あずき「というわけで作戦会議だよ、プロデューサーさん!」
P「……あの。ドアの前に陣どられると、部屋に入りづらいのですが……」
あずき「今回の作戦は極秘ミッションなの! だから、誰にも聞かれないようにこれからプロデューサーさんの個室で二人きりで相談だよ!」
あずき「ここを通りたければ、あずきのお願いを聞いて! ねっ、プロデューサーさん?」
P「……申し訳ありません」グイッ
あずき「ちょちょっ!? ちょっとぉーっ! 力づくでどかそうとするなんて反則だよっ! 反則っ!」グッ、グッ!
P(どうしたものでしょう)
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あずき「はぁ、はぁ……」
P「……申し訳ありません。ですが、こちらにも都合が……」
あずき「そ、それはあずきが悪かったけど。……それにしても、プロデューサーさんって力強いんだね……。全力で踏ん張ってやっと堪えられたよ……」
P「……失礼なようですが、それは桃井さんが小さくて軽いだけでは?」
あずき「ぅっ。確かに身長は中学生組にも負け……う、うぅん! スタイルには自信があるもん! 低身長だって、あずきのセクシーさを強調する立派な武器だよ!」
P「それは否定しませんが。実際、プロダクションも桃井さんをセクシー路線で売り出してるわけですし」
あずき「でしょー? ……もしかして、さっきのも密かにあずきの体を触ろうとしてたり……」
P「いえ、それはありません。……って、」
P(これはいけないな……。桃井さんのペースになってしまっている……)
P「とにかく、私は仕事をするためにこの部屋の前にいるわけで。申し訳ありませんが、今すぐに相談するのは難しいかと……」
あずき「そ、それじゃプロデューサーさんの都合のいい時間を教えて! できれば早い内に相談したいんだけど……ダメ?」
P「……っ。……あの、〇〇時頃なら大方ひと段落してると思うので、桃井さんがよろしいならその時間にこちらの部屋へ来てくれれば、と」
あずき「だ、大丈夫っ! じゃああずき、その時間になったらまた来るね! ばいばいっ!」タッ
P「……行ってしまいましたか。なんにせよ、これで仕事が出来る……」ガチャ
P(……しかし、何故桃井さんは私に……? 私は彼女の担当ではないし、桃井さんには仲の良い同ユニットの同僚がいるはず)
P(それにしても総選挙、か。いつもの事とはいえ、シンデレラプロジェクトと並行して開催されるとは……)
P「…………」
...コンコンッ
P「! どうぞ!」
あずき「……」ガチャ
P「……桃井さん? まだ、何か言い足りないことが……?」
あずき「あ、あのー……。……えっと」
P「……」
あずき「さっきは言い忘れたけど、プロデューサーさんの邪魔しちゃってごめんなさい! それと、担当じゃないのにわざわざあずきのお願い聞いてくれてありがとう……ございます!」ペコッ
あずき「えっと……それだけ! また邪魔しちゃってごめんね、プロデューサーさん!」バタンッ
P「……!」
P「…………」
P(……私との相談が、少しでも彼女の助けになってくれればいいのですが……)
あずき「今度こそ作戦会議だよ、プロデューサーさん!」
P「はぁ」
あずき「はぁ、じゃないよプロデューサーさん! 気合い入れて、おーっ! って感じで会議してくれないと!」
P「おっ……おーっ」
あずき「もっと大きな声で!」
P「……おーっ」
あずき「もう一回!」
P「お、おーっ! ……って、」
P(また彼女のペースに……。相談を受けるのは私なのだし、しっかりしなくては)
P「……ゴホン。本題に入りますが、総選挙一位大作戦、とは?」
あずき「文字通り! あずきが第四回総選挙第一位、そしてシンデレラガールになるための作戦だよっ!」
P「……はぁ。文字通り、ですか……」
あずき「うぅっ。さっきのかけ声もだけど、もう少しくらい親身になって考えて欲しいな……。作戦の成功率を上げるには、お互いの信頼が大事なんだから」
