電「司令官はハグ魔」 (325)

電(司令官は、ハグ魔です)

コンコン

響「司令官、遠征から戻ったよ」ガチャ

提督「お疲れ響! 大成功だ、よくやったぞ!」

ぎゅーっ

響「……хорошо♪」

電(艦娘を褒める時はもちろん、慰める時も、叱る時も必ずハグをしようとしてきます。セクハラを通り越して痴漢で捕まってもおかしくない行為なのですが、今ではそれも当然のもののようになっています)

ぱっ

提督「じゃ、また明日もお願いするから、今日はゆっくり休んでてくれよな」

響「…………うん、了解した」

バタンッ

提督「さ。後の遠征メンバーは古鷹、羽黒、曙だな。電、曙を呼んでくれ」

電「はいなのです」


電(その後、司令官はいつも通りハグしようとしていつも通り曙ちゃんに蹴り飛ばされました)




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1427796110

電(私は司令官の初期艦で、それ以来ずっと秘書艦を務めてきました。
司令官は贔屓目無しに見ても優秀で、決断は素早く、それでいて正確で、艦娘達に対する態度も優しく、多くの艦娘達が思い浮かべる理想の提督そのものでした)

提督「電」

ぎゅーっ

電「……司令官、誰かと間違えてないですか?」

提督「間違えるわけないだろう! 後ろから抱きついた時に腹に当たるこの髪留めの感触は間違いなく電だ!」

電(でも、その正体は女の子に抱きつくのが趣味の変態さんなのです。着任当初のあの甘酸っぱい気持ちも、一年もたてば何処かへ消えてしまいました)

提督「しかし、何をやっているんだ羽黒のやつ。もう呼び出しをかけてから10分は立ってるぞ」

電「羽黒さんは司令官が苦手なのではないですか?」

提督「まだまだコミュニケーションが足りないか……」

電「多分そのコミュニケーションのせいだと思うのです」

提督「そんな馬鹿な」

ぱっ

提督「俺だって嫌がっている艦娘にはしないようにしてるし、羽黒だって今まで一度も嫌だと言ったことは無かったじゃないか」

電「それは多分、羽黒さんが司令官からのコミュニケーションを拒むのを悪いと思ってるからだと思うのです」

提督「そんなことーー」

コンコン

羽黒「あっ、あのっ、は、羽黒です!」

提督「入っていいぞ」

ガチャ

羽黒「ご、ごめんなさい、遅くなりました……」

電(羽黒さん、司令官と目を合わせようともしてないのです)

提督「いいさいいさ。遠征お疲れ様」

すっ

羽黒「…………っ!」きゅっ

電()



ぱっ

提督「俺だって嫌がっている艦娘にはしないようにしてるし、羽黒だって今まで一度も嫌だと言ったことは無かったじゃないか」

電「それは多分、羽黒さんが司令官からのコミュニケーションを拒むのを悪いと思ってるからだと思うのです」

提督「そんなことーー」

コンコン

羽黒「あっ、あのっ、は、羽黒です!」

提督「入っていいぞ」

ガチャ

羽黒「ご、ごめんなさい、遅くなりました……」

電(羽黒さん、司令官と目を合わせようともしてないのです)

提督「いいさいいさ。遠征お疲れ様」

すっ

羽黒「…………っ!」きゅっ

電(提督が近寄っただけで身が縮こまるとは重症なのです)

提督「…………あー……その、お疲れ様。もう部屋に戻ってていいぞ。また明日もよろしく」

羽黒「……えっ? あ、あの、司令官さんのいつもの抱きつきは……」

提督「いや、嫌がる娘にやるほど俺は変態じゃないよ。ごめんな、今まで」

羽黒「……………………えっ。あっ……」じわぁ

提督&電「「!?」」

提督「はっ、羽黒!? 本当に申し訳なかった! そこまで嫌だったとは!」あたふた

羽黒「ちっ、違うんです! そのっ、あのっ……。しっ、失礼します!」


バタンッ!


提督「嘘……だろ……? ここまで嫌がられるなんて……」

電(……司令官は絶望していますが、多分あの反応は違うのです。遅れたのも、おそらく嫌がっていたというよりは心の準備が足りなかったんじゃないでしょうか)

提督「そんな……だって……こうすればいいって……………」ぼそぼそ

電(……羽黒さんには悪いですが、このまま少しは自重してくれるといいのですが)



翌朝



提督「本日より再びろ号作戦が開始される! 目標は敵輸送船50隻! お前らなら心配無いと思うが、油断は禁物! 疲れはしっかり抜いて、ゆっくり確実にやること! 頑張ってこい!」

電(そこには潜水艦娘一人一人にハグをする司令官がいました。全く懲りてないのです)


電(それと、あれから羽黒さんは出撃に積極的になり何度もMVPを取ってくるようになりました。でも、司令官のハグはまだもらえてないのです)

トリップの付け方これであってますかね?

こんな感じで、チマチマとやっていく予定です。よろしくおねがいします。

電(今では司令官の猥褻行為がコミュニケーションの一つだと認知された鎮守府ですが、それに対する艦娘達の反応にはいくつかのパターンがあります)


提督「ったく……。一人だえで行きすぎるなって言ってるだろ?
もっと自分を大事にしてくれよ、な?」

ぎゅー

夕立「ぽい……♪」


電(好意的に受け止めて、幸せそうに抱擁を受ける娘)


提督「なんであそこで駆逐艦を狙った? 狙うべきなのは空母だって知ってんだろ? お?」

ぎゅー

北上「いやー、やっぱ難しいよねー、この船」背中ポンポン

提督「……お前軽巡のころから駆逐艦ばっか狙ってなかった?」

北上「…………さあ」


電(司令官のハグには特に反応せず、抱きしめられながら日常会話もする娘)


提督「曙、さあ、おいで」

曙「こっちくんな! このクソ提督!」げしっ

提督「はっはっはっは」

ぎゅーっ

げしっげしっげしっげしっ


電(表向きでは嫌がったり拒否したりするけれど、そのやりとりをなんだかんだ楽しんでいる娘。色々な子がいます。ですが)


ぎゅー

電「司令官。お手紙が届いてるのです」

提督「ん、りょーかい」カサッ

電(きっと、司令官の膝の上で一緒に執務をするのは電だけなのです)

提督「……ん、電。ちょっと抱き心地が柔らかくなったな」

電「電の本気を見るのです!」がすっ

提督「顎に頭がっ!」

電(今では司令官の猥褻行為がコミュニケーションの一つだと認知された鎮守府ですが、それに対する艦娘達の反応にはいくつかのパターンがあります)


提督「ったく……。一人だえで行きすぎるなって言ってるだろ?
もっと自分を大事にしてくれよ、な?」

ぎゅー

夕立「ぽい……♪」


電(好意的に受け止めて、幸せそうに抱擁を受ける娘)


提督「なんであそこで駆逐艦を狙った? 狙うべきなのは空母だって知ってんだろ? お?」

ぎゅー

北上「いやー、やっぱ難しいよねー、この船」背中ポンポン

提督「……お前軽巡のころから駆逐艦ばっか狙ってなかった?」

北上「…………さあ」


電(司令官のハグには特に反応せず、抱きしめられながら日常会話もする娘)


提督「曙、さあ、おいで」

曙「こっちくんな! このクソ提督!」げしっ

提督「はっはっはっは」

ぎゅーっ

げしっげしっげしっげしっ


電(表向きでは嫌がったり拒否したりするけれど、そのやりとりをなんだかんだ楽しんでいる娘。色々な子がいます。ですが)


ぎゅー

電「司令官。お手紙が届いてるのです」

提督「ん、りょーかい」カサッ

電(きっと、司令官の膝の上で一緒に執務をするのは電だけなのです)

提督「……ん、電。ちょっと抱き心地が柔らかくなったな」

電「電の本気を見るのです!」がすっ

提督「顎に頭がっ!」

電(司令官はハグ魔です)

シュッシュッ

提督「……電、もうニオイは消えてるか?」

電「はい。もうタバコのニオイは無いのです」

電(だからか、艦娘の嫌がる匂いを体に付けるのをとことん嫌います。今も大本営から帰ってきてすぐに服を着替えた後、消臭剤を使って体に染み付いたタバコの匂いを消そうとしてるところです。)

提督「まったく、戦況が良くなって嗜好品が手に入るようになってから一気に紙タバコをする幹部が増えやがった。嫌煙家には辛いぜっ、と」

電(そう言いながら司令官はやけに大きな段ボールを取り出しました。司令官が帰ってくるのと同じくらいの時、鎮守府に司令官名義で送られてきたものです)

電「司令官、その中身はなんなのですか?」

提督「ふっ……知りたいか?」ガサゴソ

電(いえ、そこまでは)

