モバP「孤独の境界」 (35)

モバマスSSです。

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こんばんは。

短いかもしれませんが、よろしくです。

事務所

P「はい…はい。あ、別日で…はい。了解しました」

ちひろ「どうしましたか?」

P「同じコンセプトの撮影をしたいと」

ちひろ「別日でですか?」

P「えぇ。ロケーションを指定しているのと、撮影は一つのチームがやるみたいで」

ちひろ「なるほどそうなんですね」

志希「へー」

ロケ地

志希「ふふ~ん♪」

P「やけに機嫌がいいな」

志希「そう思う~?」

P「あぁ、そう思う」

志希「理由は?」

P「なんだろうな…桜が綺麗に咲いてるからじゃないのか?」

志希「うーん。まぁ正解にしといてあげるよ」

P「お、それはありがたい」

P「ちなみに模範回答はなんだ?」

志希「そうだねぇ…キミと一緒にいるからかな」

P「…そうか」

志希「あ、もしかして照れてる?にゃはー!カワイイ!」

P「自分ではなんとも言えないな」

志希「代わりにアタシに言ってもいいけど?」

古典シリーズになります。

志希「心が籠ってないなー。冷たい数式みたいだよー」ムー

P「悪い悪い」

志希「ま。今こうやって一緒にいてくれるから許してあげよう!」

P「悪いな」

志希「いいって。予定確認したけど、このあと二人もこんな感じの撮影があるんだよね?」

P「まぁ別日だけどな。周子と夕美だよ」

志希「なーるほど。なんだか二人共似合いそうだよねぇ…」

P「分かる」

志希「おぉ。キミもイケる口だね」

P「自分のアイドルのことならな」

志希「さっすが~」

P「褒めても何も出ないぞ」

志希「あたしを褒めたら何か出るかも?」

P「ブーツに和服っていいよな」

志希「だよね~」

P「結構見るのは好きな恰好だ」

志希「おーおー」

P「卒業式でそんな恰好の人がいたのを思い出すよ」

志希「そうなんだ?」

P「あぁ、大学のだけどな」

志希「へー」

P「あぁ」

P「しかし、ここのスタッフも気前がいいな」

志希「撮影前から着せてくれるなんてねー」

P「まぁ、志希が興味深々っぽかったからかもしれないけどな」

志希「それだったらあたしの功績だね」

P「そうだな」

志希「桜って綺麗だよねー」

P「綺麗だな」

志希「例えばだけどさ」

P「うん」

志希「ここに咲いてる桜は何十年も咲いてたものもある訳でしょ?」

P「そうだな」

志希「あたし達が生まれる前だってこうして春には花を付けてたわけでしょ?」

P「そうなるな」

志希「きっと、あたし達みたいに桜を見ながら歩いたんだろうねぇ」

P「だろうなぁ…」

志希「この春の匂いってのはもしかしたらずっと変わらないかもね」

志希「いつの時代も。草木が目覚めて桜が薫るこの匂いは」

P「なんか詩人だな」

志希「キミに影響されたのかな?」

P「どうだろうな」

志希「桜の匂いを覚えたら、きっといつだってあたしはキミとこうやって歩いたことを思い出すよ」

P「気に入ってるんだな」

志希「まぁね。流石にこの季節を味覚で味わうことは出来ないけどねー」

P「……」

志希「だ、黙らないでって! …あたしだって恥ずかしくなるじゃん」カァァ

P「ははは」

志希「どうせだったらキミも大正っぽい恰好をすればよかったのに」

P「俺は撮影に出ないからな」

志希「そうかもだけどー」

志希「今日は他の皆は?」

P「ちひろさんが見てくれてるよ。レッスンとかが多かったかな」

志希「そっかー。今日はキミを独り占めできる訳か」

P「…あんまり大きな声で言うなって」

志希「はーい」

志希「ハイカラな感じで、大正浪漫って感じがするけどさ」

P「するな」

志希「実際、大正時代は自由恋愛とかが盛んだったらしいよ。忘れたけど」

志希「アイドルがとかプロデューサーがとか。そんな肩書よりもっと重いものすら愛の前では無力だったんだろうねぇ」

P「最後に愛は勝つってか」

志希「かなー」

志希「そっかー独り占めかー……」

P「どうかしたか?」

志希「ん?」

志希「今から二人で失踪しようかなって」

P「おいおい……」

志希「意外に楽しいと思うんだけどなぁ…」

P「楽しいのか?」

志希「なんか逃避行って感じで」

P「間違いなくちひろさんに追われるな」

志希「あははは」

志希「逃げるんだったらさー」

P「仮定の話な」

志希「うん。どうせだったら誰も追ってこれない所に逃げようよー」

P「今日びそんなところなんてあるか?」

志希「今日はないね。だからタイムスリーップしようよ!」

P「タイムスリップか…」