P「い、いえ! もちろん、桃井さんには全力で協力するつもりです! ……私にできる範囲で、ですが」
あずき「そ、そう? じゃあ気を取り直して、あずきの考えた作戦内容を発表するよ!」
P「お願いします」
あずき「その前にだけど、まず、総選挙で上位にランクインしたアイドルがどうしてランクインできたのかあずきなりに分析してみたの!」
あずき「第一に、選挙の近い時期にイベントやら何やらで目立つことだね! できれば、メインの一番手が最高だけど……」
あずき「でもイベントだってメイン一人でできるものじゃないし、端役でもちゃんと関われた子には大なり小なり選挙順位に良い影響が出ていた……はず!」
あずき「第二に、同じ時期に特定の属性の子がメインを張る企画が重なると、その子と同じ属性のアイドルが良い順位に来るようになってる……と思うの!」
あずき「たとえば、第一回の総選挙がそんな感じだったみたいだね。一位になった愛梨ちゃんを筆頭に、Pa属性に分類されてるアイドルがいっぱい上位にランクインした、と」
あずき「第三に、ユニットに入っている子は、同じユニットの他の子が人気出ると一緒に人気が出るっていう例があるね!」
あずき「と言っても、正確な関係は証明しづらいし、ユニットごとに影響がばらついてるような気もするけど……。一応、参考にはなるよね!」
あずき「最後だけど、単純に、人気があるアイドルは選挙の順位も上位に来るよねっていう。……今までの選挙で平均順位が高い子が、そういう子だって言えるの……かな?」
あずき「疲れたー! ……どう、この分析?」
P「…………」
P「おおむね、間違っていないと思います。桃井さんの言ったようなことは他の人達も考えているでしょう」
あずき「えへへ……。今回の作戦は大事だから、あずきなりに頑張って調べてみたんだ!」
P「……そうですか」
あずき「あっ。今こう思ったでしょ? 『他の作戦を考える時は、調べ物したりしないのか』って」
P「いえ、そのような事は……」
あずき「今回は情報の量が大事になりそうな作戦だから、一生懸命調べたの! いつもはいつもでちゃんと決めてるもん!」
P「……ふむ」
P「それで、桃井さんの『大作戦』の内容もそれら四つの要因に基づくものと考えてもよろしいのですか?」
あずき「うん! もっとも、最後のは今すぐどうこうっていうのは難しいから、思いついてないけど」
P「そうですか……。……ところで、作戦の内容を話しあう前に、確認しておきたい事があるのですが」
あずき「なになに? 遠慮しないで!」
P「桃井さんは、なぜ私を頼るのでしょうか?」
あずき「なぜって……あずきは346プロのアイドルで、プロデューサーさんはそこのプロデューサーさんでしょ? 全然なんとも……」
P「本来なら、貴方には、私よりも相応しい相談相手がいるはずです。……それに、」
P「お互いの信頼が大事だと言ったのは、桃井さんです。私を作戦の協力者として信頼するのであれば、貴方は私に本当の事を話すべきである……はずです」
あずき「あぅ……」
P「桃井さん」
あずき「うぅ……」
P「…………」
あずき「……わかった。……今から話すね、あずきがプロデューサーさんに相談する理由……」
中断します。今日中に再度書き進めて、できれば完結させます
あずき「理由って言っても、大したことじゃないんだけどね」
あずき「あずきはさ、結構前に346プロ誘われて、ここに入って、レッスンして、イベントやライブに出してもらえて……って感じで、こう見えてもそれなりに長くアイドルやってきたってわけ!」
P「……存じています」
あずき「それでさ。総選挙も第一回から参加してきたけど、それから今まで、ずー……っとランクインすることができなくて……」
P「……」
あずき「それで、その……。……やっぱり、ランクインできないアイドルって、プロダクションの偉い人たちからもそういう目で見られちゃったりするのかな、とか思っちゃったり……」
