ほむら「あら、これって…」 (146)
ほむら「久々に盾の中を整理していたら面白いものが出てきたわね」
ほむら「そういえば、なんとなく昔読んだ漫画に影響されて通販で買った記憶があるわ…」
ほむら「巴マミが見たら喜びそうね」
ほむら「…いたずらで今日は盾の代わりにつけていきましょう」カシーン!
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~学校~
さやか「おっはよーまどか」
まどか「おはよう。あ、ほむらちゃんおはよー」
ほむら「おはようまどか。ついでに美樹さやかも」
さやか「ついでとは酷いですな~」
ほむら「そうかしら」
さやか「そうだけど」
まどか「まぁまぁさやかちゃん怒らないで!朝から怒ってたら一日が嫌になるよ」
さやか「うぐぐ~」
ほむら「そうよさやか。我慢しなさい」
まどか「ほむらちゃんも朝から怒らせるようなこと言わないの!」
ほむら「すみませんでした…」ホムー…
マミ(ふふ、三人とも朝から元気いっぱいね)
さやか「ありゃ?マミさんからテレパシーが…」
まどか「?」
ほむら(あら、盗み聞きは良くないわよ)
マミ(良いじゃないたまには。それより、今日学校終わったら私の家に来ない?美味しい紅茶を手に入れたの)
さやか「マジですか!ケーキもあります?」
まどか「ど、どうしたのさやかちゃん急に叫んだりして…」
マミ(うふふ、もちろんよ。楽しみにしててね)
さやか「わーい!ケーキケーキ!」
まどか「…??」
ほむら(分かったわ。私もみんなに見せたいものがあるし)
マミ(決まりね。それじゃまた)
さやか「早く学校終わらないかなぁ」
まどか「ほむらちゃん…」
ほむら「何かしら」
まどか「さやかちゃんがさっきから独り言繰り返してるんだけど…」
ほむら「バカだから仕方ないの。気にする必要はないわまどか」
さやか「誰がバカだとー!」
ほむら「貴女以外にいるわけないじゃない」
さやか「ムキー!」
ギャーギャー!
まどか「はぁ…」
~放課後、マミホーム~
さやか「ケーキめちゃウマですマミさん!」
まどか「紅茶も良い匂い…」
マミ「ふふ、気に入ってもらえて嬉しいわ」
杏子「うめー」
さやか「てか杏子今日の事知ってたの?」
杏子「もちろんさ。ケーキがあたしを呼んでたからな」
さやか「はいはい」
ほむら「みんなちょっと良いかしら。実は相談が…」
さやか「どうしたの急に。あんたらしくないね、誰かに相談なんて」
まどか「悩みなら何でも聞くよほむらちゃん!」
マミ「そうよ!私はあなたの先輩なんだから、何でも言いなさい!」マミ!
杏子「どうやったら胸が育つかとか?」
ほむら「黙りなさい杏子。実は今日、朝起きたら盾が無くなってて、代わりに…」ヘンシン
まどさや杏マミ「?」
ほむら「こんなのが腕からにょっきり生えてきたの」
まどさや杏マミ「……!?」
さやか「こ、これは…」
まどか「サイコ…ガン!?」
杏子「なんだそれ」
まどか「精神エネルギーを変換して弾が出る無敵の銃だよ!でもそんなの着けているのは、この広い宇宙でもただの一人…」
杏子「ふーん」
さやか「まさか、ほむら…あんたがコブラだったとは…」
ほむら「違うわ。私はジェームスボンドよ」ファサ
まどか「ヒュー!」
マミ「か、カッコいいわ…!暁美さん、私にもそれ着けさせて!」
ほむら「ふふ、貴女なら言うと思ってたわ。ちょっと待ちなさい、はずすから」
さやか「それにしてもサイコガンとか、意外とほむらも漫画読んでるな~」
まどか「ウェヒ!カッコいいよね、コブラ。私もあんな風に人を守れたら、それはとっても嬉しいなって」
さやか「いやぁまどかには似合わないって」
ほむら「おかしいわね、なかなか外れないわ…」ググッ
マミ「あらあら、大丈夫?」
ほむら「杏子、ちょっと外すの手伝って」
杏子「仕方ねーな。よいしょ」
杏子「…全然外れないなこれ」
ほむら「簡単に脱着できるはずなのに…これじゃ盾が使えないじゃない。困ったわね」
QB「やぁみんなお揃いで」
マミ「あら、おかえりなさい」
QB「どうしたんだいほむら、腕から銃みたいなの着けて」
まどか「サイコガンだよキュゥべぇ」
QB「サイコガン…?はは、まさか。ただのおもちゃじゃないか」
QB「ところでまどか、そろそろ僕と契約を…」
ほむら「!」
杏子「うぉ!?」
ズキューン!
QB「ば、馬鹿な…サイコガン…コブラ…」バタリ
マミ「キュゥべぇー!」
杏子「危ねぇだろほむら!あいつに風穴開けるのは構わんけどあたしにはするな!」
ほむら「う、うそ…!確かに、いつもの如くあいつを撃つ気はあったけど本当に弾が出るなんて…!」
まどか「だ、大丈夫キュゥべぇ!?」
QB「い…急いで本部に…連絡しなければ…ヤツが、ヤツが…」
さやか「ちょっとどいてまどか!」ヘンシン
さやか「しっかりしなよ!いま治すから」パァァ
QB「…助かったよさやか。ありがとう」
さやか「あとで百万円ね」
QB「」
トリップとは名前欄に半角の#の後に適当な文字列を打つと表示される暗号みたいなモノである
名前欄に◆から始まる文字列をコピペするのとは違うよ
>>7
ありがとう忘れてた!酔っ払ってるんだ。
QB「」
マミ「暁美さん、一体どういうつもりなのかしら」
ほむら「本当に何も知らないわ!ただ、あいつを見た瞬間、サイコガンから弾が出たのよ!嘘じゃない!」
マミ「…」
ほむら「確かにあいつは嫌いよ…。でも、あんなのでも貴女の友達だからすぐに[ピーーー]ことなんかしないわ。誓ってもいい」
マミ「…分かったわ。キュゥべぇも無事だったみたいだし、信じてあげる」
ほむら「…ありがとう」
杏子「どうでもいいけどさぁほむら、キュゥべぇと一緒に壁に穴空いてるぞ」
マミ「」
ついでにsagaも忘れてたw
QB「とりあえず、僕は用事を思い出したんだ。それじゃ」
さやか「こら!治療代払い…行っちゃった」
まどか「なんか急いでたね」
マミ「こんな穴…修理代…」
ほむら「えーと…その…」
マミ「みんな死ぬしかないじゃない!」
杏子「やべぇマミがキレた!」
まどか「落ち着いてマミさぁん!」
~路地裏~
QB「はぁはぁ…よし、誰にもつけられてないな…」
QB「本部、本部!応答せよ、こちら0078!応答せよ!」
QB星本部「こちら本部。どうした、0078号。ノルマを終えたのか」
QB「違う、それより重大だ。ヤツが、ヤツが生きていた!」
QB星本部「ヤツだと…?まさか」
QB「そのまさかだ。とりあえずあの方に急いで報告してくれ!それからだ」
QB星本部「了解した。指示が出るまで監視を怠るな。…以上」
QB「事故で死んだとは噂で聞いていたけど…まさか、顔を変えていたとはね」
QB「QリスタルBウイ様…」
あくる日、ほむホーム~
ほむら「…やっぱり取れない」
ほむら「まさか本当に左腕がサイコガンになるなんて…嬉しいのか悲しいのか」ハァ…
ほむら「幸い義手も付属品だったから、日常生活に支障は出ないけど、これじゃ盾が使えないし」
ほむら「あ、右腕につければいいのか」
ほむら「あら盾が…真っ二つに割れてる…」
ほむら「え?あれ?」
ほむら「…というわけで、もう時間停止も四次元ポケットも出来なくなったわ」
杏子「うわぁ…」
さやか「ど、どうすんだよ魔女退治するとき!?あんた完全に一般人じゃん!」
マミ「困ったわね…」
ほむら「いえ、そうでもないわ。ほら」カシーン
さやか「サイコガン…。でも、これって魔翌力で撃ってるの?」
ほむら「昨日家で射撃翌練習をしてみたけど、どうやら魔翌力は消費しないみたいね。本当に精神力で撃つようね」
ほむら「ただ、義手が自在に動くように魔法で維持しなきゃいけないけど」
杏子「まぁ戦えるなら何だって良いさ。それより来たぜ…お客さんが」
魔女「ウボアー」
マミ「行くわよみんな!別れて…」
ほむら「その必要はないわ」ファサ
ズキューン!
