男「ふ…。ついに俺の時代がきたということか…」
女「いやいやいやいや! そんなの手に入るわけないでしょ!」
女「レプリカじゃないの?」
男「残念ながら本物だ」
女「しょ、証拠は?」
男「俺が聖域の台座から抜いてきた」
女「おバカーーッ!!」
女「聖域って言ったら、私たちが入っちゃいけない場所じゃない!」
女「高位の神官とかしか入っちゃいけないのに、あんたは何やってんのよ!」
女「ほんっと底なしのおバカね!」
男「いやぁ、あっはっは」
女「褒めてないわよ!」
女「いい? 私たちはただの平民。それも、元服もしてないガキンチョなの!」
女「聖域に入ったってばれたらただじゃすまないわ」
女「なんとかしてそれを元の場所へ戻すのよ」
男「秘剣・燕返しー!」キャッキャッ
女「話聞けー!!」
男「まぁ安心しろよ女」
女「な、何よ」
男「いざとなったら俺が守ってやっから」ニコッ
女「お、男……」キュンッ!
女「……って、あんた個人の問題でしょうがーっ!! 私もキュンってなってんじゃないわよー!」
男「お、なんか剣が光ってるぞ」ピカー
女「ほ、ほんとだ」キラキラ
男「おぉ、綺麗だ…」ヒュー、スポン
女「…………」
男「…………」
女「私の見間違いじゃなければあんたの中に入っていった気がするんだけど…」
男「俺はポケットも宝物庫も持ってないんだけどなぁ」
女「って、あんた何しまっちゃってんのよ! 早く出しなさい!」
男「そ、そう言われても。ど、どうやるんだ!?」
女「わ、私が知ってるわけないじゃない!」
男「あ、あれだな! 気合いだな!」
女「そ、そんなので出るのかしら?」
男「来い! 俺の覇道剣!」ピカー!
女「ほ、本当に出ちゃった…」
女「ていうか名前ダサ」
男「こ、これが俺の新しい力!」
女「少なくともあんたの力じゃないことは確かね」
男「ヒャッハー! これから毎日魔物を倒そうぜ?」
女「剣返しなさいよ!?」
女「そ、それにあんたにそんな危険なことしてほしくないわよ…///」カァッ
男「お、女……」
女「…………///」
男「熱でもあるのか? 顔赤いぞ」
女「うるさい、このにぶちんおバカーっ!」バキッ!
男「へばぁっ!?」
女「と、とにかく早く剣を返しに行くわよ。誰かに見つかる前に!」
神官「ほぉ、女さんが不機嫌に…」
男「ただ聖域から剣を持ってきただけなのにさぁ。怒りずぎだよなぁ」
神官「まぁそこもやさしく受け止めるのが男の役目ですよ」
男「そ、想像できんな…」
女「…ってあんたはなんで早速ばらしてんのよ!!」ドカッ!
男「グヘッ!?」
神官「おお、見事なコークスクリュー」
神官「というわけでこんにちは、王都から来た神官です」
女「は、はじめまして。女です」
男「お、男だ……」ボロボロ
神官「伝説の剣が抜かれたと聞いたので表向きには飛んできたのですが…」
女「お、表向きにってどういうことですか?」
神官「いや、急ぐのって面倒くさいじゃないですか」
女「…………」
神官「なにはともあれ、王に頼まれて無理やり派遣されてきた私の役目は剣がどういう状態であるのかを確認することです」
女「え? 確認だけなんですか?」
女「てっきり処罰があると思ったのに……」
神官「実を言うと、今この国はとある問題を抱えてまして…」
男「問題?」3+3=6トカ?
