川内「ホワイトデー、か……」【艦これ】 (41)
三月某日?―
船渠(ドッグ)前
川内「ふぅ……いいお湯だったー!」
川内「夜戦もいいけど、やっぱり風呂もいいよね?、風呂もさ?」
那珂「アイドルはお肌の手入れも大切だからねっ☆」
神通「姉さん、那珂ちゃん」
川内「お、神通」
神通「帰ってきていたんですね。お疲れ様です」
川内「うん、今入渠が終わったとこ。そっちも演習は終わったんだね」
神通「はい、いい演習になりました。晴天なのが少し残念でしたが……」
川内「雨風がある方がいいってことか」
那珂「神通ちゃん相変わらずスパルタだねー」
神通「そうでしょうか……」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1426345168
※スゴイ・ミジカイ
※川内「とびきり甘いチョコレートを」【艦これ】
川内「とびきり甘いチョコレートを」【艦これ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1423925919/)
↑の続き的な
※上のスレを見ていない、見る気の無い方は
・川内は提督スキー
・提督は妻子持ち(知っているのは川内型のみ)
・それを知った川内はバレンタインデーにチョコを渡していない(自分で食べた)
という点を踏まえて頂ければ大丈夫です
ガヤガヤ
川内「……」
川内「にしてもさ」
神通&那珂「?」
川内「最近、妙に鎮守府内が騒がしいと思わない?」
川内「なんかこう、落ち着きがないっていうか……」
川内「なんかあったっけ?」
神通「!!」
神通(なにこのデジャヴ)
那珂「さ、さあ~……那珂ちゃん分っかんないなぁ~」
神通「特に気にする必要もないかと……」
雪風「あっ、川内型の皆さん」ボロッ
川内「ん?」
神通「雪風ちゃん、お疲れ様」
雪風「はい、お疲れ様ですっ!」
那珂「うわ、雪風ちゃんボロボロじゃん。大丈夫?」
雪風「大丈夫です、神通さんの特訓のあとはいつもこうなりますから!」
那珂「うわぁ……やっぱりスパルタ……」
神通「全力を尽くさなければ演習の意味はありませんから」
川内「ところで雪風、一つ聞きたいんだけど」
雪風「はい、なんでしょう!」
カクカクシカジカ
雪風「えっと、それはですねー」
神通「ちょ、雪風ちゃん-―」
雪風「明日がホワイトデーだからだと思います!」
神通「」
那珂(言いやがったよこの齧歯類!)
川内「ほわいと……でー?」
雪風「はい!一ヶ月前しバレンタインデーがありましたよね。ホワイトデーは、それのお返しをする日なんです!」
雪風「一般的には男性から女性に贈り物をするんですが……鎮守府ではバレンタインに艦娘同士でチョコを渡しあってましたし、ホワイトデーもそうなるかもしれませんね」
川内「バレンタインデーのお返し……」
雪風「艦娘の多くはしれぇにチョコを渡してますし、そのお返しを期待してるんだと思います」
雪風「あ、もちろんお返し目当てにチョコを渡したワケじゃないんですよ?でも、もしかしたらしれぇから気持ちを伝えられるかもしれない、なんて-―」テレテレ
神通「雪風ちゃん、ちょっと」ガシッ
雪風「へっ?」
神通「もう一度一緒に演習しましょうか」ニコッ
雪風「えっ、いやあの、雪風もう限界で……ちょ、神通さんなんなんですかその笑顔怖いですよぉー!!」
ズルズル
川内「」ポカーン
那珂「あ、あはは……」
川内「那珂、今の話……」
那珂「ぎくっ!?あ、えーと……その……」
川内「別に隠さなくたっていいよ」
川内「私は提督にチョコをあげてない。だからホワイトデーなんて私にはほとんど縁の無い話だからさ」
川内「いやー大変だろうね提督。私が知る限りでもチョコを渡していた子は何十人もいるよ?」
那珂「そう、だね……」
川内「……さ、部屋に戻ろう。神通はもうしばらくかかるだろうから」
那珂「川内ちゃん……」
*****
川内「……」ボーッ
神通「それからずっとあの調子なのですか……」
那珂「うん……」
川内「……」