魔女「」シュウウ…
杏子「ま、魔女を一撃で!?」
マミ「すごい…」
ほむら「まどかの為なら、惑星ひとつだって砕いて見せるわ」
さやか「ヒュー!」
マミ「これなら…もう何も恐くない!」
QB星本部~
手下QB「見ましたか、あの威力」
QリスタルBウイ「…間違いない、ヤツはコブラだ。まさか性別まで変えていたとは」
手下QB「いかがいたしましょう」
QリスタルBウイ「奴等にかの魔女を差し向けろ。最悪、見滝原を潰しても構わん」
手下QB「はっ…」
QリスタルBウイ「ふふ、嬉しいぞコブラ。まさか生きていたとはな…」
~マミホーム~
さやか「そんでさぁ、ほむらがたった一撃で魔女を消し飛ばしたんだ」
杏子「あれには流石のあたしでも鳥肌たったなぁ」
まどか「すごい…!すごいよほむらちゃん!カッコいい!」
ほむら「//」ホムホム
マミ「でも暁美さん、今度からは家でぶっぱなさいでね?修理代高かったんだから…」
ほむら「ごめんなさい、気をつけるわ」
ほむら「…」ジー
マミ「な、なにかしら」
ほむら「いえ…ただあなたが怒った時の顔、頬っぺたが赤くなって綺麗だわ」
マミ「な…!?//」
まどか「ヒュー!でも浮気は許さないよほむらちゃん!」
ほむら「当たり前よ。私にはまどかが一番なんだもの」
杏子「茶番はそこまでにしとけ。どうやら今夜も忙しくなりそうだ」
さやか「また魔女かぁ…たまには休まないと参っちゃうよ」
マミ「暁美さん…」ドキドキ
~魔女の結界~
さやか「よっと」スパッ
マミ「えい!」ズドン!
使い魔「ギエピー」
杏子「しかし数が多いな…。魔女も強力に違いねぇ」
まどか「きゃっ!」
さやか「危ないまどか!」
ほむら「はぁ!」ズキューン!
使い魔「サイコガン…!?」バタリ…
さやか「後ろにも…!」
ほむら「ふん!」ズキューン
使い魔「」バタ
ほむら「怪我はない?まどか」
まどか「あ、ありがとうほむらちゃん。大丈夫だよ」
ほむら「良かった…。貴女を守る為なら、私は地獄に堕ちてもかまわない」
まどか「ほむらちゃん…//」
ほむら「まどか…//」
さやか「なんだこれ。てか、よく背後の敵にも気づいてたねあんた」
ほむら「サイコガンは心で撃つものよ。気配さえ掴めればスコープなんかいらないの」
さやか「ヒュー!って言わざるを得ない!ヒュー!」
マミ「来たわみんな、注意して!」
ほむら「全く…空気の読めない魔女ね」
魔女「フフフ」
マミ「早速だけど、一気に決めさせて貰うわ」
マミ「ティロフィナーレ!」
魔女「ウワハハハ…」シュン
マミ「消えた!?」
魔女「キェイ!」ドゴォ!
さやか「ぐふっ!」
杏子「さやかぁ!こんにゃろ!」スカッ
魔女「ハハハ!」シュン…
杏子「な、外した!?」
杏子「ぐはっ!」
ほむら「くっ!」ズキューンズキューン!
まどか「さやかちゃん、杏子ちゃん!?」
マミ「あの二人を一撃で…!危ないわ鹿目さん!離れ…」
ほむら「マミ!うしろ!」
魔女「シネェ!」ドゴォ!
マミ「うぐぅ…」
ほむら「どこ…?ヤツはどこなの!?」
魔女「ココサ…」シュン
ほむら「くそっ!」ズキューン
魔女「チガウ、ココダ!」サッ
ほむら「うがぁぁぁ!」ズキューンズキューン!
魔女「フハハハハ…!」ドゴォ!
ほむら「あぁ!」
まどか「ほ、ほむらちゃん!?」
ほむら「くっ…。なるほど結界全体がヤツの声を反響させる仕組みなのね…。通りで居場所が掴めないわけね」
魔女「ソノトオリ…キサマニワタシハタオセナイ!」ドスバキィ
ほむら「ごほ…」
まどか「ほむらちゃ…!?」
ほむら「来ないで!まどか!」
まどか「でも、でも!」
魔女「フフフ、モハヤカミイチマイモヤスチカラホドノコッテハイマイ…」
魔女「QリスタルBウイサマノタメニ…シネ!ホムラ!」
ほむら「はぁはぁ…」
ほむら(…なまじ眼と時間停止に頼り過ぎてて、この感覚を…忘れていたわ…)
魔女「シネェ!」
ほむら「サイコガンは、心で…撃つ!」
ズキューン!
魔女「バ、バカナ…」ドサッ
まどか「壁が…倒れた…?」
ほむら「ふぅ…。どうやらヤツは、自在に物質を移動できる能力だったみたいね」
まどか「やったねほむらちゃん!」
ほむら「手強い相手だったわ。さぁ、帰りましょうまどか」
まどか「みんなを助けようねほむらちゃん」
駄目だ眠い。
今日はここまで。
急に忙しくなってきたわね。
あのヘンテコな魔女を倒したと思ったら、次々と魔女が現れるようになったわ。
どうやらQBが原因を知っているらしいけど…
こうなったらヤツを問い詰めてやるわ!
次回「インキュベーターの目論見」でまた会いましょう!
一週間後…
~マミホーム~
杏子「今日もケーキが美味い」
マミ「ほらほら、がっつかないの。まだケーキあるんだから」
さやか「それにしても最近魔女多くない?これじゃさやかちゃんクタクタで干からびちゃいますよ…」
マミ「…確かにあれから一週間、いつもより魔女が現れる回数が増えているわね」
ほむら「そうね。おかげでまどかとゆっくりデートも出来やしない」
まどか「ほ、ほむらちゃんたら…//」
杏子「よそでやれお前ら。そういや、ここんとこQBのヤツも見かけなくなったな」
マミ「そうなのよ。私の家にも来なくなっちゃって、寂しいなぁ」
さやか「マミさぁん!あたし達がいるじゃないですか!そんな顔したら美人が台無しですよ。ほら笑って笑って!」
マミ「…そうね。もう私、一人ぼっちじゃないもの!」ニコ
まどか「私の所にも来なくなっちゃってるし、どうしたんだろう」
ほむら「……」
ほむら(私からすればありがたい事なんだけど、なにか妙ね。まどかとなら契約を迫る為に日に一度は必ず現れるはずなのに…)
杏子「あいつ、ほむらがサイコガンぶっぱなして死にかけた時になんか言ってなかったっけ?」
さやか「本部に連絡~みたいな?」
杏子「そうそれ。前回倒した魔女も変な事言ってたし、もしかしたら関係あるかもな」
ほむら(…これは調べる必要がありそうね。しかしどう探せば良いか)
ほむら「ダンスパーティの招待状でも送ろうかしら」
まどか「どうしたのほむらちゃん?」
ほむら「い、いえ何でもない…はっ!」
ほむら(そうだ、これならヤツもきっと姿を見せるはず…!まどかには少し悪いけど)
~夜、公園にて~
QB「まさかあの奇怪の魔女「ジゴバ」を倒すとは、かの女達も侮れないね」
QB「でもあれ以来ほぼ毎日魔女を出現させてるし、いずれは戦い疲れて戦死するだろう」
QB「誰かが[ピーーー]ば必ず他の魔法少女も絶望する…あわよくばまどかとも契約も」キュップイ
まどか(キュゥべぇ…キュゥべぇ…)
QB「この声は!?」
まどか(実は私、叶えたい願いがあるの。…噴水前まで来てくれる?)
QB(こいつはゴキゲンだ!)
QB「勿論さ!今すぐ行くよ!」キュップ-イ
QB「お待たせまどか!」
まどか「あ、久し振り。最近見かけなかったけど、どうしたの」
QB「色々とね。それよりまどか、願い事はなんだい?余計なのが来る前に早く契約を…」
ガサガサ…
QB「だ、誰だ!?」
「当ててみなさい。ほむホームへご招待するわよ」
QB「ほ、ほむ…」ガシッ
ほむら「逃がさないわ」ジャキ
QB「ひどいよまどか…騙すなんて…」
まどか「ごめんね、キュゥべぇ…。でもまたあなたが悪い事考えてるかもしれないから…」
ほむら「謝る必要はないわまどか。これでこいつとはおあいこよ」
ほむら「さぁ話しなさい。その頭が無くなる前にね」
QB「い、いやだ…」
ほむら「なら他の魔法少女にも頼んで、あなた達を根こそぎ狩るわよ?」
QB「…分かったよ話してあげる。だから離して、なんつって」
ほむら「ふん!」ドゴォ!
