セレナ「色々とあるんだな。どれがいいんだ？」

遊矢「けどセレナって柚子と同い年くらいだからバイトなんて」

柚子「でもしないと生活できないじゃない」

遊矢「そもそも何処を寝床にしてるのか俺達は」

セレナ「おい」

柚子「セレナが選んだ方がいいと思うよ」

セレナ「それがわからないから何をするか考えているんだろ」

遊矢「接客業には向いて無いだろうし」

柚子「確かに」

遊矢「内職は」

柚子「1人で何かをやるのもダメそう」

セレナ「さっきから何だ！言いたい事があるならハッキリ言え！」

遊矢「こいつにあったアルバイトなんてあるのか？」

柚子「配達とか」

遊矢「でも迷子とかになりそうだろ？」

柚子「それを私達が後ろで見てあげるのよ。これがいいと思う」

セレナ「寿司屋のデリバリー・・・寿司？」

柚子「お寿司よ」

遊矢「それは今度説明してやるよ」

柚子「あ、面接とかどうする？」

遊矢「いいか、何か聞かれてもはいといいえで良いんだからな」

セレナ「何故だ？」

遊矢「セレナの言葉遣いじゃどこも雇ってくれないからだ」

セレナ「どうしてお前の言うことを聞かなきゃいけないんだ！」

遊矢「そうしないとタヌキの餌も買えなくなるぞ」

柚子「そうよ。言葉遣いはまたいつか教えてあげるから、頑張ろうねセレナ！」

セレナ「・・・」

遊矢「お、出てきた」

柚子「どうだった？」

セレナ「明日から来いと言っていた」

遊矢「受かったんだな！」

柚子「ちゃんとはいといいえだけで？」

セレナ「いや大将とかいう奴とデュエルして勝った」

遊矢「・・・」

柚子「ま、まあ・・・いいんじゃない？ねえ？」

遊矢「そ、そうだな」

セレナ「やればできるんだ。もうお前達の世話にはならんからな」

柚子「でもお寿司のデリバリーだけのバイトって妙よね」

遊矢「世の中には色んな職種があるからな」

遊矢「ちゃんとできるのか？」

柚子「ほら出てきたわよ」

黒咲「瑠璃！」

柚子「く、黒咲！？驚かさないでよ・・・」

黒咲「聞いたぞ瑠璃！瑠璃が寿司屋のデリバリーをすると」

遊矢「あれだよ」

黒咲「瑠璃・・・俺は嬉しいぞ」

柚子「邪魔しないでね」

黒咲「邪魔？妹の晴れ姿を邪魔する兄がどこに居る」

遊矢「ユートは？」

黒咲「ユートはユートでアルバイトをしている。何せ無一文では俺達が野垂れ死ぬ」

遊矢「黒咲は？」

黒咲「俺はLDSに通いながら子供達と遊んでいる」

柚子「ヒモみたいなものね・・・」

セレナ「あの大将とかいう奴が書いた地図通りに行くんだな・・・」

遊矢「地図を持ちながらどこか探してるのか」

柚子「見て！」

沢渡「・・・柊柚子？」

遊矢「沢渡だ！」

黒咲「まさか奴は瑠璃のアルバイトの邪魔を・・・俺が行ってくる」

柚子「待ちなさいよ！ここで黒咲が出てきたら尾行がバレるじゃないの！」

黒咲「瑠璃は瑠璃のアルバイトを邪魔する輩を許せるのか？」

遊矢「まだ邪魔するってわけじゃないだろ！ちゃんと見ろよ」

セレナ「何だ」

沢渡「いや・・・何だ寿司屋か・・・寿司次元の柊柚子でいいか」

遊矢「何もしないで素通りしただろ」

黒咲「ああ」

沢渡「何やってんだお前ら？」

柚子「少し事情があってね」

沢渡「あの柊柚子の2号みたいなのがバイト！？嘘だろ！」

黒咲「黙れ！瑠璃がバイトをして何が悪い！」

沢渡「べ、別にそんなこと言ってないだろ」

遊矢「セレナも頑張ってるんだ」

沢渡「前に万引きしてたくせに」

黒咲「ユートが言っていたな・・・どうして瑠璃は俺達と行動しないんだ」

遊矢「セレナは融合次元だからに決まってるだろ」

沢渡「あいつ苦手なんだよな。高圧的でさ・・・よくツルんでるよお前」

黒咲「融合次元！？何を寝ぼけた事を！それにお前、瑠璃のどこが高圧的だ！」

沢渡「さっきからこいつ何だよ」

遊矢「LDSなんだろ？沢渡の仲間じゃん」

沢渡「俺とはコースが違うんだよ。しかも急に来たくせに古株って感じでよ」

柚子「何やってるのよ3人とも！セレナを見失ったじゃないの！」

遊矢「あっ・・・」

セレナ「ここが頼んだ奴の居る場所か・・・しかし腹が減ったな」

セレナ「・・・一つぐらい食べてもいいだろ」

ペリペリペリ

パクッ

セレナ「美味いな。後でこれが何なのか柚子と遊矢に聞いてやるか、さてと」

セレナ「入るぞ！」ガチャッ

「ご苦労さーんどうぞ入って入って、あれ？新人さん？」

セレナ「そうだ」

「ふーん・・・まあ頑張って」

セレナ「これが金か？意外と簡単なんだな」

「あれ？ちょっと待って！」

セレナ「何だ？」

「いなりが入ってないやん。どうしてくれんのこれ」

セレナ「いなり？」

