけど、気をつけてください」
小鳥「はい……」
そりゃあ私のミスですから、怒られるのは仕方ないですけど……。
あなたは千早ちゃんですか!?
彼女だって、もうちょっとはデレ成分がありますよ!
小鳥「え〜と、発注用の伝票は……」
P「その棚の一番下です」
小鳥「あ……はい、ありがとうございます」
はあ……事務員形無しだわ……。
余計に呆れられちゃったかな?
なんで備品の置き場所ぐらい把握してないのよ、私のバカ!
大丈夫ぴよちゃんはそのせくち→なバディを駆使すれば男なんてイチコロだYO
一番下、一番下っと。
ふぅ……スカートが短すぎて、腰を落とすのにいちいち気を使うのよねぇ。
ん?ちょっと待った私。
プロデューサーさんと私のこの位置関係、角度、そして片膝を付いた私の姿勢……。
プロデューサーさんから見ると、我が絶対領域が消失中!?
うん、見えるよね。この角度なら間違いなく見える。
今日、どんなのはいてたっけ!?///
み、見えますよね?むしろ見ますよね?
ほら、見た!
>>5
エスパーか
P「音無さん……」
小鳥「は、はい!///」
P「年頃の女性なんだから、もう少し気を使ってください」
小鳥「え……?」
小鳥「あ、はい……失礼しました……」
手応えなし……。
もしかして、ほんの少しも異性として意識されてない?
ど、どうせ私は彼氏いない歴=年齢のアラサー女ですよ!
それにしたって、そのリアクションはなんですか!?
不快なものをお見せして申し訳ございませんでしたね!
……。
『年頃』なんて、心にもないこと言わないでくださいよ……。
ガチャ
春香「おはようございまーす!」
P「おはよう、春香」
小鳥「おはよう、春香ちゃん」
春香「プロデューサーさんと小鳥さん、お……っとっととと!」
小鳥「春香ちゃん!?」
春香「きゃーーー!」
ドンガラガッシャーン!
小鳥「だ、大丈夫、春香ちゃん!?」
春香「えへへ、また転んじゃいましたぁ///」
P「怪我はないか?」
春香「はい、大丈夫みたいです」
P「それならよかっ……」
P「……は、早くスカートを直せ」
春香「へ?……はわっ!!」バッ
春香「み、みみみ、みみえ」
P「……見えた。すまなかったな」
春香「い、いえ!///こちらこそお目汚し失礼しました……」
あれ?プロデューサーさん、動揺してる?
私のときとずいぶん違いません?
そりゃ、私よりずっと若くて可愛いアイドルの春香ちゃんと、同じ扱いをしてくれとは言いませんけど!
そういえば、春香ちゃんはいつも白とか薄いピンクとか、おとなしめの可愛らしいのが多いわね。
プロデューサーさん、もしかしてロ……清純系が好み?
私は今日は……あ、これはダメだ。
うん、こういうところから改善していこう、私!
小鳥「あ、今日は月末の定例報告でしたよね?」
P「ええ、俺と律子が現場から戻ってからですね」
小鳥「ちょっと必要な書類を集めてきますね」
P「わかりました」
たしか、このへんにまとめておいたはず。
これとこれと……うわ、結構多い。
小鳥「っんしょ!」
こういう掛け声が無意識に出るようになったらまずいわよね……。
気を付けないと……。
それにしても、なんで紙ってこんな重いの?
さすがにこれは、何回かに分けて持っていったほうが……。
P「手伝いますよ」
小鳥「え?」
P「重いものは、遠慮なく頼ってください」
小鳥「は、はい!ありがとうございます」
どうして……。
どうして優しくするんですか?
冷たく振舞うなら、冷たいままで通せばいいんです。
そんなことだから、私みたいなめんどくさい女が勘違いするんですよ?
プロデューサーさんは愛想のない人です。
人あたりが良くないと苦労することも多い仕事だろうに、
事務所内でも外でも笑ったところをほどんど見たことがありません。
アイドルのみんなも、最初はとっつきにくそうで困ってたわね。
雪歩ちゃんなんて、毎回話しかけるだけで倒れそうになってた。
でも、バカがつくほど誠実な人だから……。
みんなのために自分を犠牲にすることを厭わないのに、そんな素振りはおくびにも出さない。
アイドルのみんなを誰よりも大切に思ってる。
そんなプロデューサーさんだから、今はみんながあなたを信頼してます。
私だって……。
P「春香。そろそろ出るぞ」
春香「はい!小鳥さん、いってきまーす!」
P「いってきます」
小鳥「いってらっしゃい!」
なんかしんみりしちゃった。
悩んだって、どうにもならないことなのにね。
うふふ、せっかくうるさい人たちがいないんだから、ちょっとだけ羽を伸ばしちゃおうかしら。
小鳥「あら?プロデューサーさん、上着忘れていってる……」
最近暑くなってきたから、脱いだまま忘れたのかも。
ど、どうしよう。追いかけて届けたほうがいいのかな?