女「男、それ違うから」
神官「最近街の近くでやたらと魔物が出現してましてね」
神官「しかも随分と攻撃的で来るたびに撃退するの面倒くさいんですよ」
女「本音混じってません?」
神官「もう壊滅してる村も出てきてるんです」
男「それも魔物が?」
神官「ええ。死傷者も増え続けてます」
神官「このままいけば王都が襲われる可能性も否定できないんです」
女「そんな……」
神官「街の応戦部隊もいい加減魔物との戦闘に疲労してきてましてね」連戦トカアルンデスヨ
神官「そこであなたを私たちの対抗策として使おうというわけですよ、男君」
男「…………!?」
女「ちょ、ちょっと待ってください! それって男を魔物と戦わせるってことですか!?」
神官「まぁそうなりますね。というかそれ以外考えられないですしおすし」
女「わ、私は反対です! 男にそんなことさせられない!」
男「女……」
神官「女さん、あなたは少し勘違いしてます」
女「え……?」
神官「男君には拒否する権利なんてないんですよ。聖域に入ったという事実がある限り」
神官「それにあなたは口をはさむ権利なんてないんですよ。あなたと男君は何の関係もないただの他人ですからね」
女「そ、そんな……」
神官「今はこうして成り行きで話をしてますけどね。本来ならあなたはこの問題に関わることすらできないんです」
神官「まぁぶっちゃけて言えば関係ない奴は引っ込んでろって話ですね」
女「…………!?」ポロッ
男「お、女!?」
女「~~~~!!」ダッ!
男「女ー!!」
神官「放っておいてください。あなただってあの子を危険にさらしたくはないでしょう?」
男「……………てた」
神官「はい?」
男「あいつ泣いてた…」
神官「それがどうかしましたか? 私たちが必要なのはあなただけなんです」
神官「余計な因子は取り除かねばならないでしょう」
男「うるさい!」
神官「…………」
男「国とか、魔物とか、役目とかそんなものは関係ない」
神官「国に逆らうとでも?」
男「女を泣かせた。それだけで戦うにゃ充分だ」
神官「手荒な真似はしたくなかったんですけどねぇ」ヤレヤレ
神官「まぁそれでも私は役目を果たさないといけないですしおすし」
男「かかってこいよ、金髪野郎」
神官「短絡的な挑発は敗北を招きますよ。これから戦ってもらうことが多くなるんですから覚えておいてください」
男「誰がテメェらのために戦うかよ!」ダッ!
神官「なるほど。初速は中々早いですね」
神官(これも聖剣の影響か……)
距離を詰め、拳を振るう。
いつもより体が軽い。だがそんなことは関係ない。
今の俺を突き動かすのは女を泣かせた神官に対する怒りのみ。それは俺を戦いに駆り立てるにはあまりにも十分すぎる理由だった。
振るわれた拳を神官はいとも簡単に避けて見せた。お返しにとばかりに手に持つ杖で俺の顎めがけて杖を跳ね上げる。
それを避けようと頭を横に逸らす。
が、それすらも奴には読まれていたらしい。奴の杖は真っ直ぐ上に向かうのではなく、俺の顎にぴったりと合わされ、鈍い衝撃が俺の頭を襲った。
男「がっ…!?」
神官「いいですか、男君。戦いは常に冷静に、視野を広く持つべしですよ」
頭が揺れた。
視界が白に染まり、一瞬だけ平衡感覚が体から消える。しかし、次の瞬間には身体は地面に叩き付けられ、いつの間にか自分の体が飛んでいたのだと知った。
景色が歪む。
突き上げられた顎は鈍い熱を発し続け、否応なく自分が殴られたことを再認識させる。
だが、それがどうした。
痛みと眩暈に悲鳴を上げる体を無視し、ゆっくりながらも身体を起こす。
神官「ほぉ、まだ立ち上がりますか。今の一撃で沈むと思ったんですけどねぇ」
男「ハッ! この程度でくたばると思ったら大間違いだ!」
精一杯に虚勢を張り、気持ちを奮い立たせる。
まだ戦える。どれだけ身体がボロボロになっても、この気持ちがある限りは。
だがそんな俺の気持ちを削ぐかのように腹に一撃が叩き込まれる。
神官「あまりあなたを傷つけたくないんですよ。ほら、大事な人材ですからね」
気が付けば神官の顔が目の前にあった。
全く見えなかった。奴の初動も、杖の動きも。
ほう…( ・ω・)
神官「ただ、国に逆らうというのなら私も容赦はしません」
神官「逆らえないくらいにボロボロにしてから私たちの言うことを聞いてもらいますから」
そう言う奴の瞳に映るのはただ純粋な闘争心だった。情も容赦もない。ただ相手を屈服させようという闘志。
瞬間、背中を冷たいものが走っていった。
手が震え、足がおぼつかなくなり始める。
馬鹿野郎! こんなことで負けてどうする。俺は勝たなきゃならないんだろうが!
