穂乃果「駆逐してやる……!!」 (52)
その日、人類は思い出したー。
ヤツらに支配されていた恐怖を……。
鳥籠の中に囚われていた屈辱を……。
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ss初めて書きます
※進撃の巨人の世界観でラブライブ! のキャラクターです。そのどちらにも当てはまらないオリジナルの設定もでて来ます。不快に思う方もいるかもしれません。ご了承下さい。
穂乃果「私、高坂穂乃果! 外の世界を夢見る中学1年生!」
ことり「穂乃果ちゃん……誰に言ってるの?」
海未「仕方ありません。穂乃果が突然変なことを言うのはいつも通りですから」
穂乃果「2人ともひどいよー! 穂乃果をなんだと思ってるのー!?」
ことり「まあまあ、落ち着いて……」
カンカンカンカン!
男1「調査兵団が帰ってきたぞ!」
男2「正面の門が開くぞ!」
穂乃果「うわぁぁあああ……行こっ! 海未ちゃん! ことりちゃん!」ダッ
海未「穂乃果!? ……あぁもう! 待ってください!」ダッ
ことり「私も!」ダッ
ザワザワ…ザワ…
穂乃果「うーん……良く見えない」
穂乃果「あっ、この箱の上に乗ろうっと!」
ことり「危ないよ穂乃果ちゃん……!」
穂乃果「大丈夫大丈夫!」
ザッザッザッ…
穂乃果「……!!」
男3「これだけしか帰ってこれなかったのか……」
男4「今回も酷いな……」
男3「百人以上で調査に行ったはずなのに……」
男3「20人もいないぞみんな食われちまったのか……」
男4「これでまたなんの成果もなかったんだろ?」
男3「マジかよ……これじゃ俺らの税で奴らにエサやって太らせてるようなもんだぜ」
穂乃果「!!?」
ズガッッ!
男3「っ!? いってぇ!!」
海未「なっ!?」ガシッ
ダッ
海未「ふっ!」ボフッ
穂乃果「痛……ッくない……。マットの上だ……」
穂乃果「なにすんの海未ちゃん!」
海未「こっちの台詞です穂乃果! 何考えてるんですか人をいきなり叩くなんて!」
穂乃果「だって……あの人が……」
海未「あの人が、なんですか?」
穂乃果「調査兵団を馬鹿にするから……」
海未「……ッ」
海未「どういうことですか! まさか穂乃果、調査兵団に……ッ」
穂乃果「違うよ!」
穂乃果「調査兵団の人達はさ……わざわざ危ない所に行って、みんなの為に頑張ってるでしょ……」
穂乃果「なのに、それをあんなふうに言うなんて……冗談でもひどいよ……」
ことり「穂乃果ちゃん……」
海未「……解りました。しかし、これからはいきなり他人に暴力を振るうなんてこと、やめてくださいね」
穂乃果「……はい」
海未「では、そろそろ家に帰りましょうか」
穂乃果「待って! その前にことりちゃん……」
ことり「うん。解った!」ニコッ
ことり「はいっ」
穂乃果「うんうん! やっぱりこれを見なきゃ家には帰れないよ〜」
海未「ですが……この本……つまり壁の外についての本は法律で……」
穂乃果「硬いことは言いっこなしだよっ! 海未ちゃん!」
ことり「そうだよ……見逃して……海未ちゃん、オネガイ!」ピュアッッ
海未「う。うぅ……解りました」
・・・読後
穂乃果「あぁ~、今日も面白かったぁ!」
穂乃果「いつか行ってみたいなー、壁の外」
海未「危ないですよ。外には巨人がいるんですから」
穂乃果「解ってるよー、憧れてるだけ。怖いもん」
ことり「さっきの調査兵団見たって……ね」
穂乃果「でも……見てみたいよね」
海未「それはそうですが、壁の中にいれば安全なんです。わざわざ出る必要はありません」
ことり「……本当に安全なのかな」ボソッ
穂乃果・海未「え……?」
ことり「だってさ、こないだ久しぶりに地震があって驚いた時、海未ちゃん言ってたでしょ?」
ことり「災害は、忘れた頃にやってくるんですって……」
ことり「巨人も、私達がその怖さを忘れた頃にやってくるんじゃないかな……って」
海未「巨人は災害ではありませんよ、ことり」
穂乃果「それに、あの壁は絶対に壊されないよ!」
ことり「で、でもさ! 人間が猿から進化したみたいに、巨人だって進化するかも……」
海未「それは……」
ズガァッッ!