提督「ま、電にも知っといて貰わないとな。じゃーん!」

電「……ガラスの置物……ですか?」

提督「これは水タバコっていうんだ。この本体の他にもちまちま部品はあるんだけどな。西アジアのほうで発達したタバコなんだとよ」

電「言ってることとやってることが違うのです」ハァ

提督「まあまあ話を聞けって」

ぎゅーっ

電「…………」

提督「この水タバコと一緒に、煙草の葉を使うところにサトウキビとかの食用植物を使ったペーストを買ってきたんだ。これならお前たちにとって嫌な匂いもしないはずだ! むしろ女の子の好きな甘い匂いさ!」

電「……まあ、執務に支障が出ない程度にして欲しいのです」

ぱっ

提督「じゃ、早速セットするからこれに水汲んできてくれ」

電「海水でいいですね?」にこっ

提督「はっはっはっ、このー」

ぎゅーっ






電(それ以来、司令官のハグを受けた艦娘達の何人かが、司令官に染み付いた水タバコの甘い匂いが癖になり積極的にハグを受けようとするようになりました。司令官は初めからこれを狙っていたのでしょうか)

赤城「失礼します」ガチャ

提督「赤城? どうしたわざわざ」

コポコポ

電「司令官、一度水タバコから口を話すのです」

提督「失礼。で、赤城はどうしたんだ? 確か艦載機の開発を任せてたはずだけど」

赤城「はい。先程、烈風の開発に成功したので、その報告に参りました」

提督「おお……!」ガタッ

ぎゅー

提督「よくやったぞ! これでウチの空母全員に烈風を搭載させてやれる! 流石赤城だ!」

赤城「上々ね♪」

電(あの反応……。明らかに報告云々は建前なのです。本当は提督のハグを目当てにわざわざ工廠から執務室にやってきたに違いないのです)

赤城「すんすん……。提督、今日のフレーバーは林檎ですか?」

提督「わかるか? 中々いい香りだと思ってるんだが、赤城はどうだ?」

赤城「……ええ。とても良い香りだと思います」ぎゅーっ

電(赤城さんも昔は司令官のハグをやんわりと断っていたのに、司令官に何をされたのかあのMI作戦以降は受け入れるようになり、司令官が水タバコを嗜むようになってからは自分からより強く抱きつくようになってしまいました)

提督「ん、水タバコを片付けないとな。赤城ももう戻っていいぞ」

ぱっ

赤城「はい……」ぽーっ

電(……赤城さんのあの蕩けた目はまずいのです。スイッチが入りきる前に司令官から離さないと)

電「司令官、水タバコの片付けは電がやっておくのです。それよりも、そろそろ司令官さんの上司さんが来る時間なのでお迎えの準備をするべきだと思うのです」

提督「なぜそういうことを早く言わないんだ!」ダッ!

電(ごめんなさい司令官。本当は明日なのです)

赤城「…………提督……」



電(あの後、すぐに赤城さんは正気に戻って空母宿舎へと帰りました。そして電は司令官に「はわわ、間違えてしまったのです。司令官さん、ごめんなさい」と謝って軽く許してもらいました。
………………それから夕食の時間まで、
ずっと抱かれっぱなしの刑に処されましたが)

提督「電は風邪で休み、か」うーん

提督「別に重要な案件がある訳でもないけど、簡単な書類仕事がたんまり溜まってるんだよなあ……。一人でやっても効率悪いし……」

バタンッ!

提督「ん?」

金剛「Hey! 提督ゥー! 話は風の噂で聞きましタ! 私が電のかわりにお手伝いするデース!」ぴょーん

がしっ

提督「そうかそうか! 手伝ってくれるのか金剛!」ぎゅーっ

金剛「Yes! 私の秘書艦としての実力、見せてあげるネー!」ぎゅーっ

金剛(これはChanceネ! ここで提督のハートをGetできれば、電の代わりに私が秘書艦として提督のHugをずっと受けられマース! 私は食らいついたら離さないワ!)

提督「じゃ、金剛。こっちに来てくれ」膝ぽんぽん

金剛「…………What?」


10分後


金剛「テ、提督っ、あのっ、耳にっ、息がっ、あっ♪」くねくね

提督「金剛、あんまり体を動かさないでくれ。手がブレる」カリカリ

金剛「でもっ! でもっ!」

提督「一回体勢を整えるぞ」

ぎゆっ

金剛「------っ?!」ビクンッ

提督(どうしたんだ、コイツ。トイレか?)

提督「………………うん、今日の分はこれで終わりだ。ありがとな、金剛」

金剛「……えっ、でもまだ少ししか……」

提督「後の書類はまだ資料が集まってないから今は出来ないんだ。それより、後でどこかに食事に行かないか? 今日のお礼ってことで」

金剛「…………提督が、そういうなら……」むすっ

提督「よしよし。……おや、そろそろ遠征部隊が戻ってくる時間だ。金剛、もう戻っててもいいけどどうする?」

金剛「じゃあここに…………あっ」カァッ

金剛「しっ、失礼するネ! 今日のDinner楽しみにしてマース!」

バタンッ!

提督(やっぱりか)


コンコン

提督「おお! お帰り! ドラム缶積んで大変だったろう? お疲れさま!」ぎゅーっ


翌日

電(昨日、電が風邪引いて休んでからというもの、金剛さんの電への態度が変わりました。前までは隙あらば電から秘書艦の立場を奪おうとしていたのですが、最近では秘書艦という単語を聞くと顔を真っ赤にしてしおらしくなってしまいます)

電「司令官。電が休んでいる間、金剛さんに何をしたのですか?」

提督「いや、書類仕事を手伝ってもらっただけだが」カリカリ

コポコポ

電「司令官、水タバコを吸いながら書類仕事をするのを止めるのです」

提督(……昨日やるはずだった分も大量に残ってるんだ。タバコでも吸いながらじゃないとやってられないっつうの)カリカリ コポコポ

電「司令官? また顎に頭突きを食らいたいですか?」ニコニコ

提督「やっぱ電くらいの大きさが仕事をするには丁度いいな」ぎゅー

電「電は誤魔化されないのです」がすっ

提督「舌噛んだ」ヒリヒリ

電「新しい潜水艦の派遣、ですか?
お茶淹れてきたのです」

提督「お、ありがとう。
この前大本営に行った時、上司に潜水艦が足りない云々を愚痴ってたんだ。まさか本当に融通してくれるとは思ってなかったが」ズズーッ

電(新しい艦娘ですか……。また司令官の痴漢行為の被害者が増えてしまうのです……)ハァ

提督「俺も今のところそれしか知らされてなくてさ。複雑な事情があるから直前になったら連絡するとは言われたんだが……」

電「なんでそんな怪しい話を承諾したのですか!?」

提督「この話を通してくれた人は信用できる人だ。悪いことにはならない。…………きっと」

電「そんなーー」



ジリリリリン!ジリリリリン!


提督「電話……? 執務室に直接だと? もしもし」ガチャ

電(さすがの司令官でもちょっと険しい表情をしながら電話に出ました。そういえば、ああいう顔を見るのも久し振りな気がするのです)

提督「…………は、ドイツの外交官? 早口で聞こえねーよ! てか日本語で話せ! 聞き取れない! は? よろしく? ちょっ、なんの話ーー」

提督「…………言うだけ言って切りやがった」

電「今、司令官はドイツと言ったのです。確か司令官はドイツ語を話せたのではないですか?」

提督「ありゃドイツ語じゃない。発音の仕方が丸っきり違った。すまないが電、手紙を……いや、遅いな。電文打つか。書類でなら何て言ってるのかわかるだろ」ガサゴソ

電「コンピュータなら司令官が今朝倉庫に放り込んでいたのです」

提督「おお、そうだった! ありがとう電!」

電(こんな些細な事でも一々お礼という名目でハグしてくるのです。本当、司令官はハグ魔なので……)

電「…………あれ、司令官、今日は珍しくハグしてこないのですね」

提督「何言ってんだ、あの電話が一刻を争う要件だったらどうする。そういうのは全部終わってからだ」カタカタカタ

電「…………まあ、そうなのですが……」

電(ちょっと調子が狂うのです)

提督「……よし。こんだけ念を押せば今日中に返事をよこしてくれるだろ」カタッ

電(かと言って、自分から抱きつきにいくのもちょっと、じゃなくてかなり抵抗がありますし……)

提督「お、もう返事が来た。何々…………?」

電(………………もうっ!)

電「なんで司令官のためにこんなに悩まなくちゃいけないのですかっ!」クワッ

提督「はいっ!?」ビクッ

いつもは1レス完結ですが、ちょっとだけ続きます

電「いや、何でもないのです。早く電文を読むのです」

提督(電もなんだかんだ変な子に育ったよなぁ)

提督「ま、いいか…………ふむふむ。なるほどなるほど、そういうことか……」フゥー

電(司令官は電文に目を通した後、何かを考えているようにぼーっと虚空を見つめていました)

電「……司令官。なんと書いてあったのですか?」

提督「……電。大至急航空巡洋艦二人、軽巡二人、駆逐二人の艦隊を編成し、南西諸島海域へ出撃せよ。旗艦はお前だ」

電「…………はい?」

提督「その派遣艦娘ってのがドイツからの派遣艦だったんだ! さっきの電話もその艦娘が元所属してた施設からの連絡だったんだよ! しかも艦娘一人でドイツから日本まで海を渡って来るだと!? 何考えてんだ! バッカじゃねえの!?」ガタッ!