川内(ホワイトデー、か……)
川内(雪風みたいに期待している子も多いんだろうな)
川内(提督も罪な男だよね。自分は既婚で、子供までいるのにさ)
川内(まぁ、自分から言わないだけで別に隠してはいないみたいだけど……)
川内(……ダメだな私。提督のことは諦めて、提督が早く家族のもとに帰れるように頑張ろうって決めたはずなのに)
川内(それなのに、こういう話を聞くと、どうしても提督のことを考えちゃうよ)
川内(提督……)
川内「はあ……」
神通「……」
那珂「吹っ切れたように見えていたんだけどねー……」
神通「あれからまだ一月しか経っていません。そう簡単なものでもないのでしょう」
神通「姉さんのことです。戦いに影響が出るようなことにはならないでしょうが……」
神通(姉さんのあのような姿をみていると、私まで胸が痛くなってしまいます……)
川内「……」
*****
14日のうちにスレを立てようと思っていたのでまだ書き終わっていません(遅筆)
キリがいいのでちょっと仕上げてきます
投下の前に訂正
>>1のドッグは誤りで、正しくはドックです
犬じゃないです。申し訳ありません
翌日-―
川内「ん……」パチ
川内「朝、か……」
川内(いつの間にか寝ていたのか……)
ガヤガヤ…
川内「ん?」
青葉「さあさあ皆さん!いよいよこの日がやって来ましたよぉ!」
青葉「今日は皆さんが待ちに待った……ホワイトデーです!」
艦娘s「「おぉー!!」」
青葉「この青葉の調査によれば、ホワイトデーの贈り物は午後から配られるみたいです。楽しみですねぇ!」
川内「ふあ……相変わらず青葉はこういうイベント事が好きだねぇ」
神通「あ、姉さん……おはようございます」
川内「ん」
青葉「さて、いったい何が配られるかについてですが、これもまた概ね判明しています」
青葉「間宮さんからの情報によると、マシュマロ、ホワイトチョコ、キャンディ、ドーナツ、シュークリーム、クッキー等々、様々なお菓子を依頼しているようです」
青葉「さすがに何十人分ものお返しを一人で作るのは不可能ですし、そこはしょうがないでしょうね」
霧島「聞いた話では、キャンディには『私もあなたが好き』、マシュマロには逆に『あなたが嫌い』という意味があるとか」
榛名「つまり、提督からキャンディを頂いた艦娘が提督の本命で、マシュマロを頂いてしまった艦娘は……」
青葉「あ、うちの提督はそこんところの知識は全く無いので気にすることはないと思いますよー」
日向「まあ、そうなるな」
伊勢「あの金剛や酒匂のアピールにも気づかない……というか冗談だと思っているような人だからねー」
金剛「Hey青葉ー、Questionがありマース!」
青葉「どうぞ、金剛さん」
金剛「テートクからのお返しに、テートクのホワイトチョコ(意味深)はないんで-―」
青葉「ないです」キッパリ
金剛「Shit!」チッ
那珂「あれセクハラになるんじゃないの?」
神通「提督から憲兵に訴えられたら終わりでしょうね」
那珂「てゆーかこのやりとり絶対提督に聞こえてるよね……」
神通「かなりの大声ですからね……」
川内「……」
ピンポンパンポーン
大淀『川内型軽巡洋艦、川内、神通、那珂。以上の3隻は司令部まで来てください。繰り返します-―』
川内「!!」
神通「!!」
那珂「!!」
青葉「!!」
青葉「おっと、ここで川内型の三名に呼び出しがーっ!?」
比叡「まさかもうホワイトデーのお返しをっ……?」
金剛「What!?川内たち、forestallingはズルいデース!」
川内「いや、たぶん違うと思うけど……私渡してないしさ」
神通「とにかく行ってみましょう。私たち三人を呼ぶということは何かがあったはずですから」
*****
司令部
川内「川内型軽巡洋艦、一番艦川内」
神通「同じく二番艦、神通」
那珂「同じく三番艦っ、那珂!」
川内「以上三隻、到着しました!」
提督「来たか、三人とも。早速用件に入ろう」
大淀「先日の作戦及び演習の結果、川内型三名が全艦特定の練度に到達したことが確認されました」