ギリッと奥歯を噛みしめ、拳を握りしめる。
懐に潜り込んでいる神官の腹めがけて全力の拳をたたき込む。余力などない。俺の全力をかけた一撃のはずだった。
神官「ああ、無駄ですよ。全部見えてますから」
あっさりと奴に片手で止められる。
いくら力を籠めてもそれ以上は動かない。
奴は全身に力を入れると俺を近くの木の幹をめがけて投げつけた。背中から打ち付けられ、肺の空気がすべて押し出される。
圧倒的だった。敵わない、その事実が俺の闘志をむしばみ始める。負けられない、その心が音を立て軋みはじめた。
負けるな。そう叫ぶ心が随分と遠くにあるように思えた。
負けたくなかった。女を泣かせたこいつにだけは、絶対に負けたくなかった。
それでも俺と奴の間に圧倒的な戦力差がある事実は消えない。いくら俺が突っかかっていったところで奴は何の苦労もせずに俺を倒すだろう。
ならば……、いっそ……。
そこが俺の限界だった。
闘志という剣にヒビが入る。心という蝋燭に灯していた炎が雨に打たれたように小さくなる。
神官「やっと終わりましたか。全く、手間をかけさせてくれるものです」
奴が近づいてくるのが見える。だが指一本すら動かせない俺では何をしたところで勝てそうにもない。
視界が暗くなり始める。
ああ、これが気絶なんだなとぼんやりと思う。このまま行けば、目を覚ました後に俺は魔物との戦いの中へ放り込まれるのだろう。
『これで本当にいいの?』
――いいんだ。俺が負けたのは事実なんだから。
『やれやれ、今代は随分と弱いね。一瞬でも期待した僕が馬鹿だったかな』
――期待? 俺に期待できるものなんてないじゃないか。
『そうかい? 少なくとも僕は期待できるものがあったと思うけどね』
『君は今何のために戦ってたんだい?』
――何のためにって……。俺はあいつを負かすために……。
『違う違う。そのもっと前だよ』
『君が戦い始めた理由は?』
――それ、は……。
『君は何か大切なもののために戦ってたんじゃないのかい?』
――…………。
『だったら、こんなところで諦めてたらいけないと僕は思うけどなぁ』
――だけど今の俺には勝てるほどの力がない。
『君が望めば力を与えることはできるよ。君は力が欲しいのかい?』
――……ほしい。俺は力が欲しい。
『言ってごらん。君はどんな力を望むんだい?』
――俺は……、俺は……!!
「俺は大切なものを守れる力が欲しい!!」
『契約は成立だね。じゃ、これから頑張ってもらうよ新しい勇者さん』
ちょっと買い物行ってくる
今まさに闘志を失っていたはずの男がゆらりと立ち上がる。その動きに警戒するも、死に体では何もできないだろうと切り捨てた。
どうあるにしても、戦闘力はこちらが上だ。何があっても私が負けるはずはない。だというのに…。
神官「そうですか。往生際が悪いというか、粘りが強いというか」
男は屈することなく、こちらを睨み付けた。その瞳には消えたはずの闘志。
変化は一瞬だった。
彼の髪はぼんやりと光る銀色に、瞳の色は血のように赤くなる。右目には勇者の証である紋章を出現させていた。身体全体が浅黒く染まり、心なしか体格が大きくなった。
彼は大きく咆哮したかと思うと、その右手に一振りの剣を顕現させる。それは私たちが最も見慣れた剣。即ち、封印されていた聖剣だった。