電(そういうと司令官はここの鎮守府に所属している艦娘達の名簿を取り出し、南西海域の地図を机に広げました。電は邪魔にならないよう一歩下がります)

提督「向こうの話では一週間後にはこちらの領海に入るらしい。だが出発したのは三ヶ月前だ!三ヶ月だぞ!? そんな長い間一人きりで……っ!」

電(何で司令官はこんなに憤っているのでしょうか。艦にとって三ヶ月の長い船旅なんて別に珍しくないのです)

提督「とにかく! 早く迎えにいってやるんだ!」ガチャ!

電(そうまくし立てると、司令官は電話を取って鎮守府内に放送で呼び出しをかけました)




提督「いいか、その艦娘の名前はドイツの潜水艦、U511だ。頼んだぞ、お前たち」

「「「はい!」」」


電(こうして、私達は急遽南西諸島海域へ潜水艦探しへ向かうことになりました)

【三日後・南西諸島海域・バシー海峡付近】

ザザザザ……

電「司令官、バシー海峡を抜けたのです」

提督《了解。連絡によればその付近を通るらしい。ソナーも使ってよく探してくれ》

電「了解なのです」

鈴谷「…………! 提督! 観測機が単艦でこちらに向かう潜水艦を発見したって!」

提督《なんだと!? でかしたぞ鈴谷! きっとそいつがU511だ!無線と同時に発光信号で連絡を試みつつ合流し、護衛をしながら戻ってこい! 》

「「「了解!」」」




【鎮守府】

電(あれから三日後。U511ちゃんを発見した私達は彼女を連れて鎮守府に帰投し、十分な補給をした上で執務室へ連れて行きました)

U511「ドイツ海軍所属、U511です。ユーとお呼びください。少し遠出してきました。よろしくお願いしま…………」

ぎゅーっ!

提督「全然少しじゃないだろ! 長かったろ!? 寂しかったろ!? 大変だったろ!? ここならゆっくり休んでいいからな!?」ぎゅー

U511「……これが、この艦隊のあいさつ?」

電(まさか一発目からやらかすとは思わなかったのです)

電「司令官。国際問題になるからやめるのです」

ごつん

提督「だってこんな儚げな娘を……!」ぱっ

電(司令官が彼女を解放した瞬間に彼女をこちら側に引き寄せます)

電「ごめんなさいなのですユーちゃん。先に電がここを案内するのです」

U511「え? えと……Danke」

電(この子を早く司令官から引き離さないといけないのです!)

バタンッ

提督「………………どうしたんだ。電のやつ。
ま、とにかく! 熊野! 鈴谷! 五十鈴! 那珂! 夕立! 電……は居ないか。急な出撃だったにも関わらず、よくやってくれた!」ぎゅー

鈴谷「……提督ってさ、やっぱロリコンっしょ?」 ぎゅー

提督「なぜそうなる」ぎゅー

熊野「……ご自分のやったことをよーく考えてみれば分かりますわ」ぎゅー

提督「別にいつも通りだろ。なあ五十鈴?」ぎゅー

五十鈴「少なくとも変態なのは間違いないわ」ぎゅー

提督(やっぱ五十鈴は改二になってから抱き心地が抜群によくなったなぁ……)

夕立「夕立は、提督さんがロリコンさんでもいいっぽい!」ぎゅー

提督「かわいい」ぎゅー

那珂「あ、那珂ちゃんアイドルだからハグとかそういうのダメなんで」

提督「えぇ……」しょぼん

【一時間後】


プルルルル……

大将『もしもし』

提督「俺です。例のドイツの潜水艦、無事到着しましたよ」

大将『おお! そりゃあよかった!』

提督「俺があなたに潜水艦が欲しいって言ったのが一ヶ月前、あの子がドイツを出発したのが三ヶ月前。向こうの外交官は何故か超早口な鹿児島弁で連絡をよこし、その連絡も到着一週間前。……っていうトンデモな状況じゃなかったらよかったんですがねぇ……!」

大将「がっはっはっは! いやあ悪かったな! 本当は別の鎮守府に配属される予定だったんだが、少々トラブルがあって急遽お前のところに送らせてもらったんだよ」

提督「大将! 俺が怒ってるのはそんなことじゃあありません!」

大将『……ん?』

提督「俺が聞きたいのは、なんであんな小さい娘に三ヶ月もの長い旅をさせたのかってことです!」

大将(やっぱこいつ変なやつだなあ)

提督「しかも一人で! 地球半周! 酷だと思わないんですか!?」

大将『……決して重くない艤装を一緒に送る必要があるため、空路は無理。陸路でユーラシアを横断するのもコストがかかりすぎるため、無理。となると海だが、ドイツから喜望峰を回るルートでも、太平洋と大西洋を渡るルートでも日本に来るには深海棲艦の勢力圏を通る必要があるため、水上艦で行くよりは潜水艦のみで潜航したほうが安全だ』

提督「でもですね! そんな数字であの子の……」

大将『それにほら、よく言うだろう』

提督「……はい?」

大将『かわいい子には旅をさせろ』

提督「………………わかりました」すごすご

大将(変なやつだなあ)

大将『何にせよ、あの子はドイツ軍との友好の証でもある。くれぐれも無茶はさせないようにな』

提督「もちろんです! それでは失礼します!」

大将『お、おう』


提督「………………ふぅ」


コンコン

電「電です」

提督「おいで」

ガチャッ

提督「どした?」

電「はい、それがですね……」


「「てーとく!(司令官!)」」バーン!


提督「ん?」

58「どういうことでちか!」

168「説明してもらうわよ!」

提督「おお、我が鎮守府に二人しかいなかった潜水艦コンビじゃないか。どうだ、ユーは。いい子だろ?」

168「その新入りについてよ!」

提督「……うん?」

電「それがですね……」

58「挨拶した途端に新入りにハグされたでち! 一体何を吹き込んだの!」

提督「なんと……!!」キラキラ


電(なんでこの人は嬉しそうな顔をしているんでしょうか……)

間が空いてすみませんでした。ひとまずこれで区切りになります。この後ユーは新しい提督の被害者ということで鎮守府に仲間入りを果たしました。

友達ができるかどうか不安になってるユーを力いっぱい抱きしめたい

電「ヒトマルマルマル。司令官、そろそろお休みになったらどうですか?」E:ピンクのパジャマ

提督「え、もうそんな時間か」E:寝巻き

電(司令官は書類仕事を溜めて一気にこなすタイプです。電もそれに付き合うことになるので無理をするのは控えて欲しいのですが)

提督「んじゃ、ラストスパートかけますか」のびーっ

電「言ったそばから……」

提督「えーっと後は……、よし、うん。
電。後の書類は俺一人で充分だからもう部屋に戻って寝ていいぞ。付き合ってくれてありがとな」ぎゅーっ

電(…………こういうのがあるからいやなのです。毎回毎回、電を途中で帰して自分は一人で仕事を続けて。親が子供をなだめるようにハグをして)

電「…………おやすみなさいなのです」

提督「おう。おやすみ」


バタンッ


【三十分後】


提督「よーっし、おしまい! これで明日はのんびりできるな!」


【提督の寝室】
ガチャッ

提督「ねむ……」


ベッド「すー……すー……」


提督(……まーた誰か入ってるし……)

さっ

時津風「しれー……しれー……」すやすや

提督(今日は時津風か……)

提督「ま、いいや」ごそごそ


ぎゅーっ


提督「あったかいなぁ……」ぎゅーっ

時津風「しれー……♪」ぎゅーっ



提督の抱き枕で閃いたので書かせていただきました。ネタ提供ありがとうございます。


時津風は絶対体温高い。絶対あったかい。

電(司令官はハグ魔です)

提督「うーむ……」

電(司令官のコミュニケーションは力ずくに壁を突き破ってくるタイプのそれで、なんだかんだ艦娘達もそれをきっかけに心を開くようになりました)

提督「ぐぐぐ……」

電(そんな提督が唯一苦手としている艦娘がいます)

提督「駄目だ! あいつとのコミュニケーションのとりかたがまったくわからん!」

電(それが、那珂ちゃんです)

提督「大体あいつの拒否の仕方が意味わかんねえんだよ! いいじゃないかアイドルがハグしたって! 海外ロケとか行った時どうすんだよ!」ウガー

電(那珂ちゃんは鎮守府ではそれなりの古株さんなのですが、一度として司令官のハグを受け入れたことはありません。必ず『那珂ちゃんはアイドルだから、そういうのはダーメッ☆』と、ひらりと司令官をかわします)