提督「そこで、三名に第二次大規模改装を実施することにした」
大淀「俗に言う『改二』ですね」
神通「この鎮守府では初、ですね」
提督「ああ。君たち三人は俺が着任してすぐのころから主力として活躍してもらっていたからな。練度も君たちがほぼ同率で一位だ」
提督「改二に必要な練度は艦娘毎に異なるようだが、どうせなら我が鎮守府初の改二として姉妹揃って改装しようと思ってな。先日ようやく全員が改二になるだけの連度になったんだ」
神通「それで私たちを呼んだ、と」
提督「そういうことだ」
川内「いいね。強くなれたら、またバリバリ夜戦が出来るし」
那珂「那珂ちゃん、もーっと可愛くなっちゃうなー、キャハッ☆」
大淀「では、川内さん方は早速艤装を装着して工廠へと向かって下さい。改造には数時間かかるので、そのつもりで」
川内「了解!」
工廠
明石「お、来たわね」
夕張「提督から話は聞いてるわよー。始めての改二に携われるなんて興奮するぅ!」
川内「はは……夕張はこんな日でもブレないね」
夕張「ん、ホワイトデーのこと?そうだなぁ……新しい工具とか貰えたら嬉しいかもね!」
明石「私もそれを提督にお願いしたのよねー」
夕張「さすが明石さん、やるぅ!」
夕張「ところで、川内は-―」チラッ
神通「……」ゴゴゴ
夕張「あっ……(察し)」
明石「話が逸れたわね。早速改装に入りましょう」
川内「ん、そうだね」
*****
カーン カーン カーン
数時間後-―
明石「ふぅ……こんな感じね」
川内「これが……改二……」
神通「どういうことでしょう……身体が、火照ってきてしまいました」
那珂「ますます魅力的になっちゃったぁ!キャハッ☆」
夕張「いやー、格好良くなったじゃない!」
那珂「違うよ夕張ちゃん~、カッコいいんじゃなくて、か わ い い !」
夕張「あはは、そうだったわね」
明石「特に神通ちゃんは凄いわね……昔のサムライみたい」
神通「そ、そうですか……?何だか恥ずかしいです」
川内「んー……」
川内(神通は鉢金、那珂はマイクに展開式の砲台)
川内(それに比べると、なーんか私は物足りない気がするなぁ。こう、チャームポイントみたいなものが……)
夕張「川内、どうかした?」
川内「いや、大したことじゃないんだけどさ……」
提督「終わったようだな」
川内「提督!」
提督「これが改二か……長門ではないが、実際に見てみると胸が熱いな」
那珂「じゃーん!どう提督、似合ってるー?」
提督「ああ、良く似合ってるぞ。本物のアイドルみたいだ」
那珂「みたいじゃなくて本物ですー!!」
提督「はは、すまんすまん」
提督「神通は凛々しくなったな。さすが華の二水戦の旗艦なだけはある」
神通「提督にそう言っていただけるなんて、嬉しいです」
提督「那珂が可愛いなら、神通は綺麗だな」
神通「えっ……あっ、その……ありがとう、ございます……」カァァ
川内(ナチュラルに口説いちゃって……これで自覚はないんだよなぁ、朴念心め)
提督「……」ジッ
川内「な、なによ提督……そんなにジロジロ見てさ」
提督「……ああ、すまない。セクハラになるな」
川内「……いやまぁ、別に私はずっと見られていても……」ゴニョゴニョ
提督「え?なんだって?」
川内「なんでもないっ!それで、なんなの?」カァァ
提督「いや、ちょっとな」
提督「さて、改二記念……というのは後付けだが、三人に贈り物がある」
那珂「贈り物?」
提督「まぁ、今日はホワイトデーだからな。そういうことだ」
川内「……っ!」
提督「あ、夕張と明石にも持ってきたぞ。頼まれていた新しい工具だ」
明石「わぁ、ありがとうございます、提督!!」
夕張「これで発明品の開発も捗るわね!」
提督「頼むから危ないものだけは作らないでくれよ」
提督「さて……まずは神通」
神通「は、はい」
提督「バレンタインデーの時はありがとうな。余り物で悪いが、クッキーを焼いてみた」
神通「こんな素敵な贈り物……私、嬉しいです」
提督「次、那珂。いつもお仕事ご苦労様。ホワイトチョコレートだ」
那珂「ありがとー☆」