とりあえず、皺にならないように……。
ファサ…
小鳥「あ、プロデューサーさんの匂い……」
いつも冷たくされてるのに、なんでこんなにあったかいんだろ。
キュッ…
ちょっとだけ、いいよね?
本人には、絶対にこんなことできないんだから。
私……私は……。
ガチャ
P「上着忘れました」
小鳥「え?」
P「……」
あれ、戻って……?
ど、どうしよう?どうしよう?
小鳥「あ、あの……届けようと思って!」
P「ええ」
小鳥「や、やましいことはなにも!」
P「音無さんがそんなことをする人だとは思ってません」
小鳥「え?あ、ありがとうございます……」
P「いえ、本当のことですから」
少しだけ意外。
私、全然信頼されてないと思ってたのに。
P「いいですか?」
小鳥「な、なにか?」
P「上着、営業があるので着て行きたいんですが」
小鳥「ご、ごめんなさい!いつまでも持ちっぱなしで」
小鳥「あ、あの!」
P「はい?」
小鳥「よかったら、その……わ、私が着せたりなんかしても」
P「そうですか?ではお願いします」
ほら、やっぱり断られた……なかった!?
うん、お願いされた!間違いなく!
男性に上着を着せるなんて、まるで……つ、妻……?
いけないいけない!こういうのがめんどくさいのよ、きっと!
でも、そんなに嫌われてないのかな……えへへ///
小鳥「え、ええと……それじゃ右腕から」
P「はい」
そ〜っと、ゆっくり、慎重に……。
うぅ、ぎこちないにも程があるでしょ、私……。
小鳥「こういうの慣れてなくて……ごめんなさい」
P「いえ……嬉しいですよ、こういうのは」
そうですよね、迷惑ですよね……って、え?
嬉しい?嬉しいって……?
そんなこと言われたの初めてかも。ていうか初めてよ、うん。
小鳥「嫌じゃ……なかったですか?」
P「嫌なら頼みません」
小鳥「で、ですよね!」
小鳥「あ、襟直しますね」
P「ん、ありがとうございます」
あ、プロデューサーさん、少し振り向いて……。
え?今ほんとにかすかにだけど、笑いかけてくれた?
うそ……。
小鳥「プロデューサーさん……」
ギュッ…
あれ……?
やっちまったー!!なにすがりついてるの私!?
これじゃ、めんどくさい勘違い女確定じゃない。
でも、プロデューサーさんの背中、あったかいな……。
離れたくない……。
P「音無さん?」
小鳥「……」
P「……」
あれ?プロデューサーさん、少しだけドキドキしてる?
私のドキドキじゃ……ないよね。
いや、私のほうがもっとすごいことになってるけど……。
ええい、ままよ!
今さら被撃墜記録がひとつふたつ増えたところで、痛くも痒くも!
……あるけど、どうせ散るなら華々しく!
小鳥「プロデューサーさんは、私のこと嫌いですか?」
P「?」
P「嫌ってなんかいません。むしろ音無さんのほうが……」
小鳥「私は!」
小鳥「私はこんな、年上のくせにいつも迷惑かけてばっかりで」
小鳥「ちょっと優しくされただけで勘違いするようなめんどくさい女ですけど……」
P「……」
小鳥「プロデューサーさんが好きです!」
言えた。
言えちゃった……。
うん、よくやった私!あとは砕け散るだけだ!
P「音無さん」
小鳥「はい……」
P「ごめんなさい」
あ……。
うん、こうなることはわかってた。
だって、少しでも期待を持てる理由なんて、どこを探してもないんだから。
でも……でも……!
小鳥「う……ひぐっ、うぅ……」ポロポロ
P「……」
泣いてる場合じゃないでしょ、私。
いつまでもみっともなくしがみついてたら、余計嫌われちゃう……。
でも私……こんなにプロデューサーさんのこと好きだったんだ。
ふられてから気づかされるなんて、そんなのあんまりですよ……。
P「そっち向いてもいいですか?」
小鳥「ダメです!見ないでください!」
P「わかりました。じゃあ、このまま話します」
小鳥「え……?」
今、追討ちなんかされたら、私もう立ち直れません。
聞きたくないです……。
P「さっき謝ったのは……俺の誤解と、音無さんを誤解させていたことに、です」
小鳥「誤解……?」
誤解って……?