電「それはつまり司令官のハグを嫌がっているということではないのですか?」

提督「だったらはっきりと拒絶してほしい」

電(司令官は人の気遣いとかに鈍感なタイプなのです)

提督「まあこの話も何十回したかも覚えてないんだが」ギッ

電「那珂ちゃんが着任した翌日からこの話してましたからね」

提督「……この前のトラック泊地空襲の時、俺はあいつに何もしてやれなかった。あいつはいつも通りに作戦をこなして、生還してきた。MIの時の赤城達みたいに何かしら思うところがあったはずなのにさ」

電(そういえば、赤城さん達が司令官への態度を変えたのもMI作戦以降だったのです)

提督「なあ電。俺は、提督の一番の仕事は艦娘のメンタルケアだと思ってるんだ」

電「司令官……」

提督「だから俺は那珂の本心を聞きたい。それを聞くまで俺はアイツにハグを仕掛け続ける」

電「なんでそうなるのですか」


ガチャッ

那珂「お仕事しゅーりょーでーす!」

提督「おかえり那珂! 今回の遠征はどうだった!? 二人でちゃんと話し合おう!」

ガバッ

スカッ

電(流れるようにかわされたのです……)

那珂「ごめんねーっ。那珂ちゃんはみんなのものなんだー♪」ヒラヒラ

提督「クソッ……! 金かっ! アイドルと触れ合うには金を積まなければならないのか!?」

那珂「いや、握手くらいならしてあげるから……」

提督「なら体と体で握手しよう!」ガバッ

那珂「那珂ちゃん休憩はいりまーす♪」スカッ


バタンッ


提督「ぐぬぬ……」

電「那珂ちゃん、かっこいいのです……!」キラキラ

提督「電って俺のこと嫌い?」

電「ノーコメントで」



ー廊下ー

那珂「………………」

那珂(…………那珂ちゃんね。今の関係がすっごく落ち着くの。だから、もうちょっと待ってて、提督。まだ、那珂ちゃんをアイドルでいさせて)

那珂「〜♪」

【食堂】

電「提督の膝の上じゃない場所に座って朝食を食べるなんて久しぶりなのです」もぐもぐ

響「電は大抵司令官と二人で朝食とっているからね」もぐもぐ

雷「でもそれはそれで楽しそうよね」もぐもぐ

電「一回代わってみれば、膝の上だとどれだけご飯が食べにくいかわかるはずですよ、……」はぁ

トコトコ

暁「男の人の膝の上って、ちょっとレディとしては無しね。電、牛乳忘れてたでしょ。はい」コトッ

電「ありがとうなのです」

雷「そうかしら? こう、二人が完全に信頼し合ってる感があって素敵じゃない?」

響「私にはペットと主人の関係に見えたけど」

電「ペットは時津風さんや雪風さんのほうが似合ってるのです。今朝も司令官はあの二人と散歩に行ってるから、私もこうしてのんびり朝食をとれるのですから」ごきゅごきゅ

トコトコ

511「あの……電さん」

電「あ、おはようございます。ユーさん」

暁&響&雷「「「おはよう」」」

511「あ、はい。おはようございます……」ぺこり

電「どうしたのです? 」

511「……あの、でっちから聞いたことが気になって……」

電(……でっち? ………………ああ! 58さんですか)

電「聞いたことって、なんなのです?」

511「その、Ad……提督と、電さんは男女の関係だって……」

電「」ブフォッ

響「…………」べちゃぁ

雷「あら大変! 今布巾持ってくるわね!」ダッ

暁(……男女の関係ってつまり、恋人ってことよね? なんで電はこんな驚いてるのかしら?)うーん



【執務室】

提督「はあ? 単艦オリョクル?」

電「そうなのです。潜水艦が一人増え余裕ができた今こそ、一人でどこまでやれるのかを測る絶好のチャンスなのです」

提督「でもそいつへの負担もでかいし……」

電「それは心配無いのです。伊58さんが"自主的"に"すすんで"やってくれるそうなのです」

提督「……まあ、電がそういうなら」

提督「ただし! 大破したら即撤退即入渠。これが最低条件だ。それ以外の指揮は電に任せるよ。終わったら報告書出してくれればいいから」

電「ありがとうございます」にっこり



【翌日】

58「」真っ白

511「でっち……大丈夫……?」

168「新入りに変なこと吹き込むから悪いのよ。さ、ユーおいで。今日はカレー洋よ」スタスタ



電(まったく……。電と司令官はそんな関係じゃないのです!)ぷんすか!

電(……まあ……ハグ以上のこともたまになら…………いや、やっぱりないのです!)ぶんぶん

提督(どうしたんだこいつ)

バグ魔と聞くと神のみぞ知るセカイのエルシィが思い浮かびますね……

ネタを思いついたら書くというスタイルでやっているので、常時ネタを募集しています。よろしくお願いします。

再びハグされる為に頑張る羽黒の奮闘記とか

>>2で「間違えるわけないだろう! 後ろから抱きついた時に腹に当たるこの髪留めの感触は間違いなく電だ!」って言うから雷と髪型を交換してみるとか
ってか「提督は利きハグができるか?」みたいなネタが見たい

提督「よーっし! 書類仕事おーわりっ!」

電「お疲れ様なのです」

提督「…………」がさごそ

電(……突然上着を脱ぎ始めたのです。とうとう電もこのハグ魔からハグより強引な愛情表現を受けてしまうのでしょうか)

提督「まあこれでいいかな!」ビシッ

電(…………タンクトップ……?)

提督「じゃあちょっと出てくるわ。鎮守府内にはいるからなんか急用があったら放送で呼んでくれ」

電「……どこへ行くのです?」むすっ

提督(……えっ、なんでこの娘膨れてんの?)

提督「訓練用のグラウンドだよ。最近身体が鈍ってきたからな」

電「了解したのです。では昼食はきゅうりの野菜スティックを用意しておくのです」

提督「司令官男の子だからもうちょっと栄養あるもの食べたいかなー」ぎゅーっ


【グラウンド】

提督「ぜえっ……ぜえっ……」

長良「司令官体力ないなー」

鬼怒「訓練が足りないよ!」

提督「いやっ……お前らが……おかし……」

大鳳「提督、大丈夫ですか? これお水です」

提督「…………」ぐびっくびっ

提督「…………ぷはぁっ!」

提督「大鳳……君は聖女だ……」ぎゅっ

提督(っ!? しまっ!)

大鳳「組み付きの訓練再開ですね! 腕がなるわ!」がばっ

長良「よしきたぁ!」がばっ

鬼怒「行っちゃいますか!」がばっ

提督「いやっ……! ちがっ……!」ギュウウう

提督(あ……でもなんかいい匂いする……。こいつらの汗でヌルヌルするのもなんか気持ちいいし……)

提督「こういうのも悪くなーー」


ごきゅっ


長良「あ、なんか外れた音した」

提督「」




電(肩の関節が外れたらしく、全治一週間でした。しかし、そんなことがあったというのに、司令官は今日も晴れやかな顔でグラウンドへ向かっています……)はぁ

提督「そういえばさ」コポコポ

電「はい?」

提督「お前ら艦娘も、やっぱり生理ってあるの?」

電「十秒やる。最期の言葉を言うのです」チャキッ

提督「ストップストップ。別にそういう意味で言ったんじゃない。艦娘が病気以外で急に体温があがることってあるのかと思ってさ」

電「…………はぁ?」

提督「最近、加賀の体温が異常に高くなってるんだよ。見た感じはいつものクールビューティーなのに、いざハグしてみるとすっげえ体温高いの」

電「きっと提督に痴漢行為された怒りで体が熱くなってるのです」

提督「いやいや、そんなことするんだったらハグする前に着任当初みたいにそれ以上近づいたら射殺すぞと言っているような目線を浴びせてくるって」

電(なんでこの男はそこまでされてもまだハグを仕掛けたのでしょうか)

提督「話を戻すぞ。で、赤城と同じように加賀もMI作戦以降はハグを受け入れてくれるようになったわけなんだが」

電(…………MI作戦の時に一体何をしてたんでしょう?)

提督「それから少ししてからだな。加賀の体温が急に高くなったの。元から結構高かったのもあるが、最近のはもっと熱い。本人はなんともないって言ってたが、流石に心配なんだよ」コポコポ

電「…………はあ」

コンコン

提督「はいはい」


ガチャ

加賀「失礼します」

電(噂をすれば、なのです)

提督「お帰り。開発はどうだった?」

加賀「………………」すっ←謎の生命体&ペンギン×6

提督(あれ? 確か俺が渡した資源って10回分はあったはずなんだけど)

電(これは……)

提督「…………加賀。食べた?」

加賀「…………」

電(申し訳なさそうな顔をしてるのです……)

提督「違うんならちゃんと違うって言いな」ぎゅーっ

加賀「っ!?」

電(……?)