提督「ホワイトチョコといえば金剛がよくわからないことを言っていたような」
那珂「あ、それは提督は気にしないでいいよっ!」
川内(那珂……誰にもあげないとか言ってたけど、こっそり渡していたのかな)
提督「最後に川内」
川内「へっ!?」
提督「……どうした、そんなすっとんきょうな声を上げて」
川内「えっ……でも、私……チョコは……」
提督「まぁ確かにバレンタインデーの時、君からチョコは貰っていなかったな」
提督「古くからの付き合いのある艦娘のみんなからは殆ど義理チョコを貰ったから、正直期待していたんだけどな。ははは」
川内「……っ」
提督「だが、そんなことはどうでもいい」
川内「えっ……?」
提督「確かにホワイトデーはバレンタインデーのお返しをする日だが、別にルールではないし、従う必要もあるまい?」
提督「今日は俺が日頃世話になっている艦娘皆に、ささやかながらのお返しをする日だ。バレンタイン云々は関係なく、皆に贈り物を渡している。もちろん君や那珂も例外じゃない」
川内「じゃあ……」
那珂「うん、那珂ちゃんはアイドルだから、誰にもチョコは渡してないよー」
那珂「ま、せっかく改二でますます可愛くなったんだし、今日はホワイトデーのお返しもかねて緊急ライブでも開いちゃおうかな!」
提督「お、いいなそれ」
那珂「というわけで、早速準備してくるねっ☆」
神通「あ、私もお手伝いしますね」
川内「え」
夕張(うーんこの流れは……)
夕張「そんじゃ、私と明石さんも作業に戻りますねー!」チラッ
明石「……!そうね、あとは二人でごゆっくり~」
川内「ちょっと、みんな-―」
シーン
提督「一気にいなくなったな。なにがあったんだか」
川内(ったく……変に気を使っちゃって……)ポリポリ
提督「まあいいか。それで、川内への贈り物だが」
川内「べ、別にそんなの気にしなくてもいいんだよ!?ほら、私は食い気よりも夜戦だからさ!」
提督「子供が遠慮するもんじゃないぞ」
川内「子供って……そこまで歳は変わら-―」
提督「いいからいいから。とりあえず目を閉じろ」
川内「目を……?」
川内「……」ギュッ
川内「……」ドキドキ
フワッ
川内「……っ!?」
川内(なに、この感触……)
提督「いいぞー。うん、凄く似合ってるな」
川内「なにを……」パチッ
提督「ほれ、手鏡」
川内「これは……マフラー?」
提督「もう3月とはいえ、その格好は少し肌寒いだろう。改二で厚着になったらどうしようかとは思ったがな」
提督「一応丈夫かつ夏場でも蒸れにくい素材で作られている。戦場でも身に付けられるぞ」
川内「……」
提督「それと、これ」スッ
川内「これは……?」
提督「電探型のペンダント……まあ、お守りだ」
提督「夜戦の多い君の損害が少しでも小さくなればと思ってな」
川内「これを、私に……」
提督「川内、君は川内型の中でも最も早く鎮守府に来てくれた。全艦娘の中でも、初期艦に次ぐ古株だ」
提督「今日はホワイトデーであり、君の改二記念日でもある。俺からのささやかな日頃の感謝と祝いの気持ちだ。受け取ってくれ」
提督「そして……これからも、俺を支え続けてほしい」
川内「……!」
提督「気に入らなかったか?」
川内「……いや……凄く、嬉しいよ」
提督「……そうか、よかった」ニコッ
川内(まったく……)
川内「ずるいよ、提督はさ……」ボソッ
提督「ん?どうした?」
川内(でも、こんな提督だからこそ、私は-―)
川内「いーや!」
川内「なんでもないよっ!」ニカッ
川内(……提督)
川内(私、これからもずっと、貴方のことを支えていくよ)
川内(いつか平和な海になって、貴方が家族のもとへと帰れる、その日まで)
川内(それが、私のキモチだから-―)
おわり
無理にきれいに終わらせたけど前作と特に進展があるわけじゃない
いつか書きたかったマフラー 電探ペンダント(?)とホワイトデーネタを絡めてみた
それでは、ご読了ありがとうございました
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