ことほのうみ「!!?」
穂乃果「行ってみよう!」
ダダッ
タンッ
穂乃果「……ぁ」
ことり「何が見えるの、穂乃果ちゃん!」ハァ、ハァ
海未「……穂乃果?」ハァ、ハァ
穂乃果「……ょじん……」
ことり「え……?」
穂乃果「巨人だ……!!」
海未「は……!?」
穂乃果「巨人だよ……ッ!!」
超大型巨人「……」ゴォォオオオ…
ドッッガァァアッッッ!
住民達「「「うっ……うわぁぁあああぁあ!!?」」」
住民「逃げろ! 巨人だ!! 穴から巨人がたくさん入ってくるぞ!」
住民「逃げろったって何処に!!?」
住民「終わりだ……!」
海未「そんな……巨人は、あの壁を越えられないのではないのですか!」
ことり「やっぱり……巨人だって、あの壁を越えるために、大きく進化していくんだよ……!!」
穂乃果「そんなこと言ってる場合じゃない……」
穂乃果「巨人の壊した壁の破片が! 穂乃果の家の方に……!!」ダッ
海未「ッ!」ダッ
ことり「穂乃果ちゃん!」ダッ
穂乃果(大丈夫……大丈夫だよ! きっと……家には……)ハァ、ハァ
ガラッ…
穂乃果「……!! お母さん! 雪穂! お父さん!」
海未「いや……待ってください! 雪穂は今日、友達の家で遊ぶと言っていました! お義父さんは和菓子の材料を仕入れに行くと!」
ことり「じゃあ……穂乃果ちゃんのお母さんは!?」
穂乃果「お母さん!」バッ
海未「私は穂乃果と家のあたりを探します! ことりは付近に避難していないか探してください!」
ことり「うん!」
穂乃果「なんで……なんで……!」
海未「! 穂乃果ぁ! こっちです!」
穂乃果母「う……」
穂乃果「お母さん! 今助けるからね!」
穂乃果母「だ……め……こな……い、で」
海未「ことりも手伝ってください!」
ことり「……海未ちゃん」
海未「後にしてください! いいから早く!」
ことり「巨人が……」
穂乃果・海未「!!」
穂乃果母「早く、逃げ……」
穂乃果「そんな!! お母さんをおいて行くなんて出来ないよ!!」
穂乃果母「言う事を聞きなさい!!」
穂乃果「……ッ」ビク
穂乃果母「海未……あなたなら、解るわね」
海未「ですが……!」
穂乃果母「この状況で! 私を置いて行くか! あなたたちも残るのか!」
海未「……」ギリ
穂乃果母「どちらが賢明な判断か、あなたなら解るはずよ……」
海未「う……」
海未「あぁ……ああぁぁぁあぁぁあああああああぁぁああ!!!」ガシッ
穂乃果「海未ちゃん! やめて! お母さんが! お母さんが!!」
ことり「巨人が……!」
穂乃果「あ……!」
巨人「……」ヒョイ
穂乃果母「……生き、て……」
バクッ
穂乃果「お母さぁぁぁああぁあああん!!!」
海未「はぁ……はぁ……」
穂乃果「海未ちゃん……」
穂乃果「なんで……なんで!」
海未「仕方なかったんです!!」
穂乃果・ことり「!」ビクッ
海未「あのままなら、お義母さんと共に、私達も死んでいました……」
海未「……でも! 私に!力があれば!!」
海未「あるいは……助けられたのかもしれません」
穂乃果「そんなことが聞きたいんじゃない!」
海未「……」
穂乃果「うぅっ……うあ……うっ、あぁぁ……!!」
20分後
海未「……落ち着きましたか?」
穂乃果「……ごめん。ありがとう、海未ちゃん」
穂乃果「そうだよね……海未ちゃんとお母さんが正しいよ……」
穂乃果「でも……!」
穂乃果「許せない……!!」
穂乃果「穂乃果達は何もしてないのに……なんで……こんな目に会うの……」