提督「さっき明石から言われたんだよ。加賀に『いい性能の艦載機を作るにはどうしたらいいか』って聞かれて、使う資源を増やせばいいと教えたら全部失敗してた。てな」ぎゅーっ

加賀「いえ、それは」

提督「考えてよりいい仕事をしようとしてくれたんだ。怒るわけないだろ?」ぎゅーっ

電(加賀さん、表情は大して変わってないのに顔と耳が真っ赤なのです……)

提督(あっつ! こいつ本当に大丈夫なのか!?)

加賀「そ…………そう? いいきぇれど。そろそろ離してくれるかしら?」

電(噛んだのです……)

提督「おお、すまんな」ぱっ

加賀「では、失礼させていただきます」

バタンッ


提督「……どう思う?」

電「まったく問題はないのです。むしろ司令官が問題だと思うのですが」

提督「?」コポコポ

ー廊下ー

赤城「あら、加賀さん」

加賀「……赤城さん……」ぼーっ

赤城「すんすん……桃のフレーバーの香りがします。提督のところへ行ってたのね?」

加賀「ええ、まあ……」ぼーっ

赤城「……顔が真っ赤ですよ? 汗もかいています。また抱擁を受けてきたのね?」くすくす

加賀「……っ!?」ばっ

赤城「……きっと私も同じです。あの日の夜、あの方に救われてからというもの、あの方に近づきたい、抱きしめられたいと思ってしまうようになってしまった」

加賀「…………ええ」

赤城「ライバル、ですね」くすくす

加賀「……そうね。でも」

赤城「?」

加賀「まず、あの駆逐艦に勝たないと」

赤城「……それもそうですね。それまでは、協力関係でいましょう?」

加賀「……はい」





ー執務室ー

電(……なんでしょう、この無性に腹立たしい感覚は)

提督「電! 水タバコの片付け手伝ってくれ!」

電「そんぐらい自分でやるのです!」

ーヒトサンマルマル・執務室ー

提督「やっば。休日だからって眠りすぎたな……。電ー」とぼとぼ

しーん

提督「……?」


ー食堂ー

提督「電ー!」

がやがや

提督「おかしいな……。いつもなら執務室か食堂にいるのに」

曙「こんなとこでどうしたのよ。クソ提督」

提督「おっ、曙か。おはよう」ぎゅーっ

曙「こんな時間まで呑気に寝てたわけ?」げしっ

提督「ま、久し振りのなんの業務もない日だったからな。後でもう一眠りするんだが曙も一緒にどうだ?」すごすご

曙「私はクソ提督と違って自主訓練で忙しいのよ」

提督「そりゃ頼もしいかぎりだ。ま、その時は時津風か夕立辺りを誘うさ。その気になったらおいで」

曙「…………」むかっ

曙「……で、電を探してたのよね? あの子なら六駆で外に買い物に出かけたわよ。クソ提督がぐーすか眠ってたから他の艦娘達に言伝を預けてね」ピキピキ

提督「言伝?」

曙「『夕方には帰るのです、だからといって夕方まで寝てたら承知しないのです』ってね」

提督(バレテーラ)

提督「しかたない。執務室でロビンソン漂流記でもするか……」※一人用のボードゲーム

曙(……そっか、一人……)うずうず

提督「あっ、それか金剛辺りのとこ行ってティータイムでも」 曙「そっ、そういえば今日の訓練メニューは相方が必要だったわ! こっち来なさい! クソ提督!」ぐいぐい

提督「えー……」ずるずる

電(今日は第六駆逐隊のみんなと市場にお出かけなのです。普段あの人の世話に追われてるぶん、今日は目一杯楽しむのです!)

暁「……あら! 響っ、響! このマグカップかわいいわよ!」キラキラ

響「(くまさんプリント……)そうだね、暁によく似合うと思う」

暁「でしょでしょ!」

雷「無駄遣いはしちゃダメよー? …………あら?」

電「雷ちゃん、どうしたのです?」

雷「電! いいもの見つけたわ!」

電(雷ちゃんが見せてきたのは……茶髪のウィッグ?)

雷「これをー……こうするの!」

電(そう言って雷ちゃんは自分の頭にウィッグをかぶせ、同じく商品の髪留めを使って私の髪型と同じように纏めました。店員のおじさんはニコニコしながら見逃してくれましたが、あまりこういうのはよくないと思うです)

雷「じゃーん! 暁! 響! ちょっとこっち見て!」

暁&響「「?」」

電(雷ちゃんは私と並んで2人に髪型を見せつけます)

雷「どう? 今は私服だけど、これで同じ制服を着たらそっくりだと思いませんか? なのです!」

響「……たしかに」

電(わざわざ電と同じような口調…………まさか)

電「これを使って司令官をからかう気なのですか?」

雷「そういうことなのです! 司令官が電と二人っきりの時何してるのか、前からずっと気になってたのです!」

電「無理に言葉の中になのですをねじ込むのをやめるのです」

響「……面白そうだね。私も協力するよ」

電「響ちゃん!」

雷「よーっし、それじゃ帰ったら早速準備しましょ! おじさん! これとこれ下さい!」

おじさん「はいよ、毎度あり」

電「…………もうっ!」

暁(…………え、暁には見間違えようがないと思うんだんだけど……暁が変なのかしら?)うーん

六駆はお姉ちゃん呼びよりも名前呼びのほうがかわいいと思うのです

みなさんの思う艦娘のイメージと異なることもあるかもしれませんが、○○さん家の場合ということで許してくだち!

〜フタマルマルマル・執務室〜

電「ただいまなのです」ガチャッ


ガタッ!バッ!げしっ!

提督「おっ……おお電、お帰り」プルプル

曙「あっ……あら、電? おっ、聞いてたより随分遅かったわね?」カァァァッ

電「あれ? 曙……ちゃん? どうして執務室に? それに司令官もなんでそんな変なカッコで水タバコ持ってるのですか……?」

曙「こっ、このクソ提督に付き合わされて話し相手になってあげてたのよ! そう! それだけ!」

提督「聞いてくれよ電ー。こいつさっきまで俺の膝の上で一緒に水タバコ吸ってたのに突然」
曙「わーっ! わーっ! わーっ!」げしっげしっ
提督「落ちる! 落ちるからやめろ!」

電「そ、そう……」

提督「取り敢えず置いてっ、と……」ごとっ

曙「まったく……!」

提督「おかえり電。市場は楽しかったか?」ぎゅーっ!

電?「とっても楽しかったのです」ぎゅーっ

雷(電ったら、日常会話すらもハグしながらしてたのね……! 入れ替わってよかったわ……!)ぎゅーっ


〜扉の向こう〜

電(まさか司令官、今日一日ずっと曙ちゃんと水タバコ吸ってたのですか? 不健康にもほどがあるのです)むかっ

響「曙がいるのは予想外だったけど、あの子も雷が電のフリしてるのに気づいてないみたいだね」ひそひそ

暁「そりゃあ私たちがしっかり電の仕草を叩き込んだんだもの! そう簡単にバレるはずが無いわ!」えっへん

響「暁、静かに」ひそひそ

曙「とにかく、秘書艦が帰ってきたなら私ももう戻るわよ!」

提督「おう、またおいで」ぎゅー

電?「また来るのです」ぎゅー

曙「…………」むかっ

曙(電、いつかあんたに勝ってやるんだから……!)

スタスタスタ バタンッ!

提督「どうしたんだ? あいつ」

電?「わからないのです」ぎゅー

雷(やみつきになりそう……。今回の件が終わった後も何回か電に代わってもらおっと……)ぎゅー


〜扉の向こう〜

曙「……はぁ」

曙(なんであんな態度とっちゃんだろ……。せっかくあいつの好きなものを教えてもらったのに……)


提督『こんな風に、まずは肺にはいれず、煙を口の中で味わうんだ』すーっ、はーっ

曙『……』すーっ

曙『けほっ! けほっ!』

提督『曙にはちょっと早かったかな』けらけら

曙『ふんっ! こんなのすぐに出来るようになってやるんだから!』すーっ

曙『けほっ! けほっ! けほっ!』

提督『はっはっはっは』コポコポ


曙「……うん?」

曙(まずクソ提督が吸って? その後私が吸って? そのあとまたクソ提督が吸って……?)

曙「」ぼふんっ

曙「かかかか間接キスぅ?!」かぁぁぁぁ

電「あ?」

曙「あっ」

暁「あっ」

響「あっ」

曙「え!? 電!? 何でこっちにもいんの!? さっきまで執務室にムゴッ」

響「曙、説明するからちょっと静かにしててくれ」


〜艦娘説明中〜


曙「…………」

響「そういうわけで、司令官が雷の変装を見破れるか試してるんだよ……」ひそひそ

曙「あっきれた……。そんなことして何の得があるんだか……」こそっ

暁(でも参加はするのね)

曙「……で、件で電は一言も喋らずにずっと覗いてるけど、どうしたの……」

響「ああ、あれは……」

電(なんで簡単に間接キスなんかするんですかこの変態司令官は!いくら司令官がどうしもない馬鹿でも痴漢でも鈍感でも秘書艦でもない艦にそんなことをさせるなんて普通しないのです! 大体いつになったら雷ちゃんの変装に気づくのですか! 電はそんなしょっちゅうひっつかないし、自分から抱きついたまま他の子に挨拶するなんて恥ずかしくてできないのです!)ぐぬぬぬぬ

暁「嫉妬よ。嫉妬」

曙(自分が一番有利なくせに……)


〜執務室〜


提督「おお、そうだ」ぱっ

電(雷)「あっ……。どうしたのですか?」

提督「いや、もうこんな時間だしいつもやってることをやろうとな。分かるだろ?」

雷(いつも? なにをしてるのかしら……?)

