男「おい、無駄って何だ! 無駄とは!」
女「無駄だから無駄だって言ってるんだよ。そんなガチャを回して何になるって言うの!」
男「何になるって……! 俺の嫁たちとの絆が深まるだろう!」
女「いいや、深まらないね」
男「何だと……!」
女「男君は心から彼女たちを愛してなんかいない。だから深まる訳がないって言ってるの」
男「おい、ふざける――!!」
バシンッ!!
男「がふっ! おまっ、何を!」
バシンッ!! バシンッ!! バシンッ!!
男「ぐはっ!!」ドサッ
女「いい? 男君が真に彼女たちを愛しているなら、ガチャを回すなんて言わない」ゴゴゴゴゴ
女「真のプロデューサーなら!」
女「ガチャを回したい!と心の中で思ったならッ!!」
女「その時、すでに行動は終わっているんだッ!!」ガチャガチャ
女「だから、真のプロデューサーの間では『ガチャを回す』なんて言葉は使わないんだよ!!」
女「男君はプロデューサーとして失格! プロデューサーじゃない。ただのマンモーニ(ママッ子)だよ!!」
男「ッッッ!!!」
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男「確かに俺は真のプロデューサーじゃないかもしれない……」
女「ようやく気づいてくれた、男君」
男「だが、この男には夢があるッ!!」
女「なッッ!!?」
男「例え女が止めようともッ! 俺が真のプロデューサーでなくてもッッ!!」
男「この俺のガチャを回したいという彼女たちへの愛は止められない!!」
女「!!?」
男「俺は今!ヤケになってなんかいないッ! 真のプロデューサーでなかったこの責任は、自分のガチャチケを『犠牲にして償う』……などと!」
男「決して追いつめられた根性ではないッ! これは『覚悟』だッ! 俺には『覚悟』があるッ!」
男「『覚悟』とは……犠牲の心ではないッ! 『覚悟』とは!! 暗闇の荒野に!! 進むべき道を切り開く事だッ!」
男「終わりのないのが『終わり』。それが『ガチャ』であり『課金』ッッ!!」
男「俺は今、その道を歩む覚悟を決めたッッ!!」ゴゴゴゴゴ
女「ぐっ……!!」
プルルル、プルルル
男「あ……もしもし。部長ですか? おはようございます、男です」
男「まことに勝手なのですが……今朝、15分ほど出社が遅れそうなのです。ききわけのない女の相手をしなくてはいけなくなりまして……」
男「いえ、部長。人様から見たら、ほんのつまらない理由なのです。はい。15分ほどしか、かかりませんので…………」
男「はい、まことにすみません……はい。済み次第……はい。すぐ会社に…………はい! 向かいますので……はい」
男「は! ……失礼します!部長」ピッ
男「フフフフフッ……。これで会社への連絡は終わった。後はゆっくりガチャを回すだけだ」
女「ガチャを? 何を言ってるの……? 男のガチャならさっき全部私が回したのを見てたでしょう」
男「そう。だが、それだけの理由でもう回せないとでも思っているのか?」ゴゴゴゴゴ
女「どういう事よ……」
男「俺はちょっとだけ課金するッッ!!」
女「ッッ!! 馬鹿な事はやめなさい!! 今月はピンチなんでしょ! 次の給料までもやしで過ごす気!?」
女「ちょっとだけって言ってもこれ以上の課金は命取りになるわよ!!」
男「いや、勘違いしないでほしいな、女。チョッピリばかりって言ったのはだな、ほら」スッ
男「クレカを使って50数万円しか課金しないって意味だ………ちょっぴりだろ?」ゴゴゴゴゴ
女「!!?」
男「50万円じゃあ……真の課金兵とは言えないからな。だが、これが俺の今出来る唯一の手段であり、彼女たちへの愛の形だからなッッ!! 仕方がない!!」ゴゴゴゴゴ
女「やめなさい!! その課金はダメよ!! 課金のボタンを押すなーッッ!!」
男「いいや! 限界だ! 押すね!!」ゴゴゴゴゴ
女「ダメーッッ!!」
男「今だッッ!!」
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