穂乃果「巨人は、人間を食べるの……!?」
ことり「……」
穂乃果「……駆逐してやる」
海未「穂乃果……?」
穂乃果「巨人を……」
穂乃果「全部残らず、駆逐してやる!!」
※今回からオリジナル要素強まります
ーーー5年後
教官「諸君らは、今日で訓練兵を卒業する」
教官「それではこれより! 今期成績優秀者5名を発表する!」
教官「主席! 園田 海未」
教官「2番、綾瀬 絵里。3番、西木野 真姫。4番、東條 希。5番、高坂 穂乃果」
教官「……以上が今期成績優秀者だが、しかし今期は優秀な者が多かった。下に続く者たちも例年より巨人討伐に貢献できるだろう」
教官「本日を以て訓練兵を卒業する諸君らには、2つの選択肢がある」
教官「壁の強化につとめ、各街を守る『駐屯兵団』」
教官「犠牲を覚悟して壁外の巨人領域に挑む『調査兵団』」
教官「それと、王の元で民を統制し秩序を守る『憲兵団』が存在するが……、新兵の採用はない」
教官「後日配属兵科を問う……本日はこれにて第104期訓練兵団解散式を終了する……以上!」
兵士達『ハッ!』
ーーー夜
絵里「ねえ、貴女はどちらに入るの?」
海未「……え? 私ですか?」
絵里「そうよ」
海未「私は……」チラッ
穂乃果「ん?」
海未「穂乃果に合わせます」
絵里「どうし「へー、仲がいいんやな」……希」
希「なんで一緒の兵団に入りたいん?」
海未「一緒に入りたい訳ではありません。ただ……穂乃果は私がいないと、あらぬ方向へ突っ走って行きそうで……」
穂乃果「海未ちゃん!?」
希「ふふっ、可愛いなあ」
絵里「そちらは?」
ことり「ことり……ですか?」
絵里「ええ」
ことり「ことりも、2人と同じところに……」
絵里「貴女達、本当に仲いいわね……」
海未「貴女はどうするのですか?」
絵里「私は調査兵団に入るわ……それと、「絵里」と呼んでほしいって、前から言ってるじゃない」
希「本当は「エリーチカ」って呼ばれたいやないの?」ニタ
絵里「希! 余計なこと言わないで!」
海未「なぜ貴女は調査兵団に?」
絵里「スルー!? ……まあ良いわ。調査兵団に入るのには、理由があるのよ」
絵里「もっとも、ここでは言えないけれどね」
にこ「調査兵団に入るなんて物好き、いるのねー」ボソッ
絵里「……何?」
にこ「え? きこえちゃったー? やっぱりー、にこの声が綺麗すぎt」
穂乃果「さっきのはどういう意味?」
海未「穂乃果?」
にこ「人の話は最後まで聞きなさいよ!」
にこ「はあ……理由? そんなもん単純よ」
にこ「進んで巨人の胃の中に行きたがるような、自殺志願者の馬鹿がまだいたのねーってことよ」
穂乃果「ッ……!」ガシ
にこ「っはあ!? 何!? 放しなさいよ穂乃果!」
穂乃果「自殺志願者……? 何それ……!」
穂乃果「少なくとも壁の外に行く人達は「死にたい」なんて思ってない!」
穂乃果「むしろ、誰よりも生きたいと思ってるよ!」
穂乃果「でも、みんなの未来のために、一所懸命頑張ってるんだよ!!?」
穂乃果「それを……それを!」
にこ「……ハッ! 何? アンタも調査兵団志望なワケ?」
にこ「ホンット、もの好きが多い世の中ね」ボソッ
にこ「……」テクテク…
海未「何ですか、あれ……」
絵里「まあ、仕方ないわよ。大多数の人はあそこまでいかなくとも、駐屯兵団に何年かつとめ、その後憲兵団に行くというパターンみたいだし」
ことり「そうなんだね……」
花陽「あ、あの!」