電(ん……こんな時間にやることなんてなかったような……)

電(雷)「もっ、もちろんいいのです。けど、どうせなら司令官の口から誘って欲しい気分なのです」

雷(とりあえず、こうやって遠回しに聞いてみましょう。電だし、ヘンなことはしてないでしょうし……残念だけど)

提督「ん? 風呂だよ風呂。いつも一緒に入ってるだろ」

電(雷)「?!?!」

〜扉の外〜

電「んーっ! んーっ!」ジタバタ

響「曙! そっち抑えて!」がっ

暁「電! 後でじっくり、教えてもらうからね!」がっ

曙「電、あんたもうそこまで……っ!」うるうる

電(してないのです! そんなことしてないのですぅぅ!)じたばた

電(…………いや、まだ断定するには早いのです!)ピタッ

曙「あら、急に静かになったわね」

電( 司令官は艦娘をからかうことも多いのです! つまり、これもいつもの通り電をからかうための嘘に決まってるのです!)

響「ついに認めたのかい?」

電「んなわけないのです。どうせ司令官の嘘八丁なのです。ほら、見てればわかるはずですよ」


〜執務室〜

雷(えっ!? 電と司令官、毎日一緒にお風呂に入ってるの!?)

電(雷)「えっと……その……」もじもじ

提督「どうした?」

雷(いや、でも考えるのよ雷……! 電と同じことをするということは電の立ち位置に一歩近づくということ……! 電一強とも言える今の鎮守府の環境で上にあがるには、これくらいのことはしないと……!)

雷(…………でも……流石にお風呂は……)もじもじ

電(雷)「あの、司令官……今日は裸じゃなくて、水着でお風呂に入りませんか……?」

提督「そう言うと思って水着を用意しておいたんだぜ!」バッ



【まずない】と書かれたスクール水着


バァン!

電「その水着どっから盗んできたのですかぁっ!!」

曙「ちょっ、電!?」

電(雷)「電ぁ……」ぐすっ

電「ああもう雷ちゃんもそんな変装早く解くのです! 司令官のクソみたいなセクハラの被害者は電だけで充分なのです!」バサッ

提督「どうせなら明日の朝くらいに出てきてくれてもよかったんだぞ?」

電「この男……っ! 止めなかったらそのままお風呂だけでは飽き足らずそのままベッドに連れ込んで一晩中抱きかかえるつもりだったんでしよう!?」

雷「やっぱり、そんなことまで……。私にはもう追いつけないところまで……」ぐすつ

電「そんなわけないでしょう!? この男は分かってないふりして有る事無い事言ってただけなのです!」


響「ちなみに司令官、いつ頃気づいたんだい?」ぎゅーっ

提督「そんなのハグして一発よ。電はもうちょっとお肉がついてて柔らかいからな」ぎゅーっ

電「大体その水着! 一体いつの間に盗んだのですか!? 」

提督「暁に電達とプールに行きたいなって言ったら持ってきてくれた」

電「暁ちゃん!?」

暁「お礼なんていいわ! 一人前のレディならこの程度のお気遣いできて当然よ!」どやっ

提督「ほんっと、お前らはかわいいなぁ」けらけら

電「もぉぉぉぉぉぉっ!!」



電(結局、このどんちゃん騒ぎは戦艦空母のみなさんが介入してくるまで続きました)

雷「電! 電! 今日も入れ替わりやりましょう!」

電「昨日したばかりですよ……?」

電(あれからというもの、雷ちゃんが毎日のように私に入れ替わりを求めてきました。代わりにおやつとかをいだたいたりしてるのですが、一体何があの子をそうさせるのか、わけがわからないのです)

電(このかたなら司令官に喝を入れてくれるのです!)

霞(クズ提督なら[ピーーー])

提督「ようこそ!」ギュー

霞「あっ…///」

電「あ…」←イマココ

~とある秘書官が見た話~

電(司令官はハグ魔です)

提督「新しい艦娘? まあ、資源に余裕はできてきたからいいけど……」ぎゅー

電(提督としての能力は高いのに、いつも理由もなく艦娘達に抱き付いてくるダメ司令官なのです。その証拠に、今の電は司令官の膝の上に拘束された状態での仕事を強要されているのです)

電「ちょっと特殊な事情がある艦娘で、配属先が決まっていないそうなのです」

提督「ほう」

電「ですので、明日手続きをして、一週間後くらいに正式に鎮守府に配属させたいのですが、いいですか?」

提督「あ、もう誰を呼ぶのか決まってるのか」

電「はい。ですが、司令官もどうせなら誰が来るのかわからないドキドキを味わってみませんか?」

提督「……つまり、誰が来るのかは内緒にすると? 俺提督よ? トップが人員の把握ができないってまずいんじゃない?」

電(……こんな時に限って常識的な意見をだしてくるなんて……かくなるうえは……)

電「それも含めて許可がほしいのです。……だめですか?」うるうる

提督「許可する。私は出迎えの準備だけをして待っているとしよう」

電(ちょろいのです)

電「ありがとうなのです! 司令官!」

電(ここまで来ればこっちのものなのです! 今回ここに呼んでくるのは、前の鎮守府で提督に銃を向けたということで異動になった駆逐艦、霞! 仲間を守るために提督にも反抗する正義感の強さ! そして意思の強さ! そんな霞ちゃんがうちに来てくれれば、司令官の抱き付き癖も矯正され、真っ当な司令官になってくれるに違いないのです!)

----……


電(司令官をうまく丸め込んで一週間後、いよいよ霞ちゃんが我が鎮守府に来る日になりました。屋外である鎮守府の入口はちょっと寒いのです。遠回りになりますが、冷えないように屋内を通って執務室まで案内したほうがいいでしょうか)

電「お、来たのです」

霞「朝潮型10番艦、霞です」ビシッ

電(……うん。少し目は濁っているけれど、凛々しい顔つきなのです。期待できそうです)

電「はい、ようこそ我が鎮守府へ。あなたを歓迎いたします。私は、秘書官の電なのです」ニコッ

電(そんな挨拶を交わし、私たちはあの宿敵の待つ執務室へと向かいます。この子と対面した時の司令官の表情を想像すると、どうしても顔の筋肉が緩んでしまいますね)

電「私があなたに求めるのは、ここの提督の指導なのです。艦隊の指揮や、資源の管理ではありません。提督としての態度、心構え。そういったものをここの提督に教えてほしいのです」

電(……もし、私生活の指導まで始めたら……。いや、ただの生活指導なのです。そんなことにはならないはずなのです)

電「それだけなのです。あなたを引き取った理由に他意はありません。だから安心してくださいね」

電(うん。それだけなのです! だいたいこの子の性格からして、司令官に絆されるわけがないのです!)

霞「……」



電(一応、ほかのところも回らせてみて様子をうかがってみましたが、彼女はさほどほかのことに興味を示しませんでした。任務を最優先にするキッチリした子のようで安心したのです……ん?)

電「…………? 霞ちゃん、どうかしたのですか?」

霞「いえ、見たところ、この鎮守府に異常はないようなのでしたので」

電(たまたままだ現れていないだけなのです。とにかく、いつ変態の襲撃が来てもいいように心構えだけはしてもらわないと)ふんすっ

電「……敬語はやめてほしいのです。私が呼んだあなたは、本当のあなたなのですから」

霞「はぁ……」

電(電なにか変なこと言いましたか!?)がびーん

電「着いたのです……」

電(とっ、とにかく、司令官とのファーストコンタクトなのです。コンコンとノックしてから、司令官の「おいで」の一言をもらって、ドアをガチャリ。どうせ水タバコを吸ってたり、他の艦娘に抱き付いたりして最悪の第一印象を与えたうえで、さらにハグを仕掛けてマイナスポイントを増やしていけばいいのです! そうすれば、霞ちゃんのスパルタ指導が入って司令官は真っ当な人間に--)

提督「我が鎮守府へようこそ!」ぎゅーっ!

電(扉の前で待ち伏せは考慮してませんでした)

電(……しかし! 今の電には心強い味方がいるのです!)