QB「キュップイ」
ほむら「さっさとしなさい。私のサイコガンがあなたに風穴を開けたがってるわ」
QB「わ、分かったよ…話すから」
まどか「今のは仕方ないね」
QB「……。以前君達が倒した魔女、実はあれは僕が他の地区から呼んだんだ」
QB「それだけじゃない。最近魔女が多いのもあらゆる地区からこの見滝原に集結させているからさ」
ほむら「…私達を潰すため、かしら。でも、そうすれば他の地区が平和になって新たな魔法少女が現れないわ。だとすればエネルギーの回収も見込めない」
ほむら「そんな非効率な事するなんてあなたらしくないわね?」
QB「その通り。だから君達を潰すのが目的じゃない。あくまでも君さ…ほむら、いやコブラ」
ほむら「…私はほむらだけど」
QB「ウソをつくのはもう止めなよ、僕らの首領がそう認めたんだ。間違いない」
QB「QリスタルBウイ様がね」
ほむら「わけがわからないわ」
QB「もう分かっただろう。さぁ、もう帰ると良い。今夜だけは静かな夜なんだから」
ほむら「…行きましょうまどか」
まどか「ほ、ほむらちゃん…」
マミ(……)
~次の日、学校~
さやか「いやー昨日は久々に魔女現れなくてぐっすり寝れたよ」
まどか「良かったねさやかちゃん!」
さやか「でも今日は現れるかもしれないし、その為にも居眠りして備えないとね!」
まどか「あとで先生に伝えておくねさやかちゃん」
ほむら「そうね。何なら一日中廊下に立たせておくよう私からも頼むわ」
さやか「二人とも手厳しいですなぁ」
マミ「暁美さん、いるかしら」
まどか「あれ、マミさん。どうしたんですか?」
マミ「ちょっとね。暁美さん、少し話があるの」
ほむら「…別に構わないけど」
~屋上~
ほむら「ここまで連れてくるなんて、一体なにかしら」
マミ「率直に言うわ。…暁美さん、昨日QBと何を話してたの?」
ほむら「いつのまに貴女の趣味が盗み聞きになったのかしら?」
マミ「私も時々困っちゃうの」
ほむら「仲良くまどかの魅力について語りあってただけよ」
マミ「その場には鹿目さんもいたわよ。本人の前で語り合えるなんて、妬けちゃうわ」
ほむら「何でもないのよ。本当に」
マミ「…暁美さん、私はいつかあなたに助けられたわよね。あの時はありがとう」
ほむら「どういたしまして」
マミ「あなたから見たら私はただの魔法少女よ。でもね、私から見たらあなたは後輩よ」
マミ「頼りない先輩かもしれない。でもね、それでも放っておけないのよ。あなたなら尚更ね」
ほむら「…」
マミ「困ってる人には手を貸す…。これも私の趣味のひとつよ」
ほむら「マミィ…」
マミ「良い趣味でしょう?」
ほむら「分かったわ、話してあげる。ただ、約束して欲しい」
ほむら「さやかと杏子にはまだ伝えないで。狙いは私みたいだし、あの子達まで巻き込みたくない」
マミ「口にチャックしなくちゃね」
ほむら「実はかくかくしかじかで…」
マミ「そう…分かったわ。まさかQBがそんな事を…」
ほむら「ショックだろうけど本当よ。さっきも言ったけど、狙いはこの私。別に貴女に無理強いはしないわ」
マミ「一人ぼっちは寂しいものよ?…一緒に戦いましょう。私がついてるから大丈夫、安心して」
ほむら「マミィ…ありがとう」
マミ「ところで暁美さん、この前鹿目さんに借りてコブラ読んでみたんだけど…すごくカッコいいわ!」
ほむら「面白いでしょう。ついつい彼みたいな口調になっちゃうわ」ホムホム
マミ「私もティロフィナーレ以外にもサイコガンっぽい技考えてみるわ!」キラキラ…
ほむら「あ、うん…」
ほむら「戻ったわ」
まどか「あ、おかえりほむらちゃん。マミさんと何を話してたの?」
ほむら「ちょっとした事よ、気にしないで」
さやか「それよりさー、さっきまどかが「実はほむらがコブラ」とか言っちゃって!流石のさやかちゃんも笑いましたよ!」
まどか「い、いやその、ほむらちゃん髪を短くしたら男前になるかなぁって思って」
まどか「勿論、今のままでもカッコいいよ!」
ほむら「……まどか、残念だけど私は女よ。その証拠にほら」ヌギヌギ
まどか「きょ、教室でスカート脱ぎ始めないでほむらちゃん!みんな居るから!」
ほむら「女子トイレに行きましょう」ホムホム
まどか「落ち着いてほむらちゃん落ち着いて!」
上条「ヒューッ!見ろよあの胸を、まるでまな板み…」
ほむら「おらぁ!」ドスッ
上条「ごほ…」バタリ
さやか「き、恭介ぇ!?」
ほむら「ふん、良い夢を見なさい…」
巴マミィと協力することになったわ。
彼女が居れば心強い、これなら負ける気がしないわね。
そんな事を思ってた矢先、ヤツらから再び刺客が送られてきたわ。
それが手強いこと手強いこと…
重力を駆使するなんて卑怯だと思わない?
次回「重力と鉄拳!」でまた会いましょう!
ごめん、仕事の都合により今日はここまで。
期待されると胃が縮まるので、あまり期待はしないで下さいw
あんまり長くはやらない予定です。
因みにQリスタルBウイの容姿はスペースホムラ通りですw
…それから私達は、魔女の出現頻度を考慮して全員で戦うのではなく、二人一組で戦うことに決めた。
その方が休息も取りやすいし、なにより強力な魔女は私を狙ってくるはず。
私の戦いに、杏子とさやか、そして…まどかを巻き込みたくないもの…
~数日後、夜~
マミ「はぁっ!」ズドン!
魔女「イェア-」
マミ「今よ暁美さん!」
ほむら「これで終わりよ」ジャキ
ほむら「はぁぁ!」ズキューン!
魔女「」シュウウ…
ほむら「恨まないで頂戴。地獄の動物園でまた会いましょう…」
マミ「流石ね、ものの30分で倒しちゃうもの」
ほむら「貴女のおかげよマミィ」
マミ「あら、ありがとう。昔のあなたなら言わない言葉ね」
ほむら「ふふ…」
さやか(魔女退治お疲れー。ほむら、ちょっと聞きたいんだけど…)
ほむら「あら、何かしら」
さやか(さっきまどかに宿題の答え聞こうと電話したんだけど、全然出ないのよ)
ほむら「お風呂とかじゃないの?」
さやか(いや、一時間経って掛けても出ないし…寝てるのかなぁ)
ほむら「…あの子が寝る時間はいつも22時。まだ早すぎるわ」
さやか(そっかぁ…。てか何で知ってるの)
ほむら「統計よ」ファサ
さやか(なんの統計だよ!)
ほむら「それより宿題くらい自分でしたら?あんな内容、今日の授業聞いてたらすぐ出来るはずよ」
さやか(さやかちゃんは常に戦っているから休息が必要なのだ!そうだほむら、あんたの見せ…)ブチ
ほむら「…ちょっと嫌な予感がするわね。マミィ」
マミ「念話は聞いてたわ。鹿目さんの家ね?」
ほむら「そうよ。行きましょう」
~まどホーム~
知久「まどかなら部屋に居るはずだよ。呼ぶかい?」
ほむら「お願いしますお義父様」ホム
知久「う、うん…?まどかー、お友だちだよ~」
シーン…
知久「おかしいなぁ」
ほむら「…ちょっと上がらせて頂きます」タッタッタッ
ほむら「まどか?」ガチャ
マミ「机の上に手紙…?」
ほむら「なになに…『鹿目まどかは預かった。返して欲しいなら我が結界内に来ることだな…。重力の魔女』ですって…?」グシャ
マミ「これ見よがしに結界の反応が出てるわ。近いわね…」
マミ「でも重力の魔女なんて、聞いたことがない…。って、暁美さん!?」
ほむら「まどかを誘拐するなんて許せないわ!」ダダダッ
マミ「ま、待って…てか、速っ!?」
~重力の魔女、結界内~
魔女「ふふ…どうやら、あいつが我が結界に入ってきたようだな。馬鹿なヤツだ」
魔女「ヤツを殺し、QリスタルBウイに小娘を渡せば俺の株もあがる…」
魔女「さぁ…来るがいい。ホムラよ!」
ほむら「変ね、使い魔がいないとは…。おまけに変な壁ばっかりだわ」
ほむら「!」
それを見た時、私は一瞬目を疑った。
なにせ、鉄の拳がふたつ、私目掛けて向かってきたのだから!
ほむら「よっと!」サッ
ほむら「気持ち悪い手ね。そんな手にはお仕置きよ」ズキューン
ほむら「…!?…サイコガンの弾道がズレた?」
ほむら「はぁっ!」ズキューンズキューン
ほむら「駄目だわ!まさか当たらないなんて…」
魔女「ムダだよ…その拳には半重力装置がついていてね。どんな弾丸も通用しない」
ほむら「だれ!?」
魔女「重力の魔女、またの名を…『ハンマーボルトジョー』」バアアアン!
ほむら「ふん、変な名前ね。マミィの方がよっぽどセンスが良い。それより、早く姿を見せたら?」
魔女「恥ずかしがり屋でね、貴様が探してみるといい。…行くぞ!」
ゴオオ!
ほむら「よっと!」ズキューン
ほむら「やっぱり駄目ね…あら、もう片手は…」
ドスッ
ほむら「ごほ…」
ほむら「…くっ!」ズキューンズキューン!
サッ
ほむら「待ちなさい!」
ドスッバキィ!
ほむら「ああっ!」
ほむら(こ、これが…ヤツがハンマーボルトジョーと名乗る理由なのね)
ほむら「こうなったらヤツを直接探すしかないわね」ダダダッ
魔女「くくく…。ここが貴様の墓場となるのだホムラ」
魔女「レフトハンドは右から!ライトハンドは上空からアッパーを打て!」
ゴオオ!
ほむら「きゃあー!」ダダダッ
ゴオオ!
ほむら「ひゃー」ダダダッ
魔女「ちょこまかと逃げおって…!」
~その頃~
マミ「はぁはぁ…やっと結界内に辿り着いたけど、変ね」
マミ「使い魔もいないし、壁ばかりだし…」
マミ「あら、暁美さん、そこにいたのね」
マミ「…なんちゃって。あの子に見られたら怒られちゃうわね」
ほむら「ひぇー!」
マミ「この声は…!?暁美さん!」
ほむら「マミィ助けて頂戴!手に追っかけられてるのー!」
マミ「手?」
ゴオオ!
マミ「あら本当」
ほむら「そいつには攻撃が効かないわ!気を付けなさい!」
マミ「それは厄介ね…どうすれば…」
マミ「…そうだわ!」
ほむら「はぁはぁ…」
魔女「くくく…遂に追い詰めたぞ」
魔女「死ね!ホムラ!」
ゴオオオオ!