プロデューサーさんが?私が?
小鳥「わかりません……」
P「なんだか、俺が音無さんのことを嫌ってるみたいに思われてたようで……」
え?嫌ってるのが誤解?
嫌ってないってことですか?
ますますわからなくなってきました……。
小鳥「えと……嫌われてると思い込んでたのが、私の誤解?」
P「ええ」
小鳥「だ、だったら」
P「はい、俺の誤解は……」
P「俺みたいな、年下なのに愛想のないつまらないヤツなんかを」
P「音無さんみたいな綺麗な人が本気で相手にしてくれるわけがない、と」
小鳥「は?」
小鳥「それはつまり……私がちょっと馴れ馴れしくしてたことを?」
P「からかわれているものだとばかり」
小鳥「え、えええ!?」
P「それで、なおさら無愛想な対応をしてしまって……」
小鳥「それを、私が嫌われていると誤解した?」
P「はい」
小鳥「わ、私!年下をからかってやろうとか、そんなことしませんよ!」
小鳥「そんな女だと思われてたんですか!?」
P「そこまでは」
小鳥「言ったじゃないですか!」
P「はい……ごめんなさい」
小鳥「謝っても許しません!」
ま、まだふられたわけじゃないってことよね。
それに、さっき私のことを綺麗な人って……。
お世辞?それとも……。
……。
よし!いけ、音無小鳥!!
小鳥「プロデューサーさんの気持ちを聞かせてくれないと……許しません」
P「俺の……」
小鳥「はい!」
P「……」
早く言ってくれないと、私の心臓が口から飛び出しますよ!
そんなもの見たくないですよね!
小鳥「私の気持ちは、もう言いましたから!」
小鳥「私は、プロデューサーさんが好きです」
P「……」
小鳥「返事を……聞かせてください」
P「俺は……」
P「俺も音無さんが好きです」
小鳥「……しゅき?」
なんでここで噛むのよ!
バカ!私のバカ!
小鳥「す、すす好きって?」
P「言いました。好きです、音無さん」
小鳥「それは……ら、LOVEということで?」
P「もちろん」
小鳥「むしろ、恋人同士……みたいな?」
P「俺でよければ、ぜひ」
小鳥「わ、私ぐらいの歳の女になると……結婚とか迫られるかもしれませんよ?」
P「そのつもりです」
小鳥「え、えと、それからですね……」
P「はい」
小鳥「あは、あはは……」グスッ
小鳥「ひぐっ……」ポロポロ
P「……」
もうダメ、なにも考えられない……。
とりあえず……さようなら、昨日までの私。
P「そろそろ、そっちを向いても」
小鳥「ダメ!絶対ダメ!」
小鳥「恥ずかしくて死んじゃいます」
P「俺も少し恥ずかしいですけど……死にはしませんよ」
クルッ
小鳥「あ……」
振り向いたプロデューサーさんは、少し照れたみたいに一瞬だけはにかんで……。
今まで見たこともないような、優しい笑顔。
たぶん、他の誰も知らないプロデューサーさん。
小鳥「ずるいですよ……」
P「?」
そんなの、もっと大好きになっちゃいます。
だから、私だけのものにしてください。
小鳥「他の子に、そんな風に笑いかけちゃイヤですからね?」
P「え?ああ、そうですね」
P「音無さんだけです」
小鳥「名前で……」
P「?」
小鳥「小鳥って呼んでください!」
P「小鳥、さん?」
小鳥「い、今のうちはさん付けでも許します!」
P「それはどうも」
小鳥「……」
P「……」
小鳥「ぷっ、ふふ……なんですかそれ」
P「はあ」
小鳥「次はちゃんと答えてくださいね」
P「はい」
小鳥「私のこと、幸せにしてください」
P「必ず幸せにします」
小鳥「絶対ですよ?」
P「ええ、絶対に」
小鳥「プロデューサーさんも幸せじゃなきゃイヤですからね?」
P「それは大丈夫です」
P「今、幸せですから」
小鳥「私もです!」
小鳥「大好きですよ、プロデューサーさん!」
Happy End
春香「いつまで経ってもプロデューサーさんが戻ってきません……」
おわり
他のキャラメインで書くつもりが、結局ピヨちゃんになってた
やはり正妻の座は揺るぎない
読んでくれたみんな、ありがとう
よかったら、こっちのピヨちゃんと真美もよろしく
真美「真美と兄ちゃんの、約束の日」
小鳥「私も大好きですよ!」
小鳥「私も大好きですよ!」 - SSまとめ速報
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P「アイドルでサッカーチームをつくろう!」小鳥「いいですね!」
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