電「司令官。そんなことしていられるのも今のうちなのです。この霞ちゃんが来たからには司令官をまともな提督に……」

霞「----」

電「…………霞ちゃん?」

提督「…………ごめん。ちょうど今、服に『あまりの辛さに匂いを嗅ぐだけで涙が出てくる麻婆豆腐』をこぼしたばっかりだったんだ」

電「そんな危険物さっさと捨ててくるのです!」

提督「はいはい。ごめん霞! 挨拶はまた後でしっかりするからな!」ダッ

電「全く、あの司令官は……! って、霞ちゃん!? 目の周りが真っ赤なのです! ほんとに大丈夫なのですか!?」

霞「…………ええ、大丈夫よ。ちょっと、匂いと温度が目元にきつかっただけ。すぐによくなるわ」ごしごし

霞「……あいつの指導ね。いいわ、駆逐艦霞が、きっちりあいつを強くしてあげる! ガンガンいくわよ!」



電(それからというのも……)

霞「そこは謝るところじゃないでしょ! もっと堂々としなさいな!」

霞「もう見てらんない! 私が出るわ!」

霞「だらしないわね! そんくらいで傷ついてんじゃないわよ!」

電(鎮守府内に司令官に対する叱責が響くようになりました。なったんですが……)

霞「こんぐらいで報酬になるわけないでしょ! もっと真剣にやりなさい!」ぎゅぅぅぅ

電(一番改善してほしかったところが、改善するどころかむしろ悪化してしまいました。どうしてこうなってしまったんでしょうか)


霞「いい! 絶対にいなくなるんじゃないわよ! わかったら返事!」ぎゅーっ!

〜がんばれはぐろちゃん〜

prrr……

足柄『……え? そっちの鎮守府の提督にハグされたい?』

羽黒「うん……。どうすればいいかな……」

足柄『久しぶりに電話が来たと思ったら……』じーん

羽黒「お姉ちゃん?」

足柄『あの引っ込み思案だった羽黒が、とうとう男の人と抱擁を……って思ったらね。感慨深くて』

羽黒(以前は何十回としてもらってた、って言ったらどうなるんだろう……)

足柄『よしっ! この私が一肌脱いであげるわ! 安心なさい!』

羽黒「ありがとう! お姉ちゃん!」


ーー足柄『まずは料理! 男は胃袋を掴んでしまえば一発よ!』ーー

羽黒「あの、どうですか? 私の筑前煮……」

提督「すごい美味しいよ! とくにこの蓮根の歯ごたえが最高だ!」バクバク

電「にんじんが甘くて美味しいのです……!」もきゅもきゅ

提督「いやー、うまかった! また今度作ってくれ!」

電「なのです!」

羽黒「えへへ……よかったですっ」


ーー足柄『イメージチェンジ! ギャップで男心をくすぐるのよ!』ーー

羽黒「……暑かったので、新しい服を買ってみたんです。司令官さん、どうですか?」かぁぁぁ

提督「かわいいな! いつもの羽黒とは違う印象で今にも飛びかかってしまいそうだぜ!」

羽黒(……でも、実際に行動してはくれないんですね……)


ーー足柄『…………ならば! 艦娘にとって、提督へのアピールと言えば勝利こそが一番! MVPを取りまくるのよ!』ーー

羽黒「それはすでにやったかな……」←Lv76

足柄『……そう』←Lv59



足柄『おかしいわね……。話を聞く限り狙い通りの反応をしているのに、ハグはしないだなんて……』

羽黒「うん……。やっぱり、私がダメだから……」じわぁ

足柄『ちょっ、泣くんじゃないの!』あせあせ

電「羽黒さん? こんな廊下でどうしたのですか?」

羽黒「あっ……。電ちゃん……」

足柄『誰?』

羽黒「この子が司令官さんの秘書艦なの」

電「ああ、電話してたのですね。てっきりまたあの司令官に変なことをされたのかと……」

羽黒「ちっ、違うの! むしろ逆で……!」

足柄『…………そうだわ! 羽黒、ちょっと電ちゃんに代わってちょうだい!』

羽黒「え?……うん。わかった。電ちゃん、私のお姉さんが、話をさせて欲しいって……」

電(なんでしょう? 羽黒さんのお姉さん達と面識は無かったはずですけど……)

電「お電話変わりました。駆逐艦電なのです」

足柄『羽黒の姉の足柄よ。突然で悪いのだけど、そちらの鎮守府の提督について教えて欲しいのよ』

電「」

羽黒「……あの、電ちゃん、どうしたの? 固まって……」

電(とうとう司令官の蛮行が他の鎮守府に知れ渡ってしまったのです……!)ガタガタ

霞「クズは修正してやるわ!!」
      ↓ ↓ ↓
霞「ハグには勝てなかったよ……」

電「…………しっ、司令官、ですか……?」ビクビク

足柄『そうなの。秘書艦のあなたなら何か、知ってるんじゃないかと思ってね』

電「何か……と言われましても」

足柄『具体的には……そうねえ。何か好きなものがあるか、とか』

電(好きなもの……。水タバコと、あと"アレ"なのです)

足柄『あと、羽黒に対して何かないか……とかね』

電(誘導尋問なのです!?)ビクッ

羽黒「い、電ちゃん……? どうしたの? 顔色が悪いけど……」

足柄『…………(なるほど)』

電「た、確かに電はあの人の秘書艦ですが、流石に個人の趣味嗜好まではわからないのです。羽黒さんに対しても、悪い印象をもっていないのは確かですが、それ以上のことは何もわからないのです……」ビクビク

電(……これが、電にできる精一杯なのです……。けれど、羽黒さんがはっきりと告発してしまえば一巻の終わり……)

足柄『……そう、ありがとう。時間をとらせてしまってごめんなさいね』

電「い、いえ……。では、羽黒さんに代わるのです……」

羽黒「ごめんね、電ちゃん……」

電「いいのです……。電はこれで失礼するのです……」ふらふら

電(司令官は減給くらいで済むでしょうか……。それとも更迭……? もしかして辞職とか……? ……もしそうなったらあの司令官は肉欲に負けて市民の若い女性に何をするかわからないのです……。ならそれを防ぐためにどこかに縛り付けて……。そうしたらお世話とかは電と雷ちゃんでローテーションを組んで……)ぶつぶつ

羽黒(電ちゃん、大丈夫かなぁ……)

足柄『よし、策は練ったわ! 羽黒!』

羽黒「え、本当?」

足柄『ええ、さっきの駆逐艦ちゃんの反応からして、そっちの提督が多くの艦娘にも慕われているのはわかったわ。羽黒の名前を出した途端に反応が変わったもの』

羽黒(多分、私の名前は関係ないんじゃないかな……。ここで一番司令官さんに近いのって電ちゃんだし……)

足柄『だから羽黒、真正面から突撃しなさい! 自分からハグをしにいくのよ!』

羽黒「えぇぇぇぇぇ!?」

足柄『あなたがシャイなのは姉である私がよくわかってるわ! しかし、その性格を逆手に取って、強いギャップを演出するのよ!』

羽黒「むっ、無理だよ! それができないからお姉ちゃんに相談したのに!」ぶんぶん

足柄『なぁに言ってるの! せっかくお付き合いしてるんだから、それくらいのことは簡単よ!』

羽黒「…………えっ、お付き合い?」きょとん

足柄『えっ』

羽黒「えっ」

足柄『あのね、羽黒。欧米じゃあないんだから。日本でハグなんて特別な異性としかしないものよ? 特に、上司と部下の関係がある鎮守府でそういうことをするっていうのは、そういうことでしょ』

羽黒「」かぁぁぁっ

足柄『羽黒? もしもーし、羽黒ちゃ』ブツッ!



羽黒「特別な……異性……。そっか、特別……」えへへ

電(電があの電話をとった翌日から、羽黒さんは少し変わりました)


提督「よし、今日も演習お疲れ様! ヒトヨンマルマルに次の演習やるからそれまで休んでよし! 解散!」


ぞろぞろ……


羽黒「……あの、司令官さん!」

提督「……ん? 羽黒?」

電(ああ、いよいよ司令官の処分が下される時が来たのです……)

羽黒「…………えいっ」ぎゅーっ

提督「!?」

電「」

羽黒「ごめんなさい…………でも、私……もっと、頑張ります! ……から。その……!」ぎゅーっ

電(えっ。自分から? 羽黒さんが? えっ)

提督「…………そうか! 心を開いてくれたか! 羽黒はいい子だなぁ!」ぎゅーっ

ぐるんぐるん

電(抱きしめたままぐるぐる回り始めたのです……)

羽黒「ふぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」ぐるんぐるん

提督「はっはっはっはっはっ」ぐるんぐるん

電「……はっ! 司令官! いい加減にするのです!」





羽黒(もっと、自信を持っていいんですよね。この抱擁が、あなたの特別の一人である証明なんですから……)