ほむら「いやぁぁぁ!」
グルグル!
ほむら「よっと」
ガッシャアアン
魔女「外した!?くそっ、戻ってこい!」
シーン…
魔女「なに!?レフトハンド!戻ってこいライトハンド!」
マミ「無駄よ。あの手この手はもう通用しないわ」
魔女「なんだと…はっ!?」
魔女「俺の拳の周りがリボンで囲まれている!?」
ほむら「なるほど、リボンで囲んでヤツと拳のコントロールを遮断した訳ね」
マミ「そういうこと。便利でしょ、私のリボン」
ほむら「あの拳達よりもね。それにそっちの方が可愛いわ」
魔女「くそ!」
ほむら「…さて、と。そろそろかくれんぼも終わりにしましょう。あなたの居場所も分かったことだし」
マミ「まさかこの壁の上に立っていたとはね」
ほむら「ええ…『灯台もと暗し』とはこの事ね。まんまと一杯食わされたわ」ジャキ
魔女「ま、待てホムラ…」
ほむら「それはないわ」
ズキューン!
魔女「うわああぁ!」
マミ「結界が無くなってく…。さ、暁美さん、帰りま…」
マミ「…あなた、鹿目さんが起きたら殴られるわよ」
ほむら「こんな機会滅多にないわ!寝てるまどかに悪戯なんて!」ホム…
ほむら「それに殴られるくらいで済むなら安いものよ!」ホムホム…
まどか「うぅ~ん…」モジモジ
ほむら「まどかまどかまどかぁ!」ホムホムホムホムホムホム!
春の陽気に包まれなからまどかとお散歩デート、これで楽しくなければバチが当たるわね。
でもやっぱり休ませてはくれないみたい。
今度はさやかと杏子、そしてマミィまで誘拐されてしまったわ!
もちろん犯人はあの淫獣野郎、もう許さないわ!
ヤツの基地に乗り込んでやる!
次回「激闘!QリスタルBウイ!」でまた会いましょう!
今日はここまでです。
見てくれてる方には感謝のヒューッを!
~ある日、魔女の結界内~
さやか「必殺!スクワルタトーレ!」
魔女「」シュウウ…
杏子「ナイスださやか。さて、今夜も片付いたし帰るとする…」
バスッ!
杏子「あぐっ!」ドサッ
さやか「き、杏子!?…良かった、気絶してるけど傷は浅いね」
さやか「でも魔女は倒したはずなのに、結界が消えてないなんて…」
さやか「しかしどこからなの…?」
???「ふっふっふ…」
さやか「!?…あんたキュゥ…」
???「キュップイィ!」バシィッ!
さやか「かは…」
???「他愛もないな…。連れていけ」
手下QB「ははっ」
~次の日~
まどか「お待たせ~」
ほむら「あらまどか…私も今着いたところよ」
まどか「そっか、それじゃ行こっか!」
ほむら「ええ…」
――今日はマミィの家でスイーツパーティをする事になっていた。
各々ペアを組んで作り、持ち寄って食べる。
私は当然まどか…と考えてたんだけど、マミィの事を思うとすぐには決められなかった。
だって、彼女は寂しがり屋だもの…
するとさやかと杏子が気をきかせて『あたしら料理出来ないから!』とマミィと三人で作ると言ってくれた。
流石の私も、思わずちょっと目が潤んでしまったじゃない…
ほむら「みんなでいるってのも、悪くないわね…」
まどか「どうしたの?ほむらちゃん」
ほむら「何でもないわまどか。ただ、こんな清々しいほどの晴れ間は久しぶりだわ」
まどか「うん。…何だかあの時を思い出すね」
ほむら「ええ。あの最悪の夜をみんなで越えて見た晴れ間にそっくりだわ」
まどか「本当にありがとうね、ほむらちゃん。ずっと私の為に戦ってくれて…」
ほむら「逆よまどか、私は貴女に救われたの。それに」ギュッ…
ほむら「今もこうやって救われ続けてるもの」
まどか「ほむら…ちゃん//」ギュッ
マミィ(暁美さん、暁美さん!)
ほむら「…ああもう」
ほむら(何かしらマミィ?今から向かうから待ちなさい…)
マミ(美樹さんと佐倉さん、二人とも連絡が取れないの!)
ほむら(寝坊でもしているんじゃないの?)
マミ(昨日あの二人は私の家で泊まっていったの。夜中に魔女の反応があった時、二人が『今夜は当番だから休んでて』って出ていったきりなのよ…)
ほむら(…それはおかしいわね)
マミ(そうでしょ?だから私、今から捜し…)
マミ(誰!?あなた達は…)
マミ(きゃああ!)
ザー…
ほむら(マミィ?マミィ!)
ほむら「くっ!」
まどか「ど、どうしたのほむらちゃん」
ほむら「マミィの身に何かあったわ!まどか、掴まって」ヒョイ
まどか「きゃっ!ほむらちゃん大丈夫…」
ほむら「まどかの体重なんて桃三個分にしか感じないわ!」ダダダッ
まどか「よ、喜んでいいのかな…」
~マミホーム~
ほむら「カギが開きっぱなし…!マミィ!」
ほむら「こ、これは…」
部屋は荒れ放題、ぐしゃぐしゃで見る影もなかった。
みんなでケーキを囲んだあの机は真っ二つに、割れたティーカップから零れた紅茶はまだ湯気が残っている。
それでも、何より私達が戦慄したのは…
まどか「これ…マミさんのマスケット銃」
まどか「…血、血がこんなに…」
ほむら「そん…な」
まどか「マミ…さん…」
ほむら「……」
ほむら(私が、私が彼女を巻き込んでしまった)
ほむら(彼女だけじゃない、杏子やさやかまでも…)
ほむら(あの時マミィと手を組まなければ…私が孤立していればこんな事には成らなかった!)
ほむら「ううう…あああ!」ガシャーン!
まどか「!?」
ほむら「…く、はぁぁ!」ガシャーン…
まどか「止めてほむらちゃん!手から、手から血が出てるから!」ガシッ
ほむら「はぁ、はぁ…」ポタポタ…
ほむら「私が、私が彼女達を殺したの!私が最初っから一人で戦っていれば!」
ほむら「なにが無敵のサイコガンよ!なにが魔法少女よ!自分の仲間を誰も守れていないじゃない!」
ほむら「このままだと…まどかまで失っちゃう…」
じわぁ…
まどか(ほ、ほむらちゃんのソウルジェムが段々黒く…)
ほむら「私…私…」
ギュッ…
ほむら「!」
まどか「落ち着いてほむらちゃん」
ほむら「まど…」
まどか「もう…自分ばっかり傷つけないで。そんなの、見てるこっちだって辛い…」
ほむら「でも私…私が…」
まどか「確かに…ほむらちゃんが原因かもしれない。でもね、違うかもしれない」
まどか「ワルプルギスを越えたいま、キュゥべぇ達が何を考えて行動しているかも分からない。だからもしかしたら、遅かれ早かれ、こうなっていたのかもしれない」
まどか「それに、マミさんのマスケット銃はまだ消えていない。つまりマミさんはまだどこかで生きているはず」
まどか「でも…やっぱり本音はね、私はほむらちゃんが、これ以上辛い顔をするのは…見たくない」
ほむら「まど…か」
「その通りさ鹿目まどか。かの女達はまだ生きている」
ほむら「だれ!?そこにいるのは!」
QB「身構えないでくれ、ホムラ」
ほむら「インキュ…ベーター!」ジャキ!