志希「そーそー、キミと一緒ならいいかなって」

P「全然元に戻れなくて泣いてたのにな」

志希「あれだって今想えばそんなことなかったなって」

志希「こうやってキミの隣に来るまで、たまたま遠くから歩いてきただけ。それだけのことなんだよね」

志希「たった一夜。匂いを辿って歩いただけのことだったんだ」

P「そうだったな」

志希「うん。もし、キミの隣にいれるんだったら今度は戻ってこなくてもいいかなぁ」

P「例えば俺がタイムスリップの衝撃で記憶を無くしててもか?」

志希「うん。だってキミはキミだし」

P「志希……」

志希「それに記憶くらいあたしの作った薬で思い出させてみせるよ!」

P「永遠に記憶が忘却の彼方に消えそうな気もするんだが…」

志希「元々忘れてるんだから問題ないって」

P「それもそうなのかもしれないけど」

志希「それに大丈夫だって。もし忘れててもさ」

P「五感を使って思い出させるってか?」

志希「話が早いね」

ロケ地

志希「撮影までまだ時間あるー?」

P「少しはな」

志希「ん。ありがと」

P「どうかしたのか?」

志希「ちょっと座って景色を見たいなぁって」

P「そうか」

志希「キミは当然隣にいなきゃだからね」

P「はいはい」

志希「それでよろしい♪」

志希「あっちの方さー」

P「あっち?」

志希「ほら、橋の向こう」

P「うん」

志希「あっちも昔はこっちと似たような感じだったのかなぁ?」

P「開発される前はそうだったかもなぁ。森とかそんな感じだったのかも」

志希「古いままがいい。そんな風には思わないけど、残ってても欲しいなぁって思うよね」

P「まぁなぁ」

志希「キミともいつまでもこんな風にいれないのかな」

志希「街並みが変わるように関係も変わっていったりするのかな」

P「どうだろうな」

志希「そこは否定してくれると嬉しいんだけどねー」

P「悪い悪い」

P「それに、変わったとしてもさ」

志希「うん?」

P「匂いで思い出せるんだろ?」

志希「んふふふ」ニコニコ

P「どうした?」

志希「それってさ、つまりあたしの匂いをもっと嗅ぎたいってこと?」

P「そういう訳じゃないけどさ」

志希「ホント、キミといる飽きないよ♪」

P「…全く」ハァ

志希「先生!」

P「どうかしたか」

志希「足が疲れちゃいました!」

P「今座ってたろ」

志希「んー…座ってたら更に的な?」

P「おいおい」

志希「キミがおぶってくれるのを期待してるんだけど…」チラ

P「少しだけな」

志希「さっすがー☆」

P「それと、一応目立つとアレだから俺の上着着てろ」

志希「はーい」ハスハス

志希「お、ほっ!」

P「あまり抱き着くとその…」

志希「んー?」

P「いや、なんでもない」

志希「そっか~」スリスリ

P「おいおい…」

志希「んー?」

志希「キミってさー」

P「どうした?」

志希「あたしだけじゃないと思うけど、アイドルの言った我儘って結構聞いてくれるよね」

P「アイドルだからな」

志希「アイドルだからなにを言ってもいいってこと?」

P「そういうわけじゃないけどな」

志希「嫌なことは嫌って言ってもいいからね?」

P「大丈夫だって」

志希「ならいいけど~」

P「甘さと優しさをはき違えてるつもりはないから」

志希「なら良かった」

P「あぁ。志希に頼まれても出来ないことだってあるさ」

志希「例えば?」

P「それはその時にならないと分からない」

志希「あ、分かった!」

P「なにがだ」

志希「えーっと…かぐや姫が色んな人に取って来いとか言ったやつは流石にキミでも無理でしょ」

P「そういう意味じゃないんだけどな」

志希「ありゃ違った?ごめんごめん」

志希「しかし、綺麗な桜だね~」

P「そうだな」

志希「あ、あっち面白そう!ゴー!」

P「あっちってどっち?」

志希「あの桜が森みたいになってるところ」

P「なにをするつもりだ…」

志希「別にー?知的好奇心だよ」

P「降りるなら考える」

志希「ちぇー」ヒョイ

P「知的好奇心のが強いんだな」

志希「理系だからねー」

P「なるほどな」

志希「ひゃー」

P「なんかすごいな」

志希「気づいた?なんだか知らないけどここだけ凄い静かじゃない?」

P「確かにな。外から見たら気づかなかったけど、なんか独特の雰囲気がある」

志希「なんだかちょっと不気味だねー」

P「なんかな」

志希「てやっ」

P「お、おい。寝転ぶなって」

志希「大丈夫だよ。花びらが積もってるし」

P「…それでも」

志希「キミの上着が汚れたら洗濯して返すからー」

P「気をつけろよ?」

志希「うん」

志希「いやーいいねーこの雰囲気」

P「そうだな」