P「……順位は、あくまでも人気の目安です! もちろん上位入賞したアイドルに表彰などはしますが、公表されたランキングに入れないからといって、プロダクションが冷遇するようなことは……!」
あずき「わ、わかってるよ! 憶測、っていうか推測っていうか、そんな風に不安になっちゃうってだけだから!」
P「……その気持ちは、至極当たり前の心理だと思います」
P「少なくとも、選挙上位の人気アイドルがそうでないアイドルに比べ優先して仕事が回されるのは……紛れもない、事実……ですから」
あずき「こ、こういう業界なんだしそれはしょうがないよ。プロデューサーさんもそこまで重そうに考えないで? ねっ?」
P「……申し訳ありません」
P「話の腰を折ってしまって、すいませんでした。続きをお願いできますか?」
あずき「あっ、うん。……それで、どうやって選挙で上位になれるのかな~って、あずきなりに考えたりしながら今まで過ごしてきたんだ」
あずき「もちろん、あずきのプロデューサーにもそういうこと相談したりして……。その時は、『目の前のお仕事に集中していけばファンも増えて順位も上がるよ』って言われたんだけど……」
P「……」
あずき「だから、考えるだけじゃなくてレッスンやお仕事もいっぱい頑張らなくちゃー! って思ったんだけど。上位にランクインする子も、きっとあずきと同じか、ひょっとしたらもっともっと頑張ってるわけで……」
あずき「それでもっともっと頑張ろうとすると『やりすぎだ』って言われたり、今度は逆に『手を抜くな』って言われちゃったりで……」
あずき「……正直、どういう風に頑張ればいいのかわからなくなっちゃったんだ。それで、レッスンやお仕事を頑張るだけじゃダメなのかも、って」
P「……すると、桃井さんは私に直談判に来たというわけですか? 選挙中の企画について、便宜を図るようにと」
あずき「うぅっ。……まあ、半分はそんな感じ……かも」
P「では、もう半分は?」
あずき「……」
あずき「少し前にさ。みくちゃんが、シンデレラプロジェクトのあれこれで、仕事が欲しくてストライキしてたでしょ?」
P「……ぐっ。そ、それが何か?」
あずき「あとー……未央ちゃんだっけ? 初めてのライブで、お客さんが少なくてアイドルやめようとしたの」
P「そ、そのお話しが私に相談する事とどのように繋がるのでしょうか……?」
あずき「つまり……プロデューサーさんは、『お仕事が欲しい』って要求してきた子と、『人気がないのが嫌だ』って言ってた子の両方の悩みを解決してきたわけでしょ?」
P「解決……と言いますか、私は彼女たちに伝えるべきこと、伝えたいことを伝えただけなのですが……」
あずき「とーにーかーくー! プロデューサーさんに相談したら、あずきもひょっとしたら何か良いアイデアが浮かぶかなー、って!」
P「それは些か過大評価ではないかと思いますが……」
P「それより、桃井さん。一つだけよろしいでしょうか?」
あずき「ん? なに?」
P「先ほど桃井さんのプロデューサーに同じ相談をしたと言われましたが、ユニットを組むフリルドスクエアの皆には……?」
あずき「もちろんした! けど…………やっぱり、本当の本気で『一位を取りたい!』っていうのはためらわれるよ……」
P「……?」
あずき「四人全員がランクインするのが一番いいけどさ! 現実だとそういうのは厳しいと思うし、そうすると仲間外れができちゃうような予感が……!」
あずき「それに、その。……前の選挙だと柚ちゃんだけランクインしてたし、皆仲良いからそこまで気にはしないけど、やっぱり選挙の話題になると気まずくて……」
P「……そう、ですね。CDデビューを1位に確約した以前の選挙では、喜多見さんはベスト10にあと一歩の場まで人気を伸ばしています」
あずき「そうなの~! だからあずきも一緒にランクインして柚ちゃんと対等になりたいなって思うんだけど、それは穂乃香ちゃんや忍ちゃんに悪いし……」
あずき「逆にあずきだけランクインできなかったら~って考えちゃうと、色々止まらなくって……! だから、こういうのは三人に相談しづらいの!」