ぐるんぐるん

羽黒(……でも、これは流石に……ごめんなさい……)がくっ

電「司令官! 羽黒さん回されすぎて気絶しちゃったのです! 放すのです!」ゲシッ

提督「足払いはダメだって!」ずてーん

空回りの末に直接言おうとして

羽黒「抱いて下さいっ!」

電「!?」ブハッ

みたいになるオチかと思ってたけど平和で何より

〜おそうじ〜


電「もぅっ! 執務室の掃除くらい自分でするのです」パタパタ

提督「色々忙しかったんだよ……」ふきふき

電(第二次SN作戦もなんとか完遂し、鎮守府も休息モードに入って3日目、電は何故か執務室の掃除をやらされていました)

電「なんでせっかくのお休みなのにこんなこと……」ぶつぶつ

提督「なんでもなにも、俺が掃除用具を持ってきたらお前が部屋にいたからだろ」

電「タイミング最悪だったのです……」はあ

提督「あ、そうだ。本棚の整理もしといてくれ。俺は机の中をやるから」

電「女の子にそんな重労働をさせるのですか?」

提督「あんな重い艤装を軽々背負う艦娘がなに言ってるんだ。机の中には機密書類だってあるのさ」がさごそ

電(踏み台はそこにあるから、)

電「はぁ……」

電(…………あれ、想像していたよりは綺麗なのです。ちゃんと書類もバインダーに纏めてるし、本も五十音順に並んでる……)

提督「…………げっ。そういや一昨年のバレンタインにこんなの貰ってたっけ……。すっかり忘れてた……」がさごそ

電(んー……。これじゃ電の仕事なんかほとんど無いのです。気を使われてるみたいで嫌ですけど…………あれ。なんか一冊だけ不自然に奥に……)

電「うん……しょっ、と」

電(《ペットとの接し方》……? なんでこんなものがここに? 司令官がペットを飼ってるなんて話、聞いたことないのです……)パラパラ

提督「名前がなんかアレなんだよなー。何でこんな名前にしたんだか……」がさごそ

電(なんか、あるページだけ熱心に読まれてる跡があるのです。何が書いてあるんでしょう?)パラ……

《ーーーーペットへのハグは最大級の愛情表現です。心を込めて抱きしめてあげれば、彼等のほうも心を開いてくれるはずでしよう。》


電(ーーっ!)ぞわっ

提督「電、終わったか?」

電(しまわないとっ!)さっ

電「おっ、終わったのです! もうすごい綺麗なのですよ!」

提督「そうか、お疲れ様」ぎゅーっ

電「…………では、電はこれで」ばっ

提督「?」






電(《ペット》……。ですか)ズキン

〜出来れば助けたいのです〜


ーリランカ島海域ー

電「作戦終了。これより帰投するのです」

提督《了解、奇襲には充分注意して帰投せよ》

電「了解なのです」


ザザザ……


龍驤「これで潜水艦狩りも終わりやな。あー、疲れた疲れた」

山城「なんでこうも毎回タ級がいるのかしら。不幸だわ……」

五十鈴「潜水艦は私達がやれるけど、水上艦はあなたたちの担当だしね」

赤城「それにしても、いいものですね。洋上補給というのは。加賀さんでは無いけれど、気分が高揚するわ」モグモグ

長良「本当だ。普通に食べるのとはまた違った美味しさね」モグモグ

電(単純におにぎりを持ってきただけなのです)もぐ

電「……あ、美味し」


龍驤「…………っ! 十時方向! 敵影一!」

ジャキッ!

電(…………? あれは……ヲ級?)

ヲ級「」ふら……

山城「轟沈寸前ってところかしら。別の所の部隊がやったのかしらね?」

龍驤「ありゃあ艦載機も飛ばせん状況やな。ま、提督に指示を仰ごか」

電「そうですね。周囲への警戒は怠らないでください」




電「……と、いうわけなのです」

提督《なるほど。できそうなら、足の速いお前と軽巡二人で曳航してきてくれないか? 三人がかりなら致命的な遅れにはならないはずだ》

電「それは、あの船を助けるということですか?」

提督《鹵獲して情報収集に使うんだよ。敵兵器を鹵獲して得られる情報の重要性は、そこの龍驤が教えてくれるさ》

龍驤「なかなかいいジャブ打ってくるねキミィ……」ピクピク

電(…………鹵獲、か)

電(きっと大丈夫なのです。あの変態なら、深海棲艦にすら欲情して、連れ帰った瞬間に抱きしめるに決まってるのです)

電「ということなのです、五十鈴さん、長良さん、お手伝いお願いするのです」

五十鈴「了解よ」

長良「任せといて!」

ヲ級「」ふら……

赤城「これは急いだ方が良さそうですね。飛ばす偵察機を増やして、速度をあげましょう」

龍驤「それがよさそうやね」

電(帰ったら、司令官がまた変なことをやらかさないか注意しないといけませんね)クスッ

〜母港〜


電「艦隊が帰投したのです!」

提督「はい。みんなお疲れ様。間宮さんにアイスを頼んであるから、これから食べてくるといい」

赤城「本当ですか!?」キラキラ

提督「勿論だとも。 いつもよりも難しい仕事をやって貰ったんだからな。ほらほら、急がないと溶けちまうぞ?」

赤城「…………皆さん! 急いで行きましょう!」ダッ

龍驤「ちょっ! ウチらのぶんまで食うんやないで!」ダッ

たったったったっ……




提督「…………さて」

ヲ級「…………」

提督「見た感じ、大破を通り越して轟沈寸前。艦載機を飛ばすどころか、艦載機そのものが無いってところか? 陸に引き揚げたから海の上ほどの戦闘力は無いと思うが……」

電「司令官」

提督「電? 他の子らと間宮さんところに行かなかったのか?」

電「はい。心配でしたから」

電(司令官が深海棲艦に欲情しないかが)

提督「心を開いてくれて司令官嬉しいよ」ぎゅー

電「……で、この子はどうするんですか? まず治療するとして……」

提督「まあ、弱ってる内に速やかに研究所に送るべきだろうな」

電(…………え?)

提督「こっから研究所に送るには船に乗せていくしからないだろう。空は危なすぎるし」

電(何を言ってるのかわからないのです)

提督「船の上でもし暴れられて海に逃げられたら一大事だ。本当なら暴れられないように脚を切り落としておきたいんだが、上から止められてな」

電(は? 切り落とす? なんでいつもと同じ表情でそんなことが言えるのですか?)

提督「まあ、これだけの損害なら重巡一人駆逐艦三人くらいを護衛につけておけば万が一の時も対処できるだろ」

電(そんな、こんなんじゃ、助けるどころか)

提督「今日のところは、こいつは死なない程度に陸地に縛っておいて、明日の朝に船で運ぼう。うん、それがいい」

電(余計酷い目に遭わせることに……)

提督「……電? 顔色が悪いぞ?」ぎゅー

電「……いえ、なんでもないのです。……電も間宮さんのところに行ってくるのです」ぱっ

提督「……? お疲れ様」





電(…………司令官は変態だけど、優しい人だって、信じていたのに)ぐすっ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年04月08日 (水) 23:40:06   ID: DrdjxDU0

面白い

2 :  SS好きの774さん   2015年04月13日 (月) 15:47:36   ID: bBlXQrdG

なんかいいな

3 :  SS好きの774さん   2015年04月13日 (月) 17:35:10   ID: MHuEMZdB

電の赤城に対する仕打ちをみると結局自分が一番提督のお気に入りじゃないと気が済まないのなw

4 :  SS好きの774さん   2015年04月13日 (月) 20:09:58   ID: QhKSNdbq

↑まだ幼い電ちゃんだぞ?しっかりしてても幼いんだから。それくらいいいじゃないか。

5 :  SS好きの774さん   2015年04月27日 (月) 18:24:12   ID: LInbwRvO

組み付きではなく、マラソンにしよう(提案)

6 :  SS好きの774さん   2015年06月11日 (木) 23:41:13   ID: MQ6Dq_p_

牛乳持ってきてあげたりして暁がちゃんとお姉ちゃんしてるのがいいな

7 :  SS好きの774さん   2015年06月29日 (月) 01:39:30   ID: W4-5glnS

はよ風呂はいれはいってください

8 :  SS好きの774さん   2015年11月02日 (月) 17:48:34   ID: 3BKXApu0

なんか雲行きが怪しいんだが、作者はストレスとか大丈夫か?

9 :  SS好きの774さん   2015年11月02日 (月) 20:09:28   ID: X0A1JbXy

やめてくれぇ…シリアスっぽいのはやめてくれよぉ…頼むよぉ…

10 :  SS好きの774さん   2015年11月12日 (木) 20:40:03   ID: zIsYo7MG

ここまできて方向性を180度変えるのはどうかとおもうけどね、電をまた騙そうとしているとかであってほしいけど… さて失踪かな?

11 :  SS好きの774さん   2016年05月08日 (日) 10:03:17   ID: v9UWjBWz

こんな止め方は無い

12 :  SS好きの774さん   2018年05月22日 (火) 17:19:32   ID: V3sVQQjA

ここでやめるんかい!

13 :  SS好きの774さん   2018年09月24日 (月) 23:02:39   ID: v23A5WfF

深海棲艦にかける情けはない。

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