5人『?』
花陽「あ……あの、その……ええと……」
5人『?』
花陽「だ、ダレカタスケテ~!」
凛「違うでしょかよちん! ねえ、みんなも調査兵団に入るの?」
絢瀬な
絵里「みんな「も」……って、貴女、調査兵団に入るの?」
凛「そのつもりだにゃー」
花陽「わっ! 私も……」
希「怖くないん?」
凛「そりゃ怖いよー、でも」
凛「それ以上に、行かなきゃ……やらなきゃいけない理由があるから」
穂乃果「……」
絵里「ま、ここにいるのはみんな「あの日」を体験してるから……。それぞれいろんな想いを抱えてここにいるわよ」
希「あの日……か」
一同『……』
ことり「なっ……なんだか、しんみりした空気になっちゃったね……そろそろお開きにする?」
真姫「ああもう! ベタベタしないで!」
一同『!?』
にこ「えー、そんなツンデレしないでよー」
真姫「何それ!? イミワカンナイ!」
凛「おーい、真姫ちゃーん」
真姫「え? ……あぁ、凛」
にこ「……」ムッ
希「相変わらずお熱いなあ」ニヤニヤ
真姫「はあ? ヘンな事言わないでよ希!」
にこ「で? 真姫に何かようなの?」
花陽(みるからにイラついてるなあ……)
凛「真姫ちゃんはどこの兵科を志願するの?」
にこ「あのねえ、真姫はあんた達死に急ぎと違って調査兵団にはいるなんて馬鹿な真似……」
真姫「……ワカンナイ」
にこ「え?」
真姫「だ、だって……まだ時間はあるんでしょ? もう少し考えたいわ……」
凛「ふーん……」
にこ「ま、まあ? もちろん? 安全で且つこの私がいる駐屯兵団に入るでしょ、最後には」
真姫「……さあ?」スタスタ
にこ「」
穂乃果(……もう、こんなところまで来たんだ)
穂乃果(この訓練兵生活も、色んなことがあったなあ……)
ーーー3年前
教官「おい! 貴様は何者だ!!」
ことり「シガンシナ区出身! 南 ことりです!」
教官「そうか! 可愛らしい名前だな! そんな名で兵士になれるとでも思ってるのか!?」
ことり「覚悟はあります!」
教官「よろしい!!」
教官「次! 貴様は……!」
兵士1「アレ。毎年やってるけどなんか意味あんのか?」
兵士2「なんでも、「通過儀礼」らしいぜ。それまでの自分を否定して真っさらな状態から兵士に適した人材を育てるため……だと」
兵士1「へえ。そんな大層な意味があったのか」
教官「次……!」チラ
花陽「……」モグ
教官「……!!」
花陽「……」モグ…モグ
教官「……!!?」
教官「おい貴様! 何をしている!」
花陽「?」
花陽「……」モグ
教官「貴様だ貴様ァ! その手に持っているモノはなんだ!」
花陽「おっ、おにぎりです!」ビク
教官「貴様……なぜそれを?」
花陽「おっ、お腹が空いていたからです」
教官「いや……わからんな……なぜ今おにぎりを食べた?」
花陽「それは……! 何故人はお米を食べるのか? ということでしょうか」
教官「違う」
花陽「……?」ジーッ
花陽「……!」ハッ
花陽「うぅ」スッ
教官「……? なんだこれは」
花陽「半分……あげます」
教官「なん……だと……!」
凛「……かよちん、まだ走らされてるにゃー」
海未「しかし、死ぬまで走れと言われた時より今日は夕飯抜きと言われた時の方が悲壮な顔をしてましたね……」
真姫「あの時の米女の顔は放送禁止レベルよ……」
凛「米女ってなにー!?」
真姫「あっ……ごめん」
花陽「はっ、はっ……うぅ、ダレカタスケテ-
!」
>>28 ミスです! すいません!