あずき「……それにさ。フリルドスクエアの皆には、悪いかもしれないけど……」
P「……」
あずき「そういうの関係なしに、あずきは少しでも良い順位につきたいの。ユニットの皆より、同じ事務所の皆より少しでもいいから上に行きたいな、って」
あずき「あずきがこういうこと言うのは不釣り合いかもしれないし、よくばりって言うか、あまり褒められないことかもしれないけど……」
あずき「でも、あずきはあずきを応援してくれる人が沢山いてくれると嬉しい! こういうイベントで目立って、応援してくれるファンの人にもあずきと一緒に喜んで欲しいの!」
あずき「だからお願いします、プロデューサーさん! 改めて、あずきの総選挙一位大作戦に協力してください!」
P「……!」
P「…………」
P「……………………」
P「……まずですね、桃井さん」
あずき「は、はいっ!」
P「こういったイベントで上に立とうという向上心は、アイドルにとってとても良いものです。無論その表れ方によっては好ましく思わない人もいるでしょうが、褒められたものではない、ということは決してありません」
あずき「……!」
P「それに……その目標が、桃井さんに不釣り合いなものであるとは私は思いません。それこそ、そういった子をトップアイドルにしようというのが、今私が携わっている『シンデレラ』プロジェクトなのですから」
あずき「ぷ、プロデューサーさん……!」
P「ですから、今後もそういった相談があるなら、遠慮せずに私たちプロデューサーに声をおかけください」
P「我々は、各々のユニットや企画をプロデュースする以前に346プロのプロデューサーなのですから。桃井さんたち346プロのアイドルに力を貸すのは当然の役目です」
あずき「プロデューサーさん……っ!」
P「……ですが、今回の桃井さんの直談判には応えられません」
あずき「あうぅ~! い、今いい雰囲気だったのにどうして~!?」
P「既に、事務所全体でどのように企画を進め誰に仕事を割り振るのかは決まっておりますので……。今から変更を加えるのは難しいですし、私にそういった権限も備わっておりませんので」
あずき「うう……。そういう大人のジジョウを持ち出されると弱いなぁ……」
P「それに加えてですが。やはり、私は桃井さんのプロデューサーが仰られたという『目の前の仕事に集中する』事が一番の解決策ではないかと思います」
P「今の桃井さんのように、時には、関係者に意志を伝えて仕事を得ようとするのも大事なのでょうが。……貴方を支えてくれる人を信頼して、実力と経験を積めばきっと道は開けます」
P「我々は、各々の担当するアイドルについて毎日のように企画・検討を重ねながらプロデュースしているわけです」
P「もちろん、我々の決めた方針を心細く思うこともあるでしょうが。……それでも、我々プロデューサーを信頼してお仕事に励んで欲しい、と思います」
あずき「…………」
あずき「……じゃあ、あずきは今までみたいに一生懸命レッスンやお仕事に集中して、どうしても納得できないことがあったら、プロデューサーさんたちに相談すればいいってこと?」
P「そういうことになりますね。我々としても、プロデューサーとして至らないと思われる点があれば指摘していただきたいですし」
あずき「じゃあ、どうしても納得できない時はストライキしても?」
P「!? そ、それは、その…………困ります、とても……」
あずき「冗談冗談♪ プロデューサーさんって、見た目で今までクールっぽいと思ってたけど……話してみると結構キュートな感じなんだねっ」
P「ぅっ……! あ、あまりからかわないでもらえませんか、桃井さん……」
あずき「あははっ! 穂乃香ちゃんたちもプロデューサーさんと話してみればいいのにな、なんて!」
P「……はぁ」
あずき「……ありがとっ、プロデューサーさん。プロデューサーさんに相談して、ちょっとだけすっきりしたかも!」
P「……それは、良かった。桃井さんのお役に立てたのなら、本当に幸いです」