「いなりが食べたかったから注文したの！何でないの？」

セレナ「いなりと言うのか？それなら私が食べたぞ」

「食べたァ？」

セレナ「そうだ」

「いなりを食べたの？この中の中で？」

セレナ「腹が減ったんだ。一つぐらい食べてもいいだろ」

「親方に電話させてもらうね。クビやね君」

セレナ「クビ？」

「クビはクビや！」

セレナ「？」

「金貰われへんって事や、店から追い出されるって事やで」

セレナ「待て、そんな事になったらタヌキの餌が買えなくなる」

「・・・いなり作った事ある？一緒に作ってくれたら内緒にしてあげる」

セレナ「作った事はないが・・・一緒に作るのなら別に私は構わないぞ」

沢渡「そういや思い出したんだけど、寿司屋ってあの大通りの所か？」

遊矢「そうだけど」

沢渡「マジかよ・・・お前ら知らなかったのか？」

柚子「何が」

沢渡「あそこの寿司屋な、アルバイトを使って客に接待さすんだと」

遊矢「接待・・・じゃあデリバリーって」

沢渡「デリヘルみたいなもんだろ。そういう噂だぜ」

柚子「セレナが危ない！」

黒咲「デリヘルだと！？手分けして探すぞ！」

沢渡「手分けして？どこに居るのか」

黒咲「そんな能天気な事を言ってる場合か！」

遊矢「俺はあっちを探すから」

柚子「私はこっちね！沢渡はそっち探して！」

沢渡「どっちだよ！？」

「よお睡眠薬が効いとるわ・・・」

セレナ「・・・」

「さぁ、アルバイト解体ショーの始まりや！」

十代「それはどうかな」

「なんやねんお前！？どっから入って来た！」

十代「セレナを返してもらうぜ」

「でも俺のいなりは一生ないねんで？わかる？この罪の重さ」

十代「だからって睡眠薬で眠らせる事ねえだろ。セレナは少し世間知らずなんだから」

「ハァ・・・アホくさ・・・せっかくイタズラしようと思ったら女の子でしかも」

十代「イタズラ？最低のデュエリストだなお前！」ドスッ

「な、何さらすんじゃい・・・！」

十代「もうデュエルは始まってるんだぜ！先攻は俺から行かせてもらうぜ！」

十代「ドロー！」バキッ

「なんなんやこいつ・・・」

柚子「居た！？」

沢渡「こっちには居なかったな」

黒咲「瑠璃！どこへ行ったんだ瑠璃！」

遊矢「・・・十代さん？」

柚子「何言ってるのよ。十代さんは」

十代「おーい！」

柚子「十代さん！？」

黒咲「瑠璃！無事だったのか！」

沢渡「寝てるのかこいつ」

遊矢「いつ戻って来たのさ十代さん」

十代「少し様子を見に来ただけだぜ。またすぐに行かなきゃならねえんだ」

柚子「セレナが無事でよかった・・・」

沢渡「呑気に寝てるけどな」

十代「セレナがファラオを？へえ・・・」

黒咲「何がへえだ！こうなれば例の寿司屋を潰しに行くぞ！」

遊矢「元凶は客と癒着してた寿司屋なんだって、俺も行って来るよ十代さん！」

十代「頑張れよ」

沢渡「よくやるよ・・・仕方ないから俺も行ってやるか」

十代「元気だなあいつら」

柚子「また行くの？せめてセレナが起きるまで」

十代「それがドラゴンだらけの場所に三沢を置き去りにして来たからさ早く戻らないと食われちまう」

柚子「セレナね。十代さんの事をライバルだって思ってるんだって、遊矢と遊馬くんが言ってたのよ」

十代「ライバル？女の子のライバルってのは始めてだな！」

柚子「セレナに何か伝える事はある？」

十代「そうだな・・・ファラオの世話をしてくれてる礼を言っといてくれ」

十代「それと俺が戻って来たらデュエルしようぜってな！」

柚子「うん！ちゃんと伝えておくね十代さん！」

十代「頼むぜ！遊矢達にもよろしく言っといてくれよ！」

セレナ「・・・ここは？」

柚子「私の家よ」

セレナ「急に眠くなって・・・まるで記憶に無い」

遊矢「十代さんに感謝しろよ。助けてくれたんだから」

セレナ「十代が！？十代が居るのか！？何処に居るんだ！」

柚子「もう行っちゃったけどね」

セレナ「・・・そうか」

柚子「タヌキの面倒を見てくれてありがとうだって」

セレナ「れ、礼を言われるために世話をしてるんじゃない・・・それに何でこいつら怪我してるんだ」

沢渡「感謝しろよ。俺が暴れてやったんだ」

黒咲「瑠璃を傷つける輩を排除してやった。これでもう安心だ」

柚子「あと十代さんが帰って来たらデュエルしようって言ってたわよ。セレナと」

セレナ「十代とデュエル・・・う、嬉しくないが・・・やっても構わないぞ」

遊矢「十代さんにカイザーと万丈目さんとエドさん、遊星さんにジャックさん、遊馬にカイトさんと凌牙さん」

柚子「遊矢にもライバルができるわよ、きっとね」

黒咲「我が妹ながら遊城十代をライバル視するか・・・立派になったものだ」