QB「た、頼む!撃たないで!僕はヤツらとは違う!」
ほむら「ふざけないで!まるっきり同じよ!消えなさい!」
まどか「待って、ほむらちゃん。このQB、眼が青い…」
QB「そう、僕はヤツらとは違う。僕は…感情を持ったインキュベーターだから」
ほむら「なんですって…?」
QB「申し遅れたね。僕は銀河パトロール地球支部隊員、ロイ・キュゥ中尉」
まどか「銀河…パトロール?」
ロイQB「そう。文字通り全宇宙の平和を監視する、宇宙の警察みたいなものだ。ヤツらのような無法者を取り締まる立場だと思ってくれればいい」
ほむら「ヤツら…。もしかして、あなた以外のインキュベーターの事かしら」
ロイQB「まぁそれ以外に大勢いるけどね。とりあえず、僕の所属する地球支部では大体彼らだ」
ロイQB「そして君には真実を話す必要がある。この宇宙の秘密と、今回の出来事、それに…そのサイコガンについて」
ほむら「……」
ロイQB「まず、この宇宙にはいくつもの区域に別れている。当然だよね、宇宙は広いんだから」
ロイQB「その中で銀河パトロールは全ての宇宙を平和理に統括すべく行動している。僕はその隊員でこの地球に配属を命じられた」
ロイQB「だけど、さっきも言ったようにこの宇宙は広い。こんな辺境の星にまともな姿をした隊員を送るほどの余裕はなかった」
ロイQB「よって、僕…いや、僕ら感情を持ったインキュベーターが地球の監視に当たった」
ロイQB「僕らは許せなかった。何も知らない可憐な少女達を糧に存続していく行為を…!だから、同族を捨てて銀河パトロールに入隊したんだ」
ロイQB「しかし僕らのような感情を持ったインキュベーターはほとんどいない。だから数は少ないし、仲間はことごとくやられた…」
ロイQB「だが、同族を狂わせた一番の原因はヤツ…QリスタルBウイなんだ」
ほむら「QリスタルBウイ…?」
ロイQB「そう、ヤツが黒幕だ。でも残念だけど、彼の正体についてはついに把握出来なかった…」
ロイQB「ただひとつ言えるのはヤツは海賊ギルドと繋がっているということ。そして、彼によって同族は完全に支配下に置かれたということさ」
ほむら「…訳がわからないわ。海賊ギルドだとか、銀河パトロールとか」
ロイQB「無理はないよ。でもね、君やまどかが知っている漫画、『スペースコブラ』は実際にいた人物を描いている」
まどか「えぇ!?」
ほむら「そんな馬鹿な…」
ロイQB「本当さ。ただし、彼がこの次元にいるのか、はたまたまだ生きているのかは定かではない。あくまで、噂だ」
ロイQB「だがしかし僕らは藁にすがる思いで彼のような勇者がやって来るのを待ち、ついにはサイコガンまで作ってしまった」
ほむら「まさか…!」チラリ
ロイQB「そのまさかだ。…君が付けているのは正しく、サイコガン。ただ模造品だから威力も強度も本家には遠く及ばない」
ロイQB「だが、君のその精神力が本物にも引けを取らないパワーを発揮しているんだ!その結果かは知らないが、QリスタルBウイさえも君をコブラだと思っている」
ほむら「んなアホな…寺沢先生…」
ロイQB「このままだとヤツは君を追って地球の人々に手をかけて行くだろう。その前に、QリスタルBウイを食い止めて欲しいんだ」
ほむら「話は大体分かった…。でも、私がそんな夢物語を信用すると思ってるの?」
ロイQB「君の性格は把握してるし、そう言うと思っていた。…この映像を観るといい」ピカッ…
ほむら「これは…マミィ、それに杏子達!」
ロイQB「QリスタルBウイの基地に潜入している僕の同志が撮った映像だ。見ての通り彼女らはまだ魔法少女の姿をしている」
まどか「まだみんな生きているんだね!?」
ロイQB「ああ…だがそう長くはないはず。QリスタルBウイは奴隷売買まで行っているからね」
ほむら「他に映像はないの?」
ロイQB「残念だけど…なにせ彼が最後の同志だったから…」
まどか「…死んじゃったんだね、あなたの友達は」
ロイQB「…話が長くなってすまない。頼むホムラ!同志の、同志の仇を執ってくれないか」
ほむら「……」
ほむら「分かったわ、引き受けてあげる。あの三人を助けないとね。それに…」
ほむら「まさかインキュベーターが泣くなんて、思わなかったわ」
ロイQB「うぅ…」ぽろぽろ…
ほむら「その涙を見て本物の感情が貴方にはあると私は認識した。だから、任せなさい」
ロイQB「ありがとうホムラ…!ヤツはきっと宇宙基地にいるはずだ」
ほむら「宇宙ですって?私にロケットに乗って向かえっていうの?」
ロイQB「いや、僕らが開発した宇宙船を貸そう。あれだ」
まどか「あれは!」
ゴゴゴ…
ほむら「タートル号!」
ほむら「…ではなくて小型の宇宙船ね。がっかりだわ」
ロイQB「流石にそんな予算はないからね」
ほむら「まぁ良いわ。我慢してあげる」ヒョイ
ロイQB「ヤツの宇宙基地に向けてインプットはしてあるし、偽装もされているからきっと乗り込めるはずだ」
ほむら「ありがとう。到着するまでのんびりお昼寝でもしておくわ」
まどか「私も行く…なんて言っても、駄目だよね」
ほむら「まどか、ごめんなさい」
まどか「うぅん、良いの。私が居ても役には立てないし」
ほむら「いいえそんな事ない…けど、貴女には怪我をして欲しくないもの。だから彼と一緒に私の無事を祈っていて欲しい」
ほむら「それだけで私には充分過ぎるほど力になるから」チュッ…
まどか「気をつけてね…」チュッ
ほむら「それじゃ、ちょっと遊んでくるわ。…発進!」ゴゴゴ…
ヒューン…
まどか「みんな…必ず生きて帰ってきてね」
ロイQB「幸運を、ホムラ…」
~QB星宇宙基地~
手下QB「こちらに向かってくる宇宙船を一基発見」
手下QB2「あれは我が軍の遊軍機だな。収容してやれ」
手下QB「はっ」
ウイイィン…
手下QB「おかしいな、降りてこない」
手下QB2「どうかしたのか?」ガチャリ…
手下QB2「き、貴様何故…うわあぁぁ!」ズキューン!
手下QB「ば、馬鹿な…ホムラ!?」
ズキューン!
手下QB「」シュウウ…
ほむら「さ、早いとこヤツを見つけましょう」ダダッ
手下QB「HQ、HQ!こちらパトロール!」
QリスタルBウイ「なんだ騒がしい、一体どうした」
手下QB「大変ですQリスタルBウイ様!ヤツが、ホムラがこの基地に!」
QリスタルBウイ「…なに?ヤツだと」
手下QB「現在強化サイボーグマシンに乗った仲間が戦っていますが、手に負えません!」
手下QB「うぎゃあぁあ!」ブチッツーツー…
ドオオオン…
手下QB2「扉の前に何かいる…!」
手下QB3「ヤツだ、ヤツが来たんだ」
ドオオオン!
手下QB4「馬鹿な、原始砲を使ってもビクともしない扉だぞ!破れるはずは…」
ドゴオ!
ズキューンズキューンズキューン!
手下QBたち「」シュウウ…
ほむら「いけない、ノックが強すぎたみたい」
QリスタルBウイ「ふふ…やっと会えたな、コブラ!」
ほむら「だから私はほむら…はっ!?」
サイコガンから目を離し顔をあげた私は、彼の姿を見た瞬間驚いた。
何故なら、頭はインキュベーターだが、身体は…あの『スペースコブラ』で見たクリスタルボーイそのものだったから。
QリスタルBウイ「ふっふっふっ…」
ほむら「気持ち悪っ」
QリスタルBウイ「ここまで来るとは恐れいったよ。そんな貴様に免じて、かの女らを開放してやろう。ただし、鹿目まどか…彼女を寄越すんだ」
ほむら「勝手にさらっておいて取引なんて馬鹿じゃないの?それにあなた、最早インキュベーターでさえないじゃない」
QリスタルBウイ「身体はな…。しかし頭脳は他のインキュベーターと同じだ」
ほむら「…どういうこと」
QリスタルBウイ「聞きたいか?」
ほむら「いいわ、めんどくさいし」ジャキ!
ズキューン!
QリスタルBウイ「ぬおお!」
ほむら「さっさとマミィ達を開放しなさい、さもなくば粉々に」
ほむら「…サイコエネルギーがヤツの身体を素通りした!?」
QリスタルBウイ「俺の身体は特殊偏光ガラスで出来ている。さらに強度は超合金以上!あらゆる弾丸も無力だ!」
QリスタルBウイ「つまり私は無敵のスーパーマンというわけさ」
ほむら「くっ」
QリスタルBウイ「今度はこっちから行くぞ!」サッ
ほむら「は、速…」
QリスタルBウイ「キュップイィ!」ドゴオッ!
ほむら「ぐはっ…!」ドサッ
QリスタルBウイ「どうだ、どうせ貴様はここで死ぬ。疑問を残したまま死んだら地獄で気にし続ける羽目になるぞ?」
ほむら「…話しなさい、全てを」
QリスタルBウイ「ふふ、良いだろう。私は紳士だからな…」
ほむら(この隙に何か手立てを考えなくちゃいけないわね…)
あのスケスケの淫獣、だらだらとお喋りを始めたわ。
私としては少し休めて良かったんだけど、参ったわ。全然名案が浮かばないもの。
仕方なくサイコガンを撃っても、愛銃をぶっぱなしても、最後の切り札のロケットパンチを繰り出しても駄目。ほんと嫌になっちゃうわ。
でも、そんな時私はある重大な事に気がついた。
こうなればこれに賭けるしかない!
次回「QリスタルBウイの正体!」でまた会いましょう!