穂乃果「え?」モグ
凛「だから、高坂さんって、シガンシナ区出身なんでしょ? 超大型巨人て……見たりしたの?」
穂乃果「とりあえず、「穂乃果」って呼んでほしいなっ」
凛「え? あ、うん! 穂乃果……ちゃん?」
穂乃果「ありがと! えと、なんだっけ? ……あ、超大型巨人の話だっけ?」
穂乃果「うん。見たよ?」
ザワッ
凛「え!? ね、ねえ! どれくらい大きいの?」
穂乃果「うーん……壁から頭が出るくらいだったよ、確か」
にこ「へー、そんなもんなのね。私のところでは壁を跨いだって聞いたわよ」
海未「そんなに大きくはありませんでしたね」
凛「じゃあさ! 普通の巨人は?」
穂乃果「普通の……」
穂乃果母「生き……て……」
ガブッ
穂乃果「うっ……!!?」カラン
花陽「だっ……大丈夫……!?」
真姫「あの日に、しかもシガンシナ区にいたっていうなら、人一倍、嫌な思い出もあるんでしょ……。聞きすぎたわね」
凛「え……ぁ、ごめんね……」
穂乃果「大丈夫……ありがとう」
ーーー数日後
座学教官「今日は巨人の生態について学ぶ」
座学教官「まず、巨人には種類があることを知らなくてはならない」
座学教官「なかには、人を食おうとしない巨人もいる」
訓練兵『!!?』ドヨッ
座学教官「いいか? まず、人を食おうとする、そして、数も多いのが、通常の巨人……これは解るな?」
座学教官「そして、人を食おうとせず、常軌を逸した行動をとる、『奇行種』……」
座学教官「最後に、それこそ、通常では考えられない……且つ『巨人』という枠組みですらも考えられない……」
座学教官「……『特殊能力保持種』。」
穂乃果「そんな巨人が……!」
ことり「……!」
座学教官「『特殊能力保持種』は、その名の通り様々な種類の能力を持つ巨人のことだ」
座学教官「例えば、瞬間移動する能力や、体の一部分を硬化させる能力だ」
座学教官「この種の巨人は、今日までに数えるほどしか見つかっていない」
座学教官「十数年前、「捕らえた」という報告があったが……真実かどうかは不明、その巨人の情報を開示しようとしないのだ」
座学教官「……まあ、上の方達には知ってる人もいるそうだがな」
座学教官「……次は、」
穂乃果「そんな巨人もいるんだねっ」ボソッ
海未「そうですね……授業に集中してください」ボソッ
穂乃果「はーい」
ーーー2年後
穂乃果「ふっ!」バシュ
海未「穂乃果、ガスを吹かしすぎです、最小限に!」バシュ
ことり「実践練習、大変だね……!」バシュ
穂乃果「でも、なんか訓練も佳境!
って感じだね!」タンッ
海未「そう……ですね!」ズバッ!
ことり「うわ、海未ちゃん何体目?」
海未「忘れました」
穂乃果「うわ……」
教官(高坂 穂乃果……目立った特技はないが、母親を目の前で喰われたことによる巨人討伐の意思は今期随一……)
教官(また、この過酷で残酷な状況を「楽しんで」いるふしがある……。ともすればただの馬鹿だが、それは強靭な精神力の賜物かもしれない)
教官(南 ことり。こちらも目立った特技はないが、手先が器用であり、複雑な立体機動をいとも簡単に使いこなす)
教官(そして園田 海未。今期で飛び抜けて優秀だという評価がついている。無論私も同感だ。非の打ち所のない戦闘技術、よく回る頭……非常に逸材だ)
教官(次の班は……)
凛「かよちーん! 真姫ちゃーん! 遅れてるよー?」バシュ
花陽「わかってるけどー!」バシュ
真姫「アンタが速すぎるのよ! なんでそんな速く動けんの!?」バシュ
凛「いっくよー!」クル
ズパン!