神官「なるほど……。そこまで力を引き出しますか」
とんでもない潜在能力だ。聖剣を抜いた時からよもやとは思っていたが、ここまでとは思わなかった。
聖剣は誰かの所有物となった時点でその形を失う。そうすることで所有者の能力を底上げするからだ。そして、所有者の特性により新たな武器を作り出す。
今までの勇者もまたそうやって魔物たちと戦ってきた。
だが、ここまで完全に元の聖剣を再現できた勇者はいない。それは彼の特性が元の聖剣と完全に合致していたということを示している。
×その動きに警戒するも、死に体では何もできないだろうと切り捨てた
〇その動きに警戒するも、死に体では何もできないだろうと考えを切り捨てた
書き溜めなくなるから今日はここまでで。また明日になったら更新します。
乙(・ω・)
男「■■■■ーーッ!!」
神官「その上、バーサク化ですか!?」
先ほどよりも遥かに早い速度で彼は私との距離を縮ませた。やばいと思った時には彼はもう私の懐に潜り込んでいた。
切り上げられる聖剣。それを杖で受け、地面を強く蹴る。
甲高い金属音。両腕がビリビリと痺れるほどの衝撃。それは恐ろしいの一言に尽きる。
宙を飛び、後方の木の枝に着地した。
その間も彼からは目を離さない。一瞬でも気を抜けばやられるのは分かっている。先ほどの一撃を喰らえば無事ではすまない。いや、下手をすれば死ぬことさえある。
神官「とんでもない勇者もいたものです」
ぽつりと呟く私の声を聴いたか、彼の身体が一瞬だがピクリと揺れる。
が、次の瞬間、爆音を炸裂させて、彼の姿が消えた。
ゾクリと寒気が首筋を撫でる。私は自らの勘に任せて杖の両端を持ち、頭上に掲げた。
続く金属音。
足元がミシリと嫌な悲鳴を上げながら崩れ出す。まずいと思う暇もなく、枝が耐え切れず崩壊した。
そして、今度こそ逃れる術を無くした私は彼の勢いに負け、地面へと叩き付けられた。
男「■■■……! ■■■■」
ズンッと地鳴りがし、私の近くに彼が着地する。地面は抉れ、お椀状の小規模の穴が開いていた。
しかし、彼の肉体には傷一つ見当たらない。
それはつい先ほど私がつけた傷も例外ではない。身体の汚れはあるものの、彼の身体にあったはずの傷はいつの間にか消えていた。
チェックメイト。
脳裏にそんな言葉が過る。それを笑い飛ばし、再び立ち上がる。身体に回復魔法をかけ、無理やり身体を戦闘態勢へと持ち込む。
回復魔法とは言ってもほんのささやかなものだ。
そもそも回復魔法が治癒速度を上昇させるという能力であり、致命傷を受ければそんなものは何の役にも立たなくなる。
つまり、致命傷を受けた時点で私の負けだ。それよりも前に、彼を何とかして気絶させ、国へ連れ帰らなければならない。
神官「ハンデがありすぎじゃないですかね…」
今の彼は暴走状態で我を無くしている。言葉は通じないだろう。
彼を止めることができる魔法はあるにはある。だが、彼の動きが速すぎる。詠唱の時間などくれはしないはずだ。
それに魔法を発したところで彼がそのままみすみす受けるとも思えない。今の彼の速度を超える魔法は今の私には存在しなかった。
畑違いだが仕方ない。私は杖を投げ捨て、戦闘態勢をとった。
こうなれば私がとる行動はただ一つ。
神官(肉体言語でお話ししましょうか、男君!)