長くなりそうなので、一旦区切りましたw
次回は戦闘がメインなので少し短いはずです、たぶん。
残すはあと2話、見て下さる方がいればそれはとっても嬉しいなって…
QリスタルBウイ「それでは聞かせてやろう。私が何故この身体となったのかを」
ほむら「よろしくどうぞ」ファサ
QリスタルBウイ「私がこの身体を見つけたのは実に数千年前、貴様ら人類が登場するよりも昔のことだ」
ほむら(いきなりぶっこんできたわねコイツ…)
QリスタルBウイ「宇宙を漂っていたこのボディ一部分を発見した科学者が、完全な形状で復活させた。そして、私が実験台として移植されたのだ」
QリスタルBウイ「そして私は、彼の…クリスタルボーイの記憶を読み取った。彼が何者で、何故こうなってしまったのかをな」
ほむら「恋人に嫌われたショックで砕けたんじゃないかしら」
QリスタルBウイ「私は心底驚いたよ。彼が宇宙海賊ギルドの幹部であり、我々よりも冷酷で残忍だったからな」
QリスタルBウイ「いくら我々でも、地球の少女を犠牲にしてエネルギーの回収など思いもしなかったからな」
ほむら「…待ちなさい、まるでその『クリスタルボーイ』が魔法少女システムを構築したような言い草ね」
QリスタルBウイ「我々も昔は感情があった。確かに魔法少女が魔女になる瞬間のエネルギーは莫大だ。しかし我々の中でも反対派が多かったからな」
QリスタルBウイ「だが!私は彼の考えが実に気に入ったのだよ。何故あんなに沢山いる生物を犠牲にするのが駄目なのか、私にはとんと理解出来なかったからな」
QリスタルBウイ「そこで私は反対派の輩を静粛し、同胞に魔法少女システムがいかに効率的かを説いた…。やがて反対派は絶え、我々は魔法少女システムを利用したのだ」
QリスタルBウイ「思った通り素晴らしいエネルギー効率だったよ。…何より、このエネルギーはギルドでも重宝されているからな」
ほむら「……。つまり、あなたが魔法少女を生み出している原因というわけ?」
QリスタルBウイ「ふふ…おかげで我々インキュベーターはギルド内でも優秀な集団として認められているよ」
QリスタルBウイ「私はいずれギルドを乗っ取り、この宇宙を支配する者となる!そこでコブラ…いやホムラ!貴様は邪魔なのだ」
ほむら「…そう、これで漸く謎が解けたわ。何故感情のあるインキュベーターが『精神疾患』と呼ばれたのか…何故私を消したがってるのか。…だけどもうひとつ聞かせて頂戴」
ほむら「何故私を『コブラ』と呼ぶのかしら」
QリスタルBウイ「私自身はホムラと呼んでいるつもりだが、この身体の奥底が呻くのだよ。そのサイコガンを見る度に…」
QリスタルBウイ「サイコガンを持つ者、『コブラ』を殺せとな!」
ほむら「じゃあおあいこね。…私はいま、生まれて初めて喜んでインキュベーターを殺す!」ジャキ!
ズキューン!
QリスタルBウイ「無駄ということが解らんようだな」
ドヒュー!
ほむら「よっ!…鉤爪を飛ばすなんてフック船長もびっくりね!オウムでも飼ったらどう?」ズキューン!
QリスタルBウイ「それだけではないぞ?」
不敵な笑みを見せながら、QリスタルBウイの鉤爪から鈍い緑色の光線が放たれる。
寸での所で躱したほむらだが、堪らず物陰へと身を隠す。
ほむら「…鉤爪からビームだなんて、いくらなんでも盛りすぎよ。当たったら服に穴が空くじゃない」
ほむら「こうなったらこのマジカル☆デザートイーグルを試してみるしかないわ」チャキ
QリスタルBウイ「どうしたホムラよ、かかってこい!」
ほむら「言われなくてもね!」
ほむらが物陰から素早く半身を出し、デザートイーグルの重い銃声が鳴り響く。
そして、3発の弾丸はQリスタルBウイの左胸に突き刺さった。
QリスタルBウイ「むむ…」
ドサッ…
ほむら「あら、案外早く決めちゃったみたいね。どうやらあいつ、鉛玉に弱かったみたい」
QリスタルBウイ「…これは驚いたよ、まさかそんな拳銃で私の身体に傷をつけるとはな。だが、やはり拳銃だな」
ほむら「ちっ!」
再びほむらが50口径の弾丸を放つ。
だがQリスタルBウイは今度は避けることもせず、放った弾丸全てを身体に撃たせたのだった。
QリスタルBウイ「無駄ということが分かったかな?」
ほむら「…ちょっとは痛そうな顔しなさいよ」
QリスタルBウイ「今度はこちらからだ!」
QリスタルBウイがほむら目掛けて走ってくる。
ほむらはダメ元で頭部を狙い射撃するが躱されてしまい、気づけばQリスタルBウイが目の前で鉤爪を構えていた。
QリスタルBウイ「死ねぇ!」
ほむら「くっ!」ガキイィィン!
サイコガンの銃身で彼の一撃を防ぐほむら。
しかしその瞬間、QリスタルBウイから強烈なショルダータックルがほむらを高く吹き飛ばす。
どうにか床に着地したほむらだが、膝をついて口から血を吐いていた。
ほむら「げほ…すごいタックルね。ギルドなんて辞めてアメフトの選手になったら?」
QリスタルBウイ「普通の人間なら即死、例え魔法少女でも戦闘不能になるはずだが…。貴様も中々のタフガイだな」
QリスタルBウイ「だが、そんな身体でビームを避けきれるのかな?」サッ
ほむら(こうなったら…コブラがヤツを倒した時の『あの手』しかない!)
ほむらはゆっくりと立ち上がり、義手を嵌め直す。
そして口元を軽く緩ませながら…左手の拳を強く握る。
ほむら「賭けてみる?」サッ
QリスタルBウイ「馬鹿め、賭けは貴様の…負けだ!」
ドゴオオォン!
二つの爆音が鳴り響く。
QリスタルBウイのビームはほむらの胸を掠めたが、彼女の左手は…
ほむら「…そ、そんな」
彼女の左手はQリスタルBウイに突き刺さったていた。
しかし、その部位は漫画のコブラが決めたような胴体ではなく、彼の右腕だったのだ。
QリスタルBウイ「言っただろう、私は彼の記憶を持っていると。…クリスタルボーイはかつてこの手で敗れたのだ。それを私が知らないとでも思ったか?」
QリスタルBウイ「キュップイイ!」
ほむら「あが…」
QリスタルBウイがほむらの拳を投げ返す。
そして、彼女の拳は自身の下腹部に深々と突き刺さっていたのだった。
彼女は力なく地面に倒れた…
ほむら「あ…あ…」
QリスタルBウイ「残念だったなホムラ。現実はそう甘くはない」
ほむら(死ぬ…?私…はここで…)ガタガタ…
ほむら(ざまぁないわね…。不死身の魔法少女と呼ばれた…この私が…)
ほむら(せめて、ヤツの頭を…吹き飛ばしてやりたかった)
ほむら(待って…?頭…!)
ほむら(これだわ!これしかない!)
QリスタルBウイさて、そろそろ地獄へ旅立つ覚悟は出来たかな?…貴様とは長い付き合いだ、せめて苦しませずにそのソウルジェムを砕いてやろう」
ほむら「あら、意外と親切ね…。でも、あいにく間に合ってるわ」ヨロ…
QリスタルBウイ「き、貴様…まだ立てる気力があるというのか!?」
ほむら「地獄に行ったらまどかとデート出来なくなるからね。どちらかと言うとあなたが行くべきよ」ジャキ!
QリスタルBウイ「…ふふふ、魔法少女とはあながち不死身なのかもしれんな。楽に殺すのは辞めるとしよう」
QリスタルBウイ「貴様の身体を鯰にして切り刻み、首は飾ってやる!」
ほむら「悪趣味ね。そんなの最近流行らないわよ」
QリスタルBウイ「その首を貰うぞ、ホムラ!」ダダッ
ほむら「いやよやんない」ダダッ!
己の武器を構えた二人が、相手を殺るべく走り寄る。
そして…
ズキューン!
ほむら「……」
QリスタルBウイ「ふふ…」
QリスタルBウイ「ま、まさか…直接頭部を…撃ち抜くとは…」グラリ…
ほむらのサイコガンは零距離でQリスタルBウイの頭部を撃ち抜いていた。
彼の頭部と胴体は別れ、両方とも冷たい床に投げ出された。
QリスタルBウイ「何故…頭部を撃ち抜いて…」
ほむら「あなたは私の攻撃を嘲笑うが如く全て受けきった。ただひとつ…私が頭部に放った弾丸を『避けた』以外はね」
QリスタルBウイ「そんな…まさか…」
ほむら「あなたがあの弾丸を避けていなければ分からなかったわ。…まぁ当たってたらそれで終わりだったんだけど」チャキ
デザートイーグルを構えたほむらが、床に突っ伏している胴体の、頭部があった首下を狙い射撃する。
弾丸はいとも容易く全身を通り抜け…
胴体はバラバラに砕け散った。
ほむら「頭部と胴体の結合部分だもの…脆いはずよね」ファサ
QリスタルBウイ「……かの女らは部屋の奥だ。連れていくがいい」
ほむら「…そう、ありがとう」
QリスタルBウイ「先に地獄で待っているぞ、コブラ…いや、『ホムラ』」
ほむら「…さようなら」ジャキ…
サイコガンから射出されたサイコエネルギーが、跡形もなく彼の首を吹き飛ばした。
爆音が過ぎた静寂の中、ほむらは鈍く光るサイコガンを暫く見つめる。
そして、彼女は足早に部屋を去るのだった。
漸くマミィ達を助ける事が出来たわ。
あとはまどかの元に帰るだけ…なんだけど、お約束通り基地が爆発するカウントダウンを始めたの。
さぁ、宇宙船まで競争よ。
でも私の宇宙船、どう詰めても三人までしか乗らなかったの。
もち私は残ったわよ。あの三人の方が心配だもの。
そんな中、遂にサイコガンも限界を迎えてしまうし、どうするのよこれ!?
最終回「さようなら!私の最高の友達」で、また会いましょう!
更新遅れてすみません。
いろいろあったんで…
次回感動(笑)のティロフィナーレです。
最後まで見てくれるなら、それはとっても嬉しいなって…
QリスタルBウイを倒したほむらは、急いでマミ達が捕らえられた部屋へ向かう。
扉をサイコガンで破壊し、部屋に入るほむら。
ほむら「…ここね。それにしても、ロイQBのやつが言っていた事は本当みたいね」
部屋には幾つものカプセルが並び、中には彼等が捕らえた少女達がいた。
誰彼もみな魔法少女の姿のままだ。
そしてマミ達もまた同じようにカプセル内で目を閉じている。
ほむら「いたわね。生きていると良いけど」
ズキューン!