花陽「凛ちゃんすごい……!」
真姫「ヴぇぇ……どうやったらあんなに使いこなせんのよ……」
教官(星空 凛、座学の成績は悪いが、身のこなしなら十分トップクラス。立体機動の特性をよくわかっており、とても素早い動きが可能)
教官(小泉 花陽、控えめな部分があるが、座学、実技ともになかなかの成績である)
教官(西木野 真姫。実家が医者なだけあり、座学……とくに薬学の成績が非常にいい。運動はそこそこである)
絵里「はあっ!」ズバ
希「はー、えりち、やっぱりすごいなあ」バシュ
にこ「とか言ってるアンタだって、めちゃくちゃ立体機動使いこなしてるじゃない」バシュ
希「でもえりちにはかなわへんってー」ズバ
にこ「って言いながらにこやかな笑顔で巨人(模型)のうなじ削るのやめてくれる!?」
絵里「まあまあ」ズバ
にこ「そこ! なだめながら削がない!」
教官(絢瀬 絵里、園田海未とまではいかないが、なかなかの逸材である。また、園田とは違い社交的なほうである)
教官(東條 希。絢瀬につぐ成績。積極的なほうではなく、一歩引いた所から全体を見ているふしがある)
教官(矢澤 にこ、座学のほうはあまり優秀ではないが、その小柄な体を生かした動きが得意である)
教官(今期は……優秀な訓練兵が多い)
ーーー1年後、現在
穂乃果「へー! 壁の高さは知ってたけど、実際に登ってみるとやっぱ違うねー!」
海未「はしゃぎすぎて落ちないでくださいよ?」
穂乃果「わかってるって!」
サァァァ…
穂乃果「……!」
ことり「? どうかしたの、穂乃果ちゃん?」
穂乃果「広い……!」パァァ
海未「……本当に」
穂乃果「いつか、絶対、あの、先の先まで……!」
穂乃果「絶対……!!」
ドォオォオオオ!
穂乃果「ッ!?」ブワッ
海未「なっ……なんですか!?」
穂乃果「この蒸気……! まさか……!?」
超大型巨人「……」ゴォォオ
穂乃果「……久しぶりだね」ギリ
海未「危険です! 離れて下さい! 穂乃果!」バシュ
ことり「ぐっ……!」バシュ
超大型「……」ギロ
穂乃果(!? こっちを……向いた?)
ドゴォ!
穂乃果「うわっ!」グラ…
海未「な……ッ、壁が!!」
ヒュオオオオ…
穂乃果「壁に、穴が……!」
穂乃果「ッ……! うあああ!!」バシュ!
ヒュン
穂乃果「喰らえぇぇぇええええええ!!!」ドシュッッ!
ドォ!!
穂乃果「ま、た蒸気……! あつ! ……」フラ
海未「穂乃果!」ガシ
穂乃果「う……」
ことり「大丈夫!?」タッ
海未「……気絶はしてません、大丈夫……です」
海未「それより! 超大型は……ッ!?」
海未「消え、た……!?」
ことり「海未ちゃん! 巨人が街に!」
海未「まずい……」
海未「ことり! 穂乃果をお願いします!」バシュ
ことり「うん!」ダキッ
にこ「あ……ああ」ガクガク
にこ「なんで、また、あいつが、しかも、今日!!」
真姫「とにかく、住民を避難させるわよ!」
花陽「みんなパニックだよ! 避難誘導なんて出来ない!」
凛「誘導しないで「元」を止めにいくにゃ!」バシュ
にこ「は? はは……馬鹿じゃないの、あいつ」
花陽「待って凛ちゃん!」バシュ
真姫「その方がいい、か」バシュ
にこ「おかしいんじゃないの、アイツラ……」
にこ「私は生きたい……死にたくない……」ペタン
にこ「生きたい、イキタイイキタイイキタイシニタクナイシニタクナイ……」ブツブツ
海未「うあ!」ズバツ
海未「はあっ、はあっ」
凛「海未ちゃん!」タンッ
海未「凛……」
花陽「穂乃果ちゃんとことりちゃんは!?」タンッ
海未「壁の上にいます」
真姫「状況はあまり良くはないみたいね……」タンッ
海未「そのようです……」
穂乃果「はっ」タンッ
ことり「大丈夫? 穂乃果ちゃん」タンッ
海未「二人共……!」
穂乃果「ねえ! 海未ちゃん! 私に出来ることは!?」
海未「いや……私達に今、出来ることは、巨人を食い止めることぐらいしか……」
海未「あそこにある大岩をあの穴にはめ込むことが出来るのなら、そうしたいのですが、私達にはその手段が……」
海未「って、聞いてます? 穂乃果……!!?」
穂乃果「え……」ヒョイ
巨人「……」アー…
海未「穂乃、果ァァぁぁあああああ!!!」
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