あずき「結局、あずきのプロデューサーが言ってた結論にたどり着いちゃったけど……プロデューサーさんたちが言ったみたいに、あずき、選挙とかじゃなくて目の前のお仕事を頑張っていくからね!」
P「そうですか。……これからの桃井さんのご活躍を、心から祈りましょう」
あずき「ありがとっ! でも、総選挙一位大作戦は白紙になっちゃったし……さっき話したの以外で、何か良いアイデアってない?」
P「アイデア、ですか。……ふむ、そういえば……」
あずき「あっ! 思い付いたかも! ニュー総選挙一位大作戦!」
P「!?」ビクッ
あずき「あ、ごめんごめん。プロデューサーさん、何かあったらどうぞ?」
P「はぁ。アイデア、というほどでもありませんが……」
P「これはあくまで噂、なのですが」
あずき「うんうん!」
P「フリルドスクエアの綾瀬さんと、喜多見さん。このお二人は、あることを境に注目度が増した……という噂が」
あずき「? あずきと忍ちゃんに関係なく?」
P「はい。……なんでも、綾瀬さんのプッシュしているマスコット? が徐々に注目を浴びてその関連で二人も注目され出した……というですね」
P「特に、喜多見さんはそのマスコットに……『容赦のない仕打ち』をしたのが、何故だか非常に持てはやされた、とか」
あずき「……それってぴにゃこら太のこと?」
P「……はい」
あずき「そういえば、穂乃香ちゃんが『ぴにゃこら太と雰囲気がそっくり』って言ってたプロデューサーが346プロにいたような気がするけど……」
P「……私のことだと思われます。恐らく、ですが」
あずき「……っ! ……!!」プルプル
P「……無理して堪えてくれなくても結構です、桃井さん」
あずき「だ、だってー! 確かに、目つきがあのぬいぐるみにそっくr……ぷふふふふふっ!!」
P「…………」
あずき「はーっ! はー……っ! ……ごめんねプロデューサーさん。あずき、もう落ち着いたから!」
P「……はい。ですから、桃井さんも何かの拍子にそういった予想外の幸運が訪れる可能性も……アテにできるアイデアでは、ありませんが」
あずき「ううん! プロデューサーさんなりに一生懸命考えてくれたんだでしょ? あずき、それだけで充分だよっ♪」
P「……っ」
あずき「あずきの考えたニュー大作戦はね! さっきプロデューサーさんと話したことの逆転の発想から生まれたんだよ!」
P「?」
あずき「そう、あの時プロデューサーさんはこう言った……『企画に変更を加える権限がないから難しい』って!」
P「確かに、言いましたが。……まさか、」
あずき「名付けて、あずきをプロデュースしてプロデューサーさんもあずきも出世大作戦、だよ! プロデューサーさんがあずきをプロデュースしてあずきがトップアイドルになれば、プロデューサーさんも大出世して企画を好きに変更できるようになれるでしょ?」
P「桃井さん、それは……」
あずき「プロデューサーさんだけ出世してもあずきと連携がとりづらいし、やっぱりプロデューサーさんがあずきをプロデュースして、あずきと一緒に出世していくのが確実だよね! あっ、あずきだけじゃズルいから、スクエアの皆もプロデュースして欲しいかも!」
あずき「どうプロデューサーさん? これなら総選挙一位待ったなしだよ!」
P「…………」
P「言いたいことは、色々あるのですが。……まず、その作戦を実行できる条件が整った時点で、桃井さんは既にシンデレラガールの座に就いてもおかしくないと思うのですが……」
あずき「!」
P「それに、先ほど自分のプロデューサーを信頼して頑張ると決めたばかりなのにその作戦は……」
あずき「!!」
P「それに、私の権限が増したとしても、この大事な時期に企画変更をするのは難しいかと。事務所単位のイベントは、プロデューサーの一存だけでどうこうなるものではないので……」
あずき「!!!」
P「というわけで桃井さん。残念ですが、私としてはその作戦に賛成できません、ね」
あずき「!!!!!!」
P「…………」
P(……言い過ぎた、かな?)