マミ「…あら、私なんでこんな場所に」
ほむら「いい夢は見れたかしら?」ファサ
マミ「暁美さん!…思い出したわ。私はQB達に誘拐されて」
ほむら「貴女だけじゃない。杏子やさやか、それに他の魔法少女までもね」
マミ「本当だわ…。でもどうやってここまで」
ズウゥゥン…
ほむら「それはおいおい説明するわ。それより早く杏子とさやかを助けましょう。どうやらこの基地も長くはないみたい」
マミ「分かったわ。とりあえずこの忌々しい容器を破壊しないとね」チャキ
そして…
ほむら「これで全員かしら」
マミ「そうね。でもこんなに多くの魔法少女が捕らえられてたなんて」
さやか「さやかちゃんもびっくりですよ」
少女1「一体ここはどこなのよ!?」
少女2「お家に帰りたーい!」
少女3「素数を…素数を数えて落ち着くのだ」
ワイワイガヤガヤ…
杏子「とにかくここから脱出しないとな」
ほむら「そうね。でも混乱している彼女達をまとめないと」
杏子「あたしに任せな」スッ
杏子「おーいあんたら!パニックになるのは無理ないがあたしらの指示に従って…」
少女4「はぁ?何言ってんだ?」
少女5「そうだそうだ!私達をさらったのはあんたかもしれないのに、そんなヤツの言うこと聞くか!」
杏子「んだとぉ!やるかテメェら!?」サッ
少女6「やってやるわよ」ジャキ
ほむら「やっぱ杏子じゃ駄目ね。期待してなかったけど」
さやか「てか止めないと!このままじゃ仲間割れだよ!?」
『CAUTION、CAUTION!総員は退避、総員は退避!』
マミ「な、何かしら」
ほむら「始まったわね」
『司令塔を失った為、一時間後この基地は爆発する。よって総員は本星に撤退せよ!繰り返す…』
少女7「ど、どういうこと!?訳分かんないんだけど!」
杏子「聞いた通りだよ馬鹿!さっさと逃げるんだよ!」
少女8「で、でもどうやって…」
ほむら「みんな落ち着いて聞いて頂戴。貴女達はQBによって拉致されたの。でも安心して欲しい、親玉は私が倒した。あとはさっさと地球に帰るだけなの」
少女9「倒したってどうやってや!うちが戦っても勝てなかったヤツやで!?」
ほむら「さぁ。確かチェスだったかしら」
少女9「ふざけるのも大概に…」ハッ
その時、少女は気がついた。
ほむらの左腕についたソレを見て。
震える少女が指を指し示すと、他の少女もほむらの左腕へ一斉に視線が移る。
ほむらが少女達を見る代わりに、鈍く光るサイコガンが彼女達を睨み返す。
少女10「なにあれ、変な銃つけちゃって、可愛くない」
少女11「あ、あんた知らないの!?あんな銃を左腕に着けているのは、ただのひとり…」
少女9「サイコ…ガンや…!まさかあんた」
ほむら「コブラじゃないわよ。私は…ホムラ」
ほむら「不死身の魔法少女、暁美ほむらよー!」ズキューン!
ガラガラ…
ほむら「さぁみんな、花火になりたくなかったらついて来なさい。ここからが近道よ」ダダッ
マミ「みんな、魔法少女の姿を維持してね。ここから先は何があるか分からないわ」
杏子「おら行くぞ!死にたくなかったらな!」
少女たち「は、はい!」
マミ「まるで大脱走ね」
ほむら「そうね。だけど、誰ひとり死なせはしないわ」
杏子「あいつら全員まとめちゃって、凄いねぇほむら。…食うかい?」
ほむら「頂くわ。…私じゃない、このサイコガンのお陰よ」
さやか「それにしても、スペースコブラなんてみんなよく知ってるな~」
ほむら「当たり前じゃないそんなこと」
ほむら「彼は絶望を希望に塗り替えるヒーローなんだから」
QB「ホムラめ、よくも僕達のボスを…!」
QB2「そんな事より早く脱出だ。地球なんかに来なければ良かった」
QB3「ん?なんだあの集団は…」
ズキューン!
QB3「キュップイ」
QB4「あ、あれは我々が捕らえた魔法少女ども!?」
魔法少女たち「うおおぉー!」
QB3「に、逃げろー!」
ほむらを先頭に魔法少女達はインキュベーターを蹴散らす。
彼等も堪らず強化サイボーグマシンに乗り込み応戦するが、今の怒りに満ちた少女達の前では無力に等しかった。
そして…
ほむら「はぁはぁ…着いたわ。さぁみんな、あとは適当に宇宙船に乗って脱出して頂戴」
少女たち「はい、ほむらおねぇ様!」
各々がインキュベーターの宇宙船に乗り込む。
ある者はほむらにお礼を述べてから、またある者は『ほむら』ではなく『コブラ』と呼びながら。
また、お礼すらなく急ぎ乗り込む者もいる。
杏子「あいつら宇宙船なんか操縦出来んのか」
ほむら「人間、死にもの狂いなら何だって出来るわ。さぁ私達も急ぐわよ」
ほむら達四人も、ほむらが乗ってきた宇宙船に乗る。
…が、何故か宇宙船は動かない。
画面には空しくエラーが表示される。
『重量オーバー』と…。
ほむら「そんなアホな…」
マミ「誰か降りるしかないっていうの!?」
杏子「マミがもうちょい痩せてれば…」
ドスバキィ!
杏子「きゅ~…」
さやか「他の宇宙船はみんな行っちゃったみたいだし、ヤバイよ…」
マミ「こうなったら私が残るわ…」
さやか「だ、駄目ですよマミさん!みんな生きて帰るんだから!」
マミ「でもどうしろと言うの!?このままじゃ私達全員…」
ほむら「それには及ばないわ。私が残るもの」ファサ
杏子「はぁ?お前死ぬ気かよ!?」
マミ「駄目よ暁美さん!あなたは地球に戻るべきよ!じゃないと、鹿目さんが悲しむわ…」
さやか「そうだよほむら!あんた言ってたじゃない、『もうまどかを悲しませたりしない』って!」
ほむら「誰が死ぬなんて言ったのよ。他の宇宙船を探しにいくだけよ」
マミ「でも…!」
ほむら「さ、先に帰ってケーキでも作ってて頂戴。あまり時間がないんだから」カチリ
ほむら「それに、一人活劇をやりたがるのが私の悪い癖なんだから」サッ
ほむらが宇宙船のスイッチを押し再起動させ、飛び降りる。
マミ達が彼女を止める前には、宇宙船は勢いよく宇宙へと飛び出していった。
その間にも、機械的なアナウンスは地獄へのカウントダウンを止めはしない。
『残り30分…』
ほむら「さてと、急ぐとしましょうか」ダダッ
~見滝原、某所~
まどか「ねぇロイべぇ、みんな…大丈夫かな」
ロイQB「分からない。でも彼女なら、ホムラならきっとやってくれるさ」
まどか「そうだよね!…あ、見て!」
ロイQB「どうやら無事だったみたいだね!」
人気のない河川敷に宇宙船が静かに降り立つ。
ハッチが開き、さやか、杏子、マミの三人がゆっくりと地面に降りた。
三人とも大きな怪我はなく、まどかが安心した顔で駆け寄る。
まどか「みんなぁぁ!」ダキッ
さやか「ただいままどか!愛しの我が嫁よ~!」ダキッ
まどか「無事で良かった!…あれ」
まどか「…ほむらちゃんは?」
さやか「それが…」
杏子「……」
まどか「冗談だよね?奥に居るんでしょ、早く出てきてよほむらちゃ…」
マミ「鹿目さん、落ち着いて聞いて欲しいの。暁美さんは」
まどか「嫌だ!ほむらちゃんはどこ?ねぇさやかちゃんほむらちゃんはどこ!?」
さやか「まどか、落ち着いて…」
まどか「落ち着ける訳ないよ!」
マミ「…暁美さんは私達を先に地球に還したの。宇宙船が人数的に乗れなかったから」
まどか「だから置いてきたって言うんですか!?いくら何でも、酷すぎる…」
杏子「おい、ほむらから話は聞いてるぜ。ロイQBだったか、何とか出来ないのかよ!?」
ロイQB「…この宇宙船は往復分の燃料しかない。再び行くのは無理だ。他の宇宙船はなかったのかい」
さやか「あたしら以外にも捕らえられた魔法少女がいたんだ。その子たちも皆宇宙船で脱出させたの。それで残りもなくなった…」
ロイQB「あの基地の発着場は1ヶ所しかない、つまり宇宙船が無ければ、もう…」
マミ「そんな…」
まどか「嫌だ…私はそんな結末…」
まどか「なんでいつもほむらちゃんばっかり損するの?そんなの、絶対おかしいよ」
ロイQB「ひとつだけ、方法がある。鹿目まどか、君にその覚悟があるなら」
杏子「まさか」
ロイQB「僕と契約して、魔法少女になってよ!」
ほむら「はぁ!」ズキューン!
