男「ん?」
女「ん?」
男「…………」
女「…………」
男、女「「大盛りで」」
男「被りましたね」
女「そうですね」
男「こんな夜更けに女性がラーメン大盛りとは」
女「言わないでください。仕事忙しくてお昼抜きだったのです」
男「む、俺も同じです」
女「また被りましたね」
男「はい」
男「ここまで被るのも何かの縁ですね」
女「ありがとうございます、奢ってくれるんですね」
男「なぜそんな話に」
女「運命を感じたなら『マスター、隣の女性に酒を』というのが常識でしょう」
男「ここはラーメン屋ですよ」
女「では餃子を」
男「奢りません」
女「むう、では自腹で餃子を」
男「俺もそうしましょう」
女「早く来るといいですね」
男「まったくです」
店員「お待たせしましたー」
女「おお」
男「来ましたね」
女「やっぱり餃子と一緒に食べるのが最高です」
男「意見が合いますね」
女「私、餃子はタレと酢派なのです」
男「こっちは醤油とラー油派です」
女「む、辛いのがお好きですか」
男「そっちは苦手ですか?」
女「程度によります」
男「はふはふ」ズルル
女「なんだかそっちのラーメンのほうが美味しそうに見えるのです」
男「同じラーメンですよ」
女「チャーシューもちょっと大きく見えるのです」
男「錯覚です」モグモグ
女「ああ、ここは交換してくれるところでは……」
男、女「「ごちそうさまでした」」
男「まさか本当に全部食べきるとは」
女「職場では宇宙の胃袋を持つ女として知られています」
男「それはすごい」
女「『やっぱりちょっと多かった……代わりに食べて?』というような恋人っぽいイベントを期待していましたか?」
男「いいえまったく」
女「これは屈辱です」
男「さて、会計も済ませたので帰ります」
女「このまま大人の世界に行っちゃったりはしないのですか?」
男「会って一時間ちょっとの人とそんな事はしません」
女「同じ店のラーメンを食べた仲ではないですか」
男「同じ釜の飯とはかなり差がありますよそれ」
男「ではさようなら、ラーメンの君」
女「その呼び方はちょっとどうかと思います」
男「では女さん、さようなら」
女「さようなら」
翌日
男「またお会いしましたね」
女「きゃー、ストーカー」
男「おふざけはやめてください、捕まりたくないです」
女「今日もラーメンですか?」
男「いいえ、今日はお昼が遅かったので軽く一杯やるだけにしようかと」
女「それならあそこで飲みましょう」
男「あの店ですか?」
女「友人が働いているので、融通きかせてもらえるのです」
男「予約入れなくて大丈夫ですか?」
女「そこを融通きかせてもらうのです」
男「なるほど」
女友「こちらサラダになりまーす」
男「お野菜ですね」
女「一人暮らしだとついつい疎かにしてしまいます、野菜の摂取」
男「トマトとキュウリが美味しいです」
女「なんと、私の好きな野菜をピンポイントで」
男「あなたにはこのレタスを授けましょう」
女「むう、そのお皿に乗ってる赤いのがいいのです」
女友「こちらチヂミになりまーす」
男「おお、キムチチヂミですね」
女「チヂミって初めて食べます私」
男「ではどうぞ」
女「あーんしてます。食べさせてください」
男「え」
女「ふふふ、美味しかったです」
男「恥ずかしかったです」
女「あまじょっぱいタレが絶品でした」
男「こっちは甘酸っぱかったです」
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