志希「キミも座れば?」

P「そうするか」

志希「こうやって桜に包まれてるとここが現実とは思えないよね~」

P「幻想的だな」

志希「だねぇ…日差しは暖かいし言うことないよまったく」

P「そうだなぁ。気持ちいいなぁ」

志希「…ふわぁ」

P「待て。寝るのは仕事終わってからにしろ」

志希「えー、志希ちゃんむりー♪」

P「言うこと聞けって…」

志希「キミが寝かしつけてくれたら永遠の眠りにつけるんだけどなー」

P「起きてくれよそこは…」

志希「さて、問題!」ビシ

P「いきなりどうした」

志希「永遠の眠りを解く鍵はなんでしょう?」

P「あー……」

志希「あっ!その顔は分かったって顔だねぇ。それじゃ志希ちゃんは今から永遠の眠りにつくから時間になったら起こしてね~」

P「あ、おい!」

志希「ぐー。すぴー。すやー♪」

P「全く」

P(仕事まであと何分だったかな…)

志希「……」スゥ

P「本当に寝たのかよ」

P「しかし…なんか不思議な感じだな」

P「なんて言うか…自分が自分で無くなる気がする」

P「とりあえず、この寝坊助を起こさないとな…」

P(かと言ってあんなことをするわけにはいかないし…)

P「ていっ!」ビシ

志希「…いたい」

P「起きたな」

志希「浪漫もへったくれもないね」

P「悪いな」

志希「別にいいけどね。ここがとってもロマンチックだし」

志希「あたしってさー、天才って言われてたんだ」

P「みたいだな」

志希「まぁ、巷でってことだけどね」

P「あぁ」

志希「その時と似てるかなー。こう寝転んでればその内あたしもこの一部になって溶けちゃいそう」

志希「天才って天から与えられた才能ってことだから、アタシを指す言葉じゃないとか思ってたなぁ」

P「そうか」

志希「そうなんだよね~。今は関係ない話だけど」

志希「いこっか。仕事が待ってるしね」

P「あぁ。そうだな」

志希「うん。まだあたしは孤独には堕ちないから」

志希「皆が、キミがいるからね~にゃはは」

志希「ていっ」ポコッ

P「いてっ」

志希「うーん…?」

P「どうした?」

志希「文明開化の音がするかなって」

P「…色々とツッコミたいが流しとく」

志希「そっかー残念」

P「ちなみに志希の頭を叩くとどうなるんだ?」

志希「さぁねー。あまり強く叩いたら走馬灯が見えるかもしれないけど」

P「アイドルをそこまで強く叩く奴はいないぞ…」

志希「あ、もしくは星が見えるかも」

志希「文明開化じゃないけどさー」

P「どうした?」

志希「自分の知らないことや物が入ると最初は戸惑うよね」

P「だなぁ」

志希「でもきっと新しいことってのは劇物だよ」

志希「刺激にやられちゃうかもそれないよね」

P「確かにな」

志希「そうならないようにするのがキミの役目なのかもね」

P「やられないようにするってことか?」

志希「そそ。アイドルをお花に例えるなら劇物はきっと凄い効くって評判の肥料だね。ぐんぐん育つけど、やりすぎると枯れちゃうから注意!」

P「上手いな」

志希「キミに刺激を受けたのかもねー」アハハ

志希「ちなみにさー」

P「どうした?」

志希「もう永遠の眠りから覚めちゃった志希ちゃんだけどさー」

P「おう」

志希「キミの答えが聞きたいなって」

P「答え?」

志希「そ。永遠の眠りを解く鍵だね」

P「大方キスだろ?」

志希「流石だねー」

P「定番だからな」

志希「王道って一番人気があるから王道って言うだよね」

P「だなぁ」

志希「呪いをかけるのも解くのも口って考えると凄いよねぇ」

P「言われてみればそうだな」

志希「いつかキミにも呪いを掛けてあげるよ」

P「え?」

志希「ふふっ」

志希「その呪いはね、言葉の媚薬って言えるかもね♪」

終わりです。
読んで下さった方ありがとうございました。

今回は原稿の関係上、短くてすみません。

まさか、今回の月末で劇場も含めて古典シリーズで出ている面々が出まして大変うれしく思います。

正直な話、周子と夕美は劇場の雰囲気にこっちでの話が飲まれてしまいそうで不安なので練りたいと思います。

解説 今回参考にしたお話の一つに 坂口安吾「桜の森の満開の下」
    というお話があります。青空文庫でも読めますのでお時間のある方は是非。
    正直うまく解説する自信がないので、読んでいただければと思います。

なにかありましたら。

tumblrは合間を見て更新出来ればと思います。

おつでした

劇場の相葉ちゃんがかわいくて仕方がない

>>31

あれの後に書くのは相当練らないといけないですね…!

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