手下QB「キュップイイ…」
彼女は走っていた。
残党に追われ戦い、傷ついた身体を必死に鞭うち、何度も転びながら、基地内を走り回る。
それでも、遂に宇宙船を見つける事は出来なかった。
ほむら「はぁはぁ…残念ね…」
汗を垂らし、諦めたかのような表情でほむらが壁を背にへたり込む。
それを嘲笑うかのように、アナウンスは残り5分のカウントを告げた。
ほむら「まさかここまでやってババを引くとは、つくづくツイてない」
手下QB2「死ね、ほむ」
ズキューン!…ビシッ
手下QB2「」バタリ
ほむら「おまけに頼みのサイコガンも、もう限界みたい。きっとあと一発撃てば砕け散るわね。ま、あいつが最後の残党だったみたいだけど」
『残り3分…』
ほむら「うるさいわね。分かってるわよ、私が負けって事くらい」
ほむらがポケットに手を入れ、杏子から貰ったロッキーを1本取りだし、咥える。
まるで死刑囚が刑執行の前、最後に吸う煙草のように。
ほむら「それにしても自分でも驚きだわ。ワルプルギスを越えたと思ったら、まさかサイコガンで戦う事になるなんて」
ほむら「思えば、私が病弱で入院していた時、いつもスペースコブラを読んでいたわね」
ほむら「彼の姿を見て、嫌な事も寂しい事も我慢したっけ。だって、コブラみたいに強くて格好いい人になりたかったもの」
ほむら「そんな私の夢が叶ったみたいで、この数週間は楽しかった、なんて言ったら変だけど、コブラになったみたいだった」
ほむら「…でも」
ほむら「もっとみんなと、まどかと…過ごしたかったなぁ」
広い部屋の中、彼女の小さな嗚咽が響く。
大粒の涙を流し、脳裏には愛しい人の笑顔がよぎる。
何度も何度も時間を繰り返し、漸く明けない夜を越えたのに。
結局はハッピーエンドにならなかった。
私はただ安らかに、まどかと学校生活を送りたかった、それだけなのに。
その願いさえも届かないのか――
…ゆっくりと彼女のソウルジェムが黒く淀む。
まるで暗黒に引き摺り込むが如く。
ほむら「…魔女になんかならないわ。私は、『暁美ほむら』として死ぬ」
『残り10秒』
ほむら「数多の敵を倒したサイコガンの最後の一発が自分を撃ち抜くなんて、皮肉ね。でも、ありがたい」
『残り5秒』
ほむら「さようなら…みんな」ジャキ…
ほむら「まどか…」
カッ!
~再び、見滝原某所~
杏子「…!いま、星が光ったぞ」
マミ「夕暮れだけど、あの輝きは強すぎるわ」
さやか「ほむら…」
ロイQB「間に合わなかった…か」
まどか「そんな…嫌だ…ほむらちゃん」
まどか「嫌だ嫌だ嫌だぁぁぁ!」
まどかの悲痛な叫びが木霊する。
普段の彼女からは決して聞くことはないであろう、その叫び。
しかし誰も答える者はいなかった――
『いるわ。ここに一人ね』
さやか「!?…水の中から声が?」
「ひとつ気になる事があってね、死のうにも死にきれないの」
マミ「この声は!」
ほむら「どうして私、地球に居るのかしら」ザバァ
杏子「ほむら!」
まどか「ほむらちゃぁぁあん!」ダダッ
全員がほむらに駆け寄った。
水浸しにも関わらず、まどかは強く強くほむらを抱き締め、マミやさやか、杏子は涙を流し彼女の生還を喜んだ。
まどか「ほむらちゃんほむらちゃん…」
ほむら「まどか、心配かけてごめんなさい。でももう大丈夫だから、大丈夫だから…」
杏子「この野郎マジで心配したんだからなぁ!」
さやか「ほむらぁ~!」
マミ「お帰りなさい、暁美さん」
ほむら「ありがとうみんな…。基地が爆発する瞬間、目の前が光ったと思ったら、戻ってこれたの」
ロイQB「それはまどかが僕と契約したからだ」
ほむら「なっ…」
ロイQB「と言っても僕は魔法少女の最期を知っている。当然、そんな悪魔のような契約はしない」
ほむら「でもまどかは魔法少女に…」
ロイQB「確かに鹿目まどかは君を救いたいと願い、魔法少女となった。だが君達とは違う、彼女にはソウルジェムは存在しない」
さやか「そ、そういえばあたしの時みたいに変身もしてないしソウルジェムもないね」
マミ「でも魔力は感じるわ。それも、ワルプルギス以上に」
杏子「どうなってるんだこりゃ」
ロイQB「実は別に魂をソウルジェムに代える必要はない。ただインキュベーターが少女達に真実を告げて魔女化を助長するのに便利だったから」
ロイQB「まどかに戦う力はない。その代わり、彼女は祈りによって自分を含む全ての魔法少女のソウルジェムの穢れを取り除く事が出来る。それが彼女の能力…。言うなれば、まどかは生きたまま『女神』となったのさ」
ロイQB「普通は有り得ない。だが、彼女の強大な因果がそれを可能にした。…全てはほむら、君が繰り返した時間のお陰だ」
ほむら「それってつまり」
まどか「そう。もうグリーフシードも、インキュベーターも、魔女も要らない。私が全て受け入れてあげるから」スッ
パアァ…
まどかが手を合わせて祈る。
すると眩い、神々しい光が彼女の全身を包み、空に散っていった。
マミ達が自身のソウルジェムを見れば、穢れひとつない、宝石のような輝きがそこにあった。
杏子「すげぇ…マジで穢れが無くなった」
さやか「まさか親友があたしらの女神になるなんて…」
マミ「今の彼女は鹿目まどか…いや、『ディフィニティーヴォまどか』よ」
杏子「…意味は?」
マミ「イタリア語で『究極』って意味よ!」キラキラ…
杏子「あ、そう…」
ほむら「私のだけ、まだ黒いんだけど…」
まどか「ティヒヒ、今までずっと頑張ってきたほむらちゃんには特別だよ」
チュッ…
ほむら「!」
杏子「ひぇ//」
さやか「あちゃあ~…」
マミ「だ、大胆ね鹿目さん…//」
マミ達を気にも留めず、まどかとほむらの接吻が続く。
唇が離れた時には、ほむらのソウルジェムは綺麗に浄化されていた。
改めて視線を絡めたふたりの頬が赤く染まる。
まどか「ちょっと大胆過ぎたかな…?」
ほむら「そんな事ないわまどか。今の貴女は神々しくて…綺麗よ」
まどか「ほむらちゃんも、凄い色っぽくて、素敵だよ…。これからはずぅっと一緒だからね」
ほむら「ええ。もう貴女を離さないわ」
まどか「ほむらちゃん…//」
ほむら「まどか…//」
さやか「身体が痒いぃぃ…!」
ロイQB「さて、これで無事全てが終わった訳だ。僕も銀河パトロール本部に連絡して迎えに来てもらうとしよう」
ロイQB「ほむら、君は本当によくやってくれた。きっと本部から褒章が届くだろう」
ほむら「それは嬉しいわね。どうせならついでにまどかの銅像でも建てて頂戴」
ロイQB「検討するさ。でもその前に僕からのプレゼントだ、君の故障していた盾を修復しておいた。受け取ってくれ」
ほむら「あら、ありがとう…。早速右腕につけてみるわ」カシャカシャン
ロイQB「ついでに君の左腕のサイコガンも修復するかい?そうすれば、君は本当に無敵の魔法少女になるよ」
さやか「インチキー!さやかちゃんにも何かくれよ~」
ほむら「ロイQB、本当に貴方は親切ね。でも私、ふたつは要らないの。重たいし」ガシャ…
ほむらが左腕に着けていたヒビの入ったサイコガンを取り外す。
そして左腕に本来あった盾を着け直した。
マミ「サイコガン、捨てるの?」
ほむら「ええ。盾がある以上、もう必要ないもの」
さやか「それだ!それをさやかちゃんに!」
ほむら「馬鹿言わないで、誰もスペースさやかなんて望んでないわ。それに貴女の精神力じゃサイコガンは撃てないわよ」
さやか「そんなぁ~…」
マミ「いいの?暁美さん。あんなにコブラに憧れてたのに」
ほむら「良いのよ巴マミ、やっぱり私にサイコガンは似合わないわ。それに、これは彼がただひとり着けていいものなんだから」
ほむら「少しの間だったけど、ありがとう。さ、元の持ち主の所へ還りなさい」サッ
ほむら「えい」
ポシャン…
ほむらが川に投げ入れたサイコガンは夕陽を浴びながら流れ、ゆっくりと沈んでいった。
彼女は愛おしそうにも哀しそうにも見つめたあと、踵を返すのだった。
ほむら「さようなら。私のサイコガン…」
――後に、各地の魔法少女達の間にはとある噂が流れ始めた。
見滝原という街には、生きたまま女神となった少女がいて、彼女が全ての魔法少女を絶望から救済しているということ。
また、彼女を護る無敵の、左腕に銃を仕込んだ不死身の魔法少女がいるということ。
その魔法少女はこう呼ばれている。
『スペースホムラ』と。
『スペースホムラ ~ザ・サイコガン~』fin
更新遅れてすみません、これにて完結です。
最後までお付き合いしてくれた方には感謝のヒューッを。
つまらんと思った方にはお詫びを。
次回作で挽回します。たぶん。
これを書こうと思ったきっかけはまどマギ愛もさながら、やっぱり最近発売中のMFRコミックのコブラを見てからですね。
みんなコブラのような格好いい男になれよ!
エンディングは松崎しげるの「君の歌」で。
それでは、また会おう!
このSSまとめへのコメント
ヒュー!