私は全身に強化の魔法をかけ、彼に突撃した。
流石にあの一撃はこたえたのだろう。彼の顔が歪み、ぐらりと身体が傾いた。
その隙を見逃すはずもない。私はすぐさま詠唱を開始し、魔力を練り上げた。私の行為に気づいた彼が一際大きな咆哮をあげ、剣を振り下ろす。
神官「残念ですがチェックメイトですよ、男君」
彼の剣は私の眼前でぴたりと止められた。
彼の形相は阿修羅そのもの。確実な殺意をもって私を殺そうとしている。
だが、彼の身体は虚空より現れた銀の鎖に拘束されていた。いくら身体を動かせど、ぴくりとも動かない頑強な檻。
神官「これで本当に終わりですよ」
なお暴れる彼の頭に指を置き、呪文を呟く。すると、彼は身体をよじらせてもがき始めた。身体の浅黒さが消えていき、銀の輝きを放っていた髪はもとの黒髪へと戻っていく。
数分経った後には、彼は完全に元の姿に戻り鎖に支えられて項垂れていた。
これで本当に終わりだ。あとは、彼を王のもとへと連れて行くだけだ。
鎖を消し、彼の身体に触れる。まさにその時だった。
やりやすいほうでええよ
2で
全部厨二全開は読む方も疲れる
それに落差があった方が楽しいし
神官「とどめはささないんですか?」
男「…………」
神官「黙ったままでは分かりません。私は超能力とかなんかそういう類の属性は持ってないんですから」
男「…………」
神官「まぁ私としては助かったんですけどね。死ぬのはやはりごめんですから」
男「……俺、馬鹿だったよ」
神官「…………?」
男「今、俺は自分の殺戮衝動に身を任せてた。あと少しであんたを殺すところだった」
男「何のために戦うのか忘れてた。俺…、本当に馬鹿だ…」
神官「…………」
神官「言ってる意味がよくわからないですね…」
神官「仮にあなたが私を殺したところで、あなたの友人である女さんを傷つけた私が憎くて殺してしまったということになります」
神官「それは人間としてごく普通の反応ではありませんか?」
男「違う…。今の俺は、彼女のためじゃなく自分のために戦ってたんだ」
男「最初は確かに彼女のためだった」
男「でも途中からは自分の中の闘争心が俺を駆り立ててたんだ…」
神官(ふむ……)
男「あんたを倒せと、それだけが頭の中を駆け巡ってたよ」
男「それで俺は……、それに抗えずあんたを殺そうとした」
男「彼女を言い訳にして人を殺そうとしてたんだ! 俺は……! 本当に馬鹿だ…!!」
神官「…………」
神官「男君、それは……」
『敵襲ぅ! 敵襲ぅ!!』カンカンカン!!
神官/男「…………!?」
漢「神官さん! 男!」ムキムキ!
男「お、漢さん!? どうしてここに…」
漢「こまけぇ話は後だ! とにかくついてきてくれ!」ムキムキムキ!
神官「男くん」
男「…………」コクン
神官「こ、これは……」
男「何だよ…これ……」
『ワラワラ キーキー グギャァァ! ウホウホ! シャー!』
神官「魔物の大軍…!」
男「漢さん! これはいったい!?」
漢「分からねぇ。見張り台にいた連中が見つけたんだ」ムキッ!
漢「数はざっと300前後。ご立派なことに、50匹単位ぐらいで指揮官らしき魔物までついてやがる」ムキッ!ムキッ!
神官「もう…、すぐそこまで来ている…」
神官(これでは今から軍を呼んでも間に合わない…!)
漢「皆急いで避難の準備をしてる! あんたらも早く準備してくれ!」
神官「…いえ、私はここに残ります。みなさんは急いで避難を」
漢「なっ!? 神官さん!?」
男「何言ってるんだあんた! いくら強いあんたが立ち向かったところで勝てる見込みがないのは分かるだろう!」
神官「それでも……、私はここに残ります」
神官「このまま私が逃げてしまえば、聖域は破壊されてしまうでしょう」
神官「それではだめなんです」
神官「あそこは私たちに残された最後の希望を生み出す場所」
神官「それを守ることこそが、聖域を担う私の役目なんです」
漢「神官さん……」
男「だったら俺も…!」
神官「ダメです!!」
男「…………!?」ビクッ!
神官「忘れたんですか? 君はその身体に聖剣を宿しているんですよ」
神官「万一それが壊れるようなことがあったらどうするんですか」
神官「聖剣は宿主ありきの聖剣なんです」
神官「忘れないでください、君が死ねば君の中の聖剣も壊れます」
男「勝てるわけがない! あんた一人と300匹の魔物じゃ戦力差がありすぎる!」
神官「それでもやるしかないんです。それが私の役目ですから」
男「だったら! 聖剣を持ってる俺だって魔物を倒すのが役目なはずだ!」
神官「いえ、今の君にそんな役目はありません」
神官「君はまだ聖剣を手にしているだけです。役目を与えられたわけではありません」
男「あんた…! さっきから役目役目って!!」
漢「おい、やめろ男! こんなところで喧嘩してる場合じゃないだろう!」ムキッ!
神官「では、はっきりといいましょうか、男君?」
男「何をだよ!」
神官「今の君は実力不足だ。私に付いてこられても足手まといなんだよ」
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