あずき「さ、流石だねプロデューサーさん……。ここまで的確にあずきの作戦の穴を指摘するなんて……」
P(指摘しない方が難しいくらいです……とは言うまい)
あずき「やっぱりプロデューサーさんに相談してみて正解だったよ……。あずきたち、きっと良いパートナーになれるね!」
P「……光栄です。ですが……」
あずき「わかってる! プロデューサーさんと何か企画で協力することになったら、の話ね! あずきも、今のプロデューサーとやれる所までやりきってみたいし!」
P「……そうですか。他に、何か相談したいことはありますか?」
あずき「んと……大丈夫! プロデューサーさんがしっかりお話しに付き合ってくれて、良い時間が過ごせた気がする!」
P「……それはこちらもです。私も、桃井さんとこうして話ができて良かった……と思います」
あずき「そう? えへへへ~……」
P「……っ」
P「そ、それより桃井さん! 前川さんや本田さんのこと、一体どこで……?」
あずき「えっ? あの二人……っていうか、シンデレラプロジェクトに関わってるプロデューサーさんは、今じゃ346プロだと時の人だよ?」
P「!? そ、それはシンデレラプロジェクトが注目を浴びているという……」
あずき「それもあるけどー。……だって、346プロの中で本格的なストライキするし、ライブの後に逃げ出したアイドルなんて話題にならない方がおかしいし」
P「……!」
あずき「この前のパレードみたいなゲリラライブはネットでも凄く拡散されたし、仲の悪い二人がいきなり同じ部屋で暮らすことになったって女子寮じゃ話題になってたし」
P「…………!!」
あずき「極めつけは、プロデューサーさんが何度も警察に捕まってるってところだよね! ちひろさんや美嘉ちゃんが、そのたびに皆に話してくれて……」
P「…………はぁ。そういうことですか……」
あずき「もしかしたらプロデューサーさん、アイドルより目立ってるかもね! これは人ごとじゃなくなってきたよ……!」
P「やめてください、桃井さん。……それにしても、そんな事になっていたとは……」
あずき「……でもプロデューサーさん、噂で聞いたより、ずっと優しくて一生懸命だと思った。あずきの担当じゃないのに、真剣に会議してくれたし……」
あずき「ひょっとしたら『お前の相談に乗る暇なんてないんだ!』って言われちゃうかと思ってたけど、全然そんなこともなかったし!」
P「……さっきも言いましたが、346プロのアイドルに協力するのが私たちの役目ですから。担当に関わらず、です」
あずき「えへへー……。……プロデューサーさん、なんかカッコいいねっ」
P「……恐縮です」
あずき「それじゃ、サヨナラだね。こんなに話し込んじゃったなんてびっくりだよ」
P「ええ。また、明日」
あずき「…………送ってくれないの?」
P「っ!? も、桃井さんは女子寮住みのはずですし、私が送るほどの距離ではないのでは……!?」
あずき「冗談だよーっ! プロデューサーさん、本当話してて楽しいっ♪」
P「……とにかく、私はもう少しだけ書類等をチェックする仕事があるので。……近くとはいえ、夜道を一人で歩くのですからお気をつけて……」
あずき「うんっ! ばいばいプロデューサーさん! 今日は相談に乗ってくれて、本当にありがとうございましたっ!」ペコッ
P「……どういたしまして」
あずき「ばいばーい! プロデューサーさん、ほんとーにありがとー……!」
P「…………」
P「……そろそろ暖かくなってきたな……」
P(…………)
P(……総選挙、か……)
P「……」
P「……」
P「……」
P「………………」
P「……そろそろ桃の花が咲いてもいい頃なのかも……しれないな……」
以上です。桃井あずきちゃんの魅力に一人でも多くのPが気付いてくれること、総選挙で一つでも多くの票が彼女に投じられることを願います
ここまで読んでくださった皆さま、ありがとうございました。せっかく読んだ事ですし、あずきちゃんのプロデュースでもしてみませんか?(提案)
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